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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20220721BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20220721BHJP
【FI】
E02F9/26 A
B60R1/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021100921
(22)【出願日】2021-06-17
(62)【分割の表示】P 2020078339の分割
【原出願日】2016-03-09
(65)【公開番号】P2021139290
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2015074059
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 正臣
(72)【発明者】
【氏名】栗原 毅
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253402(JP,A)
【文献】特開2013-239873(JP,A)
【文献】特開2012-74929(JP,A)
【文献】特開2014-64209(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122245(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するためのシステムであって、
前記油圧ショベルの周囲を撮像する複数のカメラと、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する作業機表示処理部と、
前記俯瞰画像生成部で生成された俯瞰画像に、前記作業機表示処理部で切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる画像重畳部とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記作業機の動作及び前記油圧ショベルの走行動作の少なくともいずれかを判定する操作判定部を備え、
前記作業機表示処理部は、前記操作判定部で前記作業機の動作及び前記油圧ショベルの走行動作の少なくともいずれかの動作がなされたと判定されたら、前記油圧ショベルの上方視点画像を前記第1状態から前記第2状態に切り替えて表示することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシステムにおいて、
前記作業機表示処理部は、前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳した俯瞰画像に前記油圧ショベルの上方視点画像の作業機部分の外縁線を表示することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のシステムにおいて、
前記複数のカメラのうち、少なくとも1つのカメラは、前記油圧ショベルの本体の下方を撮像可能とされ、
前記作業機表示処理部は、前記作業機の少なくとも一部に加え、前記油圧ショベルの本体部分の少なくとも一部を非表示として前記第2状態を表示することを特徴とするシステム。
【請求項5】
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するためのシステムであって、
前記油圧ショベルの周辺を監視する周辺監視レーダーと、
前記油圧ショベルの周囲を撮像する複数のカメラと、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、検出された障害物の位置に近い前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する作業機表示処理部と、
前記俯瞰画像生成部で生成された俯瞰画像に、前記作業機表示処理部で切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる画像重畳部とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記周辺監視レーダーからの信号に基づいて前記油圧ショベルの周辺の障害物の有無を判定するレーダー状態判定部を備え、
前記作業機表示処理部は、前記レーダー状態判定部で障害物が検出されたと判定されたら、前記油圧ショベルの上方視点画像を前記第1状態から前記第2状態に切り替えて表示することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のシステムにおいて、
前記作業機表示処理部は、前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳した俯瞰画像に前記油圧ショベルの上方視点画像の作業機部分の外縁線を表示することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載のシステムにおいて、
前記複数のカメラのうち、少なくとも1つのカメラは、前記油圧ショベルの本体の下方を撮像可能とされ、
