(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/59 20060101AFI20220721BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G01N21/59 C
H01L35/30
(21)【出願番号】P 2020042030
(22)【出願日】2020-03-11
(62)【分割の表示】P 2016089734の分割
【原出願日】2016-04-27
【審査請求日】2020-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村田 知紀
(72)【発明者】
【氏名】八馬 弘邦
(72)【発明者】
【氏名】寒川 陽
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 遼二
(72)【発明者】
【氏名】宮部 一夫
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-008569(JP,A)
【文献】特開2015-032747(JP,A)
【文献】特開平11-055974(JP,A)
【文献】特開2010-226103(JP,A)
【文献】特開平09-172203(JP,A)
【文献】国際公開第2014/157259(WO,A1)
【文献】特開2000-014026(JP,A)
【文献】特開2007-165560(JP,A)
【文献】特開2006-086210(JP,A)
【文献】特開2009-088408(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/59
H01L 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された高温側熱伝導体と、
前記高温側熱伝導体から離隔して配置された低温側熱伝導体と、
前記高温側熱伝導体に熱的に接触する高温側電極と、前記低温側熱伝導体に熱的に接触する低温側電極とを有する、熱電発電モジュールと、
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置され、
内部に中空空間が形成された中空円筒状の形状を有し、前記熱電発電モジュール
の全体が前記中空空間
の底面に形成された前記凹部内に収容
される、断熱部材と、
前記断熱部材とは別部材の一体化部材とを備え、前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とは前記一体化部材によって前記断熱部材を挟んで一体化されており、前記一体化部材は前記断熱部材の径方向外側に前記断熱部材から離れて配置されている、熱電発電装置。
【請求項2】
前記一体化部材は、電気絶縁性を有する、請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記一体化部材は、前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とを一体に締結するボルトを含む、請求項1または2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記高温側熱伝導体がボルト形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置された基板をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
前記基板の一部または全部を封止する封止樹脂をさらに備える、請求項5に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置され
、前記低温側熱伝導
体と前記熱電発電モジュールとに接触する、熱伝導部材をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-8569号公報(特許文献1)には、熱せられた潤滑油の温度と周囲の温度との温度差を電力に変換する熱発電素子が開示されている。熱発電素子の入熱面には、熱伝導部材を介して、固定部が接続されている。固定部は、潤滑油に接触して、潤滑油の熱を熱発電素子に伝導する。熱発電素子の放熱面には、放熱部材が接続されている。断熱材料製のカバーが、固定部および放熱部材に固定されて、熱発電素子を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、カバーがボルトによって固定部および放熱部材に固定されることが記載されている。固定部および放熱部材は、熱伝導性が高い金属材料によって形成されており、カバーは断熱材料によって形成されている。固定部および放熱部材と、カバーとの熱膨張係数が異なることにより、たとえば装置の全体が振動することなどによってカバーの固定に緩みが生じ、強度的に不十分となる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、高温側と低温側との熱伝導材を強固に固定でき、十分な強度を有する、熱電発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱電発電装置は、高温側熱伝導体と、低温側熱伝導体と、熱電発電モジュールと、断熱部材と、一体化部材とを備えている。低温側熱伝導体は、高温側熱伝導体から離隔して配置されている。熱電発電モジュールは、高温側熱伝導体に熱的に接触する高温側電極と、低温側熱伝導体に熱的に接触する低温側電極とを有している。断熱部材は、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に配置されている。断熱部材は、熱電発電モジュールを内部に収容する。一体化部材は、断熱部材とは別部材である。高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とは、一体化部材によって、断熱部材を挟んで一体化されている。
【0007】
上記の熱電発電装置において、一体化部材は、電気絶縁性を有してもよい。一体化部材は、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とを一体に締結するボルトを含んでもよい。
【0008】
上記の熱電発電装置において、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とのいずれか一方または両方がボルト形状を有してもよい。
【0009】
上記の熱電発電装置は、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に配置された基板をさらに備えてもよい。
