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特許7108602双方向スイッチ及びそれを備える双方向スイッチ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】双方向スイッチ及びそれを備える双方向スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20220721BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20220721BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20220721BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20220721BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019509818
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012184
(87)【国際公開番号】W WO2018181198
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2017072701
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山田 康博
(72)【発明者】
【氏名】一柳 貴志
(72)【発明者】
【氏名】梅田 英和
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-129924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0115313(US,A1)
【文献】特開2010-016093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 29/808
H01L 21/337
H03K 17/678
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第1導電性層と、
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第2導電性層と、
前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する第1横型トランジスタと、
前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する第2横型トランジスタと、
前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している接続部と、
前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している第1導体部と、
前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している第2導体部と、を備え、
前記第1導電性層は、
第1導電性ダイと、前記第1導電性層の厚さ方向において、前記第1導電性ダイと前記第1半導体層との間にあり、前記第1導電性ダイに接合されている導電性の第1基板と、を含み、
前記第1ソース電極は、前記第1導電性ダイと電気的に接続され、前記第1導電性ダイを介して前記第1基板と電気的に接続され、
前記第2導電性層は、
第2導電性ダイと、前記第2導電性層の厚さ方向において、前記第2導電性ダイと前記第2半導体層との間にあり、前記第2導電性ダイに接合されている導電性の第2基板と、を含み、
前記第2ソース電極は、前記第2導電性ダイと電気的に接続され、前記第2導電性ダイを介して前記第2基板と電気的に接続されている、
ことを特徴とする双方向スイッチ。
【請求項2】
前記接続部は、前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1ソース電極と前記第2ソース電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項4】
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第1導電性層と、
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第2導電性層と、
前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する第1横型トランジスタと、
前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する第2横型トランジスタと、
前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している接続部と、
前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している第1導体部と、
前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している第2導体部と、を備え、
前記第1導体部及び前記第2導体部の各々は、ワイヤである、
ことを特徴とする双方向スイッチ。
【請求項5】
前記第1導体部及び前記第2導体部の各々は、導体層である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の双方向スイッチ。
【請求項6】
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第1導電性層と、
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第2導電性層と、
前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する第1横型トランジスタと、
前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する第2横型トランジスタと、
前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している接続部と、
前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している第1導体部と、
前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している第2導体部と、を備え、
前記接続部は、前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続しており、
前記接続部は、前記第1導電性層の前記裏面と前記第2導電性層の前記裏面とに対向する1つの導電性基板と、前記第1ドレイン電極と前記導電性基板とを接続しているワイヤと、前記第2ドレイン電極と前記導電性基板とを接続しているワイヤと、を含み、
前記第1導電性層と前記導電性基板との間にある第1電気絶縁層と、前記第2導電性層と前記導電性基板との間にある第2電気絶縁層と、を更に備える、
ことを特徴とする双方向スイッチ。
【請求項7】
前記接続部は、導体層である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の双方向スイッチ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の双方向スイッチと、
前記第1ゲート電極に電気的に接続された第1ゲート端子と、
前記第2ゲート電極に電気的に接続された第2ゲート端子と、
前記双方向スイッチの少なくとも一部、前記第1ゲート端子、及び前記第2ゲート端子が収納されるパッケージボディと、を備える、
ことを特徴とする双方向スイッチ装置。
【請求項9】
双方向スイッチと、
第1ゲート端子と、
第2ゲート端子と、
前記双方向スイッチの少なくとも一部、前記第1ゲート端子、及び前記第2ゲート端子が収納されるパッケージボディと、を備え、
前記双方向スイッチは、
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第1導電性層と、
厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する第2導電性層と、
前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する第1横型トランジスタと、
前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する第2横型トランジスタと、
前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している接続部と、
前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している第1導体部と、
前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している第2導体部と、を含み、
前記第1ゲート端子は、前記第1ゲート電極に電気的に接続されており、
前記第2ゲート端子は、前記第2ゲート電極に電気的に接続されており、
