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7108545焼結磁性合金及びそれから誘導される組成物の粒界工学
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】焼結磁性合金及びそれから誘導される組成物の粒界工学
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20220721BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20220721BHJP
   B22F 1/16 20220101ALI20220721BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20220721BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20220721BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20220721BHJP
   H01F 1/057 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01F41/02 G
B22F1/14 100
B22F1/16 100
B22F3/00 F
C22C33/02 H
C22C38/00 303D
H01F1/057 170
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2018559157
(86)(22)【出願日】2017-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 US2017014488
(87)【国際公開番号】W WO2017132075
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-22
(31)【優先権主張番号】62/324,501
(32)【優先日】2016-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/288,243
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317011724
【氏名又は名称】ノヴェオン マグネティックス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ミハ ザコトニク
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/002280(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/205002(WO,A2)
【文献】国際公開第2004/029996(WO,A1)
【文献】LI CHAO,WASTE ND-FE-B SINTERED MAGNET RECYCLING BY DOPING WITH RARE EARTH RICH ALLOYS,IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,米国,IEEE SERVICE CENTER,2014年12月01日,VOL:50, NR:12,PAGE(S):1 - 3,https://www.researchgate.net/publication/273475404_Waste_Nd-Fe-B_Sintered_Magnet_Recycling_by_Doping_With_Rare_Earth_Rich_Alloys
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
C22C 38/00
B22F 3/00
C22C 33/02
B22F 1/16
B22F 1/00
H01F 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結磁性体を製造する方法であって、
(a)第1のGBM合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、0.1:99.9~16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
(i)該第1のGBM合金が、式:ACbRxCoyCudMz(式中、
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、5原子%~65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、Tb及びDyの一方又は双方を含む、1種以上の希土類元素であり、かつxは、5原子%~75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、20原子%~60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、0.01原子%~12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zの和は、99原子%を超える)
によって表され、
(ii)該第2のコア合金が、実質的に、式G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ、該第2のコア合金が、任意に、1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされている、前記均質化させること;
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記均質化させる工程(a)の前に、前記第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は該第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、水素の存在下、該第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は第1のGBE及び該第2のコア合金の双方の中への該水素の吸収を可能とする条件及び時間で処理し;又は
該均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含み;又は
該均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含み、該混合工程のうちの少なくとも1つが、前記粒子集団のうちの少なくとも一方、好ましくは双方の平均表面積を増加させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ACが、前記第1のGBM合金の10原子%~50原子%の範囲内で存在し;又は
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、又は0:100である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
Rが、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせであり;又は
Rが、少なくとも3種の異なる希土類元素を含み、その総計が、前記第1のGBM合金の10原子%~60原子%に相当する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
Coが、30原子%~40原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在し;又は
Cuが、0.01原子%~6原子%の範囲で該第1のGBM合金中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
Mが、Ag、Au、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせであり;又は
Mが、0.01原子%~10原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ニッケル及び/又はコバルトが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも36原子%を占め;又は
鉄及び/又はチタンが、該第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも2原子%、最高で6原子%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項8】
Gが、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第1のGBM合金が、少なくともネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、コバルト、銅、及び鉄を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、少なくとも1種の遷移金属元素又は典型元素でさらにドープされている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、Dy、Gd、Tb、Al、Co、Cu、Fe、Ga、Ti、又はZrのうちの1種以上でさらにドープされている、請求項1記載の方法。
【請求項12】
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、最高で6.5原子%のDy、最高で3原子%のGd、最高で6.5原子%のTb、最高で1.5原子%のAl、最高で4原子%のCo、最高で0.5原子%のCu、最高で0.3原子%のGa、最高で0.2原子%のTi、最高で0.1原子%のZr、又はそれらの組み合わせでさらにドープされている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第1のGBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子径が、1ミクロン~4ミクロンの範囲内にあり;又は
前記第2のコア合金の粒子の前記第2の集団の平均粒子径が、2ミクロン~5ミクロンの範囲内にある、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記(b)の加熱することが、結果として、各粒子が、1~5ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコア、及び前記第1の合金の元素によって組成が規定されるシェルを含む、前記個々に分離した混合合金粒子の集団の形成をもたらし、かつ
該個々に分離した混合合金粒子の集団の平均粒子径が、2ミクロン~6ミクロンの範囲内にある、請求項1記載の方法。
【請求項15】
(c)前記混合合金粒子の集団を、不活性雰囲気中で、磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の下で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記圧縮することが、800~3000kNの範囲内の力の下で行われる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記磁場が、0.2T~2.5Tの範囲内である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記圧粉体が粒界組成物によって共に保持された焼結コアシェル粒子を含む焼結体へと焼結するのに十分な時間、800℃~1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度で、該圧粉体を加熱することをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
(d)周期を成す真空及び不活性ガスの環境において、450℃~600℃の範囲内の温度で、前記焼結体を熱処理することをさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記焼結粒子が、0.3~2.9ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコアを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記焼結コアシェル粒子が、前記コアを囲む準同心のシェルをさらに含み、該シェルは、前記第2のコア合金のマトリックス内のCo、Cu、及びM元素のシェル層によって組成が規定される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
粒界合金では、コバルト及び銅が、前記焼結粒子中のそれらの存在と比較して濃縮され;又は
該粒界合金が、コバルト及び銅を、EDSで測定して、前記合金の全組成に対して少なくとも20重量%の合計量で、並びに少なくとも3種の希土類元素及び1種の遷移元素を、それぞれが該全合金組成の10重量%を超えずに含む、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記合金又は粒子の全体的な化学組成が、ICPによって特定される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
粒子内又は粒界内の全体的な化学組成が、破断面又は研磨面の端から端までのEDSマッピングを用いて特定される、請求項1、15、又は18記載の方法。
【請求項25】
式:ACbRxCoyCudMz(式中:
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、5原子%~65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、Tb及びDyの一方又は双方を含む、1種以上の希土類元素であり、かつxは、5原子%~75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、20原子%~60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、0.01原子%~12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zは、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて99.9原子%又は100原子%までである)
によって表されるGBM合金を含み、かつ
0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有する、組成物。
【請求項26】
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、又は0:100であり;又は
Rが、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせであり;又は
Mが、Ag、Au、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせである、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記合金が、実質的に、式(Nd0.01-0.18 Pr0.01-0.18 Dy0.3-0.5 Tb0.3-0.5)aa(Co0.85-0.95 Cu0.04-0.15 Fe0.01-0.08)bb(Zr0.00-1.00)cc;
(式中:
aaは、42原子%~75原子%の範囲内の値であり;
bbは、6原子%~60原子%の範囲内の値であり;かつ
ccは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値である;
但し、Nd+Prの合計量は、12原子%を超え;
但し、Nd+Pr+Dy+Tbの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超えて、99.9原子%又は100原子%までであり;
但し、Co+Cu+Feの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、99.9原子%又は100原子%までであり;かつ
但し、aa+bb+ccは、0.995を超えて、0.999又は1までである)
で表わされる、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
前記合金が、(Nd0.16 Pr0.05 Dy0.392 Tb0.40)aa(Co0.86 Cu0.12 Fe0.02)bb(Zr1.00)ccの化学量論式によって記述され、括弧内の値のうちのどの個々の変動も、独立して、±0.01、±0.02、±0.04、±0.06、±0.08、又は±0.1である、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
前記GBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子径が、1ミクロン~4ミクロンの範囲内にあり;又は
前記組成物が、柱状及び球状晶子結晶を含有する形態であり;又は
該組成物が、アモルファス形態である、請求項25記載の組成物。
【請求項30】
請求項25記載の組成物を含む、粒子又は粒子の集団。
【請求項31】
請求項25記載の組成物を含む、圧粉体。
【請求項32】
請求項25記載の組成物を含む、焼結体又はデバイス。
【請求項33】
前記GBM合金が、磁性、常磁性、強磁性、反強磁性、超常磁性である、請求項32記載の焼結体。
【請求項34】
前記デバイスが、コンピューター又はタブレットのハードディスク用ヘッドアクチュエータ、消去ヘッド、磁気共鳴画像法(MRI)設備、磁気ロック、磁気ファスナー、スピーカー、ヘッドホンもしくはイヤホン、携帯電話及び他の家庭用電化製品、磁気ベアリング及び磁気カップリング、NMR分光計、電気モーター(例えば、コードレスツール、サーボモーター、圧縮モーター、同期モーター、スピンドルモーター、及びステッピングモーター、電動ステアリング及びパワーステアリング、ハイブリッド自動車用及び電気自動車用駆動モーターにおいて用いられるようなもの)、並びに発電機(風力タービンを含む)からなる群から選択される、請求項32記載の焼結体又はデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年1月28日に出願された米国特許出願番号第62/288,243号及び2016年4月19日に出願された米国特許出願番号第62/324,501号の優先権の利益を主張し、その内容は全て、あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、希土類ベースの永久磁石を製造する方法、及び該方法から得られ、向上した磁気的性質を有する磁石を対象とする。特定の実施態様には、粒界工学操作されたNd2Fe14B磁石を含めたネオジム-鉄-ホウ素磁石を含む合金が含まれる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ネオジム、鉄、ホウ素(NdFeB)磁石は、1980年代初期に初めて開発され、今や、現在製造されている最も重要な永久磁性材料の1つである。これらの磁石は、MRI機器、ハードディスクドライブ、スピーカー、リニアモーター、A/Cモーター、風力タービン、ハイブリッド電気自動車、エレベーターモーター、及び携帯電話、並びに他の家庭用電化製品等の広範な用途に用いられる。しかしながら、増強された磁気性能に必要とされる希土類元素、特に、ジスプロシウム(Dy)及びテルビウム(Tb)の供給は不十分である。これらの元素の世界需要は、たいてい、供給を上回っている。これは、特に、多くの鉱山が、輸出割当によってこれらの元素の自由貿易が妨げられ、価格がつり上げられる中国に位置するためである。希土類元素のこの限られた供給は、多くの先進経済の産業にとっての懸念である。現在、焼結磁石の約40%は、それらのそれぞれが、約100~200グラム又はそれ以上の重さである磁性セグメントとしてハイブリッド電気モーター内に組み込まれる自動車産業での使用のために供給される。従って、最小濃度の重希土類(例えば、Dy及びTb)を用いて、それでもなお電気モーターでの使用に適したNdFeB磁石及び他の希土類含有磁石を生産することが望ましい。
【0004】
従来のNdFeB材料の製造では、高温で動作することができる保磁力の高い焼結NdFeB磁石本体を形成するのに、高濃度のDy又はTb元素を必要とする。この性質を修飾する従来の方法は、付随する高い材料及びプロセスコストを有する。
【0005】
粉体混合技術を用いて、2種の合金を組み合わせて磁性体を製造するプロセスが知られている。しかしながら、そのようなプロセスは、典型的には、双方ともDyを含有する2種の類似の合金を生産するための、付随する高い生産コストを有する。また、複数種の個々の粉末の一貫性のない混合のために、品質管理も難しい。NdFeB磁石におけるDyの添加量を増加させる別の試みでは、磁石本体の表面に、高濃度のDy、Tb、又は他の重元素を含有する材料を貼る、スパッタリングする、又はコーティングして、予備焼結された希土類磁石とするさまざまな方法が用いられる。後続の加熱工程の間に、これらの重元素は、磁石本体の一方の側/縁から粒界を通って該本体中に拡散して、該磁石の性質を変化させ;残留磁気に影響を及ぼすことなく保磁力を増加させる。該プロセスは、モーター用途に適した高保磁力磁石を作製するのに必要とされるDy又はTbの量を減少させると言われている。しかしながら、このような粒界拡散は、本体の厚みが6mmを超えない磁石に制限され、かつ成功裏に実行するには、追加の後処理工程及び複雑かつ高価な機械装置が必要とされる。加えて、このような拡散プロセスでは、保磁力を増加することができる範囲が制限され;典型的には、30~40%の保磁力の増加しか、該プロセスを用いて達成されない。
【0006】
本開示は、これらの問題のうちの少なくともいくつかを解決することを対象とする。
【発明の概要】
【0007】
(概要)
本開示は、高温で動作可能な有用な希土類磁石を作製するための方法、及びそれにより製造される磁石を記載する。
【0008】
