(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】シーケンスベースの通信ネットワークのための通信ノード
(51)【国際特許分類】
H04L 12/433 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
H04L12/433
(21)【出願番号】P 2020513284
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2018073386
(87)【国際公開番号】W WO2019048339
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-18
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518091705
【氏名又は名称】アール3-リライアブル リアルタイム レディオ コミュニケーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ボナナティ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ジェームズ
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-312665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0041345(US,A1)
【文献】特開2007-013825(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0026875(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/433
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の通信シーケンスに従って、通信システムにおける他のノードと通信可能な通信ノードであって、
当該通信ノードは、前記通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置と、対応する最適な先行ノードを決定するように構成され
ている分析ユニットを含
み、
前記通信システムは、トークンパッシングベースの無線リングシステムであり、トークンは前記所与の通信シーケンスに従ってノードからノードへ渡され、それによってリング状トークンパッシングシーケンスを形成し、当該通信ノードは、前記通信システムの前記他の通信ノードの各々から受信される信号に関するチャネル品質を測定するように構成されており、
当該通信ノードは、さらに、前記リング状トークンパッシングシーケンスに関して、その割り当てられた下流通信ノードにそれぞれの測定された品質値を転送するように構成されており、1つのリングサイクルの後に、前記通信ノードの各々が、前記通信システムにおいて各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するようにし、
当該通信ノードは、前記トークンの一部として、あるいは前記トークン内で前記測定された品質値を送信するように構成されている、通信ノード。
【請求項2】
当該通信ノードは、前記測定された品質値に基づいてチャネル品質マトリックスを生成するように構成されている、請求項
1に記載の通信ノード。
【請求項3】
当該通信ノードは、前記チャネル品質マトリックスを、前記トークンの一部として、あるいは前記トークン内でその割り当てられた下流通信ノードに送信するように構成されている、請求項
2のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項4】
前記通信システムはトークンパッシングベースの無線ネットワークであり、トークンは、前記所与の通信シーケンスに従って1つのノードから次のノードに渡されて、トークンパッシングシーケンスを形成する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項5】
前記分析ユニットは、前記通信システムに参加した後に、前記通信シーケンス内のその通信ノードの
前記最適な位置を決定するように構成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項6】
前記分析ユニットは、前記通信システムに参加する前に、前記通信シーケンス内のその通信ノードの前記最適な位置を決定するように構成されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項7】
前記分析ユニットは、
前記通信リンクの品質を記述する品質データに基づいて前記最適な位置を決定するように構成されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項8】