前記作業機表示処理部は、前記障害物が検出された場合、前記作業機の少なくとも一部に加え、前記障害物の位置に近い前記油圧ショベルの本体部分の少なくとも一部を非表示として前記第2状態を表示することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記油圧ショベルに設けられる表示手段を備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記油圧ショベルとの間で通信を行う通信手段と、
遠隔操作席、管制室、及び遠隔操作用の携帯端末のいずれかに設けられる表示手段とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するための方法であって、
複数のカメラで前記油圧ショベルの周囲を撮像する工程と、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する工程と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する工程と、
前記生成された俯瞰画像に、前記切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するための方法であって、
レーダーで前記油圧ショベルの周辺を監視する工程と、
複数のカメラで前記油圧ショベルの周囲を撮像する工程と、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する工程と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、検出された障害物の位置に近い前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する工程と、
前記生成された俯瞰画像に、前記切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる工程とを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山作業などに用いられる油圧ショベル等の作業機械は、一般の建設現場等で用いられる作業機械よりも格段に大きく、作業機械の大きさに応じた大容量のバケット等を用いて掘削作業等の効率化を図っている。
このような作業機を備えた作業機械の1つである油圧ショベルは、通常、上部旋回体の前方左上部に操縦席が設けられている。
【0003】
操縦席の設置位置は、上部旋回体の前方近接下方位置や右側方、後方等の領域に対する視界性が悪いため、操縦席の近傍に多くのミラーを設置しているが、これらのミラー自体も小さいため、作業者は、旋回操作時、障害物に上部旋回体の後方にあるカウンターウェイト周辺部分や前方の作業機(ブーム、アーム、バケット等)部分を衝突させないよう注意する必要があり、作業者への負担が過大になるという問題がある。
このため、従来、作業機械の車体に複数のカメラを取り付け、各カメラで撮像された画像から俯瞰画像を生成し、操縦席内部に設けられたモニターにより、操縦者が上部旋回体の周囲の状況を確認しながら、上部旋回体の旋回操作を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-253402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような俯瞰画像では、モニター上に表示された俯瞰画像のどの向きが作業機の作業方向なのか判別しにくいため、モニター上に作業機がどこにあるかをすぐに判別できる画像が要望されている。
一方、特許文献1に記載の技術では、油圧ショベルの向きと俯瞰画像の位置関係を作業者に認識しやすくするため、各カメラで撮像して生成された俯瞰画像上に、油圧ショベルの画像データを重畳させている。しかし、この油圧ショベルの画像データには前方に突き出した作業機部分まで表示されているため、作業機の下方にある障害物等をモニター上で判別しにくいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、作業機の下方にある障害物等を容易に確認することができ、かつ作業機の作業方向を容易に判別することのできるシステムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るシステムは、
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するためのシステムであって、
前記油圧ショベルの周囲を撮像する複数のカメラと、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する作業機表示処理部と、
前記俯瞰画像生成部で生成された俯瞰画像に、前記作業機表示処理部で切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる画像重畳部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、作業機表示処理部を備えていることにより、上方視点画像の作業機の少なくとも一部を非表示とすることができるため、作業機の下方領域を俯瞰画像上に表示させることができ、作業者が作業機の下の障害物等を容易に判別することができる。
また、作業機表示処理部を機能させないことにより、俯瞰画像上に作業機の部分を表示させることもできるため、作業者が俯瞰画像と作業機の位置関係や方向を知りたい場合に、作業機の位置や作業方向を容易に判別することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るシステムは、第1の態様において、
