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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20220721BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B65H7/02
B41J29/13
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021506123
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2019011925
(87)【国際公開番号】W WO2020188828
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祥悟
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-046771(JP,U)
【文献】特開2005-060058(JP,A)
【文献】実開昭56-058744(JP,U)
【文献】特開2007-298740(JP,A)
【文献】特開平09-086726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/06
B65H 43/00-43/08
B41J 29/00
B41J 29/13
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放位置または閉鎖位置に配置されるように本体に支持されるカバーと、
前記カバーと前記本体との間に形成される搬送路に沿って搬送される媒体が斜行しているときに前記搬送路が遮断されるように前記搬送路に突出し、前記媒体が斜行していないときに前記搬送路から退避するアームと、
前記搬送路を遮断したり、前記搬送路を開放したりするストッパと、
前記アームが前記搬送路に突出しているときに、前記ストッパが前記搬送路を遮断するように前記ストッパを拘束し、前記アームが前記搬送路から退避しているときに、前記ストッパが前記搬送路を開放するように前記ストッパを解放する斜行矯正機構と、
前記カバーが前記閉鎖位置に配置された状態で、前記カバーを前記本体に固定するロック機構と、
前記ロック機構が前記カバーを前記本体から解放している第1状態から前記カバーを前記本体に固定している第2状態に移行するときに、前記アームと前記ストッパとを前記搬送路から退避させる機構
とを備える媒体搬送装置。
【請求項2】
前記アームは、前記カバーに支持され、
前記ロック機構は、前記カバーに支持されるロック部材を有する
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記アームは、回転可能に前記カバーに支持され、
前記ロック部材は、回転可能に前記カバーに支持され、
前記機構は、回転可能に前記カバーに支持される
請求項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体が搬送される搬送路が開放されるように、開閉可能であるカバー部材が設けられた媒体搬送装置が知られている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-5100号公報
【文献】特開2010-70367号公報
【文献】特開平10-235909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、媒体搬送装置は、カバー部材を閉じるときに、搬送路に突出した突起物が、搬送路に配置された媒体に突き刺さり、媒体を損傷することがある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、媒体の損傷を防止する媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様における媒体搬送装置は、開閉可能に本体に支持されるカバーと、カバーと本体との間に形成される搬送路に沿って搬送される媒体が斜行しているときに前記搬送路が遮断されるように前記搬送路に突出し、前記媒体が斜行していないときに搬送路から退避するアームと、搬送路を遮断したり、搬送路を開放したりするストッパと、アームが搬送路に突出しているときに、ストッパが搬送路を遮断するようにストッパを拘束し、アームが搬送路から退避しているときに、ストッパが搬送路を開放するようにストッパを解放する斜行矯正機構と、カバーを本体に固定するロック機構と、ロック機構がカバーを本体から解放している第1状態からカバーを本体に固定している第2状態に移行するときに、アームとストッパとを搬送路から退避させる機構とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の媒体搬送装置は、媒体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の媒体搬送装置が設けられる画像読取装置を示す側面断面図である。
図2図2は、カバー部材が開放位置に配置されているときの画像読取装置を示す側面断面図である。
図3図3は、ロック機構を示す斜視図である。
図4図4は、カバー部材が開放位置に配置されているときの、本体側ロック部材と、カバー側ロック部材とを示す斜視図である。
図5図5は、アーム退避機構を示す斜視図である。
図6図6は、カバー部材が閉鎖位置に配置され、アームが遮断位置に配置されているときの搬送路14を示す側面断面図である。
図7図7は、ロック機構を示す側面図である。
図8図8は、カバー部材が開放位置に配置されているときのアーム退避機構を示す斜視図である。
図9図9は、アーム退避機構を示す他の斜視図である。
図10図10は、アームが退避位置に配置されているときの先端位置検出センサを示す斜視図である。
図11図11は、カバー部材が開放位置に配置されているときのロック機構を示す側面図である。
図12図12は、カバー部材が開放位置に配置されているときのアーム退避機構を示す側面図である。
図13図13は、カバー部材が閉鎖位置に接近したときのロック機構を示す側面図である。
