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特許7108600ワークトップ又は家具のためのガラスセラミックプレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ワークトップ又は家具のためのガラスセラミックプレート
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20220721BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20220721BHJP
   F24C 15/04 20060101ALI20220721BHJP
   C03C 27/04 20060101ALI20220721BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20220721BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H05B6/12 305
F24C15/10 C
F24C15/04 B
C03C27/04 D
A47B13/08 A
A47B96/18 B
A47B96/18 D
A47B96/18 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019506551
(86)(22)【出願日】2017-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 FR2017050963
(87)【国際公開番号】W WO2017187070
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】1653642
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ルー
(72)【発明者】
【氏名】パブロ ビラト
(72)【発明者】
【氏名】フランク デモル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ドブレイエ
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ラベル
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン シャーパンティエ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-535866(JP,A)
【文献】特開2013-047387(JP,A)
【文献】特表2013-532622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0029369(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02108893(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第01106931(EP,A2)
【文献】米国特許第06498326(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
F24C 9/00-15/14
C03C 27/00-29/00
A47B 1/00-41/06
A47B 91/00-97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスセラミックシート、特に家具ユニットの表面及び/又はワークトップとして用いることが意図されている、ガラスセラミックシートであって、その面のうちの少なくとも1つ、特にその下面において、10cm未満の高さである、電子部材を有する付属品又は追加の要素のための、少なくとも1つの接続要素を具備しており、前記接続要素が、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる少なくとも1つの部分を具備しており、
前記接続要素又は前記接続要素の少なくとも一部が、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる、付加すべき要素の少なくとも1つの相補的な部分、例えば1又は複数の組み合わせるべき付属品を受けるべき支持体、又は組み合わせるべき付属品を、取り外し可能に受けることができることを特徴とする、
ガラスセラミックシート。
【請求項2】
前記接続要素が、特に円柱状の、スタッド又はピンタイプの要素であり、かつ前記接続要素の断面が、直径3cm未満の円又は断面に内接していることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミックシート。
【請求項3】
前記シートが、前記シートの下面の下に配置されている複数の接続要素を具備していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガラスセラミックシート。
【請求項4】
前記接続要素、又は磁化されているか若しくは磁石により引きつけられることができる前記接続要素の部分が、コーティング又は層の形態、例えば磁性粒子から作られている塗料のコーティングの形態、又は強磁性の箔の形態であることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミックシート。
【請求項5】
磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる前記接続要素の部分が、前記接続要素のガラスセラミックシートと接触している側と反対側で、前記接続要素の表面積の15~100%を示す面積を占めることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
【請求項6】
前記磁石又は前記接続要素若しくは前記付加すべき要素の磁化されている部分が、少なくとも10KJ/mの最大エネルギー積BHmaxを有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
【請求項7】
前記シートが備えているか、又は前記シートが備えることを意図している前記支持体が、ケーシング又はプレートタイプであり、かつ前記シートが備えているか、又は前記シートが備えることを意図している前記1又は複数の付属品が、特に加熱要素、表示システム、電子ボード、可聴若しくは振動要素、光源、制御ユニット若しくはインターフェース、又はセンサータイプであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
【請求項8】
前記シートが15mm未満の厚さ、20℃~400℃での30×10-7-1未満の膨張係数、及び0.7m以上の表面積を有する一体となっているシートであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガラスセラミックシートを具備している、家具及び/又は住宅設備である物品、特にワークトップ又は家具ユニット。
