(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】土壌管理システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2022066685
(22)【出願日】2022-04-14
【審査請求日】2022-04-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518078603
【氏名又は名称】株式会社アグリスマート
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【氏名又は名称】岡田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金丸 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山内 栄治
(72)【発明者】
【氏名】中山 宏二
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 幸明
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-054221(JP,A)
【文献】特開2018-121556(JP,A)
【文献】特開2015-141537(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2266628(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 2/00 - 2/38
A01G 5/00 - 7/06
A01G 9/28
A01G 17/00 - 17/02
A01G 17/18
A01G 20/00 - 22/67
A01G 24/00 - 24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源、制御手段及びスイッチを有する制御部、並びに、温度センサ、水分センサ、及び、送受信部を有するセンサ部を備える土壌センサと、
記憶部、環境情報取得手段、環境情報予測手段及び測定間隔設定手段を備える制御装置と
を備え、
前記制御手段は、所定の測定間隔ごとに前記スイッチをオン状態にして、前記電源から前記センサ部に電力を供給し、
前記温度センサは、土壌温度を測定し、
前記水分センサは、土壌水分量を測定し、
前記送受信部は、前記土壌温度及び前記土壌水分量を前記制御装置に送り、
前記環境情報取得手段は、前記土壌センサから受け取った、前記土壌温度から、環境温度を取得し、
前記環境情報予測手段は、前記記憶部に記録されている植物特性と、前記土壌温度、前記土壌水分量及び前記環境温度の情報を含む環境情報から、乾燥度の時間変化を予測し、
前記測定間隔設定手段は、予測した乾燥度に基いて、前記測定間隔を設定して、前記土壌センサに送り、
前記植物特性は、高温と低温のいずれが適しているか、また、乾燥と湿潤のいずれが適しているかの組合せで分類されて、前記記憶部に記録される土壌管理システム。
【請求項2】
予め、最大間隔及び最小間隔が定められ、
前記測定間隔設定手段は、
測定間隔を、前記最大間隔として設定し、
設定した測定間隔内に、植物の生育に適さない環境になると予測されているか否かを判定し、
判定の結果、予測されている場合は、測定間隔を短くして、再度、判定を行い、
設定した測定間隔内に、植物の生育に適さない環境になると予測されていないか、又は、設定した測定間隔が前記最小間隔以下になった場合に、設定した測定間隔を、前記土壌センサに送る
ことを特徴とする請求項1に記載の土壌管理システム。
【請求項3】
前記土壌管理システムは、前記土壌センサに関連付けられた通信端末装置を備え、
前記制御装置は、前記測定間隔を土壌センサに送るとともに、前記環境情報及び前記測定間隔を前記通信端末装置に通知する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、さらに、
土壌センサごとに、当該土壌センサが設置されている箇所で栽培されている植物、当該植物の植物特性、当該土壌センサで測定された、土壌温度及び土壌水分量、並びに、前記測定間隔を、前記記憶部に記録する履歴情報生成手段
を備えることを特徴とする請求項3に記載の土壌管理システム。
【請求項5】
前記履歴情報生成手段は、前記記憶部に記録されている、土壌温度及び土壌水分量の時間変化を示すグラフを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の土壌管理システム。
【請求項6】
前記センサ部が、さらに、電圧センサを備え、
