(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】有用な医薬用途を有する縮合トリアゾロ-ピリミジン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20220721BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220721BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220721BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220721BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220721BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220721BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220721BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220721BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220721BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220721BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220721BHJP
A61K 31/519 20060101ALN20220721BHJP
C07D 519/00 20060101ALN20220721BHJP
【FI】
C07D487/04 146
A61K31/5377
A61P1/04
A61P17/06
A61P19/02
A61P25/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P43/00 111
A61K31/519
C07D519/00 311
(21)【出願番号】P 2020501429
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 US2018024060
(87)【国際公開番号】W WO2018175906
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-17
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522204636
【氏名又は名称】ピクサイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロマノフ,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーンハウス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】セペトフ,ニコライ
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/092171(WO,A2)
【文献】国際公開第2004/092173(WO,A2)
【文献】特開平04-099775(JP,A)
【文献】国際公開第99/043678(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105963300(CN,A)
【文献】Vu, Chi B.他,Studies on adenosine A2a receptor antagonists: comparison of three core heterocycles,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2004年,14(19),4831-4834
【文献】DATABASE REGISTRY [online],2008年,[retrieved on 2021.12.23],CAS登録番号:696581-06-3、1028315-44-7
【文献】Hayakawa, Nobuhiko 他,Structure-activity relationship study, target identification, and pharmacological characterization of a small molecular IL-12/23 inhibitor, APY0201,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2014年,22(11),3021-3029
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04 - 519/00
A61K 31/519 - 31/5377
A61P 1/04 - 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II
【化1】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり(ただし、R
1は、シクロヘキシルでない)、
R
2は、
N=CH-アルキル、N=CH-アリール、またはN=CH-ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、
R
5、R
6、R
7、およびR
8は独立して、Hまたはメチルである]
の化合物
またはその薬学的に許容される塩
。
【請求項2】
R
1が、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい単環式ヘテロアリール、または置換されていてもよい単環式ヘテロシクリルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1が、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1が、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリジニルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1が、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリミジニルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
1が、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいキノリニルまたはイソキノリニルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
1が、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-OCF
3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
1が、アゼチジニル、オキセタニル、
テトラヒドロフラニル、またはピロリジニルであり、これらのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-OCF
3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
2が、-N=CH-アリール、-N=CH-ヘテロアリール、または-N=CH-アルキルであり、アリール、ヘテロアリール、およびアルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
2が、-N=CH-フェニル、-N=CH-ナフタレニル、-N=CH-ピリジニル、-N=CH-インドリル、または-N=CH-低級アルキルであり、フェニル、ナフタレニル、ピリジニル、インドリル、および低級アルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH
2、-CF
3、-NH
2、-NHSO
2-低級アルキル、-OCF
3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
1が、
【化2】
[式中、
【化3】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R
2が、
【化4】
[式中、
【化5】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である、請求項1
に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
以下の化合物:
【化6】
から選択される、請求項1に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物がPIKfyveキナーゼの阻害によって治療可能な疾患を患っている個体を治療する
ためのものであり、前記治療が、それを必要とする個体に、請求項1に記載の化合物
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の治療有効量を投与する工程を含み、このような投与が、疾患に関連する症状を低減または除去する、
請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
疾患が、様々な形態のがんおよび自己免疫障害から選択される、請求項
15に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
がんが、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫、および急性骨髄単球性白血病から選択される、請求項
16に記載の
医薬組成物。
【請求項18】
自己免疫障害が、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、および多発性硬化症から選択される、請求項
16に記載の
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、全体として本明細書に組み込まれる、2017年3月24日出願の米国特許仮出願第62/601,501号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は、PIKfyveキナーゼ阻害剤とすることができ、がんや自己免疫障害などの疾患の治療にとって有用でありうる化合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩を対象にする。
