(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】電気光学媒体およびそれを組み込む書き込み可能デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20220721BHJP
G02F 1/1673 20190101ALI20220721BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20220721BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220721BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1673
G02F1/1685
G09G3/34 C
G09G3/20 691D
G09G3/20 691B
G09G3/20 642J
G09G3/20 621B
(21)【出願番号】P 2021538183
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019058258
(87)【国際公開番号】W WO2020092190
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクレアリー, マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パオリニ, リチャード ジェイ. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】モリル, サマンサ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0293111(US,A1)
【文献】特開2004-287068(JP,A)
【文献】特開2009-015296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/167
G02F 1/1685
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサ、デジタイザ、およびスタイラスと組み合わせられている、電気光学デバイスであって、
前記スタイラスは、第1の先端と、第2の先端と、前記スタイラスの前記第1の先端に近接した磁気材料とを備え、前記第2の先端は、非磁気先端であり、かつ、前記第1の先端に対する前記スタイラスの反対側の端部に位置し、前記電気光学デバイスは、
視認側の第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面と、
光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体と
を備え、
前記複数の粒子は、
第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、
第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、
第3の色、前記第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子と
を備え、
前記第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、
前記第1の電荷極性は、前記第2の電荷極性と反対であり、
前記複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記第2のタイプの粒子は、磁場勾配に応答せず、
前記第2のタイプの粒子は、電場閾値を有し、それによって、
(a)前記電場閾値より強く、前記第2のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第2の色を前記第1の表面において表示させ、
ここで、電圧電位の印加は、前記スタイラスの前記非磁気先端を前記電気光学デバイスの前記第1の表面に接触させることによって達成され得、
(b)前記電場閾値より強く、前記第1のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第1の色を前記第1の表面において表示させ、
(c)前記第1の色が前記第1の表面に表示されると、前記電場閾値より弱く、前記第3のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第3の色を表示させ
、
(d)前記第1の色が前記第1の表面の第1の場所に表示されると、前記スタイラスの磁気先端を用いて、前記第1の場所と1回接触することが、第3のタイプの粒子を前記第1の場所に向かって移動させ、
(e)前記スタイラスの前記磁気先端の接触によって第3の粒子が前記第1の場所に向かって移動させられると、前記スタイラスの前後の移動を使用して、前記スタイラスの前記磁気先端を用いて、前記第1の場所と再び接触することが、第2のタイプの粒子を前記第1の場所に向かって移動させる、
電気光学デバイス。
【請求項2】
前記第1の色は、白色である、請求項1に記載の電気光学デバイス。
【請求項3】
前記第2の色は、黒色である、請求項
2に記載の電気光学デバイス。
【請求項4】
前記第3のタイプの粒子の平均直径は、前記第2のタイプの粒子の平均直径より大きい、請求項1に記載の電気光学デバイス。
【請求項5】
前記流体は、非極性溶媒である、請求項1に記載の電気光学デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の電気光学デバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
前記スタイラス
の前記第1の先端を用いて、前記
電気光学デバイスの
前記第1の表面上の第1の場所と接触するステップと、
前記第1の場所と接触したことに応答して、電場を印加し、前記第1のタイプおよび第2のタイプの粒子のうちの1つに前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
前記スタイラスの前記第1および第2の
先端のうちの1つを用いて、前記
電気光学デバイスの前記第1の表面上の第2の場所と接触するステップと、
前記第2の場所と接触したことに応答して、磁場勾配を印加し
、第3のタイプの粒子に前記第2の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の電気光学デバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
前記スタイラス
の前記第2の先端を用いて、前記
電気光学デバイスの
前記第1の表面上の第1の場所と接触し
、第3のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
前記スタイラスの前後の移動を使用して、前記スタイラス
の前記第2の先端を用いて、前記
電気光学デバイスの前記第1の表面上の前記第1の場所と再び接触し、第2のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項8】
タッチセンサ、デジタイザ、およびスタイラスと組み合わせられている、電気光学デバイスを動作させる方法であって、
前記スタイラスは、第1の先端と、第2の先端と、前記スタイラスの前記第1の先端に近接した磁気材料とを備え、前記第2の先端は、非磁気先端であり、かつ、前記第1の先端に対する前記スタイラスの反対側の端部に位置し、前記電気光学デバイスは、(a)視認側の第1の表面と、(b)前記第1の表面の反対側の第2の表面と、(c)光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体とを備え、前記複数の粒子は、(1)第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、(2)第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、(3)第3の色、前記第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子とを備え、前記第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、前記第1の電荷極性は、前記第2の電荷極性と反対であり、前記複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、前記第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記方法は、
