IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社創朋の特許一覧

<>
  • 特許-破壊装置 図1
  • 特許-破壊装置 図2
  • 特許-破壊装置 図3
  • 特許-破壊装置 図4
  • 特許-破壊装置 図5
  • 特許-破壊装置 図6
  • 特許-破壊装置 図7
  • 特許-破壊装置 図8
  • 特許-破壊装置 図9
  • 特許-破壊装置 図10
  • 特許-破壊装置 図11
  • 特許-破壊装置 図12
  • 特許-破壊装置 図13
  • 特許-破壊装置 図14
  • 特許-破壊装置 図15
  • 特許-破壊装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】破壊装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
G11B33/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021154146
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503174763
【氏名又は名称】株式会社創朋
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】樫原 富雄
(72)【発明者】
【氏名】原科 勝
(72)【発明者】
【氏名】樫原 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤間 有祐
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-057092(JP,A)
【文献】特開2018-010706(JP,A)
【文献】国際公開第2005/095010(WO,A1)
【文献】特開2008-108343(JP,A)
【文献】特開2004-071057(JP,A)
【文献】特開2017-162085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状及び大きさの少なくとも一方が異なる複数のキャリアのうちの、プラッタを有するハードディスクが内蔵されて一体になっている一のキャリアを、当該キャリアよりも広い載置面に載置可能なトレイと、
前記キャリアが載置された前記トレイが着脱可能に装着されるトレイ装着部と、
前記トレイ装着部に装着された前記トレイとで、前記キャリアに内蔵された前記ハードディスクを挟んで圧壊する圧壊部材と、
前記プラッタの中心が前記載置面の所定位置に位置するように、前記ハードディスクが内蔵された前記キャリアを前記トレイに対して位置決めさせる位置決め機構と、
を備える、破壊装置。
【請求項2】
前記トレイは強磁性体から成り、
前記位置決め機構は、前記キャリアの側面に接した状態で前記トレイに吸着される複数の磁石部材を含む、
請求項1に記載の破壊装置。
【請求項3】
前記トレイの対向する第1側壁及び第2側壁には、所定間隔で複数の凹部対が形成されており、
前記位置決め機構は、前記複数の凹部対のうちの一の凹部対に嵌合する仕切り板を含む、
請求項1又は2に記載の破壊装置。
【請求項4】
前記トレイの前記載置面には、前記プラッタの中心を前記載置面の所定位置に位置させるために、所定間隔で複数の目印部が形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の破壊装置。
【請求項5】
装置本体を覆っているカバーに設けられ、前記トレイ装着部に装着される前記トレイが挿入される挿入口を有する挿入部と、
前記カバーに着脱可能に装着され、後端部が前記挿入口よりも突出した状態で前記トレイ装着部に装着された前記トレイの前記後端部を覆う覆いユニットと、を更に備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の破壊装置。
【請求項6】
前記挿入口を開閉可能な第1開閉部材を更に備え、
前記覆いユニットは、前記第1開閉部材が開いた状態で、前記カバーに装着されおり、
前記第1開閉部材は、閉じた際に前記装置本体に設けられた検出スイッチに接触して作動させる接触部を有し、
前記覆いユニットは、
前記トレイ装着部に装着される前記トレイが挿通する挿通口を開閉する第2開閉部材と、
前記第2開閉部材が閉じる際に移動し、前記接触部の代わりに前記検出スイッチに接触して作動させるレバー部材と、を有する、
