(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ユーザインタフェース装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20220722BHJP
H01H 21/00 20060101ALI20220722BHJP
G10H 1/34 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G06F3/02 400
H01H21/00 310A
G10H1/34
(21)【出願番号】P 2018009239
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】505054221
【氏名又は名称】株式会社ユードー
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145344
【氏名又は名称】渡辺 和徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177312
【氏名又は名称】辰己 雄一
(72)【発明者】
【氏名】南雲 玲生
(72)【発明者】
【氏名】波多江 良徳
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-275164(JP,A)
【文献】特開2000-048660(JP,A)
【文献】特開平07-295568(JP,A)
【文献】実開昭53-099572(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081577(US,A1)
【文献】実開平06-084648(JP,U)
【文献】特開2005-208439(JP,A)
【文献】実開昭58-091793(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
H01H 21/00
G10H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーに対応する接点の接触の有無を検知するための回路パターンを有する基盤部と、
前記基盤部上の前記キー位置に設けられる押しボタンと、
前記押しボタン上に設けられ、前記押しボタンを押下するためのキー本体を有するカバーと、
を備え、
前記押しボタンは、
逆盃伏の外枠部と、該外枠部の内側底部の略中央に設けられ、外枠部内側の高さよりも短い柱状の第1の接点部と、前記第1の接点部を囲み、前記第1の接点部よりも短い筒状の第2の接点部と、を備え、
前記第1の接点部及び前記第2の接点部は、夫々その開放端に導電部材を備える絶縁部材を用いて形成され、
前記キー本体が押下されることにより、該キー本体下部の前記押しボタンが押下されて、前記第1の接点部の導電部材及び前記第2の接点部の導電部材が共に前記回路パターンと接触していない第1の接触状態から、前記第1の接点部の導電部材は前記回路パターンと接触する一方前記第2の接点部の導電部材は前記回路パターンと接触していない第2の接触状態、前記第1の接点部の導電部材及び前記第2の接点部の導電部材が共に前記回路パターンと接触する第3の接触状態へと順に変化して、各接触状態に応じた電圧レベルの信号を、当該信号に基づいて演算処理を実行するコントローラ
の、前記キー本体ごとに対応する一の入力端へ出力するユーザインタフェース装置であって、
前記第1の接触状態及び前記第3の接触状態のときは、前記信号の電圧レベルはゼロボルト又は電源電圧であり、
前記第2の接触状態のときは、前記信号の電圧レベルはゼロボルトと電源電圧との間の分圧電圧であって前記コントローラ
が検知可能な電圧であることを特徴とするユーザインタフェース装置。
【請求項2】
前記基盤部は、前記第1の接点部
及び前記第2の接点部の接触タイミングを夫々検知し、該接触タイミングからキーの押下速度を求め、キー識別情報、キーのオン・オフ
及びキーの押下速度を含む入力データをMIDI規格で出力するコントローラを備えたことを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項3】
前記押しボタンの前記第2の接点の前記導電部材は、前記キー本体の支軸に対して垂直に存する絶縁領域により2つの導電部材に分かれ、前記基盤部の前記回路パターンは、前記第2の接点の前記2つの導電部材の夫々
と接触可能に形成されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項4】