前記双方向スイッチの前記第1導体部の一部が前記パッケージボディの外部にあり、
前記双方向スイッチの前記第2導体部の一部が前記パッケージボディの外部にある、
ことを特徴とする双方向スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向スイッチ及びそれを備える双方向スイッチ装置に関し、より詳細には、複数の横型トランジスタを備える双方向スイッチ及びそれを備える双方向スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1化合物半導体MOSFETと、第2化合物半導体MOSFETと、を含む交流スイッチが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された交流スイッチは、第1出力端子と、第2出力端子と、ゲート端子と、ソース端子と、を更に含む。第1化合物半導体MOSFETのゲート及び第2化合物半導体MOSFETのゲートは、共通にゲート端子に接続されている。さらに、第1化合物半導体MOSFETのソース及び第2化合物半導体MOSFETのソースは、ソース端子に接続されている。第1化合物半導体MOSFETのドレインは、第1出力端子に接続されている。第2化合物半導体MOSFETのドレインは、第2出力端子に接続されている。
【0004】
第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETは、SiCを半導体材料として用いたSiCデバイスである。
【0005】
第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETは、nチャネル型FETで構成されている。ゲート端子とソース端子との間に所定のオフ電圧(例えば0V)が与えられているときには、第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETはいずれもオフ状態となる。一方、ゲート端子とソース端子との間に所定のオン電圧(例えば18V)が与えられると、第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETはいずれもオン状態となる。これにより、第1出力端子及び第2出力端子の間が導通し、第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETを通る電流経路が形成される。
【0006】
特許文献1に記載された交流スイッチにおける第1化合物半導体MOSFET及び第2化合物半導体MOSFETの各々は、2つのプレーナ型MOSFET素子を備えた縦型トランジスタチップである。特許文献1には、化合物半導体材料として、GaNを用いてもよい旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-254387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
GaNを用いた双方向スイッチでは、スイッチング速度の高速化の観点において、縦型トランジスタよりも横型トランジスタの方が有利である。しかしながら、本願発明者らは、横型トランジスタを用いた双方向スイッチでは、スイッチング動作が不安定になるという知見を得た。
【0009】
本発明の目的は、スイッチング動作の安定性を向上させることが可能な双方向スイッチ及びそれを備える双方向スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一態様の双方向スイッチは、第1導電性層と、第2導電性層と、第1横型トランジスタと、第2横型トランジスタと、接続部と、第1導体部と、第2導体部と、を備える。前記第1導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第2導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第1横型トランジスタは、前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する。前記第2横型トランジスタは、前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する。前記接続部は、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している。前記第1導体部は、前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している。前記第2導体部は、前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している。前記双方向スイッチでは、前記第1導電性層は、第1導電性ダイと、前記第1導電性層の厚さ方向において、前記第1導電性ダイと前記第1半導体層との間にあり、前記第1導電性ダイに接合されている導電性の第1基板と、を含む。前記第1ソース電極は、前記第1導電性ダイと電気的に接続され、前記第1導電性ダイを介して前記第1基板と電気的に接続されている。前記第2導電性層は、第2導電性ダイと、前記第2導電性層の厚さ方向において、前記第2導電性ダイと前記第2半導体層との間にあり、前記第2導電性ダイに接合されている導電性の第2基板と、を含む。前記第2ソース電極は、前記第2導電性ダイと電気的に接続され、前記第2導電性ダイを介して前記第2基板と電気的に接続されている。
【0012】
この双方向スイッチにおいて、前記接続部は、前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続していることが好ましい。
【0013】
上記本発明の一態様の双方向スイッチにおいて、前記第1ソース電極と前記第2ソース電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続していてもよい。
【0014】
本発明に係る別の一態様の双方向スイッチは、第1導電性層と、第2導電性層と、第1横型トランジスタと、第2横型トランジスタと、接続部と、第1導体部と、第2導体部と、を備える。前記第1導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第2導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第1横型トランジスタは、前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する。前記第2横型トランジスタは、前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する。前記接続部は、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している。前記第1導体部は、前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している。前記第2導体部は、前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している。前記双方向スイッチにおいて、前記第1導体部及び前記第2導体部の各々は、ワイヤである。
【0015】
上記のいずれかの双方向スイッチにおいて、前記第1導体部及び前記第2導体部の各々は、導体層であってもよい。
【0016】
本発明の他の一態様の双方向スイッチは、第1導電性層と、第2導電性層と、第1横型トランジスタと、第2横型トランジスタと、接続部と、第1導体部と、第2導体部と、を備える。前記第1導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第2導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第1横型トランジスタは、前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する。前記第2横型トランジスタは、前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する。前記接続部は、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している。前記第1導体部は、前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している。前記第2導体部は、前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している。前記双方向スイッチにおいて、前記接続部は、前記第1ドレイン電極と前記第2ドレイン電極とを電気的に接続することで、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している。前記双方向スイッチにおいて、前記接続部は、前記第1導電性層の前記裏面と前記第2導電性層の前記裏面とに対向する1つの導電性基板と、前記第1ドレイン電極と前記導電性基板とを接続しているワイヤと、前記第2ドレイン電極と前記導電性基板とを接続しているワイヤと、を含んでいる。前記双方向スイッチは、前記第1導電性層と前記導電性基板との間にある第1電気絶縁層と、前記第2導電性層と前記導電性基板との間にある第2電気絶縁層と、を更に備える。