前記電圧センサは、前記電源の電圧を測定し、
前記送受信部が、前記電圧を前記制御装置に送る
ことを特徴とする請求項5に記載の土壌管理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土壌管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物を育成するためには、土壌温度、土壌水分量、環境温度などを、植物の特性に適した状態に保つことが好ましい。このために、例えば、土壌センサを用いて測定することにより、土壌温度、土壌水分量、環境温度などを把握する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の土壌センサでの測定は、植物特性に合わせて行われておらず、一定の頻度(測定間隔)で行われるのが一般的である。このため、必要以上の頻度で測定を行う場合には、電力消費量が過剰となり、必要以下の頻度で測定を行う場合には、栽培環境の急変に対応できない。
【0005】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。この発明の目的は、電力消費量を抑えつつ、栽培環境の急変に備えることができる、土壌管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の土壌管理システムは、電源、制御手段及びスイッチを有する制御部、並びに、温度センサ、水分センサ、及び、送受信部を有するセンサ部を備える土壌センサと、記憶部、環境情報取得手段、環境情報予測手段及び測定間隔設定手段を備える制御装置と
を備えて構成される。制御手段は、所定の測定間隔ごとにスイッチをオン状態にして、電源からセンサ部に電力を供給し、温度センサは、土壌温度を測定し、水分センサは、土壌水分量を測定し、送受信部は、土壌温度及び土壌水分量を制御装置に送る。また、環境情報取得手段は、土壌センサから受け取った、土壌温度から、環境温度を取得し、環境情報予測手段は、記憶部に記録されている植物特性と、土壌温度、土壌水分量及び環境温度の情報を含む環境情報から、乾燥度の時間変化を予測し、測定間隔設定手段は、予測した乾燥度に基いて、測定間隔を設定して、土壌センサに送る。植物特性は、高温と低温のいずれが適しているか、また、乾燥と湿潤のいずれが適しているかの組合せで分類されて、記憶部に記録される。
【発明の効果】
【0007】
この発明の土壌管理システムでは、測定モードと節電モードの切換を行うため、測定時以外の時間帯における電力消費量を低減させることができ、乾電池の交換や蓄電池の充電の頻度を減らすことができる。
【0008】
また、測定間隔を植物特性と観測データから判断するため、電力消費量を抑えつつ、栽培環境の急変に備えることができ、植物へのダメージを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】記憶部に格納されるテーブルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0011】
この発明の土壌管理システムは、土壌センサ100と、制御装置200とを備えて構成される。また、土壌管理システムは、栽培者が使用する通信端末装置400を備えていてもよい。土壌センサ100は、制御部110と、センサ部120とを備える。通信端末装置400は、キーボードやタッチパネルなどの入力手段と、液晶ディスプレイやスピーカなどの出力手段と、通信手段を備える装置であり、例えば、携帯電話、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等を用いることができる。
【0012】
センサ部120は、温度センサ122と、水分センサ124と、送受信部126を備える。また、センサ部120が、電圧センサ125を備えていてもよい。
【0013】
水分センサ124は、センサプローブを備えて構成されていて、土壌10を構成する土粒子と、土壌10に含まれる水の、比誘電率の違いを利用して土壌10に含まれる水分量を測定する。この水分センサ124を構成するセンサプローブは、土壌10に挿しこんで用いられる。
【0014】
水分センサ124として、例えば、2つの導体間に土壌が配置されたコンデンサの静電容量を測定するキャパシタンス(静電容量)式のセンサを用いることができる。なお、水分センサ124は、このキャパシタンス式のセンサに限られず、任意好適な従来公知のセンサを用いることができる。
【0015】
温度センサ122は、土壌温度を測定する。温度センサ122は、例えば、センサプローブに設けられうる。温度センサ122として、例えば、サーミスタを用いることができる。なお、温度センサ122は、このサーミスタに限られず、任意好適な従来公知のセンサを用いることができる。