前記第2の接点部の前記2つの導電部材のうち、一の導電部材と前記回路パターンが接触したときに点灯するLEDを備えたことを特徴とする請求項3に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項5】
前記カバーは、
厚紙あるいはダンボールによって形成された電子ピアノの鍵盤であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のユーザインタフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にコンピュータ入力用のユーザインタフェース装置に係り、特にキーの押下速度(キータッチ)を検出することのできるユーザインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコンピュータ装置へデータを入力するためのユーザインタフェース装置が提案されている。これらは多くの場合アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」という。)に応じて専用のユーザインタフェースが設けられる。たとえば特許文献1では、ユーザインタフェースとして、電子ピアノなどのアプリケーションに好適な鍵盤スイッチを用いて音を発生させる電子鍵盤楽器が提案されている。この電子鍵盤楽器は、鍵盤を押下したときに高さの異なる2つのスイッチS1,S2が下側の基盤に接触する時間差から打鍵速度(ベロシティ)を検知して、当該打鍵速度に応じた音量を演算するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一回のキー操作において、異なるタイミングで複数のスイッチを動作させるような場合、如何に正確かつ確実に両方のスイッチを動作させるかという問題がある。
特許文献1に記載の鍵盤スイッチは、上下方向のみに動く可塑性素材で形成される鍵盤の下で動作するのであれば特に大きな問題とはならないと考えられるが、鍵盤の動きが少しでも横方向にずれたり斜めに傾いたりすると、その下の鍵盤スイッチS1,S2を斜め上方から押下することになり、長さの短いスイッチ素子S2が正常に基盤に接触しない虞がある。また、ユーザにとってはスイッチ素子S1,S2の両方をオンするには、どこまで鍵盤スイッチを押し込めばよいのかわかりづらいという問題もある。
【0005】
本発明は上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、キーのオン・オフ情報のみならず、キーの押下速度を確実に検出することができ、ユーザ操作性に優れたユーザインタフェース装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のユーザインタフェース装置は、
キーに対応する接点の接触の有無を検知するための回路パターンを有する基盤部と、
前記基盤部上の前記キー位置に設けられる押しボタンと、
前記押しボタン上に設けられ、前記押しボタンを押下するためのキー本体を有するカバーと、
を備え、
前記押しボタンは、
逆盃伏の外枠部と、該外枠部の内側底部の略中央に設けられ、外枠部内側の高さよりも短い柱状の第1の接点部と、前記第1の接点部を囲み、前記第1の接点部よりも短い筒状の第2の接点部と、を備え、
前記第1の接点部及び前記第2の接点部は、夫々その開放端に導電部材を備える絶縁部材を用いて形成され、
前記キー本体が押下されることにより、該キー本体下部の前記押しボタンが押下されて、前記第1の接点部の導電部材及び前記第2の接点部の導電部材が共に前記回路パターンと接触していない第1の接触状態から、前記第1の接点部の導電部材は前記回路パターンと接触する一方前記第2の接点部の導電部材は前記回路パターンと接触していない第2の接触状態、前記第1の接点部の導電部材及び前記第2の接点部の導電部材が共に前記回路パターンと接触する第3の接触状態へと順に変化して、各接触状態に応じた電圧レベルの信号を、当該信号に基づいて演算処理を実行するコントローラの、前記キー本体ごとに対応する一の入力端へ出力するユーザインタフェース装置であって、
前記第1の接触状態及び前記第3の接触状態のときは、前記信号の電圧レベルはゼロボルト又は電源電圧であり、
前記第2の接触状態のときは、前記信号の電圧レベルはゼロボルトと電源電圧との間の分圧電圧であって前記コントローラが検知可能な電圧であることを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1の接点部よりも高さの短い第2の接点部を筒状に形成し、第1の接点部をその中に配置したので、斜め上方向からの押下動作に対しても、第2の接点部を確実に基盤に接触させることができる。
