(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】踏面清掃装置
(51)【国際特許分類】
B61F 19/02 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
B61F19/02
(21)【出願番号】P 2018208329
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000155609
【氏名又は名称】KYB-YS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高下 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 信行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真二
(72)【発明者】
【氏名】大塚 智広
(72)【発明者】
【氏名】関谷 昌志
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-331933(JP,A)
【文献】特開平10-089480(JP,A)
【文献】特開2012-062930(JP,A)
【文献】米国特許第6148732(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0064805(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 19/00-19/02
E01H 8/10
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入され、前記シリンダ内に導かれる流体圧により移動可能なロッドと、
前記ロッドの先端に設けられ、前記ロッドが押し出されることにより車輪の踏面に押し当てられる研摩子と、
前記シリンダから突出する前記ロッドを覆う筒状のブーツと、
前記ロッドに設けられ、前記シリンダに対する前記ロッドの相対移動に伴って、前記ブーツの内部に空気を導くと共に、前記ブーツの内部から空気を排出する給排路と、
前記給排路に設けられ、前記ブーツの外部から内部に異物が混入することを防止するフィルタと、を備え、
前記ロッドは、前記シリンダから突出する端部に、前記ブーツの一端部が固定される固定部を有し、
前記固定部は、前記フィルタを収容する収容部を有し、
前記フィルタは、前記ブーツによって、
前記収容部から径方向外方に抜け出ることが防止される
ことを特徴とする踏面清掃装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の踏面清掃装置において、
前記固定部には、前記ブーツの一端部が嵌入する環状溝が設けられ、
前記収容部は、前記環状溝の底面に設けられる凹部であり、
前記フィルタは、前記ブーツの一端部の端面によって、前記収容部から径方向外方に抜け出ることが防止される
ことを特徴とする踏面清掃装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の踏面清掃装置において、
前記環状溝を区画する一対の側壁のそれぞれには、外周面から前記収容部に亘って径方向に延びる溝が設けられる
ことを特徴とする踏面清掃装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の踏面清掃装置において、
前記収容部の底部には、前記一対の側壁の一方の前記溝を通じて前記収容部に導かれる空気を前記一対の側壁の他方の前記溝に向けて案内する案内部が形成される
ことを特徴とする踏面清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏面清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軌道上を走行する鉄道車両では、走行中に車輪の踏面にゴミ、砂利などが付着する。これらのゴミなどが車輪の踏面と軌道との間に介在すると、軌道や車輪が損傷したり、異音が発生するおそれがある。
【0003】
特許文献1には、鉄道車両の走行中に車輪の踏面に研摩子を押し当てて付着しているゴミなどを除去する踏面清掃装置が開示されている。特許文献1に記載された踏面清掃装置には、シリンダとトルク受ロッドとの間をシールするブーツが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブーツを備える踏面清掃装置では、ブーツの損傷を防止するために、ロッドの摺動に応じてブーツの内部に空気を導いたり、ブーツの内部から空気を排出したりする必要がある。しかしながら、ブーツに空気を導く際、ブーツの内部に異物が混入すると、シリンダとロッドの摺動面が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ブーツの内部への異物の混入に起因したシリンダとロッドの摺動面の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるロッドと、ロッドの先端に設けられる研摩子と、シリンダから突出するロッドを覆う筒状のブーツと、ロッドに設けられ、シリンダに対するロッドの相対移動に伴って、ブーツの内部に空気を導くと共に、ブーツの内部から空気を排出する給排路と、給排路に設けられ、ブーツの外部から内部に異物が混入することを防止するフィルタと、を備え、ロッドは、シリンダから突出する端部に、ブーツの一端部が固定される固定部を有し、固定部は、フィルタを収容する収容部を有し、フィルタは、ブーツによって、収容部から径方向外方に抜け出ることが防止されることを特徴とする踏面清掃装置である。
