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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】自動ドアおよび自動ドアの制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/74 20150101AFI20220721BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20220721BHJP
   E05F 15/611 20150101ALN20220721BHJP
   E05F 15/632 20150101ALN20220721BHJP
   E05F 15/638 20150101ALN20220721BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/40
E05F15/611
E05F15/632
E05F15/638
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018069696
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178590
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】河路 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043511(WO,A1)
【文献】特開2012-219522(JP,A)
【文献】特開2008-291598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの開行程において前記ドアの移動距離または移動時間に基づいて、前記ドアが指定位置に到達したと判断する制御部を備え、
前記制御部は、
前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断される前は、前記ドアの開側に設定された人又は物体を検知するセンサが検知状態になった場合に、前記ドアの開作動を制限し、
前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断された後は、前記センサが検知状態となっても前記開作動を制限しない制御を行う
自動ドア。
【請求項2】
ドアの開行程において前記ドアが指定位置に到達したと判断する制御部を備え、
前記制御部は、
前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断される前は、前記ドアの開側に設定された人又は物体を検知するセンサが検知状態になった場合に、前記ドアの開作動を制限し、
前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断された後は、前記センサが検知状態となっても前記開作動を制限しない制御を行い、
前記指定位置は、前記ドアの戸尻が固定部の戸先に一致した位置である
自動ドア。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドアを停止させることで前記開作動を制限する、請求項1または2に記載の自動ドア。
【請求項4】
前記制御部は、前記ドアの移動速度を減少させることで前記開作動を制限する、請求項1または2に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記センサは、前記指定位置に到達したかどうかが判断されるドアのドア面に面する領域で人又は物体を検知する、
請求項1または2に記載の自動ドア。
【請求項6】
前記制御部は、前記ドアの移動速度を増加させることで前記開作動を制限しない、請求項4に記載の自動ドア。
【請求項7】
ドアの開行程において前記ドアの移動距離または移動時間に基づいて前記ドアが指定位置に到達したかどうかを判断するステップと、
前記ドアが前記指定位置に到達したと判断していないときは、前記ドアの開側に設定された人又は物体を検知するセンサが検知状態になった場合に、前記ドアの開作動を制限するステップと、
前記ドアが前記指定位置に到達したと判断したときは、前記センサが検知状態となっても前記開作動を制限しないステップを含む、
自動ドアの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアおよび自動ドアの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動ドアの安全基準が強化され、ドアの閉作動時の安全性だけでなく開作動時の安全性についても一定の基準が定められるようになった。開作動時の安全性に関する技術として、例えば、特許文献1には、引き戸の固定側全体を保護領域とするセンサを配置し、センサが保護領域内に物体を検知した際にドアを低速度で開作動させる自動ドアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-193745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、安全基準に定められる開側保護領域を二重引き戸に適用する場合、ドアの開作動の途中に、開側保護領域が通行者の通行経路に重なる場合がある。この場合、通行経路を通行する通行者が開側保護領域で検知されてドアの開作動が制限されることで、通行者がドアに衝突する可能性がある。
【0005】
したがって、開側保護領域が通行経路に重なる態様のドアにおいては、開作動時の保護と、通行者の通行性(すなわち、通行の円滑性)とを両立させることが求められる。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる自動ドアおよび自動ドアの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドアの開行程において前記ドアが指定位置に到達したと判断される前は、前記ドアの開側に設定された人又は物体を検知するセンサが検知状態になった場合に、前記ドアの開作動を制限し、前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断された後は、前記センサが検知状態となっても前記開作動を制限しない制御を行う制御部を備えた自動ドアである。