【0010】
上記の熱電発電装置は、基板の一部または全部を封止する封止樹脂をさらに備えてもよい。
上記の熱電発電装置は、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に配置され、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とのいずれか一方と熱電発電モジュールとに接触する、熱伝導部材をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の熱電発電装置は、高温側と低温側との熱伝導材を強固に固定することができ、十分な強度を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学センサによると、発光素子から受光素子までの光路を妨げることなく、光路を形成する部材を確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一実施形態に基づく光学センサの正面図である。
【
図3】
図2中の矢印III方向から見た固定部材の外形図である。
【
図4】
図2中の矢印IV方向から見た固定部材の外形図である。
【
図5】
図3,4中のV-V線に沿う固定部材の断面図である。
【
図7】
図6中の矢印VII方向から見た保持部材の外形図である。
【
図8】
図6中の矢印VIII方向から見た保持部材の外形図である。
【
図9】
図7中のIX-IX線に沿う保持部材の断面図である。
【
図10】保持部材を固定部材に組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】保持部材を固定部材に組み付けた状態を異なる角度から見た斜視図である。
【
図12】受光素子モジュールの概略構成を示す模式図である。
【
図13】発光素子モジュールの概略構成を示す模式図である。
【
図14】受光素子モジュールおよび発光素子モジュールを保持部材に組み付けた状態を示す部分断面図である。
【
図17】熱電発電ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図18】熱電発電モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図19】第一実施形態に基づく光学センサが機械に設置された状態の断面図である。
【
図20】第二実施形態に基づく光学センサの正面図である。
【
図22】
図21中の矢印XXII方向から見た固定部材の外形図である。
【
図23】
図21中の矢印XXIII方向から見た固定部材の外形図である。
【
図24】
図22,23中のXXIV-XXIV線に沿う固定部材の断面図である。
【
図25】受光/発光素子モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図26】第二実施形態に基づく光学センサが機械に設置された状態の断面図である。
【
図27】第三実施形態に基づく光学センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る光学センサについて、図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に基づく光学センサ1の正面図である。光学センサ1は、機械に取り付けられて、機械の潤滑油中の不純物を検出するための装置である。光学センサ1が取り付けられる機械は、たとえば、鉱山機械に代表される作業車両に搭載される機械であってもよい。光学センサ1は、たとえばギヤボックス、トランスアクスルまたは油圧系統などに取り付けられてもよい。
【0016】
図1に示すように、光学センサ1は、光学センサ1を機械に固定するための固定部材10を備えている。固定部材10は、ボルト形状を有しており、頭部11と、ネジ部21とを有している。頭部11は、正六角柱状の外形を有している。ネジ部21の外周面には、ネジ山が形成されている。ネジ部21は、先端面22を有している。ネジ部21には、先端面22の一部が窪んだ溝が形成されている。この溝は、潤滑油が浸入するための油浸入用空間23を構成している。
【0017】
光学センサ1はまた、固定部材10の頭部11から離隔して配置された蓋部材60と、固定部材10と蓋部材60との間に配置された断熱部材70と、固定部材10と蓋部材60とを一体に連結する複数のボルト80とを備えている。
【0018】
固定部材10と蓋部材60とは、金属などの熱伝導性が高い材料によって形成されている。固定部材10と蓋部材60とは、たとえば鋼材またはアルミニウム合金によって形成されていてもよい。断熱部材70は、固定部材10と蓋部材60との間の熱伝達を抑制するために、樹脂などの熱伝導性が低い材料によって形成されている。断熱部材70は、固定部材10および蓋部材60の形成材料よりも、熱伝導率の低い材料によって形成されている。
【0019】
図2は、
図1に示す固定部材10の斜視図である。
図3は、
図2中の矢印III方向から見た固定部材10の外形図である。
図4は、
図2中の矢印IV方向から見た固定部材10の外形図である。
図5は、
図3,4中のV-V線に沿う固定部材10の断面図である。
【0020】
図2~5に示すように、固定部材10の頭部11およびネジ部21は中空に形成されている。頭部11の内部には、中空の収容空間12が形成されている。ネジ部21の内部には、中空の収容空間24が形成されている。収容空間12の底面に、当該底面が円環状に窪んだ円環溝18と、当該底面が略矩形状に窪んだ凹部14とが形成されている。頭部11にはまた、有底のネジ穴13が複数形成されている。ネジ穴13は、頭部11を平面視した正六角形の各頂点付近に形成されている。ネジ穴13は、
図1に示すボルト80と同数形成されている。各々のネジ穴13にボルト80が締結されることにより、固定部材10と蓋部材60とは一体化されている。
【0021】
収容空間12と収容空間24とを隔てる壁部に、当該壁部を厚み方向に貫通する3つの貫通孔が形成されている。これら貫通孔は、収容空間12と収容空間24とを連通している。貫通孔は、後述する配線が貫通する配線貫通孔15,16と、後述する保持部材を固定するための固定用孔17とを含んでいる。
【0022】
固定用孔17は、
図3,4に示す固定部材10の中心位置に形成されている。配線貫通孔15,16は、固定部材10の中心から等距離離れた位置に形成されている。配線貫通孔15,16と固定用孔17とは、
