(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】工事環境安全判定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20220721BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2019219476
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2021-03-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、2019年10月31日から11月1日、NTTアクセスサービスシステム研究所において開催された、NTTつくばフォーラム2019で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】白潟 実
(72)【発明者】
【氏名】藤本 孝
(72)【発明者】
【氏名】島本 文彰
(72)【発明者】
【氏名】森田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮元 武司
(72)【発明者】
【氏名】篠原 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】大毛 忠文
(72)【発明者】
【氏名】金井 俊
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 結花里
(72)【発明者】
【氏名】南 静香
(72)【発明者】
【氏名】東山 竜明
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-33047(JP,A)
【文献】特開2011-128699(JP,A)
【文献】特開2017-4086(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181923(WO,A1)
【文献】特開2011-70262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも通信機能及び撮影機能を備えた携帯端末により作業開始前の工事現場を撮影した画像データをサーバへ送信し、画像データを受信したサーバにより撮影現場における工事環境の安全性が確保されているか否かを判定する工事環境安全判定システムであって、
前記携帯端末は、施工指示選択項目の表示と、前記施工指示選択項目における特定項目が選択された場合に、当該項目における工事環境の安全性判定に必要な撮影写真項目の表示と、撮影機能を起動させると共に、撮影された画像データを前記選択した施工指示項目に関連付けて前記サーバに送信する処理と、前記サーバから送信された判定結果を表示する処理と、を行い、
前記サーバは、前記施工指示選択項目毎に定められた工事環境の安全性の判定に必要な物体を特定するための学習データと、前記物体の配置状況に基づく安全性を判定するための判定基準データとを記録したデータベースを有する記憶手段と、
前記学習データに基づいて前記物体の認定を行う第1プロセスと、
前記判定基準データに基づいて前記物体の配置状況に基づく安全性を判定する第2プロセスにより、前記施工指示項目に関する安全性が確保されているか否かの判定処理を行う演算手段と、
前記演算手段によって求められた判定結果を前記画像データを送信した前記携帯端末に送信する通信手段と、
を有することを特徴とする工事環境安全判定システム。
【請求項2】
前記学習データは、工事現場毎に撮影された画像データに写っている物体を個別に特定し、各物体に対して情報をタグ付けする処理が成されたデータであることを特徴とする請求項1に記載の工事環境安全判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場における施工環境の状態を判定するためのシステムに係り、特に工事施工前における環境の安全性の判定を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場において作業の安全性を判定するためのシステムは、種々検討されている。例えば特許文献1に開示されているシステムは、建設現場等に設置された広角の監視カメラにより撮影された作業者の画像に基づいて、作業者の装備品が適切か否かを判定し、判定結果を報知するというシステムです。このようなシステムによれば、作業中の作業者が適切な服装、装備を有しているかを自動で判定することができ、不適切な場合には、その指摘を行うことができる。このため、作業者や工事の安全性を継続的に確保することができる。
【0003】
また、特許文献2に開示されているシステムは、工事現場に敷設されたレール上を移動可能なカメラにより、工事現場に設置された足場を撮影し、その撮影画像に基づいて、工事の危険性を判定し、判定結果を工事作業員に通知するというシステムです。このシステムでは、足場の設置状態の可否を判定し、作業の安全性を判定することができます。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-154129号公報
【文献】特開2019-31811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に開示されているようなシステムによれば、随時、工事現場での作業状態が適切で、安全性が確保されているかという事についてチェックすることができる。しかし、上記特許文献に開示されているシステムは、いずれも作業中の工事現場の監視であり、安全性を確保した上で作業に及んでいるかについては把握することができない。