前記第1の色が前記電気光学デバイスの前記第1の表面上の第1の場所に表示されると、前記スタイラス
の前記第2の先端を用いて、前記
電気光学デバイスの前記第1の表面上の
前記第1の場所と接触し、第3のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
前記第3の色が前記電気光学デバイスの前記第1の表面上の第1の場所に表示されると、前記スタイラスの前後の移動を使用して、前記スタイラス
の前記第2の先端を用いて、前記
電気光学デバイスの前記第1の表面上の前記第1の場所と再び接触し、第2のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年10月30日に出願された米国仮出願第62/752,614号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書に説明される技術は、荷電粒子と、特殊器具(スタイラスまたは印刷ヘッド)を用いてアドレスされ得る磁気応答性粒子とを含む電気泳動媒体を備えている電気光学デバイスおよび関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
下で述べられる全ての米国特許および公開出願の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0004】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であり、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0005】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒-白のこれらの2つの極端な状態間の遷移を意味するわけではない。例えば、下で参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間のグレー状態が実際には薄青にである電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒」および「白」は、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用され得、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態のみに駆動する駆動スキームを指すために使用され得る。
【0006】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、多くの場合、内部液体または気体充填空間を有し得る。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜的に、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0007】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有するディスプレイ要素を備えているディスプレイであり、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、ディスプレイ要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号において、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜のために、用語「双安定性」が、本明細書において、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を対象とするために使用され得る。
【0008】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度および対比、広視野角、状態双安定、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、それらの広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0009】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体において、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al.“Electrical toner movement for electronic paper-like display”,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,“Toner display using insulative particles charged triboelectricaily”,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照)。また、米国特許第7,321,459号(特許文献1)および第7,236,291号(特許文献2)も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降により液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0010】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、およびその関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセルの電気泳動および他の電気光学媒体で使用される種々の技術を説明する。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルはそれ自体が、高分子結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる凝集層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的に、高分子フィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術として、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号、第7,679,814号、第9,759,980号、および第6,870,661号参照);
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照);
(c)マイクロセル構造、壁材料、マイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照);
(d)マイクロセルを充填かつシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照);
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照);
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層および方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照);
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照);
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照);
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348および米国特許出願第公開第US2017/0336896号参照);
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号および米国特許出願第公開第2015/0277160号参照)、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)。
【0011】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備えていることを認識し、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0012】
種々のシステムが、スタイラスを用いて電気光学ディスプレイにアドレスするために利用可能である。例えば、スタイラスは、あるタブレット上にメモをとるために使用されることができる。ユーザが電気光学ディスプレイの表面の上でスタイラスをパスすると、電気光学ディスプレイは、電気光学ディスプレイによって検出されたスタイラスの位置に基づいて、スタイラスがパスされたピクセルに対応するピクセルをアクティブにする。いくつかの磁気応答性ディスプレイは、磁石を含むスタイラス、および/または磁場を生成するスタイラスを用いてアドレスされ得る。