図3,4に示すように、一直線上に並んで形成されている。なお配線貫通孔15,16と固定用孔17との上述した配置は一実施例であり、素子の厚みおよび/または偏心により、これらの位置は変更される。
【0023】
ネジ部21には、中空空間である拡径空間25が形成されている。拡径空間25は、ネジ部21の先端面22に開口している。収容空間24は、拡径空間25を介して、ネジ部21の先端面22に開口している。拡径空間25は、収容空間24に連通している。
図4,5に示すように、拡径空間25は、収容空間24の内径よりも大きい内径を有している。ネジ部21に形成された油浸入用空間23を構成する溝は、
図4に示すように、収容空間24および拡径空間25によって2つに分けられている。
【0024】
固定部材10の収容空間24には、光を発する発光素子と、光を受ける受光素子と、発光素子および受光素子を搭載する基板と、発光素子、受光素子および基板を保持する保持部材30とが収容される。
図6は、保持部材30の斜視図である。
図7は、
図6中の矢印VII方向から見た保持部材30の外形図である。
図8は、
図6中の矢印VIII方向から見た保持部材30の外形図である。
図9は、
図7中のIX-IX線に沿う保持部材30の断面図である。
【0025】
図6~9に示すように、保持部材30は、先端面31と、基端面32とを有している。先端面31と基端面32とは、各々平面形状を有している。先端面31と基端面32とは、平行に設けられている。先端面31は、矩形状に形成されている。先端面31の中央部分には、有底の穴部34が形成されている。穴部34には、インサートナットが挿入される。基端面32は円盤形状でもよく、この場合固定部材10に形成された収容空間24は円柱状となる。
【0026】
先端面31の差し渡し長さは、基端面32の差し渡し長さよりも小さい。保持部材30は、先端面31と比較して、基端面32において径が増大している。保持部材30は、基端面32において拡径部35を有している。拡径部35の外周の形状は、固定部材10の拡径空間25の内周の形状とほぼ同じである。一方、先端面31の外周の形状は、固定部材10の収容空間24の内周の形状よりも、小さくなっている。
【0027】
保持部材30には、基端面32の一部が窪んだ溝が形成されている。基端面32は、矩形形状が当該溝によって2つに分断された形状を有している。上記溝は、基端面32の外縁形状をなす矩形の短辺方向に延びている。基端面32に形成された溝は、潤滑油が浸入するための油浸入用空間33を構成している。保持部材30の油浸入用空間33の幅(
図9中の上下方向における油浸入用空間33の差し渡し寸法)は、固定部材10の油浸入用空間23の幅(
図5中の上下方向における油浸入用空間23の差し渡し寸法)と、等しくなっている。
【0028】
基端面32の近傍における保持部材30は、油浸入用空間33によって、受光素子支持部36と、発光素子支持部37とに二分割されている。受光素子支持部36には、受光素子支持部36を貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、受光素子を収容する受光素子収容孔38を構成している。発光素子支持部37には、発光素子支持部37を貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、発光素子を収容する発光素子収容孔39を構成している。
【0029】
保持部材30は、樹脂成型品であってもよい。または保持部材30は、アルミニウム合金などの金属材料製であってもよい。
【0030】
図10は、保持部材30を固定部材10に組み付けた状態を示す斜視図である。
図11は、保持部材30を固定部材10に組み付けた状態を異なる角度から見た斜視図である。保持部材30は、先端面31よりも基端面32の方が外径寸法が大きい形状を有している。保持部材30を、先端面31側から、固定部材10の先端面22側から拡径空間25を経由して収容空間24内に挿し入れることにより、拡径部35が拡径空間25内に収容され、保持部材30の他の部分が収容空間24内に収容された、
図10,11に示す配置が実現される。
【0031】
拡径部35の外周の形状は拡径空間25の内周の形状とほぼ同じであるため、
図10,11に示すように、拡径部35は拡径空間25にほぼ係合している。保持部材30を固定部材10に組み付けた状態で、固定部材10の先端面22と保持部材30の基端面32とは、略同一平面上にある。固定部材10に形成された油浸入用空間23と、保持部材30に形成された油浸入用空間33とは、同じ幅を有している。保持部材30を固定部材10に組み付けた状態で、油浸入用空間23の内壁面と油浸入用空間33の内壁面とは、略同一平面上にある。
【0032】
保持部材30の先端面31付近の外周形状は、収容空間24の内周形状よりも小さくなっている。そのため、
図10,11に示すように、保持部材30を収容空間24内に収容した状態で、収容空間24の一部が依然として中空空間として存在している。保持部材30によって収容空間24が仕切られて2つの中空空間が形成され、一方の中空空間は配線貫通孔15と連通し、他方の中空空間は配線貫通孔16と連通している。一方の中空空間は、配線貫通孔15を介して収容空間12と連通している。他方の中空空間は、配線貫通孔16を介して収容空間12と連通している。
【0033】
保持部材30に形成された穴部34は、固定部材10の固定用孔17と連通している。穴部34は、固定用孔17を介して収容空間12と連通している。
【0034】
図12は、受光素子モジュール40の概略構成を示す模式図である。受光素子モジュール40は、基板41を有している。基板41の主表面に、受光素子42が搭載されている。受光素子42は、発光素子52によって発せられる光を受ける電子部品であり、たとえばフォトダイオードである。基板41には、配線43が接続されている。受光素子42が受光した光量は、配線43を介して、外部へ出力される。
【0035】
図13は、発光素子モジュール50の概略格子を示す模式図である。発光素子モジュール50は、基板51を有している。基板51の主表面に、発光素子52が搭載されている。発光素子52は、たとえば単色の光を発する電子部品である。発光素子52は、たとえば赤色LED(Light Emitting Diode)である。基板51には、配線53,54が接続されている。配線53,54を介して、発光素子52に電源が供給され、また発光素子52に発光の有無および発光量を指示する信号が入力される。
【0036】
発光素子52は、白色の光を発する白色LEDであってもよく、この場合受光素子42は、受けた光の色を検出するRGBセンサであってもよい。
【0037】
