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  • 特許-イチゴ容器用蓋部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】イチゴ容器用蓋部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/08 20060101AFI20220721BHJP
   B65D 25/10 20060101ALI20220721BHJP
   B65D 85/34 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B65D77/08 J
B65D25/10
B65D85/34
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019107598
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2020200070
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390003148
【氏名又は名称】エフピコチュ-パ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】土田 利一
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3209462(JP,U)
【文献】特開2012-101828(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197139(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 25/10
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面から見てほぼ長方形状を呈するイチゴ容器の開口部を覆うイチゴ容器用蓋部材であって、このイチゴ容器用蓋部材の蓋本体は、イチゴ容器の開口部に形成されている嵌合フランジを覆う容器嵌合部を有し、この容器嵌合部は、嵌合フランジを覆うよう蓋本体の下面開口部縁に沿って外方に膨出されているフランジ包覆部と、このフランジ包覆部によって覆われた嵌合フランジの下縁に係合するようフランジ包覆部の内方に窪ませられている係合凹所と、係合凹所上で嵌合フランジを支持するようフランジ包覆部内に区画形成されているフランジ支持部とを備えて成り、
係合凹所は、フランジ包覆部における角隅部近傍の辺縁の端部それぞれに配置されていて、フランジ包覆部における側壁部の下縁から上壁部側に至るに伴い次第に蓋本体の内方に窪むように内向きに傾斜した案内傾斜縁と、この案内傾斜縁の上部から上方に至るに伴い折り返されて外向きに傾斜した係合傾斜縁とからほぼ「く」字状を呈していて、蓋本体を嵌合フランジに被せたときには嵌合フランジの外側部分の外側面が係合凹所に当接しながらスライドし、嵌合フランジの下縁が係合傾斜縁の上部に係合支持されるようにしてあり、
フランジ包覆部は、イチゴ容器の開口部の開口幅員に対応した包覆幅員、最大の開口長さに対応した包覆長さの下面開口部を有していて、
フランジ包覆部の包覆長さは、イチゴ容器における開口部の最大の開口長さに比し小さくはないものとし、
幅員方向に沿う係合凹所相互間の間隔は、イチゴ容器における開口部の最小の開口幅員に比し小さくはないものとし、
フランジ支持部の支持高さは、イチゴ容器の嵌合フランジの最大のフランジ高さに比し小さくはないものとし、
