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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20220721BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018060100
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019174002
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】布施 一仁
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-214679(JP,A)
【文献】特開2001-349552(JP,A)
【文献】特開平11-329710(JP,A)
【文献】特開2010-054057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
A47J 27/00-27/64
A47J 37/00-37/12
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続される整流回路と、この整流回路の両極間に加熱源駆動回路を介して接続される加熱源と、この加熱源を駆動する前記加熱源駆動回路と、前記加熱源と並列に設けられる電源回路と、前記加熱源と並列に設けられて前記加熱源駆動回路を制御する制御手段と、自己復帰型のスイッチとダイオードとの直列回路と、この直列回路と並列に設けられるスイッチング素子、前記スイッチとダイオードとの間から分岐して前記制御手段の入力部に接続されるラインとを有する加熱調理装置であって、前記スイッチとダイオードの直列回路及びスイッチング素子が、前記電源回路と制御手段の電源入力部との間に配されると共に、前記制御手段の作動中にこの制御手段から前記スイッチング素子へ電流が供給されるように構成されることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
複数の前記スイッチング素子により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチと並列に接続されることを特徴とする請求項記載の加熱調理装置。
【請求項3】
間欠電流を通過させるコンデンサ及び間欠電流を平滑化する平滑手段を介して、前記スイッチング素子へ電流が供給されるように構成されることを特徴とする請求項記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食卓上に置いて使用される誘導加熱調理器やホットプレート、電気鍋等の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理装置としては、調理器本体の上面に操作パネルが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような加熱調理装置は、その天板上に鍋を置くことで、この鍋を加熱して鍋内の食品を加熱調理するようになっている。また、このような加熱調理装置は、使用する際、テーブルのほぼ中央に置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-213469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加熱調理装置では、この加熱調理装置を電源に接続した段階で、制御手段としてのマイクロコンピュータに電力が供給されて起動する。そして、加熱スイッチを押すことで、加熱を開始するようになっている。しかしながら、前述したように、加熱調理装置が電源に接続された状態では、前記マイクロコンピュータが作動しているので、このマイクロコンピュータが、静電気、或いは電源のノイズ等によって誤動作して、誘導コイルに通電させてしまう虞があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、加熱停止状態からの加熱源の誤動作を抑制することができる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の加熱調理装置は、交流電源に接続される整流回路と、この整流回路の両極間に加熱源駆動回路を介して接続される加熱源と、この加熱源を駆動する前記加熱源駆動回路と、前記加熱源と並列に設けられる電源回路と、前記加熱源と並列に設けられて前記加熱源駆動回路を制御する制御手段と、自己復帰型のスイッチとダイオードとの直列回路と、この直列回路と並列に設けられるスイッチング素子、前記スイッチとダイオードとの間から分岐して前記制御手段の入力部に接続されるラインとを有する加熱調理装置であって、前記スイッチとダイオードの直列回路及びスイッチング素子が、前記電源回路と制御手段の電源入力部との間に配されると共に、前記制御手段の作動中にこの制御手段から前記スイッチング素子へ電流が供給されるように構成されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の加熱調理装置は、請求項1において、複数の前記スイッチング素子により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチと並列に接続されるものである。
【0008】
更に、本発明の請求項3に記載の加熱調理装置は、請求項において、間欠電流を通過させるコンデンサ及び間欠電流を平滑化する平滑手段を介して、前記スイッチング素子へ電流が供給されるように構成されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の加熱調理装置は、以上のように構成することにより、前記スイッチを操作しなければ前記制御手段が作動しないので、加熱停止中に前記加熱源駆動回路が前記加熱源へ意図せず電流を流さないようにすることができる。そして、前記制御手段が前記スイッチング素子への電流供給を停止して、前記制御手段への電力供給を停止することができる。即ち、前記制御手段自身によって、この制御手段を停止させることができる。また、前記電源回路からスイッチ及びダイオードを経て前記制御手段の電源入力部へ電力が供給されるが、前記スイッチを流れる電流が前記制御手段を起動させるのに十分な値であれば良いため、前記交流電源から前記加熱源へ大電力が供給されるものであったとしても、前記スイッチは比較的小容量のスイッチとすることができる。
【0010】
なお、複数の前記スイッチング素子により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチと並列に接続されることで、一の前記スイッチング素子が短絡モードで故障したとしても、他の前記スイッチング素子をオフにして確実に前記制御手段を停止させることができる。
【0011】
また、間欠電流を通過させるコンデンサ及び間欠電流を平滑化する平滑手段を介して、前記スイッチング素子へ電流が供給されるように構成されることで、前記制御手段が故障して間欠電流を出力できなくなると、前記スイッチング素子へ電流を供給できなくなる。従って、前記制御手段が故障した状態で、この制御手段を起動させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態を示す加熱調理装置の斜視図である。
図2】同、調理装置本体の側面図である。
図3】同、調理装置本体の平面図である。
図4】同、遠隔操作体の拡大正面図である。
図5】同、遠隔操作体の拡大平面図である。
図6】同、電気回路の概略図である。
図7】同、使用状態の説明図である。
図8】本発明の第二の実施形態を示す加熱調理装置の斜視図である。
図9】同、調理装置本体の側面図である。
図10】同、電気回路の概略図である。
図11】同、使用状態の説明図である。
図12】本発明の第三の実施形態を示す加熱調理装置の斜視図である。
図13】同、使用状態の説明図である。
図14】本発明の第四の実施形態を示す加熱調理装置の電気回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図7に基づいて説明する。1は本発明の加熱調理装置である。この加熱調理装置1は、調理装置本体2と遠隔操作体3とを有して構成される。なお、本実施形態において、前記加熱調理装置1は誘導加熱調理器である。
【0014】
前記調理装置本体2は、短円筒状の上外殻体4と、皿状の下外殻体5と、前記上外殻体4上に設けられる円盤状の天板6とを有する。なお、前記天板6の下方には、加熱源としての誘導加熱コイル7及び表示手段としてのLEDアレイ8が収容される。このLEDアレイ8から放射された光は、前記天板6を透過して視認される。そして、前記天板6上には、図示しない誘導加熱調理器対応の鍋が載置可能である。また、前記上外殻体4の側面と下外殻体5の側面には、それぞれ切欠部9,10が設けられ、これらの切欠部9,10で囲まれる部位に電源接続部11が設けられる。この電源接続部11には、図示しない電源コードのマグネットプラグが着脱可能に接続される。そして、前記下外殻体5の側部には、主スイッチ操作部12と出力調節スイッチ操作部13とが設けられる。更に、前記下外殻体の側部には、赤外信号受信部14の受光窓15が複数(本実施形態では3箇所)設けられる。これらの受光窓15は、側面視で表れる。また、これらの受光窓15は、前記調理装置本体2の垂直中心線回りに、等角度間隔(本実施形態では120度間隔)で設けられる。
