(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】自動運転システムのテスト方法、自動運転システムのテスト装置、電子デバイス、記憶媒体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20220721BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G01M17/007 D
(21)【出願番号】P 2021115400
(22)【出願日】2021-07-13
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】202011500891.9
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン シー
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0267538(US,A1)
【文献】WEISS, Trent,"DeepRacing: Parameterized Trajectories for Autonomous Racing",arXiv [オンライン],2020年05月,インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/2005.05178v1>,[2022年06月27日検索],2005.05178v1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30-11/36
G01M 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである、センサデバイスの記録データを取得することと、
前記記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、前記記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新することと、を含む、
自動運転システムのテスト方法。
【請求項2】
前記繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに応じて、前記記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新することは、
前記記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプに基づいて、前記記録データにおける各フレームのデータに対応する第1の時間情報を決定することと、
前記現在の繰り返し書き込みの回数と、前記記録データに対応する時間長とに基づいて、前記現在の繰り返し書き込みに対応する経過時間を決定することと、
前記各フレームのデータに対応する第1の時間情報と前記経過時間とに基づいて、現在繰り返し書き込まれた各フレームのデータに対応する第2の時間情報をそれぞれ得、前記第2の時間情報に基づいて、前記各フレームのデータのタイムスタンプを決定して更新することと、を含む、
請求項1に記載の自動運転システムのテスト方法。
【請求項3】
前記テストデータを用いて自動運転車両の車載コンピューティングプラットフォームをテストすることをさらに含む、
請求項1又は2に記載の自動運転システムのテスト方法。
【請求項4】
前記各フレームのデータのデータヘッダ及び/又は実体コンテンツには、前記タイムスタンプが含まれる、
請求項1又は2に記載の自動運転システムのテスト方法。
【請求項5】
車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである、センサデバイスの記録データを取得するための取得モジュールと、
前記記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、前記記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新するためのテストデータ生成モジュールと、を備える、
自動運転システムのテスト装置。
【請求項6】
前記テストデータ生成モジュールは、
前記記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプに基づいて、前記記録データにおける各フレームのデータに対応する第1の時間情報を決定するための時間決定サブモジュールと、
前記現在の繰り返し書き込みの回数と、前記記録データに対応する時間長とに基づいて、前記現在の繰り返し書き込みに対応する経過時間を決定するための経過決定サブモジュールと、
前記各フレームのデータに対応する第1の時間情報と前記経過時間とに基づいて、現在繰り返し書き込まれた各フレームのデータに対応する第2の時間情報をそれぞれ得、前記第2の時間情報に基づいて、前記各フレームのデータのタイムスタンプを決定して更新するための更新サブモジュールと、を備える、
請求項5に記載の自動運転システムのテスト装置。
【請求項7】
前記テストデータを用いて自動運転車両の車載コンピューティングプラットフォームをテストするためのテストサブモジュールをさらに備える、
請求項5又は6に記載の自動運転システムのテスト装置。
【請求項8】
前記各フレームのデータのデータヘッダ及び/又は実体コンテンツには、前記タイムスタンプが含まれる、
請求項5又は6に記載の自動運転システムのテスト装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサで実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の自動運転システムのテスト方法を実行させる、