【0008】
本発明による自動ドアにおいて、前記指定位置は、前記ドアの戸尻が固定部の戸先に一致した位置であってもよい。
【0009】
本発明による自動ドアにおいて、前記制御部は、前記ドアの移動距離に基づいて、前記ドアが前記指定位置に到達したと判断してもよい。
【0010】
本発明による自動ドアにおいて、前記制御部は、前記ドアの移動時間に基づいて、前記ドアが前記指定位置に到達したと判断してもよい。
【0011】
本発明による自動ドアにおいて、前記制御部は、前記ドアを停止させることで前記開作動を制限してもよい。
【0012】
本発明による自動ドアにおいて、前記制御部は、前記ドアの移動速度を減少させることで前記開作動を制限してもよい。
【0013】
本発明による自動ドアにおいて、前記少なくとも一部の領域は、前記指定位置に到達した前記ドアのドア面に面する領域であってもよい。
【0014】
本発明による自動ドアにおいて、前記制御部は、前記ドアの移動速度を増加させることで前記開作動を制限しないようにしてもよい。
【0015】
本発明は、ドアの開行程において前記ドアが指定位置に到達したと判断される前は、前記ドアの開側に設定された人又は物体を検知するセンサが検知状態になった場合に、前記ドアの開作動を制限し、前記開行程において前記ドアが前記指定位置に到達したと判断された後は、前記センサが検知状態となっても前記開作動を制限しない、自動ドアの制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態による自動ドアを備えた自動ドアシステムの一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態による自動ドアを備えた自動ドアシステムの一例を示す鳥瞰図である。
図3】本実施形態による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図5図4に続く、本実施形態による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図6図5に続く、本実施形態による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図7図6に続く、本実施形態による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図8図7に続く、本実施形態による自動ドアの第1の動作例を示す平面図である。
図9図7に続く、本実施形態による自動ドアの第2の動作例を示す平面図である。
図10】本実施形態の第1の変形例による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
図11】本実施形態の第2の変形例による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
図12】本実施形態の第3の変形例による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
図13】本実施形態の第4の変形例による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
図14】本実施形態の第5の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図15図14に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図16図15に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図17図16に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図18】本実施形態の第6の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図19図18に続く、本実施形態の第6の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図20図19に続く、本実施形態の第6の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図21】本実施形態の第7の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図22図21に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図23図22に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
図24図23に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドアの動作例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る自動ドアおよび自動ドアの制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0019】
図1は、本実施形態による自動ドア2を備えた自動ドアシステム1を示すブロック図である。図2は、本実施形態による自動ドア2を備えた自動ドアシステム1を示す鳥瞰図である。
【0020】
図1に示すように、自動ドアシステム1は、自動ドア2と、センサ3と、バス4とを備える。自動ドア2は、ドア21と、ドアエンジン22と、位置検出器23と、制御部の一例であるドアコントローラ24とを備える。
【0021】
自動ドアシステム1は、ドア21の開口部を通行しようとする通行者をセンサ部3で検知し、センサ3の検知に応じて、通行者を通行させるためにドア21を開動作させる。以下、ドア21の開口部の通行者のことを、ドア21の通行者と呼ぶこともある。また、自動ドアシステム1は、ドア21の開動作時における戸尻側の安全性を確保するため、ドア21の戸尻側に存在する人をセンサ3で検知する。そして、自動ドアシステム1は、センサ3の検知に応じて、戸尻側の安全性を確保するためにドアの開作動を制限する。以下、このような自動ドアシステム1の構成を更に詳述する。
