(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置及び当該装置を用いた砂除去方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20220721BHJP
E21F 15/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H02G1/06
E21F15/00
(21)【出願番号】P 2018142556
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】505280705
【氏名又は名称】三由工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 和希
(72)【発明者】
【氏名】吉本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 倫海
(72)【発明者】
【氏名】井口 昌之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幸隆
(72)【発明者】
【氏名】石神 秀行
(72)【発明者】
【氏名】廣田 純生
(72)【発明者】
【氏名】石崎 勉
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-130936(JP,A)
【文献】特許第6233791(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
E21F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸引ノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面よりやや小さい断面を有する枠体から成る先端冶具を設け、当該先端冶具をバキュームホースの先端に取り付け、
当該先端冶具とバキュームホースの取付け箇所のバキュームホースの側面に押込みロッドの先端を固定し、
前記先端冶具は、略箱型で、前面が開口し、背面に設けた吸引口が前記バキュームホースの一端と連結され、上板の先端より下板の先端が前方に突出し、かつ、下板の先端が平面視山形の先端刃に形成され、
前記吸引口のほぼ真ん中で、先端冶具の内部を二つに分けるガイド隔壁が前後方向に設けられたことを特徴とする、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項2】
前記先端冶具へのバキュームホース先端部の取付けは、バキュームホースの軸を中心に相互に回転自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項3】
前記ガイド隔壁は、その先端が前記下板の先端部まで伸びており、上端縁は前記上板の先端から下板の先端近くまで傾斜上縁を形成した形状となっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項4】
空気吸引ノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面よりやや小さい断面を有する枠体から成る先端冶具を設け、当該先端冶具をバキュームホースの先端に取り付け、
当該先端冶具とバキュームホースの取付け箇所のバキュームホースの側面に押込みロッドの先端を固定し、
前記先端冶具は、略箱型で、前面が開口し、背面の左右に設けた吸引口から、後端が一つになった二股形状の管体が後方に突出し、当該後端の管体と前記バキュームホースの一端とが接続され、前記先端冶具の上板と下板は、下板の先端が上板の先端より前方に突出し、かつ、下板の先端が平面視山形の先端刃に形成され、
前記左右の吸引口の間に、先端冶具の内部を二つに分ける横向き略三角錐型のガイド隔壁が前後方向に設けられたことを特徴とする、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項5】
前記先端冶具の背面から突出した二股状の管体と前記バキュームホースの一端との接続は、バキュームホースの軸を中心に相互に回転自在であることを特徴とする、請求項4に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項6】
前記ガイド隔壁は、その先端が前記下板の先端部まで伸びており、上端縁は前記上板の先端から下板の先端近くまで傾斜上縁を形成した形状となっていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項7】
前記請求項1~6に記載のいずれかの砂除去装置を用いて、トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記押込みロッドを用いて、先端冶具をトラフ内に押込み、
当該先端冶具の先端刃で砂を崩しつつガイド隔壁の両側から吸引口に砂を吸引して取り込み、当該吸引口に続くバキュームホースを通して砂を地上に搬送し、