図14図14は、カバー側ロック部材のカバー側摺動面が本体側ロック部材の本体側摺動面に接触したときのアーム退避機構を示す側面図である。
図15図15は、カバー側ロック部材のカバー側摺動面が本体側ロック部材の本体側摺動面に接触した後に、カバー部材が閉鎖位置にさらに接近したときのロック機構を示す側面図である。
図16図16は、カバー側ロック部材が第2位置に向かって回転したときのアーム退避機構を示す側面図である。
図17図17は、ロック側摺動面がアーム側摺動面に接触した後にカバー部材が閉鎖位置にさらに接近したときのロック機構を示す側面図である。
図18図18は、カバー側ロック部材が第2位置に配置されたときのアーム退避機構を示す側面図である。
図19図19は、カバー部材が閉鎖位置に配置されたときのロック機構を示す側面図である。
図20図20は、カバー部材が閉鎖位置に配置され、カバー側ロック部材が第1位置に配置されたときのアーム退避機構を示す側面図である。
図21図21は、実施例2の媒体搬送装置の斜行矯正機構を示す断面図である。
図22図22は、左側ストッパと、アームと、左側連動機構とを示す斜視図である。
図23図23は、左側ストッパと、アームと、左側連動機構とを示す側面図である。
図24図24は、アームが左側境界位置に配置されているときの左側連動機構を示す側面図である。
図25図25は、アームが退避位置に配置され、左側ストッパが左側ストッパ搬送路退避位置に配置されているときの左側連動機構を示す斜視図である。
図26図26は、斜行矯正機構を通過する媒体を示す平面図である。
図27図27は、斜行矯正機構のアームと右側アームとの両方に突き当たる媒体を示す平面図である。
図28図28は、斜行矯正機構の左側ストッパと右側ストッパとの両方に突き当たる媒体を示す平面図である。
図29図29は、実施例3の媒体搬送装置のロック機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる媒体搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
実施例1の媒体搬送装置は、図1に示されているように、画像読取装置1に設けられている。図1は、実施例1の媒体搬送装置が設けられる画像読取装置1を示す側面断面図である。画像読取装置1は、画像読取装置本体2と、カバー3とを備えている。画像読取装置本体2は、画像読取装置1が設置される設置面5に載置される。設置面5は、水平面に沿うように形成されている。カバー3は、画像読取装置本体2の上部に配置されている。カバー3は、閉鎖位置または開放位置に配置されるように、回転軸6を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。回転軸6は、設置面5が沿う平面に平行である。
【0011】
カバー3が閉鎖位置に配置されているときに、画像読取装置1に、給紙口7と、排出口8とが形成される。給紙口7は、画像読取装置1の後側の画像読取装置本体2とカバー3との間に形成されている。排出口8は、画像読取装置1の給紙口7が形成される後側の反対側の前側の、画像読取装置本体2とカバー3との間に形成されている。排出口8は、給紙口7が形成される位置より設置面5に近い位置に形成されている。
【0012】
画像読取装置1は、シュータ11をさらに備えている。シュータ11は、載置面12を有する。シュータ11は、載置面12が設置面5に沿う平面に対して傾斜した状態で斜め上方を向くように、画像読取装置本体2の後側に配置されている。シュータ11は、さらに、載置面12に載置される媒体が重力により給紙口7に向かって移動するように、給紙口7の近傍に配置され、画像読取装置本体2に固定されている。
【0013】
カバー3が閉鎖位置に配置されているときに、画像読取装置1の画像読取装置本体2とカバー3との間に、搬送路14が形成されている。搬送路14の一端は、給紙口7に接続され、搬送路14の他端は、排出口8に接続されている。
【0014】
画像読取装置1は、搬送部20をさらに備えている。搬送部20は、分離部21と、第1フィードローラ22と、第2フィードローラ23と、第1プレッシャローラ24と、第2プレッシャローラ25とを備えている。分離部21は、搬送路14の給紙口7の近傍に形成されている。分離部21は、給紙口7に挿入される複数の媒体からシュータ11の載置面12に接触する1つの媒体を分離する。分離部21は、さらに、その分離された1つの媒体を搬送路14に沿って排出口8に向かって搬送する。
【0015】
第1フィードローラ22は、円柱状に形成されている。第1フィードローラ22は、搬送路14の下側の分離部21と排出口8との間に配置される。第1フィードローラ22は、回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。第1プレッシャローラ24は、円柱状に形成されている。第1プレッシャローラ24は、搬送路14の上側の第1フィードローラ22の上側に配置されている。第1プレッシャローラ24は、設置面5に沿う平面に垂直である上下方向に並進可能に、かつ、回転可能にカバー3に支持されている。第1プレッシャローラ24は、搬送路14に配置される媒体を第1フィードローラ22に押し付ける。第1フィードローラ22は、図1で反時計回りに回転することにより、第1プレッシャローラ24により第1フィードローラ22に押し付けられる媒体を、搬送路14に沿って排出口8に向かって搬送する。
【0016】
第2フィードローラ23は、円柱状に形成されている。第2フィードローラ23は、搬送路14の下側の第1フィードローラ22と排出口8との間に配置され、回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。第2プレッシャローラ25は、円柱状に形成されている。第2プレッシャローラ25は、搬送路14の上側の第2フィードローラ23の上側に配置されている。第2プレッシャローラ25は、設置面5に沿う平面に垂直である上下方向に並進可能に、かつ、回転可能にカバー3に支持されている。第2プレッシャローラ25は、搬送路14に配置される媒体を第2フィードローラ23に押し付ける。第2フィードローラ23は、図1で反時計回りに回転することにより、第2プレッシャローラ25により第2フィードローラ23に押し付けられる媒体を、搬送路14に沿って排出口8に向かって搬送する。