前記作業機の動作及び前記油圧ショベルの走行動作の少なくともいずれかを判定する操作判定部を備え、
前記作業機表示処理部は、前記操作判定部で前記作業機の動作及び前記油圧ショベルの走行動作の少なくともいずれかの動作がなされたと判定されたら、前記油圧ショベルの上方視点画像を前記第1状態から前記第2状態に切り替えて表示することを特徴とする。
第2の態様によれば、作業者が作業機を操作又は作業機械の走行操作をしたときに、上方視点画像の作業機の少なくとも一部を非表示とするので、作業機の下方の状態を確認しながら、安全に作業機を操作することができる。
加えて、操作判定部で作業機の操作及び作業機械の走行操作の少なくともいずれかの操作がなされた、又は、作業機の停止操作及び作業機械の走行操作の少なくともいずれかの停止操作がなされたと判定されたら、作業機表示処理部が、作業機及び作業機械の少なくともいずれかの一部を表示した状態とするので、作業者は、現在作業機械がどの方向に向いているのかを直ちに確認することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係るシステムは、第1の態様または第2の態様において、
前記作業機表示処理部は、前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳した俯瞰画像に前記油圧ショベルの上方視点画像の作業機部分の外縁線を表示することを特徴とする。
第3の態様によれば、作業機等が非表示中であっても作業機部分の外縁線が表示されるので、作業者は上方視点画像で作業機等が非表示中とされていても、作業機械がどの方向に向いているかを確認することができる。
【0011】
本発明の第4の態様に係るシステムは、第1の態様または第2の態様において、
前記複数のカメラのうち、少なくとも1つのカメラは、前記油圧ショベルの本体の下方を撮像可能とされ、
前記作業機表示処理部は、前記作業機の少なくとも一部に加え、前記油圧ショベルの本体部分の少なくとも一部を非表示として前記第2状態を表示することを特徴とする。
第4の態様によれば、作業機の下方に加え、作業機械の本体の下方領域を俯瞰画像上に表示させることができ、作業者が作業機械の下の障害物等を容易に判別することができる。
【0012】
本発明の第5の態様に係るシステムは、
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するためのシステムであって、
前記油圧ショベルの周辺を監視する周辺監視レーダーと、
前記油圧ショベルの周囲を撮像する複数のカメラと、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、検出された障害物の位置に近い前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する作業機表示処理部と、
前記俯瞰画像生成部で生成された俯瞰画像に、前記作業機表示処理部で切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる画像重畳部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様に係るシステムは、第5の態様において、
前記周辺監視レーダーからの信号に基づいて前記油圧ショベルの周辺の障害物の有無を判定するレーダー状態判定部を備え、
前記作業機表示処理部は、前記レーダー状態判定部で障害物が検出されたと判定されたら、前記油圧ショベルの上方視点画像を前記第1状態から前記第2状態に切り替えて表示することを特徴とする。
第6の態様によれば、レータ状態判定部により、障害物が検出されたら、当該障害物の位置に近い作業機の少なくとも一部を非表示、透過表示とされるため、作業者は上方視点画像において、容易に障害物を確認することができる。
【0014】
本発明の第7の態様に係るシステムは、第5の態様または第6の態様において、
前記作業機表示処理部は、前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳した俯瞰画像に前記油圧ショベルの上方視点画像の作業機部分の外縁線を表示することを特徴とする。
【0015】
本発明の第8の態様に係るシステムは、第5の態様または第6の態様において、
前記複数のカメラのうち、少なくとも1つのカメラは、前記油圧ショベルの本体の下方を撮像可能とされ、
前記作業機表示処理部は、前記障害物が検出された場合、前記作業機の少なくとも一部に加え、前記障害物の位置に近い前記油圧ショベルの本体部分の少なくとも一部を非表示として前記第2状態を表示することを特徴とする。
【0016】
本発明の第9の態様に係るシステムは、第1態様乃至第8の態様のいずれか1つの態様において、
前記油圧ショベルに設けられる表示手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第10の態様に係るシステムは、第1態様乃至第8の態様のいずれか1つの態様において、
前記油圧ショベルとの間で通信を行う通信手段と、
遠隔操作席、管制室、及び遠隔操作用の携帯端末のいずれかに設けられる表示手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の第11の態様に係る方法は、