電子デバイス。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の自動運転システムのテスト方法を実行させる命令を記憶するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行されると、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の自動運転システムのテスト方法を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は自動運転の分野、特に自動運転システムの性能テストの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
HiL(Hardware in the Loop、ハードウェアインザループ)技術は、自動運転車両の仮想シミュレーションテストに使用可能なシミュレーションテスト技術である。HiL技術を採用することで、自動運転車の車載コンピューティングプラットフォームに対して仮想テストを行うことができ、自動運転車両のテスト効率を大幅に向上させることができる。
【0003】
HiL技術を採用して自動運転車両に対してシミュレーションテストを行うとき、自動運転車両の道路走行中において、センサデバイスを使用してデータを収集し、センサデバイスで収集されたデータに対して必要な変換(このプロセスは逆化と呼ぶことができる)を行い、変換されたデータを自動運転車両の車載コンピューティングプラットフォームに入力することで、車載コンピューティングプラットフォームの性能を検出することができる。
【0004】
自動運転システムの連続運転時間は限られている(理論的には最長連続運転時間は約3時間である)ため、センサデバイスに収集されるデータの時間長も限られており、センサデバイスに収集されるデータは車載コンピューティングプラットフォームに対して長時間で安定的なテストをサポートすることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、自動運転システムのテスト方法、自動運転システムのテスト装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様では、
車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである、センサデバイスの記録データを取得することと、
記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新することと、を含む、自動運転システムのテスト方法を提供する。
【0007】
本開示のもう1つの様態では、
車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである、センサデバイスの記録データを取得するための取得モジュールと、
記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新するためのテストデータ生成モジュールと、を備える、自動運転システムのテスト装置を提供する。
【0008】
本開示のもう1つの様態では、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を備え、
メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、本開示のいずれか1項の実施形態に提供される方法を実行させる電子デバイスを提供する。
【0009】
本開示のもう1つの様態では、
コンピュータに、本開示のいずれか1つ項の実施形態に提供される方法を実行させるコンピュータ命令を記憶するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0010】
本開示のもう1つの様態では、
プロセッサにより実行されると、本開示のいずれか1つの実施形態による方法を実現するプログラムを提供する。
【0011】
本開示によれは、センサデバイスの記録データを繰り返し書き込み、書き込みの際にタイムスタンプを差し替えることで、データフレーム間の時間的な連続性を確保するとともに、始点と終点の位置が同じである記録データを使用し、データフレーム間の位置が連続であることを確保することで、時間長が十分で、且つ位置と時間のホッピングがないテストデータを生成し、自動運転システムに対して長時間で安定的なテストを実現することができる。
【0012】
なお、ここで記載されている内容は、本開示の実施形態においてキーとなっている、又は重要視されている特徴、本開示の範囲を限定しているわけではない。本開示の他の特徴は下記の明細書の記載によって理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上記の図面は、よりよく本開示を理解させるためのものであり、本開示を限定するものではない。
【
図1】本開示の1つの実施形態で使用される1種の記録データに対応する走行経路の概略図である。
【
図2】本開示の1つの実施形態による検索の自動運転システムのテスト方法を実現するフローチャートである。
【
図3A】本開示の1つの実施形態による記録データの概略図である。
【
図3B】本開示の1つの実施形態によるテストデータの概略図である。
【
図4】本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト方法における、繰り返し書き込むプロセスにおいてタイムスタンプを更新する方法を実現するフローチャートである。
【
図5】本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト装置500の構成図である。
【
図6】本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト装置600の構成図である。
【