当該押込みロッドの押し込み、引き戻しをトラフの一端から他端まで繰り返し、トラフ内の少なくとも電力ケーブルの上方の砂を除去することを特徴とする、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設されたトラフ内に布設されている不要な電力ケーブルを撤去するに際し、トラフ内の前記電力ケーブルの周囲に充填されている砂を除去する除去装置及び当該装置を用いた除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたトラフ内に布設されている電力ケーブルの周囲には砂が充填されている。この状態で不要となった電力ケーブルを一方から引っ張って電力ケーブルを撤去するには多大な労力を有し、極めて困難である。
【0003】
そこで、地中に埋設されたトラフに沿って、地表面を開削し、掘削溝内でトラフを露出させ、トラフ本体と同時に電力ケーブルを撤去していた。そして,撤去した後の掘削溝に土砂を埋め戻していた。
【0004】
この工法ではトラフ上面の地上部をトラフに沿って開口、掘削しなければならず、掘削範囲が大きく、掘削土砂も多量となり、手間がかかると同時に、工期が長く、工事費が高くなっていた。
【0005】
一方、特許文献1に示す様に、洞道内に布設されたトラフでは、トラフの上面の蓋を開け、当該トラフ内の砂をまず除去し、その後、電力ケーブルを当該トラフから撤去する工法も開発されている。
【0006】
また、土中に埋設されたトラフの上の地上に建物や工作物がある場合には開削は不可能である。そのため、トラフの一定長の一端から他端までの電力ケーブルを切断し、当該電力ケーブルが埋設されているトラフ内の砂をまず抜き取り、その後当該トラフに入っている電力ケーブルを引き抜く工法が、特許文献2及び3に示す様に開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-291692号公報
【文献】特開2006-74939号公報
【文献】特開2007-274839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は吸引によりトラフ内の砂を除去する装置であるが、洞道内のトラフに使用するものであり、トラフの蓋を開けて、トラフ内の砂を吸い出すものである。しかしながら、トラフの蓋を開けるのには手間がかかる。まして、土中に直接埋設されたトラフでは、この方式は、上述の様に、地表面から開削しなければならず、極めて手間のかかる等の欠点がある。
【0009】
また、特許文献2のものは、トラフの一端から高圧水を噴射させ、充填砂を崩し、崩した砂を排気水とともにトラフの上記一端の立坑に流し、当該立坑に溜まった水に混ざった砂を吸引して地上に排出する工法であるが、この場合、多量の水を要し、また、トラフ内で高圧水を噴射させながら推進させるノズル装置と、立坑内の土砂を地上に排出する装置が必要である。
【0010】
また、特許文献3のものは、トラフ内でまず水を砂内に噴出して、砂を流動化させ、当該流動化した砂をトラフ内で吸引して砂をトラフから除去する方法及び装置であるが、この方法及び装置ではトラフ内の砂に水を吹き付けて砂を流動化させ、その流動化した砂を吸引するため、特許文献2と同様に、トラフ内で高圧水を噴射させる装置と、立坑内の土砂を地上に排出する装置が必要である。
【0011】
また、トラフの端部からバキュームホースで砂を吸い込む場合、トラフの中心部の砂が吸引されて、トラフの両側の砂が吸引されずに残り、吸引口に対向した砂の先端部が相互に締め固まってその先端部の形状がアーチ状になる、いわゆるアーチ効果が働き、砂が吸引できなくなる恐れがある。また、トラフ内の砂の付着力が高い場合、電力ケーブルと砂、トラフ内面と砂、それぞれの粘着力が高くなり、バキュームの吸い込み力では吸いきれない可能性がある。
【0012】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、簡単な装置で、トラフ内に充填された砂を確実に抜き取り、除去できるトラフ内の砂除去装置及び当該装置を用いた砂除去方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、空気吸引ノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面よりやや小さい断面を有する枠体から成る先端冶具を設け、当該先端冶具をバキュームホースの先端に取り付け、当該先端冶具とバキュームホースの取付け箇所のバキュームホースの側面に押込みロッドの先端を固定し、前記先端冶具は、略箱型で、前面が開口し、背面に設けた吸引口が前記バキュームホースの一端と連結され、上板の先端より下板の先端が前方に突出し、かつ、下板の先端が平面視山形の先端刃に形成され、前記吸引口のほぼ真ん中で、先端冶具の内部を二つに分けるガイド隔壁が前後方向に設けられた、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記先端冶具へのバキュームホース先端部の取付けは、バキュームホースの軸を中心に相互に回転自在に取り付けられている、請求項1に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記ガイド隔壁は、その先端が前記下板の先端部まで伸びており、上端縁は前記上板の先端から下板の先端近くまで傾斜上縁を形成した形状となっている、請求項1又は2に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0016】
