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特許7108677表面に官能基を含有する金属酸化物を含むフェントン反応システム用触媒及びそれを用いたフェントン反応システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】表面に官能基を含有する金属酸化物を含むフェントン反応システム用触媒及びそれを用いたフェントン反応システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 27/25 20060101AFI20220721BHJP
   B01J 27/16 20060101ALI20220721BHJP
   B01J 27/053 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B01J27/25 M
B01J27/16 M
B01J27/053 M
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020211724
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2021154273
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036303
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036304
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057943
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0091558
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】304039548
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン シク
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ホン フィル
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-082423(JP,A)
【文献】特開平02-071840(JP,A)
【文献】特開2004-313984(JP,A)
【文献】KIM, Jongsik et al.,Enhancing the decomposition of refractory contaminants on SO42-functionalized iron oxide to accommodate surface SO4・- generated via radical transfer from ・OH,Appl. Catal. B Environ.,NL,Elsevier B.V.,2019年04月08日,Vol. 252,pp. 62-76,DOI: 10.1016/j.apcatb.2019.04.015
【文献】WANG, Qiangwei et al.,Effect of Iron Oxide Promoted Sulfated Zirconia on the Oxidative Efficiency of H2O2/O3 for Acetic Acid Degradation in Strong Aciditic Water,Ind. Eng. Chem. Res.,米国,American Chemical Society,2016年09月23日,Vol. 55, No. 40,pp. 10513-10522,DOI: 10.1021/acs.iecr.6b02483
【文献】LOUSADA, Claudio M. et al.,Mechanism of H2O2 Decomposition on Transition Metal Oxide Surfaces,J. Phys. Chem. C,Vol. 116, No. 17,米国,American Chemical Society,2012年04月18日,pp. 9533-9543,DOI: 10.1021/jp300255h
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C25B 11/00-11/18
H01M 4/86-4/98
Scopus
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にNO 、H PO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含む、フェントン反応システム用触媒。
【請求項2】
前記触媒結晶粒子は、多孔性構造である、請求項1に記載のフェントン反応システム用触媒。
【請求項3】
前記触媒結晶粒子は、直径が0.1nm~500μmである、請求項1に記載のフェントン反応システム用触媒。
【請求項4】
前記遷移金属酸化物触媒結晶粒子の金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである、請求項1に記載のフェントン反応システム用触媒。
【請求項5】
表面にNO 、H PO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物からなる触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含むフェントン反応システム用触媒と、
前記触媒が担持される担持体と、
前記担持体がコーティングされる基板と、
前記担持体と基板との間に介在されてコーティング接着力を増加させるバインダーと、を含む、フェントン反応システム用電極。
【請求項6】
前記担持体は、炭素(C)、Al、MgO、ZrO、CeO、TiO及びSiOのうち何れか1つである、請求項5に記載のフェントン反応システム用電極。
【請求項7】
前記担持体100重量部に対して、前記触媒0.01~50重量部を含む、請求項5に記載のフェントン反応システム用電極。
【請求項8】
前記バインダーは、不溶性高分子または無機系バインダーである、請求項5に記載のフェントン反応システム用電極。
【請求項9】
請求項5に記載の電極と、
電解質水溶液と、
を含む、電気的フェントン反応システム。
【請求項10】
前記電解質水溶液のpHは、3~10であり、
電力が入力されて電気的フェントン反応が起こる、請求項9に記載の電気的フェントン反応システム。
【請求項11】
電気的フェントン反応は、
(1)Hの不均一分解反応によってOH種が形成される段階と、
(2)前記機能化されたNO 種が、前記OH種によってNO 種に切り替えられるか、または前記機能化されたHPO /HPO 2-/PO 3-種が、前記OH種によってHPO /HPO ・-/PO 2・-種に切り替えられる段階と、
(3)前記NO 、H PO 、HPO ・-、またはPO 2・-種によって難分解性有機物が分解される段階と、
を含む、請求項9に記載の電気的フェントン反応システム。
【請求項12】
オービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物を製造する段階と、
前記遷移金属酸化物に硝酸化またはリン酸化処理して、表面にNO 、H PO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含む遷移金属酸化物触媒を製造する段階と、
を含む、フェントン反応システム用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記硝酸化処理は、NO及びOを含む反応ガスによって行われ、前記リン酸化処理は、リン酸化前駆体を含む反応溶液によって行われる、請求項12に記載のフェントン反応システム用触媒の製造方法。
【請求項14】
請求項5に記載の電極と、
過酸化水素供給部と、
電解質水溶液と、
を含む、非電気的フェントン反応システム。
【請求項15】
前記電解質水溶液のpHは、5~10であり、
前記過酸化水素供給部から10-5~10mol/Lの過酸化水素が供給されて非電気的フェントン反応が起こる、請求項14に記載の非電気的フェントン反応システム。
【請求項16】
非電気的フェントン反応は、
(1)Hの不均一分解反応によってOH種が形成される段階と、
(2)前記機能化されたNO 種が、前記OH種によってNO 種に切り替えられるか、または前記機能化されたHPO /HPO 2-/PO 3-種が、前記OH種によってHPO /HPO ・-/PO 2・-種に切り替えられる段階と、
(3)前記NO 、H PO 、HPO ・-、またはPO 2・-種によって難分解性有機物が分解される段階と、
を含む、請求項14に記載の非電気的フェントン反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性有機物の効率的分解のために、表面がNO 、SO 2-またはH3-ZPO Z-(Z=1-3)で機能化された遷移金属酸化物結晶粒子を少なくとも1種以上含むフェントン反応システム用触媒及びこのような触媒を用いるフェントン反応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、脚光を浴びている廃水処理技術の1つは、大きな標準酸化電位(standard oxidation potential)を有するラジカル酸化剤(radical、例えば、OHまたはSO ・-)を廃水内に生成/繁盛させて、水に含まれた難分解性または毒性を有する有機物質を酸化分解する促進酸化処理工程(advanced oxidation process、AOP)である。代表的なAOPの1つは、下水/廃水処理場に小型化・商用化されている単一触媒工程であって、触媒がコーティングされていないアノード(anode)と触媒がコーティングされたカソード(cathode)との間に電圧をかけて、難分解性有機物質を酸化分解させる電気的フェントン(electro-Fenton)反応工程である。これは、3種の主要な長所を提供する。例えば、1)カソードで起こる酸素還元によって豊かな量の過酸化水素(H)供給(2H+O+2e→H)が可能な点、2)カソードにコーティングされた非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒表面の酸化が2種以下の金属種(Mδ+、M:金属;δ≦2)による過酸化水素の不均一触媒現象(heterogeneous catalysis)または均一触媒現象(homogeneous catalysis)による分解反応(Mδ++H→M(δ+1)++OHOH)によって相当な量のOH供給が可能な点、3)前述した過酸化水素触媒分解反応の結果、形成されるM(δ+1)+が反応溶液内部の豊かな電子(e)によってMδ+に還元(e reduction:M(δ+1)++e→Mδ+)されて過酸化水素触媒分解反応にリサイクルが可能な点として要約される。
【0003】
重要にも、電気的フェントン反応工程のカソードにdオービタル基盤の遷移金属酸化物(例えば、ZrO、NbまたはTa)をコーティングし、これらの表面に内在されたZr4+、Nb5+、Ta5+種を過酸化水素触媒分解反応のための活性表面種として使用した例は全くない。Zr4+、Nb5+、Ta5+種は、前記Mδ+種に比べて、過酸化水素触媒分解反応に後述する2種の長所を提供することができる。例えば、1)新たな過酸化水素触媒分解反応式(H→2OH)に基づいてOHの生産性/生成量が2倍に増加することができるという点、2)過酸化水素触媒分解反応以後にも、Zr4+、Nb5+、Ta5+の酸化状態(oxidation state)が変わらないので、過酸化水素分解反応を持続的に起こせるための還元(e reduction)が不要であるという点として要約される。
【0004】
前記Mδ+活性種(非dオービタル基盤の遷移金属酸化物)またはZr4+、Nb5+、Ta5+などの活性種(dオービタル基盤の遷移金属酸化物)によってOHを生成する電気的フェントン反応工程の場合、前述した長所にも拘らず、次に提示された短所は、電気的フェントン反応工程の廃水処理のための大型化・商用化を制限する。第1に、カソードにコーティングされた触媒表面に存在する制限された量の遷移金属表面種(Mδ+、Zr4+、Nb5+またはTa5+)は、制限された量のOHを発生させ、これは、OHによる難分解性有機物分解速度を遅くする。第2に、比較的苛酷な条件下で行われる電気的フェントン反応工程は、カソードにコーティングされた触媒表面に存在する金属種の持続的であり、深刻な剥離(leaching)を引き起こし、これは、コーティングされた触媒の使用回数を制限し、有機物分解能の減少を起こす。第3に、電気的フェントン反応工程に適用されるOHの場合、比較的寿命が短いので、有機物分解効率が低下し、OHの効率的な生産のための制限された範囲のpHを要求する問題点を有する。
【0005】
さらに他のAOPの1つは、非電気的フェントン工程であって、支持体にコーティングされた触媒にラジカル前駆体(例えば、H、Na、KHSOなど)を供給すれば、ラジカル前駆体が触媒反応(catalysis)によってOH、SO ・-などのラジカルに変換され、該変換されたラジカルが難分解性有機物質を酸化分解することを特徴とする。具体的に、非電気的フェントン工程の主要な3種の特徴は、次の通りである。1)有機物の分解のためにラジカル前駆体を供給しなければならないという点、2)支持体にコーティングされた触媒表面の酸化が2種以下の金属種(Mδ+、M:metal;δ≦2)によるH/S 2-/HSO の不均一触媒現象または均一触媒現象に基づいた割れ反応(catalytic scission)によってOH及びSO ・-の生成が可能な点(反応式a及び反応式b)、3)前述した割れ反応の結果、形成されるM(δ+1)+が反応溶液内部の電子によってMδ+に還元されて割れ反応にリサイクルが可能な点として要約される。
反応式(a):S 2-+Mδ+→SO ・-+SO 2-+M(δ+1)+
反応式(b):HSO +Mδ+→SO ・-+OH+M(δ+1)+
【0006】
前記長所にも拘らず、次に提示された短所は、ラジカルを生成させる触媒を利用した廃水処理の大型化・商用化を制限する。第1に、支持体にコーティングされた触媒表面に存在するルイス酸(Lewis acid)の特性を有するMδ+種は、ルイス酸の強度がラジカル前駆体(H/S 2-/HSO )を容易に吸着する程度に大きくなければ、単位時間当たり起こりうるラジカル割れ反応の頻度が減る問題点を引き起こす。これは、ラジカル割れ反応の結果、形成されるM(δ+1)+種が電子(e)によってMδ+種に持続的に回復されるにも拘らず、制限された量のOHを発生させ、OHによる難分解性有機物分解速度を遅くする。第2に、比較的苛酷な条件下で行われる非電気的フェントン反応工程は、支持体にコーティングされた触媒表面に存在するMδ+種の持続的であり、深刻な剥離を引き起こし、これは、コーティングされた触媒の使用回数を制限し、有機物分解能の減少を起こす。第3に、非電気的フェントン工程に適用されるOHの場合、比較的寿命が短いので、有機物分解効率が低下し、OHの効率的な生産のための制限された範囲のpHを要求する問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点を含んだ多様な問題点を解決するためのものであって、OHに比べて、1)より長い寿命(half-life)、2)より広いpH範囲、3)類似した酸化力(standard oxidation potential)を有するNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種をdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒表面に分散させて、不均一触媒現象に基づいて難分解性有機物を分解することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、持続的なOH生成を誘導するが、既存の電気的フェントン工程の短所として提示された、1)遅い難分解性有機物分解の反応速度、2)深刻な反応活性点剥離、3)制限された触媒寿命などの問題を解決することができる電気的フェントン反応システム用触媒、それを含む電極及びそれを用いた電気的フェントン反応システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、既存の非電気的フェントン工程の短所として提示された、1)遅い難分解性有機物分解の反応速度、2)低い難分解性有機物分解効率、3)深刻な反応活性点剥離(Mδ+)、4)制限された触媒寿命などを解決することができる難分解性有機物分解反応システム用触媒及びそれを用いた難分解性有機物分解反応システムを提供することを目的とする。
【0010】
しかし、このような課題は、例示的なものであって、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、表面にNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタル基盤または非d0オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含む電気的フェントン反応システム用触媒が提供される。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、多孔性構造である。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、直径が0.1nm~500μmである。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記遷移金属酸化物触媒結晶粒子の金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである。