【0015】
前記遠隔操作体3は、全体として短円筒状である。この遠隔操作体3は、短円筒状の本体部16と、この本体部16に被せられる操作部17とを有して構成される。なお、この操作部17は、前記本体部16に対し水平方向に回動可能で且つ垂直方向に移動可能に設けられる。また、前記本体部16には、前記操作部17の水平方向の回動量及び下方への押圧を検知する手段(図示せず)が設けられる。更に、前記操作部17の下端は、前記本体部16の下端よりも高い。従って、前記本体部16の下部は、外部に露出する。そして、前記本体部16の露出する下部側面には、赤外信号送信部18の放光窓19が複数(本実施形態では3箇所)設けられる。これらの放光窓19は、側面視で表れる。また、これらの放光窓19は、前記遠隔操作体3の垂直中心線回りに、等角度間隔(本実施形態では120度間隔)で設けられる。なお、前記各放光窓19の内側には、それぞれ図示しない赤外LEDが設けられる。即ち、本実施形態の場合、前記赤外LEDは、前記各放光窓19と同じく三箇所に設けられる。なお、一箇所当たりの前記赤外LEDの数は、一つであっても複数であっても良い。
【0016】
前記調理装置本体2の電気回路の概要について説明する。この電気回路は、図6に示すように、交流電源20が整流回路20Aに接続され、この整流回路20Aの両極間に加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21を介して前記誘導加熱コイル7が接続された構造である。そして、この誘導加熱コイル7は、前記誘導加熱駆動回路21によって駆動制御される。そして、前記誘導加熱コイル7と並列に、電源回路22と制御手段としてのマイクロコンピュータ23が接続される。なお、電源回路22とマイクロコンピュータ23との間には、スイッチSW1とダイオードDの直列回路が設けられる。前記スイッチSW1は自己復帰型であり、前記主スイッチ操作部12を押すことにより操作される。また、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路は、前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの間から分岐したラインが、前記マイクロコンピュータ23の入力部Xに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路と並列に、スイッチング素子としての電界効果トランジスタ(以下FET)24,25の直列回路が接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部AがコンデンサCを介して平滑手段としての積分回路26に接続され、更にこの積分回路26が前記FET24のゲートに接続される。一方、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部Bが前記FET25のゲートに接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は前記誘導加熱駆動回路21に接続され、この誘導加熱駆動回路21を制御可能に構成される。また、前記マイクロコンピュータ23には、赤外センサ27,28,29が接続される。なお、前記赤外センサ27は、前記受光窓15Aの内側に、前記赤外センサ28は、前記受光窓15Bの内側に、前記赤外センサ29は、前記受光窓15Cの内側に配置される。また、前記マイクロコンピュータ23には、スイッチSW2が接続される。なお、前記スイッチSW2も自己復帰型であり、前記出力調節スイッチ操作部13を押すことにより操作される。更に、前記マイクロコンピュータ23には、前記LEDアレイ8が接続される。
【0017】
このような回路構成とすることで、前記交流電源20から誘導加熱コイル7へ大電力が供給されるものの、前記スイッチSW1は比較的小容量のスイッチとすることができる。これは、前記スイッチSW1を流れる電流が、前記マイクロコンピュータ23を起動させるのに十分な値であれば良いためである。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、図示しない電源コードのマグネットプラグを前記電源接続部11に接続すると共に、電源プラグを前記交流電源20に接続する。この状態では、前記誘導加熱コイル7へは電流が流れず、また、前記マイクロコンピュータ23も起動しない。そして、前記主スイッチ操作部12を押すと、前記スイッチSW1が「オン」になる。このように、前記スイッチSW1が「オン」になると、前記電源回路22からスイッチSW1及びダイオードDを経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ電力が供給され、前記マイクロコンピュータ23が起動する。同時に、前記スイッチSW1を流れた電流が前記入力部Xに供給されたことを前記マイクロコンピュータ23が検知する。そして、このマイクロコンピュータ23は、前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記出力部Aから前記積分回路26へ間欠電流を供給する。なお、この出力部Aから供給される電流は間欠電流なので、前記コンデンサCを通過して前記積分回路26へ供給される。この間欠電流は、前記積分回路26で平滑化されて直流電流となり、前記FET24のゲートへ供給される。同時に、前記マイクロコンピュータ23の出力部Bから前記FET25のゲートへ直流電流が供給される。そして、このように前記各FET24,25のゲートにそれぞれ電流が供給されることで、これらFET24,25が同時に「オン」になり、前記電源回路22から前記各FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに電力が供給される。なお、前記スイッチSW1は、前述した通り自己復帰型スイッチなので、使用者が前記主スイッチ操作部12から手を離すと「オフ」になる。しかしながら、前記FET24,25の直列回路に電流が流れることで、前記マイクロコンピュータ23に電流が供給され続ける。そして、このマイクロコンピュータ23に電流が供給され続けることで、前記各FET24,25のゲートへ電流が供給され続ける。従って、前記マイクロコンピュータ23が作動し続ける。なお、前記FET24,25の直列回路を流れる電流は、前記ダイオードDによって妨げられるので、前記入力部Xには流れない。
【0019】
このように、前記マイクロコンピュータ23が作動すると、このマイクロコンピュータ23が前記誘導加熱駆動回路21を制御し、この誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7を駆動制御する。即ち、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7へ交流電流が供給される。なお、前記マイクロコンピュータ23起動時の前記誘導加熱コイル7の設定出力は、最小値であっても、前回使用時の出力値であってもよい。そして、前記出力調節スイッチ操作部13の押圧による前記スイッチSW2の「オン」を前記マイクロコンピュータ23が検知する毎に、このマイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱制御回路21によって、前記誘導加熱コイル7の出力を多段階に制御する。また、前記マイクロコンピュータ23は、前記スイッチSW2の「オン」を検知する毎に、前記LEDアレイ8における発光させるLED数を制御する。この際、前記LEDアレイ8における発光させるLED数は、前記誘導加熱コイル7の出力と対応する。従って、現在の前記誘導加熱コイル7の出力を、前記LEDアレイ8の発光しているLED数で知ることができる。そして、前記LEDアレイ8のLEDから放射される光は、前記天板6を透過して視認される。
【0020】
なお、前記調理装置本体2の制御は、前記遠隔操作体3を操作することによっても行うことができる。(但し、前記マイクロコンピュータ23の起動から加熱開始までの操作だけは、前記調理装置本体2の主スイッチ12によって行われる。)前記遠隔操作体3は、食卓T上に置いた状態で操作される。即ち、前記遠隔操作体3を食卓T上に置いた状態で、前記操作部17を下方に押し下げると、前記誘導加熱コイル7への通電が遮断する。なお、前記操作部17をもう一度下方に押し下げても、前記誘導加熱コイル7への通電は再開しない。また、前記操作部17を右回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が上昇し、前記操作部17を左回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が低下する。
【0021】
そして、このような操作による制御信号は、前記赤外信号送信部18の図示しない三箇所の前記赤外LEDから赤外信号Sとして送信され、前記放光窓19,19,19から放出される。即ち、前記赤外信号Sは、前記遠隔操作体3から三方向に送信される。なお、前記赤外LEDは、比較的広い照射角度(具体的には約120度)を有する。従って、前記赤外信号Sは、前記遠隔操作体3の周囲の広い範囲に送信される。
【0022】