ある実施態様は、向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する複数の方法であって、各方法が:
(a)第1の粒界修飾(GBM)合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
該第2のコア合金が、実質的に、式G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ;任意に、該第2のコア合金が、(未使用又はリサイクル材料のいずれかの使用を可能とするように)1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされており;
該第1のGBM合金の粒子の第1の集団の平均粒子径が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にあり;
該第2のコア合金の粒子の該第2の集団の平均粒子径が、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある、前記均質化させること;及び
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させることを含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、混合合金粒子は、粒子状コーティング(すなわち、前記複合合金プリフォーム中の)、又は連続的若しくは半連続的な(すなわち、個々に分離した混合合金粒子中の)コーティングのいずれかとして、第1のGBM合金コーティングを備える第2のコア合金粒子として特徴付けられてもよい。
【0009】
別の実施態様において、前記均質化させる工程(a)の前に、前記第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は前記第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、該合金の一方又は双方の中への水素の吸収を可能とするのに十分な条件及び時間で、水素ガスで処理する。該水素処理工程に続けて、脱ガス処理工程を行ってもよい。
【0010】
さらに別の実施態様において、前記方法は:(c)混合合金粒子の前記集団を、該磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の存在下、好ましくは不活性雰囲気中で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させることをさらに含む。
【0011】
追加の実施態様は、(d)前記圧粉体を焼結コアシェル粒子及び粒界組成物を含む焼結体へと焼結するのに十分な時間、約800℃~約1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度に、該圧粉体を加熱することをさらに含む方法を含む。
【0012】
さらに別の実施態様において、前記方法は、(e)周期を成す真空及び不活性ガスの環境において、前記焼結体を熱処理(又はアニーリング)することをさらに含む。これらの実施態様のいくつかにおいて、該周期を成す環境の温度は、約450℃~約600℃の範囲内である。
【0013】
別の実施態様において、焼結の間及び/もしくはその後並びに/又はアニーリングの間もしくはその後に、(f)前記焼結中の物体/焼結体が、本明細書に記載されるような、最終残留磁気及び保磁力を達成するのに十分な強度の磁場を印加すること、例えば、約400kA/m~約1200kA/m(0.5~1.5T)の範囲内の磁場を使用することによって磁化される。
【0014】
これらの実施態様のいくつかにおいて、前記第1のGBM合金は、実質的に、それだけでか、又は前記第2のコア合金粒子上のコーティングとしてかのいずれかで存在する、式ACbRxCoyCudMz(式中、
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b、x、y、d、及びzは、独立して、それらの記載された範囲内で可変である、但し、b+x+y+d+zの和は、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、約99.9原子%又は100原子%までである)
で表わされる。
【0015】
これらの実施態様の別のいくつかにおいて、前記第1のGBM合金は、実質的に、式NdjDykComCunFep(式中、
jは、全組成に対して、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
kは、全組成に対して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
mは、全組成に対して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
nは、全組成に対して、0.1~0.5、0.5~1、1~1.5、1.5~2、2~2.5、2.5~3、3~3.5、3.5~4、4~4.5、4.5~5、5~5.5、5.5~6、6~6.5、6.5~7、7~7.5、7.5~8、8.5~9、9~9.5、9.5~10、10~12、12~14、14~16、16~18、18~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
pは、全組成に対して、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;かつ
j、k、m、n、及びpは、独立して、それらの記載された範囲内で可変である、但し、j+k+m+n+pの和は、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、約99.9原子%又は100原子%までである)
で表わされる。
【0016】
本開示は、加工する方法に限定されず、いくつかの実施態様において、開示される方法で製造された粒子、圧粉体、又は焼結体、並びにこれらの焼結体を備える物品及びデバイスを提供する。
【0017】
さらに別の実施態様は、GBM合金を含む組成物を提供し、ここで、該合金は、実質的に、式:ACbRxCoyCudMz(式中:
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%又は10原子%~約50原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約10原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約30原子%~約40原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約6原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約10原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zの和は、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超え、かつ100原子%を超えない)
で表わされ;かつここで、該組成物は、0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有する。
【0018】
GBM合金は、アモルファスであるか、又は柱状及び球状晶子結晶を含有する形態である1つ以上の相を含んでもよい。
【0019】
本開示はまた、粒子を混合する装置であって:
(a)断熱式回転式反応器であって、該反応器が、入口ポート及び出口ポートを有し、各ポートが、それぞれ、粒子を、該回転式反応器から添加及び除去するよう適合されており、各入口ポート及び出口ポートには、任意に、粒子ふるいが取り付けられている、前記断熱式回転式反応器;
(b)真空を、該断熱式回転式反応器に提供する能力がある真空源;
(c)該回転式反応器を、使用中に加熱する能力があるヒーター;及び任意に
(d)該装置の作動中に、サンプルの回収を可能とするサンプリングポータル
を備える、前記装置を記載する。
【0020】
本開示はまた、前記粒子を混合するための装置を備える、発明の方法及び組成物を処理するためのシステムであって:
(a)磁性材料を、約1~約10バールの範囲内の(又はある状況では、それより高い)圧力の水素で処理する能力がある回転式水素反応器;
(b)排気され加熱されて、含水素磁性材料を脱ガスする能力がある回転式脱ガスチャンバー;
(c)ジェットミル装置;
(d)約800~約3000kN(20cm2あたり、又は60MPa)の範囲内の力を、粒子の集団に加える能力がある圧縮デバイスであって、該圧縮デバイスには、該圧縮デバイスが、該圧力を、該粒子の集団に加えている間に、約0.2T~約2.5Tの範囲内の磁場を提供する能力がある磁場源が取り付けられている、前記圧縮デバイス;及び
(e)焼結チャンバーであって、該チャンバーに、約400℃~1200℃の範囲内の内温を提供しながら、該チャンバー内に選択的な真空及び不活性雰囲気環境を提供するよう構成された、前記焼結チャンバー、のうちの1つ以上をさらに含む、前記システムを提供する。別の実施態様において、前記システムは、要素(a)~(e)のうちの任意の2、3、4、又は5つを備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(図面の簡単な説明)
本出願は、添付の図面と関連して読めば、さらに理解が深まる。主題を説明する目的のために、図面には、主題の例示的な実施態様が示される;しかしながら、それぞれが、本開示の実施態様を表すのではあるが、目下開示される主題は、開示される特定の方法、デバイス、及びシステムに限定されない。また、図面は必ずしも縮尺に合わせて描かれてはいない。図面において:
【0022】
図1図1は、G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素、例えば、Ndである)ベースの硬質の磁性相を囲む複数のシェルを含む、GBE-NdFeBベースの微細構造の一実施態様の理論化された概略図を示す。
【0023】
図2図2は、GBM合金材料のいくつかの物理的形態を示す:(A)は、GBM合金の形態を示し、(B)は、ストリップ鋳造薄片の例を示す。
【0024】
図3図3は、粒界修飾(GBM合金)を生産するためのさまざまな選択肢、及びGBM合金をストリップ鋳造薄片へと加えて例示的なGBE-NdFeB磁石を作製することができるさまざまな加工段階をハイライトした1つの例示的なプロセスフロー図を示す。
【0025】
図4図4A~4Bは、それぞれ、磁石及びGBE磁石と呼ばれる、従来方式で焼結されたストリップ鋳造磁石及びGBE-NdFeB磁石の2つの消磁ループを示す。図4Aにおいて、重量比は、S1(97.7):A2(2.3)である。表2を参照されたい。図4Bにおいて、重量比は、S1(97.2):A1(2.8)である。
【0026】
図5図5は、原子パーセントでNd 8.93%、Pr 3.05%、Dy 21.13%、Tb 21.60%、Co 38.33%、Cu 5.33% Fe 1.28%、及びZr 0.62%の組成に基づくGBM合金の後方散乱SEM画像を示し、異なるコントラストレベルは、GBM合金が、複数の相からなることを示す。相1、2、及び3の説明については、表10を参照されたい。
【0027】
図6図6は、代表的な第1のGBM合金の例示的な粉末XRDパターンを示す(例えば、表3を参照されたい)。
【0028】
図7図7は、代表的な第2のGBM合金の例示的な粉末XRDパターンを示す(例えば、表4を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(例示的な実施態様の詳細な説明)
本発明は、磁性材料及びを加工するための方法又はプロセス、及びこれらのプロセスの結果得られる組成物を対象とする。いくつかの実施態様において、第1のGBM合金は、第2のコア合金を修飾するのに用いられる。いくつかの実施態様において、これを達成するための工程は、第1のGBM及び第2のコア粒子のサイズを特定の寸法まで減少させることであって、該サイズが、第2のコア(磁性)合金のマイクロ粒を、第1のGBM合金の粒子でコーティングする(又はより一般的には混ぜ合わせた)のに適したものである、前記減少させることを含む。その後の工程は、粉末冶金を含み、熱処理により、第1のGBM合金の元素が、第2のコア合金の粒内へと拡散するのを可能にする条件が提供され、コアシェル構造が生じ、ここで、該コアは、第2のコア合金の硬質の磁性相を含んで維持している。焼結後の磁化及びさらなる熱処理は、結果として得られる焼結体の磁気的性質の追加の制御を可能とする。本明細書に記載される方法を用いて、それらの生産に低いレベルの高価な希元素を用いつつ、向上した熱安定性を有し、消磁場及び腐食に抵抗力がある、高い一様な保磁力を有する、GBE-NdFeB磁石を含む高エネルギー希土類磁石を製造することが可能である。
【0030】
本発明は、それらの全てが本件開示の一部を形成する添付の図面及び実施例に関連して理解される以下の記載を参照することにより、より容易に理解し得る。本発明が、本明細書に記載又は示される特定の生成物、方法、条件、又はパラメーターに限定されないこと、及び本明細書で使用される術語が、特定の実施態様を一例としてのみ記載するためのものであって、いかなる特許請求される発明の限定を意図するものではないことを理解すべきである。同様に、特に明記されない限り、作用の可能な機構、モード、又は理論又は向上の理由のいずれの記載も、例示的であることのみを意図しており、本明細書における発明は、作用のいかなるこのような提案された機構、モード、もしくは理論、又は向上の理由の正確さ又は不正確さによっても制約を受けない。本文書の全体にわたって、記載は、組成物及び該組成物を作製及び使用する方法に言及することが認識される。即ち、開示が組成物又は組成物を作製もしくは使用する方法に関連する特徴又は実施態様を記載又は請求する場合、ある文脈におけるこのような記載又は請求が、これらの特徴又は実施態様を、これらの文脈(すなわち、組成物、作製する方法、及び使用する方法)の他の全てにおける実施態様まで拡張することを意図していることが認識される。
【0031】
本開示において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該/前記(the)」は、複数への言及を含み、かつ特定の数値への言及は、文脈上そうでないと明確に示されない限り、少なくとも該特定の値を含む。従って例えば、「1つの材料」に対する言及は、このような材料及び当業者に公知のその等価物のうちの少なくとも1つなどに対する言及である。
【0032】
値が、記述子「約」を用いて近似値として表されている場合、特定の値が、別の実施態様を形成することが理解されるであろう。一般的に、用語「約」の使用は、開示された主題によって得ようとする所望の性質に応じて異なり得る近似値を示し、それが用いられる具体的な文脈において、その機能に基づいて解釈されるべきである。当業者は、これを、ルーチンのこととして解釈することができるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数が、「約」の語の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。別の場合において、一連の値に用いられる段階を用い、各値についての用語「約」に利用可能な意図される範囲を決定してもよい。存在する場合、全ての範囲は、包括的なものでありかつ組み合わせ可能である。即ち、複数の範囲に記載される値への言及は、該範囲内の全ての値を含む。
【0033】
明確性のために別々の実施態様の文脈で本明細書に記載される本発明のある特徴が、単一の実施態様内に組合せて提供されてもよいことが認識されるべきである。即ち、明らかに不適合であるか又は具体的に排除されている場合を除き、各個の実施態様は、任意の別の実施態様(複数可)と組み合わせ可能であるとみなされ、かつこのような組合せは、別の実施態様であるとみなされる。反対に、簡潔さのために、単一の実施態様との関連で記載される本発明のさまざまな特徴は、別々にか又は任意の副組合せで提供されてもよい。最後に、実施態様が、一連の工程の一部又はより一般的な構造の一部として記載されることもあるが、該工程のそれぞれも、別のものと組み合わせ可能な、それ自体で独立した実施態様と考えてもよい。例えば、本明細書に記載される方法の工程(a)~(f)において、工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)のそれぞれ、及びこれらの工程の2つ以上の任意の組合せを、本件開示の別々の実施態様と考える。
【0034】
作用のいかなる理論又は手段も、概念の例示的なものであること又は本発明(複数可)のある態様を視覚化するのに役立つことのみが意図され、何らかの特定の確実性で起こることが必ずしも知られているはずであるわけではない。従って、理解するのに役立つよう用いられるが、本発明(複数可)は、本明細書に記載される実施可能性の何らかの特定の理論の正確性に必ずしも依存しないことが認識されるべきである。
【0035】
移行句「~を含む/を備える(comprising)」、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting)」は、それらの特許専門用語(patent vernacular)において一般的に受け入れられている意味;即ち、(i)「~を含む/を備える(including)」、「~を含有する/を含む(containing)」、又は「~を特徴とする(characterized by)」と同義語である「~を含む/を備える(comprising)」は、包含的、即ち、オープンエンドのものであり、追加の記載されていない要素又は方法の工程を排除しないこと;(ii)「~からなる」は、請求項に明記されていない要素、工程、又は成分をいかなるものであっても排除すること;及び(iii)「本質的に~からなる」は、請求項の範囲を、明記された材料又は工程「及び特許請求される発明の基礎的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定することを暗示することが意図される。句「~を含む/を備える」(又はその等価物)の観点で記載される実施態様はまた、実施態様として、「~からなる」及び「本質的に~からなる」の観点で独立して記載されるものも提供する。「本質的に~からなる」の観点から提供されるこれらの実施態様については、基礎的かつ新規の特徴(複数可)は、これらの実施態様に記載される材料を用いるか又は含む発明の磁性材料を製造する能力(又は磁性材料自体)であるが、それでもなお、結果として得られる材料の磁気的性質に対する追加の又は有害な作用をほとんど有しないか、又は全く有しない不純物又は他の添加剤の任意の存在を可能とする。
【0036】
リストが呈示される場合、別段の記載がない限り、該リストの各個の要素、及び該リストの全ての組合せが、別々の実施態様であることを理解すべきである。例えば、「A、B、又はC」として提供される実施態様のリストは、実施態様「A」、「B」、「C」、「AもしくはB」、「AもしくはC」、「BもしくはC」又は「A、B、もしくはC」を含むものとして解釈されるべきである。更に、広い属(又は該属内の元素のリスト)が記載されている場合、該属の1以上の要素の具体的な除外に対して別々の実施態様がまた提供されることを理解すべきである。例えば、「希土類元素」という属に対する言及は、(例えば、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuを含む)該属内の2つ以上の要素の任意の1つもしくは組合せを含むだけでなく、該属の各々の構成要素が排除されると具体的に記載されていないとしても、具体的な実施態様として、該属の要素のうちの1つ以上(例えば、Sm)を含まない一般的な属も含む。
【0037】
本明細書の全体にわたって、単語には、当業者によって理解されるであろうそれらの標準的な意味が与えられるべきである。しかしながら、誤解を避けるために、ある用語の意味を、具体的に定義又は明確化する。
【0038】
本明細書で使用される用語「NdFeB」は、ネオジム、鉄、及びホウ素を含む組成物であって、その少なくとも一部が、化学量論Nd2Fe14Bのものである、前記組成物を指す。同様に、用語「GBE-NdFeB」は、「粒界工学操作された組成物」(「GBE組成物」)を提供するように粒界修飾因子(「GBM」)を組み込むいわゆる粒界工学(「GBE」)によって製造されたNd2Fe14B(又は「NdFeB」)を含む組成物を指す。本文脈において、GBE又は粒界工学は、粒界修飾因子(又は修飾)合金(又は「GBM合金」)として記載される粒子状合金と、NdFeBを含む粒子、及びそのような粒子から製造される構造が、該粒子状合金と会合した特定の金属が、一緒に焼結された場合に、該粒のためのマトリックスを形成しつつ、NdFeB粒子本体中に移動して、「GBE磁石」(「粒界工学操作された磁石」)を形成するように反応するプロセスを指す。このGBM合金金属のNdFeB粒子内への移動は、結果として得られるコアシェル粒子が、例えば、図1に示されるように;即ち、元のNd2Fe14B粒子のコア、及びコア-シェル粒子にわたって分布したさまざまな合金金属の勾配を含むものとして特徴づけされ得るコア-シェル構造をもたらす。これらの概念は、本明細書のどこか別の所でより完全に記載される。
【0039】
用語「GBM」及び「GBE」が、焼結体の粒界を修飾する同じ原理を指すために、一方の用語の他方によるいかなる置換も、重要な意味の違いとして解釈されるべきではない。
【0040】
本明細書で使用される、用語「均質化すること」は、粒子の一様な分布を調製するのに適した条件下で混合して、「実質的に均質な」組成物をもたらすプロセスを指す。該均質化するプロセスはまた、粒子の一部又は全ての摩損をもたらす。完全な均一性(すなわち、純粋な均一性)が、所望の目的であることもあるが、用語「均質化すること」は、必ずしもこのような完全な均一性をもたらすものではない。粉末を混合することの実用的な考察を反映して、結果として得られる組成物は、少なくとも3つのサンプルが採取され、例えば、ICPによって試験され、かつ該3つの分析の結果が、ある所定の標的精度範囲(例えば、平均に対して材料の測定値の標準偏差が、5、3、2、1、0.5、又は0.1%未満、好ましくは、0.5又は0.1%%未満)内である場合、又は該成分についての目標値の0.1%~0.5%以内である場合に、「実質的に均質」であるとみなしてもよい。