【0017】
上記本発明の一態様又は上記本発明の別の態様の双方向スイッチにおいて、前記接続部は、導体層であってもよい。
【0018】
本発明に係る一態様の双方向スイッチ装置は、上述の双方向スイッチと、前記第1ゲート電極に電気的に接続された第1ゲート端子と、前記第2ゲート電極に電気的に接続された第2ゲート端子と、前記双方向スイッチの少なくとも一部、前記第1ゲート端子、及び前記第2ゲート端子が収納されるパッケージボディと、を備える。
【0019】
本発明に係る一態様の双方向スイッチ装置は、双方向スイッチと、前記双方向スイッチの第1ゲート電極に電気的に接続された第1ゲート端子と、前記双方向スイッチの第2ゲート電極に電気的に接続された第2ゲート端子と、前記双方向スイッチの少なくとも一部、前記第1ゲート端子、及び前記第2ゲート端子が収納されるパッケージボディと、を備える。前記双方向スイッチは、第1導電性層と、第2導電性層と、第1横型トランジスタと、第2横型トランジスタと、接続部と、第1導体部と、第2導体部と、を備える。前記第1導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第2導電性層は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面及び裏面を有する。前記第1横型トランジスタは、前記第1導電性層の前記表面上にある第1半導体層と、前記第1半導体層における前記第1導電性層側とは反対側の表面に配置された第1ソース電極、前記第1ゲート電極及び第1ドレイン電極と、を有する。前記第2横型トランジスタは、前記第2導電性層の前記表面上にある第2半導体層と、前記第2半導体層における前記第2導電性層側とは反対側の表面に配置された第2ソース電極、前記第2ゲート電極及び第2ドレイン電極と、を有する。前記接続部は、前記第1横型トランジスタと前記第2横型トランジスタとを逆直列に接続している。前記第1導体部は、前記第1横型トランジスタの前記第1ソース電極と前記第1導電性層とを電気的に接続している。前記第2導体部は、前記第2横型トランジスタの前記第2ソース電極と前記第2導電性層とを電気的に接続している。前記双方向スイッチ装置において、前記双方向スイッチの前記第1導体部の一部が前記パッケージボディの外部にある。前記双方向スイッチの前記第2導体部の一部が前記パッケージボディの外部にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の実施形態1に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である。
図2図2は本発明の実施形態1に係る双方向スイッチの等価回路図である。
図3図3Aは本発明の実施形態1に係る双方向スイッチ装置を示し、図1のX1-X1断面矢視図である、図3Bは同上の双方向スイッチ装置を示し、図1のY1-Y1断面矢視図である。
図4図4は本発明の実施形態1の変形例に係る双方向スイッチ装置の断面図である。
図5図5は本発明の実施形態2に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である。
図6図6は本発明の実施形態3に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である。
図7図7Aは本発明の実施形態3の変形例に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である、図7Bは同上の双方向スイッチ装置を示し、プリント基板に実装されている状態の斜視図である。
図8図8は本発明の実施形態4に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である。
図9図9は本発明の実施形態4に係る双方向スイッチの等価回路図である。
図10図10Aは本発明の実施形態4の変形例に係る双方向スイッチを備える双方向スイッチ装置の斜視図である、図10Bは同上の双方向スイッチ装置を示し、プリント基板に実装されている状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に説明する実施形態1~4は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。下記の、実施形態1~4は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の実施形態1~4等において説明する図1、3A~8、10A及び10Bは、模式的な図であり、図中において各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aについて、図1~3Bを参照して説明する。双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aは、例えば、交流-交流電力変換を行うマトリクスコンバータ等に使用可能であるが、これに限らず、例えば、リレー、照明装置の調光用の交流スイッチ等にも使用可能である。
【0023】
双方向スイッチ装置9aは、図1に示すように、第1横型トランジスタチップ100及び第2横型トランジスタチップ200を含む双方向スイッチ8aと、双方向スイッチ8aを保護するパッケージ7と、を備える。
【0024】
第1横型トランジスタチップ100及び第2横型トランジスタチップ200の各々は、FET(Field-Effect Transistor)チップである。第1横型トランジスタチップ100(以下、「第1チップ100」と略称することもある)は、第1基板12と、第1基板12上に形成された第1横型トランジスタ1と、を備える。ここにおいて、第1横型トランジスタ1は、第1基板12上に形成された第1半導体層11と、第1半導体層11の表面11aに形成された第1ソース電極1S、第1ゲート電極1G及び第1ドレイン電極1Dと、を備える。また、第2横型トランジスタチップ200(以下、「第2チップ200」と略称することもある)は、第2基板22と、第2基板22上に形成された第2横型トランジスタ2と、を備える。ここにおいて、第2横型トランジスタ2は、第2基板22上に形成された第2半導体層21と、第2半導体層21の表面21aに形成された第2ソース電極2S、第2ゲート電極2G及び第2ドレイン電極2Dと、を備える。
【0025】
双方向スイッチ8aでは、第1横型トランジスタ1の第1ドレイン電極1Dと第2横型トランジスタ2の第2ドレイン電極2Dとが電気的に接続されている。つまり、双方向スイッチ8aでは第1横型トランジスタ1と第2横型トランジスタ2とが逆直列に接続されている。第1横型トランジスタ1及び第2横型トランジスタ2は、例えば、ノーマリオフ型(エンハンスメント型)のFETである。
【0026】
パッケージ7は、第1ゲート端子G1、第1ソース端子S1、第2ゲート端子G2、第2ソース端子S2、電気絶縁基板71及びパッケージボディ70を有する。双方向スイッチ装置9aでは、第1横型トランジスタ1の第1ゲート電極1G、第1ソース電極1Sが、それぞれ、第1ゲート端子G1、第1ソース端子S1と電気的に接続されている。また、双方向スイッチ装置9aでは、第2横型トランジスタ2の第2ゲート電極2G、第2ソース電極2Sが、それぞれ、第2ゲート端子G2、第2ソース端子S2と電気的に接続されている。双方向スイッチ装置9aについては、双方向スイッチ8aについてより詳細に説明した後で更に説明する。
【0027】
双方向スイッチ8aでは、第1横型トランジスタ1がオフ状態かつ第2横型トランジスタ2がオフ状態の場合、第1ソース電極1Sと第2ソース電極2Sとの間において、いずれの方向にも電流を流すことができない。双方向スイッチ8aでは、第1横型トランジスタ1がオン状態かつ第2横型トランジスタ2がオン状態の場合、第1ソース電極1Sと第2ソース電極2Sとの間において、双方向に電流を流すことができる。
【0028】
双方向スイッチ8aでは、第1ソース電極1Sと第1ドレイン電極1Dとの間には寄生ダイオード1B(図2参照)が存在する。これにより、第1横型トランジスタ1がオフ状態であっても、第2横型トランジスタ2がオン状態であれば、第1ソース電極1Sから第2ソース電極2Sに向かって電流を流すことができる。
【0029】
双方向スイッチ8aでは、第2ソース電極2Sと第2ドレイン電極2Dとの間には寄生ダイオード2B(図2参照)が存在する。これにより、第2横型トランジスタ2がオフ状態であっても、第1横型トランジスタ1がオン状態であれば、第2ソース電極2Sから第1ソース電極1Sに向かって電流を流すことができる。
【0030】
双方向スイッチ8aは、図1に示すように、第1導体部61aと、第2導体部62aと、接続部5aと、を更に備える。
【0031】