【0008】
第1の発明では、ブーツの外部から内部に向かって導かれる空気に混入する異物が、フィルタによって捕捉される。これにより、ブーツの内部への異物の混入に起因したシリンダとロッドの摺動面の損傷を防止することができる。また、収容部に収容されるフィルタの脱落を効果的に防止することができる。
【0011】
第2の発明は、固定部には、ブーツの一端部が嵌入する環状溝が設けられ、収容部は、環状溝の底面に設けられる凹部であり、フィルタは、ブーツの一端部の端面によって、収容部から径方向外方に抜け出ることが防止されることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、環状溝に嵌入するブーツの一端部の端面によって、フィルタが径方向外方に移動することを規制できるので、簡易な構成で、フィルタが凹部から脱落することを防止できる。
【0013】
第3の発明は、環状溝を区画する一対の側壁のそれぞれには、外周面から収容部に亘って径方向に延びる溝が設けられることを特徴とする。
【0014】
第3の発明では、溝と収容部の加工を同時に行うことにより加工効率を向上できるので、踏面清掃装置の製造コストを低減することができる。
【0015】
第4の発明は、収容部の底部には、一対の側壁の一方の溝を通じて収容部に導かれる空気を一対の側壁の他方の溝に向けて案内する案内部が形成されることを特徴とする。
【0016】
第4の発明では、案内部によって空気の流れが折り返されるので、空気の流れをスムーズにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブーツの内部への異物の混入に起因したシリンダとロッドの摺動面の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る踏面清掃装置を備える鉄道車両の模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る踏面清掃装置の正面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う部分断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る踏面清掃装置におけるブーツ及びブーツを固定するブーツ固定部を示す部分断面図である。
【
図5】
図4のV部拡大図であり、ブーツの内外を連通する給排路を示す。
【
図6】
図4のVI-VI線に沿うトルク受ロッドの断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る踏面清掃装置におけるブーツ及びブーツを固定するブーツ固定部を示す拡大部分断面図であり、ブーツの内外を連通する給排路を示す。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る踏面清掃装置におけるトルク受ロッドの断面図である。
【
図9】
図7のIX方向から見たトルク受ロッドの部分平面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る踏面清掃装置におけるブーツ及びブーツを固定するブーツ固定部を示す拡大部分断面図であり、ブーツの内外を連通する給排路を示す。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る踏面清掃装置におけるブーツ及びブーツを固定するブーツ固定部を示す拡大部分断面図であり、ブーツの内外を連通する給排路を示す。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る踏面清掃装置におけるブーツ及びブーツを固定するブーツ固定部を示す拡大部分断面図であり、ブーツの内外を連通する給排路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の第1実施形態の踏面清掃装置10について説明する。
【0020】
図1は、踏面清掃装置10を備える鉄道車両(車両)90の模式図である。
図1に示すように、踏面清掃装置10は、シリンダ1に設けられたブラケット36を介して鉄道車両90の台車91などに取り付けられる。踏面清掃装置10は、研摩部3を車輪92の踏面92aに摺接させて研摩し、踏面92aに付着したゴミ、砂利などを取り除いて清掃する。踏面清掃装置10は、軌道93に対して略平行となるように設定される。
【0021】
図2は、踏面清掃装置10の正面図であり、
図3は、
図2のIII-III線に沿う部分断面図である。
図2及び
図3に示すように、踏面清掃装置10は、鉄道車両90に取り付けられるシリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入され、シリンダ1内に導かれる流体圧により移動可能なロッドであるトルク受ロッド2と、トルク受ロッド2の先端に取り付けられる研摩部3と、シリンダ1から突出するトルク受ロッド2を覆う筒状のブーツ18と、を備える。本明細書では、シリンダ1に対してトルク受ロッド2が相対的に移動する方向、すなわちシリンダ1及びトルク受ロッド2の中心軸に沿う方向を軸方向と記す。
【0022】