【0041】
本明細書で使用される、用語「固相線温度」は、それより低い温度では物質が完全に固体である(結晶化する)というその通常の意味を提供する。
【0042】
用語「実質的に、式Xで表わされる」は、名目上の式Xを有する合金を指すが、低レベルの不純物又は意図的に添加されたドーパントの存在を許容する。
【0043】
「混合合金粒子」におけるもののような用語「混合合金」は、その中で第2のコア合金粒子が、第1のGBM合金の粒子と接触している、好ましくは、それで少なくとも部分的にコーティングされている組成物を指す。混合合金が受けた熱処理に応じて、第1のGBM合金の元素の一部が、第2のコア合金の粒子内に拡散されていることもあり、全く拡散されていないこともある
【0044】
「圧粉体」は、予備焼結された物体の接触におけるその通常の言外の意味を有する。
【0045】
焼結体の文脈内で、用語「粒」又は「粒本体」は、該文脈における通常の言外の意味を有する。
【0046】
範囲が提供される場合、該範囲内の全ての整数又は整数の1/10が、同じ範囲内の独立した終了点(最小値又は最大値のいずれか)を表すことが意図される。例えば、「5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、60~65原子%、65~70原子%、70~75原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ」として表される範囲は、別の実施態様が、範囲が、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10原子…70~71、71~72、73~74、75原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ」としても表されるものを含むことが意図される。
【0047】
用語「は/が、(一連の値)のうちの少なくとも1つを超える」(例えば、「但し、Nd+Pr+Dy+Tbの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超える」)は、一連の値のそれぞれが、独立した実施態様であることを暗示することが意図される。さらに、値の合計が、1以上の値を超えるとして記載される場合(例えば、「95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超え」)において、の和が、100原子%を超えないことが明らかであろう。さらに、「95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超え」の記載も、合計が、95~98、98~99、99~99.5、99.5~99.8、99.8~99.9、99.9~100原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内にある別々の実施態様を含む。100%からの任意の名目上の相違を、典型元素、例えばAl、C、Si、N、O、又はPからのものを含む偶然の不純物又は他の意図的に添加されたドーパントに帰すことができ得る。
【0048】
別途明記されない限り、比率は、原子%(又はモル%)で与えられる。所与の式の中で、原子%は、その小数の等価物によって提供されることもある。例えば、組成物(Nd0.01-0.18Pr0.01-0.18Dy0.3-0.5Tb0.3-0.5)aa(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bb(Zr0.00-1.00)ccにおいて、用語Nd0.01-0.18及びPr0.01-0.18は、これらの元素が、1~18原子%の範囲で存在することを指し、用語Dy0.3-0.5及びTb0.3-0.5は、これらの元素が、30~50原子%の範囲で存在することを指す。
【0049】
「任意の」又は「任意に」は、それに続き記載される状況が起こってもよく、起こらなくてもよく、その結果、該記載が、該状況が起こる実施態様及びそれが起こらない事例を含むことを意味する。
【0050】
本件開示は、均質又は実質的に均質な合金に関するバルク、及び粒子又は粒内の組成物又は粒界内のもしくは粒界全体にわたる組成物に関する粉末双方の化学組成に言及する。このような状況において、これらの組成を記載する実施態様は、これらの組成物の品質又は性質を測定するのに用いられる方法を暗示的に記載する。例えば、合金又は粒子の全体的な化学組成が記載される場合、記載される実施態様を、例えば、誘導結合プラズマ(「ICP」)を含む適切な方法によって特定された該組成として読むことができる。同様に、実施態様が、粒子又は粒又は粒界内の組成を記載する場合、該実施態様を、該粒子、粒、又は粒界を含む破断面又は研磨面の端から端までのエネルギー分散型X線分析(「EDS」)マッピングを用いて特定されたか又は特徴づけされた該組成として読むことができる。このような場合、サンプルは、それらをEDS分析のためにSEMに入れる前に、SiCを含む1200研磨紙を用いて表面(複数可)を(そっと)研磨することによって、分析のために製造されてもよい。あるいは、表面(複数可)を、ダイヤモンドペーストを用いて研磨し、すすいでもよい。SEMに入れたら、EDS分析の前に、表面を、清浄かつ酸素を含まない表面を確保するためにGaイオンで清浄化するか、清浄化してもよい。
【0051】
本開示のさまざまな実施態様は、向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する複数の方法であって、各方法が:
(a)第1のGBM合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォーム(すなわち、1~16.5部の第1のGBM合金:99.9~83.5部の第2の合金)を形成することであって;
(i)該第1のGBM合金が、実質的に、式:ACbRxCoyCudMz(式中、
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(F)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(G)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(H)b+x+y+d+zの和は、95原子%を超え、又は95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超え、最大で約99.9又は100原子%である)
で表わされ、典型的には、該第1のGBM合金は、0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有し、
(ii)該第2のコア合金が、実質的に、G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ、該第2のコア合金が、任意に、1種以上の遷移金属元素又は典型元素(本明細書においてさらに定義される)でドープされる、前記均質化させること;
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させること
を含む、前記方法を含む。
【0052】
別の実施態様は、向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する複数の方法であって、各方法が:
(a)第1の粒界修飾(GBM)合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
該第2のコア合金が、実質的に、式G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素、例えば、Ndである)で表わされ;任意に、該第2のコア合金が、(未使用又はリサイクル材料の使用から生ずる材料の使用を可能とするように)1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされており;
該第1のGBM合金の粒子の該第1の集団の平均粒子径が、1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にあり;
該第2のコア合金の粒子の該第2の集団の平均粒子径が、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある、前記均質化させること;及び
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させること
を含む、前記方法を提供する。
【0053】
これらの実施態様のいくつかにおいて、前記混合合金粒子は、粒子状コーティング(すなわち、前記複合合金プリフォーム中に)としてか、又は連続的又は半連続的な(個々に分離した混合合金粒子中の)コーティングとしてのいずれかで存在する第1のGBM合金コーティングを備える第2のコア合金粒子として特徴付けられ得る。いくつかの実施態様において、第1のGBM合金のコーティングは、0.05~0.1、0.1~0.15、0.15~0.2、0.2~0.25、0.25~0.3、0.3~0.35、0.35~0.4、0.4~0.45、0.45~0.5ミクロンの範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を組み合わせた範囲;例えば、0.1~0.25ミクロンのコーティング厚を有する。
【0054】
本件開示は、第1のGBM及び第2のコア合金の観点からなされているが、個々の典型又は遷移又は希土類元素粒子の追加の集団のさらなる添加を妨げるものは何も無い。本件開示は、これらを、さらなる実施態様として企図する。
【0055】
別の実施態様において、前記均質化させる工程(a)の前に、前記第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は前記第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、該第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は該第1のGBM及び第2のコア合金の双方中への該水素の吸収を可能とするのに十分な条件及び時間で、水素で処理する。そのような実施態様は、大きな粒子又は薄片形態であろうとも、好都合に製造される合金形態の使用を可能とする。
【0056】
さらに別の実施態様において、前記方法は、独立して:(c)混合合金粒子の前記集団を、不活性雰囲気中で、該磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の下で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させること;(d)該圧粉体を焼結コアシェル粒子及び粒界組成物を含む焼結体へと焼結するのに十分な時間、約800℃~約1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度に該圧粉体を加熱すること;及び(e)任意に、磁場の存在下、周期を成す真空及び不活性ガスの環境において、該焼結体を熱処理(又はアニーリング)することをさらに含む。
【0057】
このような混合金属系を提供するために当技術分野において現在知られている方法を顕著に改良して、本開示の方法は、特に、複数種の金属を、第2のコア合金の粒子と混合して、個々に分離した混合合金粒子のより一様でありかつ均一に分布した粒子を提供するのに適する。例えば、第1のGBM合金は、少なくとも3、4、5、6種又はそれ以上の希土類又は遷移金属を含んで、これらの金属の第2のコア合金への化学量論的に厳密な添加に備えてもよい。このことは、各個の元素について別個の粉末の添加と比較して、かなり使いやすくかつ再現性のあるこのような材料を添加する手段を提供する。
【0058】
本方法は、初期の粒子のよく混じった冶金学的混合に依存して、混合合金(予備焼結された)粒子を提供する。このよく混じった混合は、より高価ではない添加剤を用いて、優れた性能の実質的に均質に構築された焼結体を製造する能力を供給する。
【0059】
さまざまな用語を思い浮かべるのに役立つように、かつある実施態様が、粒界組成物によって共に埋め込まれるか又は保持されたコアシェル粒を含む焼結体を提供するという文脈において、前記第1のGBM合金を、粒界材料前駆体であると考えてもよく(例えば、GBM合金は、最終的には、粒界材料を形成する)、第2のコア合金を、コア-シェル粒子前駆体であると考えてもよい(例えば、第2のコア合金の少なくとも一部は、最終的には、コア-シェル粒子のコアを形成する)。さらに、Nd2Fe14Bを、該第2のコア合金の便利な1実施態様として見てもよいが、いずれの場合にも、開示が、これらの代表例や記載に限定されることはなく、これらの特徴づけが、組成物をこれらの用途に限定することもない。本明細書に記載され請求の範囲に記載される処理工程を通じて、2種の合金が、相互作用して、標的の焼結構造を形成する。
【0060】
発明の粉末の製造
【0061】
いくつかの実施態様において、GBM合金は、誘導鋳造、ストリップ鋳造、又は噴霧粉末法(実施例を参照されたい)を含む方法によって製造されてもよい。同様に、第2のコア合金は、いくつかの実施において、従来型のストリップ鋳造によるか、又は既存の希土類金属磁石をリサイクルすることによって製造された硬質の磁性合金である。元素は、これらの合金中で、非酸化物として組み合わされ、反応は、実質的に酸素の非存在下で行われる(すなわち、例えば、合金を不活性雰囲気下で処理することによって、処理の間の空気又は酸素の導入を避けるために慎重な手段を講じる。完全を期すために、それ自体で及び第2のコア合金との双方で、合金又は金属間化合物を形成する能力を持つように、第1のGBM合金が、記載される比率のAC、R、Co、Cu、及びMの組合せで構成されるべきであるということも明らかであるべきである。また、典型的には、第1のGBM合金は、第2のコア合金よりも砕けやすく、それは、典型的には、かなりより硬く、必要な加工を可能とする。また、第1のGBM合金は、第2のコア合金よりも低い融点を有するか、又は、少なくとも、第2のコア合金内へのその元素の移動を、その逆よりも受けやすい。
【0062】
均質化させる工程(a)の前に、第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、水素の存在下、該第1のGBM合金もしくは第2のコア合金のいずれか、又は該第1のGBM合金及び第2のコア合金の双方の中への該水素の吸収を可能とする条件及び時間で前処理することの観点から、方法を説明する。そのような水素処理は、それぞれの合金(複数可)を、0.1バール~150バール、好ましくは1バール~10バールの水素圧力まで処理することを含んでもよい。粒子サイズに関する「粗い」という用語は、10ミクロンよりも大きい任意のサイズの点から(任意のアスペクト方向に)規定され得るが、該用語はまた、バルク合金を製造する誘導鋳造法、ストリップ鋳造法、又は噴霧粉末法から得られる出発材料の使用を反映し得る。このような場合、プロセスに典型的に提供される材料の形態は、センチメートルスケールの寸法を有する薄片又は断片である。いくつかの例において、第1の(GBM)薄片は、5cm×5cm×7cmのオーダーの初期寸法を有し得る(例えば、図2(A)を参照されたい)。また、第2の(例えば、NdFeB)薄片は、0.2cm×2~6cm×2~8cmのオーダーの初期寸法を有し得る(例えば、図2(B)を参照されたい)。典型的には、ストリップ鋳造薄片の厚み分布は、平均値の周囲に+/-2.5%の標準偏差が許容されるガウス分布である。また、典型的には、GBM薄片の初期寸法は、同様に、特定される寸法の前後5%の許容可変性のあるガウス分布を有する。
【0063】
水素処理に続けて、脱ガス処理を、例えば、約200℃~約850℃又は約400℃~約600℃の範囲であるが、第1のGBM合金の融解温度未満の温度で行ってもよい。この水素吸収及び脱離の周期は、初期薄片又は塊を不安定化して、それらを、均質化段階の間に粉砕をより受けやすくするための便利かつ効果的な手段である。例えば、NdFeB磁石は、2つの主相で構成される;各コア粒を「コーティング」し、「粒界」として知られるより薄いネオジム(Nd)リッチ相によって囲まれた、Nd2Fe14Bで構成される磁性粒、結晶、又はコア相。この加工の間、新たにストリップ鋳造されたNdFeB合金中に存在する大きなコア相を、それらの固有の磁位を破壊することなくより小さな結晶及び/又は粒子へと破壊する一連の選択的熱割れ及び製粉工程によって、コア粒相の表面積が増加する。これは、典型的には、Nd2Fe14Bの質量約95%の回収に終わるが、該材料は、今や、かなり増加した数の極めて小さなコア又は粒として存在する。
【0064】
水素熱割れ工程(複数可)に加えてかつ/又はそれを補足して、均質化させる工程(a)は、前記粒子集団のうちの少なくとも一方、好ましくは双方の平均表面積を増加させる複数の別個の混合工程を含んでもよい。好ましい実施態様において、このような混合工程が3つ用いられる:即ち、混合物内で組成変化を開始させる第1混合工程;表面積を増加させることによって、第1のGBM合金を、第2のコア合金と均一に分布させる第2混合工程;及び混合物の最終の目標とする組成を達成する第3混合工程である。
【0065】
例示的な加工としては、粒子形態を維持するために同時に混合し加熱することが挙げられる。混合の間に用いられる温度は、少なくとも第1及び第2の温度の間で周期的に変化させることができ、好ましくは周期的に変化させる。該第1の温度は、およそ周囲温度(約23℃~30℃の範囲)であり、第2の温度は、約75℃~約125℃の範囲、好ましくは、80℃である。好都合には、2種の粉末は、例えば、毎分30~60回転で、少なくとも50又は60分間回転される回転ミキサー中で混合され、実質的に均質な組成物が生成する。
【0066】
このようなプロセスにおける使用に利用可能な例示的な工程及び代表的な方法の実施例の略図については、図3も参照されたい。
【0067】
いくつかの実施態様において、均質化/混合工程は、乾燥粒子として第1及び第2の粒子を用いて、1以上の回転式混合チャンバー内での転動によって達成される。いくつかの実施態様において、均質化/混合工程は、磨砕球を用いる磨砕によってなされる。どちらの場合にも、チャンバーの壁及び/又は磨砕球は、第1及び第2の合金粒子と比較して十分な硬度のものであるべきであり、その結果、前者から後者への材料の移動は、実質的に存在しない。
【0068】
前記方法は、第1のGBM合金の化学組成に、また、第1のGBM及び第2のコア合金の比に利用可能な選択肢の点の双方で柔軟である。該方法において、第1のGBM合金の粒子の第1の集団及び第2のコア合金の粒子の第2の集団を、0.1:99.9~99.9:0.1の、最終所望組成物と矛盾のない任意の重量比の組合せで混合してよい。先の説明の文脈において、第1及び第2の合金の相対量は、第2の合金99.9部あたり0.1部の第1の合金から、83.5部の第2の合金あたり16.5部の第1の合金までとして定義されてもよい。追加の独立した実施態様は、第1の合金の(最終組成物の100部あたり)、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、1.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5.、15、15.5、16、又は16.5部を含む第1のGBM合金の漸増する比が、補足的な量の第2のコア合金と混合されることを含む。これらの値のうちの2つの任意の比は、独立した実施態様、例えば、6.5部の第1の合金対93.5部の第2のコア合金を含んでもよい。
【0069】
原則として、均質化させる工程の目的は、実質的に均質な混合合金粉末を、GBM合金粒子がその後に、第2のコア合金の粒子(例えば、Nd2Fe14B粒子)を「コーティング」できるように提供することである。これを達成するために、Nd2Fe14B及び独自の合金のバルク断片の双方を、超微粒子(約3.8マイクロメートル)まで製粉する。
【0070】
第1のGBM合金のソース材料の物理的形態が、第2のコア合金粒子のそれよりも物理的に大きい場合であっても、2つの材料の相対的な硬度及びもろさは、典型的には、第1のGBM合金粒子サイズが、第2のコア合金のそれよりも小さい粒子サイズをもたらす。いくつかの実施態様において、前記第1のGBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子径は、約0.5ミクロン~約5ミクロンの範囲内であるか、又は0.5~0.8ミクロン、0.8~1ミクロン、1~2ミクロン、2~2.5ミクロン、2.5~3ミクロン、3~4ミクロン、もしくは4~5ミクロンを含む副範囲のうちの任意の1つもしくは組合せの範囲内であるか、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を組み合わせた範囲、例えば、1ミクロン~4ミクロンの範囲内にある。
【0071】
いくつかの実施態様において、前記第2のコア合金の粒子の前記第2の集団の平均粒子径は、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある。いくつかの実施態様において、該範囲は、2~2.2ミクロン、2.2~2.4ミクロン、2.4~2.6ミクロン、2.6~2.8ミクロン、2.8~3ミクロン、3~3.2ミクロン、3.2~3.4ミクロン、3.4~3.6ミクロン、3.6~3.8ミクロン、3.8~4ミクロン、4~4.2ミクロン、4.2~4.4ミクロン、4.4~4.6ミクロン、4.6~4.8ミクロン、4.8~5ミクロン、5~5.2ミクロン、5.2~5.4ミクロン、5.4~5.6ミクロン、5.6~5.8ミクロン、5.8~6ミクロン、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せであってよい。結果として得られる混合合金粒子は、第1のGBM合金粒子でコーティングされた第2のコア合金粒子として想定され得るが、混合の加成性を反映し、いくつかの実施態様においては、個々に分離した混合合金粒子の集団の平均粒子が、約2ミクロン~約6ミクロン、好ましくは、3~4ミクロンの範囲内であることを目標とする。
【0072】