前記品質データは、前記通信ノードと前記通信システムの少なくとも2つの他のノードとの間の
前記通信リンクの品質を記述するデータを含む、請求項
7に記載の通信ノード。
【請求項9】
前記品質データは、前記通信システムの前記ノード間で交換されるデータを含み、前記通信システムの各ノードとその対応する先行ノードとの間の前記通信リンクの品質を記述する、請求項
7~
8のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項10】
前記分析ユニットは、前記通信システムに参加する前に、前記通信シーケンス内のその通信ノードの前記最適な位置を決定するように構成され
ており、
当該通信ノードの制御ユニットは、前記通信システムへの入場を管理するように構成されており、
前記制御ユニットは、前記通信システムのノードから受信した参加メッセージを評価し、前記分析ユニットによって識別された前記最適な先行ノードからの前記参加メッセージを受け入れ、前記通信システムの他のノードからの参加メッセージを無視する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項11】
前記分析ユニットは、前記通信システムに参加した後に、前記通信シーケンス内のその通信ノードの前記最適な位置を決定するように構成されており、
前記通信ノードの制御ユニットは、その最適な位置に到達するか、あるいは少なくともその位置を改善するために、前記通信システムの別のノードと場所をスワップするように構成されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項12】
当該通信ノードは、前記通信システムの中断後に、復元された通信システムに参加するための要求と、中断された前記通信システムのノード間の前記通信リンクの品質を記述する記憶された品質データを送信するように構成されている、請求項1~
11のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項13】
当該通信ノードは、前記通信システムの中断後に、前記通信システムの旧ノードから品質データを受信し、最適な新しい通信シーケンスを決定し
、前記新しい通信シーケンスを発表し、前記新しい通信シーケンスに従って前記通信システムへのノードの入場を勧誘する専用ノードとして機能することができる、請求項1~
12のいずれか一項に記載の通信ノード。
【請求項14】
所与の通信シーケンスに従って、通信システムにおける他のノードと通信可能な通信ノードを動作させる方法
であって、
前記通信シーケンス内の前記通信ノードの最適な位置と、対応する最適な先行ノードとが決定され
、 前記通信システムは、トークンパッシングベースの無線リングシステムであり、トークンは前記所与の通信シーケンスに従ってノードからノードへ渡され、それによってリング状トークンパッシングシーケンスを形成し、
前記通信ノードは、前記通信システムの前記他の通信ノードの各々から受信される信号に関してチャネル品質を測定し、
前記通信ノードは、さらに、前記リング状トークンパッシングシーケンスに関して、その割り当てられた下流通信ノードにそれぞれの測定された品質値を転送し、1つのリングサイクルの後に、前記通信ノードの各々が、前記通信システムにおいて各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するようにし、
前記通信ノードは、前記トークンの一部として、あるいは前記トークン内で前記測定された品質値を送信する、方法。
【請求項15】
所与の通信シーケンスに従って、通信システムにおいて他のノードと通信可能な
通信ノードを含む通信システムであって、
前記通信ノードの各々は、前記通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置と、対応する最適な先行ノードを決定するように構成され
ている分析ユニットを含
み、 前記通信システムは、トークンパッシングベースの無線リングシステムであり、トークンは前記所与の通信シーケンスに従ってノードからノードへ渡され、それによってリング状トークンパッシングシーケンスを形成し、
各通信ノードは、前記通信システムの前記他の通信ノードの各々から受信される信号に関してチャネル品質を測定するように構成されており、
前記通信ノードの各々は、さらに、前記リング状トークンパッシングシーケンスに従って、その割り当てられた下流通信ノードにそれぞれの測定された品質値を転送するように構成されており、1つのリングサイクルの後に、前記通信ノードの各々が、前記通信システムにおいて各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するようにし、