【0015】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、前記電気的フェントン反応システム用触媒;前記触媒が担持される担持体;前記担持体がコーティングされる基板;及び前記担持体と基板との間に介在されてコーティング接着力を増加させるバインダー;を含む電気的フェントン反応システム用電極が提供される。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記担持体は、炭素(C)、Al、MgO、ZrO、CeO、TiO及びSiOのうち何れか1つである。
本発明の一実施例によれば、前記担持体100重量部に対して、前記触媒0.01~50重量部を含みうる。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記バインダーは、不溶性高分子または無機系バインダーである。
【0018】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、前記電極及び電解質水溶液を含む電気的フェントン反応システムが提供される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記電解質水溶液のpHは、3~10であり、2W以下の電力が入力されて電気的フェントン反応が起こりうる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記電気的フェントン反応は、(1)Hの不均一分解反応のうち、1つの経路に基づいてOH種が形成される段階;(2)(i)前記機能化されたSO 2-種が、前記OH種によってSO ・-種に切り替えられる段階、(ii)前記機能化されたNO 種が、前記OH種によってNO 種に切り替えられる段階、または(iii)前記機能化されたHPO /HPO 2-/PO 3-種が、前記OH種によってHPO /HPO ・-/PO 2・-種に切り替えられる段階;及び(3)前記NO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-種によって難分解性有機物が分解される段階;を含みうる。
【0021】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、dオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物を製造する段階;及び前記遷移金属酸化物に硝酸化、硫酸化またはリン酸化処理して、表面にNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含む遷移金属酸化物触媒を製造する段階;を含む電気的フェントン反応システム用触媒の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記硝酸化処理は、NO及びOを含む反応ガスによって行われる。
【0023】
本発明の一実施例によれば、前記硫酸化処理は、SO及びOを含む反応ガスによって行われる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記リン酸化処理は、リン酸化前駆体を含む反応溶液によって行われる。
【0025】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、表面にNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタルまたは非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含む非電気的フェントン反応システム用触媒が提供される。
【0026】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、多孔性構造である。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、直径が0.1nm~500μmである。
【0028】
本発明の一実施例によれば、前記遷移金属酸化物触媒結晶粒子の金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである。
【0029】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、表面にNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物からなる触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含む非電気的フェントン反応システム用触媒が提供される。
【0030】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、前記触媒が担持される担持体;前記担持体がコーティングされる支持体;及び前記担持体と支持体との間に介在されてコーティング接着力を増加させるバインダー;を含む非電気的フェントン反応システム用触媒構造体が提供される。
【0031】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、多孔性構造である。
【0032】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子は、直径が0.1nm~500μmである。
【0033】
本発明の一実施例によれば、前記触媒結晶粒子の金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである。
【0034】
本発明の一実施例によれば、前記担持体は、炭素(C)、Al、MgO、ZrO、CeO、TiO及びSiOのうち何れか1つである。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記担持体100重量部に対して、前記触媒0.01~50重量部を含みうる。
【0036】
本発明の一実施例によれば、前記バインダーは、不溶性高分子または無機系バインダーである。
【0037】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、前記触媒構造体;過酸化水素供給部;及び電解質水溶液;を含む非電気的フェントン反応システムが提供される。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記電解質水溶液のpHは、5~10であり、前記過酸化水素供給部から10-5~10mol/Lの過酸化水素が供給されて非電気的フェントン反応が起こりうる。
【0039】
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応は、Hの不均一分解反応によってOH種が形成される段階;前記機能化されたSO 2-種が、前記OH種によってSO ・-種に切り替えられるか、前記機能化されたNO 種が、前記OH種によってNO 種に切り替えられるか、または前記機能化されたHPO /HPO 2-/PO 3-種が、前記OH種によってHPO /HPO ・-/PO 2・-種に切り替えられる段階;及び前記NO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-種によって難分解性有機物が分解される段階;を含みうる。
【0040】
前記課題を解決するための本発明の一観点によれば、dオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物を製造する段階;及び前記遷移金属酸化物に硝酸化、硫酸化またはリン酸化処理して、表面にNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含む遷移金属酸化物触媒を製造する段階;を含む非電気的フェントン反応システム用触媒の製造方法が提供される。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記硝酸化処理は、NO及びOを含む反応ガスによって行われる。
【0042】
本発明の一実施例によれば、前記硫酸化処理は、SO及びOを含む反応ガスによって行われる。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記リン酸化処理は、リン酸化前駆体を含む反応溶液によって行われる。
【発明の効果】
【0044】
前記のようになされた本発明の一実施例によれば、触媒表面のNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基がOHと反応して、1)OHに比べて、より長い寿命と類似した酸化力とを有し、2)より広いpH条件で駆動することができるNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-官能基(表面種)に変換されて難分解性有機物分解の反応速度を向上させうる。
【0045】
また、本発明の一実施例によれば、難分解性有機物質の分解途中で起こる結晶粒子の剥離現象を減少させ、難分解性有機物の分解時に、数回の触媒使用にも性能が保持され、触媒寿命を向上させうる。もちろん、このような効果によって、本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図2】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図3】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図4】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図5】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図6】本発明の実施例による触媒結晶粒子の走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の写真である。
図7】本発明の一実施例による触媒を含む電気的フェントン反応システムを示す概略図である。
図8】本発明の一実施例による触媒を含む電気的フェントン反応システムを示す概略図である。
図9】本発明の実施例による触媒のX線回折分析パターン(XRD pattern)を示すグラフである。
図10】本発明の実施例による触媒のX線回折分析パターン(XRD pattern)を示すグラフである。
図11】本発明の実施例による触媒のX線回折分析パターン(XRD pattern)を示すグラフである。
図12】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子のX線回折分析パターンを示すグラフである。
図13】本発明の実施例によるNO で機能化された遷移金属酸化物結晶粒子のX線回折分析パターンを示すグラフである。
図14】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子の二酸化炭素等温吸着線及び二酸化炭素と表面金属種(Mδ+)との間の結合エネルギー(-QST)を示すグラフである。
図15】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子のin situ DRIFT(diffuse reflectance infrared fourier transform)分光法(spectroscopy)を示すグラフである。
図16】本発明の実施例による触媒のN 1s、S 2p、P 2p領域でのXPS結果を示すグラフである。
図17】本発明の実施例によるSO 2-で機能化された遷移金属酸化物結晶粒子のX線回折分析パターンを示すグラフである。
図18】本発明の実施例による触媒のX線回折分析パターンを示すグラフである。
図19】本発明の実施例による触媒表面のin situ DRIFT分光法の結果を示すグラフである。
図20】本発明の実施例による触媒のO 1s領域でのXPS結果を示すグラフである。
図21】本発明の実施例による触媒のS 2p領域でのXPS結果を示すグラフである。
図22】本発明の実施例による触媒を使用した過酸化水素(H)分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図23】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子を使用した過酸化水素(H)及びフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図24】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図25】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンアニリン分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図26】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図27】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図28】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子を使用したフェノール分解反応において、ラジカル(OHまたはNO )の除去剤(scavenging agent)存在下の実験の結果を示すグラフである。
図29】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図30】本発明の実施例による触媒を使用した場合、経時的に分解されるフェノールの転換率を示すグラフである。
図31】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子触媒の反応時間によって分解されるフェノールの転換率を示すグラフである。
図32】本発明の実施例による触媒を使用した場合、経時的に分解されるフェノールの転換率を示すグラフである。
図33】本発明の実施例による触媒の電子常磁性共鳴(EPR:electron paramagnetic resonance)分光法の分析結果を示すグラフである。
図34】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解循環(recycle)反応の実験の結果を示すグラフである。
図35】本発明の実施例による触媒を使用したフェノール分解循環反応の実験の結果を示すグラフである。
図36】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解循環反応の実験の結果を示すグラフである。
図37】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンアニリン分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図38】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンアニリン分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図39】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図40】本発明の実施例による触媒を使用した電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図41】本発明の実施例によるNO で機能化された遷移金属酸化物結晶粒子を含む触媒のフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図42】本発明の一実施例による触媒を含む非電気的フェントン反応システムを示す概略図である。
図43】本発明の実施例による触媒を使用したフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図44】本発明の実施例による触媒を使用した非電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図45】本発明の実施例による触媒を使用した非電気的フェントンフェノール分解反応の実験の結果を示すグラフである。
図46】本発明の実施例による遷移金属酸化物結晶粒子を使用したフェノール分解反応の実験の活性化エネルギー(activation energy)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施例を例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を十分に実施可能なように詳しく説明される。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが、互いに排他的である必要はないということを理解しなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施例に関連して、本発明の精神及び範囲を外れずに、他の実施例として具現可能である。また、それぞれの開示された実施例内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を外れずに、変更可能であるということを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するものと、均等なあらゆる範囲と共に、添付の請求項によってのみ限定される。図面で類似した参照符号は、多様な側面にわたって同一または類似した機能を称し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜のために誇張して表現されることもある。
【0048】
以下、当業者が本発明を容易に実施させるために、本発明の望ましい実施例に関して添付図面を参照して詳しく説明する。
【0049】
〔電気的フェントン反応システム用触媒〕