【0022】
自動ドア2のドアエンジン22は、電源の電力を供給されることでドア21を自動で開閉するための回転力を発生させるモータ(図示せず)を内蔵する。モータの回転力は、プーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材(図示せず)を介して図2に示す開閉方向d1への並進力としてドア21に伝達される。
【0023】
図2の例において、ドア21は、第1ドア211と、第1ドア211よりもストローク距離が短い第2ドア212とを有し、固定部25(すなわち、袖枠)側に向かってスライドすることで開動作を行い、固定部25から離反する側に向かってスライドすることで閉動作を行う片引きタイプの二重引き戸である。
【0024】
二重引き戸は、通常の引き戸と比較して固定部25の開閉方向d1の寸法を小さくすることができるため、制約された建物の開口を効率的に利用して自動ドア2の有効開口幅を大きくとることができる。すなわち、二重引き戸は、通常の引き戸と比較して通行性に優れている。なお、ドア21の具体的な態様は図2の態様に限定されず、後述する第5の変形例および第6の変形例に示されるような種々の態様を選択することができる。
【0025】
位置検出器23は、ドアエンジン22のモータの回転に応じてドア21の位置を示す位置信号を生成し、生成された位置信号をドアコントローラ24に出力する。位置検出器23は、ドア21の位置を検知できるのであれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、位置検出器23は、モータに設けられたホール素子の検出信号の位相に基づいて位置信号を生成してもよい。あるいは、位置検出器23は、モータ21の回転を検知する回転エンコーダの検出信号、またはドア21の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダの検出信号に基づいて位置信号を生成してもよい。
【0026】
ドアコントローラ24は、バス4を介してセンサ3に接続されている。バス34は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信が可能なCANバスである。ドアコントローラ24は、バス4を介した通信によって、センサ3から所定周期毎に後述する検知エリア内の通行者の検知状況を示す検知信号を取得する。また、ドアコントローラ24は、位置検出器23から出力された位置信号を取得する。
【0027】
ドアコントローラ24は、センサ3から取得された検知信号および位置検出器23から取得された位置信号に基づいて、モータに供給する電力を制御することでモータの駆動制御を行う。モータの駆動制御は、モータの駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
【0028】
ドアコントローラ24は、モータの駆動制御が可能な構成であれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、ドアコントローラ24は、直流電源とモータとの間に接続され、4つの半導体スイッチ(例えば、FET)を有するHブリッジ回路と、半導体スイッチをオンオフ制御することで直流電源からモータへの正回転または逆回転用の電流信号の印加を制御するCPUと、CPUが処理の実行に用いるためのプログラムやデータが記憶された記憶部とを備えていてもよい。この場合、ドアコントローラ24を構成するCPUは、半導体スイッチにPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力し、PWM信号のデューティ比によってモータの駆動速度を制御してもよい。
【0029】
ここで、ドアコントローラ24のより具体的な構成を説明する前に、センサ3の構成について説明する。図2に示すように、センサ3は、自動ドア2の無目部26の中央、より具体的には、第2ドア212の中央部の上方に設けられている。センサ3は、天井などの無目部26以外の場所に設けられていてもよい。
【0030】
センサ3は、検知エリアを有する。検知エリアとは、センサ3を用いて検知対象を検知可能な床面6上の領域をいう。
【0031】
検知エリアは、起動エリアと、保護エリアとを有する。起動エリアとは、検知エリアのうち、ドア21の起動(すなわち、開作動)に用いるエリアである。保護エリアとは、検知エリアのうち、ドア21による押圧(すなわち、挟み込み)から人を保護するために用いるエリアである。
【0032】
保護エリアは、位置限定開保護エリアと、通常開保護エリアと、閉保護エリアとを有する。位置限定開保護エリアとは、保護エリアのうち、ドア21の開行程においてドア21の位置に応じて限定的にドア21による押圧から人を保護するために用いるエリアである。通常開保護エリアとは、保護エリアのうち、ドア21の開行程においてドア21の位置によらずに常にドア21による押圧から人を保護するために用いるエリアである。閉保護エリアとは、保護エリアのうち、ドア21の閉工程においてドア21による押圧から人を保護するために用いるエリアである。
【0033】
位置限定開保護エリアを有することで、通常開保護エリアのみを有する場合と比較して開作動時の通行性を向上させることができる。
【0034】
図2の例において、検知エリア5は、第1ドア211、第2ドア212および固定部25の正面においてドア21の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア51で構成されている。個々の小検知エリア51は、例えば、センサ3に設けられた複数の投光素子のそれぞれから投光され、複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。なお、図2の例では、ドア21に対する進入側の床面6上に配置された検知エリア5を示しているが、検知エリア5は、ドア21に対する退出側の床面上にも設定されていてもよい。