前記通信ノードの各々は、前記トークンの一部として、あるいは前記トークン内で前記測定された品質値を送信するように構成されている、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の通信シーケンスに従って通信システムにおいて他のノードと通信可能な通信ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2017/050705A1およびWO 2017/089388A1は、通信ノードが、割り当てられた下流の通信ノードに信号を送信し、割り当てられた上流の通信ノードから信号を受信するシーケンスベースの通信システムを開示している。より具体的には、通信システムは、トークンがノード間で渡されるトークンパッシングベースの無線リングシステムである。所与のノードを出発した後、トークンはトークンパッシングシーケンス全体を完了し、トークンパッシングシーケンスの他のノードの各々によって転送された後、この所与のノードに再び到達する。したがって、トークンパッシングシーケンスは、環状であり、閉ループシーケンスを形成する通信シーケンスである。WO2017/050705A1およびWO2017/089388A1によるトークンパッシングシーケンスは、単純リング形状とも呼ばれ得る。
【0003】
US2007/104215A1およびUS2011/267981A1は、メッシュ型の通信システム、すなわち、リング構造なしで、かつリング状トークンパッシングシーケンスなしの通信システムを開示している。
【0004】
US2011/082928A1は、参加ノードが、ランデブ連合のノードのリンクに参加するための方法であって、参加ノードは、参加ノードと選択された直近の隣接ノードとの間のid空間の一部について、id空間の所有権を取得する意図を示す。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、シーケンスベースの通信ネットワークにおける通信に関して改善された能力を有する通信ノードを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、特にシーケンスベースの通信ネットワークにおいて結果として生じる通信シーケンスに関して、改善された通信ノードの動作方法を提供することである。
【0007】
本発明の一実施形態は、所与の通信シーケンスに従って通信システム内の他のノードと通信可能な通信ノードに関する。通信ノードは、通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置と、対応する最適な先行ノードを決定するように構成された分析ユニットを含む。
【0008】
本発明のこの実施形態の利点は、通信ノードが、例えば、EchoRing(すなわち、トークンがトークンパッシングシーケンスに従って1つのノードから次のノードへ渡されるトークンパッシングベースの無線ネットワーク)のようなシーケンスベースのネットワークにおいてトポロジー管理を実行および/またはサポートすることが可能であることである。最適化されたトポロジーと最適化されたトークンパッシングは、特に待ち時間クリティカルなアプリケーションでは、無線システムにおける時間管理に極めて重大である。トークンパッシングは、トークンがネットワークを通過し、ノード間のリンクが典型的には異なる品質を有する固定シーケンスを想定しているため、残りのシーケンスよりもより良いなんらかのトークンパッシングシーケンスが常に存在する。「より良い」という用語は、トークンで渡す間に達成できる信頼性を意味する。上述の通信ノードは、たとえネットワーク内のリンク品質が経時的に変化するとしても、EchoRingのようなトークンパッシングシステムが、ランタイム中にその最適なトークンパッシングシーケンスを達成することを可能にする。
【0009】
通信システムは、好ましくは、トークンパッシングベースの無線ネットワークであり、トークンは、通信シーケンスに従って、1つのノードから次のノードへ渡され、それによってトークンパッシングシーケンスを形成する。
【0010】
トークンパッシングシーケンスは、単純なリング形状であってもよい。以下、「単純なリング形状」という用語は、所与のノードを出発した後、トークンが、トークンパッシングシーケンス全体を完了し、トークンパッシングシーケンスの他のノードの各々によって転送された後、この所与のノードに再び到達することを意味する。
【0011】
代替的には、トークンパッシングシーケンスは、拡張リング形状であってもよい。以下、「拡張リング形状」という用語は、各トークンパッシングシーケンス中に1つ以上のノードがトークンを1回より多く受信し、転送することを意味する。好ましくは、より重要なノード(例えば、他のノードと比較してより多くのデータを送信する必要があるノード)は、各トークンパッシングシーケンス中に、より重要でないノード(例えば、重要なノードと比較してより少ないデータを送信する必要があるノード)よりも頻繁にトークンを受信し、転送する。