【請求項10】
前記シートが、前記家具及び/又は住宅設備である物品の1つの面、特に上面の少なくとも50%、又は全体を占めており、かつ1又は複数の支持体上に、特に水平に載置されており、それによって、種々の用途向けの連続的な安定表面を提供するようにされていることを特徴とする、請求項に記載の家具及び/又は住宅設備である物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミック(製)のシート、特にワークトップ又は家具ユニットの(特に水平な)表面として働くことを意図しているシートに関し、このシートは特に、大きな面積のシートであり、本発明は、これによって作られた家具ユニットにも関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスセラミックは、ガラス質のセラミック加熱部を作るために特に幾年もの間、用いられている。ガラス質のセラミック加熱部は、その魅力的な外観及び清掃の容易さのため、ハウスキーピングのエキスパート、家庭の電気器具の製造者、及び同様に使用者にとって非常に好評である。
【0003】
概して、ワークトップ自体は、他の材料、例えば木、石英、Corian(登録商標)等から作られているが、これらのワークトップを作るガラスセラミックシートの使用は、材料に固有の問題を誘発するものの、特に魅力的であることがわかっている。
【0004】
ガラスセラミックは、前駆体ガラス(又は母材ガラス若しくはグリーンガラス)として称されるガラスとして出発する。前駆体ガラスの固有の化学組成が、セラミック化と称される適切な熱処理により、制御された結晶化を引き起こすことを可能とする。この部分的に結晶化した特定の構造は、ガラスセラミックに固有の性質を与える。
【0005】
求められている性質に好ましくない影響を及ぼすリスクなしに、ガラスセラミック及び/又はガラスセラミックを得る方法に修正を施すことが難しいと仮定すると、各々のガラスセラミック製品は、特定の研究及び多くの試験の成果である:例えば加熱部としてのその通常の役割において、ガラスセラミックシートは、概して、停止時において下層の加熱要素を隠蔽するのに十分低く、かつ安全の目的のため、作動時にこの加熱要素を使用者が視認でき、かつ/又は存在し得るあらゆる表示を読むのに十分に高い、可視領域における透過性を有することを必要とする。ガラスセラミックシートは、それらの用途のために必要なものとして、十分な機械的強度も有していなければならず、特にサイズが大きい場合には一層その傾向が強まり、かつ特に家庭の電気器具の分野において、ガラスセラミックシートは、(器具を支持し、器具の落下に耐える等のため)圧力、衝撃等に耐えるための(加熱部としてのそれらの通常の役割については、例えば標準規格EN 60335-2-6により定められるような)良好な性質を示さなければならない。
【0006】
それらに割り当てられた1又は複数の機能を満足するため、ガラスセラミックシートは、(例えば、加熱部の場合には、加熱要素又は制御ストリップを有する)それらの最終目的のために必要な(装飾的な又は機能的な)付属品又は追加の要素、特に電子部材を有する付属品又は追加の要素を概して備えており、上記の要素又は付属品は、概して、嵌め込む目的でシートに備えられているハウジングに嵌め込むことにより、及び/又は、場合により、存在する場合には加熱要素と区別できる領域に結合させることにより、取り外せないようにシートに取り付けられる。このように、付属品の位置及び選択は前もって決定され、ひとたびシート及びその付属品が組み立てられると、ある要素が欠陥品である場合、特殊目的の工具を用いてアセンブリ全体を分解しなければならないか、又は修理がシート全体若しくはアセンブリの交換を伴う。
【0007】
更には、大きな面積のシートについては、ガラスセラミックの重量は、重く、かつ問題が生じた際にシートを容易に取り扱うことを妨げる;結果として、相互作用的かつ/又は多機能的な家具ユニットのワークトップ又は表面を作る電子部材と組み合わせたガラスセラミックの使用は、特にそれが作り出すべき修正可能な性質の設置物である場合に、部材の取付又は取り外しに関する問題を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、特に電気機器のより容易な取付及び取外しを可能とし、(特に家具ユニットにおいて及び/又はワークトップとしての)このシートの意図する用途に適している、シート、特に特殊目的の工具を用いることなく、かつシートを交換することなく、自由自在に種々のタイプの付属品を取り付け又は取り外すことを可能とするシートを開発することを求めており、注文に応じて付属品を選択すること、又は所望により若しくは適切な場合に付属品を他の付属品に置換することも可能であり、それによって、適切な場合に修正可能な設置を行うことが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、このガラスセラミックシートは、家具ユニットの表面及び/又はワークトップとして用いることが特に意図されており、その面のうちの少なくとも1つ(特にかつ有利にはその(使用位置における場合の)下面)において、10cm以下(好ましくは6cm未満、有利には4cm以下)の高さ(又は厚さ)である、少なくとも1つの接続要素を具備している、本発明による新規なガラスセラミックシートにより達せられる。上記の接続要素は、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる(材料で(少なくとも一部が)作られている)少なくとも1つの部分を具備している。
【0010】
接続要素は、コンパクトな形態を示すことができる薄い厚さ(3cm以下)の中間要素(例えば、特に円柱状の、スタッド又はピンであり、接続要素の(外部の)断面が、例えば直径2cm未満の円に内接している)であるか、又はより広範囲の形態(シートの平面に対して平行な少なくとも1つの方向での、例えばレールの形態)であるか、又はコーティング若しくは層(若しくは多層コーティング)の形態である。好ましくは、この接続要素は、後で特定するように、寸法の小さい円柱状の外殻又は(特に塗料の)層(コーティング)で作られている。また、好ましくは、この要素は(特に磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる(材料で作られている)この要素の部分は)、少なくとも70℃に耐えることができ、好ましくは少なくとも120℃に耐えることができる材料で作られている。
【0011】