【0006】
そこで本発明では、工事作業開始前に簡易に工事環境の安全性が確保されているか否かの判定を行う事ができる工事環境安全判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る工事環境安全判定システムは、少なくとも通信機能及び撮影機能を備えた携帯端末により作業開始前の工事現場を撮影した画像データをサーバへ送信し、画像データを受信したサーバにより撮影現場における工事環境の安全性が確保されているか否かを判定する工事環境安全判定システムであって、前記携帯端末は、施工指示選択項目の表示と、前記施工指示選択項目における特定項目が選択された場合に、当該項目における工事環境の安全性判定に必要な撮影写真項目の表示と、撮影機能を起動させると共に、撮影された画像データを前記選択した施工指示項目に関連付けて前記サーバに送信する処理と、前記サーバから送信された判定結果を表示する処理と、を行い、前記サーバは、前記施工指示選択項目毎に定められた工事環境の安全性の判定に必要な物体を特定するための学習データと、前記物体の配置状況に基づく安全性を判定するための判定基準データとを記録したデータベースを有する記憶手段と、前記学習データに基づいて前記物体の認定を行う第1プロセスと、前記判定基準データに基づいて前記物体の配置状況に基づく安全性を判定する第2プロセスにより、前記施工指示項目に関する安全性が確保されているか否かの判定処理を行う演算手段と、前記演算手段によって求められた判定結果を前記画像データを送信した前記携帯端末に送信する通信手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する工事環境安全判定システムにおいて前記学習データは、工事現場毎に撮影された画像データに写っている物体を個別に特定し、各物体に対して情報をタグ付けする処理が成されたデータとすることができる。このような特徴を有することによれば、受信した画像データに写っている物体を個別に認識、判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
上記のような特徴を有する工事環境安全判定システムによれば、工事作業開始前に簡易に工事環境の安全性が確保されているか否かの判定を行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る工事環境安全判定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】工事における作業別施工指示項目と、写真撮影項目の分類を示す表である。
【
図5】施工指示に従った選択作業を入力するための表示手段の例である。
【
図6】安全確認状況が良好であると判定される「保安柵状況(斜め前面)」の撮影画像の例である。
【
図7】安全確認状況が良好であると判定される「保安柵状況(斜め後面)」の撮影画像の例である。
【
図8】安全確認状況が良好であると判定される「輪止め状況」の撮影画像の例である。
【
図9】安全確認状況が良好であると判定された場合における表示手段の例である。
【
図10】安全確認状況に問題があると判定される「保安柵状況(斜め前面)」の撮影画像の例である。
【
図11】安全確認状況に問題があると判定される「保安柵状況(斜め後ろ)」の撮影画像の例である。
【
図12】安全確認状況に問題があると判定された場合における表示手段の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の工事環境安全判定システムに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の一部であり、その対象や選択項目に変化を加えたとしても、本発明の効果を奏する限りにおいて、本発明の一部とみなすことができる。
【0012】
[システム構成]
本実施形態に係る工事環境安全判定システム(以下、単に安全判定システム10と称す)は、
図1に示すように、携帯端末12(
図1においては、12a~12d)と、サーバ24とを基本として構成されている。
【0013】
[携帯端末]
携帯端末12は、工事現場a~dにおいて作業に従事する作業者が保有する端末であり、例えば高機能型携帯電話(いわゆるスマートフォン)や、タブレット型端末などであれば良く、
図2に示すように、少なくとも記憶手段14と、通信手段16、表示手段18、及び撮影手段20を備え、各手段に対する処理を行う演算手段22と操作機能(不図示)を有するものであれば良い。
【0014】
記憶手段14は、実施形態に係る安全判定システム10を機能させるためのアプリケーションソフトや、詳細を後述する撮影手段20により撮影された画像データ、および工事環境の安全判定結果などを記憶するための手段である。
【0015】
本実施形態では、アプリケーションソフトとして、工事環境の安全判定を行うための手順を示すと共に、撮影した画像データをサーバ24へ送信し、サーバ24から受信した判定結果を表示手段に表示することを基本とするプログラムを事前にインストールしておくこととなる。ここで、アプリケーションソフトをインストールした後、アプリケーションソフトを起動する際には、各種データを送受信する携帯端末12を特定するためのユニーク情報を登録することが望ましい。なお、ユニーク情報としては、アプリケーションソフトを起動する際に定めるIDなどであれば良い。
【0016】