第1横型トランジスタ1は、例えば、GaN系FET(GaN-based FET)、より詳細には、ノーマリオフ型のGaN系HEMT(HEMT:High Electron Mobility Transistor)の一種である。第1横型トランジスタ1は、上述のように第1基板12上に形成されている。ここにおいて、第1基板12は、シリコン基板である。したがって、第1基板12は、導電性基板の一種である。第1横型トランジスタ1の第1半導体層11は、第1基板12上に例えばMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)によって成長されている。第1半導体層11は、バッファ層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層及びp型AlGaN層を含んでいる。バッファ層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層及びp型AlGaN層は、第1基板12側からこの順に並んでいる。バッファ層は、例えば、アンドープのAlN層である。第1半導体層11では、p型AlGaN層がアンドープのAlGaN層の表面の一部のみを覆っている。したがって、第1半導体層11における第1基板12側とは反対側の表面11aは、アンドープのAlGaN層の表面においてp型AlGaN層に覆われていない部位と、p型AlGaN層の表面と、を含む。
【0032】
第1横型トランジスタ1では、第1ソース電極1S、第1ゲート電極1G及び第1ドレイン電極1Dは、第1半導体層11の表面11aに設けられている。第1ソース電極1S、第1ゲート電極1G及び第1ドレイン電極1Dは、第1半導体層11の表面11aに沿った一方向において、第1ソース電極1S、第1ゲート電極1G及び第1ドレイン電極1Dの順で並んで配置されている。上記一方向において、第1ソース電極1Sと第1ゲート電極1Gと第1ドレイン電極1Dとは互いに離れている。第1ソース電極1S及び第1ドレイン電極1Dは、アンドープのAlGaN層の表面においてp型AlGaN層に覆われていない部位に形成されている。第1ゲート電極1Gは、p型AlGaN層の表面に形成されている。
【0033】
第2横型トランジスタ2は、第1横型トランジスタ1と同様の構成を有するノーマリオフ型のGaN系HEMTの一種である。第2横型トランジスタ2は、上述のように第2基板22上に形成されている。ここにおいて、第2基板22は、シリコン基板である。したがって、第2基板22は、導電性基板の一種である。また、第2半導体層21は、第1半導体層11と同じように、バッファ層、アンドープのGaN層、アンドープのAlGaN層及びp型AlGaN層を含んでいる。
【0034】
双方向スイッチ8aは、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとを電気的に接続している接続部5aを備える。接続部5aは、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとを電気的に接続することで、第1チップ100と第2チップ200とを逆直列に接続している。接続部5aは、ワイヤ(ボンディングワイヤ)である。双方向スイッチ8aは、接続部5aを2つ備えているが、これに限らない。例えば、接続部5aの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。ワイヤは、Al細線等の導電ワイヤである。
【0035】
ところで、本実施形態の双方向スイッチ8aは、第1チップ100を搭載する第1導電性ダイ13と、第2チップ200を搭載する第2導電性ダイ23と、を備える。第1チップ100及び第2チップ200の各々の平面視形状は、正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23は、矩形板状に形成されている。ここにおいて、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23の各々の平面視形状は、例えば、長方形状である。第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23の平面サイズは、それぞれ第1チップ100及び第2チップ200の平面サイズよりも大きい。第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23の各々の材料は、例えば、銅、銅合金等である。双方向スイッチ8aでは、第1チップ100の第1基板12と第1導電性ダイ13とが導電性材料によって接合されることで、第1基板12と第1導電性ダイ13とが電気的に接続されている。導電性材料とは、例えば導電性ペースト(銀ペースト等)等である。本実施形態の双方向スイッチ8aでは、第1導電性ダイ13と第1基板12とで、第1導電性層10を構成している。
【0036】
第1導電性層10は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面101及び裏面102(図3B参照)を有する。ここにおいて、第1導電性層10の表面101は、第1基板12の、第1半導体層11側の表面である。第1基板12は、第1導電性層10の厚さ方向において第1導電性ダイ13と第1半導体層11との間に配置される。第1導電性層10の裏面102は、第1導電性ダイ13における第1基板12側とは反対側の面である。
【0037】
第2導電性層20は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面201及び裏面202(図3A及び3B参照)を有する。ここにおいて、第2導電性層20の表面201は、第2基板22の第2半導体層21側の表面である。第2基板22は、第2導電性層20の厚さ方向において第2導電性ダイ23と第2半導体層21との間に配置される。第2導電性層20の裏面202は、第2導電性ダイ23における第2基板22側とは反対側の面である。
【0038】
双方向スイッチ8aは、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sと第1導電性ダイ13とを電気的に接続している第1導体部61aと、第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sと第2導電性ダイ23とを電気的に接続している第2導体部62aと、を備える。第1導体部61a及び第2導体部62aの各々は、ワイヤ(ボンディングワイヤ)である。双方向スイッチ8aでは、双方向スイッチ8aが第1導体部61aを備えることにより、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sと第1導電性層10とが、電気的に接続され互いに同電位となる。言い換えれば、第1導電性層10の電位が、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sの電位に定まる。より詳細には、双方向スイッチ8aでは、第1チップ100における第1基板12の電位と第1ソース電極1Sの電位とを同じとすることができる。また、双方向スイッチ8aでは、双方向スイッチ8aが第2導体部62bを備えることにより、第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sと第2導電性層20とが、電気的に接続され互いに同電位となる。言い換えれば、第2導電性層20の電位が、第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sの電位に定まる。より詳細には、双方向スイッチ8aでは、第2チップ200における第2基板22の電位と第2ソース電極2Sの電位とを同じとすることができる。
【0039】
双方向スイッチ装置9aにおけるパッケージ7は、表面実装型パッケージである。パッケージ7は、上述のように、第1ゲート端子G1と、第1ソース端子S1と、第2ゲート端子G2と、第2ソース端子S2と、電気絶縁基板71と、パッケージボディ70と、を備える。双方向スイッチ装置9aでは、第1横型トランジスタ1の第1ゲート電極1G、第1ソース電極1Sが、それぞれ、第1ゲート端子G1、第1ソース端子S1と電気的に接続されている。また、双方向スイッチ装置9aでは、第2横型トランジスタ2の第2ゲート電極2G、第2ソース電極2Sが、それぞれ、第2ゲート端子G2、第2ソース端子S2と電気的に接続されている。
【0040】
パッケージ7のパッケージボディ70は、略直方体に形成されている。パッケージボディ70は、電気絶縁性を有する。ここにおいて、パッケージボディ70は、電気絶縁性を有する樹脂によって形成されている。パッケージボディ70は、例えば、封止用の樹脂(黒色顔料を含むエポキシ樹脂等)によって形成されており、遮光性を有する。以下では、説明の便宜上、第1チップ100と第2チップ200とが並んでいる方向をパッケージボディ70の第1方向F1とし、当該第1方向F1と直交し、かつパッケージボディ70の厚さ方向F3と直交する方向を第2方向F2として説明する。
【0041】
パッケージ7では、第1ソース端子S1と第2ソース端子S2とは、パッケージボディ70の第1方向F1において、互いに離れて配置されており、電気的に絶縁されている。ここにおいて、第1ソース端子S1と第2ソース端子S2との間には、パッケージボディ70の一部が介在している。第1ゲート端子G1と第2ゲート端子G2は、パッケージボディ70の第1方向F1において、互いに離れて配置されており、電気的に絶縁されている状態で配置されている。ここにおいて、第1ゲート端子G1と第2ゲート端子G2との間には、パッケージボディ70の一部が介在している。
【0042】