【0017】
画像読取装置は、下側読取部26と、上側読取部27とをさらに備えている。下側読取部26は、CIS(Contact Image Sensor)タイプのイメージセンサから形成される。下側読取部26は、搬送路14の下側の第1フィードローラ22と第2フィードローラ23との間に配置されている。下側読取部26は、搬送路14を搬送される媒体の下側の面の画像を読み取る。上側読取部27は、CISタイプのイメージセンサから形成される。上側読取部27は、搬送路14の上側の下側読取部26の上側の、第1プレッシャローラ24と第2プレッシャローラ25との間に配置されている。上側読取部27は、搬送路14を搬送される媒体の上側の面の画像を読み取る。
【0018】
図2は、カバー3が開放位置に配置されているときの画像読取装置1を示す側面断面図である。第1プレッシャローラ24は、カバー3が開放位置に配置されることにより、第1フィードローラ22から離れる。第2プレッシャローラ25は、カバー3が開放位置に配置されることにより、第2フィードローラ23から離れる。搬送路14に沿って搬送される媒体は、カバー3が開放位置に配置されることにより、第1プレッシャローラ24と第2プレッシャローラ25との両方から離れるため、画像読取装置1から容易に取り出すことができる。
【0019】
画像読取装置1は、図3に示されているように、ロック機構30を備えている。図3は、ロック機構30を示す斜視図である。ロック機構30は、本体側ロック部材31と、カバー側ロック部材32とを備えている。本体側ロック部材31は、本体側爪33を有し、画像読取装置本体2に固定されている。カバー側ロック部材32は、カバー側爪34を有し、第1位置または第2位置に配置されるように、回転軸35を中心に回転可能にカバー3に固定されている。回転軸35は、回転軸6に平行である。カバー側爪34は、カバー3が閉鎖位置に配置されている場合で、かつ、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されるときに、本体側爪33に引っ掛かる。カバー3は、カバー側爪34が本体側爪33に引っ掛かることにより、閉鎖位置から開放位置に向かって移動しないように、画像読取装置本体2に固定される。
【0020】
カバー側爪34は、カバー側ロック部材32が第2位置に配置されるときに、本体側爪33から外れる。カバー3は、カバー側爪34が本体側爪33から外れることにより、画像読取装置本体2に対して移動可能に、画像読取装置本体2から解放される。図4は、カバー3が開放位置に配置されているときの、本体側ロック部材31と、カバー側ロック部材32とを示す斜視図である。カバー側ロック部材32のカバー側爪34は、カバー3が開放位置に配置されたときに、本体側ロック部材31の本体側爪33に引っ掛かっておらず、本体側ロック部材31から離れている。画像読取装置1は、アーム36をさらに備えている。
【0021】
画像読取装置1は、図5に示されているように、アーム退避機構41をさらに備えている。図5は、アーム退避機構41を示す斜視図である。アーム退避機構41は、ロックシャフト42と、ロック側当接部材43と、アームシャフト44と、アーム側当接部材45とを備えている。ロックシャフト42は、棒状に形成され、回転軸35に沿うように配置されている。ロックシャフト42は、カバー側ロック部材32に固定され、回転軸35を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。ロック側当接部材43は、板状に形成され、ロックシャフト42に固定され、ロックシャフト42を介してカバー側ロック部材32に固定されている。
【0022】
アームシャフト44は、棒状に形成され、回転軸46に沿うように配置されている。回転軸46は、回転軸35に平行である。アームシャフト44は、回転軸46を中心に回転可能にカバー3に支持されている。アーム側当接部材45は、ロック側当接部材43の近傍に配置され、アームシャフト44に固定されている。アーム36は、アームシャフト44に固定されている。アーム36は、アームシャフト44に固定されることにより、遮断位置または退避位置に配置されるように、回転軸46を中心に回転可能にカバー3に支持されている。
【0023】
アーム36は、カバー3が閉鎖位置に配置されているときに、遮断位置に配置されることがある。図6は、カバー3が閉鎖位置に配置され、アーム36が遮断位置に配置されているときの搬送路14を示す側面断面図である。アーム36は、カバー3が閉鎖位置に配置されている状態でアーム36が遮断位置に配置されたときに、搬送路14に突出し、搬送路14の分離部21と第1フィードローラ22との間を遮断する。
【0024】
図7は、ロック機構30を示す側面図である。本体側ロック部材31は、本体側摺動面38を有する。本体側摺動面38は、本体側ロック部材31のカバー側ロック部材32に対向する側に形成されている。カバー側ロック部材32は、カバー側摺動面39を有する。カバー側摺動面39は、カバー側ロック部材32の本体側ロック部材31に対向する側に形成されている。
【0025】
ロック機構30は、付圧部47をさらに備えている。付圧部47は、当接部材48と、バネ49とを備えている。当接部材48は、ロックシャフト42に固定され、ロックシャフト42を介してカバー側ロック部材32に固定されている。バネ49は、圧縮コイルバネから形成されている。バネ49の一端は、当接部材48に固定され、バネ49の他端は、カバー3に固定されている。バネ49は、カバー側ロック部材32が回転軸35を中心に第1位置に向かって図7で反時計回りに回転するように、当接部材48に弾性力を与えている。ロック機構30は、カバー側ロック部材32にバネ49の弾性力が与えられることにより、本体側爪33に引っ掛かっているカバー側爪34が本体側爪33から外れることが防止され、カバー3を画像読取装置本体2に適切に固定することができる。
【0026】