図3に示すように、シリンダ1は、トルク受ロッド2が摺動する円筒状のシリンダ部1aと、シリンダ部1aの一端側の開口を塞ぐロッド側キャップ部材1bと、他端側の開口を塞ぐピストン側キャップ部材1cと、を備える。ロッド側キャップ部材1bの端部には、ブーツ18が固定されるブーツ固定部1dが設けられる。ピストン側キャップ部材1cは、シリンダ1の後端部にOリングなどを介して結合される。ピストン側キャップ部材1cは中空状に形成され、中空部に流体圧としての空気圧を供給するコネクタ6が取り付けられる。なお、流体圧として、油圧を使用することもできる。
【0023】
トルク受ロッド2は、外周にシリンダ1の内周面との間をシールするシール16が設けられる円環状のピストン部2aと、ピストン部2aと一体に形成されロッド側キャップ部材1bを貫通するように延びる円筒状のロッド部2bと、ロッド部2bのピストン部2aとは反対側の開口を塞ぐ蓋部2cと、ロッド部2bの先端に蓋部2cを覆うように取り付けられたブーツ固定部2dと、を備える。ピストン部2aの内周には、円環状のシート12が設けられる。
【0024】
ブーツ18は、シリンダ1とトルク受ロッド2の摺動面にダストが侵入することを防止するために設けられる。ブーツ18は、その一端部がシリンダ1から突出するトルク受ロッド2の端部に設けられるブーツ固定部2dに固定され、他端部がシリンダ1のロッド側キャップ部材1bに設けられるブーツ固定部1dに固定される。つまり、ブーツ固定部2dは、ブーツ18の一端部を固定するためにトルク受ロッド2に設けられた固定部であり、ブーツ固定部1dは、ブーツ18の他端部を固定するためにシリンダ1に設けられた固定部である。このように、ブーツ18は、シリンダ1とトルク受ロッド2に亘って設けられ、シリンダ1とトルク受ロッド2の相対移動に伴って伸縮する。
【0025】
研摩部3は、トルク受ロッド2のブーツ固定部2dから突出するブラケット2eにボルト9によって着脱自在に結合された研摩子受け40と、研摩子受け40の端部に連結機構80によって着脱自在に連結された研摩子50と、を備える。
【0026】
シリンダ1のピストン側キャップ部材1cには、トルク受ロッド2のピストン部2a及びロッド部2bの中空部分内に位置するように支持桿5が支持される。支持桿5の端部に設けた座部17とシート12との間には、リターンスプリング4が設けられる。リターンスプリング4は、研摩子50が車輪92の踏面92aから離れる方向、すなわち、トルク受ロッド2をシリンダ1内に引き込む方向(踏面清掃装置10を収縮させる方向)にトルク受ロッド2を付勢する。
【0027】
コネクタ6からピストン側キャップ部材1c内を通じてシリンダ部1a内に空気が供給されると、トルク受ロッド2のピストン部2aの端面及び蓋部2cの端面に所定の空気圧が作用する。これにより、トルク受ロッド2は、リターンスプリング4を圧縮しながらシリンダ1の外部(車輪方向)に向かって押し出され、踏面清掃装置10が伸長する。トルク受ロッド2が押し出されると、研摩部3も車輪92に向かって移動する。研摩子50の湾曲面53は、走行中の鉄道車両90において回転する車輪92の踏面92aに押し当てられ、踏面92aと摺接する。これにより、車輪92の踏面92aに付着したゴミや砂利などの異物が除去される。なお、研摩子50が車輪92に摺接すると、研摩部3には車輪92の接線方向の力が作用するが、この接線方向の力は、トルク受ロッド2を介してシリンダ1によって担持される。
【0028】
研摩部3によるゴミや砂利などの異物の除去が終了すると、コネクタ6から供給された空気が排出される。これにより、トルク受ロッド2は、リターンスプリング4の復元力によって後退し、元の位置(空気を供給する前の位置)に戻る。これにより、研摩子50の湾曲面53は車輪92の踏面92aから離間する。
【0029】
踏面清掃装置10は、トルク受ロッド2の移動を軸方向に制限して案内する案内機構11をさらに備える。案内機構11は、シリンダ1の軸方向周りでのトルク受ロッド2及び研摩部3の回転を防止する。案内機構11は、トルク受ロッド2の外周面に形成され軸方向に延在する軸方向溝37と、シリンダ1に取り付けられ軸方向溝37に嵌合するピン15と、を備える。
【0030】
本実施形態においては、ピン15は円柱状に形成される。ピン15は、ベアリング13を介してシリンダ1に取り付けられ、ベアリング13は、ピン15をシリンダ1に対して回転可能に支持する。
【0031】
トルク受ロッド2は、外周面に軸方向に延在する外周溝38を有する。外周溝38内には、外周に多数ののこぎり歯状の溝を備えたラッチ受け8が、軸方向に移動自在に挿入される。ラッチ受け8ののこぎり歯状の溝は、後述するラッチ7の先端と係合する。
【0032】
シリンダ1には、径方向に向けてガイド筒39が形成され、ガイド筒39内にはロッド状のラッチ7が移動可能に挿入される。ラッチ7は、通常、ばね19で付勢されてその先端がラッチ受け8と係合する。また、ラッチ7は、シリンダ1の外部に延出する外端を備えており、この外端をばね19に抗すようにして引き出すと、ラッチ受け8との係合が解消されてラッチ受け8が移動することができる。
【0033】
ラッチ受け8は、トルク受ロッド2の後退ストロークを規制する。例えば、研摩子50が摩耗した場合、その摩耗した肉厚分の距離だけトルク受ロッド2とラッチ受け8は押し出される。トルク受ロッド2が一定の距離以上後退しないように、ラッチ受け8は、押し出された量に応じてトルク受ロッド2の位置を規制する。これによって研摩子50が摩耗しても、研摩子50と車輪92の踏面92aとの距離を常にある一定の範囲内に保持できる。
【0034】
図4は、踏面清掃装置10におけるブーツ18及びブーツ18を固定するブーツ固定部2dを示す部分断面図である。
図3及び