フランジ包覆部の角隅部の円弧径は、嵌合フランジの円弧状の角隅部における最小のフランジ円弧径に比し大きくはないものとしてあることを特徴とするイチゴ容器用蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてイチゴを店頭にて販売する等に際し平面から見て長方形状の所定のイチゴ容器内に収納されて陳列されるとき、イチゴを収納するイチゴ容器に僅かにでも大小があったり、蓋との嵌合形態その他が異なっていたりしても、それらの相違のいずれにも対応して施蓋可能にすることで、収納したイチゴを保護できるようにした汎用性あるイチゴ容器用蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からスーパーマーケットやコンビニエンスストア等でイチゴが販売されるとき、例えば合成樹脂製薄肉シートで成型されたイチゴ容器内に収納する場合、表面の傷等を防止するため揃えて並べられたり、他のイチゴと分離されて個別に仕切られたりして収納されている。また、平面から見て長方形状に形成された、いわゆるレギュラーパックと称されるイチゴ容器は、一般的には例えばこれを縦横で2個ずつ並べて収納する段ボール製の組立収納容器内に収納されることで産地から店頭まで運搬されている。
【0003】
このような流通事情を鑑みて、イチゴ容器に収納されるイチゴ重量は例えば250~300g程度のほぼ一定範囲内に収められるようにされ、またその容器形状も施蓋された形態においては所定の幅員、長さ、高さ等を有するほぼ直方体状に形成されている。
【0004】
ただ、イチゴ自体は、近時は産地それぞれにおける品種改良等によってその種類も多く、また種類に応じてその粒大きさ、形状等が様々に異なるものとなっている。品種その他に対応して収納する個数、それによる重量、容器に収納する際の並べ方それぞれが異なることで、収納時の体裁が最も良く映えるようにそれぞれに対応したイチゴ容器が提案されている。その結果、イチゴ容器自体の幅員、長さ、高さ更には側壁の傾斜角度、補強のための開口部分における折り返し状の嵌合フランジ等が僅かにでも異なることになり、こうした相違に対応して蓋部材もイチゴ容器の開口部分にきっちりと嵌合される嵌合形状とすべく、それぞれに合わせて大小その他が全く異なる形態となっているのが実情である。
【0005】
そのため、従来から色々なイチゴ容器及びこれに対応した蓋部材が提案されており、例えば特許文献1に示される青果物包装容器用被覆蓋、特許文献2に示されるイチゴ用容器、特許文献3に示される包装容器、特許文献4に示されるイチゴ容器用の蓋等がある。特許文献1の被覆蓋はイチゴ容器の開口を覆う合成樹脂フィルムの両端部付近に粘着剤帯を塗設して成る。特許文献2のイチゴ用容器は容器本体と蓋体とに収納するイチゴを個別に仕切るよう窪みと柱・突起を設けて成る。特許文献3の包装容器はカバーの下面開口の伸縮性フィルムシートの弾性で容器本体内に収納するイチゴの動きを抑止し、容器本体の底面にイチゴ等の動きを拘束する突起部を設けて成る。特許文献4の蓋は収納容器に嵌め合わせた蓋本体に空気流通部を形成し、嵌め合わせた収納容器の嵌合縁に空気流通の空隙を形成して成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平1-167059号公報
【文献】特開平8-133369号公報
【文献】特開2010-168083号公報
【文献】登録実用新案第3209462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが特許文献1の被覆蓋は単なる薄肉状の合成樹脂フィルムであるから、容器本体の形状、大きさが異なっても使用できる反面、例えば複数個を店頭で購入した場合に積み重ねると下方の容器内のイチゴは潰され、商品価値が損なわれることになる。特許文献2の容器は個別にイチゴを保護できても、形状、大きさが異なればそれぞれに対応した窪み、柱・突起を各別に形成する必要があるから、複数種類の容器を用意する必要がある。特許文献3の包装容器における容器本体においても同様な問題が存する。特許文献4の蓋は容器内外の空気流通を図るにすぎず、異なる容器本体形状に対応可能とする汎用性ある蓋の嵌合形態とはなっていない。