【0016】
送受信部126は、制御装置200との間の、信号の送受信を行う通信モジュールとして構成される。この送受信部126と制御装置200との間の接続は、有線でも良いし、無線でも良い。なお、土壌センサ100を設置する際の配線を不要とするために、送受信部126は、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信モジュールであるのが良い。また、制御装置200と土壌センサ100とは、例えば、インターネットを介して接続される。この場合、土壌センサ100は、Wi-Fiルータを介して、制御装置200との間で、送受信を行う。
【0017】
また、通信端末装置400は、Wi-Fiルータを介して、制御装置200との間で、送受信を行う。土壌センサ100と通信端末装置400の間は、Wi-FiやBluetoothを用いて直接通信する構成にしてもよいし、制御装置200を介して通信する構成にしてもよい。なお、通信端末装置400は、有線でインターネットに接続されてもよ
い。
【0018】
制御部110は、電源112と、スイッチ116と、制御手段118とを備える。制御手段118は、タイマを内蔵している。
【0019】
電源112は、制御部110に電力を供給するとともに、スイッチ116を経てセンサ部120にも電力を供給する。電源112は、例えば、乾電池で構成される。なお、電源112として充電可能な蓄電池を用いてもよい。
【0020】
センサ部120が備える電圧センサ125は、電源112の電圧を測定する。電圧センサ125が測定する電圧は、乾電池など電源112の消耗度を示す。
【0021】
スイッチ116は、制御手段118からの指示でオン状態とオフ状態の切換を行う。スイッチ116がオン状態のとき、電力はセンサ部120に供給され、測定(アクティブ)モードとなる。一方、スイッチ116がオフ状態のとき、電力はセンサ部120に供給されず、節電(スリープ)モードとなる。
【0022】
制御手段118は、内蔵しているタイマを利用して、時間の測定を行う。制御手段118は、節電モードになってから、所定の測定間隔に対応する時間が経過した後、スイッチ116をオン状態にする。節電モードになってから、測定モードに切り替えるまでの測定間隔は、制御装置200から指示される。測定間隔の設定については、後述する。
【0023】
送受信部126は、土壌センサ100の測定結果として、土壌温度及び土壌水分量を、制御装置200に送信する。また、センサ部120が電圧センサ125を備える場合、送受信部126は、電源112の電圧も、制御装置200に送信される。また、送受信部126は、制御装置200から測定間隔の指示を受ける。この制御装置200から送られた測定間隔は、制御手段118に送られる。制御手段118は、測定間隔の情報を受け取ると、スイッチ116をオフ状態にして、節電モードに切り替える。
【0024】
制御装置200は、土壌センサ100から受け取った、土壌温度及び土壌水分量に基いて、測定間隔を設定し、設定した測定間隔を土壌センサ100に通知する。
【0025】
制御装置200は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)や、インターネットに接続されるサーバなど、任意好適な従来公知の電子計算機を用いて構成することができる。
【0026】
制御装置200は、例えば、CPU(Central Proccesing Unit)300、データ用メモリ210、プログラム用メモリ220、送受信手段230、記憶部240を備えて構成される。データ用メモリ210、プログラム用メモリ220は、任意好適な構成にすることができる。例えば、データ用メモリ210としてRAM(Random Access Memory)を用いることができ、プログラム用メモリ210としてROM(Read Only Memory)を用いることができる。
【0027】
CPU300がプログラム用メモリ220に格納されているプログラムを実行することにより、機能手段として、環境情報取得手段302と、環境情報予測手段304と、測定間隔設定手段306が実現される。各機能手段の詳細については、後述する。各機能手段での処理の結果は、一時的にデータ用メモリ210に格納される。
【0028】
記憶部240は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などで構成され、植物特性を示す植物特性テーブル242や栽
培履歴を示す栽培履歴テーブル244が格納されている。
図3は、記憶部240に格納されるテーブルを示す模式図である。