【0008】
特にキー本体を含むカバーを厚紙やダンボールで形成した場合、押下時に撓みが生じる場合があるが、このような場合でも、確実に第1および第2の接点部を基盤部の回路パターンに接触させて、そのタイミング差を検知することができる。
【0009】
また、ユーザにとっては、筒状の第2の接点が基盤に接触したときに、それまでと異なる安定的な抗力ないし反発力を感じることができ、いわゆる押し込み感を向上させることができる。
【0010】
さらに本発明に係わるユーザインタフェース装置の基盤部は、前記第1の接点部および前記第2の接点部の接触タイミングを夫々検知し、該接触タイミングからキーの押下速度を演算し、キー識別情報、キーのオン・オフおよびキーの押下速度を含む入力データをMIDI規格で出力するコントローラを備える。
【0011】
なお、押しボタンの第2の接点部の導電部材を複数のパートに分割し、各パートをそれぞれ、基盤の回路パターンに接触させるようにしてもよい。たとえば、複数のパートの一つを押下速度の演算のために用い、他のパートをLED表示に用いるようにすることもできる。このようにすれば、コントローラを介さずにLEDを点灯させることができるので、コントローラの処理負荷を低減させることができる。
【0012】
なお、第2の接点の導電部材を2つのパートに分割する場合は、好ましくは前記キー本体の支軸に対して垂直に存する絶縁領域により2つの導電部材に分かれるように形成するのがよい。このように第2の接点の導電部材を分割することにより、両方の導電部材を安定的に基盤に接触させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、キーのオン・オフ情報のみならず、キーの押下速度を確実に検出することができ、またいわゆる押し込み感を向上させて操作性に優れたユーザインタフェース装置を安価に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態によるユーザインタフェース装置の側面図である。
【
図3】他の実施例1によるユーザインタフェース装置1の回路ブロック図である。
【
図4】他の実施例1によるコントローラ41の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】他の実施例2によるユーザインタフェース装置1の回路ブロック図である。
【
図7】ユーザインタフェース装置の一例である鍵盤の構成および組み立て方の説明写真である。
図7(a)は黒鍵72の写真、
図7(b)は白鍵71の写真、
図7(c)は基盤部3に、鍵盤7を装着している作業状態を示す写真である。
【
図8】
図1の押しボタンの形状を示す写真であり、
図8(a)は押しボタン2を斜め下方向から見た写真、
図8(b)は押しボタン2を斜め上方向から見た写真である。
【
図9】本発明の実施の形態によるユーザインタフェース装置1の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る音楽生成装置の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態によるユーザインタフェース装置1の側面図である。この図において、ユーザインタフェース装置1は、キーに対応する接点の接触の有無を検知するための配線である回路パターンを有する基盤部3、キー位置に対応して基盤部3上に設けられる押しボタン2、および押しボタン2上に設けられ、押しボタンを押下するためのキー本体71,72を有するカバー7を備えている。基盤部3とカバー7は、支柱8a,8bによって支えられている。基盤部3は、回路パターンのほか、押しボタン2の接点の接触情報を処理するための電子回路群4、並びにコンピュータ、タブレット端末、携帯端末などの外部装置と通信を行うためのインタフェース手段6を備えている。
【0016】
キー本体71,72は任意の数だけ設けることができ、夫々のキー本体の下に配置される押しボタン2の外形は、盃を逆さにした形状をなし、シリコンゴムなどの弾性軟質性を有する絶縁部材で形成されている。
【0017】
次に、この押しボタン2の構成を詳述する。
図2は押しボタン2の断面図、
図8(a)は押しボタン2を斜め下方向から見た写真、
図8(b)は、押しボタン2を斜め上方向から見た写真である。
【0018】
図2、
図8に示すように、押しボタン2は、逆盃形状の外枠部21と、該外枠部21の内側底部25の略中央に設けられ、外枠部21の高さよりも短い柱状の第1の接点部22と、この第1の接点部22を囲み、第1の接点部22よりも短い筒状の第2の接点部23と、を備えている。