また、請求項4の発明は、空気吸引ノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの縦断面よりやや小さい断面を有する枠体から成る先端冶具を設け、当該先端冶具をバキュームホースの先端に取り付け、当該先端冶具とバキュームホースの取付け箇所のバキュームホースの側面に押込みロッドの先端を固定し、前記先端冶具は、略箱型で、前面が開口し、背面の左右に設けた吸引口から、後端が一つになった二股形状の管体が後方に突出し、当該後端の管体と前記バキュームホースの一端とが接続され、前記先端冶具の上板と下板は、下板の先端が上板の先端より前方に突出し、かつ、下板の先端が平面視山形の先端刃に形成され、前記左右の吸引口の間に、先端冶具の内部を二つに分ける横向き略三角錐型のガイド隔壁が前後方向に設けられた、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0017】
また、請求項5の発明は、前記先端冶具の背面から突出した二股状の管体と前記バキュームホースの一端との接続は、バキュームホースの軸を中心に相互に回転自在である、請求項4に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0018】
また、請求項6の発明は、前記ガイド隔壁は、その先端が前記下板の先端部まで伸びており、上端縁は前記上板の先端から下板の先端近くまで傾斜上縁を形成した形状となっている、請求項4又は5に記載の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした
【0019】
また、請求項7の発明は、前記請求項1~6に記載のいずれかの砂除去装置を用いて、トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記押込みロッドを用いて、先端冶具をトラフ内に押込み、当該先端冶具の先端刃で砂を崩しつつガイド隔壁の両側から吸引口に砂を吸引して取り込み、当該吸引口に続くバキュームホースを通して砂を地上に搬送し、当該押込みロッドによる先端冶具の押し込み、引き戻しをトラフの一端から他端まで繰り返し、トラフ内の少なくとも電力ケーブルの上方の砂を除去する、空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去方法とした。
【発明の効果】
【0020】
請求項1及び4の発明によれば、枠体から成る先端冶具の縦断面がトラフの電力ケーブルの上方の断面に近い縦断面を有するため、少なくとも電力ケーブルの上方のトラフ内の砂を吸引することが出来る。また、トラフ内は砂が固まっており吸引しにくい場合があるが、前記先端冶具の下板先端には先端刃が形成されているため、押込みロッドで先端冶具をトラフ内に押し込むと、前記先端刃が砂内に入り込み、砂を崩して進む。また、前記先端冶具は下板と上板及び左右側板から成り、下板で崩された砂は上板と下板の間、即ち、ガイド隔壁で二分された各中空部内に入り、そこで、吸引口に吸引され、バキュームホース内に搬送される。
【0021】
そして、当該先端冶具は上下を逆にして押し込むこともできる。即ち、下板を上に、上板を下にして、下板の先端刃をトラフの天板内側に沿って押し込むこともできる。その場合、トラフの天井にこびりついた砂を崩すことが出来る。また、先端冶具の前後方向にガイド隔壁を設け、中空部を二分しているため、砂はトラフの左右の両側から吸引される。従って、トラフ内の砂の内、中央部の砂が吸引され、両側の砂が残る、いわゆるアーチ現象が生じない。従って、トラフ内の両側の砂を確実に除去することが出来る。
【0022】
また、請求項2及び5の発明によれば、前記先端冶具へのバキュームホース先端部の取付けが、バキュームホースの軸を中心に相互に回転自在に取り付けられているため、バキュームホースに湾曲癖が付いている場合でも、先端冶具はトラフ内で定位置を常時保持できる。
【0023】
また、特に、請求項3及び6の発明によれば、前記ガイド隔壁が、その先端が前記下板の先端部まで伸びており、上端縁は前記上板の先端から下板の先端近くまで傾斜上縁を形成した形状となっているため、砂は当該ガイド隔壁の傾斜上縁にガイドされて左右それぞれの中空部に分かれて入り込み、先端冶具の背面の吸引口で吸引されるため、砂は前記先端刃と相俟って、ガイド壁の傾斜上縁とによって崩れやすく、かつ、先端冶具を強固にしている。
【0024】
また、請求項7の発明によれば、トラフの一端から押込みロッドを介して、押込みロッドの先端に設けた先端冶具の先端刃を砂に押し込むため、砂が崩れやすい。これにより崩れた砂を先端冶具の上板、下板及び左右の側板で囲まれた中空部に導入し、当該中空部で砂を吸引するため、砂の吸引が確実となる。また、この押込みロッドをトラフ内に押し込み、引き戻しの作業をトラフの一端から他端まで繰り返すことにより、トラフ内の砂、特に電力ケーブル上方のトラフ内の砂は確実に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の概略構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の平面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の側面図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の正面図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の背面図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の横断面図である。