請求項5に記載の破壊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクを破壊する破壊装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(以下、単にハードディスクと呼ぶ)には機密情報が記憶されているため、情報漏洩を防止する観点から、廃棄されるハードディスクを物理的に圧壊する破壊装置が利用されている(下記の特許文献1を参照)。この破壊装置は、ハードディスクを支持するトレイと、トレイとの間でハードディスクを挟んで圧壊する圧壊工具とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-57092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、データセンター等に設置されるサーバ装置等においては、データ量の増大に伴い、ハードディスクの実装数が増加している。サーバ装置に実装されるハードディスクは、一般のPC(Personal Computer)に内蔵されているハードディスクとは異なり、キャリア(又はマウンタとも呼ばれる)に内蔵されているため、キャリアとハードディスクを分離した後に、当該ハードディスクを破壊することになる。このため、キャリアに内蔵されたハードディスクの破壊処理の作業時間が、長くなってしまう。
【0005】
なお、ハードディスクがキャリアに内蔵された状態で破壊する方策も検討されうるが、キャリアの形状や大きさは、統一されておらず様々であるため、キャリアに内蔵された状態でハードディスクを適切に破壊することが困難である。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、多様な形状等のキャリアに内蔵されるハードディスクを、適切かつ短時間に破壊可能な破壊装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様においては、形状及び大きさの少なくとも一方が異なる複数のキャリアのうちの、プラッタを有するハードディスクが内蔵された一のキャリアを、当該キャリアよりも広い載置面に載置可能なトレイと、前記キャリアが載置された前記トレイが着脱可能に装着されるトレイ装着部と、前記トレイ装着部に装着された前記トレイとで、前記キャリアに内蔵された前記ハードディスクを挟んで圧壊する圧壊部材と、前記プラッタの中心が前記載置面の所定位置に位置するように、前記ハードディスクが内蔵された前記キャリアを前記トレイに対して位置決めさせる位置決め機構と、を備える、破壊装置を提供する。
【0008】
また、前記トレイは強磁性体から成り、前記位置決め機構は、前記キャリアの側面に接した状態で前記トレイに吸着される複数の磁石部材を含むこととしてもよい。
【0009】
また、前記トレイの対向する第1側壁及び第2側壁には、所定間隔で複数の凹部対が形成されており、前記位置決め機構は、前記複数の凹部対のうちの一の凹部対に嵌合する仕切り板を含むこととしてもよい。
【0010】
また、前記トレイの前記載置面には、前記プラッタの中心を前記載置面の所定位置に位置させるために、所定間隔で複数の目印部が形成されていることとしてもよい。
【0011】
また、装置本体を覆っているカバーに設けられ、前記トレイ装着部に装着される前記トレイが挿入される挿入口を有する挿入部と、前記カバーに着脱可能に装着され、後端部が前記挿入口よりも突出した状態で前記トレイ装着部に装着された前記トレイの前記後端部を覆う覆いユニットと、を更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、前記挿入口を開閉可能な第1開閉部材を更に備え、前記覆いユニットは、前記第1開閉部材が開いた状態で、前記カバーに装着されており、前記第1開閉部材は、閉じた際に前記装置本体に設けられた検出スイッチに接触して作動させる接触部を有し、前記覆いユニットは、前記トレイ装着部に装着される前記トレイが挿通する挿通口を開閉する第2開閉部材と、前記第2開閉部材が閉じる際に移動し、前記接触部の代わりに前記検出スイッチに接触して作動させるレバー部材と、を有することとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多様な形状等のキャリアに内蔵されるハードディスクを、適切かつ短時間に破壊できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る破壊装置1の外観図である。
図2】本体部10を示す模式図である。
図3】トレイ150及びテーブル30の構成を説明するための模式図である。
図4】圧壊工具300の構成を説明するための模式図である。
図5】サーバ用ハードディスク200及びキャリア220を説明するための模式図である。
図6】サーバ用ハードディスク200及びキャリア220を説明するための別の模式図である。
図7】サーバ用ハードディスク200が載置される長トレイ250を説明するための模式図である。
図8】サーバ用ハードディスク200の第1位置決め例である。
図9】サーバ用ハードディスク200の第2位置決め例である。
図10】サーバ用ハードディスク200の第3位置決め例である。