本発明は、表面がNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-またはPO 3-で機能化されたdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含む電気的フェントン反応システム用触媒が提供される。ここで、dオービタル基盤の遷移金属酸化物は、酸化物の構成要素である遷移金属のdオービタルが電子で満たされていないことを意味する。例えば、ZrO/Nb/Taには、Zr4+/Nb5+/Ta5+が存在し、これらの電子状態は、[Kr]4d 5s/[Kr]4d 5s/[Xe]4f14 5d 6sである。Zr4+/Nb5+/Ta5+表面活性種の場合、H→2OHによって過酸化水素分解及びOH生成が進行するが、過酸化水素の分解過程中に酸化数(oxidation number)変化を伴わない。
【0050】
ここで、非dオービタル基盤の遷移金属酸化物は、酸化物の構成要素である遷移金属のdオービタルが電子で満たされていることを意味する。例えば、Fe/CoO/NiOには、Fe2+/Co2+/Ni2+が存在し、これらの電子状態は、[Ar]3d/[Ar]3d/[Ar]3dである。Fe2+/Co2+/Ni2+表面活性種の場合、HOH+OHによって過酸化水素分解及びOH生成が進行し、過酸化水素の分解過程中に酸化数が1増加するので、電気的フェントン工程で発生する電子(e)によって還元(reduction)された後、持続的な過酸化水素分解を起こす。
【0051】
前記NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-またはPO 3-で機能化された遷移金属酸化物触媒結晶粒子の金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである。前記遷移金属の酸化数によって酸化物の構成要素である遷移金属のdオービタルが電子で満たされるか、満たされていない。それにより、前記遷移金属は、dオービタル基盤の遷移金属酸化物または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物を形成しうる。
【0052】
電気的フェントン反応システム用触媒は、特定の遷移金属酸化物結晶粒子を形成するために、通常の適用可能な方法で製造することができる。例えば、触媒に含まれる遷移金属酸化物結晶粒子は、水熱合成法(hydrothermal synthesis)、溶媒熱合成法(solvothermal synthesis)、ボールミリング法(mechano-chemical method(ball-milling))、非テンプレートまたはテンプレート合成法(non-templated or templated method)、含浸法(impregnation method)、ディップコーティング法(dip coating)、焼成熱分解法(calcination or thermal decomposition method using M-including complex)のうち1つ以上の方法で製造可能である。
【0053】
電気的フェントン反応システムは、アノードでHO酸化反応(HO→OH+H+e)によって形成されるOH種をカソードにコーティングされた遷移金属酸化物結晶粒子に存在するNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-またはPO 3-官能基のアクチベーターとして使用して、NO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種を形成しうる。前記HO酸化反応を促進するために、多様な形態の導電性物質がアノードとして適用可能であるが、例えば、グラファイト(graphite)がアノードとして適用可能である。
【0054】
また、電気的フェントン反応システム用触媒は、カソードで酸素還元反応(2H+O+2e→H)によって形成される過酸化水素の分解に適用される活性種を触媒表面に含みうる。具体的に、dオービタル基盤の遷移金属酸化物活性点(Zr4+/Nb5+/Ta5+)または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物活性点(Fe2+/Co2+/Ni2+)を用いて均一触媒現象または不均一触媒現象に基づいて過酸化水素触媒分解反応(H→2OHまたはHOH+OH)を活性化させる。分解反応の結果、形成されたOH種を用いて、カソードにコーティングされた遷移金属結晶粒子に存在するNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基をNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種に変換することができる。したがって、前記過酸化水素触媒分解反応を促進するために、表面活性点を多く含むが、低価の、合成が容易な遷移金属酸化物触媒をカソードにコーティングされる触媒として使用することが望ましい。
【0055】
また、電気的フェントン反応システム触媒は、前述したOH種から触媒表面のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基へのラジカル移動(radical transfer)に基づいてNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種を形成させ、これらを用いて、難分解性有機物の分解を促進させることができる。したがって、遷移金属酸化物触媒表面にNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基を多く含有することができる遷移金属酸化物触媒をカソードにコーティングされる触媒として使用することが望ましい。
【0056】
前述したように、遷移金属触媒表面に活性種(Hアクチベーター)及びNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のシナジーが極大化される遷移金属酸化物触媒表面を具現するが、遷移金属の種類、遷移金属酸化物の構造/化学量論、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-機能化(硝酸化/硫酸化/リン酸化)条件及び官能基の量を調節して触媒性能を向上させうる。
【0057】
本発明の一実施例によれば、硝酸化処理は、NO及びOを含む反応ガスによって行われる。NO及びOの濃度は、10~10ppmの範囲を有し、流速(flow rate)は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有しうる。そして、硝酸化処理は、50~500℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0058】
本発明の一実施例によれば、硫酸化処理は、SO及びOを含む反応ガスによって行われる。SO及びOの濃度は、10~10ppmの範囲を有し、流速は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有しうる。そして、硫酸化処理は、200~800℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0059】
本発明の一実施例によれば、リン酸化処理は、リン酸化前駆体(例えば、phosphoric acid(HPO)またはdiammonium phosphate((NHHPO))を含む反応溶液によって行われる。リン酸化前駆体の濃度は、10-6~10mol L-1の範囲を有しうる。リン酸化前駆体が担持された遷移金属酸化物は、Oを含む反応ガスによってリン酸化で機能化された遷移金属酸化物触媒に変換される。反応ガスに含まれたOの濃度は、10~5X10ppmの範囲を有し、流速は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有し、100~800℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0060】
遷移金属酸化物触媒を硝酸化/硫酸化/リン酸化処理するための条件が、前述した範囲以下である場合、触媒のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-機能化の効果が不十分である。また、前述した範囲以上である場合、遷移金属酸化物触媒表面の過度な機能化によって過酸化水素触媒分解反応(OH生成反応)の活性を増進させるZr4+/Nb5+/Ta5+またはFe2+/Co2+/Ni2+などの表面活性種が消滅しうる。したがって、触媒の硝酸化/硫酸化/リン酸化処理は、前述した条件の範囲内で行われる。
【0061】
本発明の実施例による電気的フェントン反応システム用触媒は、表面積が広いほど表面活性種によるOHの形成速度及びOH種による触媒表面のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種への転換速度が速くなる(反応式1ないし反応式10)。前述した速度が速いほど、NO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種が反応システム内部に豊かになるので、究極的に有害物質の分解を促進させることができる。
反応式(1):NO OH+H→NO +H
反応式(2):NO OH→NO +OH
反応式(3):SO 2-OH+H→SO ・-+H
反応式(4):SO 2-OH→SO ・-+OH
反応式(5):HPO OH+H→HPO +H
反応式(6):HPO OH→HPO +OH
反応式(7):HPO 2-OH+H→HPO ・-+H
反応式(8):HPO 2-OH→HPO ・-+OH
反応式(9):PO 3-OH+H→PO 2・-+H
反応式(10):PO 3-OH→PO 2・-+OH
本発明の一実施例によれば、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された触媒結晶粒子は、多孔性構造であり、直径が、0.1nm~500μmである。
【0062】
図1は、本発明の一実施例によってZrO及びNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたZrO(dオービタル遷移金属酸化物)触媒のモルフォロジーを示す。図2は、本発明の一実施例による遷移金属酸化物結晶粒子MnO(Mnと名づけ)及びNO で機能化されたMnO(Mn(N)と名づけ)のモルフォロジーを示す。図3は、本発明の一実施例によってSO 2-で機能化されたMnFe3-Z(Z=3、2、1.5、1、0;Mnと名づけ)触媒のモルフォロジーを示す。
【0063】
図4は、本発明の一実施例によって互いに異なる量のHPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたZrO(dオービタル遷移金属酸化物)触媒のモルフォロジーを示す。図5は、100℃でNO で機能化されたFe、Co、Ni、Cu金属酸化物のモルフォロジーを示す。図6は、本発明の一実施例によって同量のHPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたマンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)酸化物(非dオービタル遷移金属酸化物)触媒のモルフォロジーを示す。
【0064】
図1ないし図6に示したように、触媒結晶粒子が、1)サイズが小さいか、2)多孔性または突起が形成された粗い表面を有する場合、表面積が増加して、過酸化水素触媒分解反応が速くなるために、OHの形成速度及びOH種による触媒表面NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種への転換速度が速くなる。
【0065】
また、触媒結晶粒子が、前述した2種の特徴を有する場合、カソードにさらに強い強度でコーティングされても良い。これは、電気的フェントン反応が行われる電解質水溶液の渦流及び外部の電力による触媒の剥離現象が減少して、電極の寿命が増加することを意味する。触媒が電極から剥離される場合、OH生成反応またはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-による難分解性有機物の分解反応が均一触媒現象基盤の剥離された触媒種によって進行しうる。この場合、難分解性有機物分解の効率が減少し、電気的フェントン触媒の使用回数を制限させる問題点を有する。
【0066】
すなわち、剥離現象が減少するほど、OH生成反応またはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・--による難分解性有機物の分解反応がカソードにコーティングされた触媒結晶粒子による不均一触媒現象によって起こるために、電気的フェントン反応触媒の性能を数回使用以後にも保持することができる。したがって、本発明の実施例による触媒結晶粒子は、電極からの剥離を抑制するために、多孔性の粗い表面特性を有しうる。
【0067】
〔非電気的フェントン反応システム用触媒〕
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応システム用触媒は、NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を含むdオービタル基盤または非dオービタル基盤の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を少なくとも1種以上含みうる。具体的に、本発明の遷移金属酸化物触媒結晶粒子の場合、金属種(M)の酸化価が1価から4価の間で変化するが、金属-酸素相平衡で安定化された形態で存在するあらゆる金属酸化物の結晶構造を含みうる。例えば、Mn(Mn3+)、Mn(Mn2+及びMn3+)、Co(Co2+及びCo3+)、Fe(Fe3+)、NiO(Ni2+)、CuO(Cu2+)、CuO(Cu)などを含みうる。
【0068】
より具体的に、遷移金属酸化物触媒結晶粒子に含まれる遷移金属は、4~6周期の遷移金属である。本発明の一実施例によれば、遷移金属は、周期律表上の3d-block金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、4d-block金属(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、5d-block金属(La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)、及び6d-block金属(Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cn)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組み合わせである。
【0069】
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応システム用触媒は、特定の遷移金属酸化物触媒結晶粒子を形成するために、通常の適用可能な方法で製造することができる。例えば、触媒に含まれる遷移金属酸化物結晶粒子は、水熱合成法、溶媒熱合成法、ボールミリング法、非テンプレートまたはテンプレート合成法、含浸法、ディップコーティング法、焼成熱分解法のうち1つ以上の方法で製造可能である。
【0070】
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応システムに供給される触媒は、触媒表面に存在するMδ+活性点及びNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を効率的に用いるために、支持体にコーティングされる。すなわち、過酸化水素触媒分解反応(catalytic H scission)及びOH⇔NO OH⇔SO ・-OH⇔HPO OH⇔HPO ・-、またはOH⇔PO 2・-のラジカル移動を促進するが、ラジカル及び過酸化水素に化学的耐性を有する物質が支持体として使われるが、炭素系材料である黒鉛(graphite)、カーボンフェルト(carbon felt)、ガラス状炭素繊維(glassy carbon fiber)または金属系材料であるステンレススチール、チタン電極などが支持体として適用可能である。
【0071】
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応システム用触媒は、供給される過酸化水素の分解に適用されるMδ+(δ≦2)活性種を触媒表面に含みうる。具体的に、Mδ+活性点を用いて均一触媒反応または不均一触媒反応に基づいて過酸化水素触媒分解反応(HOH+OH)を活性化させ、反応の結果、形成されたOH種を用いて、支持体にコーティング(coating)された遷移金属酸化物触媒結晶粒子に存在するNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基をNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種に変換することができる。したがって、前記過酸化水素触媒分解反応を促進するために、Mδ+活性点を多く含むが、低価の、合成が容易な遷移金属酸化物を支持体にコーティングされる触媒として使用することが望ましい。
【0072】
また、非電気的フェントン反応システム用触媒は、前述したOH種から触媒表面のNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基へのラジカル移動に基づいてNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種を形成(OH⇔NO OH⇔SO ・-OH⇔HPO OH⇔HPO ・-、またはOH⇔PO 2・-)させ、これらを用いて、難分解性有機物の分解を促進させることができる。したがって、遷移金属酸化物触媒表面にNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-官能基を多く含有していることが望ましい。
【0073】
