(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】複合製品を製造するための方法および半完成品ならびにそれによって得られる製品
(51)【国際特許分類】
B29C 70/48 20060101AFI20220721BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20220721BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20220721BHJP
B29B 11/16 20060101ALI20220721BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220721BHJP
【FI】
B29C70/48
B29C39/10
B29C70/16
B29B11/16
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2019540405
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 IB2018051019
(87)【国際公開番号】W WO2018154429
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】102017000019306
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】399016318
【氏名又は名称】オートモビリ ランボルギーニ ソチエタ ペル アツイオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】マルチェッリ,ファビオ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-509921(JP,A)
【文献】特表平08-509922(JP,A)
【文献】特表2012-524211(JP,A)
【文献】特開昭63-264637(JP,A)
【文献】特開平03-293105(JP,A)
【文献】国際公開第2013/176224(WO,A1)
【文献】特開2009-079861(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101287587(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1668433(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103802333(CN,A)
【文献】特開2001-064406(JP,A)
【文献】特開2005-179845(JP,A)
【文献】特開2009-074186(JP,A)
【文献】特開2002-138344(JP,A)
【文献】特開2007-056441(JP,A)
【文献】特開2005-096341(JP,A)
【文献】特開平04-043031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10
C08J 5/24
B29C 39/00-39/44
D06M 13/00-15/715
D06M 10/00-11/84
D06M 16/00
D06M 19/00-23/18
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料で作られる製品を製造するための方法であって、
第1の型(12)と少なくとも第2の型(23)との間に少なくとも1つの複合材料繊維織物層(1)と少なくとも第1の複合材料繊維層(16)とを配置するステップであって、硬化剤を含まない、非重合複合材料樹脂層(3)が前記織物層(1)と前記第1の型(12)との間に配置される、ステップと、
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に樹脂および硬化剤を注入して前記層(1)および前記第1の繊維層(16)に前記注入した樹脂を含浸させ、前記注入した樹脂および前記樹脂層(3)を前記注入した硬化剤で重合するステップと、を含み、
前記層(1)と前記第1の繊維層(16)との間に少なくとも1つの熱可塑性フィルム(7)が配置される、方法。
【請求項2】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に前記樹脂を注入する前に、少なくとも第2の繊維層(20)が前記第1の繊維層(16)と前記第2の型(23)との間に配置され、これにより、前記第2の繊維層(20)にも前記注入した樹脂が含浸される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に前記樹脂を注入する前に、少なくとも1つのスペーサ(17)が前記第1の繊維層(16)と前記第2の繊維層(20)との間に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂層(3)は、前記織物層(1)を前記第1の型(12)上に配置する前に、前記織物層(1)上に塗布される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記織物層(1)が前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に配置される場合に、前記樹脂層(3)が前記第1の型(12)と接触する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に注入される前記硬化剤が、前記注入した樹脂を重合させるのに十分な第1の量の硬化剤と、前記織物層(1)上に配置された前記樹脂(3)も重合するのに十分な第2の量の硬化剤とを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に前記樹脂を注入する前に、前記織物層が真空袋(13)で覆われ、空気を吸い出すことによって前記第1の型(12)上でプレスされ、前記真空