図11】サーバ用ハードディスク200の位置決め用の板バネ280を説明するための模式図である。
図12】サーバ用ハードディスク200の位置決め用の仕切り板290を説明するための模式図である。
図13】長トレイ250の装着状態を説明するための模式図である。
図14】覆いユニット400を説明するための模式図である。
図15】開閉部材22が検出スイッチ90を作動させる状態を説明するための模式図である。
図16】覆いユニット400の開閉部材420が検出スイッチ90を作動させる状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<破壊装置の構成>
本発明の一の実施形態に係る破壊装置1について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る破壊装置1の外観図である。図2は、本体部10を示す模式図である。なお、図1(a)には、前面側から見た破壊装置1が示され、図1(b)には、背面側から見た破壊装置1が示されている。
【0017】
破壊装置1は、ハードディスクを物理的に破壊する装置である。破壊装置1は、図1及び図2に示すように、本体部10と、カバー20と、テーブル30と、昇降機構40と、プッシャー板50と、圧縮バネ60と、工具装着部70とを有する。破壊装置1は、テーブル30にトレイ150を介して載置されたハードディスク100を、工具装着部70に装着された圧壊工具300で圧壊する。
【0018】
本体部10は、破壊装置1の骨格部であり、カバー20に覆われている。本体部10は、図2に示すようにフレーム構造を成している。本体部10は、図2に示すように、ツールブロック11と、ベースブロック13と、ベースプレート14と、左フレーム15と、右フレーム16と、サポート板18とを有する。
【0019】
ツールブロック11は、直方体形状の固定ブロックであり、本体部10の上部に位置する。ベースブロック13は、ツールブロック11と同様に直方体形状のブロックであり、本体部10の下部に位置している。ベースブロック13は、ベースプレート14に固定されている。また、ベースブロック13及びツールブロック11は、それぞれ左フレーム15及び右フレーム16にボルトで連結されている。サポート板18は、左フレーム15の下部とベースブロック13に接触するように設けられており、本体部10のフレーム構造を補強するための部材である。
【0020】
カバー20は、装置本体である本体部10を覆っている。カバー20は、図1に示すように、挿入部21と、開閉部材22と、開閉部材23と、電源スイッチ24とを有する。
挿入部21は、カバー20の前面に設けられている。挿入部21は、テーブル30に装着されるトレイ150が挿入される矩形状の挿入口21aを有する。
【0021】
開閉部材22は、カバー20の前面に、挿入口21aを開閉可能に設けられている。開閉部材22は、挿入口21aを塞ぐ閉位置と、挿入口21aを開放する開位置との間で回動する。開閉部材22が開状態に位置する際に、ハードディスク100を支持するトレイ150を挿入口21aから挿入したり、トレイ150を取り出したりする。開閉部材22が閉位置に位置する際に、ハードディスク100の圧壊が行われる。
【0022】
開閉部材23は、カバー20の上面に開閉可能に設けられている。開閉部材23が開状態に位置する際に、圧壊工具300が上面開口(不図示)から挿入されたり、圧壊工具300が取り出されたりする。開閉部材23が閉位置(上面開口を塞ぐ位置)に位置する際に、圧壊工具300がハードディスク100を圧壊する。
【0023】
電源スイッチ24は、破壊装置1の背面に設けられている。また、破壊装置1の背面には、電源コードの差込口25が設けられている。
【0024】
テーブル30は、ハードディスク100を支持するトレイ150が着脱可能に装着されるトレイ装着部である。具体的には、ハードディスク100を支持するトレイ150が、テーブル30に着脱可能に装着される。テーブル30は、一対のガイド板32を有する。一対のガイド板32は、テーブル30の両側に設けられており、装着されるトレイ150をガイドする。
【0025】
作業者は、ハードディスク100が載置されたトレイ150を挿入口21aから挿入してテーブル30上に装着する。テーブル30は、昇降機構40の油圧シリンダー42に連結されており、待機位置と圧壊位置との間で上昇又は下降する。テーブル30が待機位置に位置する際に、ハードディスク100を支持しているトレイ150が装着される。
【0026】
図3は、トレイ150及びテーブル30の構成を説明するための模式図である。図3(a)にトレイ150が示され、図3(b)にハードディスク100が載置されたトレイ150が示されている。ハードディスク100は、一般のPCに内蔵されており、大きさや形状が決まっている。ハードディスク100は、内部にデータを記憶するプラッタ102を有する。