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するための方法であって、
複数のカメラで前記油圧ショベルの周囲を撮像する工程と、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する工程と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する工程と、
前記生成された俯瞰画像に、前記切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第12の態様に係る方法は、
バケットを含む作業機を備えた油圧ショベルの周辺を監視するための方法であって、
レーダーで前記油圧ショベルの周辺を監視する工程と、
複数のカメラで前記油圧ショベルの周囲を撮像する工程と、
前記複数のカメラで撮像された画像に基づいて、俯瞰画像を生成する工程と、
前記油圧ショベルの上方視点画像を、前記バケットを含む前記作業機を表示した状態にする第1状態と、検出された障害物の位置に近い前記作業機の少なくとも一部を非表示とする第2状態との間で切り替えて表示する工程と、
前記生成された俯瞰画像に、前記切り替えられた前記油圧ショベルの上方視点画像を重畳させる工程とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る上部旋回体を備えた作業機械の側面図。
図2】前記実施形態における上部旋回体を備えた作業機械の背面図。
図3】前記実施形態における上部旋回体を備えた作業機械の平面図。
図4】前記実施形態における上部旋回体を備えた作業機械のキャブ内部の構造を示す正面図。
図5】前記実施形態における周辺監視装置の構造を示すブロック図。
図6】前記実施形態における周辺監視装置の制御手段の機能ブロック図。
図7】前記実施形態における俯瞰画像の生成を説明するための模式図。
図8】前記実施形態における画像重畳部で重畳する作業機械の上方視点画像を表す模式図。
図9】前記実施形態における作業機械の上方視点画像の作業機を作業機表示処理部で非表示とした状態を表す模式図。
図10】前記実施形態における作業機械の上方視点画像の作業機の一部を作業機表示処理部で非表示とした状態を表す模式図。
図11】前記実施形態における作業機械の上方視点画像の作業機を作業機表示処理部で透過表示とした状態を表す模式図。
図12】前記実施形態における作業機械の上方視点画像のカウンターウェイトをカウンターウェイト表示処理部で非表示とした状態を表す模式図。
図13】前記実施形態における周辺監視装置の表示手段に表示された画像を示す模式図。
図14】前記実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
図15】前記実施形態における作業機表示処理及びカウンターウェイト表示処理を行った画像を表す模式図。
図16】前記実施形態の変形となる遠隔操作席の構造を示す正面図。
図17】前記実施形態の変形となる携帯端末を利用した遠隔操作の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1]作業機械の全体構成
図1乃至図3には、本発明の実施形態に係る作業機を備えた作業機械としての油圧ショベル1が示され、図1は油圧ショベル1の側面図、図2は油圧ショベル1の背面図、図3は油圧ショベル1の平面図である。
この油圧ショベル1は、鉱山等の作業現場で用いられる大型の作業機械であり、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4と、キャブ5とを備える。尚、以下の説明では、上部旋回体3の作業機4が設けられる部分を前部、前部に対して旋回中心Oを介した反対側を後部といい、これを基準に左側面、右側面を規定する。
【0022】
下部走行体2は、鋼製フレーム21と、鋼製フレーム21の側面に設けられる一対の走行装置22を備える。
走行装置22は、鋼製フレーム21の走行方向後端に、回転自在に設けられる駆動輪23と、走行方向前端に設けられる遊動輪24と、駆動輪23及び遊動輪24に巻回される履帯25とを備える。尚、図示を略したが、駆動輪23及び遊動輪24の間には、複数の下部転輪及び上部転輪が鋼製フレーム21に回転自在に設けられ、履帯25を支持している。
【0023】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回自在に設けられ、内部に図示しないエンジン及びエンジンによって駆動される油圧ポンプ等の油圧回路が収容される。上部旋回体3の旋回中心を介した後端部には、カウンターウェイト31が収容されている。そして、上部旋回体3の後部であってカウンターウェイト31よりも前方の領域には、パワーコンテナ30が搭載される。パワーコンテナ30内には、エンジン、油圧ポンプラジエータ、オイルクーラ等が収容されている。
上部旋回体3の左方向側面には、昇降ラダー32が上部旋回体3に上下に摺動自在に設けられ、上部旋回体3の上面外縁に沿ってハンドレール33が設けられ、ハンドレール33に囲まれた部分がキャットウォーク34とされる。作業者は、昇降ラダー32を下降させ、キャットウォーク34に登り、キャットウォーク34を歩いてキャブ5の背面側から乗車する。
【0024】
作業機4は、上部旋回体3の前端部に設けられ、ブーム41と、アーム42と、バケット43とを備える。