図4に示すように、ブーツ18は、ゴムなどの弾性部材により形成される。ブーツ18の軸方向一端部は、トルク受ロッド2のブーツ固定部2dに取り付けられるロッド側取付部181とされる。ブーツ18の軸方向他端部は、シリンダ1のロッド側キャップ部材1bのブーツ固定部1dに取り付けられるシリンダ側取付部182とされる。ブーツ18の軸方向中央部、すなわちロッド側取付部181とシリンダ側取付部182との間には、シリンダ1に対するトルク受ロッド2の相対移動に伴って伸縮する蛇腹状の蛇腹部180が設けられる。
【0035】
ロッド側取付部181は、円環状であって、蛇腹部180の端部からトルク受ロッド2の径方向内方、すなわちトルク受ロッド2の中心軸に向かう方向に延在する。ロッド側取付部181の厚みは、蛇腹部180の厚みよりも厚い。
【0036】
図5は、
図4のV部拡大図であり、ブーツ18の内外を連通する給排路128を示す。
図5に示すように、ブーツ固定部2dには、その外周からトルク受ロッド2の径方向外方、すなわちトルク受ロッド2の中心軸から離れる方向に向かって突出する内側鍔部21及び外側鍔部22が設けられる。内側鍔部21及び外側鍔部22は、それぞれ円環状に形成される。外側鍔部22は、内側鍔部21よりも研摩子50に近い側に配置される。外側鍔部22の外径は、内側鍔部21の外径よりも大きい。
【0037】
内側鍔部21と外側鍔部22とにより、ブーツ固定部2dには、ロッド側取付部181が嵌入する環状溝20が形成される。つまり、内側鍔部21及び外側鍔部22は、環状溝20を区画する一対の側壁を構成する。環状溝20は、トルク受ロッド2の径方向内方に向かって窪む凹部であり、ブーツ固定部2dの全周に亘って形成される。
【0038】
環状溝20の幅(一対の鍔部21,22間の軸方向長さ)は、ブーツ18のロッド側取付部181の厚さ(軸方向長さ)よりも短い。このため、ロッド側取付部181は、環状溝20に圧縮された状態で嵌入され、トルク受ロッド2に固定される。同様に、
図3に示すシリンダ側取付部182は、シリンダ1のロッド側キャップ部材1bに設けられた環状溝29に圧縮された状態で嵌入され、シリンダ1に固定される。
【0039】
図5に示すように、トルク受ロッド2には、シリンダ1に対するトルク受ロッド2の相対移動に伴って、ブーツ18の内部に空気を導くと共に、ブーツ18の内部から空気を排出する給排路28が設けられる。トルク受ロッド2の移動に応じて、給排路28を通じて、ブーツ18の内外に空気が給排されるので、トルク受ロッド2の移動に起因したブーツ18の損傷が防止される。ここで、ブーツ18の内部に空気が導かれるときに、給排路28を通じてブーツ18の内部に異物が混入すると、シリンダ1とトルク受ロッド2の摺動面が損傷するおそれがある。そこで、本実施形態では、ブーツ18の外部から内部に異物が混入することを防止するフィルタ30が、給排路28に設けられる。
【0040】
図5及び
図6を参照して、ブーツ18の内外を連通する給排路28、及び給排路28に設けられるフィルタ30について詳しく説明する。
図6は、
図4のVI-VI線に沿うトルク受ロッド2の断面図である。
【0041】
図5に示すように、ブーツ18のロッド側取付部181は、凹状の環状溝20の底面20a及び一対の側面に密着した状態で固定される。
【0042】
図5及び
図6に示すように、ブーツ固定部2dには、
図5中左方から右方に向けて軸方向にドリル加工が施されることにより、ドリル加工部23が形成される。
【0043】
内側鍔部21には、ドリル加工部23の一部を構成する円弧状の溝24が形成される。外側鍔部22には、ドリル加工部23の一部を構成する円形状の円形凹部26が形成される。円形凹部26は、その中心軸が、トルク受ロッド2の中心軸と平行となるように形成される。円形凹部26には、円柱状のフィルタ30が圧縮された状態で嵌入されている。フィルタ30は、例えば、多孔質高分子材料、金属網、織布、不織布等の材料により、円柱状に形成される。フィルタ30は、径方向に圧縮された状態で円形凹部26内に収容され、位置決めされる。
【0044】
円形凹部26は、一部が外側鍔部22を貫通しており、円形凹部26の底面26aに形成された開口部22aを通じて、ブーツ18の外部から内部に空気が導かれたり、ブーツ18の内部から外部に空気が排出されたりする。開口部22aは、通過抵抗の低減のため、所定の面積が必要となる。
【0045】
フィルタ30は、一端面が円形凹部26の底面26aに当接し、他端面がブーツ18のロッド側取付部181に当接する。つまり、フィルタ30は、ブーツ18とブーツ固定部2dとの間で、軸方向に挟まれた状態で保持される。フィルタ30は、ブーツ18によって、円形凹部26内での軸方向移動が規制されるので、円形凹部26からフィルタ30が脱落することを抑制することができる。
【0046】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0047】
シリンダ1に対するトルク受ロッド2の相対移動に伴って、ブーツ18の内部に空気を導くと共に、ブーツ18の内部から空気を排出する給排路28をトルク受ロッド2に設け、この給排路28にブーツ18の外部から内部に異物が混入することを防止するフィルタ30を設けた。これにより、ブーツ18の外部から内部に向かって導かれる空気に混入する異物が、フィルタ30によって捕捉されるので、給排路28からの異物の混入に起因したシリンダ1とトルク受ロッド2の摺動面の損傷を防止することができる。
【0048】
<第2実施形態>
図7~