【背景技術】
【0003】
[0003] PIKfyveは、PtdIns(3)Pをイノシトール環の5位でリン酸化して、ホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸(PtdIns(3,5)P2)を生成するホスホイノシチドキナーゼである。
【0004】
[0004] PIKfyveキナーゼは、酵母Fab1の哺乳類オルソログであり、最初に哺乳類細胞において発見された(Shishevaら、「Cloning, characterization, and expression of a novel Zn2+-binding FYVE finger-containing phosphoinositide kinase in insulin-sensitive cells」、Mol. Cell. Biol. 19(1), pp.623-34, 1999)。続いて、ヒトPYKfyveのcDNAおよびタンパク質のクローニングおよびキャラクタリゼーションが行われた(Cabezasら、「Cloning and subcellular localization of a human phosphatidylinositol 3-phosphate 5-kinase, PIKfyve/Fab1.」、Gene, 371(1), pp. 34-41, 2006)。ヒトPIKfyve遺伝子は、2番染色体座位2q34に位置している。タンパク質は、4つの主ドメインを含む:1)PtdIns(3)P結合FYVEドメイン(アミノ酸残基150~219)、2)膜結合DEPドメイン(残基365~440)、3)シャペロニン様ドメイン(残基559~1064)、および4)触媒ホスホイノシチドキナーゼホモロジードメイン(残基1791~2085)。PIKfyveタンパク質の細胞内局在は、大部分が後期および初期エンドソームの膜に限定される。生化学的に、PIKfyveは、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)のほうをホスホイノシチド(PI)基質よりも強く好むことを表し、PtdIns 5-PおよびPtdIns 3,5-P2であると同定される2つの産物を生成する(Sbrissaら、「A mammalian ortholog of yeast Fab1p lipid kinase, synthesizes 5-phosphoinositides. Effect of insulin」、J. Biol. Chem., 274(31), pp. 21589-97, 1999)。
【0005】
[0005] PIKfyveによって産生されたPtdIns 3,5-P2は、後期エンドサイトーシス膜の完全性を維持するのに必須である(Ikonomovら、「Functional dissection of lipid and protein kinase signals of PIKfyve reveals the role of PtdIns 3,5-P2 production for endomembrane integrity」、J. Biol. Chem., 277(11), pp. 9206-11, 2002)。PtdInsに加えて、PIKfyveは、タンパク質キナーゼ活性を有すると報告され、自己リン酸化を受けることができる(Sbrissaら、「PIKfyve lipid kinase is a protein kinase: downregulation of 5'-phosphoinositide product formation by autophosphorylation」、Biochemistry, 39(51), pp. 15980-9, 2000)。
【0006】
[0006] PIKfyveシグナル伝達経路は、複数の生物学的プロセスを、大部分はエンドソーム輸送において実績ある役割を通して調節すると報告された。PIKfyveの生物学的性質の1つの重要な態様は、細胞性生得免疫系のキー成分であるToll様受容体シグナル伝達におけるその関与である。したがって、TLRアゴニストに応答したIL12/23分泌の低分子化合物アピリモッドによる阻害は、最近、化合物がPIKfyveのPtdIns-キナーゼ活性を阻害する能力に起因していた(Caiら、「PIKfyve, a class III PI kinase, is the target of the small molecular IL-12/IL-23 inhibitor apilimod and a player in Toll-like receptor signaling」、Chem. Biol., 20(7), pp. 912-921, 2013)。注目すべきことに、アピリモッドは、クローン病または関節リウマチ患者に対する臨床試験において薬理作用剤としても調査されている。
【0007】
[0007] 調節解除されたIL12/IL23サイトカイン産生は、炎症性腸疾患、乾癬、関節リウマチ、および多発性硬化症を含む様々な炎症性疾患病状に関連付けられた。最近の研究から、IL12/IL23産生のさらにもう一つの低分子阻害薬APY0201は、PIKfyveの高選択的阻害薬であることが明らかになる(Hayakawaら、「Structure-activity relationship study, target identification, and pharmacological characterization of a small molecular IL-12/23 inhibitor, APY0201」、Bioorg. Med. Chem., 22(11), pp. 3021-9, 2014)。さらに、マウスマクロファージによるIL-12産生の新しい2つの低分子阻害薬AS2677131およびAS2795440も、PIKfyveキナーゼを選択的に阻害するということが示された(Terajimaら、「Inhibition of c-Rel DNA binding is critical for the anti-inflammatory effects of novel PIKfyve inhibitor」、Eur. J. Pharmacol., 780, pp. 93-105, 2016)。AS2677131は、実験動物において関節リウマチの発症も予防した。
【0008】
[0008] PIKfyveは、がんにおける薬理学的標的も表す。PIKfyveは、自食作用およびマクロピノソーム分解に必須である細胞質空胞形成およびリソソーム融合反応において関与するため、PIKfyveを阻害すると、一部のがんタイプにおいて作動するリソソーム依存性栄養生成経路の閉塞を導くことができる(Kimら、「Targeting cancer metabolism by simultaneously disrupting parallel nutrient access pathways」、J. Clin. Invest., 126(11), pp. 4088-4102, 2016)。最近の研究から、PIKfive(PtdIns 5-Psを通じて)は、RhoファミリーGTPアーゼ Rac1を活性化することによってがん細胞移動性および侵襲性を調節することができることが明らかになる(Dupuis-Coronasら、「The nucleophosmin-anaplastic lymphoma kinase oncogene interacts, activates, and uses the kinase PIKfyve to increase invasiveness」、J.Biol. Chem., 286(37), pp. 32105-14, 2011;Oppeltら、「PIKfyve, MTMR3 and their product PtdIns5P regulate cancer cell migration and invasion through activation of Rac1」、Biochem. J., 461(3), pp.383-90, 2014)。PIKfyveの低分子阻害薬YM201636は、インビトロモデルにおけるがん細胞の遊走を強く阻害した(Oppeltら)。抗がん療法にとってPIKfyve阻害の役割は、いくつかのがん細胞系において観察されたアピリモッドの抗増殖効果によってさらに支持されている。PIKfyve阻害薬は、選択的ナノモル細胞傷害性をB細胞非ホジキンリンパ腫において示すが、正常細胞においては示さない(Gayleら、「Identification of apilimod as a first-in-class PIKfyve kinase inhibitor for treatment of B-cell non-Hodgkin lymphoma」、Blood, doi: 10.1182/blood-2016-09-736892, 2017)。
【0009】
[0009] 科学研究は、がんならびに関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、および多発性硬化症などの自己免疫障害を含むいくつかの疾患状態における薬理学的インターベンションの治療標的としてのPIKfyveの選択を一緒に支持する。したがって、本発明に記載されている低分子化合物の有用性は、上記の障害に限定されないがそれらに適用可能であると当業者によってみなされるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010] 一態様において、式I
【0011】
【化1】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり(ただし、R
1は、シクロヘキシルでない)、
R
2は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、-N=CH-アルキル、-N=CH-アリール、または-N=CH-ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、置換されていてもよく、
R
3およびR
4は独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、もしくは置換されていてもよいヘテロシクリルであり(ただし、R
3およびR
4がこのような場合、R
1は、C
1~3アルキルでない)、またはR
3およびR
4はそれらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
の化合物および/またはその薬学的に許容される塩などの2,5,7-三置換-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンが提供される。
【0012】
[0011] 式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、PIKfyveキナーゼを阻害することができる。