図14は、受光素子モジュール40および発光素子モジュール50を保持部材30に組み付けた状態を示す部分断面図である。
【0038】
図9および
図14を参照して、保持部材30の受光素子支持部36に形成された受光素子収容孔38に、受光素子42が収容されている。保持部材30の発光素子支持部37に形成された発光素子収容孔39に、発光素子52が収容されている。受光素子42と発光素子52とは、油浸入用空間33を挟んで互いに向き合っている。受光素子42および発光素子52は、油浸入用空間33に露出している。受光素子42および発光素子52は、油密性(または気密性)を有しており、そのため油浸入用空間33内の潤滑油が受光素子42および発光素子52内に浸入することが防止されている。
【0039】
受光素子42を搭載する基板41と、発光素子52を搭載する基板51とは、保持部材30の外表面に沿って、先端面31に向かって延びている。配線43および配線53,54は、先端面31を超えてさらに延びている。保持部材30が固定部材10に組み付けられた状態では、配線43は、配線貫通孔16を貫通して、収容空間12にまで延びている。保持部材30が固定部材10に組み付けられた状態では、配線53,54は、配線貫通孔15を貫通して、収容空間12にまで延びている。
【0040】
図15は、断熱部材70の斜視図である。断熱部材70は、中空円筒状の形状を有している。断熱部材70は、中空角柱状の形状としてもよい。断熱部材70は、一端部71と、他端部72とを有している。断熱部材70の内部に、中空の収容空間73が形成されている。
【0041】
図16は、蓋部材60の平面図である。なお
図16には、
図1中の上から下方向に見た、ボルト80(
図1)が取り付けられていない状態の蓋部材60が、図示されている。平面視した蓋部材60は、正六角形状の外形を有している。蓋部材60は、略平板状の形状を有しており、第一表面61と、
図16には図示しない第一表面61とは反対側の第二表面62とを有している。蓋部材60には、六角形の各々の頂点において第一表面61が窪んだ複数の窪み63が形成されている。蓋部材60にはまた、窪み63の位置において蓋部材60を厚み方向に貫通する、窪み63と同数の貫通孔64が形成されている。
【0042】
図17は、熱電発電ユニット100の概略構成を示す斜視図である。熱電発電ユニット100は、蓋部材60の第二表面62側に取り付けられている。第二表面62には、第二表面62が円環状に窪んだ円環溝65が形成されている。円環溝65の内周側に、島状部66が形成されている。熱電発電ユニット100は、島状部66に固定されている。
【0043】
熱電発電ユニット100は、熱電発電モジュール101と、柱部材120と、基板131,132とを主に有している。柱部材120は、四角柱状の形状を有している。柱部材120の基端は蓋部材60に固定されている。熱電発電モジュール101は、柱部材120の先端に取り付けられている。柱部材120は、蓋部材60と一体に成形されていてもよい。または柱部材120は、熱伝導性の接着剤を用いて蓋部材60に固定されてもよい。柱部材120は、蓋部材60と熱的に一体化されている。柱部材120は、金属材料などの熱伝導性が高い材料によって形成されている。柱部材120は、たとえばアルミニウム合金などの放熱性の高い材料によって形成されていてもよい。熱電発電モジュール101は、
図17とは逆の柱部材120の先端に取り付けられてもよく、柱部材120を二分した間に取り付けられてもよい。
【0044】
基板131,132は、取付部材140を介して、柱部材120の側面に取り付けられている。基板131,132は、蓋部材60に取り付けられてもよい。取付部材140は、たとえば粘着性を有するシート状の部材であり、柱部材120の側面と基板131,132とに貼着されていてもよい。基板131には、電子部品133が搭載されている。基板132には、電子部品134が搭載されている。基板131,132に搭載されている電子部品は、電源回路を構成するものであってもよい。基板131,132に搭載されている電子部品は、受光素子42の検出結果を無線で送信するワイヤレス通信回路を構成するものであってもよい。
【0045】
熱電発電モジュール101と、基板131とは、配線111,112によって電気的に接続されている。基板131と基板132とは、互いに電気的に接続されている。
【0046】
図18は、熱電発電モジュール101の概略構成を示す斜視図である。熱電発電モジュール101は、放熱側の基板102と冷却側の基板103との間に、p型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とを交互に電気的に直列接続するように接合して構成されている。
【0047】
放熱側の基板102および冷却側の基板103は、たとえばAl2O3(酸化アルミニウム)、AlN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化珪素)、Si3N4(窒化珪素)および外周面に絶縁層を形成した金属などで形成されている。
【0048】
放熱側の基板102の素子搭載面(上面)上には、複数の放熱側の電極104がめっきなどにより形成されている。それぞれ独立した放熱側の電極104の各々上にBiTe系材料からなるp型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とが一対ずつ搭載されている。これにより、放熱側の電極104にp型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とが電気的に接続されている。
【0049】
同様に冷却側の基板103の素子搭載面(下面)上にも複数の冷却側の電極105がめっきなどにより形成されている。それぞれ独立した冷却側の電極105の各々上にBiTe系材料からなるp型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とが一対ずつ搭載されている。これにより、冷却側の電極105にp型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とが電気的に接続されている。
【0050】
放熱側の電極104は冷却側の電極105に比べて相対的に位置がずらされている。その結果、放熱側の電極104と冷却側の電極105との間に接合された複数のp型熱電変換素子108とn型熱電変換素子109とは、それぞれ交互に電気的に直列接続されている。
【0051】
なお、放熱側の基板102の素子搭載面の裏面(下面)上には、放熱対象物との接合を図るためのメタライズ層106が形成されている。冷却側の基板103の素子搭載面の裏面(上面)上にも、冷却対象物との接合を図るためのメタライズ層107が形成されている。