図7】本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト方法を実現するための電子デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記において、図面を参照して本開示の例えば示的な実施形態を説明し、理解しやすくするために、本開示の実施形態の細部を記載しており、それらが例示的なものであると理解すべきである。そのため、本開示の範囲と思想に反しない前提で、ここで記載されている実施形態に対して変更、修正を行うことができることを当業者は認識すべきである。同様に、明確化と簡略化のために、下記の記載は公知機能と構造を省略したものとする。
【0015】
自動運転の車載コンピューティングプラットフォームを長時間でテストするためには、長時間のセンサデータが必要になる。自動運転システムの連続動作時間に制限があり、一般的なセンサデータの最長時間は約3時間であり、車載コンピューティングプラットフォームの長時間で安定的なテストのニーズを満たすことができない。データプラットフォームからセンサデータを探し出して複数回連続して再生すると、時間の要求を満たすことができるが、データの位置及び時間のホッピングが発生してしまう。例えば、3時間のセンサデータを選択し、そのデータを4回連続して再生すれば、時間長が12時間となるデータを得ることができる。しかし、隣接する2回の再生の接続点、すなわちトータル時間における3:00:00、6:00:00、9:00:00の時点で位置と時間のホッピングが発生し、位置合わせができず、自動運転システムのテストに用いることができない。
【0016】
位置ホッピングの問題を解決するために、本開示では始点と終点が同一である記録データ(recordデータ)を採用し、この記録データを複数回繰り返し再生することにより、隣接する2回の再生の接続点での位置が同じであることを保証し、位置ホッピングを回避することができる。
図1は本開示の実施形態で使用される記録データに対応する走行経路の概略図であり、
図1に示すように、当該走行経路の始点と終点が同一である点であり、当該走行経路の記録データを繰り返し再生することで位置ホッピングを回避することができる。
【0017】
時間ホッピングの問題を解決するために最も簡単な方法は、記録データの各フレームのデータにおける、履歴時間に対応するタイムスタンプを、現在時間に対応するタイムスタンプに置き換えることである。例えば、記録データにおける最初のフレームのデータのタイムスタンプを現在のテスト時間に対応するタイムスタンプに置き換え、記録データ中の2番目のフレームのデータのタイムスタンプを現在のテスト時間の次のフレームに対応するタイムスタンプに置き換えるなど、各フレームのデータのタイムスタンプを順次置き換える。しかし、この方式は時間精度が非常に要求され、具体的な実現には多くの困難がある。シミュレーションテストの詳細な分析により、本開示では、問題の核心は、繰り返し書き込まれた記録データが現在時間(すなわちテスト時の時間)に対応していないことではなく、繰り返し書き込まれた記録データにおける各フレームのタイムスタンプが不連続であることにあると提案している。したがって、繰り返し書き込まれる記録データにおける各フレームのタイムスタンプを連続させるだけで、時間ホッピングの問題を解決することができ、また、上述したように記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを、現在時間に対応するタイムスタンプに置き換える方式を採用することも避けられ、具体的に実現する際により簡便である。
【0018】
以上の分析に基づき、本開示は自動運転システムのテスト方法を提案し、
図2は本開示の自動運転システムのテスト方法を実現するフローチャートであり、下記のステップを含むことができる。
【0019】
ステップS201において、センサデバイスの記録データを取得する。ここで、記録データは、車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである。
【0020】
ステップS202において、該記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新する。
【0021】
車両のセンサデバイスによって収集された記録データ(すなわち元データ)はNフレームからなり、各フレームのデータのシーケンス番号は1~Nであると仮定する。記録データを4回繰り返し書き込むと、生成されるテストデータはN*4フレームを含む。テストデータは繰り返し書き込み方式で生成されるため、テストデータの第1~Nフレームは、それぞれ記録データの第1~Nフレームと内容が同一であり、テストデータの第(N+1)~2Nフレームは、それぞれ記録データの第1~Nフレームと内容が同一であり、テストデータの第(2N+1)~3Nフレームは、それぞれ記録データの第1~Nフレームと内容が同一であり、テストデータの第(3N+1)~4Nフレームは、それぞれ記録データの第1~Nフレームと内容が同一である。ステップS201で説明したように、データが記録された最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両の位置は同じであるため、生成されたテストデータは、繰り返し書き込まれた接続位置において、位置ホッピング、すなわち、第Nフレームに対応する車両位置は第N+1フレームに対応する車両位置と同じであり、第2Nフレームに対応する車両位置は第2N+1フレームに対応する車両位置と同じであり、第3Nフレームに対応する車両位置は第3N+1フレームに対応する車両位置と同じである。
【0022】
上述したステップS202は、時間ホッピングの問題を解決している。
図3A及び
図3Bを参照して説明すると、
図3Aは本開示の1つの実施形態による記録データの概略図であり、該ズにおいて、位置センサ及びレーダによって収集された2つの記録データを含み、対応する時間長は100Sである。
図3は本開示の1つの実施形態によるテストデータの概略図であり、
図3Aの記録データを繰り返し書き込みして該テストデータを得、繰り返し書き込むたびに、現在の繰り返し書き込みの回数と記録データに対応する時間長とに応じて、記録データ中の各フレームのデータのタイムスタンプを更新する。