図8は、カバー3が開放位置に配置されているときのアーム退避機構41を示す斜視図である。カバー側ロック部材32は、カバー3が開放位置に配置されているときに、本体側ロック部材31から離れている。カバー側ロック部材32は、カバー3が開放位置に配置されているときにも、付圧部47から弾性力が与えられることにより、第1位置に向かって移動し、第1位置に配置される。
【0027】
図9は、アーム退避機構41を示す他の斜視図である。ロック側当接部材43は、ロック側摺動面55を有する。ロック側摺動面55は、ロック側当接部材43のアーム側当接部材45に対向する側に形成されている。アーム側当接部材45は、アーム側摺動面56を有する。アーム側摺動面56は、アーム側当接部材45のロック側当接部材43に対向する側に形成されている。アーム側摺動面56は、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されているときに、ロック側摺動面55に接触していない。そのため、アーム36は、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されているときに、遮断位置または退避位置に配置されるように、カバー3に対して移動可能に解放されている。
【0028】
画像読取装置1は、図9に示されているように、先端位置検出センサ51をさらに備えている。先端位置検出センサ51は、発光部52と、受光部53と、遮蔽部材54とを備えている。発光部52は、アームシャフト44の近傍に配置され、カバー3に固定されている。発光部52は、光を発光する。受光部53は、発光部52から発光された光を受光するように、アームシャフト44の近傍に配置され、カバー3に固定されている。遮蔽部材54は、アームシャフト44に固定され、アームシャフト44を介してアーム36に固定されている。遮蔽部材54は、アーム36が遮断位置に配置されているときに、発光部52と受光部53との間に配置され、発光部52から受光部53に進行する光を遮蔽する。
【0029】
図10は、アーム36が退避位置に配置されているときの先端位置検出センサ51を示す斜視図である。遮蔽部材54は、アーム36が退避位置に配置されているときに、発光部52と受光部53との間から外れ、発光部52から受光部53に進行する光を遮蔽しない。すなわち、受光部53は、アーム36が遮断位置に配置されているときに、発光部52から発光された光を受光せず、アーム36が退避位置に配置されているときに、発光部52から発光された光を受光する。先端位置検出センサ51は、発光部52から発光された光が受光部53に受光されたときに、アーム36が退避位置に配置されたと判定し、遮断位置に配置されたアーム36が配置される搬送路14上の領域に媒体が配置されていると判定する。先端位置検出センサ51は、発光部52から発光された光が受光部53に受光されないときに、遮断位置に配置されたアーム36が配置される搬送路14上の領域に媒体が配置されていないと判定する。
【0030】
[画像読取装置1の動作]
ユーザは、画像読取装置1が設けられた画像読取装置を用いて複数の媒体の画像を読み取りたいときに、シュータ11に複数の媒体を載置する。複数の媒体は、シュータ11に載置されたときに、重力により給紙口7に挿入され、分離部21に接触する。分離部21は、シュータ11に載置された複数の媒体から1つの媒体を分離し、その分離された媒体を搬送路14に沿って第1フィードローラ22に向かって搬送する。
【0031】
第1フィードローラ22に向かって搬送される媒体は、アーム36を退避位置に配置した後に、第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれる。第1フィードローラ22と第1プレッシャローラ24との間に挟まれた媒体は、第1フィードローラ22が回転することにより、搬送路14に沿って排出口8に向かって搬送される。
【0032】
第1フィードローラ22と、第1プレッシャローラ24とにより搬送路14に沿って搬送される媒体は、搬送路14の下側読取部26と上側読取部27との間を搬送される。下側読取部26は、搬送路14に沿って搬送される媒体の下側の画像を撮像する。上側読取部27は、搬送路14沿って搬送される媒体の上側の画像を撮像する。
【0033】
画像が撮像された媒体は、次いで、第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれる。第2フィードローラ23と第2プレッシャローラ25との間に挟まれた媒体は、第2フィードローラ23が回転することにより、搬送路14に沿って排出口8に向かって搬送され、排出口8から排出される。
【0034】
先端位置検出センサ51は、アーム36が遮断位置に配置されているか退避位置に配置されているかを判定することによって、遮断位置に配置されたアーム36が配置される搬送路14上の所定領域に媒体が配置されているか否かを判定する。先端位置検出センサ51により搬送路14の所定領域に媒体が配置されていないと判定されてから所定時間経過後に、第1フィードローラ22と、第2フィードローラ23との回転が停止される。
【0035】
ユーザは、搬送路14または搬送部20をメンテナンスするときに、カバー3を開放位置に配置する。カバー3を開放位置に配置することにより、ユーザは、搬送路14および搬送部20が見やすくなり、搬送路14および搬送部20のメンテナンスが容易になる。
【0036】
ユーザは、搬送路14および搬送部20をメンテナンスした後に、カバー3を開放位置から閉鎖位置に移動させる。図11は、カバー3が開放位置に配置されているときのロック機構30を示す側面図である。カバー側ロック部材32は、カバー3が開放位置に配置されているときに、本体側ロック部材31から離れ、カバー3に対して移動可能に解放されている。このとき、カバー側ロック部材32は、付圧部47から弾性力が与えられていることにより、第1位置に向かって移動し、第1位置に配置されている。
【0037】
図12は、カバー3が開放位置に配置されているときのアーム退避機構41を示す側面図である。アーム側当接部材45は、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されているときに、ロック側当接部材43から離れている。アーム36は、アーム側当接部材45がロック側当接部材43から離れていることにより、遮断位置または退避位置に配置されるように、カバー3に対して移動可能に解放されている。