この要素は、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる材料で作られている部分(この部分が要素の部分、又はこの要素と別個の部材の部分、適切な場合にはカスタマイズされていない部分となることが可能である)を少なくとも具備している。この部分は、特に少なくとも1つの永久磁石で作られているか、若しくは永久磁石の形態であってよく、又は硬質磁性材料(すなわち外部の磁界なしで存在し続ける残留している若しくは天然の磁化を示す材料)で作られていてよく、又は代替的には、後で特定するように、取り付けられた要素の(すなわち別個に製造され、次いで組み立てられた要素の)磁化された部分を取り外し可能に受けることを意図している金属性若しくは(強)磁性部分(又は部材)で作られていてもよい。接続要素のこの磁化されている又は金属性又は磁性部分は、特に上記の要素の端部であり、かつ/又は適切な場合には外殻内にあり、かつ/又は上記の要素の母材であってよい。適切な場合には、この要素の全体が、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる材料で作られていてよい(換言すれば、この接続要素又は各々の接続要素は、少なくとも一部又は全体が、磁化されている少なくとも1つの材料若しくは部材で(若しくは磁石で)作られているか、又は磁石により引きつけられることができる少なくとも1つの材料若しくは部材で作られていてよい)。
【0012】
好ましくは、接続要素の磁化されている部分(又は部材)は、(標準規格NF EN 62233に従って測定した)少なくとも10KJ/mの最大エネルギー積BHmaxを有する。非限定的な例として、接続要素のこの磁化されている部分(又は上記の要素の一部を作っている磁石)は、弱い場(例えば、特に誘導ホブにおいて存在しているか、無線充電器タイプの付属品により存在している場)の作用の下で消磁しにくい、少なくとも10KJ/mの最大エネルギー積BHmaxを有する強力磁石、例えばネオジウム若しくはサマリウム、又は関連する合金(サマリウム-コバルト、ネオジウム-鉄-ホウ素等)から作られている磁石の製造において用いる化合物又は合金から製造することができる。磁化されている部分は、後で図示するように、例えば接続要素の内部又は接続要素の端部に配置されている磁石であってよい。
【0013】
代替的には、磁石により引きつけられることができる材料で作られている接続要素の部分(又は部材)は、種々の金属化合物又は合金から製造することができ、特に鉄、ニッケル、コバルト、マンガン等をベースとすることができる。この部分は、例えば上記の要素の表面に堆積している(例えば強磁性の)箔又は層の形態で、接続要素に組み込まれていてもよく、又は上記の要素の外殻に存在していてもよい。適切な場合には、この部分(又は接続要素の全体)は、樹脂及び/又はバインダー中の磁性粒子(特に酸化鉄及び/又はフェライトをベースとする合金)で作られていてよく、例えば少なくとも1つのコーティング又は塗料の形態で堆積されており、この塗料は、例えば磁性顔料を(特に少なくとも10重量%の含有率で)含有している塗料か、又は例えばAkzoNobel社により呼称Julienで販売されている磁性塗料等である。用いる塗料は、特に有利には、10~50%の磁性顔料(例えば、Epixen Industriesにより参照番号Alnico FLNG12で販売されている顔料)を含有しており、かつ例えば40~80%のシリコーン樹脂、1又は複数の充填材(例えば20%まで)、及び1又は複数の添加剤、例えば1又は複数の分散剤、1又は複数のレオロジー添加剤、1又は複数の脱気剤等を含有している、塗料であってよい。このようにして、接続要素は、シートの下面に適用された磁性塗料のコーティングの形態を採ることができ、それによって、後で図示するように、有利には、取り付けられた要素をこのコーティングの随意の位置に取り付けることが可能となり、それによって、大きな適応性を与える。
【0014】
好ましくは、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる接続要素の部分は、ガラスセラミックシートと接している側に対して反対側の接続要素の平坦に位置している表面領域の15~100%、又はこの領域の30~100%を示す領域を占めている。例えば、この部分は、接続要素の(使用位置にあるときの)下面の領域の15~100%(又は30~100%)を占めており、この要素が中空であるときに、この部分は、適切な場合に要素のキャビティの内面で本質的に作られている。(適切な場合に、上記の要素を作るために要素の外殻に取り付けられ、挿入され又は結合されている磁石又は磁化されている構成部材の形態の)磁化されている部分は、表面上に位置していてよく、又は適切な場合にこの部分の作用を阻害しない要素の壁部により隠蔽されており、この部分は、それ自体表面上に位置している磁石により引きつけられることができる。適切な場合には、接続要素は、全体が磁化されていてもよく、又は全体が磁石を引きつけられることができてもよい。
【0015】
開発したガラスセラミックシートは、少なくとも1つの、及び適切な場合には複数の、その面のうちの少なくとも1つの上の(好ましくは本質的にシートの下面(又は使用位置において視認できない面)の上の又は下面の上のみの)接続要素を具備している。(付加された要素と(すなわち別個に製造され、次いで組み立てられた要素と)、特に後で説明する追加の要素と接続することができる)各々の接続要素は、1又は複数の部分(これらの部分を、次いで接続し及び/又は組み立てて、上記の要素を作る)で作られていてよく、かつ適切な場合に、場合により1又は複数の中空部材を具備している、(例えば円柱状のスタッド若しくはピンの形態、又はU字断面、T字断面、L字断面等の断面若しくはレールの形態の)外部の外殻又は包囲部を具備していてよく、かつ/又は、後で説明及び図示するように、適切な場合には1又は複数の他の外部又は内部の構成部材(例えば内部の磁石)を備えていてもよい。
【0016】
第一の実施態様においては、シートは、接続要素、特に磁化されているか又は金属製であるか又は磁性の被覆又は層の形態の、適切な場合にはバインダー中の金属性及び/又は磁性粒子で作られており、特にシートの関連する面に、直接的に若しくは直接的ではなく適用されている塗料のコーティングの形態であるか、又は例えば10~2000μmに含まれる厚さを有し、シートの関連する面に(例えば接合より)取り付けられている(例えば強磁性の)箔の形態である、接続要素をただ1つ具備している。
【0017】
別の実施態様においては、シートは、上記で規定したような、特にシートの下面の下に(必要に応じておおよそ均一に)位置しており、特にシートの下面全体にわたって分布している、(例えばピン又はレールの形態の)複数の接続要素を具備している。これらの要素は、例えばシリコーン、エポキシ又はシアノアクリレートタイプの接着剤等の接着剤、特に熱硬化性接着剤、有利には(標準規格ISO11359-2に従って測定した)-40~80℃での900×10-7-1未満の膨張係数、及び(標準規格ISO4587に従い、アルミニウム上で測定した)少なくとも1N/mm、好ましくは少なくとも10N/mmの剪断強度を有する熱硬化性接着剤を用いてシートに組み立てられる。この熱硬化性接着剤は、コネクターを永続的に取り付けることを可能とする一方で、種々の応力負荷に対する良好な耐性を与える強固な接合を与える。それ自体で所望の備品又は付属品を取り付けることを可能とする接続要素を固定するために、これらの特定の接着剤に頼ることは、存在し得るあらゆる加熱領域においても適切かつ効果的であり、その一方で、同時に製造するのに容易でありかつ経済的である。