【0013】
[0012] 別の態様において、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0014】
[0013] 別の態様において、PIKfyveキナーゼの阻害によって治療可能な疾患を患っている個体を治療する方法が提供される。この方法は、それを必要とする個体に、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の治療有効量を投与する工程を含み、このような投与が、疾患に関連する症状が低減または除去する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】[0014]PIKfyve阻害薬ががん細胞系の増殖を選択的に阻害したことを示すグラフである。
【
図1B】PIKfyve阻害薬ががん細胞系の増殖を選択的に阻害したことを示すグラフである。
【
図1C】PIKfyve阻害薬ががん細胞系の増殖を選択的に阻害したことを示すグラフである。
【
図1D】PIKfyve阻害薬ががん細胞系の増殖を選択的に阻害したことを示すグラフである。
【
図2A】[0015]APY0201と本開示の化合物1は共に、IL-23の分泌をブロックしたことを示すグラフである。
【
図2B】APY0201と本開示の化合物1は共に、IL-23の分泌をブロックしたことを示すグラフである。
【
図3A】[0016]APY0201が、ML-2がん細胞系においてアポトーシスを誘導することを示すグラフである。
【
図3B】アピリモッドが、ML-2がん細胞系においてアポトーシスを誘導することを示すグラフである。
【
図3C】本開示の化合物1が、ML-2がん細胞系においてアポトーシスを誘導することを示すグラフである。
【
図4】[0017]PIKfyveキナーゼ阻害アッセイにおいてアピリモッド、APY 0201、本開示の化合物1、および YM201636の用量応答曲線を示すグラフである。
【
図5A】[0018]正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)において異なる血液がん細胞系に対するアピリモッド、APY 0201、本開示の化合物1、およびYM201636の用量応答曲線を示すグラフである。
【
図5B】正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)において異なる血液がん細胞系に対するアピリモッド、APY 0201、本開示の化合物1、およびYM201636の用量応答曲線を示すグラフである。
【
図5C】正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)において異なる血液がん細胞系に対するアピリモッド、APY 0201、本開示の化合物1、およびYM201636の用量応答曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019] 本明細書において用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上からそうでないことがはっきりしていない限り、複数の指示対象を包含する。
【0017】
[0020] 部分が環式環であるとき、「n員」という用語は、環が有する環原子の数を記載するのに使用される。例えば、4員シクロアルキルは、シクロブタンなどの4個の環原子を有するシクロアルキルを指す。
【0018】
[0021] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「アルキル」という用語は、もっぱら単結合によって連結されている1~20個の炭素原子を含むが、いずれの環式構造も有さない直鎖または分枝鎖状炭化水素を指す。アルキル基の例は、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル(noyl)、デシル、ウンデシル、ドデシルトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどが挙げられる。「低級アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、またはペンチルなど、もっぱら単結合によって連結されている1~6個の炭素原子を含むが、いずれの環式構造も有していない直鎖または分枝鎖状炭化水素を指す。
【0019】
[0022] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「アリール」という用語は、合計5~14個の環原子を有する単環式、二環式(縮合)、および三環式(縮合またはスピロ)炭化水素環系を指す。アリールが単環式であるとき、単環は芳香族であり、ヘテロ原子を含まない。アリールが二環式または三環式であるとき、二環または三環中の環の少なくとも1つは芳香族であり、ヘテロ原子を含まず、他の環(複数可)が芳香族であるとき、他の環(複数可)はヘテロ原子を含まないが、他の環(複数可)が芳香族でないとき、他の環(複数可)はヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい。結合点は、いずれの環原子上とすることもできる。アリールの例は、限定されるものではないが、ベンゼン、ナフタレン、インダン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、クロマン、イソクロマン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、チオクロマン1,1-ジオキシド、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アンヌレン、および2,3-ジヒドロベンゾフランが挙げられる。
【0020】
[0023] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「シクロアルキル」という用語は、完全に飽和しており、または1つもしくは複数の不飽和単位を含む、合計3~14個の環原子を有する単環式、二環式(縮合、架橋、またはスピロ)、または三環式(縮合またはスピロ)炭化水素環系を指すが、単環式、二環式、または三環式炭化水素中の個々の環はいずれも芳香族ではなく、環原子はいずれもヘテロ原子でない。結合点は、飽和または不飽和炭素上とすることができる。架橋二環式シクロアルキルは、3個以上の炭素原子を共有し、少なくとも1個の原子を含む橋で2個の架頭炭素原子を分離する、2つの炭化水素環を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.5]デカン、およびスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
[0024] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「ヘテロシクリル」という用語は、完全に飽和されており、または1つもしくは複数の不飽和単位を含む、4~15個の環原子を有する単環式、二環式(縮合、架橋、もしくはスピロ)、または三環式(縮合もしくはスピロ)炭化水素環系を指すが、単環式、二環式、または三環式炭化水素中の個々の環はいずれも芳香族ではなく、さらに環原子の少なくとも1個がヘテロ原子である。架橋二環式ヘテロシクリルは、少なくとも1個の炭素がヘテロ原子で置き換えられている架橋二環式シクロアルキルである。ヘテロシクリルの例としては、アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランが挙げられるが、これらに限定されない。結合点は、飽和または不飽和炭素またはヘテロ原子上とすることができる。
【0022】
[0025] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「ヘテロアリール」という用語は、合計5~14個の環原子を有する単環式、二環式(縮合)、および三環式(縮合またはスピロ)環系を指し、単環ならびに二環式および三環式環系中の環の少なくとも1つは、芳香族であり、S、O、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む。結合点は、いずれの環原子上とすることもできる。ヘテロアリールの例は、限定されるものではないが、フラン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、インドール、ベンゾフラン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、および4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドールが挙げられる。
【0023】
[0026] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「置換されていてもよいアルキル」という用語または同じ趣旨の用語は、非置換アルキル(または非置換(unsubtitted)低級アルキル)またはCN、ハロ、-NRR、-NHSO2R、-C(O)NRR、-OR、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、およびヘテロアリール(単環式ヘテロアリール(heteroayl)など)から選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているアルキルを指し、ここで、Rは独立して、H、アルキル、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、またはヘテロアリール(単環式ヘテロアリールなど)である。同様に、「置換されていてもよい低級アルキル」という用語は、非置換低級アルキルまたは上記と同じ基のセットから選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されている低級アルキルを指す。
【0024】
[0027] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「置換されていてもよいアリール」という用語または同じ趣旨の用語は、非置換アリールまたはアルキル、CN、ハロ、-NRR、-NHSO2R、-C(O)NRR、-OR、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、およびヘテロアリール(単環式ヘテロアリール(heteroayl)など)から選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているアリールを指し、ここで、Rは独立して、H、アルキル、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、またはヘテロアリール(単環式ヘテロアリールなど)である。同様に、「置換されていてもよいフェニル」という用語は、非置換フェニルまたは上記と同じ基のセットから選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているフェニルを指す。