混合合金粒子の実際の形態は、熱処理条件及び第1のGBM合金の特定の性質次第である。場合によっては、第1のGBM合金は、第2のコア合金に単に付着していてもよく、又は第2のコア合金を部分的に又は完全にコーティングしていてもよく、又は第1の合金の元素は、第2のコア合金粒子内への内へと移動し始めていてもよい。これらの粒子の任意の混合物は、これらの種類の粒子のうちの1種以上を含有していてもよい。
【0073】
ある実施態様において、粒子の組成が、誘導結合プラズマ(「ICP」)の使用を含む方法を用いて、この処理の間モニタリングされる。典型的には、処理の間に、サンプルが混合チャンバーから採取され、ICPによって試験される。いずれの場合にも、少なくとも3つのサンプルが採取され試験され、3つの分析の結果が、ある所定の目標範囲内である場合に、混合物は、実質的に均質であるとみなされる。ひとたび均質化されると、粒子は、この目的のために利用可能な(例えば、実施例を参照されたい)粒子サイズ分析装置を用いて、適切な粒度測定に関しても試験される。組成が目標とする組成とは異なる場合、組成に対して行われるべき調整に応じて、第1又は第2の合金の粒子の添加によって調整してもよい。粒子サイズが大きすぎる場合、混合が継続される。
【0074】
粉末の化学的性質
【0075】
混合合金粒子を含む圧粉体のフォーミング、焼結、及びアニーリングを対象とする工程に進む前に、該合金の化学的性質を記載することが有益である。第1及び第2の合金、混合合金粒子、圧粉体、及び焼結体の粒及び粒界の以下の記載は、組成物自体及びこれらの組成物を採用している方法の双方に当てはまる。
【0076】
いくつかの実施態様において、第1のGBM合金は、ACbRxCoyCudMzの組成化学量論性を含み、式中、AC、R、M、b、x、y、d、及びzは、本明細書の別の場所におおまかに記載される。本添加合金が、実質的に、第2のコア合金とは異なることが明らかであろう。いくつかの実施態様において、GBM合金は、添加されたホウ素を全く含有しない。いくつかの実施態様において、GBM合金は、添加されたアルミニウムを全く含有しない。別の実施態様において、GBM合金は、スズを全く含有しない。さらに別の実施態様において、GBM合金は、亜鉛を全く含有しない。これらの実施態様のうちの任意のもの又は全てが、添加されたAl、B、Sn、又はZnを全く含有しない状況は、これらの元素が、不可避不純物として存在する可能性を、必ずしも排除しないであろうが、組成物又はGBE工学操作は、最終的に成形されたGBE磁石を修飾するために、これらの存在を当てにしてはいない。
【0077】
いくつかの別の実施態様において、第1のGBM合金は、実質的に、式NdjDykComCunFepで表わされ、式中、j、k、m、n、及びp、並びにそれらの相互関係は、本明細書の別の場所に大まかに記載される。これらの実施態様において、第1のGBM合金は、実質的に、式NdjDykComCunFepで表わされる材料を含み、式中、j、k、m、n、及びp、並びにそれらの相互関係は、本明細書の別の場所に大まかに記載される。即ち、これらの後者の実施態様において、第1のGBM合金は、本明細書に記載されるような追加の希土類又は遷移金属のうちの1つ以上を、同じく本明細書に記載されるレベルで含有する。
【0078】
第1のGBM合金は、アモルファス(XRDパターンにおいて特徴を示さない)、半結晶性(XRDパターンにおいてブロード化した特徴のみを示す)、又は結晶性(よく規定されたXRD特徴を示す-例えば、図6を参照されたい)であってもよい。結晶性である場合、いくつかの実施態様において、該形態は、柱状及び球状晶子結晶を含有する。
【0079】
上述のように、第1のGBM合金が、ACbRxCoyCudMzの組成化学量論性を含むいくつかの実施態様において、ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み(本範囲のある態様は、0:100、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、100:0も含む)、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値である。追加の実施態様において、AC中のNdのPrに対する原子比は、100:0(すなわち、Ndのみ)、25:75、50:50、75:25、又は0:100(すなわち、Prのみ)である。Nd及びPrの商業的ソースが、これらの比率を有する材料に利用可能であり、これらをGBM合金の生産のための使いやすいソースとしている。
【0080】
第1のGBM合金が、ACbRxCoyCudMzの組成化学量論性を含むまたさらなる独立した実施態様において、bは、5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、60~65原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内の値である。ある非限定的な例示的な組合せ範囲は、10~50原子%の範囲を含む。別の実施態様は、範囲が、これらの範囲内の整数値によって規定されるもの、例えば、約9~約16原子%を含む。
【0081】
上でも記載したように、第1のGBM合金が、ACbRxCoyCudMzの組成化学量論性を含む場合、いくつかの実施態様において、Rは、1種以上の希土類元素である。希土類元素には、ランタニド系列及びアクチニド系列を構成する元素が含まれるが、ランタニド系列を構成する元素が好ましい。この系列を構成する元素には、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuが含まれる。さまざまな独立した実施態様も、これらの元素のうちの任意の1つ以上を含むが、好ましくは、これらの元素のうちの少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14種を含み、より好ましくは、これらの元素のうちの少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、又は14種を含む。追加の実施態様において、Rは、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はこれらの別個の元素のうちの2、3、4、5、6、7、又は8種、好ましくは、これらの別個の元素のうちの少なくとも3、4、5、6、7、又は8種の組合せである。個々の実施態様において、希土類元素のクラスに入る任意の1種以上の元素が、個々に亜属に含まれていてもよいか、又は個々に属又は亜属から排除されていてもよいことを認識するべきである。Smは、これらの組合せのうちのいくつかにおいて具体的に排除される。
【0082】
第1のGBM合金が、ACbRxCoyCudMzによって表される場合、いくつかの実施態様において、xは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値である。別の独立した実施態様において、xは、5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、60~65原子%、65~70原子%、70~75原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内の値である。例示的、非限定的な組合せ範囲は、30~60原子%又は10~60原子%を含む。別の実施態様は、該範囲が、これらの範囲内の整数によって規定されるもの、例えば、約38~約48原子%を含む。ここでも、どこか別の所に記載したように、本開示は、元素の組合せが、分離可能であり、かつ個々の元素が組み合わせ可能であることを説明した。このことの単なる一例として、R及びxに関して、いくつかの実施態様において、Rは、少なくとも3種以上の異なる希土類元素を含み、総計(すなわち、x)が、上述の範囲内の値に相当し、例えば、該範囲は、第1のGBM合金の約10原子%~約60原子%である。
【0083】
式ACbRxCoyCudMz中、Coは、約20原子%~約60原子%の範囲内の量で第1のGBM合金中に存在する。別の独立した実施態様において、yは、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内の値であり;例示的な、非限定的な組合せ範囲としては、30~40原子%が挙げられる。別の実施態様は、該範囲が、これらの範囲内の整数によって規定される、例えば、約32原子%~約46原子%であるものを含む。
【0084】
式ACbRxCoyCudMzにおいて、Cuは、約0.01原子%~15原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する。独立した実施態様において、dは、0.01~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、10~11原子%、11~12原子%、12~13原子%、13~14原子%、14~15原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せである。例えば、1つの例示的な組合せ範囲において、Cuは、0.01~6原子%の範囲で存在する。別の実施態様は、範囲が、これらの範囲内の10分の1整数値によって規定される、例えば、約3.1~約8.9原子%であるものを含む。
【0085】
式ACbRxCoyCudMzにおいて、Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の量で前記第1のGBM合金中に存在する。Feの存在下での低レベルのZrの存在は、本明細書に記載される特定の利益を提供するようである。
【0086】
遷移金属Mとして記載される属には、式中で別に計算されるCu及びCoを除く、周期表の第3~12族かつ第4~6周期の元素が含まれる。該遷移金属としては、例えば、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgが挙げられる。さまざまな独立した実施態様もまた、これらの元素のうちの任意の1つ以上を含むが、好ましくは、これらの元素のうちの少なくとも3、4、5、6、7、8、9、又は10種、より好ましくは、これらの元素のうちの少なくとも6、7、8、9、又は10種を含む。追加の実施態様において、Mは、Ag、Au、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はこれらの元素のうちの2つ以上の組合せである。またさらなる実施態様において、Mは、Fe及びZrを含む。別の実施態様において、Mは、Cu及びCoを除く1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13種の別個の遷移金属元素、好ましくは、Cu及びCoを除く少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12種の別個の遷移金属元素を含む。Rに関して上で記載したように、個々の実施態様において、遷移金属元素のクラスに入る任意の1種以上の元素が、個々に亜属に含まれていてもよいか、又は個々に属又は亜属から排除されていてもよいことを認識するべきである。
【0087】
本目的のために、遷移金属のこの属は、第1のGBM合金の式において別々に考慮される元素のランタニド系列やアクチニド系列や、CuやCoのうちのいかなるものも含まない。
【0088】
第1のGBM合金が、ACbRxCoyCudMzによって表される場合、独立した実施態様において、Mは、約0.01原子%~10原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する。独立した実施態様において、zは、0.01~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、10~11原子%、11~12原子%、12~13原子%、13~14原子%、14~15原子%、15~16原子%、16~17原子%、17~18原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲であり;例示的な組合せ範囲としては、0.01~10原子%、0.01~8原子%、0.5~5原子%、又は1~2原子%が挙げられる。ここでも、第1のGBM合金に関して、Co及びCuの双方の量は、それぞれ、y及びdについて挙げた値の範囲内であると考える。いくつかの実施態様において、M(従って、GBM合金)は、添加されたアルミニウムを全く含有しない。別の実施態様において、M(従って、GBM合金)は、スズを全く含有しない。さらに別の実施態様において、M(従って、GBM合金)は、亜鉛を全く含有しない。これらの実施態様のうちの任意のもの又は全ては、添加されたAl、B、Sn、又はZnを全く含有しない状況は、これらの元素が、不可避不純物として存在する可能性を必ずしも排除しないであろうが、組成物又はGBE工学操作は、最終的に成形されたGBE磁石を修飾するために、これらの存在を当てにしてはいない。いくつかの実施態様において、M(従って、GBM合金)中に含有されるFeの量は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5.5~6原子%、6~6.5原子%、6.5~7原子%、7~7.5原子%、7.5~8原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、0.5~4原子%の範囲内である。
【0089】
第1のGBM合金に提供される式においては、いくつかの実施態様において、b+x+y+d+zの和は、95原子%を超える。いくつかの好ましい実施態様において、この和は、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超え、最も好ましくは、最高で99.9原子%又はほぼ100原子%である。100原子%からの相違はいかなるものであれ、例えば、プロセス中に導入されるか、合金を製造するのに用いられる原料から導入される、偶然の不純物又は他の元素、例えば、周期表の典型元素の意図的な添加を反映する。そのような不純物としては、例えば、Al、C、Si、N、O、Pが含まれ得る。典型的には、第1のGBM合金は、0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有する。
【0090】
第1のGBM合金の式のより一般的な定義の範囲内で、ある種の元素組成物が好ましいことがある。例えば、いくつかの実施態様において、第1のGBM合金は、少なくともネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、コバルト、銅、及び鉄を含む。別の実施態様において、Zrも存在する。別の実施態様において、ニッケル及び/又はコバルトが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ、存在する場合には、合わせて該第1のGBM合金の全組成の少なくとも36原子%を占めることができる。別の実施態様において、鉄及び/又はチタンが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ、存在する場合には、合わせて第1のGBM合金の全組成の少なくとも2原子%を占めることができる。
【0091】
いくつかの実施態様において、第1のGBM合金は、実質的に、(Nd0.01-0.18Pr0.01-0.18Dy0.3-0.5Tb0.3-0.5)aa(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bb(Zr0.00-1.00)cc;
(式中:
aaは、42原子%~75原子%の範囲内の値であり;
bbは、6原子%~60原子%の範囲内の値であり;かつ
ccは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値である;
但し、Nd+Prの合計量は、12原子%を超え;
但し、Nd+Pr+Dy+Tbの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超えて、約99.9又は100原子%までであり;
但し、Co+Cu+Feの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、約99.9又は100原子%までであり;かつ
但し、aa+bb+ccは、0.995を超えて、約0.999又は1までである)
の式で表わされる。いくつかの実施態様において、これらの組成は、別のやり方で本明細書において規定されるより一般化した式ACbRxCoyCudMzのサブセットであり、かつ該式の特定の特徴を組み込む。
【0092】
この式の中で、Nd及びPrは、文脈において(すなわち、(Nd0.01-0.18Pr0.01-0.18Dy0.3-0.5Tb0.3-0.5)aaの)、独立して1~18原子%の範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、1~2原子%、2~3原子%、3~4原子%、4~5原子%、5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、10~11原子%、11~12原子%、12~13原子%、13~14原子%、14~15原子%、15~16原子%、16~17原子%、17~18原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、4~18原子%としてさらに規定され得る。
【0093】
この式の中で、Dy及びTbは、文脈において(すなわち、(Nd0.01-0.18Pr0.01-0.18Dy0.3-0.5Tb0.3-0.5)aaの)、独立して30~50原子%の範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、30~32原子%、32~34原子%、34~36原子%、36~38原子%、38~40原子%、40~42原子%、42~44原子%、44~46原子%、46~48原子%、48~50原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、36~42原子%としてさらに規定され得る。
【0094】
この式の中で、Coは、文脈において(すなわち、(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bbの)、独立して85~95原子%の範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、85~85.5原子%、85.5~86原子%、86~86.5原子%、86.5~87原子%、87~87.5原子%、87.5~88原子%、88~88.5原子%、88.5~89原子%、89~89.5原子%、89.5~90原子%、90~90.5原子%、90.5~91原子%、91~91.5原子%、91.5~92原子%、92~92.5原子%、92.5~93原子%、93~94原子%、94~95原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、85~93原子%としてさらに規定され得る。
【0095】
この式の中で、Cuは、文脈において(すなわち、(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bbの)、独立して4~15原子%範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~6.5原子%、6.5~7原子%、7~7.5原子%、7.5~8原子%、8~8.5原子%、8.5~9原子%、9~9.5原子%、9.5~10原子%、10~10.5原子%、10.5~11原子%、11~11.5原子%、11.5~12原子%、12~12.5原子%、12.5~13原子%、13~13.5原子%、13.5~14原子%、14~12.5原子%、14.5~15原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、85~93原子%としてさらに規定され得る。
【0096】
この式の中で、Feは、文脈において(すなわち、(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bbの)、独立して1~8原子%の範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~6.5原子%、6.5~7原子%、7~7.5原子%、7.5~8原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、85~93原子%としてさらに規定され得る。
【0097】
この式の中で、Zrは、文脈において(すなわち、(Zr0.00-1.00)ccの)独立して0~100原子%の範囲内に存在するとして記載されている。別の実施態様において、これらの独立した範囲は、0~5原子%、5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~3原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、90~55原子%、55~60原子%、60~65原子%、65~70原子%、70~75原子%、75~80原子%、80~85原子%、85~90原子%、90~95原子%、95~100原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、85~93原子%としてさらに規定され得る。
【0098】
そのような組成物は、(Nd0.16Pr0.06Dy0.39Tb0.39)aa(Co0.85Cu0.12Fe0.03)bb(Zr1.00)ccの化学量論式によってより具体的に記載され得る。括弧内の値のうちのどの個々の変動も、独立して、±0.01、±0.02、±0.04、±0.06±0.0.8、又は±0.1であってもよい。
【0099】
独立した実施態様において、aaは、42~44原子%、44~46原子%、46~48原子%、48原子%~50原子%、50~52原子%、52~54原子%、54~56原子%、56~58原子%、58~60原子%、60~62原子%、62~64原子%、64~68原子%、68~70原子%、70~72原子%、72~75原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、52~56原子%の範囲内の値である。
【0100】