前述したように、遷移金属酸化物触媒表面にMδ+及びNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基を極大化して具現するが、これは、遷移金属触媒表面のNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-機能化(硝酸化、硫酸化、リン酸化)条件を調節して容易に実現可能である。
【0074】
本発明の一実施例によれば、硝酸化処理は、NO及びOを含む反応ガスによって行われる。NO及びOの濃度は、10~10ppmの範囲を有し、流速は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有しうる。そして、硝酸化処理は、50~500℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0075】
本発明の一実施例によれば、硫酸化処理は、SO及びOを含む反応ガスによって行われる。SO及びOの濃度は、10~10ppmの範囲を有し、流速は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有しうる。そして、硫酸化処理は、200~800℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0076】
本発明の一実施例によれば、リン酸化処理は、リン酸化前駆体(例えば、phosphoric acid(HPO)またはdiammonium phosphate((NHHPO))を含む反応溶液によって行われる。リン酸化前駆体の濃度は、10-6~10mol L-1の範囲を有しうる。リン酸化前駆体が担持された遷移金属酸化物は、Oを含む反応ガスによってリン酸化で機能化された遷移金属酸化物触媒に変換される。反応ガスに含まれたOの濃度は、10~5X10ppmの範囲を有し、流速は、10-5~10mL min-1、圧力は、10-5~10barの範囲を有し、100~800℃の温度範囲で0.1~24時間行われる。
【0077】
遷移金属酸化物触媒を硝酸化/硫酸化/リン酸化処理するための条件が、前述した範囲以下である場合、触媒のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-機能化の効果が不十分である。また、前述した範囲以上である場合、遷移金属酸化物触媒表面の過度な機能化によって過酸化水素触媒分解反応(OH生成反応)の活性を増進させるZr4+/Nb5+/Ta5+またはFe2+/Co2+/Ni2+などの表面活性種が消滅しうる。したがって、触媒の硝酸化/硫酸化/リン酸化処理は、前述した条件の範囲内で行われる。
本発明による非電気的フェントン反応システム用触媒は、表面積が広いほどMδ+種によるOHの形成速度及びOH種による触媒表面のNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基のNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種への転換速度が速くなる。代表的に、反応式(c)及び反応式(d)は、NO 官能基の転換反応を示したものであり、前述した反応速度が速いほどNO 表面種が反応システム内部に豊かになるので、究極的に有害物質の分解を促進させることができる。
反応式(c):NO OH+H→NO +H
反応式(d):NO OH→NO +OH
本発明の一実施例によれば、NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-で機能化された遷移金属酸化物触媒結晶粒子は、多孔性構造であり、直径が、0.1nm~500μmである。
【0078】
遷移金属酸化物の触媒結晶粒子が、1)サイズが小さいか、2)多孔性または突起が形成された粗い表面を有する場合、表面積が増加して、過酸化水素触媒分解反応が速くなるために、OHの形成速度及び・OH種による触媒表面NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、またはPO 3-官能基のNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、またはPO 2・-表面種への転換速度が速くなる。
【0079】
また、遷移金属酸化物の触媒結晶粒子が、前述した2種の特徴を有する場合、支持体にさらに強い強度でコーティングされても良い。これは、難分解性有機物分解反応が行われる水溶液の渦流による触媒の剥離現象が減少して、触媒がコーティングされた支持体の寿命が増加することを意味する。触媒が支持体から剥離される場合、OH生成反応またはNO による難分解性有機物の分解反応が均一触媒反応(homogeneous catalysis)基盤の剥離された触媒種によって進行しうる。この場合、難分解性有機物分解の効率が減少し、支持体にコーティングされた触媒の使用回数を制限させる問題点を有する。
【0080】
すなわち、剥離現象が減少するほど、OH生成反応またはNO による難分解性有機物の分解反応が支持体にコーティングされた遷移金属酸化物結晶粒子による不均一触媒反応(heterogeneous catalysis)によって起こるために、触媒の繰り返し使用にも性能を保持することができる。したがって、本発明の実施例による遷移金属酸化物触媒結晶粒子は、支持体からの剥離を抑制するために、多孔性の粗い表面特性を有しうる。
【0081】
〔電気的フェントン反応システム用電極〕
以下、電気的フェントン反応システム用触媒を含む電極について説明する。
本発明の一実施例によれば、電気的フェントン反応システム用電極は、電気的フェントン反応システム用触媒を含む電気的フェントン反応システム用電極であって、前記電気的フェントン反応システム用触媒が担持される担持体、前記触媒が担持された担持体が形成される基板、及び前記担持体と基板との間に介在されてコーティング接着力を増加させるバインダーを含みうる。
【0082】
電気的フェントン反応システム用触媒は、前述したように、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された遷移金属酸化物を含む。触媒は、基板に直接コーティングされても良いが、より安定して効率的な電極の構成のために、担持体に担持される。この際、担持体は、基板の少なくとも一面に形成され、望ましくは、基板の両面にコーティングされる。基板は、電気化学反応で通常使われる種類の導電性物質である。例えば、グラファイトまたは銅、アルミニウムのような金属が使われる。
【0083】
また、本発明の一実施例によれば、前記担持体は、炭素(C)、Al、MgO、ZrO、CeO、TiO及びSiOのうち何れか1つであり、担持体100重量部に対して、前記電気的フェントン反応システム用触媒は、0.01~50重量部を含みうる。
触媒が担持された担持体は、含浸法を用いて基板にコーティングされる。この際、OH生成反応またはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-による難分解性有機物の分解反応の効率性の増進及びOHの触媒表面NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基への円滑な移動のために、コーティングされる触媒の含量を調節することができる。
【0084】
触媒と基板とのコーティング時に、バインダー(binder)を使用して触媒と基板との間の接着力を向上させうる。この際、バインダーは、不溶性高分子または無機系バインダーであり、望ましくは、フッ化ポリビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)である。バインダーは、触媒が担持された担持体と基板とのコーティング接着力を向上させうるが、不溶性特性を有する場合、電気的フェントン反応を繰り返して行っても、バインダーが水溶液に溶けず、触媒の剥離現象を防止することができる。すなわち、触媒の剥離を抑制して、電気的フェントン反応システム用電極の寿命特性を向上させうる。無機系バインダーの成分は、SiO、LiO、KO、ZrO、Al、NaSiOのうち少なくとも1つ以上を含みうる。
【0085】
〔電気的フェントン反応システム〕
図7及び図8は、本発明の一実施例による触媒160を含む電気的フェントン反応システム100、100’を示す概略図である。
【0086】
図7を参照すれば、電気的フェントン反応システム100は、電解槽110、電解質水溶液120、第1電極(anode)130及び触媒160がコーティングされる第2電極(cathode)140を含みうる。第1電極130及び第2電極140は、電源によって連結される。本発明の実施例から提案された触媒結晶粒子160がコーティングされていないアノード130を使用して、HO酸化反応による豊かなOH種を生成させる。また、本発明から提案された触媒結晶粒子160がコーティングされたカソード140を使用して、カソード表面で発生するHの遷移金属酸化物触媒表面に含まれたMδ+種(例えば、Fe2+/Co2+/Ni2+)またはZr4+/Nb5+/Ta5+種などによる即刻な過酸化水素触媒分解反応を具現する。これにより、特定の反応条件で不均一触媒現象に基づいた過酸化水素触媒分解反応によるOH種の生成速度がさらに増大する。
【0087】
図8を参照すれば、電気的フェントン反応システム100’は、電解槽110、電解質水溶液120、第1電極(anode)130及び触媒160がコーティングされる第2電極(cathode)140を含みうる。第1電極130及び第2電極140は、電源によって連結される。本発明の実施例から提案された(M(M3-Z結晶粒子を含む触媒160がコーティングされていないアノード130を使用して、HO酸化反応による豊かなOH種を生成させる。また、本発明から提案された(M(M3-Z結晶粒子を含む触媒160がコーティングされたカソード140を使用して、カソード表面で発生するHの遷移金属酸化物触媒表面に含まれたMδ+種による即刻な過酸化水素触媒分解反応を具現する。これにより、特定の反応条件で不均一触媒反応(heterogeneous catalysis)に基づいた過酸化水素触媒分解反応によるOH種の生成速度がさらに増大する。
【0088】
重要にも、前述したHO酸化反応及び過酸化水素触媒分解反応によって形成されたOH種の生成速度が大きなほど、1)OH種のカソード140にコーティングされた触媒160表面に存在するNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基への移動速度が増加し、2)OH及びNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-の間のラジカル移動反応によってNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-種を触媒表面に形成させる速度も増加し、3)究極的に不均一触媒現象に基づいたNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-種による有機物質の高効率の分解が可能である。
【0089】
第1電極130及び第2電極140は、導電性物質からなりうる。例えば、グラファイトである。第2電極140の少なくとも一面には、触媒160がコーティングされ、触媒160は、前述した本発明の実施例による、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された遷移金属酸化物結晶粒子を含む触媒である。
【0090】
電解質水溶液120は、電気的フェントン反応に使われる水溶液であって、10-4~10mol/Lの濃度を有するNaSO、NaNO、NHF、KF、KCl、KBr、KI、NaF、NaCl、NaBr、NaIのうち何れか1つまたはその組み合わせが選択的に使われる。
【0091】
以下、電気的フェントン反応システム100、100’で起こる触媒反応を通じて有機物質が分解される過程について説明する。電気的フェントン反応システム100、100’で起こる反応を下記の反応式(11)ないし反応式(31)でまとめた。
反応式(11):2HO→O+4H+4e
反応式(12):O+2H+2e→H
反応式(13):M(δ+1)++e→Mδ+
反応式(14):Mδ++H→M(δ+1)++OHOH
反応式(15):HO→OH+H+e
反応式(16):HOH+OH
反応式(17):NO OH+H→NO +H
反応式(18):NO OH→NO +OH
反応式(19):SO 2-OH+H→SO ・-+H
反応式(20):SO 2-OH→SO ・-+OH
反応式(21):HPO OH+H→HPO +H
反応式(22):HPO OH→HPO +OH
反応式(23):HPO 2-OH+H→HPO ・-+H
反応式(24):HPO 2-OH→HPO ・-+OH
反応式(25):PO 3-OH+H→PO 2・-+H
反応式(26):PO 3-OH→PO 2・-+OH
反応式(27):NO +e→NO
反応式(28):SO ・-+e→SO 2-
反応式(29):HPO +e→HPO
反応式(30):HPO ・-+e→HPO 2-
反応式(31):PO 2・-+e→PO 3-
【0092】
まず、第1電極130で外部電源による酸化反応で水が酸素(O)と水素イオン(H)とに分解される(反応式11)。そして、この際、形成された酸素(O)と水素イオン(H)は、第2電極140で還元反応して過酸化水素(H)を形成する(反応式12)。
【0093】
本発明の実施例の場合、生成された過酸化水素水は、非dオービタル基盤の遷移金属酸化物結晶粒子に含まれた酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)と反応して、酸化数(δ+1)価の金属種(M(δ+1)+)及びOHを形成(反応式14)し、酸化数(δ+1)価の金属種(M(δ+1)+)は、電子(e)によって還元されて酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)を回復する(反応式13)。これは、従来の酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)と過酸化水素(H)との反応時に形成される酸化数(δ+1)価の金属種(M(δ+1)+)の酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)への回復問題を解決し、水の電気分解による酸素(O)の供給で持続的な過酸化水素水(H)の供給が可能である。また、第1電極130でHOの酸化(oxidation)によるOHの持続的な供給も可能である(反応式15)。
【0094】
また、本発明の実施例の場合、生成された過酸化水素水は、dオービタル基盤の遷移金属酸化物結晶粒子に含まれた金属種(例えば、Zr4+/Nb5+/Ta5+)と反応して、OHを形成する(反応式16)。dオービタル基盤の遷移金属酸化物結晶粒子に含まれた金属種(例えば、Zr4+/Nb5+/Ta5+)は、非dオービタル基盤の遷移金属酸化物結晶粒子に含まれた金属種(例えば、Fe2+/Co2+/Ni2+)とは異なって、酸化数が変わらないので、持続的な過酸化水素水(H)の分解が可能である。
【0095】
すなわち、第1電極130で起こるHO酸化反応及び第2電極140で起こる過酸化水素触媒分解反応が、OHの生成率を増加させるが、生成されたOHが第2電極表面にコーティングされた触媒160表面のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基と相互作用して、NO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種を形成させる(反応式17~反応式26)。コーティングされた触媒160表面のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基が豊かであるほどNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種の生成率が増大し、したがって、NO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-による有機物質の分解反応の性能を向上させうる。有機物の分解に使われないNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-の場合、電子(e)によって還元されてNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基に回復(反応式27~反応式31)され、今後、持続的にNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-表面種の形成に使われる。
【0096】
前記の反応を通じて生成されるNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-は、難分解性または毒性の有機物質を分解することができる。有機物質は、フェノールを基盤とした毒性物質、発癌物質及び突然変異性物質である。具体的には、単一環状(monocyclic)または多重環状(polycyclic)芳香族(aromatics)物質の炭素のうち少なくとも1つが、酸素(O)、窒素(N)または硫黄(S)で置換された構造を主鎖(backbone)として有するが、アルカン(alkane)、アルケン(alkene)、アルカイン(alkyne)、アミン(amine)、アミド(amide)、ニトロ(nitro)、アルコール(alcohol)、エーテル(ether)、ハライド(halide)、チオール(thiol)、アルデヒド(aldehyde)、ケトン(ketone)、エステル(ester)、カルボン酸(carboxylic acid)などの多様な作用基またはそれらの誘導体を含む物質である。
【0097】
一方、本発明の一実施例によれば、触媒の反応が起こる電解質水溶液のpHは、3~10であり、電気的フェントン反応は、2W以下の電力で行われる。
【0098】