一方、前記調理装置本体2の赤外センサ27,28,29も、比較的広い検知角度(具体的には約140度)を有する。従って、前記赤外センサ27,28,29によって、前記調理装置本体2の周囲のあらゆる方向から、前記赤外信号Sを受信することができる。例えば、図7に示すように、前記食卓T上の位置P1に置かれた前記遠隔操作体3の放光窓19Aから放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Aを通って前記赤外センサ27が受信する。一方、前記食卓T上の位置P2に置かれた前記遠隔操作体3の放光窓19Bから放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Cを通って前記赤外センサ29が受信する。同時に、前記放光窓19Cから放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Bを通って前記赤外センサ28が受信する。即ち、この例の場合、二系統の赤外信号Sの授受が行われる。なお、前記調理装置本体2と遠隔操作体3の位置関係によっては、一箇所の前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを二つの前記赤外センサによって受信したり、二箇所の前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを一つの前記赤外センサによって受信したりする場合もあり得る。即ち、何れかの前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを、何れかの前記赤外センサ27,28,29によって受信することで、前記遠隔操作体3による調理装置本体2の制御が可能となる。なお、前記遠隔操作体3から三方向に送信される前記赤外信号Sは、全て同じ命令信号なので、複数の前記赤外センサ27,28,29で受信したとしても命令に矛盾が生じない。なお、図7は、一つの調理装置本体2に対し二つの遠隔操作体3を設けたものではない。一つの調理装置本体2に対し、一つの遠隔操作体3を、前記食卓T上の位置P1に置いた場合と位置P2に置いた場合とを、一つの図面で同時に表したものである。
【0023】
なお、前記遠隔操作体3を食卓T上に置いた状態で、前記操作部17を下方に押し下げるか、又は前記主スイッチ操作部12を押して前記スイッチSW1を「オン」にすると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7の通電を遮断させた後、自身の動作を停止させる。前記遠隔操作体3の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記赤外センサ27,28,29が停止命令の赤外信号Sを受信すると、前記マイクロンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。一方、前記主スイッチ操作部12の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記電源回路22から前記スイッチSW1を経て前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記FET24,25のゲートへの電流供給が遮断されるので、これらのFET24,25が何れも「オフ」となり、前記電源回路22から前記FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ供給される電力も遮断される。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。このように、このマイクロコンピュータ23が停止すると、前記誘導加熱駆動回路21を制御して前記誘導加熱コイル7へ電流を供給することができなくなる。従って、不使用時における前記マイクロコンピュータ23の誤動作によって、前記誘導加熱コイル7に意図せず電流が供給される虞を減ずることができる。これによって、前記加熱調理装置1の安全性を高めることができる。なお、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7による加熱中に所定時間(例えば30分間)操作がないと判断すると、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。
【0024】
なお、前記FET24,25が直列に接続されることで、何れか一方のFET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方のFET25又は24のゲートへの給電を停止することで、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができる。従って、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができなくなるという虞を減ずることができる。また、前記マイクロコンピュータ23が故障すると、このマイクロコンピュータ23の出力部Aから間欠電流を出力できなくなる。仮に、出力部Aから一切の電流が供給できなくなってしまった場合、前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。逆に、前記出力部Aから供給される電流が直流電流となってしまった場合、この直流電流は前記コンデンサCを通過できないので、やはり前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。このため、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態では、前記誘導加熱コイル7に電流を供給することができないようにすることができる。
【0025】
以上のように本発明は、加熱源としての誘導加熱コイル7と、この誘導加熱コイル7を駆動する加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21と、電源回路22と、前記誘導加熱駆動回路21を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ23と、スイッチSW1とを有する加熱調理装置1であって、前記スイッチSW1が、前記電源回路22とマイクロコンピュータ23の間に配されることで、前記スイッチSW1を操作しなければ前記マイクロコンピュータ23が作動しないので、誤動作によって加熱停止中に前記誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7へ意図せず電流を流さないようにすることができるものである。
【0026】
また本発明は、前記スイッチSW1が自己復帰型であり、このスイッチSW1と並列にスイッチング素子としてのFET24,25が接続されると共に、前記マイクロコンピュータ23の作動中に前記FET24,25のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が前記FET24,25への電流供給を停止して、前記マイクロコンピュータ23自身への電力供給を停止することができるものである。即ち、前記マイクロコンピュータ23自身によって、このマイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0027】
また本発明は、複数の前記FET24,25により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチSW1と並列に接続されることで、一方の前記FET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方の前記FET25又は24をオフにして確実に前記マイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0028】
更に本発明は、間欠電流を通過させるコンデンサC及び間欠電流を平滑化する平滑手段としての積分回路26を介して、前記FET24のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が故障して間欠電流を出力できなくなると、前記FET24へ電流を供給できなくなるので、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態で、このマイクロコンピュータ23を起動させないようにすることができるものである。
【0029】
次に、本発明の第二の実施形態について、図8乃至図11に基づいて説明する。なお、上記第一の実施形態と共通する部分については共通の符号を付す。31は本発明の加熱調理装置である。この加熱調理装置31は、調理装置本体32と、遠隔操作体33と、これらを接続する信号線34とを有して構成される。なお、本実施形態において、前記加熱調理装置31は誘導加熱調理器である。
【0030】
前記調理装置本体32は、短円筒状の上外殻体4と、皿状の下外殻体35と、前記上外殻体4上に設けられる円盤状の天板6とを有する。なお、前記天板6の下方には、加熱源としての誘導加熱コイル7及び表示手段としてのLEDアレイ8が収容される。このLEDアレイ8から放射された光は、前記天板6を透過して視認される。そして、前記天板6上には、図示しない誘導加熱調理器対応の鍋が載置可能である。また、前記上外殻体4の側面と下外殻体5の側面には、それぞれ切欠部9,10が設けられ、これらの切欠部9,10で囲まれる部位に電源接続部11が設けられる。この電源接続部11には、図示しない電源コードのマグネットプラグが着脱可能に接続される。そして、前記下外殻体5の側部には、主スイッチ操作部12と出力調節スイッチ操作部13とが設けられる。