【0025】
[0028] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「置換されていてもよいヘテロアリール」という用語または同じ趣旨の用語は、非置換ヘテロアリールまたはアルキル、CN、ハロ、-NRR、-NHSO2R、-OR、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、およびヘテロアリール(単環式ヘテロアリール(heteroayl)など)から選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているヘテロアリールを指し、ここで、Rは独立して、H、アルキル、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、またはヘテロアリール(単環式ヘテロアリールなど)である。同様に、「置換されていてもよい単環式ヘテロアリール」という用語は、非置換単環式ヘテロアリールまたは上記と同じ基のセットから選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されている単環式ヘテロアリールを指す。
【0026】
[0029] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「置換されていてもよいシクロアルキル」という用語または同じ趣旨の用語は、非置換シクロアルキルまたはアルキル、CN、ハロ、-NRR、-NHSO2R、-OR、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、およびヘテロアリール(単環式ヘテロアリール(heteroayl)など)から選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているシクロアルキルを指し、ここで、Rは独立して、H、アルキル、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、またはヘテロアリール(単環式ヘテロアリールなど)である。
【0027】
[0030] 本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる「置換されていてもよいヘテロシクリル」という用語または同じ趣旨の用語は、非置換ヘテロシクロアルキルまたはアルキル、CN、ハロ、-NRR、-NHSO2R、-OR、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、およびヘテロアリール(単環式ヘテロアリール(heteroayl)など)から選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されているヘテロシクロアルキルを指し、ここで、Rは独立して、H、アルキル、アリール(フェニルなど)、シクロアルキル(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ヘテロシクロアルキル(アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、およびテトラヒドロフランなど)、またはヘテロアリール(単環式ヘテロアリールなど)である。同様に、「置換されていてもよい単環式ヘテロシクリル」という用語は、非置換単環式ヘテロシクリル(heterocycyl)または上記と同じ基のセットから選択される1つ、2つ、もしくは3つの基で置換されている単環式ヘテロシクリル(heterocycyl)を指す。
【0028】
[0031] 本明細書において、「個体」および「哺乳動物」という用語は同義に使用される。それらは両方とも、ヒトまたは動物を指す。
【0029】
[0032] 本明細書で開示された化合物は、薬学的に許容される塩の形態で存在することができる。本明細書で用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で開示された化合物の非毒性の酸性/アニオン性または塩基性/カチオン性塩の形態を指す。好適な薬学的に許容される塩には、例えば本明細書で開示された化合物の溶液を塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成することができる酸付加塩が含まれる。
【0030】
[0033] さらに、本明細書で開示された化合物が酸性部分を有するとき、その好適な薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;および好適な有機リガンドを用いて形成される塩、例えば第四級アンモニウム塩を挙げることができる。したがって、代表的な薬学的に許容される塩は、限定されるものではないが、酢酸塩、アスピレート、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、カムシル酸塩(またはショウノウスルホン酸塩)、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エディシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、ヒドロブロミン、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、硝酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩/リン酸水素塩、サッカリン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。StahlおよびWermauthによるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(Wiley-VCH、Weinberg, Germany、2002)を参照のこと。
【0031】
[0034] 本明細書で開示された化合物は、非溶媒和物または溶媒和物の形態で存在することができる。本明細書で用いられる「溶媒和物」という用語は、本明細書で開示された化合物と1種または複数の薬学的に許容される溶媒分子、例えば水、エタノール、DMSO、または他の有機溶媒とを含む分子複合体を表現する。本明細書で開示された化合物が水と溶媒和物を形成するとき、「水和物」という用語を「溶媒和物」の代わりに使用することができる。薬学的に許容される溶媒和物には、溶媒が同位体置換されている可能性がある水和物および溶媒和物、D2O、d6-アセトン、d6-DMSOが含まれる。
【0032】
[0035] 第1の態様において、本開示は、式I
【0033】
【化2】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり(ただし、R
1は、シクロヘキシルでない)、
R
2は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、-N=CH-アルキル、-N=CH-アリール、または-N=CH-ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、置換されていてもよく、
R
3およびR
4は独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、もしくは置換されていてもよいヘテロシクリルであり(ただし、R
3およびR
4がこのような場合、R
1は、C
1~3アルキルでない)、またはR
3およびR
4はそれらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象にする。
【0034】
[0036] 一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいフェニルである。一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい低級アルキルである。一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロアリールである。一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロシクリルである。
【0035】
[0037] 一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいフェニルである。一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリジニルである。一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリミジニルである。一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいキノリニルまたはイソキノリニルである。
【0036】
[0038] 一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである。一部の実施形態において、R1は、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラン、またはピロリジニルであり、これらのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0037】
[0039] 一部の実施形態において、R2は、-N=CH-アリール、-N=CH-ヘテロアリール、または-N=CH-アルキルであり、アリール、ヘテロアリール、およびアルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。一部の実施形態において、R2は、-N=CH-フェニル、-N=CH-ナフタレニル、-N=CH-ピリジニル、-N=CH-インドリル、または-N=CH-低級アルキルであり、フェニル、ナフタレニル、ピリジニル、インドリルおよび低級アルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0038】