電気的フェントン反応の電解質水溶液120内部の第2電極140にコーティングされた触媒表面でNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-生成が起こり、NO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-による有機物質の分解反応が進行する。この際、電解質水溶液120のpHが酸性(pH<3)または塩基性(pH>10)であるか、外部の電力が2W超過である場合、第2電極140にコーティングされた触媒160で遷移金属酸化物結晶粒子またはNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基の剥離が起こりうる。剥離による単一系(homogeneous)の金属イオン及びNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基が電解質水溶液のpHを変化させ、OH及びNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-生成反応の主要活性因子になりうる。前記剥離現象は、長期間フェントン反応進行時に、電気的フェントン反応システムの有機物質分解の効率及び耐久性を下げる。したがって、高効率の持続的な有機物質分解のために、電気的フェントン反応システムは、電解質水溶液120のpHが3~10で2W以下の電力が入力され、さらに望ましくは、電解質水溶液120のpHが7で0.04W以下の電力が入力されても良い。
【0099】
〔非電気的フェントン反応システム用触媒構造体及び非電気的フェントン反応システム〕
以下、非電気的フェントン反応システム用触媒を含む触媒構造体及びそれを用いた非電気的フェントン反応システムについて説明する。
【0100】
本発明の一実施例によれば、非電気的フェントン反応システム用触媒構造体は、非電気的フェントン反応システム用触媒、前記触媒が担持される担持体、前記触媒が担持された担持体がコーティングされる支持体、及び前記担持体と支持体とのコーティング接着力を増加させるバインダーを含みうる。
【0101】
非電気的フェントン反応システム用触媒は、前述したように、NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、PO 3-で機能化された遷移金属酸化物触媒結晶粒子を含む。触媒は、支持体に直接コーティングされても良いが、より安定的であり、効率的な支持体構成のために担持体に担持される。この際、担持体は、支持体の少なくとも一面に形成され、望ましくは、支持体の両面にコーティングされる。前記支持体は、難分解性有機物分解反応で通常使われるか、ラジカル及び過酸化水素に化学的耐性を有する炭素系材料である黒鉛、カーボンフェルト、ガラス状炭素繊維または金属系材料であるステンレススチール、チタン電極などの物質である。望ましくは、黒鉛が使われる。
【0102】
また、本発明の一実施例によれば、担持体は、炭素(C)、Al、MgO、ZrO、CeO、TiO及びSiOのうち何れか1つであり、担持体100重量部に対して、前記非電気的フェントン反応システム用触媒は、0.01~50重量部を含みうる。
前記触媒が担持された担持体は、含浸法を用いて支持体にコーティングされる。この際、OH生成反応またはNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、PO 2・-による難分解性有機物の分解反応の効率性の増進及びOHの触媒表面NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、PO 3-官能基への円滑な移動のために、コーティングされる触媒の含量を調節することができる。
【0103】
触媒と支持体とのコーティング時に、バインダーを使用して触媒と支持体との間の接着力を向上させうる。この際、バインダーは、不溶性高分子または無機系バインダーであり、望ましくは、フッ化ポリビニリデン(PVDF)である。バインダーは、触媒が担持された担持体と支持体とのコーティング接着力を向上させうるが、不溶性特性を有する場合、難分解性有機物分解反応を繰り返して行っても、バインダーが水溶液に溶けず、触媒の剥離現象を防止することができる。すなわち、触媒の剥離を抑制して、非電気的フェントン反応システム用支持体の寿命特性を向上させうる。無機系バインダーの成分は、SiO、LiO、K2O、ZrO、Al、NaSiOのうち少なくとも1つ以上を含みうる。
【0104】
図41は、本発明の一実施例による触媒を含む非電気的フェントン反応システムを示す概略図である。
【0105】
図41を参照すれば、非電気的フェントン反応システム1は、電解槽11、電解質水溶液12、過酸化水素供給部13及び触媒構造体14を含みうる。触媒構造体14は、遷移金属酸化物触媒結晶粒子141が担持体142に担持された形態で支持体143にコーティングされた構造を示す。本発明から提案された遷移金属酸化物触媒結晶粒子を含む触媒表面に含まれたMδ+種が不均一触媒反応に基づいたHの割れ反応を起こしてOH種を生成させる。重要にも、Hの割れることによって形成されたOH種の生成速度が大きなほど、2)OH種の支持体にコーティングされた触媒表面に存在するNO 官能基への移動速度が増加し、3)OH及びNO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、PO 3-の間のラジカル移動反応によって、NO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、PO 2・-種を触媒表面に形成させる速度も増加し、4)究極的に不均一触媒反応に基づいたNO 、SO ・-、HPO 、HPO ・-、PO 2・-種による有機物質の高効率の分解が可能である。
【0106】
支持体は、炭素系材料である黒鉛、カーボンフェルト、ガラス状炭素繊維または金属系材料であるステンレススチール、チタン電極などの物質である。例えば、黒鉛が使われる。支持体の少なくとも一面には、触媒がコーティングされ、触媒は、前述した本発明の実施例による、NO 、SO 2-、HPO 、HPO 2-、PO 3-で機能化された酸化マンガン結晶粒子を含む触媒である。
【0107】
電解質水溶液は、非電気的フェントン反応に使われる水溶液であって、有機物の分解効率を高めるために、10-4~10mol/Lの濃度を有するNaSO、NaNO、NHF、KF、KCl、KBr、KI、NaF、NaCl、NaBr及びNaIのうち何れか1つまたはその組み合わせを選択的に含みうる。
【0108】
以下、代表的にNO 官能基を例をあげて、非電気的フェントン反応システムで起こる触媒反応を通じて有機物質が分解される過程について説明する。非電気的フェントン反応で起こる反応を下記の反応式(e)ないし反応式(i)でまとめた。
反応式(e):Mδ++H->M(δ+1)++OHOH
反応式(f):M(δ+1)++e->Mδ+
反応式(g):NO OH+H→NO +H
反応式(h):NO OH→NO +OH
反応式(i):NO・+e→NO
【0109】
まず、過酸化水素(H)供給部から供給された過酸化水素水は、遷移金属酸化物結晶粒子に含まれた酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)と反応して、酸化数(δ+1)価の金属種(M(δ+1)+)及びOHを形成し、酸化数(δ+1)価の金属種(M(δ+1)+)は、水溶液上に存在する電子(e)によって還元されて酸化数2価の以下の金属種(Mδ+)を回復する。次いで、生成されたOHが支持体にコーティングされた触媒表面のNO 官能基と相互作用して、NO 表面種を形成させる。コーティングされた触媒表面のNO 官能基が豊かであるほどNO 表面種の生成率が増大し、したがって、NO による有機物質の分解反応の性能を向上させうる。有機物の分解に使われないNO の場合、水溶液上に存在する電子(e)によって還元されてNO 官能基に回復し、今後、持続的にNO 表面種の形成に使われる。
【0110】
前記の反応を通じて生成されるNO は、難分解性または毒性の有機物質を分解することができる。有機物質は、フェノールを基盤とした毒性物質、発癌物質及び突然変異性物質である。具体的には、単一環状または多重環状芳香族物質の炭素のうち少なくとも1つが酸素(O)、窒素(N)または硫黄(S)で置換された構造を主鎖として有するが、アルカン、アルケン、アルカイン、アミン、アミド、ニトロ、アルコール、エーテル、ハライド、チオール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸などの多様な作用基またはそれらの誘導体を含む物質である。
【0111】
一方、本発明の一実施例によれば、前記過酸化水素供給部から供給されるHの量は、10-5~10mol/Lであり、水溶液のpHは、5~10である。
【0112】
本発明の実施例において、非電気的フェントン反応の電解質水溶液内部の支持体にコーティングされた触媒表面でNO 生成が起こり、NO による有機物質の分解反応が進行する。この際、水溶液のpHが酸性(pH<5)または塩基性(pH>10)であるか、供給されるHの量が10-5mol/L以下、または10mol/L以上である場合、支持体にコーティングされた触媒で遷移金属酸化物触媒結晶粒子またはNO 官能基の剥離が起こりうる。剥離による単一系の酸化が2価の以下の金属イオン(Mδ+)及びNO 官能基が電解質水溶液のpHを変化させ、OH及びNO 生成反応の主要活性因子になりうる。前記剥離現象は、長期間難分解性有機物分解反応進行時に、非電気的フェントン反応システムの有機物質分解の効率及び耐久性を低くする。したがって、高効率の持続的な有機物質分解のために、非電気的フェントン反応システムは、水溶液のpHが5~10で10-5~10mol/LのHが供給され、さらに望ましくは、水溶液のpHが7で10~500mmol/LのHが供給されても良い。
【0113】
以下、本発明の理解を助けるための実施例を説明する。但し、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の実施例が、下記の実施例のみで限定されるものではない。
【実施例
【0114】
〔実施例1ないし実施例3:ZrO、ZrO(N)、ZrO(S)触媒の製造〕
多孔性の結晶形ZrO触媒を水熱合成法で製造した。具体的に、20mmolのZrOCl・8HOと40mmolのoxalic acid(C・8HO)とを100mLの蒸留水に溶かした後、50℃で60分間撹拌した後、乾燥させ、400℃で2時間か焼(calcination)処理する。製造された実施例1の触媒をZrOと名付ける。前記実施例1のZrO触媒を反応器内に装着し、Nで希釈(dilution)された一酸化窒素(NO)と酸素(O)とを500mL min-1の流速で同時に投入して、常圧下、100℃で60分間露出させた後、N雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での一酸化窒素の含量は、5000ppmであり、酸素は、3vol%であった。前記の条件によってNO 機能化がなされた実施例2に該当する触媒を製造した。以下、実施例2に該当する触媒をZrO(N)と名付ける。前記実施例1のZrO触媒を反応器内に装着し、Nで希釈された二酸化硫黄(SO)と酸素(O)とを500mL min-1の流速で同時に投入して、常圧下、400℃で60分間露出させた後、N雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、500ppmであり、酸素は、3vol%であった。前記の条件によってSO 2-機能化がなされた実施例3に該当する触媒を製造した。以下、実施例3に該当する触媒をZrO(S)と名付ける。
【0115】
〔実施例4ないし実施例7:ZrO(P)-0.5、ZrO(P)-1.0、ZrO(P)-1.5、ZrO(P)-2.0触媒の製造〕
前記実施例1のZrO触媒1gを表1に提示されたリン酸化基前駆体(85wt% HPO)が溶解された100mLの水溶液に入れ、25℃で24時間撹拌/乾燥させた後、350℃で3時間か焼処理する。互いに異なる量のリン酸化基前駆体が含まれたZrO触媒は、か焼処理後、触媒表面に固定化されたHPO 、HPO 2-、PO 3-イオンの分布度が変わる。前記方法で製造された実施例4ないし実施例7の触媒をZrO(P)-Y(Yは、触媒に含まれたPの含量(wt%))と名付ける。
【0116】
【表1】

〔実施例8ないし実施例19:非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒の製造〕
多孔性の結晶形遷移金属酸化物触媒をテンプレート合成法で製造した。酸化マンガンを水熱合成法で製造した。具体的に、20mmolのMnSO・HO及び20mmolのKMnOが含まれた200mLの水溶液を30分間25℃で撹拌させた後、オートクレーブ反応器で160℃で6時間水熱反応条件に露出させて固形物を収得する。収得された固形物を蒸留水及びエタノールを用いて濾過/洗浄し、70℃で乾燥した後、100℃で1時間乾燥した。以下、実施例8によって製造されたMnO酸化マンガン触媒をMnと称する。
【0117】
前記実施例8によって製造されたMn触媒をNで希釈された5000ppmのNO/3vol.%のO雰囲気及び500mL min-1の流速下で150℃で1時間露出させ、以後、N雰囲気下で常温に冷却させる。前記の実施例9の条件によって製造されたNO で機能化された酸化マンガン触媒をMn(N)と称する。
【0118】
前記実施例8によって製造されたMn触媒をNで希釈された5000ppmのNO/3vol.%のO雰囲気及び500mL min-1の流速下で100℃で1時間露出させ、以後、N雰囲気下で常温に冷却させる。前記の条件によって製造された実施例10の触媒をMn(N’)と称する。
【0119】
また、20mmolのシュウ酸(C・2HO)及び20mmolの金属前駆体(FeSO・7HO for Fe;CoSO・7HO for Co;NiSO・7HO for Ni;CuSO・5HO for Cu)が含まれた100mLの水溶液を30分間50℃で撹拌させる。それを蒸留水及びエタノールを用いて濾過/洗浄し、70℃で乾燥した後、300℃で1時間焼成(calcination)して遷移金属酸化物を製造した(以上、製造された物質をFe、Co、Ni及びCuと称する)。
製造されたFe、Co、NiまたはCu触媒をNで希釈された5000ppmのNO/3vol.%のO雰囲気及び500mL min-1の流速下で100℃で1時間露出させ、以後、N雰囲気下で常温に冷却させる。前記の条件によって製造された実施例11ないし実施例14の触媒をそれぞれFe(N’)、Co(N’)、Ni(N’)及びCu(N’)と称する。
【0120】
前記製造されたMn、Fe、Co、NiまたはCu 1gをリン酸化基前駆体(98.5wt%(NHHPO)0.087gが溶解された100mLの水溶液に入れ、25℃で24時間撹拌し、乾燥させた後、350℃で3時間か焼処理する。同量のリン酸化基前駆体が含まれた遷移金属酸化物触媒(すなわち、Mn、Fe、Co、Ni)は、か焼処理後、触媒表面に固定化されたHPO 、HPO 2-、PO 3-イオンの分布度が変わる。以上、製造された実施例15ないし実施例19の触媒をそれぞれMn(P)-1.5、Fe(P)-1.5、Co(P)-1.5、Ni(P)-1.5及びCu(P)-1.5は、触媒に含まれたPの含量(wt%))と名付ける。前記実施例1ないし実施例7、実施例15ないし実施例19を通じて製造された触媒をX線回折器(X-ray diffractometer(XRD))を使用して分析し、その結果、導出されたX線回折パターン(XRD pattern)を図9ないし図11に示した。図5を参照すれば、実施例1ないし実施例3の触媒は、正方晶系(tetragonal)ZrOの結晶相を有するということが分かる。図9及び図10を参照すれば、実施例4ないし実施例7の触媒は、正方晶系ZrO及び単斜晶系(monoclinic)ZrOの結晶相を有するということが分かる。NO /SO 2-で機能化された実施例2ないし実施例3の触媒の結晶相は、前記実施例1の結晶相と同一であるということが分かる。これは、実施例1の触媒のNO /SO 2-による表面の機能化がジルコニウム(Zr)基盤の新たなバルク相(bulk phase)を提示しないので、触媒のバルク相に影響を与えないということを意味する。一方、実施例4ないし実施例7の触媒は、前記実施例1の正方晶系ZrO結晶相の以外、単斜晶系ZrO結晶相をさらに有するということが分かる。これは、水溶液上のHPOを使用した実施例1の触媒表面のHPO /HPO 2-/PO 3-機能化が、実施例1の触媒のバルク相に影響を与え、水溶液条件で準安定性(meta-stability)を有する正方晶系ZrO結晶相の一部が単斜晶系ZrOに変わるということを意味する。図11を参照すれば、実施例15ないし実施例19の触媒は、立方晶系(cubic)Mn相(phase)、三方晶系(rhombohedral)/正方晶系Fe相、立方晶系Co相、立方晶系NiO相及び単斜晶系CuO相/立方晶系CuO相を有するということが分かる。これは、HPO /HPO 2-/PO 3-による遷移金属酸化物表面の機能化が、HPO /HPO 2-/PO 3-を含む新たなバルク相を提示しないので、触媒のバルク相に影響を与えないということを意味する。
【0121】
NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されていない実施例1及び機能化された実施例2ないし実施例4の触媒の物性を観察するために、多様な技法で分析し、それを表2に示した。実施例1ないし実施例4の触媒は、多孔性のモルフォロジーを示すが、これは、触媒のBET表面積値(SBET)及びBJH気孔体積値(VBJH)によって証明される。
【0122】
【表2】

via BET. via BJH. via XRF. via XPS. via CO isotherm. P contents of 0.5wt%)