【0035】
起動エリアは、例えば、6列×12個の小検知エリア51のうちの4~6列目の小検知エリア51で構成されてもよい。
【0036】
また、図2の例において、位置限定開保護エリア5Aは、2列目および3列目の小検知エリア51のうちの一点鎖線の矩形枠で囲まれた第2ドア212の正面の複数の小検知エリア51で構成されている。ただし、位置限定開保護エリア5Aの態様は、図2の態様に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0037】
また、図2の例において、通常開保護エリア5Bは、2列目および3列目の小検知エリア51のうちの位置限定開保護エリア5A対して開側(すなわち、固定部25側に)おいて隣接する二点鎖線の矩形枠で囲まれた複数の小検知エリア51で構成されている。
【0038】
閉保護エリアは、2列目および3列目の小検知エリア51のうちの位置限定開保護エリア5A対して閉側(すなわち、固定部25と反対側)おいて隣接する複数の小検知エリア51および1列目の小検知エリア51(すなわち、ドアウェイエリア)で構成されてもよい。
【0039】
図2の例において、小検知エリア51は、円形状を有する。この場合の照射スポットの床面における直径は、例えば10センチメートルから30センチメートルの間の任意の値にすることができる。小検知エリア51は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0040】
以上のような検知エリア5を有するセンサ3は、例えば、全ての投光素子で、それぞれに対応する小検知エリア51に向けて近赤外光を投光する。そして、センサ3は、各投光素子のそれぞれに対応して設けられた全ての受光素子で、各小検知エリア51からの近赤外光の反射光を受光する。そして、センサ3は、小検知エリア51毎に、受光量に応じた検知信号を生成し、生成された検知信号をドアコントローラ24に出力する。
【0041】
ドアコントローラ24は、センサ3から出力された検知信号を取得し、取得された検知信号の信号値が人の検知の閾値に達しているか否かを判断基準として、通行者が検知されたか否かを判断する。
【0042】
具体的には、ドアコントローラ24は、検知信号の信号値(すなわち、受光量)の基準値と、検知の有無を判断するための基準値に対する信号値の変化量の閾値とを記憶しておく。ここで、閾値は、センサ3の感度であり、閾値が低いほどセンサ3の感度が高い。ドアコントローラ24は、信号値が閾値以上である場合に、通行者が検知されたと判断する。
【0043】
また、ドアコントローラ24は、自動ドアシステム1の電源投入直後に基準値を初期設定した後、一定時間信号値の変化が示されなかった場合に、都度、基準値を更新する。
【0044】
また、ドアコントローラ24は、検知エリアの種類に応じて、検知信号の信号値の閾値を異ならせる。例えば、ドアコントローラ24は、起動エリアの閾値よりも保護エリアの閾値を低く設定する。言い換えれば、ドアコントローラ24は、起動エリアよりも保護エリアのセンサの感度を高く設定する。
【0045】
ドアコントローラ24は、人に限らず、ドア21を除く人以外の物(例えば、荷物や動物等)も通行者として判断してもよい。また、ドアコントローラ24に代えて、センサ3が通行者を検知してもよい。また、センサ3は、小検知エリア51への近赤外光の投光以外にも、小検知エリア51への電波の発信や撮像などの方法によって検知信号を生成してもよい。
【0046】
ドアコントローラ24は、センサ3から取得された検知信号に基づいて起動エリア内に通行者を検知した場合に、ドア21を開方向に駆動する開作動制御を行う。開作動制御において、ドアコントローラ24は、閉側の第1ドア211を開側の第2ドア212よりも高速で開作動させる。例えば、ドアコントローラ24は、第1ドア211を第2ドア212の2倍の速度で開作動させてもよい。
【0047】
また、ドアコントローラ24は、センサ3から取得された検知信号に基づいて保護エリア内に通行者を検知した場合に、ドア21の開作動を制限する制御を行う。本実施形態において、ドアコントローラ24は、ドア21の開作動を停止することでドア21の開作動を制限する。
【0048】
より具体的には、ドアコントローラ24は、開作動時の保護を確保するため、ドア21の開行程においてドア21が指定位置に到達したと判断される前は、第1ドア211の開側に設定された位置限定開保護エリア5Aおよび通常開保護エリア5Bが検知状態になった場合に、ドア21の開作動を制限する。このとき、ドアコントローラ24は、位置検出器23から取得された位置信号に基づいて、ドア21が指定位置に到達したか否かを判断する。
【0049】
ここで、指定位置とは、位置限定開保護エリア5Aにおける通行者の検知状態をドア21の開作動の制限に用いない処理(すなわち、位置限定開保護エリア5Aでの検知状態を無視する処理)を開始するときのドア21の位置として、予めドアコントローラ24に指定されたドア21の位置である。
【0050】
指定位置は、例えば、自動ドア2の製造工程や、使用時の設定段階において、ドアコントローラ24の記憶部に記憶させるデータの一部として設定される。指定位置は、更新可能であってもよい。
【0051】
指定位置は、ドア21の開作動の進行にともなって通行者の通行経路(すなわち、人の動線)が位置限定開保護エリア5Aに重なり始めるときのドア21の位置であってもよい。
【0052】
より具体的には、指定位置は、第1ドア211の戸尻211aが固定部25の戸先25a(すなわち、閉側の端部)に一致した位置であってもよい。この場合、位置限定開保護エリア5Aは、指定位置に到達した第1ドア211のドア面に面する領域となる。
【0053】
開作動時の保護を確保することに加えて、更に、ドアコントローラ24は、通行性を向上するため、ドア21の開行程においてドア21が指定位置に到達したと判断された後は、位置限定開保護エリア5Aおよび通常開保護エリア5Bのうちの位置限定開保護エリア5Aが検知状態となっても、ドア21の開作動を制限しない。
【0054】