袋(13)は、無孔剥離フィルム(14)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に前記樹脂を注入する前に、前記織物層(1)と前記第1の繊維層(16)が真空袋(19)で覆われ、前記第1の型(12)上でプレスされ、前記熱可塑性フィルム(7)を圧縮し少なくとも部分的に溶かして前記外層(1)を前記第1の繊維層(16)に接合するように加熱される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記織物層(1)が、前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に配置される前にプレスされる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂が、前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に、前記織物層(1)または前記第1の層(16)の少なくとも1つの端部に配置された少なくとも1つのノズル(24)を介して注入され、これにより、樹脂注入は、その端部に対して接線方向に行われる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂が前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に注入される場合に、空気が前記織物層(1)または前記第1の層(16)の少なくとも1つの端部に配置された少なくとも1つのノズル(25)を介して前記型(12、23)から抽出され、これにより、空気の抽出がその端部に対して接線方向に行われる、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の型(12)と前記第2の型(23)との間に注入される前記樹脂が、前記織物層(1)に塗布される前記樹脂(3)と同じである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の繊維層(16)または前記第2の繊維層(20)が、1つまたは複数の乾燥炭素繊維織物を含み、1から8mmの厚さおよび/または700から900g/m
2の坪量を有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性フィルム(7)が、ナイロン、ポリプロピレン、ABS、PLA、ポリカーボネートまたはポリエチレンテレフタレートのメッシュを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記織物層(1)が均一な織りパターンを有する乾燥炭素繊維織物を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記織物層(1)が0.2から0.3mmの厚さおよび/または230から260g/m
2の坪量を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記樹脂層(3)が前記織物層(1)の2重量%から7重量%の量で前記織物層(1)上に塗布される、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維の層、特に炭素繊維織物の層を含む複合製品を製造するための方法に関する。この説明はまた、この方法において使用することができる半完成品、およびこの方法を使用しておよび/またはこの半完成品を用いて製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、RTM(樹脂トランスファ成形)法は、炭素繊維織物を含む複合材料から部品を製造するために使用することができる。この既知の方法では、乾燥織物、すなわち実質的に樹脂を含浸していない織物の1つまたは複数の重ね合わせ層が、硬化剤と混合された樹脂が高圧下で注入される2つの適合する型の間に配置され、樹脂が型の中で重合して完成品を得る。
【0003】
RTM‐L(RTM‐Light)として知られるこの方法の変形では、型の寿命を延ばし、それによって投資コストを削減するために、樹脂はより低い圧力で注入される。
【0004】
しかしながら、樹脂が注入されている間、RTMおよびRTM‐L法では、織物層、特に外層の繊維は含浸段階での樹脂の圧力勾配のために置き換えられ、その結果、織りの規則性が失われ、最終製品の美的側面を悪化させる。
【0005】
他の従来技術の方法では、予め樹脂が含浸された織物-プリプレグとして知られている -が使用される。これらは再加熱され、さらなる樹脂を注入することなく少なくとも1つの型上でプレスされる。この従来技術の方法は、外層が樹脂重合後でさえ織りの規則性を維持する複合製品を得ることを可能にする。しかしながら、それはRTM法よりも高価であり、正確には層の予備含浸のために、製造される製品の構造特性はそれほど良くない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本開示は、上述の不利益がない方法を提供することを目的とする。この目的は、主な特徴が添付の特許請求の範囲に記載された方法および半完成品によって達成される。
【0007】
本開示の方法のおかげで、樹脂および硬化剤が注入される型および乾燥繊維織物を使用して、良好な美的外観および優れた構造特性を有する複合材料部品を製造することが可能である。したがって、また、予備段階の間に準備され得る本開示の半完成品のおかげで、この方法は少なくとも部分的に自動化され得る。実際には、このようにして得られる製品の少なくとも1つの外面は、その織りが実質的に規則的であり、その高い視覚的品質が自動車産業の高い基準、例えば「クラスA」基準を満たす織物を含む。
【0008】
したがって、従来技術のRTM法は樹脂注入中の外層の繊維の変形および置換(displacement)のために高い美的特徴を有する製品を保証できないが、本開示の方法はその外観がプリプレグ法を使用して得られるものと同じ製品を得ることを可能にする。したがって、この方法は、製造時間の短縮およびRTM法の典型的な優れた機械的特性の利点と、プリプレグ法を使用して製造される製品の美的仕上げの改善とを兼ね備える。