【0031】
前記遠隔操作体33は、全体として短円筒状である。この遠隔操作体3は、短円筒状の本体部36と、この本体部36に被せられる操作部17とを有して構成される。なお、この操作部17は、前記本体部36に対し水平方向に回動可能で且つ垂直方向に移動可能に設けられる。また、前記本体部36には、前記操作部17の水平方向の回動量及び下方への押圧を検知する手段(図示せず)が設けられる。更に、前記操作部17の下端は、前記本体部36の下端よりも高い。従って、前記本体部36の下部は、外部に露出する。
【0032】
前記加熱調理装置31の電気回路の概要について説明する。この電気回路は、図10に示すように、交流電源20が整流回路20Aに接続され、この整流回路20Aの両極間に加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21を介して前記誘導加熱コイル7が接続された構造である。そして、この誘導加熱コイル7は、前記誘導加熱駆動回路21によって駆動制御される。そして、前記誘導加熱コイル7と並列に、電源回路22と制御手段としてのマイクロコンピュータ23が接続される。なお、電源回路22とマイクロコンピュータ23との間には、スイッチSW1とダイオードDの直列回路が設けられる。前記スイッチSW1は自己復帰型であり、前記主スイッチ操作部12を押すことにより操作される。また、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路は、前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの間から分岐したラインが、前記マイクロコンピュータ23の入力部Xに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路と並列に、スイッチング素子としての電界効果トランジスタ(以下FET)24,25の直列回路が接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部AがコンデンサCを介して平滑手段としての積分回路26に接続され、更にこの積分回路26が前記FET24のゲートに接続される。一方、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部Bが前記FET25のゲートに接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は前記誘導加熱駆動回路21に接続され、この誘導加熱駆動回路21を制御可能に構成される。また、前記マイクロコンピュータ23には、前記信号線34を介して前記遠隔操作体33が接続される。また、前記マイクロコンピュータ23には、スイッチSW2が接続される。なお、前記スイッチSW2も自己復帰型であり、前記出力調節スイッチ操作部13を押すことにより操作される。更に、前記マイクロコンピュータ23には、前記LEDアレイ8が接続される。
【0033】
このような回路構成とすることで、前記交流電源20から誘導加熱コイル7へ大電力が供給されるものの、前記スイッチSW1は比較的小容量のスイッチとすることができる。これは、前記スイッチSW1を流れる電流が、前記マイクロコンピュータ23を起動させるのに十分な値であれば良いためである。
【0034】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、図示しない電源コードのマグネットプラグを前記電源接続部11に接続すると共に、電源プラグを前記交流電源20に接続する。この状態では、前記誘導加熱コイル7へは電流が流れず、また、前記マイクロコンピュータ23も起動しない。そして、前記主スイッチ操作部12を押すと、前記スイッチSW1が「オン」になる。このように、前記スイッチSW1が「オン」になると、前記電源回路22からスイッチSW1及びダイオードDを経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ電力が供給され、前記マイクロコンピュータ23が起動する。同時に、前記スイッチSW1を流れた電流が前記入力部Xに供給されたことを前記マイクロコンピュータ23が検知する。そして、このマイクロコンピュータ23は、前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記出力部Aから前記積分回路26へ間欠電流を供給する。なお、この出力部Aから供給される電流は間欠電流なので、前記コンデンサCを通過して前記積分回路26へ供給される。この間欠電流は、前記積分回路26で平滑化されて直流電流となり、前記FET24のゲートへ供給される。同時に、前記マイクロコンピュータ23の出力部Bから前記FET25のゲートへ直流電流が供給される。そして、このように前記各FET24,25のゲートにそれぞれ電流が供給されることで、これらFET24,25が同時に「オン」になり、前記電源回路22から前記各FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに電力が供給される。なお、前記スイッチSW1は、前述した通り自己復帰型スイッチなので、使用者が前記主スイッチ操作部12から手を離すと「オフ」になる。しかしながら、前記FET24,25の直列回路に電流が流れることで、前記マイクロコンピュータ23に電流が供給され続ける。そして、このマイクロコンピュータ23に電流が供給され続けることで、前記各FET24,25のゲートへ電流が供給され続ける。従って、前記マイクロコンピュータ23が作動し続ける。なお、前記FET24,25の直列回路を流れる電流は、前記ダイオードDによって妨げられるので、前記入力部Xには流れない。
【0035】
このように、前記マイクロコンピュータ23が作動すると、このマイクロコンピュータ23が前記誘導加熱駆動回路21を制御し、この誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7を駆動制御する。即ち、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7へ交流電流が供給される。なお、前記マイクロコンピュータ23起動時の前記誘導加熱コイル7の設定出力は、最小値であっても、前回使用時の出力値であってもよい。そして、前記出力調節スイッチ操作部13の押圧による前記スイッチSW2の「オン」を前記マイクロコンピュータ23が検知する毎に、このマイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱制御回路21によって、前記誘導加熱コイル7の出力を多段階に制御する。また、前記マイクロコンピュータ23は、前記スイッチSW2の「オン」を検知する毎に、前記LEDアレイ8における発光させるLED数を制御する。この際、前記LEDアレイ8における発光させるLED数は、前記誘導加熱コイル7の出力と対応する。従って、現在の前記誘導加熱コイル7の出力を、前記LEDアレイ8の発光しているLED数で知ることができる。そして、前記LEDアレイ8のLEDから放射される光は、前記天板6を透過して視認される。
【0036】
なお、前記調理装置本体32の制御は、前記遠隔操作体33を操作することによっても行うことができる。(但し、前記マイクロコンピュータ23の起動から加熱開始までの操作だけは、前記調理装置本体2の主スイッチ12によって行われる。)前記遠隔操作体33は、食卓T上に置いた状態で操作される。即ち、前記遠隔操作体33を食卓T上に置いた状態で、前記操作部17を下方に押し下げると、前記誘導加熱コイル7への通電が遮断する。なお、前記操作部17をもう一度下方に押し下げても、前記誘導加熱コイル7への通電は再開しない。また、前記操作部17を右回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が上昇し、前記操作部17を左回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が低下する。なお、前記遠隔操作体33を操作することによる制御信号は、前記信号線34を経て前記マイクロコンピュータ23に送られる。そして、図11の位置P1,P2に示すように、前記信号線34の長さの範囲であれば、前記遠隔操作体33を前記食卓T上の任意の位置に置いて操作することができる。なお、図11は、一つの調理装置本体32に対し二つの遠隔操作体33を設けたものではない。一つの調理装置本体32に対し、一つの遠隔操作体33を、前記食卓T上の位置P1に置いた場合と位置P2に置いた場合とを、一つの図面に同時に表したものである。
【0037】