図3Bのように、元記録データの1フレーム目に対応するタイムスタンプはt0であり、1回目の繰り返し書き込みでは、1フレーム目のタイムスタンプはt0+100Sに更新され、2回目の繰り返し書き込みでは、最初のフレームのタイムスタンプがt0+200Sに更新され、このように類推し続ける。他のフレームも同様に置き換えられる。これにより、最終的に生成されるテストデータにおける各フレームのタイムスタンプの連続性が保証され、時間ホッピングの問題が解決される。
【0023】
図4は、本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト方法における、繰り返し書き込むプロセスにおいてタイムスタンプを更新する方法を実現するフローチャートであり、下記のステップを含むことができる。
【0024】
ステップS401において、記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプに基づいて、記録データにおける各フレームのデータに対応する第1の時間情報を決定する。
【0025】
ステップS402において、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、現在の繰り返し書き込みに対応する経過時間を決定する。例えば、現在がN回目の繰り返し書き込みであり、記録データに対応する時間長がTである場合、N回目の繰り返し書き込みに対応する経過時間はN*Tであると決定される。
【0026】
ステップS403において、各フレームのデータに対応する第1の時間情報と上記経過時間とに基づいて、現在繰り返し書き込まれた各フレームのデータに対応する第2の時間情報をそれぞれ得、該第2の時間情報に基づいて、各フレームのデータのタイムスタンプを決定して更新する。
【0027】
上記のテストデータが生成された後、本開示の実施形態ではさらに、該テストデータを用いて自動運転車両の車載コンピューティングプラットフォームをテストすることができる。
【0028】
任意選択で、上記の各フレームのデータのデータヘッダ及び/又は実体コンテンツにはタイムスタンプが含まれる。
【0029】
以下では、2つのセンサデバイスを例に、上記のタイムスタンプの置き換えの実現方法を詳細に説明する。
【0030】
測位センサにおいて、時刻情報はGPS時間システムを用いて表される。GPS時間システムは原子時ATの1秒の長さを時間基準とし、秒の長はセシウムCS133原子の基底状態の2つの超微細エネルギー準位間の遷移に対応する放射の周期の9192631170倍の継続時間と定義され、時間開始の起点は1980年1月6日の協定世界時UTC0と定義されている。測位センサの記録データにおいて、各フレームのデータのタイムスタンプは、フレームデータのデータヘッダ(header)及び実体コンテンツ(body)に含まれる。データヘッダのタイムスタンプは6バイトを占め、そのうちの2バイトはGPS週を表し、残りの4バイトはそのGPS週のGPSミリ秒(GPSmS)を表す。実体コンテンツ内のタイムスタンプは12バイトを占め、そのうち4バイトはGPS週を表し、残りの8バイトはGPS週内のGPS秒(GPSS)を表す。タイムスタンプの変更は、フレームのデータごとに、ヘッダ及び実体内のGPS週及びGPSミリ秒(秒)を変更することによって実現される。例えば、データが記録される時間長をTとする。まず現在フレームのGPSweekとGPSmSを取得し、N回目の繰り返し書き込み時、すなわち時間がnT秒を経過した後の時間に対応時刻の更新後のGPSweekとGPSmSを算出する。次に、headerが指定した位置の時間を更新されたGPSweekとGPSmSに置き換え、そしてGPSmSをGPSSに変換した後、Body内のGPS時間を置き換える。
【0031】
レーザレーダでは、時間情報は、unix時間システムを用いて表される。unix時間は1970年1月1日より経過した秒数であり、うるう秒は考慮されていない。このレーザレーダの記録データのうち、1フレーム当たりの点群データは、1240バイトの測定データと22バイトの付加情報との2つの部分からなり、この付加情報の後の6バイトにタイムスタンプが含まれている。データが記録される時間長をTとする。元の記録データの各フレームのデータについて、まず最後の6バイトの内容からそのときのunixタイムスタンプt0を算出し、N回目の繰り返し書き込み時に、このunixタイムスタンプをt0+nTに修正してタイムスタンプの置き換えを実現する。
【0032】
本開示の実施形態はまた、自動運転システムのテスト装置を提供し、
図5は、本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト装置500の構成図であり、自動運転システムのテスト装置500は、
車両のセンサデバイスによって収集された複数のフレームのデータを含み、各フレームのデータにおいてタイムスタンプが含まれ、最初のフレームと最後のフレームとに対応する車両位置が同じである、センサデバイスの記録データを取得するための取得モジュール510と、
記録データを複数回繰り返し書き込み、自動運転システムのテストに用いるテストデータを生成し、繰り返し書き込むプロセスにおいて、現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプを更新するためのテストデータ生成モジュール520と、を備えることができる。
【0033】
図6は、本開示の1つの実施形態による自動運転システムのテスト装置600の構成図である。
図6に示すように、上述したテストデータ生成モジュール520は、
記録データにおける各フレームのデータのタイムスタンプに基づいて、記録データにおける各フレームのデータに対応する第1の時間情報を決定するための時間決定サブモジュール521と、
現在の繰り返し書き込みの回数と、記録データに対応する時間長とに基づいて、現在の繰り返し書き込みに対応する経過時間を決定するための経過決定サブモジュール522と、