すなわち、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達したと判断された後は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態となっても、ドア21の開作動を維持する。
【0055】
(自動ドアの制御方法)
次に、以上のように構成された自動ドアシステム1を適用した自動ドア2の制御方法について説明する。図3は、本実施形態による自動ドア2の動作例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。図4は、本実施形態による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図3の初期状態において、第1ドア211および第2ドア212は、図4に示すように全閉状態のドア21の位置にあるものとする。
【0056】
そして、初期状態から、図3に示すように、ドアコントローラ24は、センサ3から取得された検知信号に基づいて起動エリア内に通行者を検知した場合に、ドア21の開作動制御を開始する(ステップS1)。
【0057】
ドア21の開作動制御を開始した後、ドアコントローラ24は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態になったか否かを判定する(ステップS2)。
【0058】
位置限定開保護エリア5Aが検知状態になった場合(ステップS2:Yes)、ドアコントローラ24は、位置検出器23から取得された位置信号に基づいて、ドア21が指定位置に到達したか否かを判定する(ステップS3)。
【0059】
一方、位置限定開保護エリア5Aが検知状態になっていない場合(ステップS2:No)、ドアコントローラ24は、センサ3から取得された検知信号に基づいて、通常開保護エリア5Bが検知状態になったか否かを判定する(ステップS5)。
【0060】
ここで、図5は、図4に続く、本実施形態による自動ドア2の動作例を示す平面図である。位置限定開保護エリア5Aが検知状態になっていない場合(ステップS2:No)であって、通常開保護エリア5Bが検知状態になっていない場合(ステップS5:No)、図5に示すように、ドアコントローラ24は、ドア21の開作動を制限せず、ドア21の開作動制御を継続する(ステップS1)。
【0061】
図6は、図5に続く、本実施形態による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図6に示すように、位置限定開保護エリア5Aが検知状態になり(ステップS2:Yes)、かつ、ドア21が指定位置に到達した場合(ステップS3:Yes)、ドアコントローラ24は、通常開保護エリア5Bが検知状態になったか否かを判定する(ステップS5)。
【0062】
図7は、図6に続く、本実施形態による自動ドア2の動作例を示す平面図である。位置限定開保護エリア5Aが検知状態になり(ステップS2:Yes)、かつ、ドア21が指定位置に到達した場合(ステップS3:Yes)において、通常開保護エリア5Bが検知状態になっていない場合(ステップS5:No)、図7に示すように、ドアコントローラ24は、ドア21の開作動を制限せず、ドア21の開作動制御を継続する(ステップS1)。
【0063】
ここで、図6に示すように、片引き式の二重引き戸におけるドア21の有効開口幅Wは、固定部25と反対側の固定枠28から固定部25の戸先25aまでの距離に相当する。そして、図6に示すように、位置限定開保護エリア5Aは、有効開口幅Wに対応する通行動線の範囲内に設定されている。すなわち、位置限定開保護エリア5Aは、通行者の通行経路に重なっている。
【0064】
もし、ドア21が指定位置に到達した状態で位置限定開保護エリア5Aの検知状態に応じてドア21を停止させた場合、通行者が第1ドア211に衝突するか、または、第1ドア211との衝突を避けるために通行を急停止または通行方向を急転換する動作を強いられることになる。この場合、通行者の通行性が阻害されてしまう。
【0065】
これに対して、図6の例では、ドア21が指定位置に到達した状態で位置限定開保護エリア5Aが検知状態になっても、ドア21を停止させない。なお、図6では、位置限定開保護エリア5Aにおける検知状態をドア21の開作動の制限に用いないことを、位置限定開保護エリア5Aを破線で図示することによって表現している(以下、同様)。
【0066】
ドア21を停止させないことで、図7に示すように、通行者は、第1ドア211に衝突することなく、また、第1ドア211との衝突を回避するための急な動作を強いられることなく、ドア21を円滑に通行することができる。
【0067】
一方、図3に示すように、ドア21が指定位置に到達していない場合(ステップS3:No)または通常開保護エリア5Bが検知状態になった場合(ステップS5:Yes)、ドアコントローラ24は、ドア21を停止制御することでドア21の開作動を制限する(ステップS4)。
【0068】
図8は、図7に続く、本実施形態による自動ドア2の第1の動作例を示す平面図である。上述したドア21の開作動制御によってドア21が全開位置に達した後、ドアコントローラ24は、予め設定された開保持時間(すなわち、オープンタイマ)が経過した後に、ドア21を閉作動させる。このとき、ドアコントローラ24は、ドアウェイの一部および位置限定開保護エリア5Aの閉側に設定された閉保護エリア5Cが検知状態になった場合に、閉作動を禁止する。これにより、閉作動時における保護を確保することができる。
【0069】
図9は、図7に続く、本実施形態による自動ドア2の第2の動作例を示す平面図である。図8の例では、ドアウェイの一部を閉保護エリア5Cに設定する例について説明した。これに対して、図9に示すように、ドアウェイの全体に閉保護エリア5Cを設定してもよい。
【0070】
以上述べたように、本実施形態において、ドアコントローラ24は、ドア21の開行程においてドア21が指定位置に到達したと判断される前は、第1ドア211の開側に設定されたセンサ3の保護エリア5A、5Bが検知状態になった場合に、ドア21の開作動を制限し、開行程においてドア21が指定位置に到達したと判断された後は、保護エリア5A、5Bのうちの位置限定開保護エリア5Aが検知状態となっても開作動を制限しない。