なお、前記遠隔操作体33を食卓T上に置いた状態で、前記操作部17を下方に押し下げるか、又は前記主スイッチ操作部12を押して前記スイッチSW1を「オン」にすると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7の通電を遮断させた後、自身の動作を停止させる。前記遠隔操作体33の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記信号線34からの停止命令の信号を前記マイクロコンピュータ23が検知すると、このマイクロンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。一方、前記主スイッチ操作部12の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記電源回路22から前記スイッチSW1を経て前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記FET24,25のゲートへの電流供給が遮断されるので、これらのFET24,25が何れも「オフ」となり、前記電源回路22から前記FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ供給される電力も遮断される。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。このように、このマイクロコンピュータ23が停止すると、前記誘導加熱駆動回路21を制御して前記誘導加熱コイル7へ電流を供給することができなくなる。従って、不使用時における前記マイクロコンピュータ23の誤動作によって、前記誘導加熱コイル7に意図せず電流が供給される虞を減ずることができる。これによって、前記加熱調理装置31の安全性を高めることができる。なお、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7による加熱中に所定時間(例えば30分間)操作がないと判断すると、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。
【0038】
なお、前記FET24,25が直列に接続されることで、何れか一方のFET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方のFET25又は24のゲートへの給電を停止することで、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができる。従って、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができなくなるという虞を減ずることができる。また、前記マイクロコンピュータ23が故障すると、このマイクロコンピュータ23の出力部Aから間欠電流を出力できなくなる。仮に、出力部Aから一切の電流が供給できなくなってしまった場合、前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。逆に、前記出力部Aから供給される電流が直流電流となってしまった場合、この直流電流は前記コンデンサCを通過できないので、やはり前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。このため、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態では、前記誘導加熱コイル7に電流を供給することができないようにすることができる。
【0039】
本実施形態は、第一の実施形態と比較して、無線接続されていない分、前記食卓T上に食器等が多く置かれている場合不便であるが、席にいる誰もが簡単に前記加熱調理装置31を操作することができるという作用効果は共通する。
【0040】
以上のように本発明は、加熱源としての誘導加熱コイル7と、この誘導加熱コイル7を駆動する加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21と、電源回路22と、前記誘導加熱駆動回路21を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ23と、スイッチSW1とを有する加熱調理装置31であって、前記スイッチSW1が、前記電源回路22とマイクロコンピュータ23の間に配されることで、前記スイッチSW1を操作しなければ前記マイクロコンピュータ23が作動しないので、誤動作によって加熱停止中に前記誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7へ意図せず電流を流さないようにすることができるものである。
【0041】
また本発明は、前記スイッチSW1が自己復帰型であり、このスイッチSW1と並列にスイッチング素子としてのFET24,25が接続されると共に、前記マイクロコンピュータ23の作動中に前記FET24,25のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が前記FET24,25への電流供給を停止して、前記マイクロコンピュータ23自身への電力供給を停止することができるものである。即ち、前記マイクロコンピュータ23自身によって、このマイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0042】
また本発明は、複数の前記FET24,25により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチSW1と並列に接続されることで、一方の前記FET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方の前記FET25又は24をオフにして確実に前記マイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0043】
更に本発明は、間欠電流を通過させるコンデンサC及び間欠電流を平滑化する平滑手段としての積分回路26を介して、前記FET24のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が故障して間欠電流を出力できなくなると、前記FET24へ電流を供給できなくなるので、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態で、このマイクロコンピュータ23を起動させないようにすることができるものである。
【0044】
次に、本発明の第三の実施形態について、図2図3図6図12及び図13に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前記調理装置本体2は第一の実施形態と同一である。即ち、第一の実施形態の図2図3及び図6は、本実施形態にも適用される。41は本発明の加熱調理装置である。この加熱調理装置41は、調理装置本体2と遠隔操作体43とを有して構成される。なお、本実施形態において、前記加熱調理装置41は誘導加熱調理器である。
【0045】
前記調理装置本体2は、短円筒状の上外殻体4と、皿状の下外殻体5と、前記上外殻体4上に設けられる円盤状の天板6とを有する。なお、前記天板6の下方には、加熱源としての誘導加熱コイル7及び表示手段としてのLEDアレイ8が収容される。このLEDアレイ8から放射された光は、前記天板6を透過して視認される。そして、前記天板6上には、図示しない誘導加熱調理器対応の鍋が載置可能である。また、前記上外殻体4の側面と下外殻体5の側面には、それぞれ切欠部9,10が設けられ、これらの切欠部9,10で囲まれる部位に電源接続部11が設けられる。この電源接続部11には、図示しない電源コードのマグネットプラグが着脱可能に接続される。そして、前記下外殻体5の側部には、主スイッチ操作部12と出力調節スイッチ操作部13とが設けられる。更に、前記下外殻体の側部には、赤外信号受信部14の受光窓15が複数(本実施形態では3箇所)設けられる。これらの受光窓15は、側面視で表れる。また、これらの受光窓15は、前記調理装置本体2の垂直中心線回りに、等角度間隔(本実施形態では120度間隔)で設けられる。
【0046】
前記遠隔操作体43は、全体として細長い直方体状である。この遠隔操作体43は、外殻体44と、この外殻体44の上面に表れる操作部45、46,47と、赤外信号送信部48とを有して構成される。前記操作部45は、前記誘導加熱コイル7へ電流を供給/停止する主操作部である。また、前記操作部46,47は、前記誘導加熱コイル7の出力を調節する調節スイッチである。また、前記赤外信号送信部48は、前記外殻体44の先端部に設けられる。なお、前記赤外信号送信部48の内側には、図示しない赤外LEDが設けられる。
【0047】