【0018】
シートが加熱要素、特に誘導加熱要素を備えることを意図している場合には、1つ又は複数の要素の少なくとも一部(例えばスタッド又はピン又はレールの場合には、外殻又は包囲物又は外面)は、少なくとも70℃、好ましくは少なくとも120℃に耐えることができる耐火及び/又は非磁性材料で好ましくは作られており、例えば、アルミニウム又はグラファイト又は炭化ケイ素又は蛭石又は耐火繊維等で作られている。
【0019】
既に言及したように、接続要素は、これが直接的に備品である物品であっても、取り付けるべき付属品であっても、種々のタイプの備品又は付属品を受けることができる容器であっても、取り付けられた要素、特に追加の要素との接続を与えることができる。特に薄い厚さの本発明による接続要素の大きさは、取り付けられた要素をシートの付近に配置して、この要素がその機能を発揮しつつ、同時に損傷のリスク(これらの要素の起こり得る操作の結果としてのシートの擦過、又は電子部品の熱への起こり得る暴露等)を制限するようにすることを可能とし、かつスペースの問題を示すことなしに、変更可能な構造を与えるために、シート上の種々の位置にこの接続要素を配置することを可能とする。好ましくは、好ましくは、接続要素は、6cm未満、有利には4cm以下であり、少なくとも5mmの高さを有し、かつスタッド又はピンの形態の要素の場合は、その外部の断面が、直径3cm未満、好ましくは直径2cm未満の円に内接することができる。
【0020】
このようにして、接続要素の少なくとも一部(又は全体)は、1又は複数の組み合わせるべき付属品を直接受けることとなり、又は適切な場合には組み合わせるべき付属品の少なくとも一部を直接受けることができる、支持(する)要素(ケーシング又はプレート等)の少なくとも一部を、有利には取り外し可能に、支えることができる。
【0021】
特に、(別個に作られ、かつコネクターを用いてシートと組み合わせられている)取り付けるべき要素も、磁化されているか又は磁石により引きつけられることができ(材料で作られている)少なくとも1つの部分を各々が備えており、この部分は、接続要素の磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる部分により引きつけられることができる(接続要素の上記の部分に対して「相補的」であると称される)。このようにして備えられた接続要素は、各々が、有利には取り外し可能に、付加(又は結合)すべき要素の少なくとも相補的な部分を受けることができる。付加すべき要素は、好ましくは組み合わせるべき1又は複数の付属品を受けるべき支持体(例えばケーシング又はプレート)であり、それによって、種々のタイプの付属品、特に通常の付属品又は組み立てのためのあらゆる特別な構造を有しない付属品を必要に応じて付加することを可能とする。代替的に、付加すべき要素は、直接的に付属品であってもよく、この場合、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる取付要素の部分に対して相補的な部分を有しているか、又はこの部分を有するように設計されている。
【0022】
組み合わせるべき付属品は、例えば1又は複数の加熱要素(例えば誘導コイル)、1又は複数の表示システム、1又は複数の電子ボード、1又は複数の光源、1又は複数の制御インターフェース又はハウジング、1又は複数のセンサー、1又は複数の無線充電器等であってよい。適切な場合にはこれらの付属品をシートと組み合わせるために用いる、1又は複数の支持体は、例えばアルミニウム製又はプラスチック製の、プレート又はハウジング又はケーシングの形態を採ってよく、これらのプレート又はハウジングは、シート及びそのコネクターと完全に離れていることが可能であり、又は1若しくは複数のコネクターから取り外されており、その一方で同時に、他の部分においてはコネクターと接続されていることが可能であり、適切な場合にはこ(れら)の支持体が、シート及び/又はコネクターの一部を作っていることが可能である。
【0023】
適切な場合には、接続要素は、何対か又は何組かに組み合わせられていてよく、その要素のうちの幾つか(又は第一の要素)は、取り付けられた要素(支持体及び/又は付属品)の(磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる)少なくとも第一の部分を各々が受けることを意図しており、かつ他の要素(第二の要素)は、取り付けられた要素の、適切な場合には磁化されており、又は磁石により引きつけられることもできる少なくとも第二の部分を各々が受けることを意図しており、何組かに組み合わせられている接続要素は、付加すべき要素のアセンブリの想定される態様に従い、適切な場合には、かつ同一の原理に従い、第三の要素、又は第四の要素等を具備している。
【0024】
接続要素の部分と付加すべき要素の相補的な部分(場合により、接続要素上又は付加すべき要素の相補的な部分上の用いた磁石又は存在している磁化されている部分は、用いることができる磁石の記載において既に示したように、好ましくは少なくとも10KJ/mの最大エネルギー積BHmaxを有する)との間に及ぼされる力に加え、(適切な場合、適切な場合には取り外すことができる)固定手段を設けて(かつ同様に接続要素の部分を作って)、ひとたび付加された要素が接続要素(の表面の部分)の上に配置されたときに、その付加された要素をより強固に保持するようにすることができる。固定手段は、特にガラスセラミックシートの(を向いた)方向に力を特に及ぼすことができ、この力は、好ましくは関連する接続要素と関連する付加すべき要素との間に及ぼされる力の方向に対して垂直である。
【0025】
固定手段は、例えば押圧要素、例えば接続要素を(一部において)作っている円柱状の外殻(この外殻は、例えば磁石を含有している)の外部又は内部のスプリングと、止め要素、例えば、ひとたび付加された要素が接続要素の磁化された部分に配置されると、スプリングを圧縮状態に維持するピンとの組合せで作られていてよく、ピンの取り外しは、その後に潜在的に付加された要素を必要に応じて引き抜くことを可能とする。
【0026】
接続要素が取り付けられているガラスセラミックシートは、有利には一体となっており(又は一体鋳造であるか、又は一体成形として作られている)、特に本質的に平坦であり、かつ15mm未満、特に12mm未満、特に6mm以下の厚さ、及び20~400℃で30×10-7-1未満(好ましくは20~400℃で13×10-7-1未満)の膨張係数を有する。
【0027】