[0040] 一部の実施形態において、R3およびR4は独立して、CF3、OH、CN、NH2、-OCF3、および-O-低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである。一部の実施形態において、R3およびR4はそれらが結合している窒素と一緒になって、単環式もしくは二環式ヘテロシクリルまたは二環式アリールを形成し、単環式、二環式ヘテロシクリルおよび二環式アリールのそれぞれが、低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。単環式もしくは二環式ヘテロシクリルまたは二環式アリールは、N、O、およびSから選択される追加のヘテロ原子(複数可)を含むことができる。一部の実施形態において、単環式ヘテロシクリルは4、5、6、または7員ヘテロシクリルである。単環式ヘテロシクリルとしては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン(pyrolidine)、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-ジオキシド、アゼパン、1,4-オキサゼパン、および1,4-チアゼパンが挙げられる。
【0039】
[0041] 一部の実施形態において、R1は、
【0040】
【0041】
【化4】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0042】
[0042] 一部の実施形態において、R2は、
【0043】
【0044】
【化6】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0045】
[0043] 一部の実施形態において、R3およびR4は独立して、メチル、イソプロピル、または2-ヒドロキシルエチルである。一部の実施形態において、R3およびR4はそれらが結合している窒素と一緒になって、以下の環:
【0046】
【0047】
【化8】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
の1つを形成する。
【0048】
[0044] 一部の実施形態において、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、式II
【0049】
【化9】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり(ただし、R
1は、シクロヘキシルでない)、
R
2は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、N=CH-アルキル、N=CH-アリール、またはN=CH-ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、
R
5、R
6、R
7、およびR
8は独立して、Hまたはメチルである]
の化合物および/またはその薬学的に許容される塩である。
【0050】
[0045] 式IIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいフェニルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい低級アルキルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロアリールである。式IIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロシクリルである。
【0051】
[0046] 式IIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいフェニルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリジニルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリミジニルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいキノリニルまたはイソキノリニルである。
【0052】
[0047] 式IIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである。式IIの一部の実施形態において、R1は、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラン、またはピロリジニルであり、これらのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0053】
[0048] 式IIの一部の実施形態において、R2は、-N=CH-アリール、-N=CH-ヘテロアリール、または-N=CH-アルキルであり、アリール、ヘテロアリール、およびアルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。式IIの一部の実施形態において、R2は、-N=CH-フェニル、-N=CH-ナフタレニル、-N=CH-ピリジニル、-N=CH-インドリル、または-N=CH-低級アルキルであり、フェニル、ナフタレニル、ピリジニル、インドリル、および低級アルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0054】
[0049] 式IIの一部の実施形態において、R1は、
【0055】
【0056】
【化11】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0057】
[0050] 式IIの一部の実施形態において、R2は、
【0058】
【0059】
【化13】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0060】
[0051] 一部の実施形態において、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、式III
【0061】
【化14】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり(ただし、R
1は、シクロヘキシルでない)、
R
9は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、
R
3およびR
4は独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、もしくは置換されていてもよいヘテロシクリルであり、またはR
3およびR
4はそれらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
の化合物および/またはその薬学的に許容される塩である。
【0062】
[0052] 式IIIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいフェニルである。一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい低級アルキルである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロアリールである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよい単環式ヘテロシクリルである。
【0063】
[0053] 式IIIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいフェニルである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリジニルである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいピリミジニルである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいキノリニルまたはイソキノリニルである。
【0064】
[0054] 式IIIの一部の実施形態において、R1は、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである。式IIIの一部の実施形態において、R1は、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラン、またはピロリジニルであり、これらのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-OCF3、-O-低級アルキル、および低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0065】
[0055] 式IIIの一部の実施形態において、R9は、アリール、ヘテロアリール、またはアルキルであり、これらのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。式IIIの一部の実施形態において、R9は、フェニル、ナフタレニル、ピリジニル、インドリル、または低級アルキルであり、フェニル、ナフタレニル、ピリジニル、インドリルおよび低級アルキルのそれぞれが、-F、-Cl、-CN、-OH、-C(O)NH2、-CF3、-NH2、-NHSO2-低級アルキル、-OCF3、-O-低級アルキル、低級アルキル、フェニル、および単環式ヘテロアリールから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。
【0066】
[0056] 式IIIの一部の実施形態において、R3およびR4は独立して、CF3、OH、CN、NH2、-OCF3、および-O-低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい低級アルキルである。式IIIの一部の実施形態において、R3およびR4はそれらが結合している窒素と一緒になって、単環式もしくは二環式ヘテロシクリルまたは二環式アリールを形成し、単環式、二環式ヘテロシクリルおよび二環式アリールのそれぞれが、低級アルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい。単環式もしくは二環式ヘテロシクリルまたは二環式アリールは、N、O、およびSから選択される追加のヘテロ原子(複数可)を含むことができる。式IIIの一部の実施形態において、単環式ヘテロシクリルは、4、5、6、または7員ヘテロシクリルである。単環式ヘテロシクリルとしては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン(pyrolidine)、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-ジオキシド、アゼパン、1,4-オキサゼパン、および1,4-チアゼパンが挙げられる。
【0067】
[0057] 式IIIの一部の実施形態において、R1は、
【0068】
【0069】
【化16】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0070】