前記調理装置本体2の電気回路の概要について説明する。この電気回路は、図6に示すように、交流電源20が整流回路20Aに接続され、この整流回路20Aの両極間に加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21を介して前記誘導加熱コイル7が接続された構造である。そして、この誘導加熱コイル7は、前記誘導加熱駆動回路21によって駆動制御される。そして、前記誘導加熱コイル7と並列に、電源回路22と制御手段としてのマイクロコンピュータ23が接続される。なお、電源回路22とマイクロコンピュータ23との間には、スイッチSW1とダイオードDの直列回路が設けられる。前記スイッチSW1は自己復帰型であり、前記主スイッチ操作部12を押すことにより操作される。また、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路は、前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの間から分岐したラインが、前記マイクロコンピュータ23の入力部Xに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路と並列に、スイッチング素子としての電界効果トランジスタ(以下FET)24,25の直列回路が接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部AがコンデンサCを介して平滑手段としての積分回路26に接続され、更にこの積分回路26が前記FET24のゲートに接続される。一方、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部Bが前記FET25のゲートに接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は前記誘導加熱駆動回路21に接続され、この誘導加熱駆動回路21を制御可能に構成される。また、前記マイクロコンピュータ23には、赤外センサ27,28,29が接続される。なお、前記赤外センサ27は、前記受光窓15Aの内側に、前記赤外センサ28は、前記受光窓15Bの内側に、前記赤外センサ29は、前記受光窓15Cの内側に配置される。また、前記マイクロコンピュータ23には、スイッチSW2が接続される。なお、前記スイッチSW2も自己復帰型であり、前記出力調節スイッチ操作部13を押すことにより操作される。更に、前記マイクロコンピュータ23には、前記LEDアレイ8が接続される。
【0048】
このような回路構成とすることで、前記交流電源20から誘導加熱コイル7へ大電力が供給されるものの、前記スイッチSW1は比較的小容量のスイッチとすることができる。これは、前記スイッチSW1を流れる電流が、前記マイクロコンピュータ23を起動させるのに十分な値であれば良いためである。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、図示しない電源コードのマグネットプラグを前記電源接続部11に接続すると共に、電源プラグを前記交流電源20に接続する。この状態では、前記誘導加熱コイル7へは電流が流れず、また、前記マイクロコンピュータ23も起動しない。そして、前記主スイッチ操作部12を押すと、前記スイッチSW1が「オン」になる。このように、前記スイッチSW1が「オン」になると、前記電源回路22からスイッチSW1及びダイオードDを経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ電力が供給され、前記マイクロコンピュータ23が起動する。同時に、前記スイッチSW1を流れた電流が前記入力部Xに供給されたことを前記マイクロコンピュータ23が検知する。そして、このマイクロコンピュータ23は、前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記出力部Aから前記積分回路26へ間欠電流を供給する。なお、この出力部Aから供給される電流は間欠電流なので、前記コンデンサCを通過して前記積分回路26へ供給される。この間欠電流は、前記積分回路26で平滑化されて直流電流となり、前記FET24のゲートへ供給される。同時に、前記マイクロコンピュータ23の出力部Bから前記FET25のゲートへ直流電流が供給される。そして、このように前記各FET24,25のゲートにそれぞれ電流が供給されることで、これらFET24,25が同時に「オン」になり、前記電源回路22から前記各FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに電力が供給される。なお、前記スイッチSW1は、前述した通り自己復帰型スイッチなので、使用者が前記主スイッチ操作部12から手を離すと「オフ」になる。しかしながら、前記FET24,25の直列回路に電流が流れることで、前記マイクロコンピュータ23に電流が供給され続ける。そして、このマイクロコンピュータ23に電流が供給され続けることで、前記各FET24,25のゲートへ電流が供給され続ける。従って、前記マイクロコンピュータ23が作動し続ける。なお、前記FET24,25の直列回路を流れる電流は、前記ダイオードDによって妨げられるので、前記入力部Xには流れない。
【0050】
このように、前記マイクロコンピュータ23が作動すると、このマイクロコンピュータ23が前記誘導加熱駆動回路21を制御し、この誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7を駆動制御する。即ち、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7へ交流電流が供給される。なお、前記マイクロコンピュータ23起動時の前記誘導加熱コイル7の設定出力は、最小値であっても、前回使用時の出力値であってもよい。そして、前記出力調節スイッチ操作部13の押圧による前記スイッチSW2の「オン」を前記マイクロコンピュータ23が検知する毎に、このマイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱制御回路21によって、前記誘導加熱コイル7の出力を多段階に制御する。また、前記マイクロコンピュータ23は、前記スイッチSW2の「オン」を検知する毎に、前記LEDアレイ8における発光させるLED数を制御する。この際、前記LEDアレイ8における発光させるLED数は、前記誘導加熱コイル7の出力と対応する。従って、現在の前記誘導加熱コイル7の出力を、前記LEDアレイ8の発光しているLED数で知ることができる。そして、前記LEDアレイ8のLEDから放射される光は、前記天板6を透過して視認される。
【0051】
なお、前記調理装置本体2の制御は、前記遠隔操作体43を操作することによっても行うことができる。(但し、前記マイクロコンピュータ23の起動から加熱開始までの操作だけは、前記調理装置本体2の主スイッチ12によって行われる。)前記遠隔操作体43は、食卓T上に置いた状態でも手で持った状態でも操作することができる。前記遠隔操作体43を食卓T上に置いた状態で使用する場合、前記操作部45,46,47が上を向く姿勢とし、更に前記赤外信号送信部48を前記調理装置本体2の方に向ける。前記操作部45を押すことで、前記誘導加熱コイル7の通電が遮断する。なお、もう一度前記操作部45を押しても、前記誘導加熱コイル7は通電しない。また、前記操作部46を押すことで、前記誘導加熱コイル7の出力が段階的に低下し、前記操作部47を押すことで、前記誘導加熱コイル7の出力が段階的に上昇する。なお、前記遠隔操作体43を持って使用する場合、使用者が操作しやすいように持ち、前記赤外信号送信部48を前記調理装置本体2の方に向けて、同様に前記操作部45,46,47を操作すれば良い。
【0052】
そして、このような操作による制御信号は、前記赤外信号送信部48の図示しない前記赤外LEDから赤外信号Sとして送信される。即ち、前記赤外信号Sは、前記遠隔操作体43から前方に送信される。
【0053】
一方、前記調理装置本体2の赤外センサ27,28,29は、比較的広い検知角度(具体的には約140度)を有する。従って、前記赤外センサ27,28,29によって、前記調理装置本体2の周囲のあらゆる方向から、前記赤外信号Sを受信することができる。例えば、図13に示すように、前記食卓T上の位置P1に置かれた前記遠隔操作体43の赤外信号送信部48から放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Aを通って前記赤外センサ27が受信する。一方、前記食卓T上の位置P2に置かれた前記遠隔操作体43の赤外信号送信部48から放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Cを通って前記赤外センサ29が受信する。同時に、前記赤外信号送信部48から放出された前記赤外信号Sは、前記調理装置本体2の受光窓15Bを通って前記赤外センサ28が受信する。このように、前記調理装置本体2と遠隔操作体43の位置関係によっては、前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを一つの前記赤外センサによって受信したり二つの前記赤外センサによって受信したりすることになる。即ち、前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを、何れかの前記赤外センサ27,28,29によって受信することで、前記遠隔操作体43による調理装置本体2の制御が可能となる。なお、前記赤外信号Sを複数の前記赤外センサ27,28,29で受信したとしても、受信した命令信号が全て同じものであるので、命令に矛盾が生じない。なお、図13は、一つの調理装置本体2に対し二つの遠隔操作体43を設けたものではない。一つの調理装置本体2に対し、一つの遠隔操作体43を、前記食卓T上の位置P1に置いた場合と位置P2に置いた場合とを、一つの図面に同時に表したものである。
【0054】