【0013】
現在の書き込み可能電気光学ディスプレイシステムは、電気泳動媒体を使用して提供され得る色の数が限定される。故に、ユーザが複数の色を有する画像を生成することを可能にする改良された電気泳動ベースの書き込み可能デバイスの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第7,321,459号公報
【文献】米国特許第7,236,291号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の側面において、電気光学デバイスは、視認側の第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体とを備え、複数の粒子は、(1)第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、(2)第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、(3)第3の色、第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子とを備え、第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、第1の電荷極性は、第2の電荷極性と反対であり、複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成され、第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成され、第2のタイプの粒子は、電場閾値を有し、それによって、(a)電場閾値より強く、第2のタイプの粒子を光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、ピクセル電極に対応するピクセルに第2の色を第1の表面において表示させ、(b)電場閾値より強く、第1のタイプの粒子を光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、ピクセル電極に対応するピクセルに第1の色を第1の表面において表示させ、(c)第1の色が、第1の表面に表示されると、電場閾値より弱く、第3のタイプの粒子を光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、ピクセル電極に対応するピクセルに第3の色を表示させるであろう。
【0016】
本発明の別の側面において、電気光学デバイスを動作させる方法であって、電気光学デバイスは、(a)視認側の第1の表面と、(b)第1の表面の反対側の第2の表面と、(c)光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体とを備え、複数の粒子は、(1)第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、(2)第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、(3)第3の色、第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子とを備え、第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、第1の電荷極性は、第2の電荷極性と反対であり、複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成され、第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成され、(A)磁気先端を備えているスタイラスを用いて、デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触し、第3のタイプの粒子に第1の場所に向かって移動させるステップと、(B)再び、磁気先端を備えているスタイラスを用いて、デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触し、第2のタイプの粒子に第1の場所に向かって移動させるステップとを含む。
【0017】
上で説明される側面および実施形態および追加の側面および実施形態は、下でさらに説明される。本発明の他の側面は、以下の説明に照らして明白であろう。これらの側面および/または実施形態は、個々に、全てまとめて、または2つ以上のものの任意の組み合わせにおいて使用され得、この点において、用途は、限定されない。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
電気光学デバイスであって、前記電気光学デバイスは、
視認側の第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面と、
光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体と
を備え、
前記複数の粒子は、
第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、
第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、
第3の色、前記第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子と
を備え、
前記第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、
前記第1の電荷極性は、前記第2の電荷極性と反対であり、
前記複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記第2のタイプの粒子は、電場閾値を有し、それによって、
(a)前記電場閾値より強く、前記第2のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第2の色を前記第1の表面において表示させ、
(b)前記電場閾値より強く、前記第1のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第1の色を前記第1の表面において表示させ、
(c)前記第1の色が前記第1の表面に表示されると、前記電場閾値より弱く、前記第3のタイプの粒子を前記光透過導電性層に隣接するように駆動する極性を有する電場を発生させる前記光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加が、前記ピクセル電極に対応するピクセルに前記第3の色を表示させるであろう、
電気光学デバイス。
(項目2)
前記第2のタイプの粒子は、磁場勾配に応答しない、項目1に記載の電気光学デバイス。
(項目3)
前記第1の色は、白色である、項目1に記載の電気光学デバイス。
(項目4)
前記第2の色は、黒色である、項目3に記載の電気光学デバイス。
(項目5)
前記第3のタイプの粒子の平均直径は、前記第2のタイプの粒子の平均直径より大きい、項目1に記載の電気光学デバイス。
(項目6)
前記流体は、非極性溶媒である、項目1に記載の電気光学デバイス。
(項目7)
タッチセンサおよびデジタイザと組み合わせられている、項目1に記載の電気光学デバイス。
(項目8)
スタイラスと組み合わせられている、項目7に記載の電気光学デバイス。
(項目9)
前記スタイラスは、前記スタイラスの第1の先端に近接した磁気材料を備えている、項目8に記載の電気光学デバイスおよびスタイラス。
(項目10)
非磁気先端を有する第2のスタイラスをさらに備えている、項目9に記載の電気光学デバイスおよびスタイラス。
(項目11)
前記スタイラスは、前記第1の先端に対する前記スタイラスの反対側の端部に第2の非磁気先端を備えている、項目10に記載の電気光学デバイスおよびスタイラス。
(項目12)
前記デバイスは、前記非磁気先端が前記ディスプレイの表面と接触すると、少なくとも1つの色を表示するように構成されている、項目11に記載の電気光学デバイスおよびスタイラス。
(項目13)
前記デバイスは、少なくとも2つの色を表示するように構成されている、項目12に記載の電気光学デバイスおよびスタイラス。
(項目14)
項目1に記載の電気光学デバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
第1および第2のスタイラスのうちの1つを用いて、前記デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触するステップと、