通信手段は、撮影手段20により撮影された画像データの送信や、詳細を後述するサーバ24から送信された判定結果を受信するための手段である。本実施形態では、各データの送受信に際し、携帯端末12のユニーク情報と、選択作業名を示す表示画面において選択された項目に関する情報を関連づけるようにすると良い。このように、ユニーク情報と項目情報を撮影した画像データに関連づけることで、送受信を成す携帯端末12の特定と、画像データの判定を行う際の判定基準の特定を行うことができるようになる。
【0017】
表示手段18は、アプリケーションソフトにおける選択項目や、撮影手段20により撮影された画像データ、及びサーバ24から送信された判定結果などを視認可能に表示するための要素である。本実施形態は、表示手段18を介して選択等するための操作機能が備えられている。
【0018】
撮影手段20は、工事環境を撮影するための手段であれば良い。また、演算手段22は、各種処理を行うための処理や、アプリケーションソフトを起動、動作させるための処理、及びデータを送受信するための処理など、様々な処理を実行するための要素である。
【0019】
[サーバ]
サーバ24は、携帯端末12を介して撮影された画像データの管理や、工事環境の安全判定を行うための要素である。サーバ24には、少なくとも通信手段26と、記憶手段28、及び演算手段30が備えられていれば良い。
【0020】
通信手段26は、携帯端末12を介して撮影された画像データの受信と、詳細を後述する演算手段30を介した工事環境の安全判定についての結果を送信することができれば良い。
【0021】
記憶手段28は、ハードディスク等の大容量記憶装置により構成すれば良い。記憶手段28には、少なくとも工事毎に定められる施工指示選択項目毎に定められた工事環境の安全性の判定に必要な学習データと、この学習データに基づいて判定処理を行うプログラム、及び判定基準データ等が記録されている。ここで、学習データとは、例えば工事現場毎に撮影された画像データに写っている物体を個別に特定し、各物体に対して情報をタグ付けする処理を行い、特定形状の物体が何であるのかを画像から認識させるためのデータである(アノテーション処理データ)。ここで、物体を個別に特定するとは、例えば、該当する物体を境界線で取り囲んだり、切り出したりする事による処理であれば良い。なお、判定基準データとは、学習データに基づいて認識される物体がどのような位置関係で配置されていれば、安全性が確保されていると認定できるか否かという基準を定めたデータであれば良い。
【0022】
演算手段30は、記憶手段28に記録されているプログラムを起動させ、携帯端末12から送信された画像データに写っている物体を個別に認識すると共に、学習データに基づいて、認識された物体が何かを把握し、安全性の判定を行うための要素である。本実施形態では、安全性の判定は、2段階のプロセスで行うこととしている。
【0023】
まず、第1プロセスでは、受信した画像データに写っている物体が、施工指示選択項目毎に定められた安全性確保に必要な物を含んでいるか否かの判定が成される。第1プロセスにおいて、画像データに写っている物体が安全性確保に必要な物を含んでいると判定された場合には、第2プロセスに移行する。一方、画像データに写っている物体が、安全性確保に必要な物を含んでいないと判定された場合には、工事環境の安全性が確保されていないと判定される。
【0024】
第2プロセスでは、判定に係る画像データ(携帯端末12から送信された画像データ)を平面座標系に投影し、当該画像データに写っている各物体の位置関係の認識を行う。各物体の位置関係の認識が成された後、判定基準データに基づいて、工事環境の安全性が確保されているか否かの判定が成される。すなわち、物体の位置関係が判定基準データに定められた基準を満たせば、安全性が確保されていると判定され、基準を満たしていなければ、安全性が確保されていないと判定される。
【0025】
工事現場は、毎回場所や環境が異なる場合が殆どであり、現場状況によってバケット車50(
図6参照)やカラーコーン(登録商標)52(
図6参照)、及び安全バー54(
図6参照)等の配置状況や、配置形態にも差が生じる事が常である。このため、物体の認識、判定(第1プロセス)と、その配置状況の把握、判定(第2プロセス)といった2段階のプロセスによる判定を採用することで、判定の拡張性が増し、工事の規模や形態が異なる場合であっても対応することが可能となる。
【0026】
[工事環境安全判定]
次に、本発明に係る安全判定システム10を用いた工事環境の安全判定について説明する。まず、各工事現場a~dにおいて、作業者が携帯端末12の安全判定アプリケーションソフトを起動させる。なお、アプリケーションソフトをインストールする際、あるいは利用する際には、利用者IDの登録など、送受信データを記録する際のキー情報を定めるようにすると良い。
【0027】
携帯端末12において安全判定アプリケーションソフトを起動させると、表示手段18には、施工指示に沿った選択作業名の項目が表示される。選択作業は工事の特性等により多岐に亙り、各作業毎にそれぞれ複数の施工指示が示されることとなる。
図4では一例として、選択作業を「アクセス工事」とした場合を示している。ここで示すアクセス工事とは、通信回線の施設工事であり、当該工事における選択項目としては、「高所作業車」、「梯子作業」、「建柱作業」、「地下作業」、「宅内等作業」といった5項目が表示されることとなる。なお、この選択項目は、工事現場の業態や作業職種等により種々異ならせることができることは言うまでも無い。
【0028】
作業者(携帯端末12の保有者)が選択作業名の項目を選択すると、各作業を行う際の安全判定を行う場合に必要とされる写真(画像データ)の項目が提示される。例えば、選択作業名を選択する画面において作業者が「高所作業車」を選択した場合、