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、産地、品種の様々な相違によって種々に形成されている、例えばレギュラーパックと称されているイチゴ容器のいずれにも施蓋できるようにし、イチゴ容器の開口部形状の僅かな大小の相違、補強等のために折り返し状に形成されている嵌合フランジ形態その他が異なっていても、異なるイチゴ容器毎に対応して各種の蓋部材を各別に形成用意する必要がなく、いずれのイチゴ容器にも対応できる汎用性あるイチゴ容器用蓋部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、平面から見てほぼ長方形状を呈するイチゴ容器Pの開口部を覆うイチゴ容器用蓋部材であって、このイチゴ容器用蓋部材の蓋本体1は、イチゴ容器Pの開口部に形成されている嵌合フランジFを覆う容器嵌合部10を有し、この容器嵌合部10は、嵌合フランジFを覆うよう蓋本体1の下面開口部縁に沿って外方に膨出されているフランジ包覆部11と、このフランジ包覆部11によって覆われた嵌合フランジFの下縁に係合するようフランジ包覆部11の内方に窪ませられている係合凹所12と、係合凹所12上で嵌合フランジFを支持するようフランジ包覆部11内に区画形成されているフランジ支持部13とを備えて成ることを特徴とする。
係合凹所12は、フランジ包覆部11における角隅部の近傍に配置されて構成することができる。
フランジ包覆部11は、イチゴ容器Pの開口部の開口幅員Wに対応した包覆幅員、最大の開口長さLに対応した包覆長さの下面開口部を有して構成することができる。
係合凹所12は、フランジ包覆部11における側壁部11Bの下縁から上壁部11A側に至るに伴い次第に蓋本体1の内方に窪むように内向きに傾斜した案内傾斜縁12Aと、この案内傾斜縁12Aの上部から上方に至るに伴い折りし返されて外向きに傾斜した係合傾斜縁12Bとからほぼ「く」字状を呈していて、蓋本体1を嵌合フランジFに被せたときには嵌合フランジFの外側部分の外側面が係合凹所12に当接しながらスライドし、嵌合フランジFの下縁が係合凹所12上に係合支持されるようにして構成することができる。
フランジ包覆部11の包覆長さは、イチゴ容器Pにおける開口部の最大の開口長さLに比し小さくはないものとして構成することができる。
幅員方向に沿う係合凹所12相互間の間隔は、イチゴ容器Pにおける開口部の最小の開口幅員Wに比し小さくはないものとして構成することができる。
フランジ支持部13の支持高さは、イチゴ容器Pの嵌合フランジFの最大のフランジ高さHに比し小さくはないものとして構成することができる。
フランジ包覆部11の角隅部の円弧径は、嵌合フランジFの円弧状の角隅部における最小のフランジ円弧径Rに比し大きくはないものとして構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係るイチゴ容器用蓋部材にあって、蓋本体1の容器嵌合部10におけるフランジ包覆部11の側壁部に設けられた係合凹所12は、フランジ包覆部11がイチゴ容器Pの嵌合フランジFに被さることで嵌合フランジFの下縁を係合支持して蓋本体1によってイチゴ容器Pを覆い、イチゴ容器Pに収納したイチゴSを保護させる。
フランジ包覆部11の角隅部近傍に配置した係合凹所12は、イチゴ容器Pの嵌合フランジFの角隅部を係合支持し、蓋本体1に生じ得る撓みによる係合支持の離反、脱落による影響を受けさせず、係合支持状態を維持させる。
フランジ包覆部11における包覆長さは、イチゴ容器Pの開口部における最大の開口長さLに比し小さくはないことで、種々のイチゴ容器Pにおける開口長さLが異なる長短にかかわらず、蓋本体1でそれらを覆って被せさせる。
フランジ包覆部11の係合凹所12は、蓋本体1をイチゴ容器Pに被せたときの嵌合フランジFの下縁を係合支持し、嵌合フランジFの最大のフランジ高さHに比し小さくはない支持高さのフランジ支持部13によって、種々のイチゴ容器Pにおけるフランジ高さHの高低にかかわらず、フランジ包覆部11によって嵌合フランジFを支持させる。