双方向スイッチ装置9aは、第1導電性ダイ13と第2導電性ダイ23とが搭載された1つの電気絶縁基板71を備える。ここにおいて、第1導電性ダイ13と第2導電性ダイ23とは、電気絶縁基板71上において、互いに離れている。電気絶縁基板71は、短形板状に形成されている。電気絶縁基板71の平面視形状は、長方形状である。電気絶縁基板71の厚さ方向から見て、電気絶縁基板71の面積は、第1導電性ダイ13の面積と第2導電性ダイ23の面積とを合わせた面積よりも大きい。電気絶縁基板71は、第1チップ100及び第2チップ200で発生する熱をより効率良く放熱させる観点から、パッケージボディ70よりも熱伝導性率が高い方が好ましい。電気絶縁基板71は、例えば、AlNセラミック基板である。パッケージ7では、電気絶縁基板71における第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23側とは反対側の面がパッケージボディ70の裏面側で露出している。
【0043】
双方向スイッチ装置9aでは、第1ゲート端子G1、第2ゲート端子G2、第1ソース端子S1及び第2ソース端子S2のそれぞれの一部が、パッケージボディ70の裏面側及び側面側で露出している。パッケージ7では、第1ゲート端子G1と、電気絶縁基板71と、第1ソース端子S1とがパッケージボディ70の第2方向F2において互いに離れて配置されている。また、パッケージ7では、第2ゲート端子G2と、電気絶縁基板71と、第2ソース端子S2とがパッケージボディ70の第2方向F2において互いに離れて配置されている。
【0044】
第1導電性ダイ13と第2導電性ダイ23とが第1ソース端子S1及び第2ソース端子S2との間に印加される電圧で放電しないように、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23において互いに対向している面の間には、間隔が設けられていることが好ましい。
【0045】
双方向スイッチ装置9aは、第1ソース電極1Sと第1ソース端子S1とを電気的に接続している配線部31aと、第2ソース電極2Sと第2ソース端子S2とを電気的に接続している配線部32aと、を備える。双方向スイッチ装置9aは、第1ゲート電極1Gと第1ゲート端子G1とを電気的に接続している配線部41aと、第2ゲート電極2Gと第2ゲート端子G2とを電気的に接続している配線部42aと、を備える。配線部31a,32aの及び配線部41a,42aの各々は、ワイヤ(ボンディングワイヤ)である。
【0046】
また、パッケージ7は、例えば、第1ゲート端子G1、第2ゲート端子G2及び第1ソース端子S1及び第2ソース端子S2とは別に、第1ゲート電極1G、第2ゲート電極2G、第1ソース電極1S及び第2ソース電極2Sのそれぞれに接続された第1ゲートセンス端子、第2ゲートセンス端子、第1ソースセンス端子及び第2ソースセンス端子等を備えてもよい。
【0047】
上述のように、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sと第1導電性層10とが第1導体部61aを介して電気的に接続されているので、第1導電性層10の電位が第1ソース電極1Sの電極と同電位となる。また、第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sと第2導電性層20とが第2導体部62aを介して電気的に接続されているので、第2導電性層20の電位が第2ソース電極2Sの電極と同電位となる。したがって、第1基板12及び第2基板22の電位が安定する。双方向スイッチ8aは、スイッチング動作の安定化を図れる。
【0048】
双方向スイッチ8aでは、第1ドレイン電極1Dと第1ソース電極1Sと間のドレイン-ソース間電圧が、例えば100Vであるとする。また、双方向スイッチ8aでは、第1ゲート電極1Gと第1ソース電極1Sとの間のゲート-ソース間電圧が、例えば5Vの場合であるとする。双方向スイッチ8aでは、第1基板12が第1ソース電極1Sと電気的に接続されていない(第1基板12が接地されておらず、第1基板12の電位がフローティング電位の接合)場合と比べて、第1半導体層11において、第1ドレイン電極1Dから第1ゲート電極1Gに向かう電気力線をより確実に低減することが可能である。これにより、双方向スイッチ8aでは、第1ゲート電極1Gと第1ドレイン電極1Dとの間の容量は、第1基板12と第1ソース電極1Sとが互いに異なる電位である場合の第1ゲート電極1Gと第1ドレイン電極1Dとの間の容量よりも小さい。
【0049】
同様に、双方向スイッチ8aでは、第2基板22が第2ソース電極2Sと電気的に接続されていないと比べて、第2半導体層21において、第2ドレイン電極2Dから第2ゲート電極2Gに向かう電気力線をより確実に低減することが可能である。これにより、双方向スイッチ8aでは、第2ゲート電極2Gと第2ドレイン電極2Dとの間の容量は、第2基板22と第2ソース電極2Sとが互いに異なる電位である場合の第2ゲート電極2Gと第2ドレイン電極2D間の容量よりも小さい。したがって、本実施形態の双方向スイッチ8aでは、より高速なスイッチング動作が可能となる。
【0050】
上述の実施形態から明らかなように、双方向スイッチ8aは、第1導電性層10と、第2導電性層20と、第1横型トランジスタ1と、第2横型トランジスタ2と、接続部5aと、第1導体部61aと、第2導体部62aと、を備える。第1導電性層10は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面101及び裏面102を有する。第2導電性層20は、その厚さ方向において互いに反対側にある表面201及び裏面202を有する。第1横型トランジスタ1は、第1導電性層10の表面101上にある第1半導体層11と、第1半導体層11における第1導電性層10側とは反対側の表面11aに配置された第1ソース電極1S、第1ゲート電極1G及び第1ドレイン電極1Dと、を有する。第2横型トランジスタ2は、第2導電性層20の表面201上にある第2半導体層21と、第2半導体層21における第2導電性層20側とは反対側の表面21aに配置された第2ソース電極2S、第2ゲート電極2G及び第2ドレイン電極2Dと、を有する。接続部5aは、第1横型トランジスタ1と第2横型トランジスタ2とを逆直列に接続している。第1導体部61aは、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sと第1導電性層10とを電気的に接続している。第2導体部62aは、第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sと第2導電性層20とを電気的に接続している。これにより、双方向スイッチ8aでは、スイッチング動作の安定性を向上させることが可能になる。
【0051】
双方向スイッチ8aでは、第1導電性層10は、第1導電性ダイ13と、第1導電性層10の厚さ方向において、第1導電性ダイ13と第1半導体層11との間にあり、第1導電性ダイ13に接合されている導電性の第1基板12と、を含んでいる。第1ソース電極1Sは、第1導電性ダイ13と電気的に接続され、第1導電性ダイ13を介して第1基板12と電気的に接続されている。第2導電性層20は、第2導電性ダイ23と、第2導電性層20の厚さ方向において、第2導電性ダイ23と第2半導体層21との間にあり、第2導電性ダイ23に接合されている導電性の第2基板22と、を含んでいる。第2ソース電極2Sは、第2導電性ダイ23と電気的に接続され、第2導電性ダイ23を介して第2基板22と電気的に接続されている。これにより、第1基板12の電位を第1ソース電極1Sの電位と略同じにでき、かつ第2基板22の電位を第2ソース電極2Sの電位と略同じにできるので、双方向スイッチ8aは、ターンオンするときに、より高速なスイッチング動作が可能となる。
【0052】
双方向スイッチ8aでは、接続部5aは、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとを電気的に接続することで、第1横型トランジスタ1と第2横型トランジスタ2とを逆直列に接続している。これにより、双方向スイッチ8aは、コモンドレイン接続の双方向スイッチとして使用できる。
【0053】
双方向スイッチ8aでは、第1導体部61a及び第2導体部62aの各々は、ワイヤである。これにより、双方向スイッチ8aでは、第1導体部61a及び第2導体部62aの形成が容易になる。
【0054】
双方向スイッチ装置9aは、双方向スイッチ8aと、第1ゲート電極1Gに電気的に接続された第1ゲート端子G1と、第2ゲート電極2Gに電気的に接続された第2ゲート端子G2と、パッケージボディ70と、を備える。パッケージボディ70には、双方向スイッチ8aの少なくとも一部、第1ゲート端子G1、及び第2ゲート端子G2が収納される。これにより、双方向スイッチ装置9aは、スイッチング動作の安定性を向上させることが可能になる。
【0055】
本実施形態の変形例の双方向スイッチ8b及びそれを備える双方向スイッチ装置9bについて、図4を参照して説明する。変形例の双方向スイッチ8b及び双方向スイッチ装置9bに関して、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと同様の構成要素においては、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと同一の符号を付して説明する。
【0056】
変形例の双方向スイッチ8bでは、第1導体部61b及び第2導体部62bが、実施形態1の双方向スイッチ8aの第1導体部61a及び第2導体部62aと相違する。
【0057】