なお、前記遠隔操作体43の操作部45を操作するか、又は前記主スイッチ操作部12を押して前記スイッチSW1を「オン」にすると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7の通電を遮断させた後、自身の動作を停止させる。前記遠隔操作体43の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記赤外センサ27,28,29が停止命令の赤外信号Sを受信すると、前記マイクロンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。一方、前記主スイッチ操作部12の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記電源回路22から前記スイッチSW1を経て前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記FET24,25のゲートへの電流供給が遮断されるので、これらのFET24,25が何れも「オフ」となり、前記電源回路22から前記FET24,25の直列回路を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ供給される電力も遮断される。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。このように、このマイクロコンピュータ23が停止すると、前記誘導加熱駆動回路21を制御して前記誘導加熱コイル7へ電流を供給することができなくなる。従って、不使用時における前記マイクロコンピュータ23の誤動作によって、前記誘導加熱コイル7に意図せず電流が供給される虞を減ずることができる。これによって、前記加熱調理装置41の安全性を高めることができる。なお、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7による加熱中に所定時間(例えば30分間)操作がないと判断すると、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部A,Bからの電流供給を停止する。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。
【0055】
なお、前記FET24,25が直列に接続されることで、何れか一方のFET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方のFET25又は24のゲートへの給電を停止することで、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができる。従って、前記マイクロコンピュータ23を停止させることができなくなるという虞を減ずることができる。また、前記マイクロコンピュータ23が故障すると、このマイクロコンピュータ23の出力部Aから間欠電流を出力できなくなる。仮に、出力部Aから一切の電流が供給できなくなってしまった場合、前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。逆に、前記出力部Aから供給される電流が直流電流となってしまった場合、この直流電流は前記コンデンサCを通過できないので、やはり前記FET24のゲートに電流が供給されない。従って、前記FET24は「オフ」のままであり、前記スイッチSW1がオフになると前記マイクロコンピュータ23も停止する。このため、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態では、前記誘導加熱コイル7に電流を供給することができないようにすることができる。
【0056】
以上のように本発明は、加熱源としての誘導加熱コイル7と、この誘導加熱コイル7を駆動する加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21と、電源回路22と、前記誘導加熱駆動回路21を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ23と、スイッチSW1とを有する加熱調理装置41であって、前記スイッチSW1が、前記電源回路22とマイクロコンピュータ23の間に配されることで、前記スイッチSW1を操作しなければ前記マイクロコンピュータ23が作動しないので、誤動作によって加熱停止中に前記誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7へ意図せず電流を流さないようにすることができるものである。
【0057】
また本発明は、前記スイッチSW1が自己復帰型であり、このスイッチSW1と並列にスイッチング素子としてのFET24,25が接続されると共に、前記マイクロコンピュータ23の作動中に前記FET24,25のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が前記FET24,25への電流供給を停止して、前記マイクロコンピュータ23自身への電力供給を停止することができるものである。即ち、前記マイクロコンピュータ23自身によって、このマイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0058】
また本発明は、複数の前記FET24,25により直列回路が構成され、この直列回路が前記スイッチSW1と並列に接続されることで、一方の前記FET24又は25が短絡モードで故障したとしても、他方の前記FET25又は24をオフにして確実に前記マイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0059】
更に本発明は、間欠電流を通過させるコンデンサC及び間欠電流を平滑化する平滑手段としての積分回路26を介して、前記FET24のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が故障して間欠電流を出力できなくなると、前記FET24へ電流を供給できなくなるので、前記マイクロコンピュータ23が故障した状態で、このマイクロコンピュータ23を起動させないようにすることができるものである。
【0060】
次に、本発明の第四の実施形態について、図14に基づいて説明する。なお、本実施形態は他の実施形態と電気回路のみ異なり、構造については第一の実施形態と共通するものとする。従って、電気回路についてのみ説明し、共通する部分については第一の実施形態の符号を用いる。なお、本実施形態において、前記加熱調理装置1は誘導加熱調理器である。
【0061】
本実施形態の電気回路は、図14に示すように、交流電源20が整流回路20Aに接続され、この整流回路20Aの両極間に加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21を介して前記誘導加熱コイル7が接続された構造である。そして、この誘導加熱コイル7は、前記誘導加熱駆動回路21によって駆動制御される。そして、前記誘導加熱コイル7と並列に、電源回路22と制御手段としてのマイクロコンピュータ23が接続される。なお、電源回路22とマイクロコンピュータ23との間には、スイッチSW1とダイオードDの直列回路が設けられる。前記スイッチSW1は自己復帰型であり、主スイッチ操作部12を押すことにより操作される。また、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路は、前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの間から分岐したラインが、前記マイクロコンピュータ23の入力部Xに接続される。更に、前記スイッチSW1とダイオードDの直列回路と並列に、スイッチング素子としての電界効果トランジスタ(以下FET)51が接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は、その出力部B’が前記FET51のゲートに接続される。また、前記マイクロコンピュータ23は前記誘導加熱駆動回路21に接続され、この誘導加熱駆動回路21を制御可能に構成される。また、前記マイクロコンピュータ23には、赤外センサ27,28,29が接続される。なお、前記赤外センサ27は、受光窓15Aの内側に、前記赤外センサ28は、受光窓15Bの内側に、前記赤外センサ29は、受光窓15Cの内側に配置される。また、前記マイクロコンピュータ23には、スイッチSW2が接続される。なお、前記スイッチSW2も自己復帰型であり、出力調節スイッチ操作部13を押すことにより操作される。更に、前記マイクロコンピュータ23には、LEDアレイ8が接続される。
【0062】
このような回路構成とすることで、前記交流電源20から誘導加熱コイル7へ大電力が供給されるものの、前記スイッチSW1は比較的小容量のスイッチとすることができる。これは、前記スイッチSW1を流れる電流が、前記マイクロコンピュータ23を起動させるのに十分な値であれば良いためである。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、図示しない電源コードのマグネットプラグを電源接続部11に接続すると共に、電源プラグを前記交流電源20に接続する。この状態では、前記誘導加熱コイル7へは電流が流れず、また、前記マイクロコンピュータ23も起動しない。そして、前記主スイッチ操作部12を押すと、前記スイッチSW1が「オン」になる。このように、前記スイッチSW1が「オン」になると、前記電源回路22からスイッチSW1及びダイオードDを経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ電力が供給され、前記マイクロコンピュータ23が起動する。同時に、前記スイッチSW1を流れた電流が前記入力部Xに供給されたことを前記マイクロコンピュータ23が検知する。そして、このマイクロコンピュータ23は、前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記出力部B’から前記FET51のゲートへ直流電流を供給する。そして、このように前記FET51のゲートに電流が供給されることで、このFET51が「オン」になり、前記電源回路22から前記FET51を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWに電流が供給される。なお、前記スイッチSW1は、前述した通り自己復帰型スイッチなので、使用者が前記主スイッチ操作部12から手を離すと「オフ」になる。しかしながら、前記FET51に電流が流れることで、前記マイクロコンピュータ23に電流が供給され続ける。そして、このマイクロコンピュータ23に電流が供給され続けることで、前記FET51のゲートへ電流が供給され続ける。従って、前記マイクロコンピュータ23が作動し続ける。なお、前記FET51を流れる電流は、前記ダイオードDによって妨げられるので、前記入力部Xには流れない。