本発明はまた、本発明によるシートを組み込んでいる家具及び/又は住宅設備である物品に関し、特にワークテーブル(又はワークトップ)又は家具ユニットに関する。備品である上記の物品は、1又は複数の支持体(家具ユニットのカーカス、支持脚等)上に(特に水平に)配置されている上記のシート(特に大きな面積のシート、特に後に特定するように0.7m以上の表面積を有するシート)により少なくとも作られており、それによって、安定な表面を与えるようにされている。特に、本発明は、本発明によるシートにより作られており、かつ種々の活動を同時に若しくは連続して行うことを可能とすることができ、かつ/又は物体を支持する表面又はプレート、特に大きな面積の表面又はプレートを具備している、テーブル又は家具ユニットに関する。この家具ユニットは、例えば部屋の中央の島状構造物、例えばアイランドキッチン、又は種々の用途、例えば実験テーブル、テーブル若しくはコーヒーテーブルのための随意のワークテーブル若しくはワークトップ、又は代替的に、サイドテーブルのユニット、食器棚タイプ、収納家具の物品、カウンタートップ等であってよい。
【0028】
特に、本発明は、家具及び/又は住宅設備である物品であって、シートが、家具及び/又は住宅設備である物品の1つの面、特に上記の家具及び/又は住宅設備である上記の物品の(使用位置にある場合に)上面、特に水平な上面の過半(シートが配置されている面の50%超、好ましくは80%超、特に90%超)、好ましくは全体(したがって、連続的な表面を作っている)を占めており、それによって、活動(例えば仕事、遊び、読書等)を同時に又は連続的に行うことを可能とすること、物体(例えば紙、コンピューター、瓶、陶器等)を支持すること、及び場合により適切な器で食物を準備若しくは調理若しくは加熱することを可能とする連続的で安定な表面、及び/又はユニットが意図する目的と組み合わせた随意の他の用途を与えるようにする、家具及び/又は住宅設備である物品に関する。用いるシートは、後で詳述するように、ワークトップ又は大きな家具ユニットの表面としての使用のため、特にかつ有利には一体となっており、かつ15mm未満の厚さ、及び20~400℃で30×10-7-1未満の膨張係数、及び0.7m以上の表面積を有する。
【0029】
有利には下面における、コネクター及び付属品の存在は、適切な場合には、見栄えのしない要素を隠すこと、容易に維持できる可視的な表面を与えること、及びシートの付属品の良好な耐久性を保証すること等を可能とする。このようにして、ガラスセラミックシートは、主に接続が連続的であり/一様であり/なく、魅力的で、かつ容易に維持できる表面を与える。それは、(特に数十ナノメートル~数百ナノメートル程度の、又はこれを超える程度の)薄い厚さの装飾的な又は機能的なコーティング、例えばエナメル、塗料、薄層等で作られたコーティング、及び/又は上記のコネクターに取り付けられていても取り付けられていなくてもよい他の要素を備えていてよい。
【0030】
適切な場合には、シートは、ワークトップ又は家具ユニットの表面としての使用のため、可視であること、及び0.4m超、特に0.7m超、又は1m超、特に2m以上の面積を有する(家庭又は仕事の)物品のための支持体として働くことを意図している最大の寸法のシートの面の(シートの長さ及びシートの幅の製品に対応する)表面積を有していてよい。この場合、シートはまた、好ましくは、次の特徴のうちの1つ及び/又は他方を有する(与えた境界値は含まれる):(標準規格ASTM C 1259に従って測定した)80~100GPaのヤング率、110~220MPaの曲げ強度(70mm×70mm×4mmのプレート上でのリングオントライポッド試験により測定した。直径40mmの円に内接している正三角形の頂点に配置した3つの直径9.5mmの球上にサンプルを載置し、直径10mmの環により5mm/minの進行速度でサンプルの中央に力を印加した。「A statistical distribution of strength of Materials」(Royal Swedish Institute For Engineering Research,W.Weibull,Stockholm 1939,1-45)に記載されているWeibullモデルにより結果を解釈する。得られたデータは、「スケールファクター」とも称され、平均の破断応力を示しており、屈曲の破壊係数(MOR:modulus of rupture)測定であるWeibull法による分析から得られ、MPaで示される)、(標準規格DIN 51936に従って測定した)2W/m.K未満の熱伝導性、250℃~700℃の耐熱衝撃性、2.3~2.7の密度、(標準規格DIN12116に従って測定した)0~2mg/cmの耐酸性、及び(標準規格ISO 695に従って測定した)0~1mg/cmの耐塩基性。
【0031】
用いるガラスセラミックシートは、好ましくは平坦(又は支配的に若しくは実質的に平坦)であり、かつ基材の大きさ/表面積/対角線に応じ、特に基材の対角線の0.1%未満、好ましくは3mm未満、特に2mm未満、特に1mm未満、又は約ゼロの平坦さ(審美的な又は機能的な目的のために基材に生み出されたあらゆる可能性のある意図的な変形を除いた、基材の平均の平面に対する、基材の最高点と最低点との間の高さ)を有する。平坦さは、Visuolにより販売されているSurFlatうねり測定器により測定される。概して、ガラスセラミックシートは、特に長方形、実際には正方形、又は円形若しくは楕円形等の形状を有し、かつ概して使用位置において「上方」にある面(視認可能である面)、使用位置において「下方」にある別の面(概して枠組又は骨組に隠れている)、及び端面(又は縁又は厚さ)を示している。上面は、概して平坦であり、かつ滑らかであるが、少なくとも1つの突出領域及び/又は少なくとも1つの凹部及び/又は少なくとも1つの開口部及び/又は勾配付きの縁等を示してもよく、これらの形状の変化は、有利にはシートにおける(材料の変化又は継ぎ目がない)連続的な変化を構成している。下面は、好ましくは平坦であり、又は実際には(コネクターが、適切な場合に充填材料としても作用する接着剤を用いて接着させることができる場合、又は適切な場合に用いる磁気塗料が充填剤としても作用することができる場合、又はシートが他の適切な充填材料、例えば樹脂若しくはセルフレベリングフィルムを含有できる場合に)凹凸を備えている。
【0032】
ガラスセラミックシートの厚さは、少なくとも2mm、特に少なくとも2.5mmであり、特に3~15mm程度である。
【0033】
ガラスセラミックは、所望の用途及び所望の外観に応じ、暗色(黒色、暗褐色)又は薄色(白色、クリーム色)であってよく、かつ半透明又は不透明又は透明であってよい。ガラスセラミックは、特にリチウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックであってよい。ガラスセラミックは、特にヒ素で精製されていてもよく(すなわち、0.5重量%~1.5重量%程度の(Asとして示す)酸化ヒ素を含有している組成(を有する母材ガラス)を有する)、又はヒ素で精製されていなくてもよく(特に0.2%未満、特に0.1%未満、又はゼロの酸化ヒ素の含有率を有する)、錫で精製されており、又は硫化物で精製されており、また圧延により又はフロート処理により得てもよい。