また、変形例1の双方向スイッチ8bの第1導電性層10は、第1導電性ダイ13を備えておらず第1基板12のみにより構成されている。第1基板12は、第1半導体層11と電気絶縁基板71との間に配置される。また、変形例1の双方向スイッチ8aの第2導電性層20は、第2導電性ダイ23を備えておらず、第2基板22のみにより構成されている。第2基板22は、第2半導体層21と電気絶縁基板71との間に配置される。
【0058】
変形例の双方向スイッチ8bでは第1導体部61bは、第1ソース電極1Sの直下において、第1半導体層11を貫通するように形成されたビア(ビア導体)である。第1ソース電極1Sは、第1導体部61bを介して第1基板12と電気的に接続されている。第1導体部61bは、第1基板12の厚さ方向の途中まで形成されている。ビアは、例えばエッチング技術及びめっき技術等を利用して形成できる。
【0059】
双方向スイッチで8bでは、第2導体部62bは、第2ソース電極の直下において、第2半導体層21を貫通するように形成されたビア(ビア導体)である。第2ソース電極2Sは、第2導体部62bを介して第2基板22と電気的に接続されている。第2導体部62bは、第2基板22の厚さ方向の途中まで形成されている。ビアは、例えばエッチング技術及びメッキ技術等を利用して形成できる。
【0060】
変形例の双方向スイッチ8b及び双方向スイッチ装置9bは、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと比べて、部品点数の軽減、平面サイズの小型化及び薄型化を図ることが可能となる。
【0061】
上述の変形例以外の例を下記に列挙する。
【0062】
双方向スイッチ8aでは、第1横型トランジスタ1及び第2横型トランジスタ2の配置が上述の実施形態に限定されない。例えば、第1横型トランジスタ1と第2横型トランジスタ2とは、パッケージボディ70の第1方向F1におけるパッケージボディ70の中央であって、パッケージボディ70の第2方向F2に沿った線に対して線対称になるように第1ゲート電極1G及び第2ゲート電極2Gが配置されてもよい。これにより、双方向スイッチ装置9aでは、配線部41aの長さと配線部42aの長さとを略同じにすることが可能となる。これにより、双方向スイッチ装置9aでは、配線部41aと配線部42aとで抵抗値及び寄生インダクタンスの値がそれぞれ略同じになる。したがって、双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aでは、第1横型トランジスタ1の動作状態及び第2横型トランジスタ2の動作状態の差が生じ難くなり、スイッチング動作がより安定する。
【0063】
また、第1基板12及び第2基板22の厚さは、例えば、150μmであるが、これに限らない。
【0064】
また、第1導電性層10及び第2導電性層20は、シリコン基板からなる第1基板12及び第2基板22に変えて、サファイア基板等の絶縁性基板を備えていてもよい。この場合、スイッチング速度の低下を抑制する観点から、絶縁性基板の厚さは、より薄いほうが好ましく、第1半導体層11及び第2半導体層21と同等以下であるのがより好ましい。この場合、絶縁性基板からなる第1基板及び絶縁性基板からなる第2基板が使用されても、双方向スイッチ8aは、第1ドレイン電極1Dと第1ゲート電極1Gとの間の容量、及び第2ドレイン電極2Dと第2ゲート電極2Gとの間の容量を減少させることが可能となる。
【0065】
また、双方向スイッチ装置9aは、パッケージ7として、表面実装型パッケージを備えているが、これに限らない。双方向スイッチ装置9aにおけるパッケージは、TO-22等のようなリード型パッケージでもよい。この場合、双方向スイッチ装置9aは、第1ソース端子S1、第2ソース端子S2、第1ゲート端子G1及び第2ゲート端子G2をそれぞれリード端子として備えていればよい。
【0066】
また、双方向スイッチ装置9aでは、第1ソース端子S1と第2ソース端子S2とが電気的に絶縁されているが、これに限らず、1つの共通のソース端子でもよい。
【0067】
また、双方向スイッチ装置9aでは、第1ゲート端子G1と第2ゲート端子G2とが電気的に絶縁されているが、これに限らず1つの共通のゲート端子でもよい。
【0068】
(実施形態2)
本実施形態の双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cについて、図5を参照して説明する。本実施形態の双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cでは、接続部5bの構成が、実施形態1の接続部5aの構成と相違する。本実施形態の双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cに関し、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと重複する構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0069】
本実施形態の双方向スイッチ8cは、実施形態1の双方向スイッチ装置9aにおける電気絶縁基板71の代わりに、導電性基板5baを備えている。本実施形態の双方向スイッチ8cは、第1導電性ダイ13と導電性基板5baとの間に介在する第1電気絶縁層141と、第2導電性ダイ23と導電性基板5baとの間に介在する第2電気絶縁層142と、を更に備えている。本実施形態の双方向スイッチ8cにおける接続部5bは、導電性基板5baと、第1ドレイン電極1Dと導電性基板5baとを接続しているワイヤ(導電ワイヤ)5bbと、第2ドレイン電極2Dと導電性基板5baとを接続しているワイヤ(導電ワイヤ)5bcと、を備える。ワイヤ5bbの一端は、第1ドレイン電極1Dと電気的に接続されている。第1ドレイン電極1Dは、ワイヤ5bbを介して、導電性基板5baと電気的に接続されている。第2ドレイン電極2Dは、ワイヤ5bcを介して、導電性基板5baと電気的に接続されている。これにより、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとは、導電性基板5ba、ワイヤ5bb及びワイヤ5bcを介して互いに電気的に接続されている。
【0070】
本実施形態の双方向スイッチ8cでは、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとが、導電性基板5ba、ワイヤ5bb及びワイヤ5bcを含む接続部5bにより電気的に接続されている。これにより、本実施形態の双方向スイッチ8cでは、接続部5bが、配線部31a、配線部32a、配線部41a及び配線部42a等と相互に電気的及び磁気的に干渉するのを抑制することが可能となる。双方向スイッチ8cでは、第1ゲート電極1Gと第1ソース電極1Sとの間及び第2ゲート電極2Gと第2ソース電極2Sとの間における相互のノイズの影響が軽減される。本実施形態の双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cでは、スイッチング動作が安定するという効果に加えて、第1ゲート電極1Gと第1ソース電極1Sとの間及び第2ゲート電極2Gと第2ソース電極2Sとの間におけるノイズの影響が軽減される。
【0071】
双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cでは、導電性基板5baの材料は、例えば、銅、銅合金等である。導電性基板5baは導電性ダイである。双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cでは、第1ソース端子S1と第2ソース端子S2との間に電位差が生じた場合に、この電位差によって第1電気絶縁層141及び第2電気絶縁層142が絶縁破壊しないようなに第1電気絶縁層141及び第2電気絶縁層142の厚さが設定されているのが好ましい。双方向スイッチ8c及び双方向スイッチ装置9cでは、第1電気絶縁層141及び第2電気絶縁層142は、薄いほうが好ましい。
【0072】
双方向スイッチ8cにおいて、接続部5bは、第1導電性層10の裏面102と第2導電性層20の裏面202とに対向する1つの導電性基板5baと、第1ドレイン電極1Dと導電性基板5baとを接続しているワイヤ5bbと、第2ドレイン電極2Dと導電性基板5baとを接続しているワイヤ5bcと、を含んでいる。双方向スイッチ8cは、第1導電性層10と導電性基板5baとの間にある第1電気絶縁層141と、第2導電性層20と導電性基板5baとの間にある第2電気絶縁層142と、を更に備える。これにより、双方向スイッチ8cは、コモンドレイン接続の双方向スイッチとして使用できる。
【0073】
(実施形態3)
本実施形態の双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dについて、図6を参照して説明する。本実施形態の双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dでは、第1導体部61c、第2導体部62c及び接続部5cが、実施形態1の第1導体部61a、第2導体部62b及び接続部5aと相違する。また、本実施形態の双方向スイッチ8dは、電気絶縁基板71を有していない点でも実施形態1の双方向スイッチ8aと相違する。
【0074】