【0052】
放熱側の基板102の上面上には、熱電発電モジュール101に電力を供給するために、配線111,112が取り付けられている。具体的には、1つのp型熱電変換素子108のみが搭載された放熱側の電極104上に、半田110によって配線111が取り付けられている。1つのn型熱電変換素子109のみが搭載された放熱側の電極104上に、半田110によって配線112が取り付けられている。これにより、配線111,112は、放熱側の電極104に電気的に接続されている。
【0053】
熱電発電モジュール101は、放熱側の基板102と冷却側の基板103との温度差を電力に変換する。熱電発電モジュール101は、生成された電力を、発光素子52、受光素子42および基板131,132に搭載された電子回路に供給する。
【0054】
図19は、第一実施形態に基づく光学センサ1が機械に設置された状態の断面図である。光学センサ1が設置される機械は、筐体200を有している。光学センサ1は、固定部材10のネジ部21が筐体200に締結されることにより、筐体200に固定されている。図示しない工具を用いて六角柱状の頭部11を掴み、頭部11を筐体200に設けられたねじ孔に対して回転することにより、ネジ部21が筐体200に締結される。筐体200の内部空間には、潤滑油201が存在している。潤滑油201の外部への漏れ出しを防止するために、筐体200の外表面と頭部11との間に、図示しないシール材が設けられている。
【0055】
図10,11に示す、保持部材30を固定部材10に組み付けた状態で中空空間として存在している収容空間24内に、基板41,51が収容されている。収容空間24内には、封止樹脂29が充填されている。受光素子モジュール40と発光素子モジュール50とが組み付けられた保持部材30を収容空間24に収容した後に、配線貫通孔15,16から液体状の樹脂材料を収容空間24に充填し、樹脂材料を固化することにより、封止樹脂29が設けられている。
【0056】
封止樹脂29は、基板41,51の周囲全体を覆っている。収容空間24内に収容された基板41,51と、配線43,53,54の一部とは、封止樹脂29によって封止されている。これにより、潤滑油201が基板41,51にまで到達することが防止されている。上述した通り、受光素子42と発光素子52とは油密性を有している。そのため、受光素子モジュール40および発光素子モジュール50を構成する各電子部品が潤滑油201による悪影響を受けることが、抑制されている。
【0057】
保持部材30に形成された穴部34には、図示しないインサートナットが埋め込まれている。固定部材10の固定用孔17はボルト孔であり、図示しないボルトを回転させ穴部34内に埋め込まれたインサートナットにねじ込むことにより、保持部材30と固定部材10との組立強度が向上している。
【0058】
固定部材10の、頭部11の内部に形成された収容空間12(
図2,5)には、断熱部材70の一部と、
図19には図示しない熱電発電モジュール101と、柱部材120の一部と、基板131の一部と、
図19には図示しない基板132の一部とが収容されている。固定部材10と蓋部材60とは、
図19中の上下方向において離隔して配置されており、収容空間12の底面と第二表面62(
図17)とが互いに向き合っている。収容空間12の底面と第二表面62とは略平行に並んで配置されている。
【0059】
断熱部材70と熱電発電ユニット100とは、固定部材10と蓋部材60との間に配置されている。柱部材120と、基板131,132は、固定部材10と蓋部材60との間に配置されている。断熱部材70は、固定部材10と蓋部材60とを熱的に分離している。
【0060】
断熱部材70の一端部71(
図15)は、蓋部材60の第二表面62に形成された円環溝65(
図17)内に収容されている。断熱部材70の他端部72(
図15)は、収容空間12の底面に形成された円環溝18(
図2,5)内に収容されている。断熱部材70は、蓋部材60と固定部材10との間に挟まれて配置されているが、断熱部材70は蓋部材60に固定されておらず、断熱部材70は固定部材10に固定されてもいない。断熱部材70の一端部71は、蓋部材60に対し、非固定状態で当接している。断熱部材70の他端部72は、固定部材10に対し、非固定状態で当接している。
【0061】
断熱部材70の一端部71と蓋部材60との間、および断熱部材70の他端部72と固定部材10との間には、図示しないOリングが配置されている。断熱部材70の一端部71は、Oリングを介して、蓋部材60に当接している。断熱部材70の他端部72は、Oリングを介して、固定部材10に当接している。このOリングは、断熱部材70の内部に形成された中空の収容空間73をシールするために、設けられている。熱電発電ユニット100は、収容空間73内に収容されている。
【0062】
熱電発電モジュール101の、放熱側の基板102(
図18)は、収容空間12の底面に形成された凹部14(
図2,5)内に配置されている。放熱側の基板102は、カーボンシートなどの熱伝導性がよく厚さ方向に変形する部材を介して、収容空間12の底面に接触している。放熱側の基板102は、固定部材10に接触している。放熱側の電極104は、放熱側の基板102を介して、固定部材10に熱的に接触している。熱電発電モジュール101の、冷却側の基板103(
図18)は、柱部材120に接触している。冷却側の基板103は、柱部材120を介して、蓋部材60に熱的に接触している。冷却側の電極105は、柱部材120および冷却側の基板103を介して、蓋部材60に熱的に接触している。柱部材120は、蓋部材60と熱電発電モジュール101の冷却側の基板103とに接触している。
【0063】
固定部材10は、潤滑油201からの熱伝達により、加熱されている。蓋部材60は、大気中に露出している。熱電発電ユニット100において、固定部材10は、高温側熱伝導体を構成している。蓋部材60は、低温側熱伝導体を構成している。放熱側の電極104は、高温側熱伝導体に熱的に接触する高温側電極を構成している。冷却側の電極105は、低温側熱伝導体に熱的に接触する低温側電極を構成している。柱部材120は、低温側熱伝導体と熱電発電モジュール101とに接触する熱伝導部材を構成している。熱電発電モジュール101は、柱部材120に対して高温側に設けられている。
【0064】
ボルト80は、蓋部材60に形成された貫通孔64(
図16)を貫通して、固定部材10の頭部11に形成されたネジ穴13(