別の実施態様において、bbは、6~8原子%、8~10原子%、10~12原子%、12~14原子%、14~16原子%、16~18原子%、18~20原子%、20~22原子%、22~24原子%、24~26原子%、26~28原子%、28~30原子%、30~32原子%、32~34原子%、34~16原子%、36~38原子%、38~40原子%、40~42原子%、42~44原子%、44~46原子%、46~48原子%、48~50原子%、50~52原子%、52~54原子%、54~56原子%、56~58原子%、58~60原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、42~46原子%の範囲内の値である。別の実施態様としては、該範囲が、これらの範囲内の整数値によって規定されるものが挙げられる。
【0101】
さらに別の実施態様において、ccは、0.01~0.02原子%、0.02~0.03原子%、0.03~0.04原子%、0.04~0.05原子%、0.05~0.06原子%、0.06~0.07原子%、0.07~0.8原子%、0.08~0.09原子%、0.09~0.1原子%、0.1~0.2原子%、0.2~0.3原子%、0.3~0.4原子%、0.4~0.5原子%、0.5~0.6原子%、0.6~0.7原子%、0.7~0.8原子%、0.8~0.9原子%、0.9~1原子%、1~2原子%、2~3原子%、3~4原子%、4~5原子%、5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、11~12原子%、12~13原子%、13~14原子%、14~15原子%、15~16原子%、16~17原子%、17~18原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、0.8~1.6原子%の範囲内の値である。別の実施態様としては、該範囲が、これらの範囲内の整数値又は1/10整数値によって規定されるものが挙げられる。
【0102】
具体的な一実施態様において、合金は、Nd0.9Pr0.3Dy0.21Tb0.22Co0.38Cu0.05Fe0.01Zr0.01として表し得る(あるいは、以下:
(Nd0.16Pr0.06Dy0.39Tb0.39)54.4(Co0.85Cu0.12Fe0.03)44.9(Zr1.00)0.62に対応するとして記載し得る)、Nd 8.7±0.4原子%;Pr 3.3±0.4原子%;Dy 21.2±0.4原子%;Tb 21.2±0.5原子%;Co 38.2±0.5原子%;Cu 5.4±0.4原子%;Fe 1.3±0.3原子%;Zr 0.6±0.5原子%の化学量論によって表される。関連する実施態様において、本組成物中の各元素の変動は、独立して、±4.0、3.0、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1原子%である。
【0103】
次に、ここでも、第2のコア合金を、実質的に式G2Fe14Bで表わされるものとして考えると、本材料は、未使用又はリサイクル材料から誘導されてもよく、いずれの場合にも、任意に1以上のドーパントで任意にドープされていてもよい。ここでも、これらの記述は、組成物自体に関するものであれ、1以上の方法におけるその使用に関するものであれ、第2のコア合金にあてはまる。
【0104】
その化学的性質のおかげで、第2のコア合金は、磁性体、常磁性体、強磁性体、反強磁性体、超常磁性体であるか、又は適当な条件下でそのようにできる。典型的には、これらは、最終の焼結体においてこのような性質を発揮させられる。
【0105】
上述のように、Gは、希土類元素を含むと定義され、ここで、Gは、本明細書においてRに関して定義される希土類元素、又は希土類元素の組合せの観点で最も広く定義される。好ましい実施態様において、Gは、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせの観点で定義される。別の好ましい実施態様において、Gは、実質的に、Prを含むか又は含まないNdである。さらに別の好ましい実施態様において、Gは、実質的にNdである。本明細書で使用される用語「実質的にNd」とは、希土類元素含量の大部分がNd(例えば、95原子%超、98原子%超、又は99原子%超、であるが、他の希土類元素でドープされていてもよい)組成を指す。第2のコア合金中の希土類元素(複数可)の性質が、特定の化学的又は化学量論的又は比率的ベース、又はそれらの組み合わせに関して、第1のGBM合金中のそれと同じであっても異なっていてもよいことに留意されたい。典型的には、第1のGBM及び第2のコア合金中の希土類の組合せは異なる。
【0106】
第2のコア合金は、さらに、任意に、1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされていてもよい。ある実施態様において、これらのドーパントは、Dy、Gd、Tb、Al、Co、Cu、Fe、Ga、Ti、又はZrのうちの1種以上を含む。なおさらに具体的な実施態様において、第2のコア合金は、さらに、任意に、最高で6.5原子%のDy;最高で3原子%のGd;最高で6.5原子%のTb;最高で1.5原子%のAl、最高で4原子%のCo、最高で0.5原子%のCu、最高で0.5原子%のFe、最高で0.3原子%のGa、最高で0.2原子%のTi、最高で0.1原子%のZr、又はそれらの組み合わせでドープされる。即ち、独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~6.5原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のDyでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~6.5原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のTbでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のGdでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のAlでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のCoでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.3原子%、0.3~0.35原子%、0.35~0.4原子%、0.4~0.45原子%、0.45~0.5原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のCuでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.3原子%、0.3~0.35原子%、0.35~0.4原子%、0.4~0.45原子%、0.45~0.5原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のFeでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.3原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のGaでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.01原子%、0.01~0.02原子%、0.02~0.03原子%、0.03~0.04原子%、0.04~0.05原子%、0.05~0.06原子%、0.06~0.07原子%、0.07~0.08原子%、0.04~0.09原子%、0.09~0.1原子%、0.1~0.11原子%、0.11~0.12原子%、0.12~0.13原子%、0.13~0.14原子%、0.14~0.15原子%、0.15~0.16原子%、0.16~0.17原子%、0.17~0.18原子%、0.18~0.19原子%、0.19~0.2原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のTiでドープされていてもよい。独立した実施態様において、第2のコア合金は、0~0.005原子%、0.005~0.01原子%、0.01~0.015原子%、0.015~0.02原子%、0.02~0.025原子%、0.025~0.03原子%、0.03~0.035原子%、0.035~0.04原子%、0.04~0.045原子%、0.045~0.05原子%、0.05~0.055原子%、0.055~0.06原子%、0.06~0.065原子%、0.065~0.07原子%、0.07~0.075原子%、0.075~0.08原子%、0.08~0.085原子%、0.085~0.09原子%、0.09~0.095原子%、0.095~0.01原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲内のZrでドープされていてもよい。
【0107】
圧粉体の製造
【0108】
混合合金粒子は、(c)混合合金粒子の前記集団を、不活性雰囲気中で、該磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の下で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させることによってさらに加工される。これらの粒子は、成形体内での粒子のパッキングを容易にするために、設計された形状を有していてもよい。形状としては、球状、角状、樹枝状、及び円盤状が挙げられる。異なる形状の粉末粒子の混合物は、成形体中の混合合金粉末のパッキング効率を向上するのに役立ち得る。結果として得られる圧粉体は、混合合金粒子のよく混じった混合物を含む中実体を提供する。混合合金粒子を、最終の焼結体の意図する用途に適した任意の所定の形状に圧縮してもよい。これらの形状は、焼結体に意図された最終形態を反映していてもよく、又は焼結体の最終形態を達成するのにさらなる機械加工を必要としてもよい。典型的には、円柱形状が好ましい。いくつかの実施態様において、混合合金粒子は、乾燥形態で圧縮される;別の実施態様において、適当な潤滑剤を用いてもよい。適当な潤滑剤は、例えば、脂肪酸エステル又はアミド又はポリグリコールを含んでもよいが、圧粉体が焼結されたときに、焼結体中に残されるC、N、又はO残渣が無いか許容し得るレベルであるように選択されなければならない。そのようなレベルのC、N、及び/又はOは、典型的には、個々に、重量で5000ppm未満、2500ppm、1000ppm、100ppm未満、又は10ppm未満である。
【0109】
本件開示の全体にわたって使用される、用語「不活性雰囲気」は、酸素、水、又は他の酸化剤が実質的に存在しない雰囲気又は環境を指す。「実質的に存在しない」とは、意図的に添加された酸素、水、又は他の酸化剤の非存在、及び好ましくは、これらの物質を排除するために最大の努力が取られた場合のいずれかを指す。典型的には、乾燥窒素又はアルゴン雰囲気が、この目的に適する。
【0110】
圧粉体の形成の間、圧縮は、典型的には、約800~約3000kNの範囲内の圧縮力下で行われる。しかしながら、該方法は、加えられる力が、最終の加工及び生成物に望ましいとみなされる密度を提供するという条件で、これらの力のレベルに必ずしも限定されない。ある独立した実施態様において、力は、1回以上の適用で加えられ、ここで、各適用は、800~1000kN、1000~1500kN、1500~2000kN、2000~2500kN、2500~3000kN、又はそれらの任意の組み合わせの範囲内の力の適用を含む。いくつかの好ましい実施態様において、圧縮は、約1000kN~約2500kNの範囲内の力の適用で行われる。
【0111】
圧粉体の形成の間にはまた、材料は、約0.2T~約2.5Tの範囲であるか、又は磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに十分な磁場(160~2000A/m)に処せられる。ある独立した実施態様において、磁場は、0.2~0.5T、0.5~1T、1~1.5T、1.5~2T、2~2.5T、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せのうちの少なくとも1つの範囲で加えられる。
【0112】
圧粉体の焼結
【0113】
いくつかの実施態様において、本方法は、(d)前記圧粉体を焼結体へと焼結するのに十分な時間、約800℃~約1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度に、該圧粉体を加熱することをさらに含む。このような焼結のための範囲としては、800℃~850℃、850℃~900℃、900℃~950℃、950℃~1000℃、1000℃~1050℃、1050℃~1100℃、1100℃~1150℃、1150℃~1200℃、1200℃~1250℃、1250℃~1300℃、1300℃~1350℃、1350℃~1400℃、1400℃~1450℃、1450℃~1500℃、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の数のものが挙げられる。具体的な焼結条件は、圧粉体中の粒子の化学的性質及び物理的形態(例えば、化学組成及び粒子サイズ)次第で決まるものであるが、いくつかの実施態様において、これらの組成物のうちのあるものは、約1050~約1085℃の温度で約1~5時間;典型的には、約1080℃で3.5時間焼結することができる。いくつかの実施態様において、焼結が起こる間、焼結プロセスは、周期を成す真空及び不活性ガス(例えば、アルゴン)圧力の組合せの下で実施される。
【0114】
ひとたび焼結体が形成されたら、それを、さらに(e)焼結体をアニーリングするために約450℃~約600℃の範囲内の温度で、周期を成す真空及び不活性ガスの環境において熱処理してもよい。
【0115】
別の実施態様において、焼結体又は焼結中の物体は、(f)例えば、約400kA/m~約1200kA/m(0.5~1.5T)の範囲内の磁場を用いて、本明細書に記載されるような最終残留磁気及び保磁力を達成するのに十分な強度の磁場を印加することによって磁化される。そのような磁場は、焼結中、焼結後、アニーリング中、アニーリング後、又はこれらの時間のうちの任意の2つ以上の間に印加されてもよい。
【0116】
焼結磁石
【0117】
概して、焼結体の構造は、粒界組成物によって一緒に保持される焼結コアシェル粒子、又は粒の観点から記載され得る。これらのコアシェル粒のそれぞれは、第1のGBM合金のR、Cu、Co、及びM元素の、第2のコア合金粒子のマトリックス中への拡散によって形成される中間合金組成物を含むシェルである複数のシェルによって囲まれた、第2のコア合金の組成物を含むコアの観点から記載され得る。該粒界組成物は、従って、粒界からコアシェル粒子又は粒内へと移動した元素の任意の部分を減じた第1のGBM合金の組成を反映する。
【0118】
そのような組成物は、そのそれぞれが、第1のGBM合金の粒子によって「コーティングされた」第2のコア合金を含むものとして想定され得るユニークな混合合金粒子の焼結の間に、又は後続の焼結体の熟成/アニーリング工程の間に形成するとして見てもよい。いかなる特定の理論の正確性に必ずしも縛られることを意図しないが、初めに、より低い融点のGBM合金が、第2のコア合金粒子の粒の周囲及びそれらの間に実質的に均質にそれ自体を分布させることが想定され得る。加熱を続けると、第1のGBM合金の移動可能な拡散可能な元素が、第2の合金コア粒子のマトリックス中に移動する。従って、粒界、特に、三重接合粒界は、前記第1の合金の元素の第2のコア合金粒子内への移動源のための貯蔵所(depot)として作用する。該GBM合金は、多くの元素からなるために、元素の個々の原子の粒中への拡散の速度は、それらの固有の化学ポテンシャルの関数である。従って、各元素は、結果として元素のシェルの形成をもたらす主たるG2Fe14B相への特徴的な移動能力を示す。従って、粒界は、第1のGBM合金の元の組成を反映する傾向にある。即ち、全体的な組成は、元の成分の組成及び比率の観点から規定され、処理の間に増加又は枯渇する酸素、炭素、及び窒素添加剤の存在の影響を受け得るが、これらの成分の配置は、それらの粒界から粒への移動(逆もまた同様である)のために、焼結の間に変わることがある。「粒界が、第1のGBM合金の元の組成を反映する傾向があるとは」という句は、該組成変化を、粒界の元素の粒内への移動に帰すことができることを暗示するよう意図される。
【0119】
結果として、いくつかの実施態様において、遷移金属元素のいくつかは、粒のシェル及び粒界組成物の双方の中に現れる。又は、ある希土類元素は、粒コア中ではなく、シェル(複数可)中及び粒界中に存在することもある。粒界(特に、三重接合粒界)は、移動又は拡散する元素のための貯蔵所として作用するようであるため、これらの実施態様において、移動又は拡散する元素の濃度は、粒自体でよりも、粒界組成物での方が高い。これらの濃度差は、元素の粒内への移動を押し進める化学的勾配を提供する。例えば、いくつかの実施態様において、焼結粒及び粒界合金の双方が、コバルト及び銅を含有するために、粒界は、前記焼結粒子中のそれらの存在と比較して、これらの元素について濃縮される。関連する実施態様において、粒界合金は、EDSで測定して、該合金の全組成に対して少なくとも20重量%の合計量で、コバルト及び銅を含み、かつそれぞれが全合金組成物の10重量%を超えない少なくとも3種の希土類元素及び1種の遷移元素を含む。
【0120】
本明細書に記載される拡散/移動理論と一致して、粒コアのサイズは、粒子の加工、焼結、及び後続のアニーリング工程を含む、粒子又は焼結体の熱的履歴次第で決まり得る。シェルが、第1のGBM合金の元素の内側への移動又は拡散から形成されるとすれば、元の第2のコア合金粒子の中央部のみが、その元の組成的性質を保持し、かつ結果として得られるコアのサイズが、その粒子の熱的履歴次第で決まるであろうと期待されるであろう。このコアは、一定の組成の粒界組成物については、より長い熱処理及びそのような処理のより高い温度で、より多くの材料が内側へと移動するために、より小さくなると期待される。この磁気性能の向上(実施例を参照されたい)は、第2のコア合金のより小さなサイズのコアの形成と矛盾しない。例えば、Nd2Fe14Bのより小さな粒(ドメイン)(例えば、300nm)が、より大きな粒(例えば、>5ミクロン)が示すものよりも、高い残留磁気及び良好な総合的な磁気的特性(例えば、ここで実証されるもの)を示すことが知られている。難問は、これらのより小さな粒を含む焼結体を、焼結の間にそれらのより大きな粒子を形成させることなく提供することであった。本方法は、これらのより小さなG2Fe14B粒を制御可能に達成するための手段であって、該粒が規定されたシェルによって分離されている、前記手段を提供するようである。
【0121】
従って、これらのGBE磁石中のコアのサイズを制御することが可能であり、かつコアのサイズによって定義される実施態様は、本開示の範囲内である。いくつかの実施態様において、焼結体は、約0.3~約3.9ミクロンの範囲内の寸法を有する第2のコア合金のコアを有する粒を含む。別の実施態様において、粒コアは、0.3~0.4ミクロン、0.4~0.5ミクロン、0.5~0.6ミクロン、0.7~0.8ミクロン、0.8~0.9ミクロン、0.9~1ミクロン、1~1.1ミクロン、1.1~1.2ミクロン、1.2~1.3ミクロン、1.3~1.4ミクロン、0.4~0.5ミクロン、1.5~1.6ミクロン、1.7~0.8ミクロン、1.8~1.9ミクロン、1.9~2ミクロン、2~2.1ミクロン、2.1~2.2ミクロン、2.2~2.3ミクロン、2.3~2.4ミクロン、2.4~2.5ミクロン、2.5~2.6ミクロン、2.6~2.7ミクロン、2.7~2.8ミクロン、2.8~2.9ミクロン、2.9~3ミクロン、3~3.1ミクロン、3.1~3.2ミクロン、3.2~3.3ミクロン、3.3~3.4ミクロン、3.4~3.5ミクロン、3.5~3.6ミクロン、3.7~3.7、3.7~3.8ミクロン、3.8~3.9ミクロン、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、約0.3~約2.3ミクロンの範囲内の少なくとも1つの寸法を有していてもよい。当業者は、本明細書に記載される加工温度、特に、最終焼結温度を調整することによって、個々の組成物のコアサイズを調整することができるであろう。任意の材料に最適な範囲を、所与のコア合金組成物に最適なドメイン構造によって規定し得る。シェルの厚みが、コアのサイズよりも重要性が低いこともあるが、いくつかの実施態様において、シェルの累積厚みは、約1~3ミクロンの範囲内にあるが、いくつかの実施態様において、シェルの累積厚みは、約0.5~1、1~1.5、1.5~2.2~2.5、2.5~3、3~3.5、3.5~4、4~4.5、4.5~5の範囲、又はこれらの範囲内のうちの任意の2つ以上によって定義される範囲内にある。
【0122】
粒が、球状又は準球状であるならば、これらのコア寸法は、球状又は準球状コアの直径を反映し得る。別の形状の粒については、最適なサイズは、少なくとも1つの軸寸法を本範囲に有するものである。シェル(複数可)に対する比例の観点からコアを記載することも都合がよいことがある。いくつかの実施態様において、コア寸法のシェル厚みに対する相対比率は、約1:10~約4:1の範囲内にある。別の実施態様において、コア寸法のシェル厚みに対する相対比率は、約1:10~約1:8、1.8~約1:1.6、約1:6~約1:4、約1:4~約1:2、約1:2~約1:1、約1:1~約2:1、約2:1~約3:1、約3:1~約4:1の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上によって定義される範囲にある。
【0123】
シェル構造の形成並びに重希土類及び他の元素の各磁性粒中への拡散は、この材料を用いて作製された任意の磁石の全体にわたってそれらが存在することを可能とし、その結果、厚み又はジオメトリーに何ら制限無く、最低限のDy、Tb、又は他の希土類元素を用いて高保磁力磁石を作製することができる(例えば、実施例3、テーブル13を参照されたい)。焼結体は、化学的に均質な又は実質的に均質な(固体混合によって実用的に可能であるような)混合合金粒子の焼結の結果生じるために、そのように製造された任意の(焼結コアシェル粒子及び粒界)の組成は、該焼結体の全体にわたって実質的に一定である(例えば、磁気的性質は、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満変化する)。この点に関して、用語「実質的に一定」とは、そうでなければ、以前に焼結された物体の1以上の表面へ添加剤を添加することに起因して生じるであろう焼結体全体にわたる組成勾配の実質上の非存在を指す。これらの勾配の分散は、本明細書の別の場所に記載される。この特徴は、別の手段で製造される磁石と比較して、そのように製造される均質な磁石のサイズ及び形状の限界を定める。即ち、そのように製造される任意の磁性材料の実質的な均一性はもはや、粒界添加剤の予備焼結された物体への拡散に制限されない。