【0009】
これらの利点は、とりわけ、外側織物層に含浸させる樹脂の注入前に当該織物層を型の機能面に接着させる非重合樹脂層およびその上に重ねられた構造層のおかげで得られる。
【0010】
さらに、樹脂を注入された硬化剤は、織物上に塗布された樹脂も重合するのに十分な量である。
【0011】
また、織物層とそれに隣接する構造層との間に貼り付けられる熱可塑性フィルムのおかげで、樹脂注入中に織物層はより確実に正しい位置に保持される。
【0012】
本発明の方法は、織物層、硬化剤を実質的に含まない樹脂の層および熱可塑性フィルムを含む半完成品を用いてさらに単純化される。半完成品は、所定の形状に容易に切断することができ、後の段階で使用するために保管することもできる。この方法または半完成品を使用して得られる製品は、外側織物層と隣接する構造層との間に熱可塑性フィルムが存在するために、複合材料からなる従来技術の製品と区別することができる。
【0013】
この方法のある特定のステップの間に、樹脂が注入される前に織物層および構造層の間の結合を改善するために織物層および構造層は少なくとも1つの型の上でプレスおよび/または加熱され、こうしてより良い最終製品を得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明による方法、半完成品および製品のさらなる利点および特徴は、添付の図面を参照した、以下の詳細な非限定的な実施形態の説明から、当業者により明らかとなるであろう。
【
図1】この方法の予備作業ステップの概略図である。
【
図2】予備作業ステップから得られる半完成品の拡大断面図である。
【
図3】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図5】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図7】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図9】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図11】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図13】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図15】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【
図17】本方法のさらなる作業ステップの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、半完成品を製造する方法の予備作業ステップを示し、それによって、少なくとも1つの繊維織物層1が、好ましくは、例えばカレンダ(calender)2で、横糸と横糸との間の隙間を全てなくし糸張力を高めるようにプレスされ、織物構造をよりコンパクトにする。織物層1は、好ましくは、実質的に均一な横糸および/または0.1から0.8mm、特に0.2から0.3mmの厚さを有する、複合材料用の繊維、特に炭素繊維の織物である。例えば、「ツイル」、「プレーン」、「サテン」、「ブレイド(Braided)」、「一方向」または他の種類の均一および/または規則的な織りパターン、具体的には230から260g/m
2の坪量を有する炭素繊維織物である。好ましくは、織物層1の織物は実質的に乾燥している、すなわちそれは10重量%未満の量の添加剤、例えば接着剤または固定剤を含有する。実質的に硬化剤を含まない少なくとも1つの非重合複合材料樹脂層3、具体的にはエポキシ樹脂は、特にネブライザー4によって、外層1の少なくとも1つの表面上に塗布される。樹脂3は、例えば、ハンツマン コーポレーション製のXB 3518樹脂であってよく、外層1の2重量%から7重量%、特に5から19g/m
2で、より具体的には、約12g/m
2の量で、外層1上に塗布される。湿気を吸収せず、したがって周囲の湿度が変化しても収縮しない、具体的には例えばマイラーのようなプラスチック材料からなる保護シート5が、樹脂3が与えられた織物1の表面上にカレンダ6によって貼り付けられ、したがって、織物1は保護シート5によって覆われる。これは、特に重合プロセスが開始するのを防止することによって、しわが織物1に形成されることを防止し、樹脂層3を周囲の状態によって実質的に変化しない最初の状態に保つ。したがって、樹脂3は活性化されないので、保護シート5は樹脂層3上に剥離可能に貼り付けられる。
【0016】
好ましくはナイロン、ポリプロピレン、ABS、PLA、ポリカーボネートまたはポリエチレンテレフタレートの少なくとも1つのメッシュを含む熱可塑性フィルム7は、カレンダ8によって、外層1の、樹脂層3が設けられた面とは反対側の面に貼り付けられる。次いで、このようにして得られた織物層1は切断機9によって所定の形状に切断され、その結果生まれる半完成品10を巻き取るおよび/または貯蔵中の揮発性カーボンまたは湿気のような外部物質による汚染を防ぐために密封袋11で包むことができる。
【0017】
図2は、保護シート5によって覆われた樹脂層3を備えた、熱可塑性フィルム7に接合された織物層1を含む、袋11に挿入された半完成品10を示す。
【0018】
ここで
図3および
図4を参照すると、本方法の第1のステップにおいて、半完成品10が袋11から取り出され、保護シート5から分離され、樹脂層3が外層1と第1の型12の間に配置されるように第1の型12の上に置かれ、第1の型12の機能面が好ましくは凸状でありおよび/または特に炭素繊維を含む複合材料で作られることが観察され得る。したがって、熱可塑性フィルム7は、第1の型12とは反対側にある。
【0019】
ここで
図5および
図6を参照すると、本方法の次のステップにおいて、外層1が真空袋13で覆われ、真空袋13内部の空気圧を下げるように、特に130mbar未満に下げるように空気を吸い出す(pumping)ことによって第1の型12上でプレスされることが観察され得る。真空袋13は、織物1上に堆積した樹脂3に吸引力が加わらないようにするための無孔剥離フィルム14と、その坪量がプリプレグ法で使用される従来技術のブリーダの坪量より低い、具体的には、180g/m