【0027】
図3(c)には、テーブル30の構成が示され、図3(d)には、トレイ150がテーブル30に装着された状態が示されている。テーブル30の両側には、トレイ150の挿入を補助するために、図3(c)に示す一対のレール34が設けられいる。一対のレール34は、ガイド板32の内側にそれぞれ設けられている。
【0028】
トレイ150は、矩形の平板状に形成されている。トレイ150は、支持凹部152と、位置決め段差部154とを有する。
支持凹部152は、ハードディスク100の外形とほぼ同じ大きさに形成されており、ハードディスク100を支持する。ハードディスク100は、支持凹部152に嵌め込まれてトレイ150にセットされる。このため、支持凹部152にセットされたハードディスク100が、トレイ150に対してずれることを防止できる。
【0029】
位置決め段差部154は、ここでは、トレイ150の長手方向一端側を段差状にした部分である。トレイ150のテーブル30への装着時に、位置決め段差部154が、図3(d)に示すようにレール34の端面34aに接触することで、トレイ150が装着方向において位置決めされる。
【0030】
昇降機構40は、テーブル30を昇降するための機構である。昇降機構40は、図2に示すように、油圧シリンダー42を有する。油圧シリンダー42は、油圧ポンプ(不図示)によってシリンダー内のピストンを上下動する構成となっている。ピストンが上下動することで、テーブル30が昇降する。なお、上記ではテーブル30を昇降させるために油圧シリンダー42が設けられていることとしたが、これに限定されず、他の動力源であってもよい。
【0031】
プッシャー板50は、テーブル30に対向する対向板である。具体的には、図2に示すように、プッシャー板50は、ハードディスク100を挟んでテーブル30と対向している。プッシャー板50は、ガイド軸55を介して、ツールブロック11に取り付けられている。ガイド軸55は、ツールブロック11の貫通孔11a内を上下動可能に設けられている。プッシャー板50には、圧壊工具300が挿通可能な貫通穴51が設けられている。
【0032】
圧縮バネ60は、プッシャー板50とツールブロック11の間に設けられており、プッシャー板50を付勢している付勢部材である。すなわち、圧縮バネ60は、プッシャー板50を下降方向へ向かって付勢している。圧縮バネ60の上端部は、ツールブロック11の穴部に挿入されている。
【0033】
工具装着部70は、ここではツールブロック11に設けられており、圧壊工具300が着脱可能に装着される部分である。圧壊工具300は、テーブル30に装着されたトレイ150とで、ハードディスク100を挟んで圧壊する圧壊部材である。
【0034】
図4は、圧壊工具300の構成を説明するための模式図である。図4(a)に圧壊工具300の平面図が示され、図4(b)に圧壊工具300の側面図が示されている。圧壊工具300は、基部302と、圧壊部304を有する。
【0035】
基部302は、圧壊工具300のベースとなる部分である。基部302は、直方体状に形成されている。基部302は、圧壊工具300が工具装着部70にスライドしながら装着される際に、工具装着部70に係合される。
【0036】
圧壊部304は、基部302から下方へ突出して刃先部分を構成している。具体的には、圧壊部304は、基部302の下面から突出している。圧壊部304は、基部302の下面に所定間隔で複数(ここでは4個)設けられている。4つの圧壊部304は、圧壊工具300の中心306から等しい距離に配置されている。圧壊部304は、テーパー状に形成された先端部304aを有する。先端部304aが、ハードディスク100の内部に入り込み、プラッタ102(図3)を圧壊する。
【0037】
なお、ハードディスク100が載置されたトレイ150は、ハードディスク100のプラッタ102の中心が圧壊工具300の中心306と同じ位置に位置するように、テーブル30に位置決めされる。これにより、4つの圧壊部304が、プラッタ102を確実に圧壊できる。
【0038】
<サーバ用ハードディスクの圧壊について>
ところで、破壊装置1は、PCに内蔵されるハードディスク100だけでなく、データセンター等のサーバ装置に実装されるハードディスク(以下、サーバ用ハードディスクと呼ぶ)も破壊可能である。このサーバ用ハードディスクは、ハードディスク100とは異なりキャリアに内蔵されている。本実施形態の破壊装置1は、キャリアに内蔵された状態のサーバ用ハードディスクを破壊可能となっている。サーバ用ハードディスク200が内蔵されるキャリアの形状や大きさは、以下に説明するように様々である。
【0039】