【0124】
作用のいかなる特定の理論の正確性によっても縛られることを意図しないが、シェルによって囲まれたよく規定された小型のG2Fe14Bコアの存在が、向上した局在化した結晶磁気異方性を担っていると思われているようである。もしそうであるならば、GBM合金によって提供される元素のそれぞれは、最終生成物に特定の特質を提供すると思われている。例えば、遷移金属(Cu、Co、Zr、Feの添加剤)の添加は、磁化反転に対する温度抵抗性を向上させるようである。CuをGBM添加剤について請求するレベルで導入することは、三重ポケット接合部(粒界相)とG2Fe14B/Nd2Fe14Bマトリックス粒との間の境界内に、(i)G2Fe14B/Nd2Fe14Bマトリックス粒と粒界粒との間の表面エネルギーの増加、及び(ii)Dy及びTbのNd2Fe14Bマトリックス粒内への拡散率を阻害する薄層の形成の一方又は双方を提供するのに十分なレベルで、銅リッチな集合体の形成をもたらすと思われている。Cuの添加は、さまざまな銅-希土類金属酸化物を形成することにより耐食性を増加させるだけでなく、最終のコアシェル焼結NdFeB生成物の脆化に抵抗するのに役立つと思われている。
【0125】
作用のいかなる特定の理論の正確性によっても縛られることを意図しないが、GBM添加剤について請求するレベルでCoを導入することは、コアマルチシェル構造を生じさせるだけでなく、コアシェル焼結NdFeB(G2Fe14B相)が、粒界相において増加した耐食性を有するように、腐食性を阻害するのに役立ち得る希土類-コバルト酸化物相(1又は複数)の形成に繋がると思われている。
【0126】
作用のいかなる特定の理論の正確性によっても縛られることを意図しないが、GBM合金におけるZrの存在は、第1又は第2の合金のいずれかに導入された、同じく組成物中に存在する任意の鉄との会合をもたらすと思われている。粒界又は外側シェルに局在化している場合には、会合したZr-Fe合金は、消磁の間の反転ドメインの伝播を予防するのに有用である可能性がある。Zrの存在も、任意のそのような会合したFe-Zn構造内の電子濃度を変化させることによって、粒界とマトリックスG2Fe14B相との間の強磁性カップリングを誘導すると思われている。粒界上のZrの導入は、最終のコアシェル焼結NdFeB生成物内の抵抗率を増加させるのにも役立ち得る。
【0127】
作用のいかなる特定の理論の正確性によっても縛られることを意図しないが、GBM添加剤によるさまざまな希土類成分(Nd、Pr、Dy、Tb)の添加も、コアの周囲の結晶磁気異方性の強化を可能とする希土類リッチなシェル(1又は複数)の形成をもたらすと思われている。GBM添加剤中の各元素は、コア材料内への異なる拡散率を有すると期待される。請求される量でのこれらの材料、Nd、Pr、Dy、Tb、Cu、Co、Zr、Feの全体としての存在は、粒のバルクへのこれらの種及び他の種の拡散を調節するための、動力学的性質及び熱力学的性質の最適なバランスを提供するようである。
【0128】
さらに、その相対強度が、加工条件下での材料のコアへの拡散率次第で決まるであろう、移動する種それぞれの個々のバンド(シェル)が観察されるであろうことが予期されるであろう。例えば、(第1のGBM合金からの)Dy、Tb、Cu、及びCoの、第2のG2Fe14Bコア合金材料中への拡散は、その強度が、それらの個々(又は集合体)の移動動力学次第で決まる、コアの外側のシェル内の最終粒構造内部にこれらの材料のそれぞれのバンドをもたらすであろう。複数の熱処理が提供される場合、これらの個々の元素のシェルは、後続の熱処理の時点でのそれらの局在化環境次第で、ブロード化することも分離することもある。これらの材料が、粒界(これは、それらの後に起こる移動のための貯蔵所として作用する)に、少なくとも初期には存在するであろうと仮定すれば、これらの材料のG2Fe14Bコア中への拡散は、(C0*exp(-x/L)*sin(x/l+c))(式中:C0は、粒界での各元素の初期濃度であり、Lは、減衰長であり、かつlは、加工条件下での拡散波長である)のような、指数関数的に減衰する周期的な傾向としてモデル化し得る。
【0129】
これらのGBE磁石は、これらを、類似の性質を達成する別の方法を用いた場合よりも、はるかに低いレベルのDy、Tb、Erなどの希土類元素を用いて製造することができるという理由だけでなく、これらの低減されたDyレベルにおいてさえも、結果として得られる磁石が、同程度又は優れた性質を発揮するという理由で魅力的である(表11~13を参照されたい)。このような向上した性質を示す組成も、本開示の範囲内に含まれる。図4に示されるように、このような磁石は、残留磁気の最小限の喪失を伴って、増加した保磁力(最高で90%)を発揮することができる。そのような材料も、強化された耐食性、及び消磁に対するより高い抵抗性を表しているより大きなアルファ及びベータ因子を示す。なおさらに、本明細書に記載されるGBE磁石は、特に、Dy、Tb、Co、Cu、Fe、Zrである場合において可逆的な係数アルファ(残留磁気を記述)及びベータ(保磁力を記述)のかなりの向上を提供する。このような向上した性質を示すGBE磁石もまた、本発明の範囲に含まれる。例えば、ある実施態様は、実施例3で記載される条件下で試験した場合に、80℃~200℃の温度範囲にわたり0.02~0.14の範囲内の|α|値、又は0.45~0.7の|β|値を独立して表す、重希土類元素(すなわち、Dy、Tb、Ho、Er、Tm、Yb、又はLuであるが、特に、Dyである)を、0.2~0.3重量%、0.3~0.4重量%、0.4~0.5重量%、0.5~0.6重量%、0.6~0.7重量%、0.7~0.8重量%、0.8~0.9重量%、0.9~1.0重量%、1.0~1.1重量%、1.1~1.2重量%、1.2~1.3重量%、1.3~1.4重量%、1.4~1.5重量%、1.5~1.6重量%、1.6~1.7重量%、1.7~1.8重量%、1.8~1.9重量%、1.9~2重量%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せ、例えば、0.1~1.3重量%又は0.8~1.3重量%の範囲内のレベルで含むドープされた又はドープされていないG2Fe14B(ドーパントレベルが本明細書の別の場所に記載される名目上のNd2Fe14Bを含む)を含むコアを有するGBE組成物を含む。
【0130】
繰り返しとなるリスクを承知の上で、特に、Nd2Fe14Bコアを有するものとして具体的に指示される組成の場合に、焼結体を特徴づける特定の特質としては、以下のものが挙げられる:
・約3ミクロン~約5ミクロンの範囲内の粒であって;特徴づけられる該粒が、コア及び複数のシェル層を有する、前記粒;
・0.3~約2.3~2.9ミクロンのサイズを有するこれらの粒内のNd2Fe14Bコア;
・複数の個々の遷移金属(Co、Cu、及びM)元素が、粒界から各粒子のコアまで延在する周期的なシェル内に配置される、第2のコア合金のマトリックス(この場合、Nd2Fe14B)と共に分布している複数のシェル;
・より高い濃度の遷移金属(Co、Cu、及びM)元素を反映する、非コアGBM合金材料が濃縮された粒界;(ここでも、Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素である)
・GBM合金内の元素を反映する粒シェル層内の元素;
・比較用組成物(同じ粒サイズ及び全体的な元素組成を有するが、比較用組成物の粒は、本発明の同心のシェルを有しない)と比較して、組成物は、該組成物によって発揮される性質も特徴とすることがある。
【0131】
ここでもまた、完全を期すために、本件開示が、合金、合金及び混合合金粒子、合金粒子の集団、圧粉体、焼結体、並びにそれらの付随する粒及び粒界、並びにこれらの物品の方法の記載を含むことを述べておく。方法に帰せられる任意の記載を、物品にも帰すことができ、逆もまた同様である。
【0132】
焼結磁性組成物それら自体に加えて、追加の実施態様は、これらの磁石を組み込んだデバイスを含み、このようなデバイスは、80℃~200℃の範囲内の温度での使用のために意図される。そのようなデバイスとしては、コンピューター又はタブレットハードディスク用のヘッドアクチュエータ、消去ヘッド、核磁気共鳴画像法(MRI)設備、磁気ロック、磁気ファスナー、スピーカー、ヘッドホンもしくはイヤホン、携帯電話及び他の家庭用電化製品(例えば、アイポッド、電子時計、イヤホン、DVD及びブルーレイプレーヤー、CD及びレコードプレーヤー、マイクロホン、家庭用電気製品)、磁気ベアリング及び磁気カップリング、NMR分光計、リニアモーター及びA/Cモーター、電気モーター(例えば、コードレスツール、サーボモーター、圧縮モーター、同期モーター、スピンドルモーター、及びステッピングモーター、電動ステアリング及びパワーステアリング、ハイブリッド自動車及び電気自動車用駆動モーターにおいて用いられるようなもの)、並びに発電機(風力タービンを含む)が挙げられる。
【0133】
システム
【0134】
発明の材料の構造、作製及び使用方法に加えて、本開示はまた、これらの材料を作製するシステムを企図する。ここでも、これらのコアシェル材料を作製する方法のために提供された記載の多くを、システムの記載に適用可能であり、適切な範囲まで、これらの記載がここに組み込まれる。
【0135】
例えば、第1のGBM合金粒子及び第2のコア合金粒子を均質化するにあたり:
(a)断熱式回転式反応器であって、該反応器が、入口ポート及び出口ポートを有し、各ポートが、それぞれ、粒子を、該回転式反応器から添加及び除去するよう適合されており、各入口ポート及び出口ポートには、任意に、粒子ふるいが取り付けられている、前記断熱式回転式反応器;
(b)真空を、該断熱式回転式反応器に提供する能力がある真空源;
(c)該回転式反応器を、使用中に加熱する能力があるヒーター;及び任意に;
(d)該装置の作動中に、サンプルの回収を可能とするサンプリングポータル;
を備える装置を使用することが便利である。
【0136】
これらの特定の要素のそれぞれは、個々に公知であるが、複合装置は、同様には公知ではない。
【0137】
さらに、このような装置を備えるシステムは、本明細書に記載される方法を実行するのに有用である可能性があり、ここで、該システムは:
(a)固体磁性材料を、1から10バールまで(又は、いくつかの実施態様においては、より高い、例えば、150バールまで)の範囲内の圧力の水素で処理する能力がある回転式水素反応器;
(b)排気され加熱されて、含水素磁性材料を熱割れさせる能力がある回転式脱ガスチャンバー;
(c)ジェットミル装置;
(d)約800~約3000kNの範囲内の力を、粒子の集団に加える能力がある圧縮デバイスであって、該圧縮デバイスには、磁場源が取り付けられており、該磁場源は、該圧縮デバイスが、該力を、該粒子の集団に加えている間に、約0.2T~約2.5Tの範囲内の磁場を提供することができる、前記圧縮デバイス;及び
(e)焼結チャンバーであって、該チャンバーに、周囲温度から約400℃まで、及び更に約1200℃までの範囲内の内温を提供しながら、該チャンバー内に選択的な真空及び不活性雰囲気環境を提供するよう構成された、前記焼結チャンバー
のうちの1つ以上をさらに含む。
【0138】
別の実施態様において、このようなシステムは、これらの態様(a)~(e)のうちの2つ、3つ、4つ、又は5つを含む。
【0139】
以下の実施態様のリストは、先の記載を置き換える又はそれに取って代わることよりはむしろ、補完することが意図される。従って、これらの実施態様は、一般的な記載の文脈において読まれるべきである。
【0140】
(実施態様1)
向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する方法であって:
(a)第1のGBM合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
(i)該第1のGBM合金が、実質的に、式:ACbRxCoyCudMz(式中、
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつbは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zの和は、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて、約99.9又は100原子%までである)
で表わされ、
(ii)該第2のコア合金が、実質的に、G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ、かつ該第2のコア合金は、1以上の遷移元素又は典型元素(未使用又はリサイクル材料の使用によりもたらされるものを含む)で任意にドープされている、
前記均質化させること;
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させること
を含む、前記方法。
【0141】
(実施態様2)
向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する方法であって:
(a)第1の粒界修飾(GBM)合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
該第2のコア合金が、実質的に、式G2Fe14B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ;任意に、該第2のコア合金が、1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされており;
該第1のGBM合金の粒子の第1の集団の平均粒子径が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にあり;
該第2のコア合金の粒子の該第2の集団の平均粒子径が、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある)
前記均質化させること;及び
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させること
を含む、前記方法。
【0142】
(実施態様3)
前記第1のGBM合金が、実質的に、式NdjDykComCunFep(式中、
jは、全組成に対して、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
kは、全組成に対して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60 20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
mは、全組成に対して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
nは、全組成に対して、0.1~0.5、0.5~1、1~1.5、1.5~2、2~2.5、2.5~3、3~3.5、3.5~4、4~4.5、4.5~5、5~5.5、5.5~6、6~6.5、6.5~7、7~7.5、7.5~8、8.5~9、9~9.5、9.5~10、10~12、12~14、14~16、16~18、18~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;
pは、全組成に対して、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上を含む範囲内の原子パーセントであり;かつ
j、k、m、n、及びpは、独立して、それらの記載された範囲内で可変であり、但し、j+k+m+n+pの和が、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、約99.9原子%又は100原子%までである)
で表わされる、実施態様2記載の方法。
【0143】
(実施態様4)
前記均質化させる工程(a)の前に、前記第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は前記第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、水素の存在下、該第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は該第1のGBM及び第2のコア合金の双方の中への該水素の吸収を可能とする条件及び時間で処理する、実施態様1又は2記載の方法。
【0144】
(実施態様5)
前記均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含む、実施態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
(実施態様6)
前記均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含み、該混合工程のうちの少なくとも1つが、前記粒子集団のうちの少なくとも一方、好ましくは双方の平均表面積を増加させる、実施態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
(実施態様7)
ACが、前記第1のGBM合金の約5原子%~約15原子%の範囲内で存在する、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~6のいずれか1つに記載の方法。関連する独立した実施態様において、bは、5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、60~65原子%の範囲、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せである。
【0147】
(実施態様8)
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、又は0:100である、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~7のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
(実施態様9)
Rが、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせ、好ましくは、Dy及び/又はTbである、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~8のいずれか1つに記載の方法。独立した副実施態様において、Rは、1、2、3、4、5、6、7、又は8種の別々の希土類元素、好ましくは、少なくとも3、4、5、6、7、又は8種の異なる希土類元素を含んでもよい。
【0149】
(実施態様10)
Rが、少なくとも3種の異なる希土類元素を含み、総計が、前記第1のGBM合金の約10原子%~約60原子%に相当する、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~9のいずれか1つに記載の方法。独立した実施態様において、かつ存在するR元素の数に依存せずに、xは、5~10原子%、10~15原子%、15~20原子%、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、60~65原子%、65~70原子%、70~75原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲である;例示的な、非限定的な組合せ範囲としては、30~60原子%又は10~60原子%が挙げられる。
【0150】
(実施態様11)
Coが、約35原子%~45原子%の範囲内で前記第1のGBM合金中に存在する、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~10のいずれか1つに記載の方法。独立した実施態様において、yは、20~25原子%、25~30原子%、30~35原子%、35~40原子%、40~45原子%、45~50原子%、50~55原子%、55~60原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲である;例示的な、非限定的な組合せ範囲としては、30~40原子%が挙げられる。
【0151】
(実施態様12)
Cuが、約0.01原子%~6原子%の範囲内で前記第1のGBM合金中に存在する、実施態様又は実施態様1に適用される実施態様4~11のいずれか1つに記載の方法。独立した実施態様において、dは、0.01~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、10~11原子%、11~12原子%、12~13原子%、13~14原子%、14~15原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲である。
【0152】
(実施態様13)
Mが、Ag、Au、Co、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせである、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~12のいずれか1つに記載の方法。独立した実施態様において、Mは、Cu及びCoを除く、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13種の別個の遷移金属元素、好ましくは、ここでもCu及びCoを除く、少なくとも3、4、5、6、7,8、9、10、11、又は12種の別個の遷移金属元素を含んでもよい。
【0153】
(実施態様14)
Mが、約0.01原子%~10原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~13のいずれか1つに記載の方法。独立した実施態様において、zは、0.01~0.05原子%、0.05~0.1原子%、0.1~0.15原子%、0.15~0.2原子%、0.2~0.25原子%、0.25~0.5原子%、0.5~1原子%、1~1.5原子%、1.5~2原子%、2~2.5原子%、2.5~3原子%、3~3.5原子%、3.5~4原子%、4~4.5原子%、4.5~5原子%、5~5.5原子%、5.5~6原子%、6~7原子%、7~8原子%、8~9原子%、9~10原子%、10~11原子%、11~12原子%、12~14原子%、14~16原子%、16~18原子%、又はこれらの範囲内のうちの2つ以上の任意の組合せの範囲である。
