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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】車両用のバックドアストッパの構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B60J5/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018166992
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020040432
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】林 克明
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 和希
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0093342(US,A1)
【文献】特開2004-026049(JP,A)
【文献】特開2010-264807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックドアが開閉可能に取り付けられている車体後部のバックドア開口部に設けられている車両用のバックドアストッパの構造において、
前記バックドアストッパは、前記バックドア開口部の側部の車両上下方向中間部に位置し、車両上下方向に延びており、
前記バックドアストッパの車幅方向内側には、車両前後方向に並ぶ複数段の段差形状部が設けられ、隣接する前記段差形状部はのうち、後方側の前記段差形状部は、前方側の段差形状部に対して車幅方向外側に位置し、
前記各段差形状部の車幅方向外側に対応する前記バックドアストッパの内部には、車両上下方向に延びる穴部が設けられており、
隣接する前記段差形状部の境界の車幅方向外側端には、車両後方に向かうに従い車幅方向外側に傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする車両用のアックドアストッパの構造。
【請求項2】
前記バックドアストッパの内部には、隣り合う前記穴部を連通する連通部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用のバックドアストッパの構造。
【請求項3】
前記連通部の車幅方向の長さは、前記穴部の車両前後方向の長さより短いことを特徴とする請求項2に記載の車両用のバックドアストッパの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のバックドアストッパの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部にバックドアを有する車両が知られている。当該バックドアは、車体後部に設けられた車体開口部に開閉可能に取り付けられている。車体開口部には、バックドアの閉まり性及びバックドアのバタツキを抑制するために、バックドアが当接するバックドアストッパが設けられている。
【0003】
バックドアストッパには、車両前後方向の振動によるこもり音を抑制することと、車幅方向の振動により発生するバックドアの横揺れを抑制することが要求される。
【0004】
例えば、特許文献1には、U字形ばねにストッパゴムが取り付けられている構造が開示されている。この例では、U字形ばねのばね定数を可変にしてストッパゴムのたわみ代を増やし、好みのバックドアの閉まり性に合わせること(調整すること)によって、悪路走行時等に異音発生するバックドアのバタツキを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-166525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両前後方向の振動によるこもり音を抑制するためには、車両前後方向のばね定数を低く設定することが好ましい。また、車幅方向の振動により発生するバックドアの横揺れを抑制するためには、車幅方向のばね定数を高く設定することが好ましい。ところが、上記例のような構造では、一方向のばね定数を調整することはできるが、上述した2つの要求を満たすためには、2方向のばね定数を調整する必要があり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両前後方向のばね定数を低くして車両前後方向の振動によるこもり音を抑制し、車幅方向のばね定数を高くしてバックドアの横揺れを抑制することができる車両用のバックドアストッパの構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用のバックドアストッパの構造は、バックドアが開閉可能に取り付けられている車体後部のバックドア開口部に設けられている車両用のバックドアストッパの構造において、前記バックドアストッパは、前記バックドア開口部の側部の車両上下方向中間部に位置し、車両上下方向に延びており、前記バックドアストッパの車幅方向内側には、車両前後方向に並ぶ複数段の段差形状部が設けられ、隣接する前記段差形状部は、車両後方に向かうに従い車幅方向外側に位置し、前記各段差形状部の車幅方向外側に対応する前記バックドアストッパの内部には、車両上下方向に延びる穴部が設けられており、隣接する前記段差形状部の境界の車幅方向外側端には、車両後方に向かうに従い車幅方向外側に傾斜する傾斜部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バックドアストッパの車両前後方向のばね定数を低くして車両前後方向の振動によるこもり音を抑制し、車幅方向のばね定数を高くしてバックドアの横揺れを抑制することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る第1の実施形態のバックドアストッパを有する車体後部を示す斜視図である。
図2図1のバックドアストッパ及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
図3図2のバックドアストッパを単体で示す斜視図である。
図4図3のバックドアストッパのA-A矢視の横断面図である。