また、実施例2ないし実施例4の触媒は、XRF及びXPSを利用した定量分析の結果、類似している量のN、S及びPをバルク(bulk)及び表面(surface)に含有しているということが分かる(N/Zr、S/Zr及びP/Zr mol比)。実施例2ないし実施例4の触媒表面の金属活性種(Hアクチベーター)の分析のために、-20℃、0℃及び20℃で触媒のCO吸着等温線を獲得し、これらをToth fitting後、クラウジウス・クラペイロン方程式(Clausius-Clapeyron equation)を用いて、同じモル数のCOが吸着された時、金属表面活性種とCOとの間の結合エネルギー(binding energy;-QSTと名づけ)を導出し、それを表2に示した。実施例1の非機能化されたZrOに比べて、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例2ないし実施例4の触媒の場合、COとの結合力が小さくなるということが分かった。これは、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のZrO触媒表面への導入が金属活性種とOHとの間の結合力を弱化させて、H触媒分解反応の速度決定段階(rate-determining step)であるOH脱着を容易にするということを意味する。重要にも、HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例4の触媒の場合、内在された金属表面活性種とCOとの結合力が最も小さいということが分かった。これは、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のZrO触媒表面への導入が金属活性種とOHとの間の結合力を顕著に弱化させて、H触媒分解反応の速度決定段階であるOH脱着を最も容易にするということを意味する。また、これは、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基のZrO触媒表面への導入が過酸化水素触媒分解反応の効率を向上させて、他の触媒に比べて、OHの生産性を向上させうるということを意味する。
【0123】
多様な含量のHPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例5ないし実施例7の触媒の物性を観察するために、多様な技法で分析し、それを表3に示した。実施例5ないし実施例7の触媒は、多孔性のモルフォロジーを示すが、これは、触媒のBET表面積値(SBET)及びBJH気孔体積値(VBJH)によって証明される。また、実施例2ないし実施例4の触媒は、XRFを利用した定量分析の結果、多様な量のPをバルクに含有しているということが分かる(P/Zr mol比)。
【0124】
【表3】

via BET. via BJH. via XRF. P contents of 1.0wt%. P contents of 1.5wt%. P contents of 2.0wt%)
前記実施例8、実施例9及び実施例11ないし実施例14を通じて製造された触媒をX線回折器(XRD)を使用して分析し、その結果、導出されたX線回折パターンを図12及び図13に示した。
【0125】
図12を参照すれば、実施例8及び実施例9のMn、Mn(N)触媒の場合、正方晶系相(tetragonal α-MnO phase)を有しており、図13を参照すれば、実施例11ないし実施例14のFe(N’)、Co(N’)、Ni(N’)及びCu(N’)触媒の場合、三方晶系/正方晶系Fe相、立方晶系相(cubic Co phase)、立方晶系相(cubic NiO phase)及び単斜晶系相(monoclinic CuO)/立方晶系相(cubic CuO phase)を有するということが分かる。これは、NO による遷移金属酸化物表面の機能化が、NOを含む新たなバルク相を提示しないので、触媒のバルク相に影響を与えないということを意味する。また、あらゆる触媒は、多孔性のモルフォロジーを示すが、これは、触媒のBET表面積値(10-160m gCAT-1)によって証明される。
NO による表面の機能化による酸化マンガン触媒の物性変化を観察するために、実施例18及び実施例9の触媒を多様な技法で分析した。ルイス酸の特性を帯びるCOが接近可能なMnδ+表面種の定量分析(NCO)のために、実施例8及び実施例9の触媒をCO-pulsed chemisorptionを用いて分析し、その結果、類似している量のNCO値を有するということが分かった(~0.5μmolCOCAT -1)。前述したように、触媒表面に含まれたMnδ+種のルイス酸の強度が類似している場合、Mnδ+とHとの間の吸着及び相互作用が類似している。すなわち、前記類似しているNCO値は、実施例8及び実施例9のMn及びMn(N)の触媒表面に含まれたMnδ+種のルイス酸の強度が類似している場合、類似した過酸化水素触媒分解反応効率(OHの生産性)を示すことができるということを提案する。実施例8及び実施例9の触媒の追加的なMnδ+表面種の分析のために、-20℃、0℃及び20℃でMn及びMn(N)のCO吸着等温線を獲得し、これらをToth fitting後、クラウジウス・クラペイロン方程式を用いて、同じモル数のCOが吸着された時、Mnδ+表面種とCOとの間の結合エネルギー(-QSTと名づけ)を導出し、それを図14に示した。実施例9のMn(N)触媒が、実施例1のMn触媒に比べて、大きな-QST値を示すということが分かった。これは、実施例9のMn(N)に含まれたMnδ+表面種が、実施例8のMn触媒に含まれたMnδ+表面種に比べて、より大きなルイス酸の強度を提供することを意味し、HのMnδ+への吸着及び相互作用により望ましいことを意味し、より増大した過酸化水素触媒分解反応効率(OHの生産性)を提供することができるということを提案する。
【0126】
実施例9のMn(N)触媒の追加的な表面分析のために、in situ DRIFT分光法を使用するが、実施例2の触媒の製造に使われる硝酸化条件と類似した雰囲気を具現するために、150℃で実施例8のMn触媒表面をNO/Oで飽和させた後の結果を図15に示した。実施例9のMn(N)触媒は、表面に単配位(mono-dentate)または2配位(bi-dentate)の形態でNO またはNO 官能基を配位(coordination)しているということが分かった。これは、Mn(N)触媒表面に内在されたNO 官能基のOHからのラジカル移動によってNO 表面種の形成が可能であるということを意味する。
【0127】
図16は、本発明のNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例2ないし実施例4の触媒のXPS結果を示すグラフである(実施例2の場合、N 1s;実施例3の場合、S 2p;実施例4の場合、P 2p)。実施例2ないし実施例4の場合、類似している量のNO /SO 2-/HPO 官能基を表面に含有しているということが分かった。これは、実施例2ないし実施例4の触媒が類似した量のN/S/Pをバルクで含有し、類似した量のNO /SO 2-/HPO 官能基を表面に含有するので、同量の触媒使用時に、難分解性有機物分解の効率に対する比較が科学的に可能であるということを意味する。
【0128】
一方、NO 、SO 2-は、NO 、SO 2-官能基に比べて、顕著に短い寿命と低い酸化力とを有するので、難分解性有機物分解の反応速度を向上させるのに効果的ではない。
【0129】
〔実施例20ないし実施例23:Mn(S)、Co(S)、Ni(S)及びCu(S)触媒の製造〕
多孔性の結晶形酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅をテンプレート合成法で製造した。具体的に、20mmolのoxalic acid(C・2HO)及び20mmolのMnSO・HO/CoSO・7HO/NiSO・7HO/CuSO・5HOが含まれた100mLの水溶液を30分間50℃で撹拌させた。それを蒸留水及びエタノールを用いて濾過/洗浄し、70℃で乾燥した後、300℃で1時間焼成して酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅を製造した。製造された金属酸化物をNで希釈された500ppmのSO/3vol%のO雰囲気及び500mL min-1の流速下で500℃で45分間露出させ、以後、N雰囲気下で常温に冷却させた。前記の条件によって製造された表面がSO 2-で機能化された触媒を、以下、それぞれ実施例20(Mn(S))、実施例21(Co(S))、実施例22(Ni(S))及び実施例23(Cu(S))と称する。
【0130】
前記実施例20ないし実施例23を通じて製造された触媒をX線回折器(XRD)を使用して分析し、その結果、導出されたX線回折パターンを図17に示した。図17を参照すれば、実施例20ないし実施例23の触媒の場合、使われた金属前駆体の酸化物(Mn、Mn、Co、NiO、CuO、CuO)または金属酸化物がSO 2-によって変形された金属硫化物(MnSO、CoSO、CuSO)を有することが分かる。あらゆる触媒は、多孔性のモルフォロジー(morphology)を示すが、これは、触媒のBET表面積値(10-130mCAT -1)によって証明される。
【0131】
〔実施例24ないし実施例28:Mn(Z=3、2、1.5、1、0)触媒の製造〕
表4から提示されたように、多孔性の結晶形Mn触媒を溶媒熱合成法で製造した。具体的に、(Z×10)mmolのMnCl・4HO、((3-Z)×10)mmolのFeCl・6HO、3.6gのNaNO及び1gのポリエチレングリコールが含まれた177.6gのエチレングリコール溶液を30分間25℃で撹拌させた後、オートクレーブ反応器で200℃で12時間溶媒熱反応条件に露出させた後、固形物を収得する。収得された固形物を蒸留水及びエタノールを用いて濾過/洗浄し、70℃で乾燥した後、100℃で1時間乾燥して、Mn触媒を製造し、これらを実施例24ないし実施例28と称する。以下、実施例24ないし実施例28によるMn、MnFe、Mn1.5Fe1.5、MnFe、Fe触媒をマンガンのmol比によって、それぞれMn、Mn、Mn1.5、Mn、Mnと名付ける。
【0132】
【表4】

〔実施例29ないし実施例33:Mn(S)(Z=3、2、1.5、1、0)触媒の製造〕
前記実施例24ないし実施例28によって製造されたMn触媒をNで希釈された500ppmのSO/3vol.%のO雰囲気及び500mL min-1の流速下で500℃で1時間露出させ、以後、N雰囲気下で常温に冷却させる。前記の条件によって製造されたMn(S)触媒を実施例6ないし実施例10と称する。以下、実施例29ないし実施例33による触媒をマンガンのmol比によって、それぞれMn(S)、Mn(S)、Mn1.5(S)、Mn(S)、Mn(S)と名付ける。
【0133】
前記実施例24ないし実施例33を通じて製造された触媒をX線回折器(XRD)を使用して分析し、その結果、導出されたX線回折パターンを図18に示した。図18を参照すれば、実施例24の触媒は、正常スピネル(normal spinel)タイプの正方晶系相(tetragonal Mn phase)を有し、実施例25の触媒は、部分的な正常スピネルタイプの立方晶系相(cubic MnFe phase)を有し、実施例27の触媒は、部分的な逆スピネル(inverse spinel)タイプの立方晶系相(cubic MnFe phase)を有し、実施例28の触媒は、逆スピネルタイプの立方晶系相(cubic Fe phase)を有するということが分かる。一方、実施例26の触媒は、既存に報告されていないランダムスピネル(random spinel)タイプの立方晶系相(*と表示)を有する。但し、実施例26の触媒は、前述した実施例25及び実施例27と類似した結晶相を有するが、回折の位置(2 theta)が実施例25及び実施例27の回折の位置(2 theta)の間に存在するので、望ましい結晶相を有するように合成されたということが分かる。
【0134】
SO 2-で機能化された実施例30ないし実施例32の触媒の結晶相は、前記実施例30ないし実施例32の結晶相と同一であるということが分かる。これは、実施例29ないし実施例31の触媒のSO 2-による表面の機能化が、MnSO及びFe(SO)などの新たなバルク相を提示しないので、触媒のバルク相に影響を与えないということを意味する。一方、実施例29の場合、実施例24から観察されていない斜方晶系相(orthorhombic MnSO phase)も有するということが分かるが、これは、SO 2-による触媒表面の機能化がMn結晶相の一部をMnSOに変形させることを意味する。また、実施例33の場合、実施例29のSO 2-による触媒表面の機能化に使われる温度(500℃)が高いので、準安定した立方晶系Fe結晶相が安定した三方晶系Fe結晶相に変化するということが分かる。但し、実施例33の場合、Fe(SO)などの新たなバルク相を提示しないので、SO 2-による触媒表面の機能化が触媒のバルク相に影響を与えないということが分かる。
【0135】
SO 2-で機能化された実施例29ないし実施例33の触媒(Mn(S))の物性を観察するために、多様な技法で分析した。Mn(S)触媒は、多孔性のモルフォロジーを示すが、これは、触媒のBET表面積値(5-25mCAT -1)によって証明される。また、Mn(S)触媒は、化学量論(stoichiometry)に定義された金属(Mn+Fe)/酸素(O)(molar basis)を有することを表5に提示されたX線蛍光分析器(XRF)を利用した定量分析の結果を通じて分かる。実施例29のMn(S)の場合、実施例30ないし実施例33の触媒に比べて、硫黄(S)/金属(Mn+Fe)(molar basis)の値が非常に大きいということが分かる(表5)。これは、前述した実施例24の触媒であるMnのSO 2-機能化によって追加的なバルク相であるMnSOが生成される結果と一致する。
【0136】
【表5】

ルイス酸の特性を帯びる一酸化炭素(CO)が接近可能なMδ+表面種(NCO)の定量分析のために、実施例29ないし実施例33の触媒をCO-pulsed chemisorptionを用いて分析した。実施例29及び実施例33のMn(S)及びMn(S)の場合、他の触媒に比べて、より多量のNCO値を提供した(≧~0.27μmolCOCAT -1 for Mn(S)and Mn(S);≦~0.15μmolCOCAT -1 for Mn(S)、Mn1.5(S)、and Mn(S))。これは、実施例29及び実施例33のMn(S)及びMn(S)が過酸化水素触媒分解反応の効率を向上させて、他の触媒に比べて、OHの生産性を向上させうるということを意味する。
【0137】
図19は、本発明の実施例29、実施例31及び実施例33によるSO 2-で機能化されたMn(S)、Mn1.5(S)及びMn(S)触媒の100~200℃でNHで飽和された触媒表面のbackground-subtracted、in situ DRIFT分光法の結果を示すグラフである。前記CO-pulsed chemisorptionの結果とは対照的に、ルイス酸の特性(L)を帯びるNHが接近可能なMδ+表面種を示すピークの下の広さが、100~200℃でMn(S)→Mn(S)→Mn1.5(S)順に増加するということが分かった。また、実施例31であるMn1.5(S)の場合、100℃から200℃に温度が増加するにも拘らず、L peak下の広さが最も大きく保持されるということが分かる。これは、実施例31であるMn1.5(S)がMn(S)及びMn(S)に比べて、大きなルイス酸の強度を有するので、反応物であるHとMδ+表面種との間の吸着を容易にして、過酸化水素触媒分解反応を最も効率的に進行させるということを意味し、したがって、Mn1.5(S)がMn(S)及びMn(S)に比べて、向上したOH生産性を示すことができるということを意味する。
【0138】
図20は、本発明の実施例29ないし実施例33によるSO 2-で機能化されたMn(S)、Mn(S)、Mn1.5(S)、Mn(S)及びMn(S)触媒のO 1s領域でのXP(X-ray photoelectron)分光法の結果を示すグラフである。あらゆる触媒は、Oβ(lattice O)、Oα(chemically-susceptible O)及びOα’(O of chemisorbed HO)表面種を有する。実施例31のMn1.5(S)の場合、最も多量のOα表面種を有するが、これは、触媒表面に存在する電子(e-)の量が最も豊かであることを意味する。これは、過酸化水素触媒分解反応の結果、形成されたM(δ+1)+表面種のMδ+表面種への還元が実施例31のMn1.5(S)で最も活発であることを意味し、単位時間当たりOHの生産性が実施例31のMn1.5(S)で極大化されるということを意味する。
【0139】
図21は、本発明の実施例29ないし実施例33によるSO 2-で機能化されたMn(S)、Mn(S)、Mn1.5(S)、Mn(S)及びMn(S)触媒のS 2p領域でのXPS結果を示すグラフである。あらゆる触媒は、SO 2-及びSO 2-表面種を有するが、実施例31のMn1.5(S)の場合、最も多量のSO 2-表面種を有するということが分かった。これは、他の触媒に比べて、実施例31のMn1.5(S)に存在する最も多量のSO 2-表面種が付近の豊かなOHからのラジカル移動によって最も多量のSO ・-表面種に転移される可能性が単位時間当たり非常に大きいことを意味する。重要にも、前述したあらゆる分析結果は、実施例31のMn1.5(S)が最も大きな難分解性有機物の分解効率を示すことができるということを意味する。
【0140】
以下、前記実施例の触媒を利用したフェントンシステムの性能について説明する。
【0141】
〔実験例1:過酸化水素(H)分解実験〕
実施例1ないし実施例4を触媒として、電極は、グラファイト電極、OH前駆体としては、過酸化水素(hydrogen peroxide、H)、そして、NaSO電解質水溶液を使用して電気不在下に反応実験を行う。触媒を電極にコーティングさせる時、バインダーとしてフッ化ポリビニリデン(PVDF)を使用する。触媒は、0.2gを、NaSO 0.2molが溶解された100mLの水溶液を反応溶液として使用する。反応実験は、25℃及びpH7で行う。反応時に使われるHの量は、下記の実験例2の電気的フェントン反応実験条件でフェノールの不在下で8時間反応進行後、観察される0.12mmolのHを使用する。前記の実験時に得られるHの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(pseudo-1st-order kinetic fitting、-ln(CH2O2/CH2O2,0)VS.time)の勾配は、Hが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。