【0154】
(実施態様15)
ニッケル及び/又はコバルトが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも36原子%を占める、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~14のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
(実施態様16)
鉄及び/又はチタンが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも2原子%、最高で約6原子%を占める、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~15のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
(実施態様17)
Gが、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせであり、好ましくは、Prを含むか又は含まないNdである、実施態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
(実施態様18)
第1のGBM合金が、少なくともネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、コバルト、銅、及び鉄を含む、実施態様1又は実施態様1に適用される実施態様4~17のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
(実施態様19)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、任意に、少なくとも1種の遷移金属又は典型でさらにドープされた、実施態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
(実施態様20)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、Dy、Gd、Tb、Al、Co、Cu、Fe、Ga、Ti、又はZrのうちの1種以上でさらにドープされている、実施態様1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
(実施態様21)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、最高で6.5原子%のDy、最高で3原子%のGd、最高で6.5原子%のTb、最高で1.5原子%のAl、最高で4原子%のCo、最高で0.5原子%のCu、最高で0.3原子%のGa、最高で0.2原子%のTi、最高で0.1原子%のZr、又はそれらの組み合わせでさらにドープされている、実施態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
(実施態様22)
前記第1のGBM合金の粒子の第1の集団の平均粒子径が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にある、実施態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
(実施態様23)
前記第2のコア合金の粒子の前記第2の集団の平均粒子径が、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある、実施態様1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
(実施態様24)
前記個々に分離した混合合金粒子の前記集団の平均粒子が、約2ミクロン~約6ミクロン、好ましくは、3~4ミクロンの範囲内にある、実施態様1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
(実施態様25)
前記(b)の加熱することが、個々に分離した混合合金粒子の集団の形成をもたらし、各粒子が、約1~約5ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコア、及び前記第1の合金の元素によって組成が規定されるシェルを含む、実施態様1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
(実施態様26)
(c)混合合金粒子の前記集団を、不活性雰囲気中で、該磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の下で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させることをさらに含む、実施態様1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
(実施態様27)
前記圧縮することが、約800~約3000kN、好ましくは、約1000kN~約2500kNの範囲内の力の下で行われる、実施態様26記載の方法。
【0167】
(実施態様28)
前記磁場が、約0.2T~約2.5Tの範囲内にあるか、又は磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに十分なものである、実施態様26又は27記載の方法。
【0168】
(実施態様29)
(d)前記圧粉体を焼結コアシェル粒子及び粒界組成物を含む焼結体へと焼結するのに十分な時間、約800℃~約1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度に、該圧粉体を加熱することをさらに含む、実施態様26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
(実施態様30)
(e)約450℃~約600℃の範囲内の温度で、周期を成す真空及び不活性ガスの環境において焼結体を熱処理すること(アニーリングすること)をさらに含む、実施態様29記載の方法。
【0170】
(実施態様31)
(f)本明細書に記載されるような最終残留磁気及び保磁力を達成するのに十分な強度の磁場、例えば、約400kA/m~約1200kA/m(0.5~1.5T)の範囲内の磁場を使用して、焼結中の物体又は焼結体に印加することをさらに含む、実施態様29又は30記載の方法。
【0171】
(実施態様32)
前記焼結粒子が、約0.3~約2.9ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコアを含む、実施態様29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
(実施態様33)
前記焼結コアシェル粒子が、前記コアを囲む準同心シェルを含み、該シェルが、前記第2のコア合金のマトリックス内のCo、Cu、及びM元素のシェル層によって組成が規定される、実施態様29~32のいずれか1つに記載の方法。いくつかの実施態様において、コア直径のシェル厚みに対する相対比率は、約1:25~約4:1の範囲内にある。別の実施態様において、コア直径のシェル厚みに対する相対比率は、約1:10~約4:1の範囲内にある。
【0173】
(実施態様34)
前記粒界合金は、コバルト及び銅が、前記焼結粒子中のそれらの存在と比較して濃縮されている、実施態様29~33のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
(実施態様35)
前記粒界合金が、EDSで測定して、該合金の全組成に対して少なくとも20重量%の合計量でコバルト及び銅、並びにそれぞれが全合金組成物の10重量%を超えない、少なくとも3種の希土類元素及び1種の遷移元素を含む、実施態様29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
(実施態様36)
前記合金又は粒子の全体的な化学組成が、誘導結合プラズマ(ICP)分析によって特定される、実施態様1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
(実施態様37)
前記粒子内又は粒界内の全体的な化学組成が、破断面又は研磨面の端から端までのエネルギー分散型X線分析(EDS)マッピングを用いて特定される、実施態様1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
(実施態様38)
実施態様1~25又は36のいずれか1つに記載の方法によって製造された粒子又は粒子の集団。本実施態様のある態様において、前記粒子又は粒子の集団は、製造方法に関連する組成の観点で定義されるが、必ずしもこれらの方法によって製造されるものではない。
【0178】
(実施態様39)
実施態様26~28又は36~37のいずれか1つに記載の方法によって製造される圧粉体。本実施態様のある態様において、前記圧粉体は、製造方法に関連する組成の観点で定義されるが、必ずしもこれらの方法によって製造されるものではない。
【0179】
(実施態様40)
実施態様29~37のいずれか1つに記載の方法によって製造される焼結体。そのような焼結体は、化学組成、並びにその粒及び粒界内での分布、並びにこれらの特徴を有しない構造と比較して強化された性能を含む、その全体構造を特徴としていてもよい。本実施態様のある態様において、前記圧粉体は、製造方法に関連する組成の観点で定義されるが、必ずしもこれらの方法によって製造されるものではない。
【0180】
(実施態様41)
実施態様31記載の焼結され磁化された物体を備えるデバイスであって、コンピューター又はタブレットのハードディスク用ヘッドアクチュエータ、消去ヘッド、核磁気共鳴画像法(MRI)設備、磁気ロック、磁気ファスナー、スピーカー、ヘッドホンもしくはイヤホン、携帯電話及び他の家庭用電化製品(例えば、アイポッド、電子時計、イヤホン、DVD及びブルーレイプレーヤー、CD及びレコードプレーヤー、マイクロホン、家庭用電気製品)、磁気ベアリング及び磁気カップリング、NMR分光計、電気モーター(例えば、コードレスツール、サーボモーター、圧縮モーター、同期モーター、スピンドルモーター、及びステッピングモーター、電動ステアリング及びパワーステアリング、ハイブリッド自動車及び電気自動車用駆動モーターにおいて用いられるようなもの)、並びに発電機(風力タービンを含む)からなる群から選択される、前記デバイス。本実施態様のある態様において、前記焼結され磁化された物体は、製造方法に関連する組成の観点で定義されるが、必ずしもこれらの方法によって製造されるものではない。
【0181】
(実施態様42)
式:ACbRxCoyCudMz(式中:
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zは、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて約99.9原子%又は100原子%までである)
によって表される合金を含む組成物であって、0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有する、前記組成物。本実施態様のある独立した態様において、前記合金は、0.5ミクロン~約5ミクロン、又は0.5~0.8ミクロン、0.8~1ミクロン、1~2ミクロン、2~2.5ミクロン、2.5~3ミクロン、3~4ミクロン、又は4~5ミクロンを含む副範囲の任意の1つもしくは組合せ、又はこれらの範囲のうちの2つ以上を組み合わせた範囲、例えば、1ミクロン~4ミクロンの範囲内の平均粒子径を有する粒子の集団として存在する。
【0182】
(実施態様43)
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、もしくは0:100、又はそれらの間の任意の比である、実施態様42記載の組成物。
【0183】
(実施態様44)
Rが、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はこれらの元素のうちの2つ以上の組合せである、実施態様42又は43記載の組成物。本実施態様のある独立した態様において、Rは、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、又はTbのうちの2、3、4、5、又は6種の組合せである。
【0184】
(実施態様45)
Mが、Ag、Au、Co、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせである、実施態様42~44のいずれか1つ記載の組成物。本実施態様のある独立した態様において、Mは、y Ag、Au、Co、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、又はZrのうちの2、3、4、5、又は6種の組合せである。
【0185】
(実施態様46)
前記合金が、実質的に、(Nd0.01-0.18Pr0.01-0.18Dy0.3-0.5Tb0.3-0.5)aa(Co0.85-0.95Cu0.04-0.15Fe0.01-0.08)bb(Zr0.0-1.00)cc;(式中:
aaは、42原子%~75原子%の範囲内の値であり;
bbは、6原子%~60原子%の範囲内の値であり;かつ
ccは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値であり;
但し、Nd+Prの合計量は、12原子%を超え;
但し、Nd+Pr+Dy+Tbの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて、約99.9又は100原子%までであり;
但し、Co+Cu+Feの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて、約99.9又は100原子%までであり;かつ
但し、aa+bb+ccの和は、0.995を超えて、約0.999又は1までである)
の式で表わされる実施態様42~45のいずれか1つ記載の組成物。
【0186】
(実施態様47)
前記合金が、(Nd0.16Pr0.06Dy0.39Tb0.39)aa(Co0.85Cu0.12Fe0.03)bb(Zr0.62)ccの化学量論式によって記述される、実施態様42~46のいずれか1つ記載の組成物。括弧内の値のうちのどの個々の変動も、独立して、±0.01、±0.02、±0.04、±0.06±0.0.8、又は±0.1であってよい。
【0187】
(実施態様48)
前記第1のGBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にある、実施態様42~47のいずれか1つ記載の組成物。
【0188】
(実施態様49)
柱状及び球状晶子結晶を含有する形態である、実施態様42~48のいずれか1つ記載の組成物。
【0189】
(実施態様50)
アモルファス形態である、実施態様42~49のいずれか1つ記載の組成物。
【0190】
(実施態様51)
前記第2のコア合金が、磁性体、常磁性体、強磁性体、反強磁性体、超常磁性体である、実施態様39記載の圧粉体又は実施態様40記載の焼結体。
【0191】
(実施態様52)
(a)断熱式回転式反応器であって、該反応器が、入口ポート及び出口ポートを有し、各ポートが、それぞれ、粒子を、該回転式反応器から添加及び除去するよう適合されており、各入口ポート及び出口ポートには、任意に、粒子ふるいが取り付けられている、前記断熱式回転式反応器;
(b)真空を、該断熱式回転式反応器に提供する能力がある真空源;
(c)該回転式反応器を、使用中に加熱する能力があるヒーター;及び任意に
(d)該装置の作動中に、サンプルの回収を可能とするサンプリングポータル
を備える磁性粒子を混合するための装置
【0192】
(実施態様53)
実施態様52の装置を備えるシステムであって、:
(a)固体磁性材料を、1~10バールの範囲内の圧力の水素で処理する能力がある回転式水素反応器;
(b)排気され加熱されて、該含水素磁性材料を、少なくとも部分的に脱ガスする能力がある回転式脱ガスチャンバー;
(c)ジェットミル装置;
(d)約800~約3000kNの範囲内の力を、粒子の集団に加える能力がある圧縮デバイスであって、該圧縮デバイスには、磁場を印加するための磁場源が取り付けられており、該磁場源は、該圧縮デバイスが、該力を、該粒子の集団に加えている間に、約0.2T~約2.5Tの範囲内の磁場を提供することができる、前記圧縮デバイス;及び
(e)焼結チャンバーであって、該チャンバーに、約400℃~1200℃の範囲内の内温を提供しながら、該チャンバー内に選択的な真空及び不活性雰囲気環境を提供するよう構成された、前記焼結チャンバー
のうちの1つ以上をさらに含む、前記システム。本実施態様の別の態様において、前記焼結チャンバーには、磁場を印加するための磁場源が取り付けられている。本実施態様の別の態様において、前記システムは、前記要素(a)~(e)のうちの2、3、4、又は5種を備える。
【実施例
【0193】
(実施例)
以下の実施例は、本件開示内に記載される概念の幾つかを説明するために提供される。各実施例は、組成物、製造及び使用の方法の特定の個々の実施態様を提供するとみなされるが、どの実施例も、本明細書に記載されるより一般的な実施態様を限定するものとみなされるべきではない。実施例に記載される方法は、それぞれ、本開示の範囲内の任意の組成物に対して適用されてもよく、かつ本発明は、これらの方法の実施例に記載される特定の組成物への適用に限定されない。
【0194】
以下の実施例において、使用される数(例えば、量、温度など)に関する正確度を確保するよう努めたが、いくらかの実験的な誤差及びずれを考慮に入れるべきである。別途指示されない限り、温度は、摂氏温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0195】
(実施例1)
例示的なプロセスの概要
【0196】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるGBE-NdFeB磁石及び他の磁石は、以下のように製造することができる。
【0197】
第1のGBM合金は、式ACbRxCoyCudMzをベースとし、本明細書に記載されるいくつかの技術によって製造することができる。図3は、ここに記載されるプロセスのさまざまな実施態様の略図を示す。
【0198】
いくつかの実施において、GBM合金の大きなバルク断片を、1500℃で元素を一緒に溶融し、該液体金属を、ブック型中に注ぐことによって製造した。その後、そのような鋳造系を用いて、ブック又はシリンダー(60mmの直径及び200mmの長さ)型を製造した。他のサイズ及び形状の実施を想像することができ、それも、ここに記載されるGBM合金について記載された特定の組成物を超えて、本開示の範囲内と見なされる。冷却速度は、1200℃/分~1400℃/分で異なり得る。
【0199】
いくつかの実施において、GBM合金はまた、溶融金属から、0.2T磁場下で、不活性ガスの噴流中、約550℃/秒の冷却速度での凝固によって、連続的な合金小滴として製造される。
【0200】
GBM合金は、5cm×5cm×7cmの寸法の薄片へとストリップ鋳造することもできる。
【0201】
GBM合金はまた、本明細書に記載されるいくつかの方法で、硬質の磁性材料の組成に対応するストリップ鋳造された薄片に導入されている。
【0202】
いくつかの実施において、ストリップ鋳造されたNdFeB型薄片(0.2cm×2~6cm×2~8cmの寸法を有する;該ストリップ鋳造は、消磁されたNdFeB型薄片を提供する)及びGBM合金(5cm×5cm×7cmの寸法を有する)を、約0.1~約6.5重量%の範囲の異なる重量添加で、水素混合チャンバー内で、部分的に一緒に混合した(しかしながら、該2種の合金の相対比率は、本値に限定されない)。ストリップ鋳造薄片の厚み分布は、+/-2.5%の標準偏差が平均値の周囲に許容されるガウス分布であった。GBM薄片の初期寸法は、ここでも、特定された寸法にわたって5%の許容される可変性を有するガウス分布を有する。水素は、1~10バールの圧力でチャンバー内に導入され、該チャンバー内で希土類含有材料によって吸収された。本水素吸収のプロセスは、室温周辺で開始させ(別の初期温度は、明らかに可能であるが、反応の発熱性を考慮する)、典型的には、1~6時間行った。該反応の間、チャンバー温度は、典型的には、反応の発熱性のせいで約80℃に上昇した。圧力が安定し、かつ温度が、周囲温度に戻ったら、該反応が完結したとみなした。
【0203】
いくつかの実施において、混合された粗い粉末を、その後、部分真空(<210ミリバール)下でのさらなる混合のために、別の回転チャンバーに移した。結果として得られたより微細な粉末を、その後、部分真空を維持しながら、580℃に20時間加熱した。加熱プロセスの間、水素ガスが、材料から放出された;圧力が安定化したら、反応は完結した。結果として得られる混合された粉末を、回転反応器から排出させ、4メッシュのスクリーンに通した。該ふるいを通らなかった粒子は、リサイクルのために回転反応器に戻した。
【0204】
いくつかの実施において、4メッシュのスクリーンを通った粉末のバルクを、その後、粒子均質化装置に移し、45~60分間さらに混合した。いくつかの実施において、本混合工程を、真空下又は/及び保護雰囲気(アルゴン又は窒素)の存在下、毎分約30~60回転で、45~60分間行った。サンプルを、定期的に取り出し、誘導結合プラズマ(ICP)分析装置でモニタリングして、組成をモニタリングした;必要に応じて、組成を、混合装置への追加のGBM合金の添加によって変化させた。
【0205】