幅員方向に沿う係合凹所12相互間がイチゴ容器Pにおける最小の開口幅員Wに比し小さくはないことで、イチゴ容器Pにおける幅員が相違していても嵌合フランジFを係合支持してイチゴ容器Pに蓋本体1を被せさせる。
嵌合フランジFの円弧状の角隅部における最小のフランジ円弧径Rに比し大きくはないフランジ包覆部11の円弧径は、種々のイチゴ容器Pにおける円弧状の角隅部のフランジ円弧径Rの大小にかかわらず、イチゴ容器Pの角隅部をはみ出させることなく、これを覆った状態でイチゴ容器Pに被せさせる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えばイチゴの品種それぞれに応じて個別に形成されるイチゴ容器Pに対応してきっちりと嵌合対応されるように各別に蓋部材を形成することなく、本発明に係る蓋部材によって各種の開口形状が異なるイチゴ容器Pの嵌合フランジFにしっくりと係合できる汎用性を得ることができる。
【0012】
すなわちこれは本発明において、イチゴ容器Pの嵌合フランジFを覆う容器嵌合部10が、蓋本体1の下面開口部縁に沿って外方に膨出されているフランジ包覆部11と、嵌合フランジFの下縁に係合する係合凹所12と、係合凹所12上で嵌合フランジFを支持するようフランジ包覆部11内に区画形成されているフランジ支持部13とを備えて成るからである。これによって、嵌合フランジFにおける開口長さL、フランジ高さH等が異なる各種のイチゴ容器Pの開口部を汎用性ある蓋本体1によって覆うことができ、各別に異なる各種の蓋部材を用意する必要がない。
【0013】
また、フランジ包覆部11の角隅部の近傍に係合凹所12を配置することで、イチゴ容器P自体更には蓋本体1自体の開口部に生じる内外方への撓みに影響されず、係合凹所12による嵌合フランジFを離脱、離反させることもない。
【0014】
フランジ包覆部11の包覆長さは、イチゴ容器Pの嵌合フランジFにおける最大の開口長さLに比し小さくはなく、幅員方向に沿う係合凹所12相互間は最小の開口幅員に比し小さくはなく、またフランジ包覆部11の支持高さは、嵌合フランジFの最大のフランジ高さHに比し小さくはなく、フランジ包覆部11の角隅部の円弧径は、嵌合フランジFの円弧状の角隅部における最小のフランジ円弧径Rに比し小さくはないものとしてあることで、種々のイチゴ容器Pにおける開口長さLの長短、嵌合フランジFにおけるフランジ高さHの高低、角隅部におけるフランジ円弧径Rの相違等があっても、いずれのイチゴ容器Pにも適用でき、汎用性に優れるものである。
【0015】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を実施するための一形態を、施蓋適用される一例のイチゴ容器と共に示す斜視図である。
図2】同じくイチゴ容器を施蓋した使用状態時の断面図である。
図3】同じくイチゴ容器における開口フランジのフランジ高さが異なる場合に使用したときの要部拡大断面図である。
図4】同じくイチゴ容器における開口長さの長さが異なる場合に使用したときの要部平面図である。
図5】同じくイチゴ容器における開口フランジの角隅部が異なる場合に使用したときの要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は所定のイチゴ容器P、図示のように平面から見て長方形状を呈するいわゆるレギュラーバックと称されるイチゴ容器Pの開口部分を閉塞し、収納したイチゴSを保護する蓋本体である。
【0018】
イチゴ容器Pは、開口部の周縁に折り返し状にした補強用の嵌合フランジFを形成することで、平面から見て角隅部が円弧状となって、所定深さを有するほぼ長方形状を呈している。このようなイチゴ容器Pの開口部に嵌め合わせられる蓋本体1は、イチゴ容器Pの開口部における短辺長さの開口幅員W、長辺長さの開口長さLそれぞれに対応した包覆幅員、包覆長さを有する長方形状の下面開口部を備える。