【0019】
第1の接点部22はその開放端に導電部材22aが設けられている。また、第2の接点部23はその開放端に一定の隙間を介して導電部材23a,23bが設けられている。これらの導電部材は、導電印刷することにより容易に形成することができる。また、外枠部21の下側には突起24が設けられており、基盤部3に設けられた孔(図示せず)と嵌合する。
【0020】
以下の説明において、カバー7としてダンボール製の鍵盤を例に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
鍵盤(カバー)7は、
図7(a)に示す黒鍵72と、
図7(b)に示す白鍵71を有している。白鍵71は、Aの位置で先端を下方向へ折り曲げ、完全に折り曲げた後に孔71aに押しボタン2の頭部21aを嵌合させる。このようにすれば、基盤部3と、押しボタン2と、鍵盤7のズレを防止し、安定して継続操作できる。
【0022】
図7(c)は、基盤部3に、鍵盤7を装着している作業状態を示す写真である。基盤部3上の鍵盤7の白鍵71、黒鍵72に対応する位置に押しボタン2をセットし、その上から鍵盤7を被せ、上述したように白鍵71の孔71aに押しボタン2の頭部21aを差し込んで、全体を安定させる。なお、鍵盤7は、ユーザの左右方向を支軸として動作する。これに対して、押しボタン2の第2の接点部23の導電部材23a,23b間の隙間(スリット)はユーザから見て前後方向に延び、その結果導電部材23a,23b、およびこれら部材が接触する先の回路パターン部分33a,33b(後述)はそれぞれユーザから見て左右方向、すなわち鍵盤7の支軸と平行に配置されている。
【0023】
図6に、基盤部3の回路パターンを示す。符合31は、押しボタン2が配置される領域である。ちなみに、回路パターン部分32aは、押しボタン2の第1の接点22aが接触する箇所である。同様に、回路パターン部分33a,33bは、それぞれ押しボタン2の第2の接点23a,23bが接触する箇所である。
【0024】
回路パターン部分32a,33a,33bは、それぞれ2方向からの回路パターンが櫛状に一定の隙間をもって互いにその歯間に入り込んだ形をしており、押しボタン2の接点22a,23a、23bの導電部分が、それぞれ対応する回路パターン部分全体に接触することにより、前記2方向からの回路パターンが電気的に接続されるようになっている。
【0025】
図9は、上記の構成を有するユーザインタフェース装置1の回路ブロック図である。符合9は、一つの押しボタン2に関係する回路(以下、「キー・ユニット」という。)を表している。各キー・ユニット9からの信号(IN)は、コントローラ41に入力され演算処理される。また、コントローラ41は、その他のスイッチ、すなわちコントロールチェンジ用スイッチ42,機能変更用スイッチ43などの各スイッチの状態を読み込み、所定の処理を実行する。例えば、ユーザインタフェース装置1を音楽用インタフェースとして機能させるような場合は、コントロールチェンジ用スイッチ42の状態により、オクターブ上下させるなどの変更をするようにしてもよい。また、機能変更用スイッチ43により、模擬する楽器を変更するようにしてもよい。
【0026】
ユーザインタフェース装置1の電源は、たとえばUSB61を介して、外部装置から給電することができる。キー操作の入力データは、USB61あるいはブルートゥース(登録商標)などの無線通信I/F62を介して外部装置へ送られる。
【0027】
次に各キー・ユニットの回路構成について説明する。
押しボタン2の第1の接点部22の導電部が接触する先の回路パターン(以下、単に「接点」という。)22aの一端は、抵抗R2を介して電源Pに接続されている。接点22aの他端はコントローラ41の入力端に接続されると共に、抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は0Vに接続(接地)されている。
【0028】
第2の接点部23の接点23aの一端は抵抗R1と接点22aの接続点に接続され、接点23aの他端は電源Pに接続されている。また、接点23bの一端は、電源P、抵抗R3を介してLEDと接続し、接点23bの他端は接地されている。
【0029】
ここで、コントローラ41は、電源電圧(たとえば5V)、接地電圧(たとえば0V)の他、中間電圧(たとえば2V)付近の3段階の電圧レベルを判別可能になっており、抵抗R1と抵抗R2の比は、接点22がオンしたときに、コントローラ41が中間電圧を検出できるように予め定める。