【0034】
上記で示したように、シートは、適切な場合に特にガラスセラミックに概して用いられているコーティングの中から、種々の機能的及び/又は装飾的なコーティング、例えばエナメル、塗料、薄層(例えば金属、誘電体等)等をベースとするコーティングを具備していてよい。例えば、1つの面は、装飾目的を有する、及び/又は1又は複数の要素(表示部等)に信号を送るための、及び/又は(例えば光源が直視されることを防止するための)マスキングとして働く、及び/又は(光抽出部としての、又は均一な照明を与える等のための)他の機能のための、1若しくは複数のエナメル層、又は1若しくは複数のエナメルパターンを具備していてもよい。シートは、1又は複数の追加の性質、例えば耐擦過性、機械的強度、非マーキング性、あふれ出し防止性等をシートに与える機能層を備えていてもよく、特に1又は複数のコーティングは、コーティングのタイプ及び所望の機能に応じ、視認できる面又は反対側の面に存在することが可能である。
【0035】
シート(又はこのシートを組み込んでいる家具ユニット)は、特にかつ有利にはコネクターを介して、種々の用途を可能とする種々の要素(又は付属品)を備えていてもよく、それによって、特に相互作用的かつ変更可能な家具ユニット又はワークトップを作るようにされている。
【0036】
例えば、このシートは、1又は複数の光源、特に発光ダイオードで作られており、かつ例えば1若しくは複数の領域、又はシートの1若しくは複数の要素若しくは表示を、特にシートを通る光の透過により具現化する(視認可能にする)ことを意図する、1又は複数の光源を備えていてもよい。これらの光源は、(例えば表面の下に配置され、かつコネクターを用いて同様に取り付けることができるセンサーを用いた)シートの表面上の接触により、又は(特に無線通信により)遠隔的に、実際には手の単純な運動により(例えば、適切な場合には、外部に配置され、かつ例えば三角測量により動きを記録して、特に適切なアルゴリズム及び適切なインターフェースを用いて、運動を機能の作動に変換する、センサーにより)、又は適切な場合には、所定の物体をシートの所定の位置に配置することにより、作動することができる(キー、ロゴ、又はキーパッド等の形態の)操作を示すことを特に可能とする。光源は、例えば適切なインターフェースを用いた無線通信によりダウンロードし、かつ光源からシートの表面上に投影し又は透過した装飾又は種々のデータ(表示するデータ、例えばコンピューターページ、調理レシピ等)を表示することも可能とする。
【0037】
シート(又はこのシートを組み込んでいる家具ユニット)は、光源に関して記載したように、種々の方法で作動することもできる1又は複数の加熱要素、例えば誘導コイル、放射要素を備えていてよく、かつ少なくとも1つの隣接する要素(例えば光源又は加熱要素)との接続インターフェース、及び/又は適切な場合には少なくとも1つの外部要素、例えば無線通信のための外部モジュールを備えていてよく、上記のインターフェースは、例えば制御ユニット、タブレット若しくはタッチスクリーン、Bluetooth、WLAN、wifi、RFIDチップ、Lifi等のタイプのシステムである。
【0038】
シート(又は家具ユニット)は、他の要素、例えば1又は複数の導波管、及び種々の他の部材、特に電気及び/又は電子部材、例えば(例えば電話、誘導コイル等のための)充電器、1又は複数の導線、(例えば鍋タイプの物体が近づいてきていることを知らせる)可聴若しくは振動要素等を備えていてもよい。
【0039】
本発明により与えられる解決策は、上記で言及したように、特に有利である。1又は複数の接続要素の寸法、及び種々の位置にそれらを配置する可能性、又は組み合わせるべき要素を配置する可能性は、用いる材料の選択、及び付属品の機能が何であっても、摩擦又は熱により上記の付属品が損傷する危険なしに付属品が動作することを可能とする距離で離れて組み合わせるべき1又は複数の付属品を取り付けるためのそれらを取り外し可能な要素と組み合わせるための選択肢と相まって、全てのタイプのガラスセラミックシートのために適した、上記の問題に対する解決策を与えることを可能とし、かつ複雑な取付又は工具の必要なしに、かつシート、特に大きな面積及び重量のシートを取り扱う必要なしに、種々のタイプの付属品の取付及び/又は取外しを想起することを可能とする。このようにして、本発明により開発された製品は、種々のタイプの要素を、シート上の種々の位置で、適切な場合には取り外し可能に、スペース、又はシートと組み合わせられる特定の付属品(例えば放射タイプ又は誘導タイプである、存在し得る随意の加熱要素)との干渉の問題をその設置が生ずることなく、取り付けることを可能とするアセンブリの態様を提案することにより、所望の目的を満足し、その一方で、同時に組み合わせられている付属品がシートと組み合わせてそれらの機能を行うこと(例えばシートの下方に付加された要素を用いて、加熱領域を照らすこと又はデータを示すこと等)を可能とし、提案した解決策はまた、求められる時に又はシートの意図する用途に従って付属品を交換することを可能とする。
【0040】
本発明によるシートは、特にガラスセラミックシート、特に大きな面積の、セラミック化により得られるガラスセラミックシートから、特に接続要素をガラスセラミックの表面に、熱硬化性接着剤を用いて接合させること、及び/又はシートの面、特に下面に磁性塗料のコーティングを適用することにより製造することができる。
【0041】
実際には、概して以下のようにしてガラスセラミックシートを製造する:ガラスセラミックを作るために選択した組成を有するガラスを溶融炉で溶融させ、次いで、溶融ガラスを成形ローラーの間で通過させることにより、溶融ガラスを巻き取って標準的なリボン又はシートを与え、ガラスリボンを所望の寸法に切断する。次いで、既に切断されていてもよく、又は切断されていなくてもよいシートを、それ自体公知の方法でセラミック化する。セラミック化は、ガラスを、「ガラスセラミック」と称され、膨張係数がゼロ又はゼロ付近であり、かつ750℃(又は実際にはそれよりも高い)もの耐熱衝撃性を有する、多結晶材料へと変化させるため、選択された温度プロファイルに従ってガラスを焼成することからなる。概して、セラミック化は、概してガラス転移領域の付近に存在する核形成領域まで温度を徐々に上昇させる工程、核形成範囲を数分間かけて横断し、更にセラミック化保持温度まで温度を徐々に上昇させ、セラミック化保持温度で数分間保持し、続いて周囲温度まで急速に冷却させる工程を含む。
【0042】