【0012】
トークンは、好ましくは、単一および/または一意のトークンパケットによって形成される。
【0013】
分析ユニットは、好ましくは、通信システムに参加した後に、通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置を決定するように構成される。
【0014】
代替的または追加的に、分析ユニットは、通信システムに参加する前に、通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置を決定するように構成されてもよい。
【0015】
分析ユニットは、好ましくは、通信リンクの品質を記述する品質データに基づいて最適な位置を決定するように構成されている。
【0016】
品質データは、好ましくは、通信ノードと通信システムの少なくとも2つの他のノードとの間の通信リンクの品質を記述するデータからなるか、あるいはそれを含む。
【0017】
さらに、品質データは、通信システムのノード間で交換されるデータを含み、通信システムの各ノードとその対応する先行ノードとの間の通信リンクの品質を記述する。
【0018】
通信ノードの制御ユニットは、好ましくは、通信システムへの入力を管理するように構成されている。制御ユニットは、好ましくは、通信システムのノードから受信される参加メッセージを評価し、分析ユニットによって識別された最適な先行ノードからの参加メッセージを受け入れ、通信システムの他のノードからの参加メッセージを無視する。代替的または追加的に、制御ユニットは、その最適な位置に到達するため、あるいは少なくともその位置を改善するために、通信システムの別のノードと場所のスワップを開始および/または管理するように構成されてもよい。場所のスワップは、好ましくは、制御ユニットの通信ノードのトークン保持時間中に開始および実行される。好ましくは、通信ノードが送信されるペイロード情報を保持しない場合、スワップが開始および実行される。
【0019】
さらに、通信ノード、例えばその制御ユニットは、好ましくは、通信システムの中断後に、復元された通信システムに参加する要求と、中断された通信システムのノード間の通信リンクの品質を記述する記憶された品質データを送信するように構成されている。
【0020】
さらに、通信ノード、例えば、その制御ユニットは、好ましくは、通信システムの中断後に、通信システムの旧ノードから品質データを受信し、最適な新しい通信シーケンスを決定し、新しい通信シーケンスを発表し、新しい通信シーケンスに従ってノードの通信システムへのノードのエントリーを勧誘する専用ノードとして活動することができる。
【0021】
通信ノードは、好ましくは、プロセッサと、メモリと、トランシーバモジュールとを含む。トランシーバモジュールは、データ信号を送受信する。
【0022】
分析ユニットおよび制御ユニットは、好ましくは、通信ノードのメモリに記憶されるソフトウェアモジュールである。プロセッサは、好ましくはメモリに接続され、ソフトウェアモジュールを実行する。
【0023】
分析ユニットを形成するソフトウェアモジュールは、好ましくは、通信システムに参加する前および/または後に、通信シーケンス内のその通信ノードの最適な位置を決定するようにプログラムされる。
【0024】
制御ユニットを形成するソフトウェアモジュールは、好ましくは、
- 通信システムへのエントリーを管理し、および/または
- 通信シーケンス内で場所のスワップを開始および管理し、および/または
- 中断されたネットワークを再確立する、ようにプログラムされている。
【0025】
通信システムは、トークンが所与の通信シーケンスに従ってノードからノードへと渡されるトークンパッシングベースの無線リングシステムであることが好ましく、それによって単純または拡張リング形状のトークンパッシングシーケンスを形成する。
【0026】
通信ノードは、好ましくは、通信システムの他の通信ノードの各々から受信される信号に関するチャネル品質を測定するように構成される。
【0027】
通信ノードは、好ましくは、それぞれの測定された品質値を、その割り当てられた下流の通信ノード(単純または拡張リング状トークンパッシングシーケンスに関する割り当て)に転送するようにさらに構成され、1つのリングサイクル後に、通信ノードの各々が、通信システム内の各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するようにする。
【0028】
通信ノードは、好ましくは、トークンの一部として、またはトークン内で測定された品質値を送信するように構成されている。
【0029】
通信ノードは、好ましくは、測定された品質値に基づいてチャネル品質マトリックスを生成するように構成されている。
【0030】