【0071】
このような構成によれば、ドア21が指定位置に到達する前の保護エリア5A、5Bの検知状態に応じたドア21の開作動の制限によって開側の保護を確保するとともに、ドア21が指定位置に到達した後の位置限定開保護エリア5Aの検知状態に反したドア21の開作動の継続によって通行性を確保することができる。これにより、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる。
【0072】
また、既述したように、指定位置は、第1ドア211の戸尻211aが固定部25の戸先25aに一致した位置である。
【0073】
このような構成によれば、開作動を制限されたドア21への衝突が生じ易い必要なタイミングでドア21の開作動を制限しないようにすることができるので、開作動時の保護と通行性とを更にバランス良く両立させることができる。
【0074】
また、既述したように、ドアコントローラ24は、ドア21を停止させることで開作動を制限する。
【0075】
このような構成によれば、ドア21が指定位置に到達した後は、位置限定開保護エリア5Aの検知状態にかかわらずドア21を停止させない簡便な手法によって通行性を確保することができる。
【0076】
また、既述したように、位置限定開保護エリア5Aは、指定位置に到達した第1ドア211のドア面に面する領域である。
【0077】
このような構成によれば、ドア21への挟み込みの可能性が無くなったエリアの検知状態を無視することができるので、開側の保護を犠牲にせずに通行性を確保することができる。
【0078】
(第1の変形例)
次に、ドアの移動速度を減少させることで開作動を制限する第1の変形例について説明する。図10は、本実施形態の第1の変形例による自動ドア2の動作例を示すフローチャートである。
【0079】
図3では、ドア21を停止制御することでドア21の開作動を制限する例について説明した。これに対して、第1の変形例においては、ドア21の移動速度を減少させることでドア21の開作動を制限する。
【0080】
具体的には、図10に示すように、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達していない場合(ステップS3:No)または通常開保護エリア5Bが検知状態になった場合(ステップS5:Yes)に、ドア21を減速制御することでドア21の開作動を制限する(ステップS41)。ドアコントローラ24は、第1ドア211の重量と第1ドア211の速度とに基づいて算出される運動エネルギが所定値(例えば、1.69J)以下になるように、第1ドア211の移動速度を減少させてもよい。
【0081】
第1の変形例によれば、ドア21が指定位置に到達した後は、位置限定開保護エリア5Aの検知状態にかかわらずドア21を減速させない簡便な手法によって、通行性を確保することができる。
【0082】
(第2の変形例)
次に、ドアの移動速度を増加させることで開作動を制限しない第2の変形例について説明する。図11は、本実施形態の第2の変形例による自動ドア2の動作例を示すフローチャートである。
【0083】
図3では、ドア21が指定位置に到達した後に位置限定開保護エリア5Aが検知状態になった場合に、ドア21の開作動を継続することでドア21の開作動を制限しない例について説明した。これに対して、第2の変形例においては、ドア21の移動速度を増加させることでドア21の開作動を制限しない。
【0084】
具体的には、図11に示すように、ドアコントローラ24は、通常開保護エリア5Bが検知状態になっていない場合(ステップS5:No)、ドア21を加速制御することで、ドア21の開作動を制限しない(ステップS6)。
【0085】
第2の変形例によれば、ドア21が指定位置に到達してドア21への挟み込みの可能性が無くなった後は、ドア21の移動速度を増加させることで、開側の保護を犠牲にせずに通行性を向上させることができる。
【0086】
(第3の変形例)
次に、ドアの移動距離に基づいてドアが指定位置に到達したと判断する第3の変形例について説明する。図12は、本実施形態の第3の変形例による自動ドア2の動作例を示すフローチャートである。
【0087】
図3においては、位置検出器23からの位置信号に基づいてドア21が指定位置に到達したか否かを判断する例について説明した。これに対して、第3の変形例においては、ドア21の移動距離に基づいて、ドア21が指定位置に到達したか否かを判断する。
【0088】
具体的には、ドアコントローラ24は、モータへの通電量(例えば、既述したPWM信号のパルス数)等に基づいて、ドア21の開作動の開始位置(例えば、全閉位置)からのドア21の移動距離を算出する。
【0089】
そして、ドアコントローラ24は、図12に示すように、移動距離が指定位置に相当する所定距離に達したか否かを判定する(ステップS31)。
【0090】
移動距離が所定距離に達した場合(ステップS31:Yes)、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達したと判断する(ステップS3:Yes)。
【0091】
一方、移動距離が所定距離に達していない場合(ステップS31:No)、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達していないと判断する(ステップS3:No)。
【0092】
第3の変形例によれば、移動距離に基づいてドア21が指定位置に到達したことを簡便に判断することができる。
【0093】
(第4の変形例)
次に、ドアの移動時間に基づいてドアが指定位置に到達したと判断する第4の変形例について説明する。図13は、本実施形態の第4の変形例による自動ドア2の動作例を示すフローチャートである。
【0094】
第4の変形例においては、ドア21の移動時間に基づいて、ドア21が指定位置に到達したか否かを判断する。
【0095】
具体的には、ドアコントローラ24は、タイマの計測時間等に基づいて、ドア21の開作動の開始時刻からのドア21の移動時間を算出する。
【0096】