電場を印加し、前記第1のタイプおよび第2のタイプの粒子のうちの1つに前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
前記第1および第2のスタイラスのうちの1つを用いて、前記ディスプレイの前記第1の表面上の第2の場所と接触するステップと、
磁場勾配を印加し、前記第3のタイプの粒子に前記第2の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
(項目15)
項目8に記載の電気光学デバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
磁気先端を備えている前記スタイラスを用いて、前記デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触し、前記第3のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
磁気先端を備えている前記スタイラスを用いて、前記デバイスの前記第1の表面上の前記第1の場所と再び接触し、第2のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
(項目16)
電気光学デバイスを動作させる方法であって、前記電気光学デバイスは、(a)視認側の第1の表面と、(b)前記第1の表面の反対側の第2の表面と、(c)光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体とを備え、前記複数の粒子は、(1)第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、(2)第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、(3)第3の色、前記第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子とを備え、前記第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、前記第1の電荷極性は、前記第2の電荷極性と反対であり、前記複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、前記第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に前記流体内で移動するように構成され、
前記方法は、
磁気先端を備えているスタイラスを用いて、前記デバイスの前記第1の表面上の第1の場所と接触し、第3のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと、
磁気先端を備えている前記スタイラスを用いて、前記デバイスの前記第1の表面上の前記第1の場所と再び接触し、第2のタイプの粒子に前記第1の場所に向かって移動させるステップと
を含む、方法。
【0018】
本願の種々の側面および実施形態は、以下の図を参照して説明されるであろう。図は、必ずしも、正確な縮尺で描かれていないことを理解されたい。複数の図中に現れるアイテムは、それらが現れる全ての図において同一参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による、第1のスタイラスと組み合わせたアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0020】
【
図2】
図2は、第2のスタイラスと組み合わせた
図1のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0021】
【
図3】
図3は、第3のスタイラスと組み合わせた
図1のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0022】
【
図4】
図4は、第1の光学状態を表示する
図1のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0023】
【
図5】
図5は、第2の光学状態を表示する
図1のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0024】
【
図6】
図6は、白色状態におけるアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する。
【0025】
【
図7】
図7は、第2のスタイラスと組み合わせた
図6のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する(1回、スタイラスに接触する)。
【0026】
【
図8】
図8は、第2のスタイラスと組み合わせた
図6のアドレス可能電気光学ディスプレイの断面側面図を図示する(2回以上、スタイラスに接触する)。
【0027】
【
図9】
図9は、語句を書き込み、図を描くために、磁性スタイラスによって接触されるアドレス可能電気光学ディスプレイの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の種々の実施形態は、電気的および磁気的にアドレス可能である電気泳動媒体および粒子ベースの電気光学ディスプレイに関する。本発明の種々の実施形態は、グローバルおよびローカルアドレス能力の両方を提供するように構成され得る。グローバルアドレス能力は、全面色状態、例えば、白色または黒色を作成するために使用される(したがって、それは、「消去」状態と見なされ得る)。グローバルアドレス状態は、電気的に制御可能であり得る。例えば、ディスプレイは、ディスプレイの粒子ベースの電気光学層の両側に電極を含み得、電極は、好適な電場を作成し、インクを均一色状態に設定するように動作させられ得る。ディスプレイは、電気泳動粒子に提供される電場を制御するためのコントローラを含み得る。コントローラは、静的電場または時間依存電場(すなわち、波形)を印加し得る。ローカルアドレス能力は、電気または磁場を作成する1つ以上の書き込み実装によって提供され得る。用語「書き込み実装」は、本明細書で使用されるように、スタイラスを含む。
【0029】
「磁性」および「磁気応答性」および「磁場勾配に応答性」および「磁気的にアドレス可能」および「印加された磁場勾配に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成される」として粒子を指す本明細書で使用される用語は、同義語である。それらは、磁場勾配の印加時、液体分散媒体中を移動し、鎖を形成し得る粒子を指す。そのような粒子は、科学文献において、磁気泳動粒子と称され得る。
【0030】
本発明の一実施形態によると、電気泳動媒体は、複数の荷電粒子の分散液を備え得る。複数の電気泳動粒子は、好ましくは、粒子の少なくとも3つの異なる組を含む:光散乱白色顔料、光散乱磁性着色顔料、および黒色顔料。着色顔料は、白色または黒色以外の任意の色であり得る。好ましい実施形態において、着色顔料は、赤色または黄色である。分散流体を通した荷電粒子の各組の移動度を制御するために、粒子の組のうちの1つ以上は、高分子コーティング、典型的に、顔料粒子の表面に合体させられた、または吸収された高分子を有するコア顔料を含み得る(米国特許出願公開第2015/0103394号および第2016/0085121号に説明されるそれら等)。コア顔料の直径および/またはコーティングの厚さは、荷電粒子の組間で異なり得る。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、黒色顔料と光散乱磁性着色顔料とは、同じ電荷極性を有するが、白色顔料は、反対極性を有し、光散乱磁性着色顔料のみが、磁場勾配に応答性であり、すなわち、印加された磁場勾配に応答して、分散流体中をある方向に移動する。
【0032】
白色粒子において使用されるコア顔料は、電気泳動ディスプレイの技術分野において周知のような高屈折率の金属酸化物であり得る。白色粒子のための材料の例は、限定ではないが、無機顔料、例えば、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4等を含む。
【0033】
黒色粒子のためのコア顔料として使用される材料は、限定ではないが、CI顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)、またはカーボンブラックを含む。
【0034】