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る踏面清掃装置100について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図7は、本発明の第2実施形態に係る踏面清掃装置100におけるブーツ18及びブーツ18を固定するブーツ固定部102dを示す拡大部分断面図であり、ブーツ18の内外を連通する給排路128を示す。
図8は、本発明の第2実施形態に係る踏面清掃装置100におけるトルク受ロッド2の断面図である。
図9は、
図7のIX方向から見たトルク受ロッド2の部分平面図である。
【0050】
第2実施形態では、上記第1実施形態で説明したドリル加工部23に代えて、ドリル加工部123が設けられ、このドリル加工部123にフィルタ130が収容される。以下、詳しく説明する。
【0051】
図7及び
図8に示すように、ブーツ固定部102dには、外方から径方向内方に向けてドリルにより、ドリル加工部123が形成される。
【0052】
ドリル加工部123は、内側鍔部21の外周面から環状溝20の底面20aに亘って径方向に延びる円弧状の溝124と、外側鍔部22の外周面から環状溝20の底面20aに亘って径方向に延びる円弧状の溝125と、環状溝20の底面20aから径方向内方に向かって窪む円形状の円形凹部126と、を有する。内側鍔部21の溝124と円形凹部126の内周面とは連続して設けられ、外側鍔部22の溝125と円形凹部126の内周面とは連続して設けられる。つまり、溝124,125及び円形凹部126は、同心同径に形成される。
【0053】
このように、本実施形態では、環状溝20を区画する一対の側壁(内側鍔部21及び外側鍔部22)のそれぞれに、外周面から円形凹部126に亘って径方向に延びる溝124,125を設けるようにした。したがって、ブーツ固定部102dの径方向外側からドリルによって径方向内方に向けて直線状に加工を施すことにより、溝124,125と円形凹部126を同時に形成することができる。溝124,125と円形凹部126の加工を同時に行うことにより加工効率を向上できるので、踏面清掃装置100の製造コストを低減することができる。
【0054】
図7に示すように、ブーツ18のロッド側取付部181が環状溝20に嵌入された状態では、ブーツ18と内側鍔部21の溝124とにより画成される内側流路111と、ブーツ18と外側鍔部22の溝125とにより画成される外側流路112と、内側流路111及び外側流路112に連続して設けられる中間流路113と、により給排路128が形成される。中間流路113は、円形凹部126の底面126a及び内周面によって形成される。
【0055】
したがって、踏面清掃装置100が伸長する際、溝125から導入された空気は、図中、破線の矢印Bで示すように、円形凹部126に導かれ、円形凹部126で折り返されて、溝124を通じてブーツ18の内部に導かれる。一方、踏面清掃装置100が収縮する際には、図中、破線の矢印Aで示すように、ブーツ18の内部の空気は、溝124、円形凹部126、溝125の順に流れ、ブーツ18の外部に排出される。
【0056】
円形凹部126には、外気中の異物を捕捉するフィルタ130が収容される。
【0057】
フィルタ130の外周面が円形凹部126の内周面に接することにより、フィルタ130のトルク受ロッド2における軸方向及び周方向の位置が規定される。フィルタ130の一端面(図示上端面)は、ブーツ18のロッド側取付部181の端面に接し、フィルタ130の他端面(図示下端面)の外縁部は、円形凹部126の底面126aに接している。つまり、フィルタ130は、ブーツ18のロッド側取付部181の端面と円形凹部126の底面126aとによって挟持されることにより、トルク受ロッド2における径方向の位置が規定される。
【0058】
本第2実施形態では、フィルタ130を収容する円形凹部126が、ブーツ18を固定する環状溝20の底面20aに設けられている。これにより、フィルタ130の収容部である円形凹部126とブーツ18を固定する環状溝20の位置を集約することができるので、ブーツ固定部102dの形状を単純な構成とすることができる。
【0059】
円形凹部126の底面126aは、ドリルにより円錐形状に形成され、給排路128の空気の流れを入口側から出口側へと案内する案内部として機能する。踏面清掃装置100が収縮する際、内側鍔部21の溝124を通じて円形凹部126に導かれる空気を外側鍔部22の溝125に向けて案内する(破線で示す矢印A参照)。踏面清掃装置100が伸長する際、外側鍔部22の溝125を通じて円形凹部126に導かれる空気を内側鍔部21の溝124に向けて案内する(破線で示す矢印B参照)。
【0060】
このように、円形凹部126の底面126aによって空気の流れが折り返されるので、空気の流れをスムーズにすることができる。
【0061】
給排路128の位置は任意に設定することができるが、溝124,125及び円形凹部126の中心軸が軌道93に対して直交するように、かつ、給排路128の出入口が軌道93に対向するように、すなわち鉛直下方を向くように、給排路128の位置を設定することが好ましい。この場合、給排路128の出入口よりも鉛直上方にフィルタ130が配置される。このように、給排路128の位置を設定することにより、雨水等が給排路128に侵入することが抑制される。
【0062】
このような第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
【0063】