【0038】
図13は、カバー3が閉鎖位置に接近したときのロック機構30を示す側面図である。カバー側ロック部材32のカバー側摺動面39は、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されている状態でカバー3が閉鎖位置に接近することにより、本体側ロック部材31の本体側摺動面38に接触する。
【0039】
図14は、カバー側摺動面39が本体側摺動面38に接触したときのアーム退避機構41を示す側面図である。アーム側当接部材45は、カバー側摺動面39が本体側摺動面38に接触した場合でも、カバー側ロック部材32が第1位置に配置されている間、ロック側当接部材43から離れている。そのため、このときもアーム36は、アーム側当接部材45がロック側当接部材43から離れていることにより、カバー3に対して移動可能に解放されている。
【0040】
図15は、カバー側摺動面39が本体側摺動面38に接触した後にカバー3が閉鎖位置にさらに接近したときのロック機構30を示す側面図である。カバー側摺動面39は、本体側摺動面38に接触した後に、カバー3が閉鎖位置に接近することにより、本体側摺動面38を滑る。カバー側ロック部材32は、カバー側摺動面39が本体側摺動面38を滑ることにより、回転軸35を中心に第2位置に向かって図15で時計回りに回転する。
【0041】
図16は、カバー側ロック部材32が第2位置に向かって回転したときのアーム退避機構41を示す側面図である。ロック側当接部材43のロック側摺動面55は、アーム36が遮断位置に配置されているときに、カバー側ロック部材32が第2位置に向かって移動することにより、アーム側当接部材45のアーム側摺動面56に接触する。ロック側摺動面55は、アーム側摺動面56に接触した後に、カバー側ロック部材32が第2位置に向かってさらに回転することにより、アーム側摺動面56を滑る。ロック側当接部材43は、ロック側摺動面55がアーム側摺動面56を滑ることにより、アーム側当接部材45を押す。アーム側当接部材45は、ロック側当接部材43に押されることにより、回転軸46を中心に図16で反時計回りに回転する。アーム36は、アーム側当接部材45が反時計回りに回転することにより、退避位置に向かって移動する。
【0042】
図17は、ロック側摺動面55がアーム側摺動面56に接触した後にカバー3が閉鎖位置にさらに接近したときのロック機構30を示す側面図である。カバー側摺動面39は、ロック側摺動面55がアーム側摺動面56に接触した後に、カバー3が閉鎖位置にさらに接近することにより、本体側摺動面38をさらに滑る。カバー側ロック部材32は、カバー側摺動面39が本体側摺動面38をさらに滑ることにより、回転軸35を中心に回転し、第2位置に配置される。
【0043】
図18は、カバー側ロック部材32が第2位置に配置されたときのアーム退避機構41を示す側面図である。アーム36は、カバー側ロック部材32が第2位置に配置されることにより、退避位置に配置され、搬送路14から退避する。
【0044】
図19は、カバー3が閉鎖位置に配置されたときのロック機構30を示す側面図である。カバー側爪34は、カバー3が閉鎖位置に配置されたときに、付圧部47からカバー側ロック部材32に与えられる弾性力によりカバー側ロック部材32が第1位置に向かって移動することにより、本体側爪33に引っ掛かる。カバー側ロック部材32は、カバー側爪34が本体側爪33に適切に引っ掛かることにより、第1位置に配置される。カバー3は、カバー側爪34が本体側爪33に引っ掛かることにより、閉鎖位置に配置された状態で、画像読取装置本体2に固定される。
【0045】
図20は、カバー3が閉鎖位置に配置された状態でカバー側ロック部材32が第1位置に配置されたときのアーム退避機構41を示す側面図である。ロック側当接部材43は、カバー3が閉鎖位置に配置された状態で第1位置に配置されたときに、アーム側当接部材45から離れる。アーム36は、ロック側当接部材43がアーム側当接部材45から離れることにより、カバー3に対して移動可能に解放される。
【0046】
すなわち、カバー側ロック部材32は、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、ロック機構30がカバー3を解放している第1状態からロック機構30がカバー3を固定している第2状態に移行する途中で第2位置に配置される。アーム退避機構41は、カバー側ロック部材32が第2位置に配置されるときに、アーム36を搬送路14から退避させる。このため、アーム36は、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、カバー側ロック部材32が第2位置に配置されることにより、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに搬送路14から退避する。
【0047】
カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、搬送路14に媒体が配置されていることがある。画像読取装置1は、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、アーム36を退避位置に配置することができる。画像読取装置1は、アーム36が退避位置に配置されていることにより、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷することを防止することができる。
【0048】
[実施例1の媒体搬送装置の効果]
実施例1の媒体搬送装置は、カバー3と、アーム36と、カバー側ロック部材32と、アーム退避機構41とを備えている。カバー3は、開閉可能に画像読取装置本体2に支持されている。アーム36は、カバー3と画像読取装置本体2との間に形成される搬送路14に突出したり、搬送路14から退避したりする。カバー側ロック部材32は、カバー3を画像読取装置本体2に固定する。アーム退避機構41は、カバー側ロック部材32がカバー3を画像読取装置本体2から解放している第1状態からカバー3を画像読取装置本体2に固定している第2状態に移行するときに、アーム36を搬送路14から退避させる。このとき、媒体搬送装置は、カバー3が閉鎖位置に移動するときに、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。