図5に示すように、「保安柵状況(斜め前面)」、「輪止め状況」、「保安柵状況(斜め後面)」といった撮影写真項目が提示される。ここで、「保安柵状況(斜め前面)」と、「保安柵状況(斜め後面)」とは、高所作業車を囲う保安柵の設置状況を把握するための写真であり、高所作業車の前面と後面、及び側面における保安柵の設置状況が認識できるように撮影すると良い。なお、ここで言う保安柵とは、例えばカラーコーン52(
図6参照)と、少なくとも2つのカラーコーン52を繋ぐ安全バー54(
図6参照)により構成される柵であれば良い。
【0029】
また、「輪止め状況」とは、高所作業車(バケット車50)のタイヤに輪止め56が成されているか否かを把握するための写真であり、高所作業車のタイヤと、このタイヤに対する輪止め56を含む写真を撮影すれば良い。
【0030】
撮影写真項目にて、撮影すべき写真を把握した作業者が「撮影へ移る」などの項目を選択することで、撮影手段20が起動する。撮影手段20を介して工事現場の写真が撮影されると、当該画像データは、選択作業名において選択された項目と、利用者ID等の携帯端末12毎のユニークな番号と共に、通信手段16を介してサーバ24に送信される。
【0031】
画像データを受信したサーバ24では、判定処理を行うプログラムが起動され、工事現場の状況、設置物の有無、配置状況など、様々な観点から安全性の判定が成される。例えば撮影された画像データが
図6、
図7、及び
図8のようなものであった場合、安全判定を左右する大きな項目として、「バケット車(バケット車50の有無や配置状況)」、「カラーコーン(カラーコーン52の有無や配置状況)」、「バー(安全バー54の有無や配置状況)」、及び「囲みチェック(安全バー54による囲み範囲の良否など)」が判定される。
【0032】
図6から
図8に示す画像データによれば、バケット車50が壁際に駐車され、輪止め56が正しく設置されている。このため、バケット車50の駐車状態としては安全性が確保されている事からバケット車の判定は、「〇」となる。次に、カラーコーン52が複数配置されている事からカラーコーン52の判定(カラーコーン52の有無)も「〇」となる。さらに、各カラーコーン52に安全バー54が係止されて保安柵を構成しているため、バーに関する判定も「〇」となる。そして、囲みチェックに関しては、バケット車50の斜め前面と斜め後面の写真から、バケット車50を取り囲むようにカラーコーン52が配置され、安全バー54も係止されている事から、囲み範囲も適切であると判定され「〇」となる。よって、安全判定は、「安全性が確保されている」と判定され、その結果が携帯端末12に送信される。
【0033】
安全判定の判定結果を受信した携帯端末12では表示手段18に、
図9に示すようにして、判定結果を表示する。
図9に示す例では、全体の判定として、「安全確認状況」が良好である「〇」とした上で、主体となる上記4つの項目についての判定結果が表示されている。そして、画面下半部には、安全判定に用いられた撮影画像が表示される。
【0034】
作業者は、安全確認状況が良好であると判定された場合、
図9に示す画面において「確定」の項目を選択し、工事現場において作業前の安全確認状況が満たされている事をサーバ24に送信し、登録する。このような操作、登録を行うことで、後日、該当する工事現場における作業が、安全が確保された環境で実施されていたことを確認、証明することが可能となる。
【0035】
一方で、撮影手段20により撮影され、サーバ24に送信された画像データのうち、「保安柵状況(斜め前面)」と、「保安柵状況(斜め後面)」として撮影されたものが、
図10、
図11に示すようなものであった場合、サーバ24では、第2プロセスにおいて、破線部に示す範囲が“安全バー54により囲まれていない”と認識、判定することとなる。こうした判定が成された場合、判定結果を受信した携帯端末12では、
図12に示すような判定結果が表示手段18に表示される。
【0036】
判定結果としては、「安全確認状況」に問題があるとして「?」が示され、問題のある項目(
図12に示す例では「囲みチェック」)に、「?」が示される。このような判定結果が示された作業者は、問題があるとして示された項目の状況を見直した上で「撮り直し」の項目選択し、再度工事現場の撮影を行い、安全性判定を行うようにする。このようにして、安全確認状況が「〇」となるまで撮影と判定を繰り返す事で、工事現場の安全性が確保されることとなる。
【0037】
[効果]
上記のような安全判定システム10によれば、工事作業開始前に作業者が、その場で簡易に工事環境の安全性確保についての判定を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記実施形態では一例として、高所作業車を用いる工事環境における安全判定を行う場合について説明した。しかしながら当然に、本システムを用いれば、他の項目における工事環境の安全性についても判定することが可能となる。
【0039】
また、上記実施形態では、選択作業名の選択において、作業者が「高所作業車」を選択したために、撮影写真項目が「保安柵状況(斜め前面)」、「輪止め状況」、「保安柵状況(斜め後面)」の3パターンである旨説明した。しかしながら、撮影写真項目は、選択する作業名によって異なり、その数も3パターンに限られるものでは無い。
【符号の説明】
【0040】
10………安全判定システム、12(12a~12d)………携帯端末、14………記憶手段、16………通信手段、18………表示手段、20………撮影手段、22………演算手段、24………サーバ、26………通信手段、28………記憶手段、30………演算手段、50………バケット車、52………カラーコーン、54………安全バー、56………輪止め