通信ノードは、好ましくは、トークンの一部として、またはトークン内で、その割り当てられた(リング状トークンパッシングシーケンスに関して)下流通信ノードにチャネル品質マトリックスを送信するように構成されている。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、所与の通信シーケンスに従って通信システム内の他のノードと通信可能な通信ノードの動作方法に関し、通信シーケンス内の通信ノードの最適な位置と、対応する最適な先行ノードが決定される。
【0032】
通信システムに参加する前に、対応する最適な先行ノードが決定されてもよい。最適な先行ノード以外の他のノードからの参加メッセージは、好ましくは、無視され、最適な先行ノードからの参加メッセージは、好ましくは、待機され、受信したら受け入れられる。
【0033】
通信シーケンス内の通信ノードの最適な位置は、通信システムに参加した後に、追加的または代替的に決定されてもよい。通信ノードがその最適な位置に到達するか、少なくともその位置を改善するために、場所のスワップが開始されてもよい。
【0034】
さらに、通信ノードは、通信システムの中断後に、通信システムの旧ノードから品質データを受信し、最適な新しい通信シーケンスを決定し、新しい通信シーケンスを発表し、新しい通信シーケンスに従って通信システムへのノードのエントリーを勧誘する専用ノードとして動作してもよい。
【0035】
本発明のさらなる実施形態は、所与の通信シーケンスに従って通信システム内の他のノードと通信可能なノードを含む通信システムに関し、通信ノードの各々は、通信シーケンス内のその通信ノードのその最適な位置と、対応する最適な先行ノードを決定するように構成された分析ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の上記および他の利点が得られる方法が容易に理解されるようにするために、添付の図面に示されている本発明の特定の実施形態を参照することにより、簡単に上述した本発明のより詳細な説明が与えられる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、その範囲を限定するものではないと考えられると理解し、添付の図面を使用することにより、本発明をさらに具体的かつ詳細に記載および説明する。
【0037】
【
図1】新しい通信ノードがネットワークに参加する直前のシーケンスベースの通信ネットワークの例示的な実施形態を示す。
【
図2】新しい通信ノードがネットワークに参加する直前のシーケンスベースの通信ネットワークの別の例示的な実施形態を示す。
【
図3】ネットワークのノード間の場所のスワップ中のシーケンスベースの通信ネットワークの例示的な実施形態を示す。
【
図4】ネットワークの崩壊後のネットワークの再構築中のシーケンスベースの通信の例示的な実施形態を示す。
【
図5】
図1~
図4の通信ネットワークのための通信ノードの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本発明は、本明細書の図面に一般的に記載および説明されているように、広範囲に変化できることが容易に理解されるであろう。したがって、本発明の例示的な実施形態の以下のより詳細な説明は、図面に表されるように、本発明の範囲を制限することを意図しておらず、請求項に記載されるように、本発明の現在のところ好ましい実施形態を単に代表しているに過ぎない。
【0039】
図1は、通信システム10の例示的な実施形態を示す。通信システム10の通信ノードN1、N2、N3、N4は、所与の通信シーケンスSに従って互いに通信する。通信システム10は、トークンTが通信シーケンスSに従って1つのノードから次のノードへと渡されるトークンパッシングベースの無線ネットワークであってもよい。例えば、通信システム10は、トークンパッシングシーケンスSに基づいた無線トークンリングシステムであってもよい。
【0040】
ローミングしている通信ノードCNが通信システム10に参加する意図があると仮定すると、通信ノードCNは以下のように動作する:
最初に、通信ノードCNは、他ノードN1~N4から受信した信号を評価する。受信した信号に基づいて、それぞれの通信リンクのチャネルまたはリンクの品質を記述する品質データを決定する。品質データは、品質値G(N1,CN)、G(N2,CN)、G(N3,CN)およびG(N4,CN)からなるか、あるいはこれらを含んでもよい。
【0041】
品質値G(N1,CN)、G(N2,CN)、G(N3,CN)およびG(N4,CN)は、伝送速度、ビット誤り率および/または中断継続時間に基づいて計算されてもよい。例えば、値は以下のように計算されてもよい:
G(Ni,CN)=sum(s1, ... si, ... st)/t
ここで、siは、1≦i≦tで、時刻インスタンスiで受信された基準信号のプリアンブルの受信信号強度を指す。
【0042】