本発明による大きなサイズのシート、特に0.7m超の表面積を有するシートを得るためには、0.4m未満の表面積を有するセラミックガラスセラミック基材を得るための最適かつ一般的なやり方である速度、長さ又は滞留時間に対してそれぞれ、セラミック化サイクルの間の移動速度を、選択的に、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%低減させるか、又はセラミック化徐冷窯の長さ若しくはセラミック化徐冷窯における滞留時間を、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%上昇させる。
【0043】
適切な場合には、この方法は、例えば水噴射物、切断砥石による機械的な切込み等の、(概してセラミック化前の)切断操作、続いて成形操作(研磨、面取り等)を含む。この方法は、特定の起伏を作るため、圧延又は沈下湾曲工程を含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の他の有利な特徴及び詳細は、本発明の実施態様の非限定的な記載から、添付図面を参照しながら以下で明らかにしよう。
【0045】
図1a図1aは、(磁石又は磁石により引きつけられることができる部分を包囲しているスタッドの形態の要素を有する)本発明によるシートの第一の例示的な実施態様の概略断面図を示している;
図1b図1bは、図1aの実施態様の代替的な形態を示している;
図1c図1cは、図1aの実施態様の別の代替的な形態を示している;
図2a図2aは、本発明の第二の例示的な実施態様による、本発明によるシートの(上方からの)透視図を示している;
図2b図2bは、組み合わせるべき1又は複数の設備又は付属品を受けるべき支持体が付加されておりかつ接続要素(この実施態様においては、磁性塗料のコーティングにより作られている)を用いてシートに取り付けられているときの、図2aで示した上記のシートの概略部分断面図を示している;
図3a図3aは、本発明の第三の例示的な実施態様による、本発明によるシートの(上方からの)透視図を示している;
図3b図3bは、組み合わせるべき1又は複数の設備又は付属品を受けるべき支持体が付加されておりかつ接続要素(この実施態様においては、磁化されている部材を備えているレールにより作られている)を用いてシートに取り付けられているときの、図3aで示した上記のシートの概略部分断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面全体を通して、適切な場合に同一のタイプの要素を示すために、同一の参照番号を用いている。
【0047】
上記の図の各々において、本発明によるシート(1)は、ガラスセラミックの一体となっているシート(例えば呼称KeraBlack+でEurokera社により販売されている種類のシート)である。このシートは、平坦な上面及び下面を有し、かつ例えば6mmの厚さ及び1.17mの表面積を有し、特に国際公開第2012156444号パンフレットと同等の手順により、いかなる平面度欠陥をも有しない大型のシートを得るため、セラミック化徐冷窯を通過する速度を50%まで低減させて得られる。
【0048】
図1a~1cに示す第一の実施態様においては、ガラスセラミックシート(1)、特にユニットの表面として又は大きなワークトップとして働くことを意図しているガラスセラミックシートは、その下面(1’)に、複数の同一又は類似の接続要素(2)(1つの要素だけをここで図に示している)を備えており、接続要素の各々は、少なくとも1つの外殻又は円柱体(3)を具備しており、接続要素の各々は、シートの下面(又は使用位置において下面)の下で、-40~80℃での900×10-7-1未満の膨張係数、及び10~50N/mmのアルミニウム上での剪断強度を有する熱硬化性接着剤(4)、例えばHenkel社により型番Loctite EA 9492で販売されているエポキシタイプの接着剤、又はHenkel社により型番Loctite 480で販売されているシアノアクリレートタイプの接着剤により結合されている。
【0049】
各々の接続要素(2)は、特に中空又は部分中空であり、直径0.5~3cmであり、かつ高さ0.5~3cmである、例えば非磁性材料、例えばアルミニウム、グラファイト等で作られている、少なくとも1つの円柱体(3)、及びコネクター(2)の基部のキャビティ(5)中に(例えば接合又は嵌め込みにより)取り付けられている、少なくとも1つの磁石(6)で作られている。磁石は、例えばサマリウム及びコバルトの合金、又はネオジウム、鉄及びホウ素の合金から作られており、かつ好ましくは(キャビティの全体の内面(5’)及び隣接する壁部の下面7が展開していることにより本質的に作られている)ピンの下面の領域の15~100%(又は30~100%)を覆っている。
【0050】
1又は複数の設備又は付属品を受けることを意図している支持体は、例えば、アルミニウム又はプラスチックで本質的に作られているのみならず、側部(8)又は接続要素のキャビティ(5)に収まることができる端部(8’)を有するフランジを示す、ケーシング又はハウジング(図示せず)の形態を採っており、この端部は、例えば強磁性材料から作られており、要素の磁化されている部分(6)に対して相補的な部分を作っており、それによって、磁石/磁化されている部分とハウジングの強磁性の端部との間に及ぼされる引力により、支持体の(及び支持体が含む付属品又は設備物品の)接続要素への、及びその結果シートへの取外し可能な取付を可能とするようにする。
【0051】
図1aの実施態様においては、設備物品又は付属品を支えている支持体が載置されているときに、支持体の端部(8’)がコネクター(2)のキャビティ(5)に導入され、そこでこの端部がシートの方向に及ぼされる力で磁石により引かれる。設備物品を取り外すか又は交換する必要があるならば、反対方向に力を及ぼすことにより、支持体を取り外すことができる。
【0052】
図1bにおける代替的な形態においては、磁石/磁化されている部分(6)は、このとき、磁石と端部(8’)との間に及ぼされている力が挿入方向に対して垂直となるように配置されている。
【0053】
図1cにおける代替的な形態においては、磁石/磁化されている部分(6)は、このとき、接続要素と組み合わせられている支持体上に位置しており、この例における接続要素は、強磁性材料で作られているキャビティの内面(5’)を有しており、例えば上記の内面は、適切な場合には上記の面に結合している強磁性の箔(9)、又は磁性粒子をベースとする塗料で被覆されている。
【0054】
図2a及び2bに示した実施態様においては、ガラスセラミックシート(1)、特に家具ユニットの表面又は大きなワークトップとして作用することを意図しているガラスセラミックシートは、その下面(1’)に、1~200μmの厚さの磁性塗料のコーティングの形態の、又は10~2000μmの厚さを有する強磁性の箔(12)の形態の、シートの下面全体を被覆している、接続要素を備えている。この塗料は、例えばDow Corning社により参照番号DC 249で販売されているシリコーン樹脂50重量%、Epixen Industriesにより参照番号Alnico FLNG12で販売されている磁性顔料30重量%、Omya社により参照番号Talc 10MOで販売されている充填材10重量%、及びByk GmbH社により参照番号Disperbik 110で販売されている分散剤2重量%、Evonik社により参照番号Aerosil 300で販売されているレオロジー添加剤1重量%、Byk GmbH社により参照番号Byk 306で販売されている脱気剤2重量%、及びキシレン3重量%を含有している塗料である。