各フレームのデータに対応する第1の時間情報と経過時間とに基づいて、現在繰り返し書き込まれた各フレームのデータに対応する第2の時間情報をそれぞれ得、第2の時間情報に基づいて、各フレームのデータのタイムスタンプを決定して更新するための更新サブモジュール523と、を備えることができる。
【0034】
図6に示されるように、上記の装置は、さらに、
テストデータを用いて自動運転車両の車載コンピューティングプラットフォームをテストするためのテストモジュール630を備えることができる。
【0035】
任意選択で、上記の各フレームのデータのデータヘッダ及び/又は実体コンテンツにはタイムスタンプが含まれる。
【0036】
本開示の実施形態による各装置における各モジュールの機能は、上述した方法における対応する記述を参照することができ、ここでは再度言及しない。
【0037】
本開示の実施形態によれば、本開示は、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体及びプログラムプロダクトをさらに提供する。
【0038】
図7は、本開示の実施形態を実現するための例示的電子デバイス700のブロック図である。電子デバイスは、各形式のデジタルコンピュータを指し、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及びその他の適合するコンピュータが挙げられる。電子デバイスは、各形式の移動装置をさらに指し、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、セルラー電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及びその他の類似のコンピュータ装置が挙げられる。本開示に記載されているコンポーネント、それらの接続関係、及び機能は例示的なものに過ぎず、本開示に記載・特定されているものの実現を限定するわけではない。
【0039】
図7に示すように、デバイス700は、リードオンリーメモリ(ROM)702に記憶されたコンピュータプログラム命令、又は記憶ユニット708からランダムアクセスメモリ(RAM)703にローディングされたコンピュータプログラム命令に基づいて、各種の適切な動作と処理を実行できる計算ユニット701を含む。RAM703には、デバイス700の動作に必要な各種のプログラム及びデータをさらに記憶することができる。計算ユニット701と、ROM702と、RAM703とは、バス704を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース705もバス704に接続されている。
【0040】
デバイス700における複数のコンポーネントは、I/Oインタフェース705に接続されており、その複数のコンポーネントは、キーボードやマウスなどの入力ユニット706と、種々なディスプレイやスピーカなどの出力ユニット707と、磁気ディスクや光学ディスクなどの記憶ユニット708と、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバーなどの通信ユニット709と、を備える。通信ユニット709は、デバイス700がインターネットのようなコンピュータネット及び/又は種々なキャリアネットワークを介して他の機器と情報/データを交換することを許可する。
【0041】
計算ユニット701は、処理及び計算能力を有する様々な汎用及び/又は専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット701のいくつかの例としては、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)計算チップ、様々な機械学習モデルアルゴリズムを実行する計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどを備えるが、これらに限定されない。計算ユニット701は、上述で説明された各方法及び処理、例えば自動運転システムのテスト方法を実行する。例えば、いくつかの実施形態では、自動運転システムのテスト方法を、記憶ユニット708のような機械読み取り可能な媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウエアプログラムとして実現することができる。一部の実施形態では、コンピュータプログラムの一部又は全ては、ROM702及び/又は通信ユニット709を介して、デバイス700にロード及び/又はインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM803にロードされて計算ユニット701によって実行される場合に、前述した自動運転システムのテスト方法の一つ又は複数のステップを実行することができる。追加可能に、他の実施形態では、計算ユニット701は、他の任意の適当な方式(例えば、ファームウェア)により自動運転システムのテスト方法を実行するように構成することができる。
【0042】
ここで記載されているシステム又は技術の各種の実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせによって実現することができる。これらの各実施形態は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムにて実行及び/又は解釈される1つ又は複数のコンピュータプログラムにより実行することを含み得、該プログラマブルプロセッサは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受け取り、データ及び命令を該ストレージシステム、該少なくとも1つの入力デバイス、及び該少なくとも1つの出力デバイスに転送することができる専用又は汎用のプログラマブルプロセッサであってもよい。