図5は、サーバ用ハードディスク200及びキャリア220を説明するための模式図である。図5(a)には、サーバ用ハードディスク200がキャリア220に内蔵された状態が示され、図5(b)には、サーバ用ハードディスク200がキャリア220と分離した状態が示されている。サーバ用ハードディスク200は、内部に、データを記憶するプラッタ202を有しており、破壊装置1は、圧壊工具300によってプラッタ202を破壊する。
【0040】
キャリア220は、図5(b)に示すように、装着部222と、操作部224を有する。装着部222は、サーバ用ハードディスク200を装着するための部分であり、サーバ用ハードディスク200とほぼ同じ大きさの凹部となっている。操作部224は、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200をサーバ装置に着脱する際に操作する部分である。なお、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202aは、図5(a)に示すように、キャリア220の端面から距離L1の位置に位置する。
【0041】
図6は、サーバ用ハードディスク200及びキャリア220を説明するための別の模式図である。サーバ用ハードディスクにおいて、プラッタが異なる位置に配置されることがある。例えば、図6(a)に示すサーバ用ハードディスク200のプラッタ202の位置は、図5に示すサーバ用ハードディスク200のプラッタ202の位置と異なる。具体的には、プラッタ202の中心202aは、キャリア220の端面から距離L2の位置に位置する。
【0042】
また、キャリアの形状や大きさも、様々である。例えば、図6(b)に示すキャリア220は、サーバ装置と接続するためのインターフェース基板226を有する。この場合、キャリア220に対するサーバ用ハードディスク200のプラッタ202の位置が、図6(a)に示すキャリア220に対するサーバ用ハードディスク200のプラッタ202の位置と異なる。具体的には、プラッタ202の中心202aは、キャリア220の端面から距離L3の位置に位置する。
【0043】
破壊装置1は、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200を載置可能な長トレイを有する。長トレイは、ハードディスク100が載置されるトレイ150とは異なるトレイであり、トレイ150よりも長いトレイである。長トレイには、サーバ用ハードディスク200が、形状及び大きさの少なくとも一方が異なる複数のキャリアのうちの一のキャリアに内蔵された状態で、載置される。
【0044】
図7は、サーバ用ハードディスク200が載置される長トレイ250を説明するための模式図である。図7(a)には長トレイ250の平面図が示され、図7(b)には長トレイ250の側面図が示されている。長トレイ250は、前述したトレイ150と同様に、トレイ装着部であるテーブル30に着脱可能に装着される。長トレイ250は、ここでは、平板を曲げて形成されている。また、長トレイ250は、強磁性体から成る。長トレイ250は、図7(a)に示すように、載置面252と、側壁253、254と、前壁255と、後壁256と、目印部257a、257b、257c、257dを有する。
【0045】
載置面252は、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200が載置される面である。載置面252は、長トレイ250の底面となっている。載置面252の面積は、キャリア220よりも広い。このため、載置面252には、様々な形状等のキャリア220を載置させることができる。
【0046】
側壁253、254は、載置面252の短手方向の両側に形成された壁である。側壁253、254は、キャリア220を挿入する際にテーブル30のガイド板32及びレール34(図3)にガイドされる。側壁253、254の端部には、位置決め凸部253a、254aが形成されている。位置決め凸部253a、254aがレール34の34a(図3)と接触することで、トレイ250が位置決めされる。
【0047】
前壁255は、載置面252の長手方向の一端に形成された壁である。
後壁256は、載置面252の長手方向の他端に形成された壁である。作業者は、長トレイ250を挿入する際に後壁256を押したり、長トレイ250を取り外す際に後壁256を引いたりする。
【0048】
目印部257a、257b、257c、257dは、載置面252の長手方向に所定間隔で形成されており、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心位置を載置面252の所定位置に位置させる機能を有する。本実施形態では、目印部257a、257b、257c、257dが、サーバ用ハードディスク200が内蔵されたキャリア220を長トレイ250に対して位置決めする位置決め機構の一部を成す。目印部257a、257b、257c、257dは、ここではケガキ線であるが、これに限定されず、例えばシールやマーク等であってもよい。