通信ノードCNは、品質値G(N1,CN)、G(N2,CN)、G(N3,CN)、G(N4,CN)に基づいて、通信シーケンスS内の最適な位置を決定してもよい。例えば、通信ノードCNが最高品質値と、対応するノードN1、N2、N3またはN4を決定する。最高品質値を有する通信ノードは対応する最適な先行ノードとして選択されてよい。例えば、
G(N1,CN)>G(N2,CN)、G(N3,CN)およびG(N4,CN)
である場合、通信ノードCNは、その最適な先行ノードとして通信ノードN1を選択してもよい。
【0043】
その後、通信ノードCNは、この最適な先行ノードN1からの参加メッセージを待機し、受信したらこの参加メッセージを受け付ける。他のノードN2~N4からの参加メッセージは無視される。
【0044】
図2において、通信ノードCNは、通信ノードN1、N2、N3およびN4間の通信もオーバーヒアリング(overhear)することもできると想定する。さらに、通信ノードN1~N4の各々が、他の通信ノードの各々から受信した信号に関するチャネル品質を測定すると想定する。それぞれの測定された品質値は、1つのリングサイクル後、通信ノードN1~N4の各々が通信システム10内の各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するように、対応する次の通信ノードに転送される。
【0045】
図2の実施形態では、品質値は、3×4チャネル品質マトリックスMを形成する。例えば、品質値は、以下のようにしてもよい:
【数1】
または
【数2】
【0046】
通信ノードCNは、通信ノードN1~N4間の通信をオーバーヒアリングすることができるため、通信ノードCNは、すべての品質値およびそれぞれの3×4チャネル品質マトリックスMを受信する。したがって、通信ノードCNは、この情報をその意思決定プロセスに含めることができる。
例えば、
【数3】
である場合、通信ノードCNは、通信ノードN4または通信ノードN1をその将来の先行ノードとして選択する可能性がある。しかし、G4,1はG1,2よりかなりより良いため、通信ノードN1をその先行ノードとして選択すると、「良い」(G4,1=4)リンクN4->N1が変更されないままで、比較的「悪い」(G1,2=2)リンクN1->N2が置き換えられるため、全体的なリンク品質が改善される可能性がある。G(CN,N2)は意思決定時には必ずしも知られていないが、G1,2=2よりもより良い可能性があり、これは、例えば、G(N2,CN)の品質値によって示され得る。
【0047】
したがって、通信ノードCNは、好ましくは、将来の先行ノードとして通信ノードN4を選択する。
【0048】
図3は、通信ノードN1、N2、N3およびN4がトークンパッシングシーケンスSに従って互いに通信する通信システム10の別の実施形態を示す。利用されるシーケンスは、最初はN1->N2->N3->N4->N1などであり、通信ノードN1~N4の各々が、他の通信ノードの各々から受信した信号に関するチャネル品質を測定すると想定する。それぞれの測定された品質値は、1つのリングサイクル後、通信ノードN1~N4の各々が各可能な通信リンクの品質に関する知識を有するように、対応する次の通信ノードに転送される。
【0049】
図3の実施形態では、品質値は、例えば、以下のように、3×4チャネル品質マトリックスMを形成する:
【数4】
【0050】
全ての可能なリンクの品質は、3×4チャネルの品質行列Mによって記述されるため、各通信ノードは、通信シーケンスSにおけるその最良の位置を決定してもよい。これは、以下、通信ノードN1を参照して説明する。以下の説明は、好ましくは同一に動作する他の通信ノードN2~N4に対しても有効であることは明らかである。
【0051】
通信ノードN1は、通信シーケンスS内のその最良の位置を決定するために、通信シーケンスS内の各可能な位置に対して結果として得られる平均的なチャネル品質を決定してもよい。
- Acq4は、N4がノードN1の先行ノードである場合、結果として得られる平均チャネル品質を指定し、
- Acq2は、N2がノードN1の先行ノードである場合、結果として得られる平均チャネル品質を指定し、
- Acq3は、N3がノードN1の先行ノードである場合、結果として得られる平均チャネル品質を指定する。
【0052】
図3に示すように、通信ノードN4が通信ノードN1の先行ノードである場合、平均チャネル品質Acq4は以下のように計算されてもよい:
【数5】
【0053】
通信ノードN1がその場所を通信ノードN2とスワップする場合、結果として得られる通信シーケンスSは以下のようになる:
N2->N1->N3->N4
【0054】
平均チャネル品質Acq2は以下のように計算される:
【数6】
【0055】
通信ノードN1がその場所を通信ノードN3とスワップする場合、結果として得られる通信シーケンスSは以下のようになる:
N2->N3->N1->N4
【0056】
平均チャネル品質Acq3は以下のように計算される:
【数7】
【0057】
上記の計算によれば、通信ノードN1に対する最良の先行ノードは通信ノードN2である。これは、
Acq2>Acq1、Acq3およびAcq4
であるためである。
【0058】
この分析結果に応答して、通信ノードN1は、通信ノードN2とその場所をスワップするために、通信シーケンスSの修正を開始する。場所のスワップは、
図3において参照符号SPによって示される。それに従って、スワップ要求は、他のすべてのノードまたは少なくとも専用のノード(マスターノード)が、もしあれば、同意する場合、通信リングを通過し、次いで実施される。
【0059】
代替的には、そのような好ましいスイッチが発見されると、通信ノードN1が送信されるペイロード情報を保持しない場合、それ自身の到来トークンの保持時間を使用して、スイッチを開始してもよい。この開始は、まず、スイッチをするステーションの前任者とのスイッチを要求することによって行われてもよい。例えば、ノードN3がスイッチするのに最適なノードであると識別される場合、N1は、N2であるN3の前任者とのスイッチを最初に要求する。これがスイッチを確認する場合、それは、それ自身の前任者(上記の場合はN4)にさらに発表され、その後に別のものが続いてもよい。これが同様に正常に確認される場合、最終的にスイッチするステーションに発表される(この例ではN3)。2つの他の前任者(この例ではN2、N4)もスイッチの最終発表をオーバーヒアリングしなければならない。これが対応するステーション(この場合はN3)によって確認される場合にのみ、スイッチは次のトークン回転において実行される。
【0060】
図4は、1つの通信ノード、ここでは通信ノードN3が専用ノードとして動作する、通信システム10の例示的な実施形態を示す。専用ノードN3は、何らかの理由で通信が中断された場合に、通信システム10およびその通信シーケンスSを再構築するように構成されている。
【0061】
通信システム10の中断後、専用ノードN3は、旧ノードN1、N2および/またはN4(それらが依然としてアクティブである場合)から品質データを受信する。品質データは、上述のように、3×4チャネル品質マトリックスMを含んでもよいし、それからなってもよい。
【0062】
受信したデータに基づいて、専用ノードN3は、依然としてアクティブなノードに関して最適な新しい通信シーケンスSを決定し、その後、新規の通信シーケンスSを発表し、最後に、新しい通信シーケンスSに従って、通信システム10への依然としてアクティブなノードのエントリーを勧誘する。
【0063】
図5は、
図1~
図4に示す実施形態に関して上述の説明で述べた通信ノードN1~N4またはCNのいずれかを形成することができる通信ノード200の例示的な実施形態を示す。
【0064】
通信ノード200は、分析ユニット210と制御ユニット220とを含む。分析ユニット210と制御ユニット220は、好ましくは、通信ノード200のメモリ230に格納されたソフトウェアモジュールである。通信ノード200のプロセッサ240は、メモリに接続され、ソフトウェアモジュール210および220を実行する。通信ノード200のトランシーバモジュール250は、データ信号を送受信する。
【0065】
分析ユニット210は、通信システム10(
図1~
図4参照)に参加する前および/または後に、通信シーケンスS内のその通信ノード200の最適な位置を決定するようにプログラムされ、したがってそのように構成されてもよい。
【0066】
制御部220は、好ましくは、通信システム10へのエントリーを管理するようにプログラムされ、したがってそのように構成されている。制御部220は、通信システムのノードから受信した参加メッセージを評価し、分析ユニット210によって識別された最適な先行ノードからの参加メッセージを受け入れ、通信システムの他のノードからの参加メッセージを無視する。
【0067】
制御ユニット220は、好ましくは、分析ユニット210の結果がそのようなスワップを推奨する場合、そのノード200の位置を改善するために、通信システムの別のノードとの場所のスワップを実行するようにさらにプログラムされ、したがってさらにそのように構成されている。
【0068】
制御ユニット220は、好ましくは、通信システムの中断後に、復元された通信システムに参加する要求と、中断された通信システムのノード間の通信リンクの品質を記述する記憶された品質データを送信するようにさらにプログラムされ、したがってさらにそのように構成されている。
【0069】
さらに、制御ユニット220は、その通信ノード200が専用ノードとして活動することを可能にするようにプログラムされ、したがってさらにそのように構成されてもよい。通信システムの中断後、専用ノードは、通信システムの旧であり依然としてアクティブなノードから品質データを受信し、最適な新しい通信シーケンスを決定し、新しい通信シーケンスを発表し、新しい通信シーケンスに従って通信システムへのノードのエントリーを勧誘する。