[0058] 式IIIの一部の実施形態において、R2は、
【0071】
【0072】
【化18】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
である。
【0073】
[0059] 式IIIの一部の実施形態において、R3およびR4は独立して、メチル、イソプロピル、または2-ヒドロキシルエチルである。一部の実施形態において、R3およびR4はそれらが結合している窒素と一緒になって、以下の環:
【0074】
【0075】
【化20】
は、分子の残りの部分への結合点を示す]
の1つを形成する。
【0076】
[0060] 本明細書に開示されるR1~R9のそれぞれの各実施形態を、別段の定めがない限り、互いとのいずれかの組合せとすることができることは本開示の範囲内である。
【0077】
[0061] 一部の実施形態において、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、以下の化合物から選択される:
【0078】
【0079】
[0062] 第2の態様において、本開示は、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象とし、本明細書で開示されたその各実施形態を含む。医薬組成物を、個体に単独でまたは他の治療活性化合物、作用剤、薬物もしくはホルモンと組み合わせて投与することができる。本明細書で開示されたその各実施形態を含む、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩に加えて、医薬組成物は、がんまたは自己免疫疾患を治療することが知られている別の治療上有効な作用剤を含むことができる。
【0080】
[0063] 医薬組成物は、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、分級、乳化、カプセル化、封入、および凍結乾燥を含むが限定されない様々な方法のいずれかを使用して製造することができる。医薬組成物は、無菌液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、または投与に適しているいずれか他の剤形を含むが限定されない様々な形態のいずれかをとることができる。
【0081】
[0064] 医薬組成物は、約1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、および1000ミリグラムの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩(その各実施形態を含む)など約1.0~約1000ミリグラムの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩(その各実施形態を含む)を含む、経口投与のための錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。
【0082】
[0065] 医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、投与されたとき長期または永続的有害効果を実質的に有さないいずれかの担体を指し、「薬学的に許容される媒体、安定剤、希釈剤、添加剤、補助剤、または賦形剤」などの用語を包含する。このような担体は、一般に活性化合物と混合され、または活性化合物を希釈もしくは封入することが可能になり、固体、半固体、もしくは液体の作用剤とすることができる。活性成分は可溶性とすることができ、または所望の担体もしくは希釈剤中の懸濁液として送達することができることが理解されよう。
【0083】
[0066] 例えば水、食塩水、グリシン、ヒアルロン酸などの水性媒体;例えばデンプン、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、ラクトース、トレハロース、炭酸マグネシウムなどの固体担体;溶媒;分散媒;コーティング剤;抗細菌および抗真菌剤;等張および吸収遅延剤;またはいずれか他の不活性成分を含むが限定されない様々な薬学的に許容される担体のいずれでも使用することができる。薬学的に許容される担体の選択は、投与方法に依存することができる。いずれか薬学的に許容される担体が活性成分と非相溶である場合を除いて、薬学的に許容される組成物におけるその使用が企図される。このような医薬用担体の特定の使用の非限定的例は、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C. Anselら編、Lippincott Williams & Wilkins Publishers、7版、1999); Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R. Gennaro編、Lippincott, Williams & Wilkins、20版、2000);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G. Hardmanら編、McGraw-Hill Professional、10版、2001);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C. Roweら、APhA Publications、4版、2003)で見出すことができる。これらのプロトコルはルーチンであり、いずれの変形形態も、十分に当業者の範囲内であり、これらの中の教示からのものである。
【0084】
[0067] 第3の態様において、本開示は、PIKfyveキナーゼの阻害によって治療可能な疾患を患っている個体を治療する方法であって、それを必要とする個体に、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩(その各実施形態を含む)を含む医薬組成物の治療有効量を投与する工程を含み、このような投与が、疾患に関連する症状が低減または除去する、方法を対象にする。
【0085】
[0068] 疾患には、様々な形態のがんおよび自己免疫障害が含まれる。例えば、がんには、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫、および急性骨髄単球性白血病が含まれる。自己免疫障害には、例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、および多発性硬化症が含まれる。
【0086】
[0069] 以下の実施例は本来例示するものであって、決して限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1
[0070] 式Iの化合物は、以下に例示する当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0088】
[0071] カルボン酸とアミノグアニジンの反応を酸性条件下に高温で行って、3-置換-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミンが形成される:
【0089】
【化22】
例えば、安息香酸はアミノグアニジンと反応して(Kurzer, F.; Godfrey, L. E. A. Angewandte Chemie 75, (23) 1157-75 (1963))、3-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミンを生成する:
【0090】
【0091】
[0072] このようなアミノトリアゾールは、マロン酸エステルまたはハリドと様々な条件下で2-置換-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5,7-ジオールを形成するように反応する(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 22, (9), 3198-3202 (2012)):
【0092】
【0093】
[0073] したがって、3-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミンは、マロノイルクロリドと反応して、2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5,7-ジオールを形成する:
【0094】
【0095】
[0074] 2つのヒドロキシ基は、オキシ塩化リン、PBr5、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどいくつかのハロゲン化剤のいずれかを使用することによって塩素または他のハロゲンによって容易に置き換えることができる(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 22, (9), 3198-3202 (2012))。
【0096】
【0097】
[0075] したがって、2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5,7-ジオールは、オキシ塩化リンと容易に反応して、5,7-ジクロロ-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンを生成する:
【0098】
【0099】
[0076] 7-Cl基は、穏やかな条件下に第二級アミンで選択的に置き換えられる(US8957064B2):
【0100】
【0101】
[0077] したがって、5,7-ジクロロ-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンは、モルホリンと反応して、4-(5-クロロ-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンを生成する:
【0102】
【0103】
[0078] 次いで、5-クロロ基を、より厳しい条件下にアンモニア、メチルアミンまたはヒドラジンなどの強求核性アミンで以下の通り置き換えることができる(JP04099775A(1992)):
【0104】
【0105】
[0079] したがって、4-(5-クロロ-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンは、高温にてヒドラジン水和物と反応して、4-(5-ヒドラジニル-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンを提供する:
【0106】
【0107】
[0080] 5-クロロ基に置き換わるアミンがヒドラジンである場合、最も一般的なアルデヒドと反応して、対応するイミノ化合物を形成することができる:
【0108】
【0109】