いくつかの実施において、粉末混合物を、その後、組成をICPによって定期的にモニタリングしながら、それを、高圧窒素又はアルゴンをキャリアーガスとして用いてジェットミル装置に通すことによってさらに均質化させた。このことにより、約1~約4.9マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズ、及び材料の99%が2500メッシュスクリーンを通ることができる粒子サイズを有する部分的に均質化した微細粉末混合物がもたらされた。該粉末を、その後、粒子均質化装置に戻し、部分真空又は/及び保護ガス(アルゴン又は窒素)下さらに45~60分間混合して、最終組成を達成し、それを、ICPによって確認した。最終混合工程の最後に、粉末を、Sympatec社のHELOS(Helium-Neon Laser Optical System(ヘリウム-ネオンレーザー光学システム))粒子サイズ分析装置を用いてキャラクタリゼーションした。該機器の使用は、この目的に有用であると判明したが、別の方法、例えば、SEM粒子計数による単純分析も想定され得る。標的とする性質は、50体積%の粉末について約3.8マイクロメートル未満の平均粒子サイズ、及び90体積%の粉末について約3.9マイクロメートル未満である。
【0206】
いくつかの実施において、5000グラム/分の速度で、微細粉末混合物で型を満たし、型全体にわたる磁束が、2.3Tとなるように磁場を印加した。該磁場を印加しながら、粉末を、約1000~約2500kNの範囲の力を用いる機械式ラムによってプレスした。いくつかの実施において、最終圧粉体は、約4.3~約4.9g/cm3の範囲内、典型的には、4.6g/cm3の密度を有していた。いくつかの場合、プレス機内部の酸素濃度は、200ppmより低かった。プレス装置を、油圧サーボ技術によって制御して、対配列場での加えられる力の最適な正確度を生じさせた。該装置を、プレスが高度な磁気的アラインメントを生じさせるのを可能とするPLCコントローラで制御した。プレスされた部分の重量一貫性は、±1重量%よりも良好であった。
【0207】
場合によっては、圧粉体を、その後、約1050~約1085℃の範囲で1~5時間;典型的には、約1080℃で3.5時間の焼結加熱法に処する。いくつかの実施において、焼結プロセスは、焼結が起こっている間、真空及びアルゴン圧力の組合せの下で行われた。
【0208】
いくつかの実施において、本工程に続き、真空及びアルゴン圧力の組合せの下で、NdFeB型圧粉体を800℃の温度で1~3時間(典型的には、2.5時間)、その後、520℃で1~6時間(典型的には、3.5時間)保つ熟成/アニーリング処理を行い、その結果、本明細書において、GBE-NdFeBと呼ばれる最終の焼結永久磁石を得た。NdFeBベースのGBE-NdFeBの酸素含量は、一般に、約500ppm~約2000ppmの範囲内であった。
【0209】
(実施例2)
性質
【0210】
いくつかの実施において、NdFeBベースのGBE-NdFeBは、図4A~4Bに示されるように、いくつかの望ましい性質を示した。粒界工学は、残留磁気の最小限の喪失を伴って、最高で90%の保磁力の増加をもたらした。加えて、NdFeBベースのGBE-NdFeBは、消磁に対するより高い抵抗性を表す、強化された耐食性、及びより大きなアルファ及びベータ可逆係数を示した。図4A-Bは、「従来磁石」及び「GBE-NdFeB磁石」と呼ばれる2組の焼結磁石間の比較を示す。従来磁石は、Nd2Fe14B相リッチな合金を用いるストリップ鋳造による従来の方法で製造した。GBE-NdFeB磁石は、従来磁石を生産したのと同じ出発材料から製造したが、重要なことに、表1に示すような組成の変化があるように、記載される粉体混合プロセスを経てGBM合金添加を含有する。
【表1】
磁気的性質をこれら2つの磁石間で比較すると、GBE-NdFeB磁石のみが、20kOeよりも高い保磁力を達成することができた。このことは、それによって、GBM合金を使用して、磁気性能を強化することができる明確な正の効果を実証した。表2~6を参照されたい。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0211】
磁気的性質に対してGBM合金が有することができる有益な効果をさらに実証するために、記載されたGBM合金添加を含む及び含まない磁性材料に対して、比較磁束熟成試験を、20~200℃の範囲のさまざまな温度で行った。2つの比較用サンプルの磁束を、磁束を測定しながら、焼結磁石本体をさまざまな標的温度に加熱し、該標的温度を2.5時間維持することによって測定した;該測定の後に、次のデータポイントまで温度を上昇させた。該サンプルの磁気的特徴を、表7及び表8に表の形式で示す。結果は、GBE-NdFeB磁石が、磁束の少しの低減を伴って、高温での優れた磁気性能を有することができることを示している。本比較における従来磁石は、120℃で磁束が20%超低減するのに対し、GBE-NdFeBは、1%未満の低減であり、高温安定性を、GBM合金の添加によって増加させることができることを実証している。
【0212】
表7Aは、表7Bに記載される組成物である従来の焼結NdFeBベース磁石及びGBE-NdFeB磁石とを比較する、磁束熟成実験のデータを示す。測定は、Helmholtzコイル(モデル番号HMZ 90540、Shanghai Hengtong HT magnet社製)を用いて行った。
【表8】
【表9】
【0213】
表8は、従来の焼結NdFeBベースの磁石及びGBE-NdFeB磁石についての抵抗率及び導電率測定情報を示す。測定を比較すると、GBM合金が、Nd2Fe14Bベースのストリップ鋳造材料の抵抗及び導電率を変化させることができることを理解することができる。本例において、GBM合金の導入によって、抵抗率は増加し導電率は低下する。電気的測定は、HP 4192A LFインピーダンス分析装置を用いて行った。
【表10】
【0214】
図5は、断面を、金属平板切断及び研磨によって製造した、先の方法に基づく誘導鋳造GBM合金の微細構造の例を示す。示された微細構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、後方散乱電子イメージングモードで取り込んだ。結果として得られた微細構造は、GBM合金が、さまざまなレベルのコントラストとしてSEM画像に現れる複数の相からなることを示している。本例において、GBM添加剤は、原子パーセントでNd 8.93%、Pr 3.05%、Dy 21.30%、Tb 21.16%、Co 38.33%、Cu 5.33% Fe 1.28%、Zr 0.62%の組成に基づく50kgの融液を用いて製造した。1、2、及び3で印をつけた領域の具体的な化学組成を、表9に示す。
【表11】
【0215】
(実施例3)
可逆的な磁気損失
【0216】
試料を、透磁率計に入れ、そこで、残留磁気及び保磁力を、室温で測定した。その後、温度を上昇させ、試料を、測定の前に各温度段階で5分間保持した。各段階で、Br及びiHを再び測定した。以下の公知の方程式:
【数1】
によって定義される可逆的損失係数α及びβを、その後計算した。
【0217】
該方程式において、B(T1)及びiH(T1)は、それぞれ、温度T1での残留磁気及び固有保磁力であり、B’(T0)及びiH(T0)は、出発温度T0であるが該試料を冷却した後に測定された残留磁気及び固有保磁力である。
【0218】
絶対的には、粒界工学プロセスは、従来磁石と比較した場合、80℃で70.2%~160℃で16%の範囲の向上を伴って、80℃~160℃の範囲内でより良好な(より低い)(α)を示すGBE磁石を提供した(表10~12)。また、これらの向上が、顕著に低下した(57.8原子%も少ない)Dy含量を有するGBE磁石組成にもかかわらず観察されたことにも留意されたい。これらの実験において、従来磁石は、180℃超でより良好な性能を示したが、これは、GBE磁石と比較した場合、最高で75%多いDyの存在が原因であったであろう(表12を参照されたい)。
【表12】
【表13】
【表14】
【0219】
当業者が認識するであろうように、これらの教示を踏まえると、本発明の多くの変更形態及び変形形態が可能であり、すべてのそのようなものは、本明細書によって想定される、例えば、本明細書に記載される実施態様に加えて、本発明は、本明細書において挙げられた本発明の特徴と本発明の特徴を補足する引用した先行技術文献の特徴との組合せから生ずる発明を企図し請求する。また、任意の記載された材料、特徴、又は物品を、任意の別の材料、特徴、又は物品と組み合わせて用いてもよいこと、及びこのような組合せが本発明の範囲内であるとみなされることが認識されるであろう。
【0220】
本文書において引用されるか又は記載された各特許、特許出願、及び刊行物は、ここで、あらゆる目的のために、それぞれのその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
向上した保磁力及び残留磁気を有する焼結磁性体を製造する方法であって、
a)第1のGBM合金の粒子の第1の集団を、第2のコア合金の粒子の第2の集団と、該粒子の第1及び第2の集団の重量比が、約0.1:99.9~約16.5:83.5の範囲内で均質化させて、複合合金プリフォームを形成することであって;
(i)該第1のGBM合金が、式:AC b R x Co y Cu d M z (式中、
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zの和は、99原子%を超える)
によって表され、
(ii)該第2のコア合金が、実質的に、式G 2 Fe 14 B(式中、Gは、希土類元素である)で表わされ、該第2のコア合金が、任意に、1種以上の遷移金属元素又は典型元素でドープされている、前記均質化させること;
(b)該複合合金プリフォームを、該第1の合金の固相線温度を超えるが、該第2のコア合金の融解温度未満の温度まで加熱して、個々に分離した混合合金粒子の集団を形成させること
を含む、前記方法。
(構成2)
前記均質化させる工程(a)の前に、前記第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は前記第1のGBM及び第2のコア合金の双方の粗粒子を、水素の存在下、該第1のGBMもしくは第2のコア合金のいずれか又は該第1のGBE及び第2のコア合金の双方の中への該水素の吸収を可能とする条件及び時間で処理する、構成1記載の方法。
(構成3)
前記均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含む、構成1記載の方法。
(構成4)
前記均質化させる工程(a)が、複数の別個の混合工程を含み、該混合工程のうちの少なくとも1つが、前記粒子集団のうちの少なくとも一方、好ましくは双方の平均表面積を増加させる、構成1記載の方法。
(構成5)
ACが、前記第1のGBM合金の約10原子%~約50原子%の範囲内で存在する、構成1記載の方法。
(構成6)
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、又は0:100である、構成1記載の方法。
(構成7)
Rが、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせである、構成1記載の方法。
(構成8)
Rが、少なくとも3種の異なる希土類元素を含み、総計が、前記第1のGBM合金の約10原子%~約60原子%に相当する、構成1記載の方法。
(構成9)
Coが、約30原子%~40原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する、構成1記載の方法。
(構成10)
Cuが、約0.01原子%~6原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する、構成1記載の方法。
(構成11)
Mが、Ag、Au、Co、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせである、構成1記載の方法。
(構成12)
Mが、約0.01原子%~10原子%の範囲で前記第1のGBM合金中に存在する、構成1記載の方法。
(構成13)
ニッケル及び/又はコバルトが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも36原子%を占める、構成1記載の方法。
(構成14)
鉄及び/又はチタンが、前記第1のGBM合金中に存在し、かつ全体として、該第1のGBM合金の全組成の少なくとも2原子%、最高で約6原子%を占める、構成1記載の方法。
(構成15)
Gが、Nd、Pr、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせである、構成1記載の方法。
(構成16)
第1のGBM合金が、少なくともネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、コバルト、銅、及び鉄を含む、構成1記載の方法。
(構成17)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、少なくとも1種の遷移金属元素又は典型元素でさらにドープされている、構成1記載の方法。
(構成18)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、Dy、Gd、Tb、Al、Co、Cu、Fe、Ga、Ti、又はZrのうちの1種以上でさらにドープされている、構成1記載の方法。
(構成19)
Gが、Nd及び/又はPrであり、かつ前記第2のコア合金が、最高で6.5原子%のDy、最高で3原子%のGd、最高で6.5原子%のTb、最高で1.5原子%のAl、最高で4原子%のCo、最高で0.5原子%のCu、最高で0.3原子%のGa、最高で0.2原子%のTi、最高で0.1原子%のZr、又はそれらの組み合わせでさらにドープされている、構成1記載の方法。
(構成20)
前記第1のGBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子径が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にある、構成1記載の方法。
(構成21)
前記第2のコア合金の粒子の前記第2の集団の平均粒子径が、約2ミクロン~約5ミクロンの範囲内にある、構成1記載の方法。
(構成22)
前記個々に分離した混合合金粒子の集団の平均粒子が、約2ミクロン~約6ミクロンの範囲内にある、構成1記載の方法。
(構成23)
前記(b)の加熱することが、結果として、各粒子が、約1~約5ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコア、及び前記第1の合金の元素によって組成が規定されるシェルを含む、個々に分離した混合合金粒子の集団の形成をもたらす、構成1記載の方法。
(構成24)
(c)前記混合合金粒子の集団を、不活性雰囲気中で、該磁性粒子を共通の磁化の方向で整列させるのに適した強度の磁場の下で、一斉に圧縮して圧粉体を形成させることをさらに含む、構成1記載の方法。
(構成25)
前記圧縮することが、約800~約3000kNの範囲内の力の下で行われる、構成24記載の方法。
(構成26)
前記磁場が、約0.2T~約2.5Tの範囲内である、構成25記載の方法。
(構成27)
前記圧粉体を粒界組成物によって共に保持された焼結コアシェル粒子を含む焼結体へと焼結するのに十分な時間、約800℃~約1500℃の範囲内の少なくとも1つの温度で、該圧粉体を加熱することをさらに含む、構成24記載の方法。
(構成28)
(d)周期を成す真空及び不活性ガスの環境において、約450℃~約600℃の範囲内の温度で、前記焼結体を熱処理することをさらに含む、構成27記載の方法。
(構成29)
前記焼結粒子が、約0.3~約2.9ミクロンの範囲内の寸法を有する前記第2のコア合金のコアを含む、構成27記載の方法。
(構成30)
前記焼結コアシェル粒子が、前記コアを囲む準同心のシェルをさらに含み、該シェルは、前記第2のコア合金のマトリックス内のCo、Cu、及びM元素のシェル層によって組成が規定される、構成29記載の方法。
(構成31)
前記粒界合金では、コバルト及び銅が、前記焼結粒子中のそれらの存在と比較して濃縮されている、構成27記載の方法。
(構成32)
前記粒界合金が、コバルト及び銅を、EDSで測定して、該合金の全組成に対して少なくとも20重量%の合計量で含み、かつ少なくとも3種の希土類元素及び1種の遷移元素を、それぞれが該全合金組成の10重量%を超えずに含む、構成27記載の方法。
(構成33)
前記合金又は粒子の全体的な化学組成が、ICPによって特定される、構成1記載の方法。
(構成34)
粒子内又は粒界内の全体的な化学組成が、破断面又は研磨面の端から端までのEDSマッピングを用いて特定される、構成1、24、又は27記載の方法。
(構成35)
構成1記載の方法によって製造される粒子又は粒子の集団。
(構成36)
構成24記載の方法によって製造される圧粉体。
(構成37)
構成27記載の方法によって製造される焼結体。
(構成38)
構成37記載の焼結体を備えるデバイスであって、コンピューター又はタブレットのハードディスク用ヘッドアクチュエータ、消去ヘッド、核磁気共鳴画像法(MRI)設備、磁気ロック、磁気ファスナー、スピーカー、ヘッドホンもしくはイヤホン、携帯電話及び他の家庭用電化製品、磁気ベアリング及び磁気カップリング、NMR分光計、電気モーター(例えば、コードレスツール、サーボモーター、圧縮モーター、同期モーター、スピンドルモーター、及びステッピングモーター、電動ステアリング及びパワーステアリング、ハイブリッド自動車及び電気自動車用駆動モーターにおいて用いられるようなもの)、並びに発電機(風力タービンを含む)からなる群から選択される、前記デバイス。
(構成39)
式:AC b R x Co y Cu d M z (式中:
(A)ACは、Nd及びPrを0:100~100:0の範囲内の原子比で含み、かつbは、約5原子%~約65原子%の範囲内の値であり;
(B)Rは、1種以上の希土類元素であり、かつxは、約5原子%~約75原子%の範囲内の値であり;
(C)Coは、コバルトであり、かつCuは、銅であり;
(D)yは、約20原子%~約60原子%の範囲内の値であり;
(E)dは、約0.01原子%~約12原子%の範囲内の値であり;
(F)Mは、Cu及びCoを除く少なくとも1種の遷移金属元素であり、かつzは、約0.01原子%~約18原子%の範囲内の値であり;かつ
(G)b+x+y+d+zは、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの1つ以上を超えて約99.9原子%又は100原子%までである)
によって表されるGBM合金を含み、かつ
0.1重量%未満の酸素又は炭素を含有する、組成物。
(構成40)
AC中のNdのPrに対する原子比が、100:0、25:75、50:50、75:25、又は0:100である、構成39記載の組成物。
(構成41)
Rが、La、Ce、Gd、Ho、Er、Yb、Dy、Tb、又はそれらの組み合わせである、構成39記載の組成物。
(構成42)
Mが、Ag、Au、Co、Fe、Ga、Mo、Nb、Ni、Ti、V、W、Y、Zr、又はそれらの組み合わせである、構成39記載の組成物。
(構成43)
前記合金が、実質的に、式(Nd 0.01-0.18 Pr 0.01-0.18 Dy 03-0.5 Tb 0.3-0.5 ) aa (Co 0.85-0.95 Cu 0.04-0.15 Fe 0.01-0.08 ) bb (Zr 0.00-1.00 ) cc ;
(式中:
aaは、42原子%~75原子%の範囲内の値であり;
bbは、6原子%~60原子%の範囲内の値であり;かつ
ccは、0.01原子%~18原子%の範囲内の値である;
但し、Nd+Prの合計量は、12原子%を超え;
但し、Nd+Pr+Dy+Tbの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%のうちの少なくとも1つを超えて、約99.9又は100原子%までであり;
但し、Co+Cu+Feの合計量は、95、98、99、99.5、99.8、又は99.9原子%を超えて、約99.9又は100原子%までであり;かつ
但し、aa+bb+ccは、0.995を超えて、約0.999又は1までである)
で表わされる、構成39記載の組成物。
(構成44)
前記合金が、(Nd 0.16 Pr 0.05 Dy 0.392 Tb 0.40 ) aa (Co 0.86 Cu 0.12 Fe 0.02 ) bb (Zr 1.00 ) cc の化学量論式によって記述され、括弧内の値のうちのどの個々の変動も、独立して、±0.01、±0.02、±0.04、±0.06±0.0.8、又は±0.1である、構成43記載の組成物。
(構成45)
前記第1のGBM合金の粒子の前記第1の集団の平均粒子が、約1ミクロン~約4ミクロンの範囲内にある、構成39記載の組成物。
(構成46)
柱状及び球状晶子結晶を含有する形態である、構成39記載の組成物。
(構成47)
アモルファス形態である、構成39記載の組成物。
(構成48)
前記第2のコア合金が、磁性体、常磁性体、強磁性体、反強磁性体、超常磁性体である、構成37記載の焼結体。
(構成49)
磁性粒子を混合するための装置であって:
(a)断熱式回転式反応器であって、該反応器が、入口ポート及び出口ポートを有し、各ポートが、それぞれ、粒子を、該回転式反応器から添加及び除去するよう適合されており、各入口ポート及び出口ポートには、任意に、粒子ふるいが取り付けられている、前記断熱式回転式反応器;
(b)真空を、該断熱式回転式反応器に提供する能力がある真空源;
(c)該回転式反応器を、使用中に加熱する能力があるヒーター;及び任意に
(d)該装置の作動中に、サンプルの回収を可能とするサンプリングポータル
を備える、前記装置。
(構成50)
構成49記載の装置を備えるシステムであって:
(a)固体磁性材料を、1~10バールの範囲内の圧力の水素で処理する能力がある回転式水素反応器;
(b)排気され加熱されて、含水素磁性材料を、少なくとも部分的に脱ガスする能力がある回転式脱ガスチャンバー;
(c)ジェットミル装置;
(d)約800~約3000kNの範囲内の力を、粒子の集団に加える能力がある圧縮デバイスであって、該圧縮デバイスには、磁場源が取り付けられており、該磁場源は、該圧縮デバイスが、該圧力を、該粒子の集団に加えている間に、約0.2T~約2.5Tの範囲内の磁場を提供することができる、前記圧縮デバイス;及び
(e)焼結チャンバーであって、該チャンバーに、約400℃~1200℃の範囲内の内温を提供しながら、該チャンバー内に選択的な真空及び不活性雰囲気環境を提供するよう構成された、前記焼結チャンバー;
のうちの1つ以上をさらに含む、前記システム。
図1
図2(A)】
図2(B)】
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7