着色顔料粒子は、好ましくは、非黒色および非白色であり、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、または黄色等の色であり得る。光散乱磁性着色顔料のためのコア顔料として使用される材料は、限定ではないが、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含む。それらは、カラーインデックスハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co,Ltd(1986年))および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co,Ltd(1984年))に説明される一般に使用される有機顔料である。具体的例は、Clariant HostapermRed D3G70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast Red 色D3G、Hostaperm red D3G70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660HD;SunC hemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。複合磁気粒子の例は、米国特許第7,130,106号に説明される材料を含み得る。
【0035】
色に加え、第1、第2、および第3のタイプの荷電粒子は、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の他の異なる光学特性を有し得る。
【0036】
複数の荷電顔料粒子は、自然電荷を帯び得るか、または電荷制御剤の存在を通して帯電させられる。
【0037】
流体中の荷電粒子のパーセンテージは、変動し得る。例えば、3つのタイプの粒子を含む分散液中において、黒色粒子は、電気泳動流体の体積比約0.1%~10%、好ましくは、0.5%~5%を占め、白色粒子は、流体の体積比約1%~50%、好ましくは、5%~15%を占め、着色粒子は、流体の体積比約2%~20%、好ましくは、1%~10%を占め得る。
【0038】
本発明の種々の実施形態に従って作製される電気泳動媒体は、米国特許出願2015/0103394号に説明されるそれら等の非荷電中性浮揚性粒子、電荷制御剤、および界面活性剤等の1つ以上の他の随意の成分をさらに含み得る。
【0039】
複数の粒子が分散させられた分散流体は、無色透明の溶媒であり得る。溶媒は、好ましくは、高粒子移動度のために、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の低粘度および誘電定数を有する。好適な誘電溶媒の例は、炭化水素、例えば、Isopar、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えば、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロ-ベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン、および全フッ素置換溶媒、例えば、FC-43、FC-70またはFC-5060(3M Company(St.Paul Minn.)製)、ポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)等の高分子を含む低分子量ハロゲン(TCI America(Portland,Oreg.)製)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、Halocarbon Oil(Halocarbon Product Corp.(River Edge,N.J.)製)、ペルフルオロアルキルエーテル、例えば、Galden(Ausimont製)またはKrytox OilsおよびGreases K-Fluid Series(DuPont(Del.)製)、ポリジメチルシロキサンベースのシリコーン油(Dow-corning製)(DC-200)を含む。
【0040】
上で述べたように、本発明の好ましい実施形態における2つのタイプの荷電顔料粒子は、反対電荷極性を帯び得る。さらに、第3のタイプの荷電顔料粒子は、わずかに帯電させられ得る。用語「わずかに帯電させられている」は、より強い荷電粒子の電荷強度の約50%未満、好ましくは、約5%~約30%の粒子の電荷レベルを指すように意図される。一実施形態において、電荷強度は、ゼータ電位の観点から測定され得る。一実施形態において、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニットであるESA EN#Attnフロースルーセル(K:127)を伴うColloidal Dynamics AccoustoSizer IIMによって決定される。サンプル中で使用される溶媒の密度、溶媒の誘電定数、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の器具定数(それらの全ては、試験温度(25℃)におけるものである)は、試験前に入力される。顔料サンプルは、溶媒(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体)中に分散させられ、重量比5~10%まで希釈される。サンプルは、電荷制御剤と粒子との1:10の重量比率を伴う電荷制御剤(Berkshire Hathaway Companyの子会社であるLubrizol Corporationから利用可能であるSolsperse(登録商標)17000)も含む。希釈されたサンプルの質量が、決定され、サンプルは、次いで、ゼータ電位の決定のために、フロースルーセルの中に装填される。
【0041】
用語「閾値電圧」または「電場閾値」は、本発明の文脈において、ピクセルが粒子の群の色状態と異なる色状態から駆動されるとき、粒子がピクセルの視認側に現れるようにすることなく、ある期間(典型的に、30秒未満、好ましくは、15秒未満)にわたって粒子の群に印加され得る最大電場として定義される。用語「視認側」は、本願において、画像が視認者によって見られるディスプレイ層における第1の表面を指す。
【0042】
閾値電圧または電場閾値は、荷電粒子の固有の特性または添加剤誘発特性のいずれかである。
【0043】
前者の場合、閾値電圧または電場閾値は、反対に帯電した粒子間、または粒子とある基板表面との間のある誘引力に依拠して発生させられる。
【0044】
添加剤誘発閾値電圧または電場閾値の場合、電気泳動流体の閾値特性を誘発または向上させる閾値剤が、添加され得る。閾値剤は、電気泳動流体の溶媒または溶媒混合物中に可溶性または分散性であり、荷電粒子のそれと反対の電荷を帯びた、または誘発する任意の材料であり得る。閾値剤は、印加される電圧の変化に敏感または鈍感であり得る。用語「閾値剤」は、広義に、色素または顔料、電解質または多価電解質、高分子、オリゴマー、界面活性剤、電荷制御剤等を含み得る。閾値剤に関連する追加の情報は、米国特許第8,115,729号に見出され得る。
【0045】
一例において、電気泳動媒体は、負の極性の第1の電荷を有する白色顔料粒子と、正の極性の第2の電荷を有する黒色顔料粒子と、正の極性の第3の電荷を有する赤色顔料粒子とを含み得る。赤色顔料粒子が、上で定義されるように、わずかに帯電させられている場合、すなわち、赤色顔料粒子が、黒色および白色顔料粒子上の電荷と比較して、より弱い電荷を有する場合、黒色粒子は、電気泳動媒体の視認側に移動するために、赤色粒子が電気泳動媒体の視認側に移動するために要求されるより低い電圧とは対照的に、「閾値電圧」が電気泳動媒体を横断して印加されるべきことを要求し得る。黒色粒子と白色粒子との間の強静電誘引力(それは、赤色粒子と白色粒子との間の静電誘引力より小さい)は、光透過導電性層とピクセル電極との間の印加される電圧電位差が、電場閾値より弱く、光透過導電性層に隣接するように赤色粒子を駆動する極性を有する電場を発生させるとき、光透過導電性層に隣接するような赤色粒子の移動を生じさせる。電場閾値より強い(かつ黒色粒子を光透過導電性に隣接するように駆動する極性を有する)電場を発生させる光透過導電性層とピクセル電極との間の電圧電位差の印加は、白色粒子と黒色粒子との間の静電誘引力を克服し、光透過導電性層に隣接するような黒色粒子の移動を生じさせるために十分である。
【0046】
3つのタイプの荷電粒子は、可変サイズを有し得る。一実施形態において、3つのタイプの粒子のうちの1つは、他の2つのタイプより大きい。例えば、黒色および白色粒子の両方は、比較的に小さくあり得、それらのサイズ(動的光散乱を通して試験される)は、約50nm~約800nm、より好ましくは、約200nm~約700nmの範囲であり得、着色粒子は、好ましくは、黒色粒子および白色粒子より約2~約50倍、より好ましくは、約2~約10倍大きい。値は、対応する顔料粒子の平均直径に対応する。
【0047】