【0049】
目印部257aは、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202a(図5(a)参照)を位置させる目印となる。目印部257b、257c、257dは、サーバ用ハードディスク200が内蔵されたキャリア220の端面を位置決めする目印となる。目印部257b~257dは、目印部257aから所定距離だけ離れた位置に形成されている。具体的には、目印部257bは、目印部257aから距離L1だけ離れた位置に形成され、目印部257cは、目印部257aから距離L2だけ離れた位置に形成され、目印部257dは、目印部257aから距離L3だけ離れた位置に形成されている。
【0050】
図5図6(a)、図6(b)に示すサーバ用ハードディスク200の各々は、トレイ250の載置面252の異なる位置に位置決めされる。以下において、図8図10を参照しながら、サーバ用ハードディスク200の位置決め例を説明する。
【0051】
図8は、サーバ用ハードディスク200の第1位置決め例である。ここでは、図6(a)に示すキャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200が、長トレイ250に位置決めされている。サーバ用ハードディスク200は、キャリア220の長手方向の端面が目印部257cに位置するように、載置面252に載置されている。この場合、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202a(図6(a))は、目印部257a上に位置する。これにより、プラッタ202の中心202aが、圧壊工具300の中心306(図4)と同じ位置になるので、圧壊工具300の4つの圧壊部304によって、プラッタ202を適切に破壊できる。
【0052】
本実施形態では、長トレイ250に対して、サーバ用ハードディスク200を内蔵しているキャリア220の位置を保持するための位置保持部材が設けられている。ここでは、位置保持部材として、強磁性体である載置面252に吸着される磁石部材270a、270b、270c、270d(図8)が用いられている。
【0053】
磁石部材270a~270dは、ここでは同一の部材であり、キャリア220の側面に接した状態で載置面252に吸着されている。作業者は、例えば、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200を載置面252に載置した後に、磁石部材270a~270dがキャリア220の4つの側面に接するように載置面252に載置して吸着させる。このように磁石部材270a~270dが載置面252に吸着されることで、キャリア220の位置が固定され、結果的にサーバ用ハードディスク200の位置が保持される。
【0054】
なお、4つの磁石部材270a~270dのうちの磁石部材270c、270dは、サーバ用ハードディスク200を載置する前から載置面252に吸着させておいてもよい。これにより、サーバ用ハードディスク200を載置面252に載置する際に、長トレイ250の短手方向におけるサーバ用ハードディスク200の位置決めも可能となる。
【0055】
図9は、サーバ用ハードディスク200の第2位置決め例である。ここでは、図5(a)に示すキャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200が、長トレイ250に位置決めされている。サーバ用ハードディスク200は、キャリア220の長手方向の端面が目印部257bに位置するように、載置面252に載置されている。この場合、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202aは、目印部257a上に位置する。これにより、プラッタ202の中心202aが、圧壊工具300の中心306と同じ位置になるので、圧壊工具300の4つの圧壊部304によって、プラッタ202を破壊できる。第2位置決め例においても、磁石部材270a~270dによってサーバ用ハードディスク200の位置が保持されている。
【0056】
図10は、サーバ用ハードディスク200の第3位置決め例である。ここでは、図6(b)に示すキャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200が、長トレイ250に位置決めされている。サーバ用ハードディスク200は、キャリア220の長手方向の端面が目印部257dに位置するように、載置面252に載置されている。この場合、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202aは、目印部257a上に位置する。これにより、プラッタ202の中心202aが、圧壊工具300の中心306と同じ位置になるので、圧壊工具300の4つの圧壊部304によって、プラッタ202を破壊できる。第3位置決め例においても、磁石部材270a~270dによってサーバ用ハードディスク200の位置が保持されている。