【
図7】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置を用いるトラフの縦断面図である。
【
図8】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置をトラフの端部に押し込んだ状態のトラフの端面図である。
【
図9】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具を砂に押し込んだ状態のトラフの縦断面図である。
【
図10】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具を砂にさらに押し込んだ状態のトラフの縦断面図である。
【
図11】この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具を上下逆にして砂に押し込んだ状態のトラフの縦断面図である。
【
図12】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の概略構成図である。
【
図13】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の平面図である。
【
図14】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の側面図である。
【
図15】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の正面図である。
【
図16】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の背面図である。
【
図17】この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Aを
図1~
図6に基づいて説明する。
【0027】
砂除去装置Aは、
図1に示すように、先端冶具1の後方に、バキュームホース2の先端が取り付けられている。また、先端冶具1とバキュームホース2との取付け箇所の側面に押込みロッド3の先端が回転自在に取り付けられている。前記バキュームホース2の後端は、地上に設置したバキューム装置(図示省略)に接続されている。
【0028】
前記先端冶具1とバキュームホース2の取付けは、先端冶具1の背面から突出した管体4に、バキュームホース2の先端に設けた外管体5が被冠し、相互に軸を中心に回転自在に接続されている。また、前記押込みロッド3の先端は、前記外管体5の側面に設けた軸6に軸支されている。
【0029】
前記先端冶具1は下板1a、上板1b、左右の側板1c及び背板1dからなる、前方が開放された扁平な箱型を成している。そして、この先端冶具1の縦断面は、後述するトラフ10内に収納された2条の電力ケーブル12の上部のトラフ10の断面より高さ、幅がやや小さい形状となっている(
図8参照)。前記背板1dの中央には吸引口7が設けられ、前記管体4はその一端が当該吸引口7の外周縁に当接、固定されている。
【0030】
また、前記上板1bの先端より下板1aの先端が前方に突出し、かつ、下板1aの先端が平面視山形の先端刃8が形成されている。また、前記吸引口7のほぼ真ん中の位置で、先端冶具1の内部を二つに分けるガイド隔壁9が前後方向に設けられている。また、このガイド隔壁9は、その先端が前記下板1aの先端部まで伸びており、その上端縁は前記上板1bの先端から下板1aの先端近くまで傾斜上縁9aを形成している。
【0031】
従って、前記地上のバキューム装置が作動してバキュームホース2内の空気吸引により、
図6に示す矢印のように、砂は先端冶具1の先端刃8の方向から先端冶具1内に入るが、ガイド隔壁9があるため、砂は二分され、下板1a、上板1b、側板1c及び背板1dに囲まれた中空部に入り、吸引口7からバキュームホース2内に入る。
【0032】
次に、この発明の実施の形態例1の砂除去装置Aを用いた砂除去方法について
図7~
図11に基づいて説明する。
【0033】
まず、一定長のトラフ10の両端に立坑11を設け、当該各立坑11内で、電力ケーブル12を切断する。前記一定長のトラフ10の両端にマンホールがある場合は各マンホールを利用し、立坑11を設ける必要はない。また、トラフ10内には砂13が充填されている。
【0034】
このトラフ10において、一方の立坑11から前記砂除去装置Aを、
図8に示す様に、トラフ10内に入れる。このトラフ10の下部には2本の電力ケーブル12、12が配設されているため、これらの電力ケーブル12の上の砂13に先端冶具1の先端刃8を、
図9に示す様に、押込みロッド3を用いて押し込む。なお、トラフ10内に電力ケーブル12が1本収納されている場合があるが、その場合も電力ケーブル12の上の砂13に先端冶具1を押し込む。
【0035】
これにより、先端刃8によって砂が崩れ、崩れた砂が先端冶具1の下板1a上に落ちる。そして、
図10に示す様に、さらに押込みロッド3により先端冶具1を押し込むと、上下左右及び背面を上板1b、下板1a、左右の側板1c及び背板1dに囲まれた中空部内のガイド隔壁9により二分された各中空部に砂が入いり、吸引口7からバキュームホース2内に吸引され、当該バキュームホース2を通り、地上に排出される(図示省略)。