ブーム41は、基端が上部旋回体3に上下に回動自在に接続され、上部旋回体3に設けられたブームシリンダ44によって上下に回動する。
アーム42は、基端がブーム41の先端に回動自在に接続され、ブーム41に設けられたアームシリンダ45によって上下に回動する。
バケット43は、基端がアーム42の先端に回動自在に接続され、アーム42に設けられたバケットシリンダ46によって回動する。
【0025】
キャブ5は、上部旋回体3の上面の作業機4が設けられた前方左側に設けられ、ボックス体から構成され、ボックス体の各側面にはガラス窓51が形成されている。キャブ5に乗車した作業者は、ガラス窓51から外部周辺を監視しながら、掘削作業等を行う。
しかしながら、油圧ショベル1は、キャブ5が高い位置にあるため、上部旋回体3の下部周辺の視界が十分に確保できないという問題がある。
【0026】
このため、上部旋回体3の外周面には、後述する周辺監視装置6を構成するカメラ61~67が複数設けられている。具体的には、上部旋回体3の上部前方左側には、左前面カメラ61が設けられ、上部前面右側コーナーには、右前面カメラ62が設けられている。
また、上部旋回体3の左側面には、前部左側面カメラ63及び後部左側面カメラ64が設けられ、後部右側面には、右側面カメラ65が設けられている。尚、後部左側面カメラ64は、上部旋回体3の旋回中心Oよりも後部側に設けられている。
さらに、上部旋回体3の上部後方中央には、後方カメラ66が設けられ、上部旋回体3の後部に位置するパワーコンテナ30の下面には、下部カメラ67が設けられている。
【0027】
カメラ61~66は、例えば広角レンズを使用しており、隣合うカメラ61~66の撮像範囲がオーバーラップしているため、油圧ショベル1の近接位置の外周360度を撮像することができる。尚、カメラ61及びカメラ62は、作業機4の下方を撮像範囲としている。
【0028】
下部カメラ67は、例えば広角レンズを使用しており、上部旋回体の後部領域、例えばパワーコンテナ30およびカウンターウェイト31の下部、及び下部後方を撮像することができる。
また、図1乃至図3では図示を略したが、上部旋回体3の各側面には周辺監視レーダーが設けられており、障害物が接近するとキャブ5内に設けられたブザー等により作業者に警告を発するようになっている。具体的には、周辺監視レーダーは、上部旋回体3の前面及び背面に各1台、側面には左右それぞれ3台設けられている。
【0029】
[2]キャブ5内の構造
図4には、キャブ5内の構造が示されている。キャブ5内の中央には、座席シート52が設けられ、座席シート52の前方には、一対の走行レバー53が設けられている。
座席シート52の左側には、エンジン回転数の調整等を行うための操作スイッチパネル55が設けられている。
【0030】
座席シート52の左右には、左操作レバー56及び右操作レバー57が設けられている。左操作レバー56は上部旋回体の旋回動作とアーム42の動作に対応しており、左操作レバー56を左右に操作すると上部旋回体3が左右に旋回し、左操作レバー56を上下に操作するとアーム42が前後方向に回動する。右操作レバー57はブーム41の動作とバケット43の動作に対応しており、右操作レバー57を左右に操作するとバケット43が掘削・排土方向に回動し、右操作レバー57を上下に操作するとブーム41が上下方向に回動する。尚、操作レバー56、57の操作とどの作業機が動作するかの組み合わせは、本実施形態のものには限られない。
また、右操作レバー57のさらに右側には、ロックレバー58が設けられており、ロックレバー58を操作すると、油圧ポンプ等の油圧回路の流路を遮断させ、作業機4の動作を停止させる。
【0031】
座席シート52の左前方には、モニター59が設けられ、このモニター59には、エンジン水温、油圧回路の作動油温、燃料油残量等の油圧ショベル1の種々の稼働状態が表示される。
モニター59の上には、表示手段としてのタッチパネルディスプレイ60が設けられている。このタッチパネルディスプレイ60には、前述したカメラ61~67で撮像された画像が表示される領域と、全てのカメラ61~67で撮像された画像を合成して生成される俯瞰画像が表示される領域とを有している。
【0032】
[3]周辺監視装置6の構成
図5には、本実施形態に係る周辺監視装置6のブロック図が示されている。周辺監視装置6は、前述したタッチパネルディスプレイ60、カメラ61~67、8台の周辺監視レーダー68、レーダーアラーム69、エラーアラーム70、及びコントローラ71を備える。
カメラ61~67で撮像された画像信号は、NTSC形式の画像信号としてコントローラ71に入力される。
【0033】
また、コントローラ71には、CAN(Controller Area Network)を介して、エンジ
ンや、油圧回路の制御を行うメカニカルコントローラ35からのセンサ信号が入力される。メカニカルコントローラ35は、温度センサで検出されたエンジン水温、作動油温度等のセンサ信号や、圧力センサで検出されたポンプ圧力のセンサ信号を、コントローラ71に出力する。また、メカニカルコントローラ35は、作業機操作や旋回操作を行う左操作レバー56及び右操作レバー57の傾倒状態に応じたPPC(Pressure Proportional Control)圧(パイロット圧)を圧力センサで検出し、検出されたセンサ信号を、CANを介してコントローラ71に出力する。
さらに、コントローラ71には、上部旋回体3の外周面に設けられた周辺監視レーダー68で検出されたセンサ信号がCANを介して入力される。