【0043】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、一つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成することができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラミングデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されることにより、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行される場合に、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能/動作を実行することができる。プログラムコードは、完全にマシンで実行されてもよいし、部分的にマシンで実行されてもよいし、独立したソフトパッケージとして部分的にマシンで実行されるとともに部分的にリモートマシンで実行されてもよし、又は完全にリモートマシン又はサーバで実行されてもよい。
【0044】
本開示の説明において、機械読み取り可能な媒体は、有形な媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は機器によって、又は命令実行システム、装置又は機器と合わせて使用されるプログラムを含み、又は記憶する。機械読み取り可能な媒体は、機械読み取り可能な信号媒体又は機械読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機械読み取り可能な媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置、又はデバイス、又は前述した内容の任意の適切な組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。機械読み取り可能な記憶媒体のさらなる具体例として、1つ又は複数の配線による電気的接続、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(RMO)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPRMO又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-RMO)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又は前述した内容の任意の組み合わせを含む。
【0045】
ユーザーとのインタラクションを提供するために、コンピュータでここで記載されているシステム及び技術を実施することができ、当該コンピュータは、ユーザーに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニターなど)、ユーザーが入力をコンピュータに提供するためのキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボールなど)を備えるができる。ユーザーとのインタラクションを提供するために、他の種類の装置を使用することもでき、例えば、ユーザーに提供するフィードバックは、いかなる形式のセンサフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなど)であってもよく、また、いかなる形式(例えば、音響入力、音声入力、触覚入力など)によって、ユーザーからの入力を受付取るができる。
【0046】
ここに記載されているシステムと技術を、バックグラウンド部品に含まれる計算システム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェア部品を含む計算システム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロント部品を含む計算システム(例えば、GUI又はネットワークブラウザを有するユーザコンピュータが挙げられ、ユーザがGUI又は当該ネットワークブラウザによって、ここに記載されているシステムと技術の実施形態とインタラクションすることができる)、又はこのようなバックグラウンド部品、ミドルウェア部品、又はフロント部品のいかなる組合した計算システムで実施することができる。如何なる形式又はメディアのデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して、システムの部品を互いに接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットを含む。
【0047】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含み得る。通常、クライアントとサーバは、互いに離れており、通信ネットワークを介してインタラクションを行うことが一般的である。対応するコンピュータで動作することで、クライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによってクライアントとサーバの関係を生み出す。
【0048】
上記の様々な態様のフローを使用して、ステップを新たに順序付け、追加、又は削除することが可能であることを理解すべきである。例えば、本開示で記載された各ステップは、並列に実行しても良いし、順次に実行しても良いし、異なる順序で実行しても良い。本開示で開示された技術案が所望する結果を実現することができる限り、本開示ではこれに限定されない。
【0049】
上記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲に対する限定を構成するものではない。当業者は、設計事項やその他の要因によって、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び代替が可能であることを理解するべきである。本開示の要旨及び原理原則内における変更、均等な置換及び改善等は、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。