そして、ドアコントローラ24は、図13に示すように、移動時間が指定位置に相当する所定時間に達したか否かを判定する(ステップS32)。
【0097】
移動時間が所定時間に達した場合(ステップS32:Yes)、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達したと判断する(ステップS3:Yes)。
【0098】
一方、移動時間が所定時間に達していない場合(ステップS32:No)、ドアコントローラ24は、ドア21が指定位置に到達していないと判断する(ステップS3:No)。
【0099】
第4の変形例によれば、移動時間に基づいてドア21が指定位置に到達したことを簡便に判断することができる。
【0100】
(第5の変形例)
次に、三重引き戸の開作動を制御する第5の変形例について説明する。図14は、本実施形態の第5の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図15は、図14に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図16は、図15に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図17は、図16に続く、本実施形態の第5の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。
【0101】
これまでは、二重引き戸の開作動を制御する例について説明した。これに対して、第5の変形例では、三重引き戸の開作動を制御する。
【0102】
図14に示すように、第5の変形例のドア21は、第1ドア211および第2ドア212に加えて、更に、全閉状態において最も開側に位置する第3ドア213を有する。すなわち、第5の変形例のドア21は、三重引き戸である。
【0103】
図14に示すように、センサ3は、全閉状態における第2ドア212のドア面に面する位置に設定された第1位置限定開保護エリア5A1と、全閉状態における第3ドア213のドア面に面する位置に設定された第2位置限定開保護エリア5A2と、通常開保護エリア5Bとを有する。
【0104】
ドアコントローラ24は、図14に示される全閉状態から開作動制御を開始した後、ドア21が図15に示される第1の指定位置に到達する前は、第1位置限定開保護エリア5A1、第2位置限定開保護エリア5A2、または通常開保護エリア5Bが検知状態となった場合に、ドア21の開作動を制限する。開作動の制限の態様は、ドア21の停止およびドア21の減速のいずれであってもよい(以下、同様)。
【0105】
図15の例において、第1の指定位置は、第1ドア211の戸尻211aが第1位置限定開保護エリア5A1と第2位置限定開保護エリア5A2との境界位置に一致した位置である。
【0106】
図15に示すように、ドア21が第1の指定位置に到達した後は、ドアコントローラ24は、ドア21が図16に示される第2の指定位置に到達する前は、第1位置限定開保護エリア5A1が検知状態となってもドア21の開作動を制限しない。図15では、第1位置限定開保護エリア5A1における検知状態をドア21の開作動の制限に用いないことを、第1位置限定開保護エリア5A1を破線で図示することによって表現している(以下、同様)。
【0107】
一方、ドアコントローラ24は、ドア21が第1の指定位置に到達した後においても、ドア21が第2の指定位置に到達する前は、第2位置限定開保護エリア5A2または通常開保護エリア5Bが検知状態となった場合には、ドア21の開作動を制限する。
【0108】
図16の例において、第2の指定位置は、第1ドア211の戸尻211aが固定部25の戸先25aに一致した位置である。
【0109】
図16に示すように、ドア21が第2の指定位置に到達した後は、ドアコントローラ24は、第2位置限定開保護エリア5A2が検知状態となってもドア21の開作動を制限しない。図16では、第2位置限定開保護エリア5A2における検知状態をドア21の開作動の制限に用いないことを、第2位置限定開保護エリア5A2を破線で図示することによって表現している(以下、同様)。
【0110】
一方、ドアコントローラ24は、ドア21が第2の指定位置に到達した後においても、通常開保護エリア5Bが検知状態となった場合には、ドア21の開作動を制限する。
【0111】
図17に示すように、ドア21が全開位置に到達したとき、ドアコントローラ24は、ドア21の開作動制御を終了する。
【0112】
第5の変形例によれば、二重引き戸よりも通行性が向上された三重引き戸において、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる。
【0113】
(第6の変形例)
次に、ワイドオープンドアの開作動を制御する第6の変形例について説明する。図18は、本実施形態の第6の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図19は、図18に続く、本実施形態の第6の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図20は、図19に続く、本実施形態の第6の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。
【0114】
第6の変形例では、ワイドオープンドアの開作動を制御する。ワイドオープンドアは、引き戸の開作動と開き戸の開作動とを複合した開作動を行うドアである。図18図20の例において、ワイドオープンドアは、両開きの2枚のドア21が引き戸の原理で固定部25に面する位置まで開作動した後、ドア21が固定部25ともに開き戸の原理で全開位置まで回動する。ワイドオープンドアは、引き戸の開作動と開き戸の開作動とを複合することで、二重引き戸や三重引き戸と同様に、ドア21の有効開口幅を大きくとることができる。
【0115】