【0034】
コントローラ71は、カメラ61~67で撮像された画像信号や、メカニカルコントローラ35から入力される各種センサ信号、さらには周辺監視レーダー68から入力されるセンサ信号に基づいて、RGB形式の画像信号をタッチパネルディスプレイ60に出力し、タッチパネルディスプレイ60上に各種情報を表示させる。
また、コントローラ71は、周辺監視レーダー68で検出されたセンサ信号に基づいてレーダーアラーム69を制御し、障害物が発見されたら、レーダーアラーム69を発呼させる。さらに、コントローラ71は、メカニカルコントローラ35を介したエンジン、油圧回路等からのセンサ信号に基づいてエラーアラーム70を制御し、エラー信号が検出されたら、エラーアラーム70を発呼させる。
これにより、コントローラ71は、障害物が接近していることや、エンジンや、油圧回路等に異常が発生していることを、キャブ5内の作業者に報知し、注意を促すことができる。
【0035】
図6には、前述したコントローラ71の機能ブロック図が示されている。
コントローラ71は、俯瞰画像生成部72、画像重畳部73、作業機表示処理部74、操作判定部としてのレバー操作判定部75、レーダー状態判定部76、及びパネル操作判定部77を備える。
【0036】
俯瞰画像生成部72は、カメラ61~67で撮像された画像に基づいて、油圧ショベル1の周囲の俯瞰画像を生成する部分である。具体的には、図示を略したコントローラ71の記憶部に記憶された変換情報を用いて画像データの座標変換を行う。変換情報は、入力画像の各画素の位置座標と出力画像の各画素の位置座標との対応を示す情報である。
ここで、入力画像は、各カメラ61~67によって撮像された各画像である。また、出力画像は、タッチパネルディスプレイ60上に表示される俯瞰画像である。
俯瞰画像生成部72は、変換情報を用いて、カメラ61~67によって撮像された各画像のそれぞれを、油圧ショベル1の上方に位置する所定の仮想視点から見た上方視点画像に変換する。
【0037】
具体的には、図7に示すように、カメラ61によって撮像された画像は、所定の仮想投影面GL上に投影されることにより、油圧ショベル1の上方に位置する仮想視点61Aから見た画像に変換される。変換情報は、この仮想投影面GLを表しており、カメラ61で斜め上方から撮像された対象OBの寸法L1が仮想投影面GL上では、寸法L2に変換される。
俯瞰画像生成部72は、6台のカメラ61~67で撮像された各画像データを所定の仮想投影面GLに投影して上方視点画像に変換した上で、変換後の各画像データを合成することにより、一つの油圧ショベル1の周囲の俯瞰画像を作成する。
また、俯瞰画像生成部72は、下部カメラ67で撮像された画像も上部旋回体3の後部領域の直下の画像として、生成した俯瞰画像に合成する。
【0038】
画像重畳部73は、図8に示されるような油圧ショベル1の上方視点画像GAを記憶部に有し、俯瞰画像生成部72で生成された俯瞰画像の中央部に重畳させ、タッチパネルディスプレイ60に俯瞰画像を表示させる。
作業機表示処理部74は、タッチパネルディスプレイ60のスイッチ操作や、作業機4の操作レバー56、57の操作状態によって、油圧ショベル1の上方視点画像GAの作業機の部分画像の表示、非表示処理を行う部分である。
具体的には、作業機表示処理部74は、図9に示されるように、作業機の部分画像GB(図8参照)を完全に非表示にする。図9における作業機の表示領域と非表示領域の境界は、上部旋回体の前方端面から突き出た領域を非表示にした例であるが、非表示領域の決定方法はこれに限られない。
尚、作業機表示処理部74は、これに限らず、図10に示されるように、作業機の部分画像GBを作業機の一部を非表示にしたり、図11に示されるように、作業機の部分画像GBを半透過表示としてもよい。そのように表示することで、俯瞰画像と上部旋回体3の向きの関係が容易に判別できるようになる。
【0039】
また、作業機表示処理部74は、タッチパネルディスプレイ60のスイッチ操作や、作業機4の操作レバー56、57の操作状態によって、油圧ショベル1の上方視点画像の上部旋回体3の後部領域の表示、非表示処理を行ってもよい。
具体的には、作業機表示処理部74は、図12に示されるように、上部旋回体3の後部領域の部分画像GC(図8参照)を非表示にする。尚、図示を略したが、作業機4の部分画像処理と同様に、一部非表示や半透過表示とすることもできる。
また、上部旋回体3の後部領域を例示したが、作業機械の本体における後部領域以外の領域、もしくは油圧ショベル1の本体部分の全領域を非表示や透過表示させてもよい。
【0040】
レバー操作判定部75は、メカニカルコントローラ35から出力された操作レバー56、57のPPC圧に基づいて、作業機4が操作されているか否かを判定し、判定結果を、作業機表示処理部74に出力する。また、レバー操作判定部75は、走行レバー53の操作状態も判定しており、走行レバー53が操作されて油圧ショベル1が走行しているか否かについても判定し、判定結果を作業機表示処理部74に出力する。
【0041】
レーダー状態判定部76は、周辺監視レーダー68で障害物が接近しているか否かを判定し、障害物が接近している検出された場合、周辺監視レーダー68から作業機表示処理部74に信号を出力し、その障害物が存在する位置に近い作業機もしくは油圧ショベル1の本体部分の一部領域を非表示や透過表示させてもよい。