図3,5)に締結されている。ボルト80は、断熱部材70とは異なる別部材である。固定部材10と蓋部材60とは、ボルト80によって、断熱部材70を挟んで一体に締結されている。
【0065】
ボルト80の頭部は、蓋部材60に接触している。ボルト80のネジ部は、固定部材10の頭部11に接触している。ボルト80は、蓋部材60と固定部材10との両方に接触している。ボルト80は、断熱部材70とは係合することなく、固定部材10と蓋部材60とに直接係合して、固定部材10と蓋部材60とを一体に締結している。熱電発電ユニット100において、ボルト80は、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とを一体化する一体化部材を構成している。
【0066】
ボルト80の延びる方向(
図19中の上下方向)は、熱電発電ユニット100の柱部材120の延在方向と等しい。熱電発電モジュール101の放熱側の電極104と冷却側の電極105とは、
図19中の上下方向に間隔を空けて並んで配置されており、ボルト80の延びる方向は、放熱側の電極104と冷却側の電極105とが並ぶ方向と一致している。
【0067】
ボルト80は、略平板状の外形を有する蓋部材60の厚み方向に沿って延びており、互いに平行に配置された収容空間12の底面および第二表面62に対して直交する方向に延びている。断熱部材70は円筒状の形状を有しており、ボルト80は、断熱部材70の軸方向に沿って延びている。
【0068】
ボルト80は、アルミニウム合金などの金属材料により形成されていてもよい。代替的には、ボルト80は、樹脂材料、たとえばエンジニアリングプラスチックなどの、電気絶縁性を有する材料により形成されていてもよい。
【0069】
発光素子52と受光素子42とは、油浸入用空間33を挟んで互いに向き合っている。保持部材30の、受光素子支持部36と発光素子支持部37との間に形成された油浸入用空間33は、発光素子52から受光素子42までの光路上に配置されている。油浸入用空間23,33内には、潤滑油201が浸入している。発光素子52と受光素子42とは、潤滑油201に曝されている。
【0070】
発光素子52から受光素子42までの光路は、潤滑油201が浸入するための空間である油浸入用空間33を通過している。
図19中に示す白抜き矢印は、発光素子52によって発せられ、油浸入用空間33を通過して受光素子42によって受けられる、光の進む経路を示している。
【0071】
発光素子52は、熱電発電モジュール101から電力の供給を受けて、単色の光を発する。発光素子52によって発せられた光は、油浸入用空間33内の潤滑油201を通過して、受光素子42に到達する。受光素子42は、受光素子42に到達した光を受ける。受光素子42は、受光量を電気信号として出力する。基板131,132に形成された電子回路、または外部の装置において、受光素子42が受けた光量に基づいて、潤滑油201中の磨耗粉などの異物の量が算出される。この異物の量のデータに基づいて、潤滑油201の劣化を監視して、作業車両または機械装置の異常を検知することができる。
【0072】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0073】
本実施形態の光学センサ1は、
図19に示すように、光を発する発光素子52と、発光素子52によって発せられる光を受ける受光素子42とを備えている。発光素子52から受光素子42までの光路が、油が浸入するための空間である油浸入用空間33を通過している。光学センサ1はまた、発光素子52を搭載する基板51と、受光素子42を搭載する基板41と、基板41,51を収容する収容空間24が形成された固定部材10と、収容空間24に充填され基板41,51を封止する封止樹脂29とを備えている。固定部材10は、基板41,51を内部に収容する収容部材を構成している。
【0074】
基板41,51が収容される収容空間24に封止樹脂29が充填されて基板41,51が封止されているために、発光素子52を搭載する基板51と受光素子42を搭載する基板41とを確実に支持することができる。
【0075】
また
図19に示すように、発光素子52と受光素子42とは、油浸入用空間33を挟んで互いに向き合っている。このようにすれば、発光素子52から受光素子42までの光路に他の部材が干渉することを抑制することができる。
【0076】
また発光素子52と受光素子42とは、油密性を有している。このようにすれば、
図19に示すように、発光素子52と受光素子42とを油浸入用空間33に露出させて配置することができ、発光素子52と受光素子42とを潤滑油201に曝して配置することが可能になる。したがって、発光素子52から受光素子42までの光路に他の部材が干渉することを、より確実に抑制することができる。
【0077】
また光学センサ1は、
図17,18に示すように、発光素子52および受光素子42に電力を供給する熱電発電モジュール101をさらに備えている。油の温度と、光学センサ1の周囲の大気温度との温度差を、熱電発電モジュール101により電力に変換することにより、外部からの電力の供給を必要とせずに、発光素子52および受光素子42に電力を供給することができる。
【0078】
(第二実施形態)
図20は、第二実施形態に基づく光学センサ1の正面図である。第二実施形態の光学センサ1では、第一実施形態とは異なり、固定部材10のネジ部21に油浸入用空間は形成されていない。第二実施形態の光学センサ1は、
図20に示すように、反射部材90を備えている。反射部材90は、ネジ部21の先端面22から離隔して配置されており、先端面22と略平行に配置されている。反射部材90は、ボルト91により、ネジ部21に固定されている。
【0079】
先端面22と反射部材90との間に、中空円筒状の複数のスペーサ92が配置されている。各々のボルト91は、対応するスペーサ92を貫通して、ネジ部21に締結されている。スペーサ92は、ネジ部21の先端面22と反射部材90との距離を規定する機能を有している。
【0080】
図21は、
図20に示す固定部材10の斜視図である。
図22は、
図21中の矢印XXII方向から見た固定部材10の外形図である。
図23は、
図21中の矢印XXIII方向から見た固定部材10の外形図である。
図24は、
図22,23中のXXIV-XXIV線に沿う固定部材10の断面図である。
【0081】
第一実施形態の固定部材10と同様に、第二実施形態の固定部材10のネジ部21の内部には、中空の収容空間24が形成されている。
図5と
図24とを参照して、第二実施形態の収容空間24は、ネジ部21の先端面22の近傍の一部分にのみ形成されており、第一実施形態の収容空間24と比較して容積が大幅に減少している。
【0082】