【0055】
支持体(10)は、例えば寸法19×26cmであり、12mmの(側壁の)厚さを有する、上面に磁化されている部分(11)を備えている、本質的にアルミニウム又はプラスチックの長方形のケーシング又はハウジングの形態を採っており、この支持体は、1又は複数の設備又は付属品(図示せず)、例えば誘導コイル、電子ユニット等を受けることを意図している。このハウジングは、シートの下部の随意の位置で(特に図2に示したように、2つの支持体が無作為な位置にある)取り付けられていてよく、取付は、支持体の磁化されている部分(11)と、シートの下側の下方の磁性塗料又は箔との間に及ぼされる吸引によるものであり、それによって、付加された要素の位置決めに関する大きな適応性をもたらし、これらの付加された要素は更に、取外し可能に取り付けられている。
【0056】
図3a及び3bに示す実施態様においては、ガラスセラミックシート(1)は、このとき、その下面(1’)に、例えば、0.5~3cmの厚さの、例えば1~30cmの長さ又はシートの長さに対応する長さの(図示したような)U字断面、L字断面又はT字断面のアルミニウムレールの形態を採っている3つの類似又は同一の接続要素(13)を備えており、各々の接続要素又はレールは、その長さの全部又は一部で磁化されているバー(14)を包囲している。
【0057】
支持体(10)は、例えば寸法480×550mmであり、少なくともその上面(15)に例えば強磁性材料で作られている部分を備えている、長方形のケーシング又はハウジングの形態を採っており、それによって、支持体の(及び支持体が含む付属品又は設備(図示せず)の)、接続要素への、及びその結果シートへの、磁石/磁化されている部分とハウジングの強磁性部材との間で及ぼされる引力を介した、取外し可能な取付を可能とする。ハウジングは、シートの下方で、レールに沿った種々の位置で取り付けることができ、取付は、各々の関連する接続要素の磁化されている部分(14)と関連する支持体の強磁性部材との間に及ぼされる吸引を介して実施される。代替態様として、例えば非磁性材料、例えばアルミニウム又はグラファイトで作られている各々のレールは、例えばその基部で、又はその内部キャビティで、磁性塗料又は箔の形態のコーティングを備えていてよく、その結果、支持体は、図2bと同様の磁化されている部分を有している。
【0058】
本発明によるシートは、特に新たな範囲の調理装置又は(家具)ユニットを製造するために有利に用いることができる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~11に記載する。
〈項目1〉ガラスセラミックシート、特に家具ユニットの表面及び/又はワークトップとして用いることが意図されている、ガラスセラミックシートであって、その面のうちの少なくとも1つ、特にその下面において、10cm未満の高さである、少なくとも1つの接続要素を具備しており、前記接続要素が、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる少なくとも1つの部分を具備している、ガラスセラミックシート。
〈項目2〉前記接続要素が、特に円柱状の、スタッド又はピンタイプの要素であり、かつ前記接続要素の断面が、直径3cm未満の円又は断面に内接していることを特徴とする、項目1に記載のガラスセラミックシート。
〈項目3〉前記シートが、前記シートの下面の下に配置されている複数の接続要素を具備していることを特徴とする、項目1又は2に記載のガラスセラミックシート。
〈項目4〉前記接続要素、又は磁化されているか若しくは磁石により引きつけられることができる前記接続要素の部分が、コーティング又は層の形態、例えば磁性粒子から作られている塗料のコーティングの形態、又は強磁性の箔の形態であることを特徴とする、項目1に記載のガラスセラミックシート。
〈項目5〉磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる前記接続要素の部分が、前記接続要素のガラスセラミックシートと接触している側と反対側で、前記接続要素の表面積の15~100%を示す面積を占めることを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
〈項目6〉前記接続要素又は前記接続要素の少なくとも一部が、磁化されているか、又は磁石により引きつけられることができる、付加すべき要素の少なくとも1つの相補的な部分、例えば1又は複数の組み合わせるべき付属品を受けるべき支持体、又は組み合わせるべき付属品を、取り外し可能に受けることができることを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
〈項目7〉前記磁石又は前記接続要素若しくは前記付加すべき要素の磁化されている部分が、少なくとも10KJ/m の最大エネルギー積BHmaxを有することを特徴とする、項目6に記載のガラスセラミックシート。
〈項目8〉前記シートが備えているか、又は前記シートが備えることを意図している前記支持体が、ケーシング又はプレートタイプであり、かつ前記シートが備えているか、又は前記シートが備えることを意図している前記1又は複数の付属品が、特に加熱要素、表示システム、電子ボード、可聴若しくは振動要素、光源、制御ユニット若しくはインターフェース、又はセンサータイプであることを特徴とする、項目6又は7に記載のガラスセラミックシート。
〈項目9〉前記シートが15mm未満の厚さ、20℃~400℃での30×10 -7 -1 未満の膨張係数、及び0.7m 以上の表面積を有する一体となっているシートであることを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載のガラスセラミックシート。
〈項目10〉項目1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガラスセラミックシートを具備している、家具及び/又は住宅設備である物品、特にワークトップ又は家具ユニット。
〈項目11〉前記シートが、前記家具及び/又は住宅設備である物品の1つの面、特に上面の少なくとも50%、又は全体を占めており、かつ1又は複数の支持体上に、特に水平に載置されており、それによって、種々の用途向けの連続的な安定表面を提供するようにされていることを特徴とする、項目10に記載の家具及び/又は住宅設備である物品。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b