パネル操作判定部77は、タッチパネルディスプレイ60上に表示されたスイッチを作業者が触れることにより、作業機の部分画像GBや上部旋回体3の後部領域の部分画像GCを非表示とするか否かを判定し、判定結果を、作業機表示処理部74に出力する。
【0042】
図13には、タッチパネルディスプレイ60上で表示される表示画像G1が示されている。表示画像G1は、俯瞰画像生成部72が生成した俯瞰画像G2と、カメラ61~67の内いずれかのカメラで撮像した画像である単カメラ画像G3と、単カメラ画像がカメラ61~67の内いずれかのカメラで撮像したものであるかを示す表示位置画像G4とを備える。また、スイッチSW1を操作すると、作業機の部分画像GB、上部旋回体3の後部領域の部分画像GCの表示、非表示を切り替えることができる。一例であるが、スイッチSW1を操作することによって、(1)作業機の部分画像GBおよび上部旋回体の後部領域の部分画像GCが共に表示状態、(2)上部旋回体の後部領域の部分画像GCのみ非表示状態、(3)作業機の部分画像GBのみ非表示状態、(4)作業機の部分画像GBおよび上部旋回体の後部領域の部分画像GCが共に非表示状態、をサイクリックに切り替えることができる。
俯瞰画像G2は、俯瞰画像生成部72で生成された俯瞰画像に、油圧ショベル1の上方視点画像GAを重畳させることにより構成される。
【0043】
単カメラ画像G3は、カメラ61~67のいずれかで撮像された画像を表示する。単カメラ画像G3の角隅には、スイッチSW2が重畳表示され、作業者がスイッチSW2に触れると、俯瞰画像G2が縮小し、単カメラ画像G3が拡大表示される。
表示位置画像G4は、単カメラ画像G3に表示されている画像がどこのカメラ61~67であるかを示す画像であり、中央部の四角形が油圧ショベルを表しており単カメラ画像G3に表示されている画像のカメラ61~67の位置を色つきで表示する。これにより、作業者は、現在どこのカメラ61~67の画像が表示されているかを認識することができる。
【0044】
[4]実施形態の作用及び効果
次に、本実施形態の作用を、図14に示されるフローチャートに基づいて説明する。
まず、俯瞰画像生成部72は、カメラ61~67によって取り込まれた画像データに基づいて、上述したような手順により俯瞰画像G2を生成する(ステップS1)。
次に、作業機表示処理部74は、タッチパネルディスプレイ60上での俯瞰画像G2の表示中、作業機4が操作されたか、障害物が検知されたか、タッチパネルディスプレイ60のスイッチSW1が操作されたか否か等を監視し、非表示処理を実施すべきか判定する(ステップS2)。
非表示処理が必要ないと判定された場合は、作業機表示処理部74は、図8が示すような作業機械および作業機全体を表示する上方視点画像GAを呼出し、画像重畳部73に当該画像を送る(ステップS3)。
【0045】
一方、レバー操作判定部75により作業機4が操作されたか、レーダー状態判定部76により障害物が検知されたか、パネル操作判定部77によりタッチパネルディスプレイ60のスイッチSW1の操作が検知されたかのいずれかで、非表示処理が必要と判定されたら、作業機表示処理部74は、上方視点画像GAのうち、作業機の部分画像GBや上部旋回体3の後部領域の部分画像GCの非表示の上方視点画像GAを呼出し、画像重畳部73に当該画像を送る(ステップS4)。
次に、画像重畳部73は、作業機表示処理部74で生成された俯瞰画像に上方視点画像GAを重畳させる(ステップS5)。
そして、俯瞰画像生成部72は、上方視点画像GAが重畳された画像を、タッチパネルディスプレイ60上に俯瞰画像G2として表示させる(ステップS6)。例えば、作業機部分及び上部旋回体3の後部領域部分を非表示処理した場合、図15に示されるように、作業機4の部分画像GB、及び上部旋回体3の後部領域の部分画像GCが非表示となった油圧ショベル1の上方視点画像GDを、俯瞰画像生成部72で生成された俯瞰画像G2に重畳させ、タッチパネルディスプレイ60上に表示させている。図15では、作業機4の部分画像GB、及び上部旋回体の後部領域の部分画像GCが共に非表示となった状態を示しているが、作業機4の部分画像GBのみが非表示となった状態、もしくは上部旋回体の後部領域の部分画像GCのみが非表示となった状態も表示させることができる。
また、図15に記載されているように、油圧ショベル1の本体部分の外縁を示す外縁線GEや、作業機部分の外縁を示す外縁線GFを俯瞰画像G2上に表示するようにしてもよい。作業機4の部分画像GBや上部旋回体の後部領域が非表示となっていることから上部旋回体の向きが判別しにくくなっていたとしても、このような外縁線を表示することにより、上部旋回体の向きと俯瞰画像の位置関係が判別しやすくなる。
【0046】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
作業機表示処理部74を備えていることにより、上方視点画像GAの作業機4の部分画像GBや上部旋回体3の後部領域の部分画像GCを非表示とすることができるので、作業機4の下方や上部旋回体3の後部領域の下方を俯瞰画像G2上に表示させることができ、作業者が作業機4の下方や上部旋回体3の後部領域の下方の障害物等を容易に判別することができる。
また、作業機表示処理部74を機能させないことにより、俯瞰画像G2上に作業機4や上部旋回体3の後部領域を表示させることができるため、作業者が作業機4の作業方向を容易に判別することができる。