本実施形態の双方向スイッチ8dに関し、実施形態1の双方向スイッチ8aと重複する構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0075】
接続部5cは、第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとを電気的に接続する導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。パッケージボディ70の第1方向F1における接続部5cの一端は、第1ドレイン電極1Dに接続されている。パッケージボディ70の第1方向F1における接続部5cの他端は、第2ドレイン電極2Dに電気的に接続されている。接続部5cは、第1ドレイン電極1D及び第2ドレイン電極2Dを覆うように配置されている。
【0076】
第1導体部61cは、第1ソース電極1Sと第1導電性ダイ13とを接続する導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第1導体部61cは、第1ソース電極1Sに電気的に接続される第1部位611と、第1導電性ダイ13に電気的に接続される第2部位612と、を備える。第1導体部61cの第1部位611の平面視形状は、L字状である。第1導体部61cの第1部位611は、第1ソース電極1Sを覆うように配置されている。第1導体部61cの第2部位612は、第1導電性ダイ13の一側面を覆うように配置されている。第1部位611の一部及び第2部位612は、パッケージボディ70の第2方向F2の一端から露出している。第1部位611及び第2部位612は、第1ソース端子S1として機能する。
【0077】
また、双方向スイッチ8dは、第1ゲート電極1Gに接続された第1接続層631を備える。第1接続層631は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第1接続層631の平面視形状は、長方形状である。第1接続層631の長手方向の一端は、第1ゲート電極1Gと電気的に接続されている。第1接続層631は、第1ゲート端子G1を兼ねている。第1接続層631の他端は、パッケージボディ70の第2方向F2におけるパッケージボディ70の一端から露出している。
【0078】
第2導体部62cは、第2ソース電極2Sと第2導電性ダイ23とを接続する導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第2導体部62cは、第2ソース電極2Sに電気的に接続される第1部位621と、第2導電性ダイ23に電気的に接続される第2部位622と、を備える。第2導体部62cの第1部位621の平面視形状は、L字状である。第2導体部62cの第1部位621は、第2ソース電極2Sを覆うように配置されている。第2導体部62cの第2部位622は、第2導電性ダイ23の一側面を覆うように配置されている。第1部位621の一部及び第2部位622は、パッケージボディ70の第2方向F2の一端から露出している。第1部位621及び第2部位622は、第2ソース端子S2として機能する。
【0079】
また、双方向スイッチ8dは、第2ゲート電極2Gに接続された第2接続層632を備える。第2接続層632は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第2接続層632の平面視形状は、長方形状である。第2接続層632の長手方向の一端は、第2ゲート電極2Gと電気的に接続される。第2接続層632は、第2ゲート端子G2を兼ねている。第2接続層632の他端は、パッケージボディ70の第2方向F2におけるパッケージボディ70の一端から露出している。
【0080】
本実施形態の双方向スイッチ8dでは、接続部5cが導体層により構成されている。本実施形態の双方向スイッチ8dの接続部5cの断面積は、実施形態1の双方向スイッチ8aの接続部5a(ワイヤ)の断面積よりも大きい。これにより、本実施形態の双方向スイッチ8dの接続部5cの抵抗値及びインダクタンスの値は、実施形態1の双方向スイッチ8aの接続部5aの抵抗値及びインダクタンスの値よりも小さい。よって、本実施形態の双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dでは、スイッチング動作が安定するという効果に加えて、エネルギ損失をより抑制することが可能となり、例えば、マトリクスコンバータの省エネルギ化に対応することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態の双方向スイッチ8dの接続部5cの表面積は、実施形態1の双方向スイッチ8aの接続部5a(ワイヤ)の表面積よりも大きい。これにより、本実施形態の双方向スイッチ8dでは、放熱性が向上し、動作安定性が更に向上する。
【0082】
本実施形態の双方向スイッチ8dは、接続部5cにより第1ドレイン電極1Dと第2ドレイン電極2Dとが接続されているので、コモンドレインの双方向スイッチとして機能する。また、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23は、第1チップ100及び第2チップ200のそれぞれを実装するためのパッドとして機能する。これにより、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと比較して、双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dでは、小型化及び薄型化を図ることが可能となる。
【0083】
双方向スイッチ8dでは、第1導体部61c及び第2導体部62cの各々は、導体層である。これにより、本実施形態の双方向スイッチ8dの第1導体部61c及び第2導体部62cの各々は、実施形態1の双方向スイッチ8aの第1導体部61a及び第2導体部62aの各々と比較して、断面積が大きい。よって、双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dでは、エネルギ損失をより抑制することができる。
【0084】
双方向スイッチ8dでは、接続部5cは、導体層である。これにより、本実施形態の双方向スイッチ8dの接続部5cは、実施形態1の双方向スイッチ8aの接続部5aと比較して、断面積が大きい。よって、双方向スイッチ8d及び双方向スイッチ装置9dでは、エネルギ損失をより抑制することができる。
【0085】
双方向スイッチ8dでは、第1導体部61cの一部がパッケージボディ70の外部にあってもよい。双方向スイッチ8dでは、第2導体部62cの一部がパッケージボディ70の外部にあってもよい。
【0086】
双方向スイッチ8dでは、第1導体部61cと第1導電性ダイ13とがビアで電気的に接続されていてもよい。また、第2導体部62cと第2導電性ダイ23とがビアで接続されていてもよい。
【0087】
双方向スイッチ8dでは、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23は、薄膜の導電性層でもよい。
【0088】
双方向スイッチ8dでは、第1基板12と第1導電性ダイ13とがビアで電気的に接続されていてもよい。また、第2基板22と第2導電性ダイ23とがビアで電気的に接続されていてもよい。
【0089】
本実施形態の変形例の双方向スイッチ8e及び双方向スイッチ装置9eについて、図7A及び7Bを参照して説明する。変形例の双方向スイッチ8e及び双方向スイッチ装置9eでは、図7Aに示すように、第1導体部61dが第1部位611のみを備えている。また第2導体部62dが第1部位621のみを備えている。
【0090】
第1導電性ダイ13は、図7Bに示すように、第1基板12が接合されている面とは反対側の面(第1導電性層10の裏面102)がパッケージボディ70から露出している。また、第2導電性ダイ23は、第2基板22が接合されている面とは反対側の面(第2導電性層20の裏面202)がパッケージボディ70から露出している。
【0091】
また、第1導体部61dの第1部位611の一部がパッケージボディ70から露出している。さらに第2導体部62dの第1部位621の一部がパッケージボディ70から露出している。
【0092】
ここで、双方向スイッチ装置9eは、例えばプリント基板900に対してフェースダウン実装することができる。プリント基板900は、第1ソース電極1Sと電気的に接続される第1ソース配線911と、第2ソース電極2Sと電気的に接続される第2ソース配線912と、を備える。第1導体部61dの第1部位611は、第1ソース配線911に半田等によって接続される。また、第2導体部62dの第1部位621は、第2ソース配線912に半田等によって接続される。
【0093】
第1ソース配線911は、第1導電性ダイ13に、例えば、ワイヤ、クリップ又は半田等によって、電気的に接続される。また、第2ソース配線912は、第2導電性ダイ23に、例えば、ワイヤ、クリップ又は半田等によって、電気的に接続される。
【0094】
変形例の双方向スイッチ8e及び双方向スイッチ装置9eでは、第1横型トランジスタ1、第2横型トランジスタ2で発生した熱をそれぞれ、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23を介してプリント基板900に伝熱することができる。これにより、双方向スイッチ8e及び双方向スイッチ装置9eでは、双方向スイッチ8eで発生した熱を効率良く放熱することが可能である。
【0095】