シリンダ1から突出するトルク受ロッド2の端部に、ブーツ18の一端部が固定されるブーツ固定部102dが設けられ、このブーツ固定部102dに、フィルタ130を収容する円形凹部126が設けられる。円形凹部126に収容されるフィルタ130は、ブーツ18の一端部の端面に当接しており、円形凹部126内において径方向外方に移動することが規制される。つまり、ブーツ18の一端部の端面によって、フィルタ130が円形凹部126から径方向外方に抜け出ることが防止される。
【0064】
これにより、鉄道車両90の走行中の走行風がフィルタ130に当たることにより、フィルタ130が脱落してしまったり、鉄道車両90の清掃中に洗浄水がフィルタ130に当たることにより、フィルタ130が脱落してしまったりすることを効果的に防止することができる。フィルタ130の紛失を防止できるので、長期に亘って、ブーツ18の内部に異物が混入することを防止できる。また、環状溝20に嵌入するブーツ18の一端部の端面によって、フィルタ130が径方向外方に移動することを規制できるので、簡易な構成で、フィルタ130が円形凹部126から脱落することを防止できる。
【0065】
<第3実施形態>
図10を参照して、本発明の第3実施形態に係る踏面清掃装置200について説明する。以下では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第2実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
図10は、踏面清掃装置200におけるブーツ218及びブーツ218を固定するブーツ固定部202dを示す拡大部分断面図であり、ブーツ218の内外を連通する給排路228を示す。
【0067】
上記第2実施形態では、溝124,125が内側鍔部21及び外側鍔部22の外周面から円形凹部126に亘って設けられる例について説明した(
図7参照)。これに対して、第3実施形態では、上記溝124,125に代えて、ブーツ218のロッド側取付部281に径方向に延在する溝224,225が形成される。
【0068】
溝224は、ロッド側取付部281の端面及び内側鍔部21に当接する面に開口して設けられる。溝225は、ロッド側取付部281の端面及び外側鍔部22に当接する面に開口して設けられる。径方向に延在する溝224,225の断面形状は任意に設定することができる。溝224,225の断面形状は、例えば、矩形状、円弧状である。
【0069】
第3実施形態に係る給排路228は、溝224と内側鍔部21とによって画成される流路と、溝225と外側鍔部22とによって画成される流路と、フィルタ230が収容される円形凹部226によって形成される流路と、によって構成される。
【0070】
踏面清掃装置200が伸長する際、溝225から導入された空気は、円形凹部226に導かれる。円形凹部226に導かれた空気は、折り返されて溝224を通じてブーツ218の内部に導かれる。このとき、外気に含まれる異物はフィルタ230によって捕捉される。一方、踏面清掃装置200が収縮する際には、ブーツ218の内部の空気は、溝224、円形凹部226、溝225の順に流れ、ブーツ218の外部に排出される。
【0071】
このような第3実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
<第4実施形態>
図11を参照して、本発明の第4実施形態に係る踏面清掃装置300について説明する。以下では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第2実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図11は、踏面清掃装置300におけるブーツ18及びブーツ18を固定するブーツ固定部302dを示す拡大部分断面図であり、ブーツ18の内外を連通する給排路328を示す。上記第2実施形態では、環状溝20の底面20aに円形凹部126を形成し、円形凹部126にフィルタ130を収容する例について説明した(
図7参照)。
【0074】
これに対して、第4実施形態では、円形凹部126が設けられておらず、フィルタ330は、環状溝20の底部に収容される。つまり、第4実施形態では、環状溝20の底部が、フィルタ330を収容する収容部326とされる。フィルタ330は、円環状に形成される。円環状のフィルタ330は、一箇所が切断されており、環状溝20の収容部326に径方向外方から装着することができるようになっている。
【0075】
第4実施形態では、第2実施形態で説明した内側鍔部21の溝124(
図7参照)に代えて、内側鍔部21を軸方向に貫通する円形状の内側貫通孔324が設けられる。内側貫通孔324は、ブーツ18の内側と収容部326とを連通する。
【0076】
また、第4実施形態では、第2実施形態で説明した外側鍔部22の溝125(
図7参照)に代えて、外側貫通孔325が設けられる。外側貫通孔325は、軸方向に延在する断面円形状の第1孔325aと、第1孔325aの端部から外側鍔部22の基部に亘って延在する断面円形状の第2孔325bと、を有する。第1孔325aは、内側貫通孔324と同心同径に形成される。外側貫通孔325は、第1孔325aが収容部326に開口し、第2孔325bが外側鍔部22の基部において開口している。つまり、外側貫通孔325は、踏面清掃装置300の外側と収容部326とを連通する。
【0077】
第4実施形態に係る給排路328は、内側貫通孔324、収容部326、及び外側貫通孔325によって形成される。
【0078】
内側貫通孔324及び外側貫通孔325は、環状溝20の周方向に所定の間隔で複数設けることにより、空気の流れの通過抵抗を低減することができる。