[0081] したがって、4-(5-ヒドラジニル-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンは、ベンズアルデヒドなどのアルデヒドと反応して、(E)-4-(5-(2-ベンジリデンヒドラジニル)-2-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンを生成する:
【0110】
【0111】
実施例2
(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物1)の調製
工程1:3-(ピリジン-4-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミンの調製
【0112】
【0113】
[0082] 開放したバイアル中イソニコチン酸(13.36g、108.5mmol)とアミノグアニジン塩酸塩(5.0g、45.2mmol)のよく混じった混合物を230℃で1時間加熱し、そのとき、ガスの発生が終わった。冷却した残渣を水の中におき、Amberlite CG-50-タイプ1樹脂のクロマトグラフィーによって精製した。水を用いた溶出によって、過剰のイソニコチン酸を除去し、さらに0.5M炭酸アンモニウム溶液を用いた溶出によって、純粋な3-(ピリジン-4-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミン(5.97g、収率82%)を得た。[M+H]+=161.8。
工程2:5,7-ジクロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
【0114】
【0115】
[0083] 3-(ピリジン-4-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-アミン(5.0g、31.0mmol)をアセトニトリル(125mL)に溶解し、塩化マロニル(4.37g、31.0mmol)で処理し、不活性雰囲気下で2.5時間撹拌し、そのとき、別途の塩化マロニル(2.18g、15mmol)で処理した。さらに2時間撹拌した後、反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。層を分離し、水性層を2回抽出した。合わせた層を乾燥し、留去乾固して、粗残渣を得た。それを、氷冷したオキシ塩化リン(50mL)中に懸濁した。混合物を5時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、溶媒の大部分を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタンと水との間で分配し、有機層を乾燥し、蒸発させると、残渣が残った。酢酸エチル-ヘキサンを使用するコンビフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製し、純粋な5,7-ジクロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン(0.760g、収率9.2%)を得た。[M+H]+=265.9。
工程3:4-(5-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンの調製
【0116】
【0117】
[0084] 5,7-ジクロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン(0.520g、1.95mmol)をジオキサン(10mL)に溶解し、モルホリン(0.340g、3.9mmol)で処理した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、そのとき、混合物をジクロロメタンと水との間で分配した。層を分離し、水性層をジクロロメタンで再抽出した。合わせた有機層を乾燥し、留去乾固した。固体残渣を少量のメタノールで粉末にし、濾過し、乾燥して、純粋な4-(5-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(0.600g、収率97%)を得た。[M+H]+=316.8。
工程4:((E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物1)の調製
【0118】
【0119】
[0085] 4-(5-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(0.600g、1.9mmol)およびヒドラジン水和物(1mL)を、封止したバイアル中でエタノール(25mL)に懸濁し、マイクロ波反応器中、150℃で10分間加熱し、次に120℃でさらに10分間加熱した。冷却した反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。水性相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機抽出液を乾燥し、留去乾固した。粗残渣([M+H]+=313.1)をメタノール(10mL)および酢酸(10μL)に懸濁し、3-メチルベンズアルデヒド(0.228g、1.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、そのとき、追加のメタノール(5mL)および3-メチルベンズアルデヒド(0.114g)を添加した。室温でさらに60分間撹拌した後、反応物を濾過し、こうして得られた固体(0.597g、収率76%)をピリジンに溶解し、HPLCでさらに精製して、純粋な((E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物1)を得た。[M+H]+=415.1。
【0120】
実施例3
(E)-2,2-ジメチル-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物2)の調製
【0121】
【0122】
[0086] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程3におけるモルホリンの代わりに2,2-ジメチルモルホリンを用いて、(E)-2,2-ジメチル-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=443.1。
【0123】
実施例4
(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-3-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物3)の調製
【0124】
【0125】
[0087] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程1におけるiso-ニコチン酸の代わりにニコチン酸を用いて、(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-3-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=415.1。
【0126】
実施例5
(E)-4-(5-(2-(3-メトキシベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物4)の調製
【0127】
【0128】
[0088] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4における3-メチルベンズアルデヒドの代わりに3-メトキシベンズアルデヒドを用いて、(E)-4-(5-(2-(3-メトキシベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=431.1。
【0129】
実施例6
(E)-N-(3-((2-(7-モルホリノ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)ヒドラゾノ)メチル)フェニル)メタンスルホンアミド(化合物5)の調製
【0130】
【0131】
[0089] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4におけるヒドラジンの代わりに2-フェニルエチルアミンを用いて、(E)-N-(3-((2-(7-モルホリノ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)ヒドラゾノ)メチル)フェニル)メタンスルホンアミドが調製される。[M+H]+=494.1。
【0132】
実施例7
(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(キノリン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物6)の調製
【0133】
【0134】
[0090] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程1におけるイソニコチン酸の代わりにキノリン-4-カルボン酸を用いて、(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(キノリン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=465.1。
【0135】
実施例8
(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物7)の調製
【0136】
【0137】
[0091] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程1におけるイソニコチン酸の代わりにピリミジン-4-カルボン酸を用いて、(E)-4-(5-(2-(3-メチルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリミジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=416.1。
【0138】
実施例9
(E)-4-(5-(2-((1H-インドール-3-イル)メチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物8)の調製
【0139】
【0140】
[0092] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4における3-メチルベンズアルデヒドの代わりにインドール-3-カルボキサルデヒドを用いて、(E)-4-(5-(2-((1H-インドール-3-イル)メチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=440.1。
【0141】
実施例10