【0049】
また、実施例1の媒体搬送装置のアーム36は、回転可能にカバー3に支持されている。カバー側ロック部材32は、回転可能にカバー3に支持されている。アーム退避機構41の可動部は、回転可能にカバー3に支持されている。このとき、カバー側ロック部材32の移動をアーム36の移動に連動させる可動部をカバー3のみに設けることで、アーム退避機構41を簡潔に形成することができ、媒体搬送装置の製造コストを低減することができる。
【実施例2】
【0050】
実施例2の媒体搬送装置は、図21に示されているように、既述の実施例1の媒体搬送装置に斜行矯正機構71が追加され、他の部分は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同じである。図21は、実施例2の媒体搬送装置の斜行矯正機構71を示す断面図である。斜行矯正機構71は、搬送路14の分離部21と第1フィードローラ22との間の領域に配置されている。斜行矯正機構71は、左側ストッパ72と、右側ストッパ73と、右側アーム75と、左側連動機構76と、右側連動機構77とを備えている。左側ストッパ72は、搬送路14の左側に配置されている。右側ストッパ73は、搬送路14の右側に配置されている。アーム36と右側アーム75との両方は、左側ストッパ72と右側ストッパ73との間に配置されている。アーム36と右側アーム75との両方は、さらに、左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方より分離部21の近くに配置されている。右側アーム75は、右側のアーム36と右側ストッパ73との間に配置されている。
【0051】
図22は、左側ストッパ72と、アーム36と、左側連動機構76とを示す斜視図である。左側ストッパ72は、帯状に形成されている。左側ストッパ72は、左側ストッパ搬送路遮断位置または左側ストッパ搬送路退避位置に配置されるように、ストッパ回転軸78を中心に回転可能にカバー3に支持されている。ストッパ回転軸78は、アーム36の回転軸46に平行であり、回転軸46から離れている。左側連動機構76は、アーム側突き当て部82と、固定部材83とを備えている。アーム側突き当て部82は、左側ストッパ72のストッパ側突き当て部81の近傍に配置され、固定部材83を介してアーム36に固定されている。
【0052】
図23は、左側ストッパ72と、アーム36と、左側連動機構76とを示す側面図である。左側ストッパ72は、左側ストッパ搬送路遮断位置に配置されるときに、搬送路14を遮断し、搬送路14を搬送される媒体に接触するように配置される。左側ストッパ72は、左側ストッパ搬送路遮断位置に配置されるときに、遮断位置に配置されているアーム36より分離部21から遠くに配置される。
【0053】
アーム側突き当て部82は、アーム36が遮断位置に配置され、かつ、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路遮断位置に配置されているときに、ストッパ側突き当て部81に突き当たるように配置される。左側連動機構76は、アーム側突き当て部82がストッパ側突き当て部81に突き当たることにより、左側ストッパ72が左側ストッパ分離用搬送路遮断位置から時計回りに回転しないように、左側ストッパ72を左側ストッパ分離用搬送路遮断位置に固定する。
【0054】
アーム36は、回転軸46を中心に遮断位置から退避位置に向かって図23で時計回りに回転するときに、左側境界位置を通過する。図24は、アーム36が左側境界位置に配置されているときの左側連動機構76を示す側面図である。左側境界位置に配置されたアーム36により遮断される搬送路14上の位置は、左側ストッパ分離用搬送路遮断位置に配置された左側ストッパ72により遮断される搬送路14上の位置と重なる。
【0055】
左側連動機構76は、アーム36が左側境界位置に配置されているときに、アーム側突き当て部82がストッパ側突き当て部81に突き当たらないように配置される。そのため、左側連動機構76は、アーム36が左側境界位置に配置されているときに、左側ストッパ72がストッパ回転軸78を中心に図24で時計回りに回転することができるように、左側ストッパ72を解放する。
【0056】
左側連動機構76は、アーム36が左側境界位置と遮断位置との間の左側拘束領域に配置されているときに、アーム側突き当て部82がストッパ側突き当て部81に突き当たるように配置される。このため、左側連動機構76は、アーム36が左側拘束領域に配置されているときに、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路遮断位置に配置されるように、左側ストッパ72を拘束する。
【0057】
左側ストッパ72は、左側ストッパ搬送路遮断位置からストッパ回転軸78を中心に図24で時計回りに回転することにより、左側ストッパ搬送路退避位置に向かって移動する。アーム36は、左側境界位置から回転軸46を中心に図24で時計回りに回転することにより、退避位置に向かって移動する。
【0058】
図25は、アーム36が退避位置に配置され、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路退避位置に配置されているときの左側連動機構76を示す斜視図である。アーム36は、退避位置に配置されるときに、搬送路14から退避する。左側連動機構76は、アーム36が左側境界位置と退避位置との間の左側解放領域に配置されているときに、アーム側突き当て部82が左側ストッパ72のストッパ側突き当て部81に突き当たらないように配置される。このため、左側連動機構76は、アーム36が左側解放領域に配置されているときに、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路遮断位置または左側ストッパ搬送路退避位置に配置されるように、左側ストッパ72を移動可能に解放する。