【0019】
イチゴ容器P及び蓋本体1は、いずれも合成樹脂製薄膜シート材を素材とする例えば真空成型等によって形成されるもので、イチゴ容器P自体は、一般的にこれを縦横方向それぞれで2個にして収納する段ボール製の組立収納容器(図示せず)内で仕切られている収納区画内に収納されるに適する幅員、長さに対応して形成されている。ところで、本発明者が従来から提供されている各種のイチゴ容器Pを収集し、検討したところ、開口幅員Wはほぼ111mm前後で、開口幅員Wの方側における相違の範囲は0.5~2mm程度で殆ど差がないといえるほどであり、開口長さLはほぼ165mm前後で、この開口長さLにおける相違の範囲は10mm前後であり、イチゴ容器Pの開口部に設けられた補強用の嵌合フランジFにおける幅員では最大で10mm前後、高さの相違の範囲は4~10mm程度であることが判明した。
【0020】
そして、イチゴ容器P自体は、組立収納容器における収納区画内に収納されるに適するところとなればよく、例えばイチゴSの品種の相違によるイチゴ容器P内での収納個数、収納形態に対応してほぼ一定の重量例えば250~300gの量目になり、また体裁が良好となるように収納区画それぞれに収納される範囲内で、嵌合フランジFを含む開口幅員W、開口長さL等が適宜に変更選択されてイチゴ容器Pが形成されている。
【0021】
なお、イチゴ容器Pに施蓋される蓋本体1は、収納したイチゴSを保護するように上方に膨出しているドーム形状を呈していると共に、変更選択されているイチゴ容器Pの開口部にしっくりと嵌め合わせられるように形成されるのであり、本発明においては、適宜に変更選択されて種々に異なっているイチゴ容器Pの開口部に対応するように汎用性あるものとして構成される。
【0022】
そのため、蓋本体1の下面開口部には、イチゴ容器Pの開口部を覆うよう、開口部としっくりと嵌合する容器嵌合部10が形成されている。この容器嵌合部10は、イチゴ容器Pの長方形状の開口部の外形に沿い、それぞれで異なるイチゴ容器Pの開口部の短辺側である最大の開口幅員W、長辺側である最大の開口長さLに比しそれぞれ小さくはない包覆幅員、包覆長さを備えている長方形状の下面開口部となっている。こうすることで、一般的に提供されているイチゴ容器Pの開口部においては、最小の開口幅員W、最小の開口長さLとして形成されている場合であると、包覆幅員、包覆長さ上での差は隙間となって、その隙間の差の間隔範囲内でイチゴ容器Pと蓋本体1との間でスライド移動する余裕を生じさせて係合支持するものとしてある。
【0023】
容器嵌合部10自体は、イチゴ容器Pにおける嵌合フランジFを覆うよう蓋本体1の下面開口部縁に沿って外方に膨出されているフランジ包覆部11と、このフランジ包覆部11によって覆われた嵌合フランジFの下縁に係合するようフランジ包覆部11の内方に窪ませられている係合凹所12と、係合凹所12上で嵌合フランジFを支持するよう嵌合フランジFの最大のフランジ高さHに比し小さくはない支持高さに設定されてフランジ包覆部11内に区画形成されているフランジ支持部13とを備える。
【0024】
フランジ包覆部11は、断面において、嵌合フランジFにおける上縁面に沿う上壁部11Aと、折り返された外側部分の外側面に沿う側壁部11Bとからほぼ「形を呈しており、蓋本体1の下面開口部の包覆幅員域、包覆長さ域更には隅角部を含む全域にわたって形成されている。
【0025】
係合凹所12は、フランジ包覆部11によって嵌合フランジFを覆ったとき、嵌合フランジFにおける折り返し部分の外側部分の下端に係合するのであり、フランジ包覆部11を嵌合フランジFに被せるときに、係合凹所12が嵌合フランジFの外側部分に当接しながら乗り越えて下端に強制的に係合するようになっている。
【0026】