【0030】
図9に示す回路は、キーが解放状態のとき、すなわち押しボタン2が押されていないときは、コントローラ41の入力端は抵抗R1を介して0Vに接続されているため、その入力値は接地電圧[0V]になる。そして、押しボタン2が押され、接点22aがオンすると、抵抗R2と抵抗R1の分圧電圧がコントローラ41に入力されるため、入力値は中間電圧[2V]になる。コントローラ41は、入力値が中間電圧になったことを検知すると内部タイマを起動する。
【0031】
そして、押しボタン2がさらに押し込まれ、接点23aがオンすると、コントローラ41の入力端は電源電圧[5V]なる。このとき、略同時に接点23bもオンするため、LEDが点灯する。コントローラ41は、この時点で内部タイマの値からベロシティを演算し、ノートオンおよびベロシティをUSB61あるいは無線通信I/F62経由で外部装置へ送信する。すなわち中間電圧から電源電圧になる時間が早いほど大きなベロシティ数値で出力することになる。
キー解放時は、接地電圧[0V]になった時に音を止める「ノートオフ」を出力する。
【0032】
(応用例)
上記の動作は一例であり、本実施の形態によるユーザインタフェース装置1は、アプリケーションによって多様な使い方が可能である。たとえば、一般的なピアノやオルガンと同じように、メロディや和音を演奏する機能のほか、打楽器的に音程とは無関係にノートオンデータを外部装置のアプリケーションに対して送ることも可能である。この場合は音の長さのパラメータは必要ないので、たとえば20ミリ秒後にコントローラ41が自動的にノートオフを出力するようにする。
【0033】
また、基盤部3の上部にあるコントロールチェンジ用スイッチ42としてタクトスイッチを用い、音に変調をかけるモジュレーションやベンドといったパラメータを出力するようにしてもよい。基盤部3の右手にある機能変更用スイッチ(ファンクションスイッチ)43を押すことにより、押しボタン2が特別な機能モードとなり、ミディチャンネルの変更やコントロールチェンジの番号の変更などができるようにしてもよい。
【0034】
(効果)
以上、本実施の形態によれば、キー押下操作時にオンタイミングの異なる2接点において、後からオンする第2の接点部を筒状に形成したので、ユーザにとっては、第2の接点が基盤に接触したときに、それまでの押下状態での感覚と異なる安定的な抗力ないし反発力を感じることができ、いわゆる押し込み感を向上させることができる。なお押しボタンを形成する弾性軟質絶縁部材の硬度を変えたり、第2の接点部の円筒の厚さを変えるなどの調整をすることにより、最適な押し込み感を実現することができる。
【0035】
またキー本体を含むカバーを厚紙やダンボールで形成した場合、押下時に撓みが生じる場合があるが、このような場合でも、確実に第1および第2の接点部を基盤部の回路パターンに接触させて、そのタイミング差を検知することができる。
【0036】
(他の実施例1)
次に、
図9の回路の他の実施例を説明する。本実施例は、コントローラ41の入力は、[1](Hレベル),[0](Lレベル)の2値を前提としたものである。
【0037】
図3は、本実施例の回路ブロック図である。
図9との違いは、第2の接点部23の接点23aの一端は抵抗R1と接点22aの接続点に接続され、接点23aの他端が接地されていることである。その他の接続関係は
図9と同様であるため説明を省略する。
なお、抵抗R1と抵抗R2の比は、接点22がオンしたときに、コントローラ41が[1]を検出できるように設定される。
【0038】
図3に示す回路は、キーが解放状態のとき、すなわち押しボタン2が押されていないときは、コントローラ41の入力端は抵抗R1を介して0Vに接続されているため、その入力値は[0]になる。そして、押しボタン2が押され、接点22aがオンすると、抵抗R2と抵抗R1の分圧電圧がコントローラ41に入力されるため、入力値は[1]になる。押しボタン2がさらに押し込まれ、接点23aがオンすると、コントローラ41の入力端は0Vに直接接地されることになるため、入力値は[0]になる。このとき、略同時に接点23bもオンするため、LEDが点灯する。
【0039】
その後、キー解放時は、押しボタン2の弾性復元力により、まず押しボタン2の接点23aがオフとなり、抵抗R2と抵抗R1の分圧電圧がコントローラ41に入力されるため、入力値は[1]に変化する。また、接点23bもオフとなりLEDは消灯する。さらに、解放され接点22aもオフになると、コントローラ41の入力値は[0]になる。
【0040】
次に、