固定部材10には、収容空間12と収容空間24とを連通する2つの配線貫通孔15,16が形成されている。配線貫通孔15,16は、収容空間12の底面に開口し、かつ、収容空間24の底面に開口している。第一実施形態に示した、収容空間12と収容空間24とを連通する固定用孔は、第二実施形態の固定部材10には形成されていない。収容空間24がネジ部21の先端面22近傍にのみ形成されているため、第二実施形態の配線貫通孔15,16の長さは、
図5に示す第一実施形態の配線貫通孔15,16よりも長くなっている。
【0083】
図23に示すように、ネジ部21の先端面22には、複数のネジ穴26が形成されている。ネジ穴26は、収容空間24の周囲に形成されている。
図23に示す収容空間24は略矩形状の形状を有している。ネジ穴26は、矩形の対向する二辺に沿って形成されている。矩形の第一の辺に沿って2つのネジ穴26が形成されており、第一の辺に対向する第二の辺に沿って2つのネジ穴26が形成されている。
【0084】
図25は、受光/発光素子モジュール45の概略構成を示す斜視図である。一枚の基板41の主表面に、受光素子42と発光素子52との両方が搭載されて、受光/発光素子モジュール45を構成している。
【0085】
図26は、第二実施形態に基づく光学センサ1が機械に設置された状態の断面図である。固定部材10の収容空間24内に、受光/発光素子モジュール45が収容されている。収容空間24内には、封止樹脂29が充填されている。受光/発光素子モジュール45を収容空間24内に収容した後に、液体状の樹脂材料を収容空間24に充填し、樹脂材料を固化することにより、封止樹脂29が設けられている。
【0086】
発光素子52と受光素子42とは、同一の基板41上に、隣り合って配置されている。固定部材10の先端面22と反射部材90との間に、油浸入用空間93が形成されている。発光素子52と反射部材90とは、油浸入用空間93を挟んで、互いに向き合っている。受光素子42と反射部材90とは、油浸入用空間93を挟んで、互いに向き合っている。反射部材90は、発光素子52によって発せられる光を反射する。受光素子42は、反射部材90によって反射された光を受ける。
図26中に示す白抜き矢印は、発光素子52によって発せられ、油浸入用空間93を通過して反射部材90によって反射され、油浸入用空間93を通過して受光素子42によって受けられる、光の進む経路を示している。
【0087】
油浸入用空間93は、発光素子52から受光素子42までの光路上に配置されている。油浸入用空間93には、潤滑油201が浸入している。発光素子52から反射部材90を経由して受光素子42までの光路は、潤滑油201が浸入するための空間である油浸入用空間93を通過している。
【0088】
発光素子52は、熱電発電モジュール101から電力の供給を受けて、単色の光を発する。発光素子52によって発せられた光は、油浸入用空間93内の潤滑油201を通過して、受光素子42に到達する。受光素子42は、受光素子42に到達した光を受ける。受光素子42は、受光量を電気信号として出力する。基板131,132に形成された電子回路、または外部の装置において、受光素子42が受けた光量に基づいて、潤滑油201中の磨耗粉などの異物の量が算出される。この異物の量のデータに基づいて、潤滑油201の劣化を監視して、作業車両または機械装置の異常を検知することができる。
【0089】
以上説明した第二実施形態の光学センサ1は、
図20,26に示すように、発光素子52によって発せられる光を反射する反射部材90をさらに備えている。受光素子42は、反射部材90によって反射された光を受ける。発光素子52から発せられる光を反射部材90によって反射することにより、受光素子42は、油浸入用空間93を通過し反射部材90により反射された光を確実に受けることができる。
【0090】
また
図26に示すように、発光素子52と反射部材90とは、油浸入用空間93を挟んで互いに向き合っている。受光素子42と反射部材90とは、油浸入用空間93を挟んで互いに向き合っている。このようにすれば、発光素子52によって発せられる光を反射部材90で確実に反射することができ、かつ、反射部材90によって反射された光を受光素子42で確実に受けることができる。
【0091】
(第三実施形態)
図27は、第三実施形態に基づく光学センサ1の断面図である。これまでに説明した第一および第二実施形態の光学センサ1では、断熱部材70の内部の収容空間73が中空空間であるが、
図27に示すように、収容空間73内に樹脂が充填されていてもよい。第三実施形態では、基板131の一部は、封止樹脂129によって封止されている。
【0092】
図27に示す実施形態では、収容空間73の一部のみに樹脂が充填されているが、収容空間73の内部の全部に樹脂が充填されて、基板131の全部が封止された構成としてもよい。
【0093】
基板131の一部または全部を封止する封止樹脂129を備えることにより、基板131の固定強度が向上されている。これにより、光学センサ1が設置されている機械が振動したり急に動作した場合にも、基板131を確実に保持し続けることができる。
【0094】
なおこれまでに説明した実施形態では、固定部材10と蓋部材60とを複数のボルト80を用いて一体化していたが、この構成に限られるものではない。一体化部材は、断熱部材とは別部材として設けられ、固定部材10と蓋部材60とを一体化することが可能な部材であれば、任意の構成を有してもよい。たとえば、固定部材10の頭部11と蓋部材60との両方にかしめられるかしめ部材を用いて、固定部材10と蓋部材60とを一体化してもよい。
【0095】
以上の説明は、以下に記載する特徴を含む。
【0096】
特開2014-8569号公報には、熱せられた潤滑油の温度と周囲の温度との温度差を電力に変換する熱発電素子が開示されている。熱発電素子の入熱面には、熱伝導部材を介して、固定部が接続されている。固定部は、潤滑油に接触して、潤滑油の熱を熱発電素子に伝導する。熱発電素子の放熱面には、放熱部材が接続されている。断熱材料製のカバーが、固定部および放熱部材に固定されて、熱発電素子を覆っている。
【0097】
特開2014-8569号公報には、カバーがボルトによって固定部および放熱部材に固定されることが記載されている。固定部および放熱部材は、熱伝導性が高い金属材料によって形成されており、カバーは断熱材料によって形成されている。固定部および放熱部材と、カバーとの熱膨張係数が異なることにより、たとえば装置の全体が振動することなどによってカバーの固定に緩みが生じ、強度的に不十分となる場合があった。
【0098】