【0057】
上記では、磁石部材270a~270dを用いて載置面252に対するサーバ用ハードディスク200を位置決めしていたが、これに限定されない。例えば、図11に示す板バネ280や図12に示す仕切り板290を用いて、サーバ用ハードディスク200の位置決めをしてもよい。
【0058】
図11は、サーバ用ハードディスク200の位置決め用の板バネ280を説明するための模式図である。ここでは、磁石部材270c、270dに代えて、板バネ280が用いられている。板バネ280は、長トレイ250の側壁253、254に取り付けられている。具体的には、側壁253に2つの板バネ280が所定間隔で取り受けられており、側壁254に2つの板バネ280が所定間隔で取り付けられている。4つの板バネ280が、キャリア220の側面に接することで、短手方向における位置決めを行うと共に、位置を保持する。
【0059】
図12は、サーバ用ハードディスク200の位置決め用の仕切り板290を説明するための模式図である。ここでは、磁石部材270bに代えて、仕切り板290が用いられている。図12(a)には、長トレイ250に仕切り板290に装着された状態が示され、図12(b)には、長トレイ250の凹部対259a~259cが示されている。長トレイ250の第1側壁及び第2側壁に該当する側壁253、254には、複数の凹部対259a~259cが所定間隔で形成されている。凹部対259aは、目印部257bと同じ位置に形成され、凹部対259bは、目印部257cと同じ位置に形成され、凹部対259cは、目印部257dと同じ位置に形成されている。仕切り板290は、凹部対259a~259cのうちの一の凹部対と嵌合する。図12(a)では、仕切り板290が凹部対259aと嵌合している。
【0060】
なお、図12(a)では、3つの磁石部材270a、270c、270dが用いられているが、これに限定されず、例えば、磁石部材270c、270dの代わりに、図11に示す板バネ280を用いてもよい。
【0061】
上述したように、破壊装置1のテーブル30には、トレイ150又は長トレイ250が装着可能である。テーブル30にトレイ150が装着された場合には、カバー20の開閉部材22が、挿入口21aを塞ぐ閉位置に位置可能である。一方で、テーブル30に長トレイ250が装着された場合には、図13に示すように開閉部材22が閉位置に位置できない。
【0062】
図13は、長トレイ250の装着状態を説明するための模式図である。図13に示すように、長トレイ250が装着された場合には、長トレイ250の後端部が、破壊装置1のカバー20の前面(具体的には、挿入口21a)よりも突出した状態となっている。このため、開閉部材22を閉位置へ移動させようとしても、開閉部材22は、長トレイ250に接触するため、閉位置に位置できない。
【0063】
長トレイ250の後端部側が破壊装置1の前面からはみ出していると、破壊装置1の動作中に長トレイ250に触ることができるため、長トレイ250の位置がずれることに伴いプラッタ202を適切に破壊できないおそれがある。また、長トレイ250の後端部側が破壊装置1の前面からはみ出していると、安全性が損なわるおそれがある。そこで、破壊装置1は、長トレイ250がテーブル30に装着された場合に、破壊装置1の前面から突出している後端部を覆う覆いユニットを有する。
【0064】
図14は、覆いユニット400を説明するための模式図である。図14(a)には、覆いユニット400の開閉部材420が開いている状態が示され、図14(b)には、開閉部材420が閉じている状態が示されている。覆いユニット400は、破壊装置1のカバー20に対して着脱可能に装着される。覆いユニット400は、開閉部材22が開いた状態で、カバー20に装着されている。
【0065】
覆いユニット400は、図14(a)に示すように、覆い部410と、挿通口412と、開閉部材420を有する。覆い部410は、筒状に形成されている。挿通口412は、覆い部410の長手方向の一端側に形成され、テーブル30に装着される長トレイ250が挿通される開口である。なお、覆い部410の長手方向の他端側には、カバー20の挿入口21aと連通する開口が形成されている。開閉部材420は、挿通口412を開閉する部材である。開閉部材420は、挿通口412を閉塞する閉位置と、挿通口412を開く開位置との間で回動する。
【0066】
作業者は、長トレイ250をテーブル30に装着する場合には、長トレイ250の装着前に覆いユニット400をカバー20に取り付ける。次に、作業者は、開閉部材420を開いた状態で長トレイ250を挿通してテーブル30に装着させる。次に、作業者は、開閉部材420を閉じて、長トレイ250に載置されたサーバ用ハードディスク200を破壊する。