この係合凹所12の断面形は、フランジ包覆部11における側壁部11Bの下縁から上壁部11A側に至るに伴い次第に蓋本体1の内方に窪むように内向きに傾斜した案内傾斜縁12Aと、この案内傾斜縁12Aの上部から上方に至るに伴い折りし返されて外向きに傾斜した係合傾斜縁12Bとからほぼ「く」字状を呈している。なお、係合凹所12自体は、例えば真空成型時におけるアンダーカット処理によって形成される。
【0027】
係合凹所12の大きさ自体はフランジ包覆部11の高さに対してほぼ2/5程度の高さに設定されていて、案内傾斜縁12Aと係合傾斜縁12Bとの高さ比はほぼ4:1乃至3:1程度で、これらの間ではほぼ直角に折り返されている。こうすることで、係合傾斜縁12Bの上部はフランジ包覆部11の前記側壁部11Bに連続しており、その連続部位では、下方にやや傾斜した段部となっていて、この段部上でイチゴ容器Pに被せられたときの嵌合フランジFの下端を係合支持するものとしている。
【0028】
なお、係合凹所12における案内傾斜縁12A、係合傾斜縁12Bそれぞれの形成比率は、上記の比率に限定されるものではなく、また蓋本体1内方への窪みの深さは嵌合フランジFの下縁を係合するに足りる深さ幅となっていれば足りる。
【0029】
そして、係合凹所12上からフランジ包覆部11の上壁部11Aに至る、フランジ包覆部11の側壁部11B部分の内方は前記のフランジ支持部13となっている。このフランジ支持部13自体の支持高さ、すなわち係合凹所12における角部分の上面から上壁部11Aの内側面に至る高さ間隔は、イチゴ容器Pの嵌合フランジFの最大のフランジ高さHに比し小さく(低く)はないものとしてある。こうすることで、嵌合フランジF(F1)のフランジ高さHが低いイチゴ容器(P1)であっても係合凹所12に係合可能であり、イチゴ容器Pに対して蓋本体1が上下にスライド移動することがあっても蓋本体1がイチゴ容器Pから離反し、外れることもない(図3参照)。
【0030】
なお、このフランジ支持部13において、嵌合フランジFを含むイチゴ容器P全体の開口幅員W、あるいはフランジ高さH等の相違によっては、嵌合フランジFの下端は係合凹所12における係合傾斜縁12Bの上端、あるいは係合凹所12における角部分上に位置することがあるも、いずれにしても係合傾斜縁12B上のいずれかの部位に位置される。
【0031】
係合凹所12は、図示にあっては平面で長方形状を呈する蓋本体1の角隅部である四隅近傍の辺縁に設けられており、短辺の端部それぞれ、長辺の端部それぞれの計4箇所に設けられるも、これに限らず、各辺縁のほぼ中央部あるいはイチゴ容器Pと確実に係合される位置、数として適箇所に設けられる。係合凹所12が角隅部の近傍に配置されることで、イチゴ容器P自体あるいは蓋本体1自体の開口部に生じる撓みによって内方あるいは外方への位置ズレによる係合状態の離脱、離反が防止されるように配慮する。
【0032】
なお、左右方向に沿う係合凹所12相互間の間隔、すなわち係合傾斜縁12Bの上端相互間の間隔は、イチゴ容器Pにおける、嵌合フランジFを含む短辺側の開口幅員Wの間隔(長さ)にほぼ対応している。これは、前記したように、本発明に係る蓋部材が対象可能なイチゴ容器Pとして検討した殆どのものが僅かな相違があってもほぼ同幅員であったことで対処可能であるからである(図4参照)。しかしながら、イチゴ容器P全体の開口幅員Wが係合傾斜縁12Bの上端相互間の間隔に比しやや大きくても、その差は僅かであるから強制的にでも嵌め合わせることで対応可能である。
【0033】
また、この左右方向に直交する前後方向に沿う係合凹所12における係合傾斜縁12Bの上端相互間の間隔は、イチゴ容器Pにおける最大の開口長さLに比し小さくはない包覆長さにしてある。こうすることで、最大の開口長さLを有するイチゴ容器Pよりも短い開口長さLを有するイチゴ容器(P1)である場合は、左右方向に沿う係合凹所12によって係合した状態で前後方向にスライド移動を可能としても、イチゴ容器(P1)に対する蓋本体1の施蓋状態は維持可能であるからである(図4参照)。しかしながら、イチゴ容器P全体の開口長さLが係合傾斜縁12Bの上端相互間の間隔に比しやや大きくても、その差は僅かであるから強制的にでも嵌め合わせることで対応可能であり、小さくはない長さとは、このような場合も含むのである。