レバー操作判定部75を備えていることにより、作業者が操作レバー56、57を操作して作業機4を操作したときに、上方視点画像GAの作業機4の少なくとも非表示とすることができるので、作業機4の下方の状態を確認しながら、安全に作業機4を操作することができる。レーダー状態判定部76を備えていることにより、障害物が接近している場合であっても、その近傍の作業機や作業機械本体の一部領域を非表示とすることができるので、確実に障害物を発見することができる。
【0047】
[5]実施形態の変形
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、モニター59とは別に、表示手段としてタッチパネルディスプレイ60を設けていたが、本発明はこれに限られず、モニター59上に俯瞰画像G2を表示するように構成してもよい。また、タッチパネルディスプレイ60の代わりにタッチセンサを内蔵しない通常のディスプレイを用いてもよい。
前記実施形態では、タッチパネルディスプレイ60上に俯瞰画像G2と、単カメラ画像G3を同時表示させるように構成していたが、本発明はこれに限られず、俯瞰画像G2のみをタッチパネルディスプレイ60上に表示するように構成してもよい。
【0048】
前記実施形態では、上部旋回体3の外周にカメラ61~67を7台設けていたが、これよりも少ないカメラの台数で周辺監視装置を構成してもよく、さらにはこれよりも多くのカメラの台数で周辺監視装置を構成してもよい。
前記実施形態では、周辺監視装置6は、周辺監視レーダー68と、カメラ61~67が協働するように構成していたが、これに限らず、カメラ61~67単独で周辺監視装置を構成してもよい。
また、前記実施形態では、作業機4以外に非表示にする領域として、上部旋回体3の後部領域を例示したが、作業機械の本体における上部旋回体3の後部領域以外の領域、もしくは油圧ショベル1の本体部分の全領域を非表示や透過表示させてもよい。
また、前記実施形態では、旋回動作をレバーの操作信号により判定するよう構成していたが、それ以外の方法、例えば、旋回動作に伴う油圧の変化を検知すること等により判定するよう構成してもよい。
また、前記実施形態では、コントローラ71にはCANを介してメカニカルコントローラ35からのセンサ信号等が入力されていたが、それ以外の手段でセンサ信号を入力してもよい。
前記実施形態では、油圧ショベル1に本発明を適用していたが、これに限らず、ホイールローダーや、ブルドーザー等その他の作業機械に本発明を適用してもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、油圧ショベル1のキャブ5にタッチパネルディスプレイ60を設けた構成で説明したが、本発明はこれに限られない。
その他の場所、例えば、図16に示されるように、油圧ショベル1の遠隔操作を行うた遠隔操作席100や、鉱山内にある複数の作業機械を全体的に管理・統制する管制室にタッチパネルディスプレイ60を設け、このタッチパネルディスプレイ60上に周辺監視装置の画像を表示させるようにしてもよい。
さらに、図16に記載された遠隔操作用モニター101を、タッチパネルディスプレイ60のように俯瞰画像を表示させる表示手段として用いてもよい。
さらに、図17に示されるように、タッチパネルディスプレイが携帯端末102に設けられ、作業者Pが、携帯端末102に表示された俯瞰画像を見られる構成であってもよい。
ここで、遠隔操作席100や管制室においてタッチパネルディスプレイ60に俯瞰画像を表示する場合や、携帯端末102にタッチパネルディスプレイを設ける場合には、油圧ショベル1と、遠隔操作席100・管制室・携帯端末102等のそれぞれに何らかの通信手段を設け、俯瞰画像等の情報の送受信を行う構成であってもよい。
その他、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…油圧ショベル、2…下部走行体、21…鋼製フレーム、22…走行装置、23…駆動輪、24…遊動輪、25…履帯、3…上部旋回体、30…パワーコンテナ、31…カウンターウェイト、32…昇降ラダー、33…ハンドレール、34…キャットウォーク、35…メカニカルコントローラ、4…作業機、41…ブーム、42…アーム、43…バケット、44…ブームシリンダ、45…アームシリンダ、46…バケットシリンダ、5…キャブ、51…ガラス窓、52…座席シート、53…走行レバー、55…操作スイッチパネル、56…左操作レバー、57…右操作レバー、58…ロックレバー、59…モニター、6…周辺監視装置、60…タッチパネルディスプレイ、61…左前面カメラ、61A…仮想視点、62…右前面カメラ、63…前部左側面カメラ、64…後部左側面カメラ、65…右側面カメラ、66…後方カメラ、67…下部カメラ、68…周辺監視レーダー、69…レーダーアラーム、70…エラーアラーム、71…コントローラ、72…俯瞰画像生成部、73…画像重畳部、74…作業機表示処理部、75…レバー操作判定部、76…レーダー状態判定部、77…パネル操作判定部、100…遠隔操作席、101…遠隔操作用モニター、102…携帯端末、G1…表示画像、G2…俯瞰画像、G3…単カメラ画像、G4…表示位置画像、GA…上方視点画像、GB…作業機の部分画像、GC…上部旋回体の後部領域の部分画像、GD…上方視点画像、GE…作業機械本体の外縁線、GF…作業機の外縁線、GL…仮想投影面、L1、L2…寸法、O…旋回中心、OB…対象、SW1…スイッチ、SW2…スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17