2未満、より具体的には約170g/m
2の坪量であるナイロンブリーダ15とを含む。
【0020】
ここで
図7および
図8を参照すると、本方法の次のステップにおいて、真空袋13が外層1から取り除かれ、少なくとも第1の内繊維層16、好ましくは1つまたは複数の、構造用途のための乾燥炭素繊維織物を含む第1の内繊維層16が、外層1に貼り付けらることが観察され得る。特に、第1の内層16は、700から900g/m
2の間の坪量および/または1から8mmの間の厚さを有する。プラスチック材料、好ましくは発泡プラスチック材料で作られた少なくとも1つのスペーサ17を第1の内層16上に配置することができ、第1の内層16は、その結果、スペーサ17によって完全にまたは部分的に覆われる。第1の内層16の少なくとも一方の表面、具体的には外層1の反対側の表面に、結合剤18、例えば接着フィルムまたは炭素繊維と混合した熱可塑性ワイヤを設けることができる。
【0021】
ここで
図9および
図10を参照すると、本方法の次のステップにおいて、外層1および第1の内層16は、スペーサ17が存在する場合には外層1、第1の内層16およびスペーサ17は、例えば真空袋13と同じものである真空袋19で覆われ、空気を吸い出すことによって第1の型12上でプレスされることが観察され得る。同時に、熱可塑性フィルム7を圧縮し少なくとも部分的に溶かして外層を第1の内層16に接合し結合剤18によって第1の内層16とスペーサ17とを結合するように、層1および16は例えば赤外線放射器により70から90℃の温度に加熱される。
【0022】
ここで
図11および
図12を参照すると、本方法の次のステップにおいて、真空袋19が第1の内層16から取り除かれ、少なくとも第2の内層20、好ましくは1つまたは複数の、構造用途のための乾燥炭素繊維織物を含む第2の内層20が、第1の内層16上および/または存在する場合にはスペーサ17上に貼り付けることができることが観察され得る。特に、第2の内層20は、700から900g/m
2の間の坪量および/または1から8mmの間の厚さを有する。第2の内層20の少なくとも一方の表面、具体的には外層1に面する表面に、結合剤21、例えば、接着フィルムまたは炭素繊維と混合した熱可塑性ワイヤを設けることができる。
【0023】
ここで
図13および
図14を参照すると、本方法の次のステップにおいて、外層1、第1の内層16および第2の内層20は、スペーサ17が存在する場合には外層1、第1の内層16、第2の内層20およびスペーサ17は、例えば真空袋13と同じものである真空袋22で覆われ、空気を吸い出すことによって第1の型12上でプレスされることが観察され得る。同時に、層1、16および20は、第2の内層20をスペーサ17に結合剤21によって接合するように、例えば赤外線放射器によって70℃から90℃の間の温度に加熱される。
【0024】
ここで
図15および
図16を参照すると、本方法の次のステップにおいて、外層1、第1の内層16および第2の内層20は、スペーサ17が存在する場合には外層1、第1の内層16、第2の内層20およびスペーサ17は、少なくとも第2の型23で覆われ、型間に配置された少なくとも1つの周辺シールによって気密に閉じられたキャビティ内で、層1、16および20が少なくとも第1の型12と第2の型23との間に配置されることが観察され得る。好ましくは、第2の型23の機能面は凹状でありおよび/または特に炭素繊維を含む複合材料で作られている。次いで、型12、23は互いに固定されて、例えば、45から90℃の温度でオーブン中で加熱されて、その後、層1、16、20に含浸させるために樹脂と硬化剤が少なくとも第1のノズル24を介して型12、23の間に注入される。同時に、例えばRTM法の場合と同じ方法で、少なくとも第2のノズル25を介して型12、23から空気が抽出される。ノズル24および/または25は、好ましくは層1、16および/または20の少なくとも1つの端部に配置され、その結果、注入および/または抽出はその端部に対して実質的に接線方向に行われる。
【0025】
第1のノズル24を介して注入される樹脂と混合される硬化剤は、この樹脂を重合させるのに十分な第1の量の硬化剤と、外層1上に塗布された樹脂3も重合させるのに十分な第2の量の硬化剤とを含む。好ましくは、型12、23に注入される樹脂は、外層1上に塗布された樹脂3、具体的には例えばハンツマン コーポレーション製のXB 3518樹脂のようなエポキシ樹脂と同じである。好ましくは、第1および第2の量の硬化剤は、注入された樹脂および樹脂3の両方と相溶性のある硬化剤、具体的には例えば、ハンツマン コーポレーション製のAradur(登録商標)22962硬化剤などの単一アミン硬化剤を含む。
【0026】
好ましくは、注入樹脂と混合した硬化剤の第1の重量は注入樹脂の重量の20から30重量%であり、一方、樹脂3のための加えられた硬化剤の第2の重量は第1の量の1.5%から55%である。
【0027】
ここで
図17および18を参照すると、注入された樹脂が層1、16および20を含浸し、注入された硬化剤のおかげで重合した後、層1上の樹脂3も注入された硬化剤のおかげで重合し、外層1、熱可塑性フィルム7、1つまたは複数の内層16、20、そして必要ならば少なくとも1つのスペーサ17を含む完成部品26が型12、23から取り出され、使用のために終了することが観察され得る。
【0028】
本明細書に図示および記載された実施形態に対する変形形態または追加形態は、本明細書に添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得る。特に、さらなる実施形態は、個別にまたは任意の組み合わせでとられる、本文に記載されまたは図面に示される1つまたは複数の技術的特徴を追加して、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数の技術的特徴を含み得る。