(E)-4-(5-(2-(ピリジン-3-イルメチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物9)の調製
【0142】
【0143】
[0093] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4における3-メチルベンズアルデヒドの代わりにピリジン-3-カルボキサルデヒドを用いて、(E)-4-(5-(2-(ピリジン-3-イルメチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=402.1。
【0144】
実施例11
(E)-3-((2-(7-モルホリノ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)ヒドラゾノ)メチル)ベンゾニトリル(化合物10)の調製
【0145】
【0146】
[0094] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4において3-メチルベンズアルデヒドに対して3-シアノベンズアルデヒドを置換して、(E)-3-((2-(7-モルホリノ-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)ヒドラゾノ)メチル)ベンゾニトリルが調製される。[M+H]+=426.1。
【0147】
実施例12
(E)-4-(5-(2-((6-メトキシナフタレン-2-イル)メチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物11)の調製
【0148】
【0149】
[0095] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4における3-メチルベンズアルデヒドの代わりに6-メトキシ-2-ナフトアルデヒドを用いて、(E)-4-(5-(2-((6-メトキシナフタレン-2-イル)メチレン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=481.1。
【0150】
実施例13
(E)-4-(5-(2-(3-イソプロピルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリン(化合物12)の調製
【0151】
【0152】
[0096] 実施例2に記載されている手順を使用し、工程4における3-メチルベンズアルデヒドの代わりに3-イソプロピルベンズアルデヒドを用いて、(E)-4-(5-(2-(3-イソプロピルベンジリデン)ヒドラジニル)-2-(ピリジン-4-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)モルホリンが調製される。[M+H]+=443.1。
【0153】
実施例14
PIKfyve阻害薬APY0201は、がん細胞系の増殖を選択的に阻害する
[0097] いくつかのがん細胞系の生存率を、2つの化合物:PIKfyve阻害薬APY0201、およびディナシクリブ(がん細胞増殖の強力な阻害薬としても当業者に公知であるCDK阻害薬)の存在下で評価した。多発性骨髄腫KMS12E、非ホジキンリンパ腫SU-DHL4、T細胞リンパ腫Hut-78の3つのがん細胞系、および健常個体に由来する正常なヒト末梢血単核細胞を試験した。細胞を、384ウェルプレートにおいて10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI培地に播種した。がん細胞を1000細胞/ウェルで播種し、正常細胞を1ウェル当たり10,000細胞で全体積30μL/ウェルとして播種した。播種の直後に、被験化合物を5つの濃度:10μM-1μM-0.01μM-0.001μMで各濃度についてデュプリケートウェルに添加した。細胞を、加湿インキュベータ中で5%CO2を用いて化合物に37℃で70時間曝露した。細胞生存率をPresto Blue試薬(Thermo Scientific/Invitrogen)によって決定した。ディナシクリブは、すべての細胞タイプの生存率を同様の効力で阻害した(IC50:10nM~15nM)。PIKfyve阻害薬APY0201は、3つのがん細胞系の生存率を強力に阻害した(IC50:33nM~46nM)が、ディナシクリブと異なって、正常PBMCの生存率を有意には阻害せず(IC50>10μM)、これは、正常細胞に比べてがん細胞に対する選択性が>100倍であることを示す。
図1A~1Dを参照のこと。
【0154】
[0098] 同様に、がん細胞系:T細胞リンパ腫Hut-78、多発性骨髄腫KMS12E、および正常ヒト末梢血単核細胞の生存率を、アピリモッド(apilomod)、APY0201、本開示の化合物1(本開示の実施例2に記載されている)、およびYM201636の存在下で評価した。アピリモッド、APY0201および化合物1は、正常細胞に比べてがん細胞に対する選択性を示した:
【0155】
【0156】
実施例15
LPSで刺激された正常ヒト末梢単球によるIL23分泌に対するPIKfyve阻害薬APY0201および化合物1(本開示の実施例2に記載されている)の効果
[0099] ヒトPBMCを、96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり150,000細胞の密度で10%FBSを添加したRPMI培地に播種した。細胞を化合物と共に2時間プレインキュベートした。プレインキュベートした後に、細胞を100ng/mLのLPSで18時間刺激した。分泌されたIL-23をELISAによって決定した(ヒトIL-23 Quantikine ELISAキット、R&D cat#D2300B)。結論:APY0201および化合物1(NSN22769と称する)は、LPS誘導PBMCによるIL-23の分泌を完全にブロックした。
図2Aおよび2Bを参照のこと。
【0157】
実施例16
PIKfyve阻害薬および化合物1(本開示の実施例2に記載されている)は、ML-2がん細胞系においてアポトーシスを誘導する
[0100] 急性骨髄単球性白血病細胞ML-2を、96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり50,000細胞の密度で10%FBSを補充したRPMI培地に播種した。細胞を化合物に曝露し、早期アポトーシスマーカーであるカスパーゼ3/7活性を化合物に曝露して15時間、24時間および41時間後に細胞において測定した。カスパーゼ活性は、Caspase-Glo(登録商標)3/7Assay(Promega)を使用して、製造業者によって提供されたプロトコルに従って決定された。結論: 化合物1(NSN22769と称する)を含む3つの化合物はすべて、ML-2細胞において早期アポトーシスの特徴であるカスパーゼ3/7活性化を起こした。
図3A~3Cを参照のこと。
【0158】
実施例17
生化学的PIKfyveアッセイ
[0101] バキュロウイルス発現系においてN末端GST-融合タンパク質(265kDa)として発現した全長ヒト組換えPIKFYVEは、Carna Biosciences(Kobe、Japan)から得られた。Bodipy標識ホスファチジルイノシトール3-ホスフェート(PI3P)は、Echelon Biosciences(Salt Lake City, UT USA)から得られた。1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(PS)は、Avanti Polar Lipids(Alabaster、AL US)から購入した。
【0159】
[0102] PI3P/PS基質を以下の通り調製した:クロロホルム中10mMのPS貯蔵液をガラス容器で調製した。1mMのPI3P貯蔵液を50mM HEPES(pH7.5)で調製した。実験の前に、PS貯蔵液を窒素流下で急速に蒸発させ、乾燥ペレットを50mM HEPES(pH7.5)に再懸濁して、最終濃度20μMにした。再懸濁したPSとPI3Pを、10μM PSと1μM PIP2の10:1のモル比で混合した。調製したPI3P/PSミックスを超音波水浴中で15分間音波処理した(3回、それぞれ5分)。
【0160】
[0103] キナーゼ反応を384ウェルプレート(Greiner)において全体積20μLで以下の通り組み合わせた:キナーゼタンパク質を、25mM HEPES(pH7.5)、1mM DTT、2.5mM MgCl2および2.5mM MnCl2、0.005%トリトンX-100を含むアッセイバッファーに前希釈し、384ウェルプレートに(1ウェル当たり10μL)分注した。被験化合物をDMSOに段階的に前希釈し、アコースティック分注(Labcyte Echo)によってタンパク質試料に添加した。DMSOの濃度を、すべての試料において1%に等しくした。すべての被験化合物を、12の濃度で3回繰り返して試験した。対照試料(阻害薬の非存在下で0%阻害、DMSOのみ)および100%阻害(酵素の非存在下)を、4回繰り返して組み合わせ、化合物の存在下における%阻害を算出するために使用した。反応は、10μLのATPを添加したPI3P/PS基質の添加によって開始した。酵素の最終濃度は2nMであった。ATPの最終濃度は10μMであった。キナーゼ反応を室温で3時間進行させた。インキュベートした後、50μLの停止バッファー(100mM HEPES(pH7.5)、0.01%トリトンX-100、20mM EDTA)の添加によって、反応をクエンチした。停止させたプレートをマイクロ流体電気泳動装置(Caliper LabChip(登録商標) 3000、Caliper Life Sciences/Perkin Elmer)で分析した。PI(3)P基質およびPI(3,5)P産物ピークの相対蛍光強度の変化をパラメータ測定した。各被験試料における活性を、産物対総計の比(PSR):P/(S+P)[式中、Pは、産物のピーク高さであり、Sは、基質のピーク高さである]として決定した。
【0161】
[0104] 阻害(%)(P阻害)は、次の方程式:P阻害=(PSR0%阻害-PSR化合物)/(PSR0%阻害-PSR100%阻害)*100[式中、PSR化合物は、化合物の存在下における産物/総計比であり、PSR0%阻害は、化合物の非存在下における産物/総計比であり、PSR100%阻害は、酵素の非存在下における産物/総計比である]を使用して決定した。化合物のIC50(50%阻害)を決定するために、XLfitソフトウェア(IDBS)を使用して4パラメータS字状用量応答モデルによって、%阻害cdata(P阻害対化合物濃度)を適合させた。
【0162】
[0105] このアッセイにおいて、アピリモッド、APY0201、本開示の化合物1(本開示の実施例2に記載されている)、およびYM201636がPIKfyveキナーゼを阻害する能力について試験した。結果を
図4および下記の表に示す。
【0163】