【0079】
内側貫通孔324及び外側貫通孔325の第1孔325aは、軸方向にドリル加工を施すことにより形成される。外側貫通孔325の第2孔325bは、外側鍔部22の基部からトルク受ロッド2の中心軸に対して斜めにドリル加工を施すことにより形成される。
【0080】
上記第2実施形態では、ブーツ18のロッド側取付部181の端面が、フィルタ130に常時当接する例について説明した(
図7参照)。これに対して、第4実施形態では、ブーツ18のロッド側取付部181の端面と、環状のフィルタ330の外周面との間に隙間380が形成されている。このように、ブーツ18とフィルタ330との間に隙間380が形成される場合であっても、フィルタ330が径方向外方にずれたときには、その径方向外方への移動がブーツ18のロッド側取付部181によって規制されるので、フィルタ330が収容部326から抜け出ることが防止される。
【0081】
踏面清掃装置300が伸長する際、外側貫通孔325から導入された空気は、収容部326に導かれる。収容部326に導かれた空気は、内側貫通孔324を通じてブーツ18の内部に導かれる。このとき、外気に含まれる異物はフィルタ330によって捕捉される。一方、踏面清掃装置300が収縮する際には、ブーツ18の内部の空気は、内側貫通孔324、収容部326、外側貫通孔325の順に流れ、ブーツ18の外部に排出される。
【0082】
このような第4実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0083】
<第5実施形態>
図12及び
図13を参照して、本発明の第5実施形態に係る踏面清掃装置400について説明する。以下では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第2実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
図12は、踏面清掃装置400におけるブーツ418及びブーツ418を固定するブーツ固定部402dを示す部分断面拡大図であり、ブーツ418の内外を連通する給排路428を示す。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿う断面図である。上記第2実施形態では、ブーツ18のロッド側取付部181が環状溝20に嵌入固定される例について説明した(
図7参照)。
【0085】
これに対して、第5実施形態に係るブーツ固定部402dには環状溝20が設けられていない。ブーツ418は、蛇腹部180の端部から軸方向に延在する円筒部483と、蛇腹部180の端部から径方向内方に突出する凸部484と、を有する。円筒部483の内径は、ブーツ固定部402dの外径よりも小さい。円筒部483は、僅かに拡径された状態でブーツ固定部402dに嵌着される。円筒部483の外周には、円環状の固定具470が取り付けられることにより、ブーツ418の一端部がブーツ固定部402dに強固に固定される。
【0086】
凸部484は、ブーツ固定部402dに設けられた円形状の円形凹部427に挿入される。円形凹部427の底部は、フィルタ430が収容される収容部426とされる。凸部484の頂面は、フィルタ430に当接する。
【0087】
図12及び
図13に示すように、凸部484は、円形凹部427のトルク受ロッド2における径方向外周側の空間を軸方向に区分する。円形凹部427の内周面と凸部484における研摩子50側の端面と、フィルタ430とによって、外側隙間427bが画成される。円形凹部427の内周面と、凸部484における研摩子50とは反対側の端面と、フィルタ430とによって、内側隙間427aが画成される。
【0088】
図12に示すように、円筒部483の内周面には、軸方向に沿って溝483aが形成される。溝483aは、円筒部483の一端面と円筒部483の内周側に開口し、踏面清掃装置400の外側と円形凹部427の外側隙間427bとを連通する。
【0089】
第5実施形態に係る給排路428は、内側隙間427a、収容部426、外側隙間427b、及び溝483aによって形成される。踏面清掃装置400が伸長する際、溝483aから導入された空気は、外側隙間427bを通じて収容部426に導かれる。収容部426に導かれた空気は、折り返されて内側隙間427aを通じてブーツ418の内部に導かれる。このとき、外気に含まれる異物はフィルタ430によって捕捉される。一方、踏面清掃装置400が収縮する際には、ブーツ418の内部の空気は、内側隙間427a、収容部426、外側隙間427b、溝483aの順に流れ、ブーツ418の外部に排出される。
【0090】
このような第5実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0091】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0092】
<変形例1>
上記実施形態で説明した踏面清掃装置10,100,200,300,400には、いわゆる踏面ブレーキ装置も含まれる。踏面ブレーキ装置は、ブレーキの機能を有していない踏面清掃装置に比べて、研摩子50を踏面92aに押し当てる力が強い点で異なるが、上記実施形態で説明した構成を備える。
【0093】
<変形例2>
上記第1及び第2実施形態では、フィルタ30,130を収容する収容部(円形凹部26,126)が円形状に形成される例について説明したが、収容部の断面形状は、多角形状や楕円形状であってもよい。
【0094】