【0059】
左側ストッパ72は、アーム36が退避位置に配置されているときに、移動可能に解放されているため、左側ストッパ搬送路退避位置に配置することができる。左側ストッパ72は、左側ストッパ搬送路退避位置に配置されるときに、搬送路14に沿って媒体が搬送されるように、搬送路14から退避する。
【0060】
右側ストッパ73は、左側ストッパ72と同様に形成される。すなわち、右側ストッパ73は、右側ストッパ搬送路遮断位置または右側ストッパ搬送路退避位置に配置されるように、ストッパ回転軸78を中心に回転可能にカバー3に支持されている。右側ストッパ73は、右側ストッパ搬送路遮断位置に配置されたときに、搬送路14を遮断する。右側ストッパ搬送路遮断位置に配置された右側ストッパ73により遮断される搬送路14上の位置は、左側ストッパ搬送路遮断位置に配置された左側ストッパ72により遮断される搬送路14上の位置と重なる。
【0061】
右側アーム75は、アーム36と同様に形成される。すなわち、右側アーム75は、右側アーム搬送路遮断位置、右側境界領域、または右側アーム搬送路退避位置に配置されるように、回転軸46を中心に回転可能にカバー3に支持されている。右側アーム75は、右側アーム搬送路遮断位置または右側境界領域に配置されたときに、搬送路14を遮断する。右側アーム75は、右側アーム75が右側アーム搬送路退避位置に配置されたときに、搬送路14から退避する。右側境界領域に配置された右側アーム75により遮断される搬送路14上の位置は、右側ストッパ搬送路遮断位置に配置された右側ストッパ73により遮断される搬送路14上の位置と重なる。
【0062】
右側連動機構77は、左側連動機構76と同様に形成され、右側アーム75が右側アーム搬送路遮断位置と右側境界領域との間の右側拘束領域に配置されているときに、右側ストッパ搬送路遮断位置に配置された右側ストッパ73をカバー3に固定する。右側連動機構77は、右側アーム75が右側境界位置と右側アーム搬送路退避位置との間の右側解放領域に配置されているときに、右側ストッパ73を右側ストッパ搬送路退避位置に配置することができるように、右側ストッパ73を解放する。
【0063】
実施例2の媒体搬送装置は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同様に媒体を搬送する。実施例2の媒体搬送装置の搬送路14に沿って搬送される媒体85は、斜行矯正機構71を通過するときに、図26に示されているように、搬送路14に対して傾斜した状態で搬送路14に沿って搬送されることがある。図26は、斜行矯正機構71を通過する媒体85を示す平面図である。媒体85は、傾斜した状態で斜行矯正機構71を通過するときに、先端86が斜行矯正機構71の左側ストッパ72に突き当たることがある。媒体85は、先端86が左側ストッパ72に突き当たった後に、分離部21にさらに搬送されることにより、撓み、媒体85の先端86が右側ストッパ73に接近するように、左側ストッパ72を概ね中心に回転する。
【0064】
先端86は、媒体85が回転することにより、図27に示されているように、さらに、アーム36と右側アーム75との両方に突き当たる。図27は、斜行矯正機構71のアーム36と右側アーム75との両方に突き当たる媒体85を示す平面図である。アーム36は、媒体85がアーム36に突き当たることにより、遮断領域から左側境界領域に向かって移動する。右側アーム75は、媒体85が右側アーム75に突き当たることにより、右側アーム搬送路遮断位置から右側境界領域に向かって移動する。
【0065】
媒体85は、先端86がアーム36と右側アーム75との両方に突き当たった後に、分離部21により搬送されることにより、さらに回転する。媒体85がさらに回転することにより、先端86が、図28に示されているように、左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方に突き当たる。図28は、斜行矯正機構71の左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方に突き当たる媒体85を示す平面図である。媒体85は、左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方に突き当たるときに、搬送路14に対して傾斜しておらず、斜行が矯正されて、先端86に沿う直線が第1フィードローラ22の回転軸と平行であるように配置されている。アーム36は、媒体85の先端86が左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方に突き当たっているときに、先端86に押されることにより、左側境界位置に配置される。左側連動機構76は、アーム36が左側境界位置に配置されることにより、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路退避位置に向かって回転するように、左側ストッパ72を解放する。右側アーム75は、媒体85の先端86が左側ストッパ72と右側ストッパ73との両方に突き当たっているときに、先端86に押されることにより、右側境界位置に配置される。右側連動機構77は、右側アーム75が右側境界位置に配置されることにより、右側ストッパ73が右側ストッパ搬送路退避位置に向かって回転するように、右側ストッパ73を解放する。
【0066】
左側ストッパ72は、左側連動機構76が左側ストッパ72を解放しているときに、媒体85が分離部21により搬送されることにより、媒体85に押されて回転し、左側ストッパ搬送路退避位置に配置される。右側ストッパ73は、右側連動機構77が右側ストッパ73を解放しているときに、媒体85が分離部21により搬送されることにより、媒体85に押されて回転し、右側ストッパ搬送路退避位置に配置される。アーム36は、媒体85が分離部21により搬送されることにより、媒体85に押されて回転し、左側レバー搬送路退避位置に配置される。右側アーム75は、媒体85が分離部21により搬送されることにより、媒体85に押されて回転し、右側レバー搬送路退避位置に配置される。
【0067】