(実施形態4)
本実施形態の双方向スイッチ8f及び双方向スイッチ装置9fについて、図8及び9を参照して説明する。本実施形態の双方向スイッチ8f及び双方向スイッチ装置9fに関し、実施形態1の双方向スイッチ8a及び双方向スイッチ装置9aと重複する構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0096】
本実施形態の双方向スイッチ8fでは、図8に示すように、第1横型トランジスタ1の第1ソース電極1Sと第2横型トランジスタ2の第2ソース電極2Sとが接続部5dによって互いに電気的に接続されている。つまり、本実施形態の双方向スイッチ8fは、コモンソースの双方向スイッチである。双方向スイッチ装置9fは、第1ドレイン端子D1と、第2ドレイン端子D2と、を備える。また、本実施形態の双方向スイッチ8fは、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23のいずれも含んでいない点で、実施形態1の双方向スイッチ8aと相違する。
【0097】
双方向スイッチ8fの接続部5dは、第1導電性層10の裏面102と第2導電性層20の裏面202とに接合された導電性ダイ5daを含む。接続部5dは、第1ソース電極1Sと導電性ダイ5daとを接続しているワイヤ(導電ワイヤ)5db、及び第2ソース電極2Sと導電性ダイ5daとを接続しているワイヤ(導電ワイヤ)5dcと、を含む。
【0098】
第1横型トランジスタ1の第1ドレイン電極1Dは、ワイヤ(導電ワイヤ)31bを介して第1ドレイン端子D1と電気的に接続される。第2ドレイン電極2Dは、ワイヤ(導電ワイヤ)32bを介して第2ドレイン端子D2と電気的に接続されている。
【0099】
第1ドレイン端子D1と第2ドレイン端子D2とは、パッケージボディ70の第1方向F1において、互いに離れて配置されており、電気的に絶縁されている。ここにおいて、第1ドレイン端子D1と第2ドレイン端子D2との間には、パッケージボディ70の一部が介在している。第1ゲート端子G1と第2ゲート端子G2は、パッケージボディ70の第1方向F1において、互いに離れて配置されており、電気的に絶縁されている。ここにおいて、第1ゲート端子G1と第2ゲート端子G2との間には、パッケージボディ70の一部が介在している。
【0100】
本実施形態の双方向スイッチ8f及び双方向スイッチ装置9fでは、第1ソース電極1Sと第2ソース電極2Sとが導電性ダイ5da、ワイヤ5db及びワイヤ5dcを介して互いに電気的に接続されている。本実施形態の双方向スイッチ8fは、実施形態1の双方向スイッチ8aよりも、部品数を少なくすることが可能である。双方向スイッチ8f及び双方向スイッチ装置9fではスイッチング動作が安定するという効果に加えて、薄型化を図ることが可能となる。
【0101】
双方向スイッチ8fでは、第1ソース電極1Sと第2ソース電極2Sとを電気的に接続することで、第1横型トランジスタ1と第2横型トランジスタ2とを逆直列に接続している(図9参照)。これにより、双方向スイッチ8fは、ソースコモンの双方向スイッチとして機能する。
【0102】
本実施形態の変形例の双方向スイッチ8g及び双方向スイッチ装置9gについて、図10A及び図10Bを参照して説明する。
【0103】
変形例の双方向スイッチ8gの接続部5eは、例えば、金属層である。接続部5eは、第1ソース電極1Sと第2ソース電極2Sとを電気的に接続する。パッケージボディ70の第1方向F1における接続部5eの一端は、第1ソース電極1Sに電気的に接続されている。パッケージボディ70の第1方向F1における接続部5eの他端は、第2ソース電極2Sに電気的に接続されている。接続部5eは、第1ソース電極1S及び第2ソース電極2Sを覆うように配置されている。接続部5eは、一部がパッケージボディ70から露出していることで、第1ソース端子S1及び第2ソース端子S2を兼ねることが可能となる。
【0104】
変形例の双方向スイッチ8gは、第1ドレイン接続層161と、第2ドレイン接続層162と、第1ゲート接続層171と、第2ゲート接続層172と、を備える。
【0105】
第1ドレイン接続層161は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第1ドレイン接続層161の平面視形状は、長方形状である。第1ドレイン接続層161は、第1ドレイン電極1Dと電気的に接続されている。第1ドレイン接続層161は、パッケージボディ70から露出することで、第1ドレイン端子D1を兼ねている。
【0106】
第2ドレイン接続層162は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第2ドレイン接続層162の平面視形状は、長方形状である。第2ドレイン接続層162は、第2ドレイン電極2Dに電気的に接続されている。第2ドレイン接続層162は、パッケージボディ70から露出することで、第2ドレイン端子D2を兼ねている。
【0107】
第1ゲート接続層171は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第1ゲート接続層171の平面視形状は、長方形状である。第1ゲート接続層171は、第1ゲート電極1Gと電気的に接続されている。また、第1ゲート接続層171は、パッケージボディ70から露出することで、第1ゲート端子G1を兼ねることを可能とする。
【0108】
第2ゲート接続層172は、導体層である。この導体層は、めっきにより形成されためっき層である。第2ゲート接続層172の平面視形状は、長方形状ある。第2ゲート接続層172は、第2ゲート電極2Gと電気的に接続されている。また、第2ゲート接続層172は、パッケージボディ70から露出することで第2ゲート端子G2として使用可能である。
【0109】
第1導電性ダイ13は、図10Bに示すように、第1基板12が接合されている面とは反対側の面がパッケージボディ70から露出している。また、第2導電性ダイ23は、第2基板22が接合されている面とは反対側の面がパッケージボディ70から露出している。
【0110】
ここで、双方向スイッチ装置9gが実装されるプリント基板900には、第1ソース電極1S及び第2ソース電極2Sと電気的に接続される共通ソース配線915と、第1ゲート電極1Gと電気的に接続される第1ゲート配線918と、第2ゲート電極2Gと電気的に接続される第2ゲート配線919と、が設けられている。さらに、プリント基板900には、第1ドレイン電極1Dと電気的に接続される第1ドレイン配線916と、第2ドレイン電極2Dと電気的に接続される第2ドレイン配線917と、が設けられている。共通ソース配線915と接続部5eとは、半田等によって互いに電気的に接続される。第1ドレイン接続層161は、半田等によって、第1ドレイン配線916と電気的に接続される。第2ドレイン接続層162は、半田等によって、第2ドレイン配線917と電気的に接続される。
【0111】
共通ソース配線915は、例えば、ワイヤ、クリップ又は半田等によって、第1導電性ダイ13及び第2導電性ダイ23と電気的に接続される。
【0112】
変形例の双方向スイッチ8g及び双方向スイッチ装置9gでは、接続部5eの平面視形状が長方形状である。これにより、本実施形態の変形例の双方向スイッチ8gの接続部5eの抵抗値及びインダクタンスの値は、実施形態1の双方向スイッチ8aの接続部5aの抵抗値及びインダクタンスのそれぞれの値よりも小さい。これにより、本実施形態の変形例の双方向スイッチ8g及び双方向スイッチ装置9gでは、第1横型トランジスタ1及び第2横型トランジスタ2のスイッチング動作が安定するという効果に加えて、エネルギ損失をより抑制することが可能となる。
【0113】
本実施形態の双方向スイッチ装置9gでは、共通ソース配線915と第1導電性ダイ13とをワイヤ(導電ワイヤ)等によって電気的に接続することにより、第1ソース電極1Sの電位を第1導電性層10の電位と同じにすることが可能となる。また、双方向スイッチ装置9gでは、共通ソース配線915と第2導電性ダイ23とをワイヤ(導電ワイヤ)等によって電気的に接続することにより、第2ソース電極2Sの電位を第2導電性層20の電位と同じにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0114】
1 第1横型トランジスタ
10 第1導電性層
101 表面
102 裏面
11 第1半導体層
11a 表面
12 第1基板
13 第1導電性ダイ
1D 第1ドレイン電極
1G 第1ゲート電極
1S 第1ソース電極
2 第2横型トランジスタ
20 第2導電性層
201 表面
202 裏面
21 第2半導体層
21a 表面
22 第2基板
23 第2導電性ダイ
2S 第2ソース電極
2D 第2ドレイン電極
2G 第2ゲート電極
2S 第2ソース電極
5a,5b,5c 接続部
5ba 導電性基板
5bb ワイヤ
5bc ワイヤ
61a,61c 第1導体部
62a,62c 第2導体部
5da 導電性ダイ
8a,8b,8c,8d,8f,8g 双方向スイッチ
70 パッケージボディ
9a,9b,9c,9d,9f,9g 双方向スイッチ装置
D1 第1ドレイン端子
D2 第2ドレイン端子
G1 第1ゲート端子
G2 第2ゲート端子
S1 第1ソース端子
S2 第2ソース端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10