以下に記載する特徴の目的は、高温側と低温側との熱伝導材を強固に固定でき、十分な強度を有する、熱電発電装置を提供することである。
【0099】
(特徴1)
高温側熱伝導体と、
前記高温側熱伝導体から離隔して配置された低温側熱伝導体と、
前記高温側熱伝導体に熱的に接触する高温側電極と、前記低温側熱伝導体に熱的に接触する低温側電極とを有する、熱電発電モジュールと、
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置され、前記熱電発電モジュールを内部に収容する、断熱部材と、
前記断熱部材とは別部材の一体化部材とを備え、前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とは前記一体化部材によって前記断熱部材を挟んで一体化されている、熱電発電装置。
【0100】
高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に断熱部材を配置することにより、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に確実に温度差が生じるので、熱電発電装置はこの温度差を電力に変換することができる。断熱部材とは別部材の一体化部材によって高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とが一体化されているので、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とを強固に固定することができ、熱電発電装置の強度を向上することができる。
【0101】
(特徴2)
前記一体化部材は、電気絶縁性を有する、特徴1に記載の熱電発電装置。
【0102】
熱電発電装置がワイヤレス通信回路を構成する場合、一体化部材を電気絶縁性に形成することで、電波が一体化部材に干渉してワイヤレス通信の品質が低下することを抑制することができる。
【0103】
(特徴3)
前記一体化部材は、前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とを一体に締結するボルトを含む、特徴1または2に記載の熱電発電装置。
【0104】
このようにすれば、ボルトを用いて高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とが一体化されているので、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とを強固に固定することができ、熱電発電装置の強度を向上することができる。
【0105】
(特徴4)
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とのいずれか一方または両方がボルト形状を有する、特徴1~3のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【0106】
このようにすれば、ボルト形状を有する熱伝導体を、機械の筐体など、他の構成に締結して固定することができる。当該他の構成から高温側熱伝導体が熱を受ける、または当該他の構成へ低温側熱伝導体が熱を放出することにより、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に確実に温度差を生じさせることができる。
【0107】
(特徴5)
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置された基板をさらに備える、特徴1~4のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【0108】
電源回路またはワイヤレス通信回路などを構成する基板を高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に配置し、熱電発電モジュールと共に断熱部材の内部に収容することにより、熱電発電装置を小型化することができる。
【0109】
(特徴6)
前記基板の一部または全部を封止する封止樹脂をさらに備える、特徴5に記載の熱電発電装置。
【0110】
基板の一部または全部を封止樹脂で封止することにより、基板の固定強度が向上されているので、熱電発電装置の信頼性を向上することができる。
【0111】
(特徴7)
前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体との間に配置され、前記高温側熱伝導体と前記低温側熱伝導体とのいずれか一方と前記熱電発電モジュールとに接触する、熱伝導部材をさらに備える、特徴1~6のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【0112】
高温側熱伝導体と低温側熱伝導体とは、熱電発電モジュールに直接接触してもよいが、熱伝導部材を介して熱電発電モジュールに接触してもよい。このようにすれば、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との配置の自由度を向上することができる。高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に基板を配置する場合には、熱伝導部材の寸法を調整することによって、高温側熱伝導体と低温側熱伝導体との間に基板を収容可能な空間を確実に形成することができる。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 光学センサ、10 固定部材、11 頭部、12,24,73 収容空間、13,26 ネジ穴、14 凹部、15,16 配線貫通孔、17 固定用孔、18,65 円環溝、21 ネジ部、22,31 先端面、23,33,93 油浸入用空間、25 拡径空間、29,129 封止樹脂、30 保持部材、32 基端面、34 穴部、35 拡径部、36 受光素子支持部、37 発光素子支持部、38 受光素子収容孔、39 発光素子収容孔、40 受光素子モジュール、41,51,102,103,131,132 基板、42 受光素子、43,53,54,111,112 配線、45 受光/発光素子モジュール、50 発光素子モジュール、52 発光素子、60 蓋部材、61 第一表面、62 第二表面、64 貫通孔、66 島状部、70 断熱部材、71 一端部、72 他端部、80,91 ボルト、90 反射部材、92 スペーサ、100 熱電発電ユニット、101 熱電発電モジュール、104,105 電極、108 p型熱電変換素子、109 n型熱電変換素子、120 柱部材、133,134 電子部品、140 取付部材、200 筐体、201 潤滑油。