図3(A)は、植物特性テーブル242の一例を示し、
図3(B)は、栽培履歴テーブル244の一例を示している。
【0029】
環境情報取得手段302は、送受信手段230を経て、土壌センサ100から、土壌温度及び土壌水分量を含む環境測定情報を取得する。このとき、環境情報取得手段302は、環境測定情報の送信元である土壌センサ100を識別する情報(センサID)も取得する。
【0030】
また、土壌温度と、その周囲の気温との相関性が高いことから、環境情報取得手段302は、気温(環境温度)の情報を取得する。環境測定情報、及び、環境温度の情報を含む環境情報と、センサIDは、環境情報予測手段304に送られる。
【0031】
環境情報予測手段304は、記憶装置240から読みだした、植物特性と、環境情報から、乾燥度の時間変化を予測する。
【0032】
植物特性は、土壌センサ100が設置された箇所で育成される植物の生育に適した環境を示す。植物特性は、例えば、高温と低温のいずれが適しているか、また、乾燥と湿潤のいずれが適しているか、の組合せで分類される。すなわち、高温乾燥、高温湿潤、低温乾燥及び低温湿潤の4つに分類されて、植物特性テーブル242として記憶部240に記録される(
図3(A))。なお、ここでは、植物特性を、温度と水分をそれぞれ2区分して、4つに分類する例を説明するが、これに限定されない。温度や水分のいずれかを3区分以上に分類してもよい。また、植物特性テーブル242は、環境情報予測手段304での予測に必要な、他の情報を含んで構成されてもよい。
【0033】
また、この制御装置200は、複数の土壌センサ100を同時に管理することができる。この場合、記憶部240には、土壌センサ100のセンサIDと、この土壌センサ100が設置された箇所で育成される植物の情報が関連付けられて、栽培履歴テーブルとして記録される。土壌センサ100と、土壌センサ100に関連付けられた植物の情報は、例えば、栽培者が通信端末装置400を操作して入力し、通信端末装置400が入力された情報を制御装置200に送信して記録される構成にすることができる。
【0034】
植物の高温乾燥、高温湿潤、低温乾燥及び低温湿潤のいずれかへの分類は、栽培者が通信端末装置400を操作して入力することによって行う構成を含んでもよい。なお、この分類の入力については、土壌管理システムの管理者が行ってもよい。
【0035】
環境情報予測手段304は、環境温度及び土壌温度から、土壌に含まれる水分の、蒸発量の時間変化を推定する。また、環境情報予測手段304は、センサIDに関連付けられた植物の植物特性から、土壌に含まれる水分の、植物に吸収される量(消費量)の時間変化を推定する。さらに、環境情報予測手段304は、蒸発量及び消費量の時間変化を推定した結果に基いて、土壌水分量の時間変化を予測する。
【0036】
この土壌水分量の時間変化の予測は、既知のモデルを用いた回帰分析を用いて行ってもよいし、過去の測定結果を用いて学習させたニューラルネットワークを用いて行ってもよい。その他、任意好適な従来公知の方法で土壌水分量の時間変化の予測をすることができる。
【0037】
測定間隔設定手段306は、環境情報予測手段304が予測した、土壌水分量の時間変化に基いて、測定間隔を設定する。測定間隔設定手段306は、測定間隔を、初期状態として、例えば、24時間に設定する。測定間隔設定手段306は、設定した測定間隔内(
例えば、24時間以内)に、土壌水分量が、植物の生育に適さない環境になると予測されているか否かを判定する。
【0038】
測定間隔設定手段306が、設定した測定間隔内(この例では、24時間以内)に、植物の生育に適さない環境になると予測した場合、測定間隔設定手段306は、測定間隔を1/2の12時間に設定し、再度、設定した測定間隔内(この例では12時間以内)に、土壌水分量が、植物の生育に適さない環境になると予測されているか否かを判定する。測定間隔設定手段306が、再度、設定した測定間隔内(この例では12時間以内)に、植物の生育に適さない環境になると予測した場合、測定間隔設定手段306は、測定間隔をさらに1/2の6時間に設定し、設定した測定間隔内(この例では6時間以内)に、土壌水分量が、植物の生育に適さない環境になると予測されているか否かを判定する。この過程を、設定した測定間隔内に、土壌水分量が、植物の生育に適さない環境になると予測されなくなるまで、すなわち、土壌水分量が植物の生育に適する環境を維持できると予測されるまで繰り返す。
【0039】