媒体85は、左側ストッパ72が左側ストッパ搬送路退避位置に配置され、右側ストッパ73が右側ストッパ搬送路退避位置に配置されることにより、先端86に沿う直線が第1フィードローラ22の回転軸と平行である状態で、搬送路14に沿って搬送される。斜行矯正機構71は、媒体85が左側ストッパ72に突き当たる前に右側ストッパ73に突き当たるときも、同様にして、媒体85の斜行を矯正することができる。斜行矯正機構71は、媒体85が左側ストッパ72に突き当たる前にアーム36または右側アーム75に突き当たるときも、同様にして、媒体85の斜行を矯正することができる。
【0068】
実施例2の媒体搬送装置は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同様に、カバー3が閉鎖位置に移動するときに、アーム36を退避位置に配置することができる。このため、実施例2の媒体搬送装置は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同様に、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。すなわち、実施例2の媒体搬送装置は、アーム36が搬送路14に沿って搬送される媒体の斜行の矯正に利用される場合でも、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。
【0069】
ところで、実施例2の媒体搬送装置のアーム退避機構41は、カバー3が閉鎖位置に移動するときに、アーム36のみを搬送路14から退避させているが、さらに、左側ストッパ72と、右側ストッパ73と、右側アーム75とを搬送路14から退避させてもよい。このとき、媒体搬送装置は、搬送路14に配置された媒体に、左側ストッパ72と、右側ストッパ73と、右側アーム75とが突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。
【実施例3】
【0070】
既述の実施例の媒体搬送装置では、アーム36とアーム退避機構41との両方がカバー3に支持されているが、アーム36とアーム退避機構41との両方が画像読取装置本体2に支持されていてもよい。実施例3の媒体搬送装置は、図29に示されているように、既述の実施例1の媒体搬送装置のロック機構30が他のロック機構90に置換されている。図29は、実施例3の媒体搬送装置のロック機構90を示す斜視図である。ロック機構90は、本体側ロック部材91を備えている。本体側ロック部材91は、本体側爪92を有し、第1位置または第2位置に配置されるように、回転軸93を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。
【0071】
ロック機構90は、図示されていないカバー側ロック部材を備えている。カバー側ロック部材は、カバー側爪を有し、カバー3に固定されている。本体側爪92は、カバー3が閉鎖位置に配置されているときに、本体側ロック部材91が第1位置に配置されることにより、カバー側爪に引っ掛かる。すなわち、ロック機構90は、既述のロック機構30と同様に、本体側爪92がカバー側爪に引っ掛かることにより、カバー3が閉鎖位置に配置された状態で、カバー3を画像読取装置本体2に固定する。また、本体側ロック部材91は、カバー3が開放位置から閉鎖位置に移動するときに、カバー3を解放している第1状態からカバー3を固定している第2状態に移行する。本体側ロック部材91は、第1状態で第1位置に配置され、第2状態で第1位置に配置され、第1状態から第2状態に移行する途中で第2位置に配置される。
【0072】
アーム退避機構41のロックシャフト42は、本体側ロック部材91に固定され、回転軸93を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。アーム退避機構41は、ロックシャフト42が固定されるロック側当接部材43が、図29に図示されていないアーム側当接部材45に接触したりアーム側当接部材45から離れたりすることにより、アーム36を拘束したり解放したりする。すなわち、アーム退避機構41は、既述の実施例1の媒体搬送装置の場合と同様に、本体側ロック部材91が第1位置に配置されるときに、アーム36が遮断位置または退避位置に配置されるように、アーム36を移動可能に解放する。アーム退避機構41は、本体側ロック部材91が第2位置に配置されるときに、アーム36が退避位置に配置されるように、アーム36を拘束する。このため、実施例3の媒体搬送装置も、カバー3が閉鎖位置に移動するときに、アーム36を搬送路14から退避させることにより、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。
【0073】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、画像読取装置に利用されているが、他の装置に利用されてもよい。その装置としては、プリンタが例示される。たとえば、媒体搬送装置は、プリンタに利用されるときに、下側読取部26が省略され、上側読取部27が媒体に図形を印刷する印刷部に置換される。媒体搬送装置は、画像読取装置と異なる装置に利用された場合でも、カバー3が閉鎖位置に移動するときにアーム36を搬送路14から退避させることにより、搬送路14に配置された媒体にアーム36が突き刺さり、媒体を損傷するのを防止することができる。
【0074】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 :画像読取装置
2 :画像読取装置本体
3 :カバー
14:搬送路
30:ロック機構
31:本体側ロック部材
32:カバー側ロック部材
36:アーム
51:先端位置検出センサ
71:斜行矯正機構
72:左側ストッパ
73:右側ストッパ
75:右側アーム
90:ロック機構
91:本体側ロック部材
92:本体側爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
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図19
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図29