各触媒のkAPPにNH2O2,0を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)に含まれたNCO値(前述したCOに接近可能な触媒gram当たりルイス酸のモル数;表2に提示)で割って、初期H分解反応速度(-rH2O2,0、min-1)を計算し、それを図22に示した。前記実施例1ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有しているZrO(N)、ZrO(S)、ZrO(P)-0.5触媒が、官能基を含んでいないZrO触媒に比べて、向上した-rH2O2,0値を示すということが分かった。この結果は、官能基を表面に含有している触媒が、官能基が不在した触媒に比べて、向上した難分解性有機物分解能を示すことができるということを意味する。また、前記実施例2ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、実施例4のHPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有するZrO(P)-0.5の触媒が、NO /SO 2-で機能化された実施例2(ZrO(N))及び実施例3(ZrO(S))の触媒に比べて、向上した-rH2O2,0値を示すということが分かった。この結果は、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基がNO /SO 2-官能基に比べて、難分解性有機物分解能の向上により望ましいことを意味する。また、この結果は、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたdオービタル基盤の遷移金属酸化物に内在された金属の種類/化学量論/構造及び機能化条件の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0142】
実施例8及び実施例9を触媒として、難分解性有機物は、水溶液に溶解された過酸化水素(H)を使用して反応実験を行う。触媒は、0.2gを、100mLの水溶液を反応溶液として使用し、反応実験は、25℃及びpH7で行い、反応時に使われるHの量は、30mmolである。前記の実験時に得られる測定値(Hの自己分解及び触媒のH吸着)が補正されたHの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CH2O2/CH2O2,0)VS.time)の勾配は、Hが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNH2O2,0を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期H分解反応速度(-rH2O2,0)を計算し、それを図23に示した。前記実施例8及び実施例9の触媒の物性分析で予測されたように、実施例9のMn(N)の触媒がMnに比べて、向上した-rH2O2,0値を示すということが分かった。この結果は、NO で機能化されたMn(N)触媒が、機能化されていないMn触媒に比べて、向上した過酸化水素触媒分解反応効率(OHの生産性)を示すことができるということを意味する。
実施例29ないし実施例33を触媒として、電極は、グラファイト電極、難分解性有機物としては、過酸化水素(H)、そして、NaSO電解質水溶液を使用して電気不在下に反応実験を行う。触媒を電極にコーティングさせる時、バインダーとしてフッ化ポリビニリデン(PVDF)を使用する。触媒は、0.2gを、NaSO 0.2molが溶解された100mLの水溶液を反応溶液として使用する。反応実験は、25℃及びpH7で行う。反応時に使われるHの量は、下記の実験例25の電気的フェントン反応実験条件でフェノールの不在下で8時間反応進行後、観察されるHの量を使用する(NH2O2,0:0.13mmolH2O2 for Mn(S);0.18mmolH2O2 for Mn(S);0.26mmolH2O2 for Mn1.5(S);0.22mmolH2O2 for Mn(S);0.23mmolH2O2 for Mn(S))。前記の実験時に得られる測定値を補正したHの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CH2O2/CH2O2,0)VS.time)の勾配は、Hが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。
【0143】
各触媒のkAPPにNH2O2,0を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)に含まれたNCO値(前述した、COに接近可能な触媒gram当たりルイス酸のモル数)で割って、初期H分解反応速度(-rH2O2,0、min-1)を計算し、それを図24に示した。前記実施例29ないし実施例33の触媒の物性分析で予測されたように、実施例31のMn1.5(S)の触媒が、他の触媒(Mn(S)、Mn(S)、Mn(S)及びMn(S))に比べて、向上した-rH2O2,0値を示すということが分かった。この結果は、Mn1.5(S)触媒が、他の触媒に比べて、向上した難分解性有機物分解能を示すことができるということを意味する。また、この結果は、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、SO 2-で機能化された(M(M3-Zに内在されたM/Mの種類及び化学量論(Z)の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0144】
〔実験例2:フェノール(phenol)分解実験〕
(1)電気的フェントン反応
実施例1ないし実施例4、実施例29ないし実施例33を触媒として、電極は、グラファイト電極、有機物質は、フェノール(COH)、そして、NaSO電解質水溶液を使用して電気的フェントン反応実験を行う。触媒を電極にコーティングさせる時、バインダーとしてフッ化ポリビニリデン(PVDF)を使用する。触媒は、0.2gを、フェノール0.1mmol(NPHENOL,0)及びNaSO 0.2molが溶解された100mLの水溶液を反応溶液として使用する。電気的フェントン反応実験は、25℃及びpH7で0.04W電力で行う。前記の実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)に含まれたNCO値(前述したCOに接近可能な触媒gram当たりルイス酸のモル数;表2に提示)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0、min-1)を計算し、それを図25及び図26に示した。前記実施例1ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有しているZrO(N)、ZrO(S)、ZrO(P)-0.5触媒が、官能基を含んでいないZrO触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。また、前記実施例2ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、実施例4のHPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有するZrO(P)-0.5の触媒が、NO /SO 2-で機能化された実施例2(ZrO(N))及び実施例3(ZrO(S))の触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。この結果は、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基がNO /SO 2-官能基に比べて、難分解性有機物分解能の向上により望ましいことを意味する。また、フェノール分解反応中に触媒から剥離されるZrの量は無視できるほど小さいということが分かった。重要にも、この結果は、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたdオービタル基盤の遷移金属酸化物に内在された金属の種類/化学量論/構造及び機能化条件の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0145】
前記実施例29ないし実施例33の触媒の物性分析で予測されたように、実施例31のMn1.5(S)の触媒が、他の触媒(Mn(S)、Mn(S)、Mn(S)及びMn(S))に比べて、向上した-rPHENOL,0及びηPHENOL値を示すということが分かった。また、フェノール分解反応中に触媒から剥離されるMn及びFeの量を定量化し、それを表6に示した。表6で示すように、実施例31のMn1.5(S)の触媒が、他の触媒(Mn(S)、Mn(S)、Mn(S)及びMn(S))に比べて、より少量のMnまたはFeを剥離させることが分かる。重要にも、前記結果は、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、SO 2-で機能化された(M(M3-Zに内在されたM/Mの種類及び化学量論(Z)の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0146】
【表6】

(2)非電気的フェントン反応
実施例1ないし実施例4、実施例8、実施例9を触媒として、有機物質は、水溶液に溶解された過酸化水素(H)及び難分解性有機物であるフェノール(COH)を使用して反応実験を行う。触媒は、0.2gを、100mLの水溶液を反応溶液として使用し、反応実験は、25℃及びpH7で行い、反応時に使われるHの量は、30mmolであり、フェノールの量は、0.1mmolである。前記の実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0)を計算し、それを図43及び図23に示した。図43を参照すれば、実施例3ないし実施例4のZrO(S)及びZrO(P)-0.5触媒が、実施例1ないし実施例2のZrO及びZrO(N)触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。この結果は、SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有しているZrO(S)、ZrO(P)-0.5触媒が、官能基を含んでいないZrO触媒及びNO 官能基を表面に含有しているZrO(N)触媒に比べて、非電気的フェントン条件(H使用条件)で向上した難分解性有機物を分解能を示すことができるということを意味する。図23を参照すれば、実施例9のMn(N)触媒が、実施例8のMn触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。この結果は、NO で機能化されたMn(N)触媒が、機能化されていないMn触媒に比べて、向上した難分解性有機物分解能を示すことができるということを意味する。
【0147】
〔実験例3:除去剤を含んだフェノール分解実験〕
実施例1ないし実施例4、実施例8及び実施例9、実施例26(Mn1.5)及び実施例31(Mn1.5(S))を触媒として、実験例2と同じ条件で反応を行うが、反応中に形成されるOH及びNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-を互いに異なる速度で除去(quenching)することができる除去剤であるカテコール(catechol)、ハイドロキノン(hydroquinone)、エタノール(ethanol)、tert-ブタノール(tert-butanol)、1,4-dioxaneまたはtetrahydrofuran(THF)、テトラヒドロフランまたはイソプロピリアルコールを過量添加後、反応を進行し、その結果を図27ないし図29に図示した。また、除去剤の特定ラジカル除去速度定数(secondary rate constants)を表7に図示した。
【0148】
【表7】

各反応進行時に添加される除去剤の量は、dオービタル基盤の遷移金属酸化物の表面活性種を利用したH触媒分解反応時に起こりうる化学反応式32を参照するが、実施例1ないし実施例4、実施例26(Mn1.5)及び実施例31(Mn1.5(S))の触媒の電力存在下で発生するHの2倍量に触媒に存在するbulk N/S/P contentを加えて導出した。
【0149】
(反応式32)H→(1/2)OH+(1/2)OOH
除去剤添加後、進行した実験例3のあらゆる触媒の-rPHENOL,0値が、除去剤不在時に得られる-rPHENOL,0値に比べて、小さいということが分かった。これは、実施例1ないし実施例4、実施例8及び実施例9、実施例26(Mn1.5)及び実施例31(Mn1.5(S))を触媒として適用したフェノール分解が電気的フェントン反応時に発生するOHまたはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・-によって進行することを意味する。また、除去剤存在下でNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例2ないし実施例4の触媒の-rPHENOL,0値は、機能化されていない実施例1の触媒の-rPHENOL,0値に比べて、大きいということが分かる。各除去剤のラジカル除去速度定数の傾向及び大きさに基づいて類推するが、図27の結果は、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化された実施例2ないし実施例4の触媒が、難分解性有機物の分解のために、表面に存在するNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・を使用することを意味する。また、図27の結果は、機能化されていない実施例1の触媒が、難分解性有機物の分解のためにOHを使用することを意味する。
【0150】
〔実験例4:不均一触媒反応基盤のフェノール分解〕
実施例1で進行するフェノール分解が、触媒表面で起こるH分解反応の結果、発生するOHによって進行することを検証するために、実施例1を触媒として、前記実験例2と同じ条件で実験例4を行った。また、実施例2ないし実施例4、実施例8(Mn)または実施例9(Mn(N))、実施例31(Mn1.5(S))で進行するフェノール分解が、触媒表面のNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・によって進行することを検証するために、実施例2ないし実施例4、実施例8(Mn)、実施例9(Mn(N))、実施例31(Mn1.5(S))を触媒として、前記実験例2と同じ条件で実験例4を行った。この際、1時間前記実験例2と同様に行った後、実施例1ないし実施例4のカソードを触媒がないカソードに置き換え、反応水溶液をフィルタリングし、再び実験を行う。重要にも、1時間以後に観察されるフェノールの消耗は、触媒の不在下でもアノードで起こる酸化(アノード酸化:anodic oxidation)のためであるか、触媒から剥離された活性種によるH分解反応(OH発生;実施例1)または触媒から剥離されたNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・活性種(実施例2ないし実施例4)のためである。本方法で経時的なフェノールの転換量をモニタリングして、図30ないし図32に図示した。図30を参照すれば、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のカソードの1時間経過以後、フェノールの転換量(C PHENOL)は、181.6(±12.7)μM、182.8(±16.5)μM、173.4(±8.4)μM及び164.9(±14.1)μMと観察される。この値は、実施例1ないし実施例4の触媒をカソードにコーティングせず、進行した反応から観察される、アノード酸化に起因するフェノールの転換量である203.4(±28.3)μMと類似している。これは、フェノール分解反応が電極にコーティングされて剥離されていないHアクチベーター(実施例1)またはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・活性種による不均一触媒現象に基づいて起こることを意味する。
【0151】
図31を参照すれば、反応溶液の1時間経過後、フェノールの転換率(XPHENOL)が5.2(±0.8)%及び5.3(±0.5)%と観察される。この値は、触媒を投入せず、進行した反応から観察される、Hによるフェノール分解に起因するフェノールの転換率(XPHENOL)である4.3(±0.5)%と類似している。これは、フェノール分解反応が実施例8の場合、剥離されていないMnδ+種によるH割れ(OH発生)に基づいて起こり、実施例9の場合、剥離されていないNO 活性種を用いる不均一触媒反応に基づいて起こることを意味する。
【0152】
図32を参照すれば、実施例31のカソードの1時間経過後、フェノールの転換率(XPHENOL)が18.4(±2.5)%と観察される。この値は、実施例31の触媒をカソードにコーティングせず、進行した反応から観察される、陽極酸化に起因するフェノールの転換率(XPHENOL)である16.7(±0.6)%と類似している。これは、フェノール分解反応が電極にコーティングされて剥離されていないSO ・-活性種による不均一触媒反応に基づいて起こることを意味する。
【0153】
〔実験例5:電子常磁性共鳴(EPR)分光法の分析実験〕