<変形例3>
上記第2実施形態では、案内部としての円形凹部126の底面126aが円錐形状に形成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。収容部の断面形状に応じて、適宜、変更することができる。案内部は、環状溝20を区画する一対の側壁の一方の溝を通じて収容部に導かれる空気を一対の側壁の他方の溝に向けて案内することができればよく、例えば、湾曲状に形成してもよいし、複数の傾斜面を繋げることで形成してもよい。
【0095】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0096】
踏面清掃装置10,100,200,300,400は、鉄道車両(車両)90に取り付けられるシリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入され、シリンダ1内に導かれる流体圧により移動可能なトルク受ロッド(ロッド)2と、トルク受ロッド2の先端に設けられ、トルク受ロッド2が押し出されることにより車輪92の踏面92aに押し当てられる研摩子50と、シリンダ1から突出するトルク受ロッド2を覆う筒状のブーツ18,218,418と、トルク受ロッド2に設けられ、シリンダ1に対するトルク受ロッド2の相対移動に伴って、ブーツ18,218,418の内部に空気を導くと共に、ブーツ18,218,418の内部から空気を排出する給排路28,128,228,328,428と、給排路28,128,228,328,428に設けられ、ブーツ18,218,418の外部から内部に異物が混入することを防止するフィルタ30,130,230,330,430と、を備え、トルク受ロッド2は、シリンダ1から突出する端部に、ブーツ18,218,418の一端部が固定されるブーツ固定部(固定部)2d,102d,202d,302d,402dを有し、ブーツ固定部2d,102d,202d,302d,402dは、フィルタ30,130,230,330,430を収容する収容部(円形凹部26,126,226,収容部326,426)を有し、フィルタ30,130,230,330,430は、ブーツ18,218,418によって、収容部(円形凹部26,126,226,収容部326,426)内での移動が規制される。
【0097】
この構成では、ブーツ18,218,418の外部から内部に向かって導かれる空気に混入する異物が、フィルタ30,130,230,330,430によって捕捉される。その結果、ブーツ18,218,418の内部への異物の混入に起因したシリンダ1とトルク受ロッド2の摺動面の損傷を防止することができる。
【0098】
踏面清掃装置100,200,300,400は、フィルタ130,230,330,430が、ブーツ18,218,418によって、収容部(円形凹部126,226,収容部326,426)から径方向外方に抜け出ることが防止される。
【0099】
この構成では、収容部(円形凹部126,226,収容部326,426)に収容されるフィルタ130,230,330,430の脱落を効果的に防止することができる。
【0100】
踏面清掃装置100,200は、ブーツ固定部102d,202dには、ブーツ18,218の一端部が嵌入する環状溝20が設けられ、上記収容部は、環状溝20の底面20aに設けられる円形凹部126,226であり、フィルタ130,230は、ブーツ18,218の一端部の端面によって、円形凹部126,226から径方向外方に抜け出ることが防止される。
【0101】
この構成では、環状溝20に嵌入するブーツ18,218の一端部の端面によって、フィルタ130,230が径方向外方に移動することを規制できるので、簡易な構成で、フィルタ130,230が円形凹部126,226から脱落することを防止できる。
【0102】
踏面清掃装置100は、環状溝20を区画する一対の側壁(内側鍔部21及び外側鍔部22)のそれぞれには、外周面から円形凹部126に亘って径方向に延びる溝124,125が設けられる。
【0103】
この構成では、溝124,125と円形凹部126の加工を同時に行うことにより加工効率を向上できるので、踏面清掃装置100の製造コストを低減することができる。
【0104】
踏面清掃装置100は、円形凹部126の底部に、一対の側壁(内側鍔部21及び外側鍔部22)の一方の溝124(または溝125)を通じて円形凹部126に導かれる空気を一対の側壁(内側鍔部21及び外側鍔部22)の他方の溝125(または溝124)に向けて案内する案内部としての底面126aが形成される。
【0105】
この構成では、案内部としての底面126aによって空気の流れが折り返されるので、空気の流れをスムーズにすることができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0107】
1・・・シリンダ、2・・・トルク受ロッド(ロッド)、2d,102d,202d,302d,402d・・・ブーツ固定部(固定部)、18,218,418・・・ブーツ、50・・・研摩子、90・・・鉄道車両(車両)、92・・・車輪、92a・・・踏面、10,100,200,300,400・・・踏面清掃装置、28,128,228,328,428・・・給排路、20・・・環状溝、20a・・・底面、21・・・内側鍔部(側壁)、22・・・外側鍔部(側壁)、124,224・・・溝、125,225・・・溝、26,126,226・・・円形凹部(収容部)、126a・・・底面(案内部)、30,130,230,330,430・・・フィルタ、326,426・・・収容部