上で解説されるように、本発明の種々の実施形態による電気泳動媒体は、1つ以上の書き込み実装を利用する書き込み可能電気光学ディスプレイの中に組み込まれ得る。書き込み実装は、ハンドヘルドであり得る。書き込み実装のうちの少なくとも1つは、書き込み実装にローカルエリア内のディスプレイの光学状態の変化を生じさせる電気および/または磁場を生成し得る。光学状態の変化は、ディスプレイ内の白色、着色、および/または黒色粒子の移動を含み得る。
【0048】
ここで
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるディスプレイは、第1の伝導性層100と第2の伝導性層102との間に位置する複数の電気泳動粒子を備えている分散液を備え得る。
図1に図示されるように、ディスプレイは、上方から視認され、したがって、第1の伝導性層100は、インジウムスズ酸化物等の光透過伝導性材料の連続層であり得る。第2の伝導性層102は、光透過性であることも、そうではないこともある。層102は、例えば、TFTアレイ等のピクセル電極のアレイを備えている基板の形態で提供され得る。ディスプレイは、書き込み実装114による接触を感知するためのタッチセンサ等のタッチ感知層101をさらに備え得る。
【0049】
電気泳動粒子は、例えば、負に帯電した白色顔料粒子104と、正に帯電した黒色顔料粒子108と、正に帯電した光散乱磁性着色顔料粒子106とを備え得る。当業者によって理解されるであろうように、粒子の電荷極性は、いくつかの例において、白色顔料が正に帯電させられる一方、黒色および磁気粒子が負に帯電させられるように、逆転され得る。書き込み可能ディスプレイが、高照明機能を含むように意図される場合、磁気粒子106の色は、例えば、赤色であり得る。
【0050】
ここで
図1-3を参照すると、本発明の一実施形態によるディスプレイは、3つの異なるスタイラス110、112、および114と組み合わせられ得る。スタイラス110は、ハイライトカラーを書き込むために使用される磁性スタイラスであり得る。スタイラス112は、非磁性であり、黒色を書き込むために使用され得る一方、スタイラス114は、非磁性であり、白色を書き込むために使用され得る。代替として、これらの機能の全3つは、単一書き込み実装の中に組み込まれ得る。例えば、単一スタイラスは、ハイライトのための1つの磁気端部と、黒色または白色のいずれかにおける書き込み間の切り替えが可能な反対端とを有し得る。
図1-3において、スタイラスは、同様に成形された半球先端を伴って図示される。しかしながら、本明細書に説明されるような書き込み実装の書き込み先端は、任意の特定の形状に限定されない。例えば、各スタイラスは、ディスプレイが使用されているスタイラスを認識するように、タッチ感知層によって検出され得る特徴的な先端形状を有し得る。
【0051】
全3つのスタイラスオプションに関して、タッチ感知層101は、書き込みの場所を感知するだけでなく、書き込みの場所を記録し得、それによって、この情報は、デジタル化され、メモリ内に記憶され、それによって、書き込まれた画像が、ユーザの裁量において、保存され、読み出され、表示され得る。
【0052】
本発明による、ディスプレイを動作させる1つの方法によると、ディスプレイ上の種々の場所に表示される光学状態は、書き込み実装を用いて、またはそれを用いずに、制御され得る。
図1に図示される第1の光学状態は、スタイラス114を用いてディスプレイの表面と接触することによって、達成され得、それによって、タッチ感知層101は、スタイラス114およびスタイラス114の場所を認識する。この場所において、電極層102が電極層100に対して負であるように、電圧が、電極層100と102との間に印加される。その結果、白色粒子104が、ディスプレイの視認側に向かって駆動され、スタイラス114による接触のエリアの周りに白色光学状態を表示する。例えば、負の電圧が、電極層100と、スタイラス114の位置に対応する電極層102のエリア内のピクセル電極のみとの間に印加され得る。このように、スタイラス114は、例えば、黒色または赤色画像のローカル消去を達成するために、「消去スタイラス」として使用され得る。グローバル消去は、例えば、スタイラスを用いず、電極層102内の全てのピクセル電極と電極層100と間に負の電圧を同時に印加することによって、達成され得る。
【0053】
図2に図示される第2の光学状態は、スタイラス110を用いてディスプレイの表面と接触することによって、達成され得る。前述で解説されたように、スタイラスのタイプおよび場所は、タッチ感知層101によって検出され得る。スタイラス110が、認識されたとき、電気泳動流体は、電気的に切り替えられない(すなわち、電圧差が電極100と102との間に印加されない)。むしろ、着色磁気粒子106は、スタイラス110の近接によって発生させられた磁場勾配内を移動する。そのような運動は、典型的に、その中で視認表面に位置する粒子の一部(例えば、
図2における白色顔料粒子104)が着色粒子106によって取って代わられた「鎖状粒子」状態を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態において、スタイラス110内に組み込まれる磁石は、永久磁石であり得る。磁石は、限定ではないが、ネオジム鉄ホウ素、サマリウムコバルト、アルニコ、セラミックおよびフェライト磁石、またはそれらの組み合わせを含む任意の好適なタイプであり得る。磁石は、スタイラスの任意の部分内に位置し得るが、磁石は、好ましくは、その磁場がスタイラスの先端と共に整列させられるように向けられる。いくつかの実施形態によると、磁石は、電磁石であり得る。そのような場合、好適な電源は、スタイラスおよびスタイラス内の磁石内に位置するか、または、それに電気的に接続され得る。さらに、磁石は、直方体またはリング形状を含む任意の好適な形状を有し得る。いくつかの実施形態による、磁石は、約10~50ガウスの場勾配強度を磁気粒子上に生成するであろう。
【0055】
図3に図示される第3の光学状態は、タッチ感知層101がスタイラス112およびその場所を認識するように、スタイラス112を用いてディスプレイの表面に接触することによって、達成され得る。この場所において、電極層102が電極層100に対して正であるように、電圧が、電極層100と102との間に印加される。その結果、黒色粒子104は、ディスプレイの視認側に向かって駆動され、スタイラス112による接触のエリアの周りに黒色光学状態を表示する。例えば、正の電圧は、電極層100とスタイラス112の位置に対応する電極層102のエリア内のピクセル電極のみとの間に印加され得る。このように、スタイラス112は、ユーザが、例えば、メモをとるためにディスプレイを使用し得るように、「書き込みスタイラス」として使用され得る。
【0056】
好ましい実施形態において、黒色顔料粒子108は、同じ電荷極性を有する光散乱磁性着色粒子106のそれより小さい直径を有し得る。例えば、再び
図3を参照すると、黒色顔料粒子108および着色磁気粒子106の両方が、正に帯電させられている場合、より小さい黒色粒子108が、磁気粒子106間の空間を通してディスプレイの視認側に移動し、着色粒子106を曖昧にすることを可能にするために、十分な強度および/または持続時間の正の電圧が、印加され得る。
【0057】
着色磁気粒子によって提供される光学状態を有するピクセルを含む記憶された画像を読み出すために、着色磁気粒子は、同様に帯電した黒色粒子より高い移動度を有することが好ましくあり得る。これは、異なる高分子コーティングを着色および黒色粒子に適用し、および/または、わずかに帯電した黒色粒子を提供することによって、遂行され得る。例えば、
図4を参照すると、電圧が、電極層102が電極層100に対して正であるように、電極層100と102との間に印加される。しかしながら、印加される電圧の強度および/または持続時間は、事前に選択された閾値を下回り、着色磁気粒子106は、ディスプレイの視認側に駆動されるが、白色粒子104または黒色粒子108は、駆動されず、それらは、一緒に集められ得る。白色または黒色粒子によって提供される光学状態を有する記憶された画像内のピクセルを提供するために、十分な強度および/または持続時間の負の電圧が、白色粒子104を視認表面に駆動するために印加され得るか、または十分な強度および/または持続時間の正の電圧が、着色粒子106と視認表面との間に黒色粒子108を駆動するために印加され得る(
図5に図示されるように)。
【0058】
下記の表1は、本発明の実施形態による、画像をディスプレイ上に書き込む/読み出す種々のモードの例を要約する。Wは、白色を表し、Kは、黒色を表し、Rは、着色磁気粒子を表す。
【0059】
【0060】