実施例8(Mn)の触媒で起こるH割れ(OH発生)反応と実施例9(Mn(N))の触媒表面でNO 活性種の生成を証明するために、EPR分光法の分析実験を行い、その結果を図33に示した。実施例8及び実施例9を触媒として、有機物質は、水溶液に溶解された過酸化水素(H)を使用して反応実験を行う。触媒は、0.02gを、10mLの水溶液を反応溶液として使用し、反応実験は、25℃及びpH7で行い、反応時に使われるHの量は、3mmolであり、OHまたはNO 表面種ラジカルの付加生成物(adduct)の形成のために、30mmolの5,5-Dimethyl-1-pyrroline N-oxide(DMPO)を使用した。もし、反応溶液内にOHまたはNO 表面種が存在するならば、DMPOと反応して、それぞれDMPO-OHまたはHDMPO-OHラジカルを形成しなければならない。図23で証明されたように、実施例8(Mn)または実施例9(Mn(N))の触媒は、反応中にDMPO-OHまたはHDMPO-OHラジカルを形成することが究明された。重要にも、これは、実施例9(Mn(N))の触媒表面でOH⇔NO ラジカル移動が非常に迅速に起こり、NO 表面種が存在する直接的な証拠を提示する。
【0154】
〔実験例6:触媒の耐久性テスト〕
開発された触媒の耐久性の検証のために、実施例1ないし実施例4、実施例8及び実施例9、実施例31のMn1.5(S)を触媒として、前記実験例2と同じ条件で実験例6を行った。各反応サイクル以後の触媒は、洗浄/乾燥/蓄積して、次の反応サイクルに適用された。実験例6の結果を図34ないし図36に図示した。本実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0、μmolPHENOLCAT -1 min-1)を計算し、それを図34ないし図36に示した。
【0155】
実施例1ないし実施例4の触媒の場合、-rPHENOL,0の値が反応サイクルが増加するほど持続的に減少するということが分かった。それにも拘らず、実験例2(1回次:1st cycle)から観察される触媒の-rPHENOL,0値の傾向(ZrO<ZrO(N)<ZrO(S)<ZrO(P)-0.5)が、5回次(5th cycle)にもそのまま保持されるということが分かる。これは、実験例1及び実験例2の結果と同様に、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたdオービタル基盤の遷移金属酸化物に内在された金属の種類/化学量論/構造及び機能化条件の望ましい選択が重要であることを意味する。NO で機能化されたMn(N)の場合、-rPHENOL,0の値が反応サイクルが増加するほど~1.2μmolPHENOLCAT -1 min-1から~0.8μmolPHENOLCAT -1 min-1に持続的に減少するにも拘らず、機能化されていないMn触媒に比べて、非常に大きな-rPHENOL,0の値をリサイクル(recycle)の実験の間に示すということが分かる。これは、NO で機能化されたMn(N)が機能化されていないMn触媒に比べて、非常に向上した難分解性有機物分解能の再生性(recyclability)を示すということを意味する。
【0156】
Mn1.5(S)の場合、-r’PHENOL,0の値が反応サイクルが増加するほど~1.4μmolPHENOLCAT -1 min-1(1回次)から~0.4μmolPHENOLCAT -1 min-1(5回次)に持続的に減少するということが分かった。それにも拘らず、5番目のサイクルから観察されるMn1.5(S)の-r’PHENOL,0の値は、実施例29(Mn(S);0.1μmolPHENOLCAT -1 min-1)及び実施例33(Mn(S);0.8μmolPHENOLCAT -1 min-1)の最初のサイクルから観察される-r’PHENOL,0値に比べて、大きいか、類似していることが分かる。重要にも、この結果は、実験例24及び実験例25の結果と同様に、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、SO 2-で機能化された(M(M3-Zに内在されたM/Mの種類及び化学量論(Z)の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0157】
〔実験例7:アニリン(aniline)分解実験〕
開発された触媒の適用のために、実施例1ないし実施例4、実施例29ないし実施例33を触媒として、電極は、グラファイト電極、有機物質は、アニリン(CNH)、そして、NaSO電解質水溶液を使用して電気的フェントン反応実験を行った。触媒を電極にコーティングさせる時、バインダーとしてフッ化ポリビニリデン(PVDF)を使用した。触媒は、0.2gを、アニリン0.1mmol(NANILINE,0)及びNaSO 0.2molが溶解された100mLの水溶液を反応溶液として使用する。電気的フェントン反応実験は、25℃及びpH7で0.04W電力で行った。前記の実験時に得られる測定値を補正したアニリンの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CANILINE/CANILINE,0)VS.time)の勾配は、アニリンが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNANILINE,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)に含まれたNCO値(前述したCOに接近可能な触媒gram当たりルイス酸のモル数;表2に提示)で割って、初期アニリン分解反応速度(-rANILINE,0、min-1)を計算し、それを図37図38に示した。前記実施例1ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有しているZrO(N)、ZrO(S)、ZrO(P)-0.5触媒が、官能基を含んでいないZrO触媒に比べて、向上した-rANILINE,0値を示すということが分かった。また、前記実施例2ないし実施例4の触媒の物性分析で予測されたように、実施例4のHPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有するZrO(P)-0.5の触媒が、NO /SO 2-で機能化された実施例2(ZrO(N))及び実施例3(ZrO(S))の触媒に比べて、向上した-rANILINE,0値を示すということが分かった。この結果は、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基が、NO /SO 2-官能基に比べて、難分解性有機物分解能の向上により望ましいことを意味する。また、アニリン分解反応中に触媒から剥離されるZrの量は、無視できるほど小さいということが分かった。重要にも、この結果は、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、NO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-で機能化されたdオービタル基盤の遷移金属酸化物に内在された金属の種類/化学量論/構造及び機能化条件の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0158】
また、電気的フェントン反応実験時に、アニリンの転換率に比べて、炭素(carbon)の転換率をηANILINEと定量化し、それを図38に示した。前記実施例29ないし実施例22の触媒の物性分析で予測されたように、実施例31のMn1.5(S)の触媒が、他の触媒(Mn(S)、Mn(S)、Mn(S)及びMn(S))に比べて、向上した-rANILINE,0及びηANILINE値を示すということが分かった。重要にも、実験例7の結果は、実験例1、実験例2及び実験例6の結果と同様に、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、SO 2-で機能化された(M(M3-Zに内在されたM/Mの種類及び化学量論(Z)の望ましい選択が重要であることを意味する。
【0159】
〔実験例8:フェノール分解実験〕
実施例1及び互いに異なるbulk P contentsを有する実施例4ないし実施例7を触媒として、電極は、グラファイト電極、有機物質は、フェノール(COH)、そして、NaSO電解質水溶液を使用して電気的フェントン反応実験を行う。触媒を電極にコーティングさせる時、バインダーとしてフッ化ポリビニリデン(PVDF)を使用する。触媒は、0.2gを、フェノール0.1mmol(NPHENOL,0)及びNaSO 0.2molが溶解された100mLの水溶液を反応溶液として使用する。電気的フェントン反応実験は、25℃及びpH7で0.04W電力で行う。前記の実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0、min-1)を計算し、それを図39に示した。互いに異なる量のHPO /HPO 2-/PO 3-官能基を表面に含有しているZrO(P)-0.5、ZrO(P)-1.0、ZrO(P)-1.5、ZrO(P)-2.0触媒が、官能基を含んでいないZrO触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。また、実施例6のZrO(P)-1.5の触媒が、ZrO(P)-0.5、ZrO(P)-1.0、ZrO(P)-2.0触媒に比べて、向上した-rPHENOL,0値を示すということが分かった。この結果は、1.5wt%のbulk P contentsを有する触媒が、難分解性有機物分解能の向上に最も望ましく、bulk P contentsの変化が、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基の個数/分布の変化を導き出すことができるので、難分解性有機物分解能の持続的な改良のために、HPO /HPO 2-/PO 3-官能基の個数/分布の最適化が重要であることを意味する。
【0160】
〔実験例9:NO で機能化された遷移金属酸化物のフェノール分解の適用性の検証〕
NO 官能基を含む遷移金属酸化物触媒の難分解性有機物分解の適用性を証明するために、実施例10ないし実施例14のMn、Fe、Co、Ni、Cu酸化物を触媒として、前記実験例2のフェノール分解実験と同じ条件で実験例7を行い、その結果を図41に示した。実施例10ないし実施例14の触媒の場合、有意な範囲の-rPHENOL,0値(0.7-1.2μmolPHENOLCAT -1 min-1)を示すということが分かった。これは、本発明から提示された、1)触媒の製造方法及び2)触媒表面に存在するNO 表面種によるフェノール分解方法論が、多様な金属酸化物触媒を使用しても可能であるということを意味する。
【0161】
〔実験例10:フェノール分解実験〕
(1)電気的フェントン反応
PO /HPO 2-/PO 3-官能基を含む非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒の難分解性有機物分解の適用性を証明するために、実施例15ないし実施例19のMn、Fe、Co、Ni、Cu酸化物を触媒として、前記実験例2のフェノール分解実験と同じ条件で実験例9を行い、その結果を図40に示した。実施例15ないし実施例19の触媒の場合、有意な範囲の-rPHENOL,0値(1.3-2.1μmolPHENOLCAT -1 min-1)を示すということが分かった。これは、本発明から提示された触媒表面に存在するHPO /HPO ・-/PO 2・表面種によるフェノール分解方法論が、多様な非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒を使用しても可能であるということを意味する。
【0162】
したがって、本発明の一実施例による電気的フェントン反応システム用触媒は、表面がNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-種で機能化されたd-オービタル基盤または非d-オービタル基盤の触媒をカソードにコーティングさせるが、OHからのラジカル移動の結果、形成されたNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・官能基を触媒表面に分散させて、不均一触媒反応に基づいて難分解性有機物を分解することができる。また、遷移金属酸化物に内在された金属の種類/化学量論/構造またはNO /SO ・-/HPO /HPO ・-/PO 2・官能基の個数/分布によって難分解性有機物分解反応の効率を調節するか、増加させ、分解反応時に、表面活性金属種(Hアクチベーター)またはNO /SO 2-/HPO /HPO 2-/PO 3-官能基の触媒表面からの剥離現象を減少させうる。したがって、前記触媒を用いて有機物質を分解する電気的フェントン反応システムにおいて、性能及び寿命を向上させる効果がある。
【0163】
(2)非電気的フェントン反応
PO /HPO 2-/PO 3-官能基を含む非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒の非電気的フェントン条件(H使用条件)で難分解性有機物分解の適用性を証明するために、実施例15ないし実施例19のMn、Fe、Co、Ni、Cu酸化物を触媒として、有機物質は、水溶液に溶解された過酸化水素(H)及び難分解性有機物であるフェノール(COH)を使用して反応実験を行った。触媒は、0.2gを、100mLの水溶液を反応溶液として使用し、反応実験は、25℃及びpH7で行い、反応時に使われるHの量は、30mmolであり、フェノールの量は、0.1mmolである。前記の実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0)を計算し、それを図44に示した。
実施例15ないし実施例19の触媒の場合、有意な範囲の-rPHENOL,0値(0.4-1.4μmolPHENOLCAT -1 min-1)を示すということが分かった。これは、本発明から提示された触媒表面に存在するHPO /HPO ・-/PO 2・表面種が非電気的フェントン条件(H使用条件)でも生成可能であるということを意味し、非電気的フェントン条件(H使用条件)でHPO /HPO ・-/PO 2・表面種によるフェノール分解方法論が、多様な非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒を使用しても可能であるということを意味する。
【0164】
〔実験例11:フェノール分解実験〕
SO 2-官能基を含む非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒の非電気的フェントン条件(H使用条件)で難分解性有機物分解の適用性を証明するために、実施例20ないし実施例23のMn、Co、Ni、Cu酸化物を触媒として、有機物質は、水溶液に溶解された過酸化水素(H)及び難分解性有機物であるフェノール(COH)を使用して反応実験を行った。触媒は、0.2gを、100mLの水溶液を反応溶液として使用し、反応実験は、25℃及びpH7で行い、反応時に使われるHの量は、30mmolであり、フェノールの量は、0.1mmolである。前記の実験時に得られるフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。各触媒のkAPPにNPHENOL,0(0.1mmol)を乗算し、それを使われる触媒の量(0.2g)で割って、初期フェノール分解反応速度(-rPHENOL,0)を計算し、それを図45に示した。
【0165】
実施例20ないし実施例23の触媒の場合、有意な範囲の-rPHENOL,0値(0.3-1.2μmolPHENOLCAT -1 min-1)を示すということが分かった。これは、本発明から提示された非d-オービタル基盤の遷移金属触媒表面に存在するSO ・-表面種が非電気的フェントン条件(H使用条件)でも生成可能であるということを意味し、非電気的フェントン条件(H使用条件)でSO ・-表面種によるフェノール分解方法論が、多様な非d-オービタル基盤の遷移金属酸化物触媒を使用しても可能であるということを意味する。
【0166】
〔実験例12:フェノール(COH)分解実験の活性化エネルギー導出〕
実施例8及び実施例9を触媒として、前記実験例8のフェノール分解実験と同じ条件で反応実験を行うが、反応温度のみ25℃、35℃、45℃及び55℃に変化して実験を行った。前記の実験時に得られる測定値(Hによるフェノール分解及び触媒のフェノール吸着)が補正されたフェノールの転換率を通じて得られた類似1次反応フィッティンググラフ(-ln(CPHENOL/CPHENOL,0)VS.time)の勾配は、フェノールが分解される反応の速度定数(kAPP、min-1)と同じである。得られた反応の速度定数をArrhenius plotting(ln(kAPP)versus 1/T;T:反応温度)し、得られる勾配を用いてフェノール分解反応の活性化エネルギーを導出し、それを図46に示した。実施例9のMn(N)触媒が、実施例1のMn触媒よりも小さな活性化エネルギーを示すということが分かる。これは、NO で機能化されたMn(N)触媒が、機能化されていないMn触媒に比べて、向上した単位時間当たり難分解性有機物分解能を示すことができるということを意味する。
【0167】
本発明は、前述したように望ましい実施例を挙げて図示して説明したが、前記実施例に限定されず、本発明の精神を外れない範囲内で当業者によって多様な変形と変更とが可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付の特許請求の範囲の範囲内に属するものと認めなければならない。
【符号の説明】
【0168】
1 非電気的フェントン反応システム
11 電解槽
12 電解質水溶液
13 過酸化水素供給部
14 触媒構造体
141 遷移金属酸化物触媒結晶粒子
142 担持体
143 支持体
100、100’ 電気的フェントン反応システム
110 電解槽
120 電解質水溶液
130 第1電極
140 第2電極
160 電気的フェントン反応システム用触媒
図1
図2
図3
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