【0070】
要約すると、
図1~5を参照して上述した実施形態は、例えば、EchoRing(すなわち、トークンがトークンパッシングシーケンスに従って1つのノードから次のノードへ渡されるトークンパッシングベースの無線ネットワーク)のようなシーケンスベースのネットワークにおけるトポロジー管理を実行することができる。トークンパッシングは、待ち時間クリティカルなアプリケーションのための無線システムにおける時間管理に極めて重大である。トークンパッシングは、トークンがネットワークを通過し、ノード間のリンクが典型的には異なる品質を有する固定されたシーケンスを想定しているため、残りのシーケンスよりもより良いなんらかのトークンパッシングシーケンスが常に存在し、ここで、より良いは、トークンで渡す間に達成できる信頼性を意味する。したがって、目標は、EchoRingのようなトークンパッシングシステムが、ネットワーク内のリンク品質が経時的に変化する可能性があるため、ランタイム中にこの最適なトークンパッシングシーケンスを達成することを可能にすることである。この点に関して、3つの異なるメカニズムが、
図1~5を参照して例示的な方法で説明されている:
【0071】
「新しいステーションの最適な参加」:
新しいステーションがすでに存在するリング(例えば、EchoRingネットワーク)に参加したい場合、通常の手順では、既存のネットワーク内のいくつかの他のステーションの勧誘発表を待って、次いで、特別なメッセージを通じて、ネットワークへの参加の関心を示すようにステーションに指令する。これは、リンク状態を考慮することなくなされる。上述の手順では、新しいステーションは、勧誘メッセージに答える前に、最初に既存のネットワークのすべてのステーションに対するチャネル状態を観察する。したがって、十分なチャネル情報を収集した後、ステーションは、最も好ましいリンク条件を有するステーションからの勧誘メッセージに答えることを選択する。チャンネル観測は、システム内の通常のトークン伝送をオーバーヒアリングすることにより、ステーションによって行われ得る。
【0072】
「ネットワーク動作中のシーケンス調整」:
通信システム(例えば、EchoRingシステム)の動作中に、リンク状態が著しく変化する可能性があり、新しいトークンパッシングシーケンスを古いものよりもより良い選択にする。ランタイムでのシステムの再構成を調整するために、上述のメカニズムは好ましいと思われる:ステーションは、分散チャネル状態情報に基づいて、トークンパッシングシーケンスが(ペアされたスイッチのみを考慮して)他のステーションのいずれかとその順序でそれらの位置を変更することによって改善され得るかどうかを定期的にチェックする。そうするためには、各局にトークンパッシングシーケンスが提供されなければならず、これは、別のメッセージによって発表され得るか、あるいはネットワークの動作から観察され得る。このような好ましいスイッチが発見されると、ステーションは、送信されるペイロード情報を保持しない場合、それ自身の到来トークンの保持時間を使用して、スイッチを開始してもよい。この開始は、まず、スイッチをするステーションの前任者とのスイッチを要求することによって行われてもよい。これがスイッチを確認する場合、それは、それの前任者にさらに発表され、その後に別の確認が続いてもよい。これが同様に確認される場合、最終的にスイッチするステーションに発表されてもよい。2つの他の前任者もスイッチの最終発表をオーバーヒアリングする。この最終メッセージが対応するステーションによって確認される場合、スイッチは次のトークンローテーションで実行されてもよい。
【0073】
「完全に分解されたネットワークの最適な復元」:
急激なチャネルの変化または干渉により、リングシステム(例えば、EchoRingシステム)が完全に崩壊する可能性がある。これが起きる場合、リフォームを担当する専用のステーションは、ネットワークのダウンタイムを大幅に短縮することができる。このようなステーションは、リング動作中の周期的な発表を通じて定義され得る。リングが崩壊する場合、再構築は以下の方法で実行される:リングに以前に属していたステーションは、ネットワークに参加するためにそれらの関心を持って定期的にアナウンスメッセージを送信する。これらのメッセージは、それらが他のパケット伝送から測定したオーバーヒアリングされた以前のチャネル状態についての情報を含有する。これらはリンクを識別するステーションアドレスを含むべきである。この情報が専用ステーションによって収集されると、収集されたチャネル状態情報に関して最も信頼性の高いトークンパッシングシーケンスを生成する。これに基づいて、新しいリングへのステーションのエントリーの勧誘を開始し、新しいシーケンスを発表する。新しいシーケンスでこのメッセージをオーバーヒアリングするステーションは、リングに参加する順番になるまでリングを待つ。