【0064】
このように、前記マイクロコンピュータ23が作動すると、このマイクロコンピュータ23が前記誘導加熱駆動回路21を制御し、この誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7を駆動制御する。即ち、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7へ交流電流が供給される。なお、前記マイクロコンピュータ23起動時の前記誘導加熱コイル7の設定出力は、最小値であっても、前回使用時の出力値であってもよい。そして、前記出力調節スイッチ操作部13の押圧による前記スイッチSW2の「オン」を前記マイクロコンピュータ23が検知する毎に、このマイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱制御回路21によって、前記誘導加熱コイル7の出力を多段階に制御する。また、前記マイクロコンピュータ23は、前記スイッチSW2の「オン」を検知する毎に、前記LEDアレイ8における発光させるLED数を制御する。この際、前記LEDアレイ8における発光させるLED数は、前記誘導加熱コイル7の出力と対応する。従って、現在の前記誘導加熱コイル7の出力を、前記LEDアレイ8の発光しているLED数で知ることができる。そして、前記LEDアレイ8のLEDから放射される光は、天板6を透過して視認される。
【0065】
なお、調理装置本体2の制御は、遠隔操作体3を操作することによっても行うことができる。(但し、前記マイクロコンピュータ23の起動から加熱開始までの操作だけは、前記調理装置本体2の主スイッチ12によって行われる。)前記遠隔操作体3は、食卓T上に置いた状態で操作される。即ち、前記遠隔操作体3を食卓T上に置いた状態で、操作部17を下方に押し下げると、前記誘導加熱コイル7への通電が遮断する。なお、前記操作部17をもう一度下方に押し下げても、前記誘導加熱コイル7への通電は再開しない。また、前記操作部17を右回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が上昇し、前記操作部17を左回りに回動させると、前記誘導加熱コイル7の出力が低下する。
【0066】
そして、このような操作による制御信号は、赤外信号送信部18の図示しない三箇所の赤外LEDから赤外信号Sとして送信され、放光窓19,19,19から放出される。即ち、前記赤外信号Sは、前記遠隔操作体3から三方向に送信される。なお、前記赤外LEDは、比較的広い照射角度(具体的には約120度)を有する。従って、前記赤外信号Sは、前記遠隔操作体3の周囲の広い範囲に送信される。
【0067】
一方、前記調理装置本体2の赤外センサ27,28,29も、比較的広い検知角度(具体的には約140度)を有する。従って、前記赤外センサ27,28,29によって、前記調理装置本体2の周囲のあらゆる方向から、前記赤外信号Sを受信することができる。そして、何れかの前記赤外LEDが送信した赤外信号Sを、何れかの前記赤外センサ27,28,29によって受信することで、前記遠隔操作体3による調理装置本体2の制御が可能となる。なお、前記遠隔操作体3から三方向に送信される前記赤外信号Sは、全て同じ命令信号なので、複数の前記赤外センサ27,28,29で受信したとしても命令に矛盾が生じない。
【0068】
なお、前記遠隔操作体3を食卓T上に置いた状態で、前記操作部17を下方に押し下げるか、又は前記主スイッチ操作部12を押して前記スイッチSW1を「オン」にすると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7の通電を遮断させた後、自身の動作を停止させる。前記遠隔操作体3の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記赤外センサ27,28,29が停止命令の赤外信号Sを受信すると、前記マイクロンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部B’からの電流供給を停止する。一方、前記主スイッチ操作部12の操作によって前記誘導加熱コイル7の通電を遮断する場合、前記電源回路22から前記スイッチSW1を経て前記入力部Xに電流が供給されたことを検知すると、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部B’からの電流供給を停止する。これによって、前記FET51のゲートへの電流供給が遮断されるので、このFET51が「オフ」となり、前記電源回路22から前記FET51を経て前記マイクロコンピュータ23の電源入力部PWへ供給される電力も遮断される。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。このように、このマイクロコンピュータ23が停止すると、前記誘導加熱駆動回路21を制御して前記誘導加熱コイル7へ電流を供給することができなくなる。従って、不使用時における前記マイクロコンピュータ23の誤動作によって、前記誘導加熱コイル7に意図せず電流が供給される虞を減ずることができる。これによって、前記加熱調理装置1の安全性を高めることができる。なお、前記マイクロコンピュータ23は、前記誘導加熱コイル7による加熱中に所定時間(例えば30分間)操作がないと判断すると、前記誘導加熱駆動回路21によって前記誘導加熱コイル7への通電を停止させた後、前記出力部B’からの電流供給を停止する。これによって、前記マイクロコンピュータ23が停止する。
【0069】
本実施形態の場合、安全性では前記各実施形態の電気回路に劣るが、前記マイクロコンピュータ23及びFET51の信頼性が十分高ければ、安価に構成することができる。
【0070】
以上のように本発明は、加熱源としての誘導加熱コイル7と、この誘導加熱コイル7を駆動する加熱源駆動回路としての誘導加熱駆動回路21と、電源回路22と、前記誘導加熱駆動回路21を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ23と、スイッチSW1とを有する加熱調理装置1であって、前記スイッチSW1が、前記電源回路22とマイクロコンピュータ23の間に配されることで、前記スイッチSW1を操作しなければ前記マイクロコンピュータ23が作動しないので、誤動作によって加熱停止中に前記誘導加熱駆動回路21が前記誘導加熱コイル7へ意図せず電流を流さないようにすることができるものである。
【0071】
また本発明は、前記スイッチSW1が自己復帰型であり、このスイッチSW1と並列にスイッチング素子としてのFET51が接続されると共に、前記マイクロコンピュータ23の作動中に前記FET51のゲートへ電流が供給されるように構成されることで、前記マイクロコンピュータ23が前記FET51への電流供給を停止して、前記マイクロコンピュータ23自身への電力供給を停止することができるものである。即ち、前記マイクロコンピュータ23自身によって、このマイクロコンピュータ23を停止させることができるものである。
【0072】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、スイッチング素子として電界効果トランジスタ(FET)を用いたが、トランジスタを用いても良い。また、第一乃至第三の実施形態では、FETを二つ直列に接続したが、三つ以上直列に接続しても良い。また、第四の実施形態において、前記FETのゲートに直流電流を供給したが、間欠電流をコンデンサ及び平滑回路を通して平滑化した電流をFETのゲートに供給するようにしても良い。更に、上記各実施形態では、加熱調理装置を、加熱源として誘導加熱コイルを用いた誘導加熱調理器としたが、加熱源としてヒータを用いた電気鍋、ホットプレート、或いはディープファットフライヤー等としても良い。
【符号の説明】
【0073】
1,31,41 加熱調理装置
7 誘導加熱コイル(加熱源)
20 交流電源
20A 整流回路
21 誘導加熱駆動回路(加熱源駆動回路)
22 電源回路
23 マイクロコンピュータ(制御手段)
24,25,51 電界効果トランジスタ(スイッチング素子
6 積分回路(平滑手段)
C コンデンサ
D ダイオード
PW 電源入力部
SW1 スイッチ
X 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14