測定間隔設定手段306が、設定した測定間隔内に、植物の生育に適さない環境になると予測しない場合、すなわち、設定した測定間隔に対応する時間が経過するまで、植物の生育に適する環境を維持できると予測した場合、測定間隔設定手段306は、この設定した測定間隔を土壌センサ100に送信する。土壌センサ100は、この測定間隔設定手段306が設定した測定間隔に応じて、節電モードから測定モードへ切り替える。このとき、土壌センサ100の栽培者の通信端末装置400にも、取得した環境情報、予測された環境情報、測定間隔、電池の残量などの情報が通知される。これにより、栽培者は、灌水の適切なタイミングを知ることができる。
【0040】
なお、測定間隔を、最大間隔と、最小間隔との間の時間に設定する構成にできる。この場合、初期状態を最大間隔とするのがよい。また、測定間隔設定手段306が、測定間隔を最小間隔に設定したときに、測定間隔内に植物の生育に適さない環境になると予測した場合、この最小間隔に設定した測定間隔を土壌センサに送信する。
【0041】
例えば、予め最大間隔を24時間、最小間隔を3時間と定めておき、設定した測定間隔内に、植物の生育に適さない環境になると予測した場合、測定間隔を1/2にする構成にすることができるが、これに限定されない。植物の特性や、土壌センサが設置される環境に応じて、最小間隔を1時間未満の値に設定してもよいし、3時間より大きい値にしてもよい。また、最大間隔を24時間より大きい値に設定してもよいし、24時間未満の値に設定してもよい。測定間隔についても、1/2ずつ変化させる構成に限定されず、例えば、1時間ずつ変化させる構成にしてもよい。
【0042】
また、CPU300がプログラム用メモリ220に格納されているプログラムを実行することにより、機能手段として、さらに、履歴情報生成手段308が実現されるのがよい。
【0043】
履歴情報生成手段308は、栽培履歴テーブル244に、土壌センサ100ごとに、センサID、植物、植物特性、履歴情報を記録する。履歴情報として、測定された、土壌温度、土壌水分量及び電池残量と、設定された測定間隔など情報が記憶装置に記録される。ここで、履歴情報として、環境情報予測手段304が予測した土壌温度や土壌水分量が記録されてもよい。
【0044】
なお、栽培者は、通信端末装置400を操作して、自己の土壌センサ100に対応する情報を栽培履歴テーブルから読み出すことができる。ここで、栽培者が行う、環境情報の参照や分析を容易にするために、履歴情報生成手段308が、履歴情報を読みだして、土
壌温度や土壌水分量の時間変化を示すグラフを生成し、栽培者が操作する通信端末装置400に表示させる構成にするのがよい。
【0045】
この発明の土壌管理システムでは、測定モードと節電モードの切換を行うため、測定時以外の時間帯における電力消費量を低減させることができ、乾電池の交換や蓄電池の充電の頻度を減らすことができる。
【0046】
また、測定間隔を植物特性と観測データから判断するため、電力消費量を抑えつつ、栽培環境の急変に備えることができ、植物へのダメージを軽減できる。また、観測された環境情報や予測された環境情報が、取得された時点で、栽培者の通信端末装置に送信される構成にすれば、栽培者が灌水の適切なタイミングを知ることができる。あるいは、土壌センサの制御部に、1又は2以上のLEDを設けて、乾電池の残量や、測定間隔に対応する時間が経過したか否かを、栽培者が視認可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100 土壌センサ
110 制御部
112 電源
116 スイッチ
118 制御手段
120 センサ部
122 温度センサ
124 水分センサ
125 電圧センサ
126 送受信部
200 制御装置
210 データ用メモリ
220 プログラム用メモリ
230 送受信手段
240 記憶部
242 植物特性テーブル
244 栽培履歴テーブル
300 CPU
302 環境情報取得手段
304 環境情報予測手段
306 測定間隔設定手段
308 履歴情報生成手段
【要約】
【課題】電力消費量を抑えつつ、栽培環境の急変に備える。
【解決手段】電源、制御手段及びスイッチを有する制御部110、並びに、温度センサ、水分センサ、及び、送受信部を有するセンサ部120を備える土壌センサ100と、記憶部240、環境情報取得手段302、環境情報予測手段304及び測定間隔設定手段306を備える制御装置200とを備える。制御手段は、所定の測定間隔ごとにスイッチをオン状態にして、電源からセンサ部に電力を供給し、温度センサは、土壌温度を測定し、水分センサは、土壌水分量を測定する。環境情報取得手段は、土壌温度から、環境温度を取得し、環境情報予測手段は、植物特性と、土壌温度、土壌水分量及び環境温度の情報を含む環境情報から、乾燥度の時間変化を予測し、測定間隔設定手段は、予測した乾燥度に基いて、測定間隔を設定して、土壌センサに送る。
【選択図】
図2