【0067】
破壊装置1においては、開閉部材22又は開閉部材420が閉じた状態になると、ハードディスク100を破壊可能となる。破壊装置1は、開閉部材22又は開閉部材420の閉状態を検出するための検出スイッチを有する。なお、本実施形態では、開閉部材22が第1開閉部材に該当し、開閉部材420が第2開閉部材に該当する。
【0068】
図15は、開閉部材22が検出スイッチ90を作動させる状態を説明するための模式図である。ここでは、ハードディスク100が載置されたトレイ150が、テーブル30に装着されているものとする。検出スイッチ90は、破壊装置1の本体部10内に配置されている。具体的には、検出スイッチ90は、挿入口21aの近傍に位置している。開閉部材22は、閉じる際に検出スイッチ90に接触可能な接触部22aを有する。開閉部材22が挿入口21aを閉塞する閉位置に位置すると、接触部22aが検出スイッチ90に接触することで検出スイッチ90が作動する。
【0069】
図16は、覆いユニット400の開閉部材420が検出スイッチ90を作動させる状態を説明するための模式図である。図16(a)には開閉部材420の回動中の状態が示され、図16(b)には開閉部材420が閉位置に位置する状態が示されている。ここでは、サーバ用ハードディスク200が載置された長トレイ250が、テーブル30に装着されているものとする。覆いユニット400は、移動可能なレバー部材430を有する。
【0070】
レバー部材430は、覆いユニット400の内に配置されており、検出スイッチ90に対向するように位置している。レバー部材430は、不図示のバネに付勢されて図16(a)に示す状態を維持する。開閉部材420は、押圧部422を有する。押圧部422は、開閉部材420が閉位置に位置する際に、レバー部材430を押圧する。レバー部材430は、押圧部422に押圧されるとバネの付勢力に抗い移動して、図16(b)に示すように検出スイッチ90を接触する。レバー部材430が検出スイッチ90に接触することで、検出スイッチ90が作動する。すなわち、レバー部材430が、接触部22aの代わりに検出スイッチ90を接触して作動させる。
【0071】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の破壊装置1は、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200が載置面252に載置された長トレイ250が装着されるテーブル30を備える。また、破壊装置1は、サーバ用ハードディスク200のプラッタ202の中心202aが載置面252の所定位置に位置するように、キャリア220を長トレイ250に対して位置決めさせる位置決め機構(例えば、目印部257a~257dや磁石部材270a~270d等)を備える。
上記構成の場合には、サーバ用ハードディスク200が内蔵されるキャリア220の形状や大きさが様々であっても、当該キャリア220を長トレイ250の所定位置に位置決めできる。この結果、多様な形状等のキャリア220に内蔵されるサーバ用ハードディスク200を、キャリア220と分離することなく一体で、適切かつ短時間に破壊できる。
【0072】
また、一台の破壊装置1が、トレイ150に載置されたハードディスク100の破壊に加えて、長トレイ250に載置されたサーバ用ハードディスク200をキャリア220と一体の状態で破壊できるので、利便性の高い破壊装置を実現できる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0074】
1 破壊装置
10 本体部
20 カバー
21a 挿入口
22 開閉部材
22a 接触部
30 テーブル
90 検出スイッチ
200 サーバ用ハードディスク
202 プラッタ
202a 中心
220 キャリア
250 長トレイ
252 載置面
253、254 側壁
257a~257d 目印部
259a~259d 凹部対
270a~270d 磁石部材
290 仕切り板
300 圧壊工具
400 覆いユニット
420 開閉部材
430 レバー部材
【要約】
【課題】多様な形状等のキャリアに内蔵されるハードディスクを、適切かつ短時間に破壊可能な破壊装置を提供する。
【解決手段】破壊装置は、プラッタ202を有するサーバ用ハードディスク200が内蔵されたキャリア220を載置可能な長トレイ250と、キャリア220が載置された長トレイが着脱可能に装着されるトレイ装着部と、トレイ装着部に装着された長トレイとで、キャリア220に内蔵されたサーバ用ハードディスク200を挟んで圧壊する圧壊部材と、プラッタ202の中心が載置面252の所定位置に位置するように、キャリア220を長トレイ250に対して位置決めさせる位置決め機構を備える。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16