【0036】
そして、砂の吸引が少なくなったら、押込みロッド3により、先端冶具1を一旦、トラフ10の手前に引き戻し、再び前方に向けて先端冶具1を押し、砂13に前記先端刃8を押し込む。これにより、砂13が崩れ、下板1aの上及び中空部内に砂13が移動し、吸引口7から吸引する。
【0037】
また、トラフ10内の、天板下面に砂13がこびりついて剥がれない場合は、
図11に示す様に、先端冶具1の上下を逆にしてトラフ10内に入れて、下板1aの先端刃8をトラフ10の天板下面近くの砂13に食い込ませ、砂を削りとり、崩すこともできる。
【0038】
この様にして、押込みロッド3により先端冶具1の押し込み、引き抜きを繰り返して、先端冶具1をトラフ10の奥まで入れ、トラフ10内の電力ケーブル12の上の砂13を取り除く。その際、先端冶具1がトラフ10内を進み、押込みロッド3が砂13の先端に届かなくならないように、押込みロッド3は予め複数用意され、押込みロッド3の後端部に順次接続できる構成となっている。また、当該押込みロッド3による先端冶具1の押込みは作業者の人力の場合、機械等の動力により押し込む場合等がある。
【0039】
この様にして、トラフ10内の砂13、又は、少なくとも電力ケーブル12の上の砂13を取り除く。これにより、電力ケーブル12を一方の立坑11から容易に引き剥くことが出来る。
【0040】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2の空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Bを
図12~
図17に基づいて説明する
【0041】
砂除去装置Bは、
図12に示すように、先端冶具15の後方に、バキュームホース16の先端が取り付けられている。また、先端冶具15とバキュームホース16との取付け箇所の側面に押込みロッド17の先端が回転自在に取り付けられている。前記バキュームホース16の後端は、地上に設置したバキューム装置(図示省略)に接続されている
【0042】
前記先端冶具15とバキュームホース16の取付けは、先端冶具15の背面から突出した二股形状の管体で後端が一つになった、二股形状の管体18に、前記バキュームホース16の先端に設けた外管体19が被冠し、相互に軸を中心に回転自在に接続されている。また、前記押込みロッド17の先端は、前記外管体19の側面に設けた軸20に軸支されている。
【0043】
前記先端冶具15は下板15a、上板15b、左右の側板15c及び背板15dからなる、前方が開放された扁平な箱型を成している。そして、この先端冶具15の縦断面は、前記砂除去装置Aの先端冶具1と同様に、前記トラフ10内に収納された2条の電力ケーブル12の上部のトラフ10の断面より高さ、幅がやや小さい形状となっている。前記背板15dの左右には吸引口21が夫々設けられ、前記二股形状の管体18の二股形状の分岐管の各一端が当該各吸引口21の外周縁に当接、固定されている。
【0044】
また、前記上板15bの先端より下板15aの先端が前方に突出し、かつ、下板15aの先端が平面視山形の先端刃22が形成されている。また、前記左右の吸引口21、21の間に、先端冶具1の内部を二つに分ける三角錐を横にした形状のガイド隔壁23が前後方向に設けられている。また、このガイド隔壁23は、その先端が前記下板15aの先端部まで伸びており、その上端縁は前記上板15bの先端から下板15aの先端近くまで傾斜上縁23aを形成している。
【0045】
従って、前記バキューム装置が作動してバキュームホース16内の空気吸引により、
図17に示す矢印のように、砂は先端冶具15の先端刃22の方向から先端冶具15内に入るが、ガイド隔壁23があるため、砂は二分され、下板15a、上板15b、側板15c及び背板15dに囲まれた中空部に入り、吸引口21からバキュームホース16内に入る。
【0046】
この実施の形態例2の砂除去装置Bの使用方法は、前記実施の形態例1の砂除去装置Aと同様であるので、説明を省略する。
【0047】
以上の実施の形態例1及び2の砂除去装置A、Bを用いてトラフ10内の砂13を取り除く方法によれば、先端冶具1又は15の断面が、トラフ10の左右の断面幅よりやや小さい幅を有し、かつ、電力ケーブルの上のトラフ断面の高さに近い高さを有し、かつ先端冶具1又は15に先端刃8又は22及びガイド隔壁9又は23を有するため、先端冶具1又は15を砂13に押し込みやすく、砂13が崩れやすい。従って、吸引により砂13を容易に吸い取り、除去しやすい。
【0048】
さらに、先端冶具1又は15の前方に対して左右両側から砂13を吸引するため、トラフ10のケーブル12の上方の砂13を確実に除去でき、従来の様に砂の先端の相互の締付けによるアーチ現象が生ぜず、トラフ内の砂13を確実に除去できる。
【符号の説明】
【0049】
A 砂除去装置
B 砂除去装置
1 先端冶具 1a 下板
1b 上板 1c 側板
1d 背板 2 バキュームホース
3 押込みロッド 4 管体
5 外管体 6 軸
7 吸引口 8 先端刃
9 ガイド隔壁 9a 傾斜上縁
10 トラフ 11 立坑
12 電力ケーブル 13 砂
15 先端冶具 15a 下板
15b 上板 15c 側板
15d 背板 16 バキュームホース
17 押込みロッド 18 二股形状の管体
19 外管体 20 軸
21 吸引口 22 先端刃
23 ガイド隔壁 23a 傾斜上縁