第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子(表に対応する例において、正に帯電した白色粒子)と、第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子(表に対応する例において、電場閾値を有する負に帯電した黒色粒子)と、第3の色、第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子(表に対応する例において、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成される負に帯電した赤色粒子)とを備えている電気光学デバイスは、(A)第1および第2のスタイラスのうちの1つを用いて、デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触するステップと、(B)電場を印加し、粒子の第1のタイプ(白色)および第2のタイプ(黒色)のうちの1つに第1の場所に向かって移動させるステップと、(C)第1および第2のスタイラスのうちの1つを用いて、ディスプレイの第1の表面上の第2の場所と接触するステップと、(D)磁場勾配を印加し、第3のタイプの粒子(赤色)に第2の場所に向かって移動させるステップとを含む方法によって動作させられることができる。
【0061】
別の実施形態において、電気光学デバイスは、負に帯電した白色粒子604と、正に帯電した赤色粒子606と、正に帯電した黒色磁気粒子608とを備えている電気泳動媒体を備えている。白色状態(
図6)から開始して、1回、磁性スタイラス110を用いて、電気光学ディスプレイの書き込み可能表面と接触すると、灰色画像が作成されることが観察された。磁性スタイラスは、
図7に図式的に図示されるように、磁気黒色粒子608を誘引し、整列させた。磁性スタイラスが、2回以上、灰色が存在した電気光学デバイスの書き込み可能表面の同じ場所に印加された後、その場所の色は、赤色に変化した。これは、
図8および
図9の写真に図式的に図示される。元々その白色状態901にあった
図9の電気光学デバイス900は、磁性スタイラスによって接触され、語句「magnetic addressing」902が、その上に書き込まれた。語句は、灰色で現れる。電気光学デバイス900の別の場所において、磁性スタイラスが、
図903を描くために使用された。スタイラスは、複数回、
図903の場所の上において、電気光学デバイスと接触した。
図903は、赤色で現れる。実施形態の電気泳動媒体は、(a)電荷制御剤としてのSolsperse 19000(Lubrizolによって供給される)と、(b)正に帯電した酸化鉄黒色磁気顔料(顔料黒色11)と、(c)負に帯電した二酸化チタン白色顔料(顔料白色6)と、(d)負に帯電した赤色(顔料赤色254)とを備えている電気泳動流体として、Isopar Eを使用して調製された。開始光学状態が黒色である場合、1回、磁性スタイラスを用いて電気光学ディスプレイの書き込み可能表面と接触すると、赤色画像が、作成され、それは、電気光学デバイスの書き込み可能表面の同じ場所において、2回以上、磁性スタイラスの印加後、より明るい赤色になる。
図9は、ディスプレイを図示および実証する。
【0062】
本実施形態は、電気光学デバイスを説明し、電気光学デバイスは、(a)光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に配置され、流体中の複数の粒子を備えている電気泳動媒体を備え、複数の粒子は、(1)第1の色、第1の電荷極性の第1の電荷を有する第1のタイプの粒子と、(2)第2の色、第2の電荷極性の第2の電荷を有する第2のタイプの粒子と、(3)第3の色、第2の電荷極性の第3の電荷を有する第3のタイプの粒子とを備え、第1、第2、および第3の色は、互いに異なり、第1の電荷極性は、第2の電荷極性と反対であり、複数の粒子は、印加された電場に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成され、第3のタイプの粒子は、印加された磁場勾配に応答して、ある方向に流体内で移動するように構成されている。この電気光学デバイスは、(A)磁気先端を備えているスタイラスを用いて、デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触し、第3のタイプの粒子に第1の場所に向かって移動させるステップと、(B)再び、磁気先端を備えているスタイラスを用いて、デバイスの第1の表面上の第1の場所と接触し、第2のタイプの粒子に第1の場所に向かって移動させるステップとを含む方法によって動作させられることができる。方法は、ユーザが、2つの異なる色を使用して、デバイス内に書き込むこと、または描画することを可能にする。
【0063】
本発明の種々の実施形態による、電気泳動媒体の分散剤は、カプセル化され得る。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小カプセルを備え、それらの各々は、それ自体、電気泳動的に移動性の粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、それら自体、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成するために、高分子結合剤内に保持される。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的に、高分子フィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。マイクロセルは、米国特許第6,933,098号に開示されるように、バッチ毎プロセスまたは連続ロールツーロールプロセスのいずれかにおいて形成され得る。後者は、区画の生成のために、連続して、低コスト、かつ高スループットの製造技術をもたらす。マイクロセルは、エンボス加工、フォトリソグラフィ、接触印刷、真空形成、または他の好適な方法を用いて加工され得る。この構造において、マイクロセルは、光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に挟まれ得る。一実施形態において、マイクロセルは、別個に製作され、次いで、光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に位置付けられる。例えば、マイクロセル構造は、エンボス加工によって製作され得る。エンボス加工は、通常、ローラ、プレート、またはベルトの形態であり得るオス型金型によって遂行される。エンボス加工された組成物は、熱可塑性、熱硬化性、またはその前駆体を備え得る。エンボス加工プロセスは、典型的に、マイクロセル材料のガラス遷移温度より高い温度で実施される。加熱されたオス型金型、またはその金型が押す加熱された筐体基板は、エンボス加工温度および圧力を制御するために使用され得る。オス型金型は、通常、ニッケル等の金属から形成される。形成されると、マイクロセルは、電気泳動媒体で充填される。充填されたマイクロセルは、次いで、シールされ、シールされたマイクロセルは、光透過導電性層とピクセル電極のアレイとの間に積層される。
【0064】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および故障モードの解決に悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛体基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(用語「印刷」の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等;ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等;グラビアコーティング;浸漬コーティング;吹き付けコーティング;メニスカスコーティング;スピンコーティング;ブラシコーティング;エアナイフコーティング;シルクスクリーン印刷プロセス;静電気印刷プロセス;熱印刷プロセス;インクジェット印刷プロセス;電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、および他の同様の技術を含む。)したがって、得られるディスプレイは、フレキシブルであり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0065】
他のタイプの電気光学媒体も、本発明のディスプレイにおいて使用され得る。
【0066】