図4を用いて、押しボタン2を押下時のコントローラ41の処理手順についてその一例を説明する。以下の手順は、すべてのキーについて実行される(S101a,S101b)。
【0041】
コントローラ41は、入力値=[1]を検出すると(S102で「YES」)、キーごとに設けられたタイマをリスタートして(S103)、当該キーの入力値が[0]になったか否かを判定する(S104)。その結果、入力値が[0]になった場合は、前記タイマの値を読み込み(S107)、この値をもとにベロシティを演算し、当該キーナンバーのノートオンやベロシティをMIDI規格で送信するなどキーオン時の所定の処理を実行する(S109)。
【0042】
その後、当該キーの入力値が[1]に変化した場合は(S110で「YES」)、さらに当該キーの入力値が[0]に変化したか否かを判定し(S113)、[0]に変化した場合は、当該キーがオフしたと判定し、所定の処理を実行する(S116)。たとえば、MIDI規格で、当該キーナンバーのノートオフを送信するなどである。
【0043】
上記の処理において、ステップS104、ステップS110、ステップS113の判定処理は、一連のキー操作の過程で当然に入力値の変化が期待されるものであるため、一定時間変化が無い場合は、所定のエラー処理を実行する。なお、タイムアウト時間をキーごとにパラメータとしてコントローラ41の記憶部に保存しておきは、各ステップやアプリケーションによって設定するのが好ましい。
【0044】
(他の実施例2:比較例)
図5に回路ブロックの比較例を示す。この例は、押しボタン2の接点22aと接点23aのオン・オフ状態を独立して検知するものである。
図5の構成によっても、押しボタン2の押下速度を検知することができるが、コントローラ41へはキー・ユニットごとに2つの信号(IN1,IN2)を入力する必要がある。
図3,
図9の構成は、この入力信号数を削減する効果がある。
【0045】
本発明のユーザインタフェース装置は、上述した実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しないで種々変形して実現することができる。たとえば、カバー7は、鍵盤に限らず、テレビのリモコンや照明の制御などに適したキー形状およびキー配列にすることができる。この場合も基盤部は、ブルートゥース(登録商標)・キーボードなど汎用のキーボード用い、その上に上述した押しボタンを搭載して実現することができる。なお、押しボタン2の第2の接点部は2つに分割しなくても本発明の目的を達成できることは明白である。また第1の接点部は第2の接点部の筒状内にあればよく、その形状には限定されない。たとえば柱状でなく筒状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本ユーザインタフェース装置は、制作過程も楽しいダンボール製の音楽キーボード・キットとして実現することができる。その風合いや紙を折り曲げる様は、伝統的な日本の「折り紙」に似ている。構造を楽しみながら、押しボタンを取り付け、鍵盤を組み立てると瞬く間に完成する。
【0047】
このユーザインタフェース装置は簡単にコンピュータやスマートフォンと接続出来るので、シンセサイザーなどのアプリケーションを使って音を鳴らしたり、デジタルオーディオワークステーション(DAW)上で音楽作品を作り出すことが可能となる。さらに内蔵サウンドジェネレータやスピーカ等の音響生成回路44を搭載することにより、USB61で電源を供給するだけで音楽を楽しむことも可能になる。
【0048】
また、特定のキー(例えばファンクションキー)を押すことによりコントローラ41の機能を変えたり、USB61経由で外部のコンピュータ装置からソフトウェアをコントローラ41へ送り、コントローラ41の機能を変えることができる。
【0049】
これにより、ユーザインタフェース装置1を音楽のキーボードとして使用したり、照明の制御やテレビのリモートコントロール装置として用いるなど、広く家電のコントローラとして利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ユーザインタフェース装置
2 押しボタン
3 基盤部
4 電子回路群
6 インタフェース手段
7 カバー(鍵盤)
8a,8b 支柱
9 キー・ユニット
21 外枠部
21a 頭部
22,23 接点部
22a,23a,23b 導電部材(接点)
24 突起
25 内側底部
32a,33a,33b 回路パターン部分
41 コントローラ
42 コントロールチェンジ用スイッチ
43 機能変更用スイッチ
44 音響生成回路
61 USB
62 無線通信I/F
71 白鍵(キー本体)
72 黒鍵(キー本体)
71a 孔