図18に示すように、センサ3は、固定部25に面する位置に設定された位置限定開保護エリア5Aを有する。引き戸と違いワイドオープンドアでは、固定部25は完全に固定されてはおらず、引き戸の原理による開作動が終了した後に、開き戸の原理による開作動を行うため、ドア21とともに回動する。したがって、固定部25に面する位置に設定された位置限定開保護エリア5Aは、固定部25の回動にともなって通行者の通行経路に重なることになる。第6の変形例においては、このようなワイドオープンドアに設定される位置限定開保護エリア5Aの特性を考慮して、開側の保護と通行性とを両立するようにドア21の開作動を制御する。
【0116】
具体的には、ドアコントローラ24は、図18に示される全閉状態から開作動制御を開始した後、ドア21が図19に示される指定位置に到達する前は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態となった場合に、ドア21の開作動を制限する。開作動の制限の態様は、ドア21の停止およびドア21の減速のいずれであってもよい(以下、同様)。
【0117】
図19の例において、指定位置は、ドア21が引き戸の原理による開作動から開き戸の原理による開作動に切り替えるときのドア21の位置である。
【0118】
図19に示すように、ドア21が指定位置に到達した後は、ドアコントローラ24は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態となってもドア21の開作動を制限しない。図19では、位置限定開保護エリア5Aにおける検知状態をドア21の開作動の制限に用いないことを、位置限定開保護エリア5Aを破線で図示することによって表現している(以下、同様)。
【0119】
第6の変形例によれば、ワイドオープンドアにおいて、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる。
【0120】
(第7の変形例)
次に、スライドグライドドアの開作動を制御する第7の変形例について説明する。図21は、本実施形態の第7の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図22は、図21に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図23は、図22に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。図24は、図23に続く、本実施形態の第7の変形例による自動ドア2の動作例を示す平面図である。
【0121】
第7の変形例では、スライドグライドドアの開作動を制御する。スライドグライドドアは、引き戸の開作動と回動とを複合した開作動を行うドアである。図21図24の例において、スライドグライドドアは、両開きの2枚のドア21が引き戸の原理で固定部25に面する位置まで開作動した後、ドア21が固定部25ともに図24に示される全開位置まで回動する。ワイドオープンドアとの違いは、スライドグライドドアでは、ドア21の戸尻側が戸先側よりも大きく動く、すなわち、ワイドオープンドアに対して回動方向が逆方向である点である。ワイドオープンドアと同様に、スライドグライドドアでは、引き戸の開作動と回動とを複合することで、ドア21の有効開口幅を大きくとることができる。
【0122】
図21に示すように、センサ3は、固定部25に面する位置に設定された位置限定開保護エリア5Aを有する。ワイドオープンドアと同様にスライドグライドドアでは、固定部25は完全に固定されてはおらず、引き戸の原理による開作動が終了した後にドア21とともに回動する。したがって、固定部25に面する位置に設定された位置限定開保護エリア5Aは、固定部25の回動にともなって通行者の通行経路に重なることになる。
【0123】
また、ワイドオープンドアと異なり、スライドグライドドアでは、ドア21の回動の過程で、ドア21が位置限定開保護エリア5Aに重なる。
【0124】
第7の変形例においては、このようなスライドグライドドアに設定される位置限定開保護エリア5Aの特性を考慮して、開側の保護と通行性とを両立するようにドア21の開作動を制御する。
【0125】
具体的には、ドアコントローラ24は、全閉状態(図18参照)から開作動制御を開始した後、ドア21が図21に示される指定位置に到達する前は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態となった場合に、ドア21の開作動を制限する。開作動の制限の態様は、ドア21の停止およびドア21の減速のいずれであってもよい(以下、同様)。
【0126】
図21の例において、指定位置は、ドア21が引き戸の原理による開作動から回動に切り替えるときのドア21の位置である。
【0127】
図22図24に示すように、ドア21が指定位置に到達した後は、ドアコントローラ24は、位置限定開保護エリア5Aが検知状態となってもドア21の開作動を制限しない。図22図24では、位置限定開保護エリア5Aにおける検知状態をドア21の開作動の制限に用いないことを、位置限定開保護エリア5Aを破線で図示することによって表現している(以下、同様)。
【0128】
第7の変形例によれば、スライドグライドドアにおいて、開作動時の保護と通行性とを両立させることができる。また、ドア21の回動の際に、位置限定開保護エリア5Aにドア21が重なることよるドア21の検知状態を無視できることで、検知状態によってドア21の回動が制限されることを防止することができる。
【0129】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0130】
また、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部を組み合わせたり、置き換えたりすることも可能である。更に、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部のみを適用することも可能である。これらの場合、本明細書に明示されたものの他、それぞれの構成から導かれる特有の構成を有する。
【符号の説明】
【0131】
2 自動ドア
21 ドア
24 ドアコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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