3層電気光学ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層動作を伴う。例えば、前述のMITおよびE INK特許および出願のうちのいくつかにおいて、カプセル化電気光学ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明され、バインダ中のカプセルを備えているカプセル化電気泳動媒体が、可撓性基板(最終ディスプレイの一方の電極としての機能を果たす)上にコーティングされ、可撓性基板は、プラスチックフィルム上の酸化インジウムスズ(ITO)または類似伝導性コーティングを備え、カプセル/バインダコーティングは、乾燥ささせられ、基板にしっかりと接着された電気泳動媒体の凝集層を形成する。別個に、ピクセル電極のアレイとピクセル電極を駆動回路に接続するための導体の適切な配置とを含むバックプレーンが、調製される。最終ディスプレイを形成するために、その上にカプセル/バインダ層を有する基板が、積層接着剤を使用して、バックプレーンに積層される。(非常に類似するプロセスを使用して、バックプレーンを、スタイラスまたは他の可動電極がスライドすることができるプラスチックフィルム等の単純保護層と置換することによって、スタイラスまたは類似可動電極とともに使用可能である電気光学ディスプレイを調製することができる。)一好ましい形態のそのようなプロセスにおいて、バックプレーン自体が、可撓性であり、プラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上にピクセル電極および導体を印刷することによって、調製される。このプロセスによるディスプレイの大量生成のための積層技法は、積層接着剤を使用するロール積層である。類似製造技法は、他のタイプの電気光学ディスプレイとともに使用することができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体と実質的に同様に、バックプレーンに積層され得る。
【0067】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生成に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えているいわゆるフロントプレーンラミネート(FPL)を説明している。典型的に、光透過性導電性層は、光透過性基材上に支持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟性である。この出願および本明細書において、用語「光透過性」は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過し、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、用語「光透過性」は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的に、高分子フィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜に、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層であるか、または伝導性高分子であり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からのアルミ被覆Mylar(Mylarは、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果を伴って使用され得る。
【0068】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンと接触し、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的に、ロールからロールへのコーティング技術を使用して大量生成され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生成に非常に適している。
【0069】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる二重剥離シートを説明しており、それは、本質的に、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備えている。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの分離した積層を含み、典型的に、第1の積層において、二重剥離シートはフロント電極に積層されて、フロントサブアセンブリを形成し、次に、第2の積層において、フロントサブアセンブリは、バックプレーンに積層されて、最終的なディスプレイを形成するが、但し、これらの2つの積層の順序は所望により逆転され得る。
【0070】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる反転されたフロントプレーンラミネートを説明しており、それは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの変形である。この反転されたフロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、および剥離シートを順に備えている。この反転されたフロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロント基材との間に積層接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の典型的に薄い接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在することも、存在しないこともある。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0071】
上で説明されるプロセスにおいて、電気光学層を支持する基板のバックプレーンへの積層は、有利なこととして、真空積層によって実施され得る。真空積層は、積層されている2つの材料間から空気を排出することにおいて効果的であり、したがって、最終ディスプレイ内における望ましくない気泡を回避する。そのような気泡は、望ましくないアーチファクトをディスプレイ上に生成される画像内に導入し得る。しかしながら、このような電気光学ディスプレイの2つの部品の真空積層は、特に、カプセル化された電気泳動媒体を使用するディスプレイの場合、使用される積層接着剤に厳格な要件を課す。積層接着剤は、電気光学層をそれに対して積層されるべき層(典型的に、電極層)に接合するために十分な接着剤強度を有するべきであり、カプセル化された電気泳動媒体の場合、接着剤は、カプセルを一緒に機械的に保持するために十分な接着剤強度を有するべきである。電気光学ディスプレイが可撓性タイプであるべき場合、接着剤は、ディスプレイが屈曲させられたとき、欠陥をディスプレイに導入しないように十分な可撓性を有するべきである。積層接着剤は、積層温度において適正な流動性質特性を有し、高品質積層を確実にするべきであり、この点において、カプセル化された電気泳動およびいくつかの他のタイプの電気光学媒体を積層する要求は、非常に困難である。積層は、媒体が、損傷を伴わずに、実質的により高い温度にさらされることができないので、約130℃以下の温度で行われているが、接着剤の流動は、その表面が下層カプセルによって不規則的にされるカプセル含有層の比較的に不均一表面に対処しなければならない。積層温度は、実際、可能な限り低く保たれるべきであり、室温積層が、理想的であろうが、そのような室温積層を可能にする商業用接着剤は、見出されていない。積層接着剤は、ディスプレイ内の全ての他の材料と化学的に適合性があるべきである。
【0072】
これまで、本願の技術のいくつかの側面および実施形態が説明されたが、種々の改変、修正、および改良が、当業者に容易に想定されるであろうことを理解されたい。そのような改変、修正、および改良は、本願に説明される技術の精神および範囲内であると意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施し、および/または結果および/または利点のうちの1つ以上のものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正の各々は、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されるものと別ように実践され得ることを理解されたい。加えて、本明細書に説明される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、互いに矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。