【0034】
また、蓋本体1における角隅部の四隅は、平面から見て円弧状に形成されており、イチゴ容器Pに蓋本体1を被せたときに、イチゴ容器Pにおける同じく円弧状の四隅の角部分がはみ出すことなく収納されるようにしてある。そのため、蓋本体1の四隅の角部分における円弧径は、イチゴ容器Pのフランジ円弧径Rに比し小さく形成されており、イチゴ容器Pにおける円弧状角部の最小のフランジ円弧径Rに比し大きくはない円弧径に設定されている。こうすることで、角隅部のフランジ円弧径Rが大きいイチゴ容器Pであっても小さいイチゴ容器(P1)であっても、いずれの嵌合フランジF,(F1)をも蓋本体1の角隅部で覆うことができる(図5参照)。
【0035】
なお、図中符号2は、イチゴ容器Pに蓋本体1を被せたときの容器内外の空気流通を図るために蓋本体1の側壁の下部に窪み状に形成した空気流通部であり、3は、蓋本体1の側壁を補強する複数条の溝状の補強部である。
【0036】
次にこれの使用の一例を説明すると、イチゴSを収納した所定のイチゴ容器Pの開口部に蓋本体1によって被せればよく、フランジ包覆部11ではイチゴ容器Pの嵌合フランジFの外側部分の外側面に係合凹所12の案内傾斜縁12Aが当接し、当接しながら嵌合フランジFを乗り越えることで係合凹所12の上部が嵌合フランジFの下縁に係合し、嵌合フランジFをフランジ包覆部11内で位置決めし、これによって蓋本体1がイチゴ容器Pを覆うこととなる。
【0037】
嵌合フランジFのフランジ高さHが異なる場合、最大のフランジ高さHを有するイチゴ容器(P2)では嵌合フランジ(F2)をフランジ支持部13の全域で支持し、フランジ高さHが低いイチゴ容器(P1)では例えば蓋本体1にて持ち上げたときにフランジ支持部13内で嵌合フランジ(F1)が上下に移動することがあっても、係合凹所12の上部が嵌合フランジ(F1)に係合することで、イチゴ容器Pから蓋本体1が外れることはない(図3参照)。
【0038】
イチゴ容器Pにおける開口幅員Wが小さい場合、嵌合フランジF2の下端は、係合凹所12における内側の角部分に係合して嵌合フランジF2がフランジ支持部13に位置決めされることで、蓋本体1はイチゴ容器Pの開口部分を覆い、イチゴ容器Pからが外れることはない(同じく図3参照)。
【0039】
また、イチゴ容器Pの開口長さLが異なる場合、最大の開口長さLを有するイチゴ容器Pでは蓋本体1におけるフランジ包覆部11の包覆長さの全域で、係合凹所12に係合支持された嵌合フランジF1を支持する。開口長さLが短いイチゴ容器(P1)では、長さ方向できっちりと嵌め合わせられなくて、いわゆる遊び・余裕が生じてスライド移動することがあっても、係合凹所12で支持されていることで、蓋本体1はイチゴ容器(P1)から外れることがない(図4参照)。
【0040】
イチゴ容器Pの角隅部の円弧状部分において、そのフランジ円弧径Rが異なる場合は、最小のフランジ円弧径Rを有するイチゴ容器(P1)では、蓋本体1の角隅部の内側縁に近接するも蓋本体1の外方にイチゴ容器(P1)の角隅部が出張ることはなく、またフランジ円弧径Rが大きいイチゴ容器Pの角隅部では蓋本体1の角隅部の内側からやや離れて位置されることでも、蓋本体1はイチゴ容器Pから外れることはない(図5参照)。
【符号の説明】
【0041】
P,P1,P2…イチゴ容器
F,F1,F2…嵌合フランジ
S…イチゴ
H…フランジ高さ
L…開口長さ
R…フランジ円弧径
W…開口幅員
1…蓋本体
2…空気流通部
3…補強部
10…容器嵌合部
11…フランジ包覆部
11A…上壁部
11B…側壁部
12…係合凹所
12A…案内傾斜縁
12B…係合傾斜縁
13…フランジ支持部
図1
図2
図3
図4
図5