図5】本発明に係る第2の実施形態のバックドアストッパの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両用のバックドアストッパ構造の実施形態について、図面(図1図5)を参照しながら説明する。なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向における前方を示し、実施形態の説明における「前部(端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印O方向は、車幅方向の外側を示し、矢印U方向は、車両上方を示している。
【0012】
[第1の実施形態]
先ず、第1の実施形態について、図1図4を参照しながら説明する。本実施形態のバックドアストッパ1は、図1及び図2に示すように、車体後部のバックドア開口部60の側部に取り付けられている。当該バックドアストッパ1は、例えば、バックドア開口部60の側部に配置されるバックピラーアウタパネル61に取り付けられている。
【0013】
図示による説明は省略しているが、バックドアは、バックドア開口部60の上部に設けられたヒンジ(図示せず)を介して、開閉可能に取り付けられている。すなわち、本実施形態のバックドアは、上下方向に回動するように構成され、ドアラッチ(図示せず)等は、バックドア開口部60の下部に設けられている。
【0014】
バックピラーアウタパネル61は、車両上下方向に延び、バックドア開口部60の最外に配置されている金属製の部材である。バックピラーアウタパネル61は、車両後方を臨む後面61aと、該後面61aの車幅方向外側から車両後方に延び、車幅方向内側を臨む側面61bと、を有している。本実施形態のバックドアストッパ1は、後面61aの車両上下方向の中間部に取り付けられている。
【0015】
バックドアストッパ1は、バックピラーアウタパネル61の後面61aから車両後方に突出し、車両上下方向に延びる部材であり、樹脂材料により形成されている。バックドアストッパ1は、ストッパ本体1aと、上側フランジ2aと、下側フランジ2bとを有している。ストッパ本体1aは、車両上下方向に延びる角柱状であり、略台形の横断面を有している。当該ストッパ本体1aは、車両前方を臨む前壁面部2と、車幅方向外側を臨む外壁面部4と、複数の段差形状部と、を有している。また、ストッパ本体1aには、車両上下方向に貫通する複数の貫通孔(穴部)16~56が設けられている。
【0016】
前壁面部2は、車両上下方向に延びる略四角形状の平面を有しており、バックピラーアウタパネル61の後面61aに当接している。前壁面部2には、上側フランジ2a及び下側フランジ2bが設けられている。
【0017】
上側フランジ2aは、前壁面部2の上端から車両上方に延びている板状で、ストッパ本体1aに一体的に形成されている。下側フランジ2bは、前壁面部2の下端から車両下方に延びている板状で、上側フランジ2aと同様に、ストッパ本体1aに一体的に形成されている。
【0018】
上側フランジ2a及び下側フランジ2bのそれぞれには、ボルト等の締結部材(図示せず)が貫通する取付孔2a1,2b1が設けられている。上側フランジ2a及び下側フランジ2bは、バックピラーアウタパネル61の後面61aに設けられた締結用孔(図示せず)に締結部材を貫通させて、当該後面61aに接合されている。
【0019】
外壁面部4は、該前壁面部2の車幅方向外側部から車両後方に延びており、前壁面部2と外壁面部4とは、互いに直交している。また、バックドアストッパ1の上側フランジ2a及び下側フランジ2bがバックピラーアウタパネル61の後面61aに取り付けられているとき、外壁面部4は、バックピラーアウタパネル61の側面61bに対向している。
【0020】
複数の段差形状部は、ストッパ本体1aの車幅方向内側部に設けられている。本実施形態では、図3及び図4に示すように、5段の段差形状部(第1の段差形状部11、第2の段差形状部21、第3の段差形状部31、第4の段差形状部41及び第5の段差形状部51)が設けられている。第1~第5の段差形状部11~55は、車両後方に向かうに従い車幅方向外側に配置されている。以下、第1~第5の段差形状部11~55について、順に説明する。
【0021】
第1の段差形状部11は、第1側面部13と第1後面部12により構成されている。第1側面部13は、前壁面部2の車幅方向内側端から車両後方に延びており、前壁面部2と第1側面部13とは互いに直交している。また、第1側面部13と外壁面部4は互いに平行で、第1側面部13の後端は、外側壁部の後端よりも車両前方に配置されている。
【0022】
第1後面部12は、第1側面部13の後端部から車幅方向外側に延びている。第1側面部13と第1後面部12とにより構成される角部には、第1傾斜面部14が設けられている。
【0023】
第2の段差形状部21は、第2側面部23と第2後面部22により構成されている。第2側面部23は、第1後面部12の車幅方向外側端から車両後方に延びており、第2側面部23と第1後面部12は互いに直交している。第2後面部22は、第2側面部23の後端から車幅方向外側に延びている。第2側面部23と第2後面部22とにより構成される角部には、第2傾斜面部24が設けられている。
【0024】
第3の段差形状部31は、第2の段差形状部21と同様に、第3側面部33と第3後面部32により構成されている。第3側面部33は、第2後面部22の車幅方向外側端から車両後方に延びており、第3側面部33と第2後面部22は互いに直交している。第3後面部32は、第3側面部33の後端から車幅方向外側に延びている。第3側面部33と第3後面部32とにより構成される角部には第3傾斜面部34が設けられている。
【0025】
第4の段差形状部41は、第2及び第3の段差形状部31と同様に、第4側面部43と第4後面部42により構成されている。第4側面部43は、第3後面部32の車幅方向外側端から車両後方に延びており、第4側面部43と第3後面部32は互いに直交している。第4後面部42は、第4側面部43の後端から車幅方向外側に延びている。第4側面部43と第4後面部42とにより構成される角部には第4傾斜面部44が設けられている。
【0026】
第5の段差形状部51は、第5側面部53と第5後面部52により構成されている。第5側面部53は、第4後面部42の車幅方向外側端から車両後方に延びており、第5側面部53と第4後面部42は互いに直交している。第5後面部52は、第5側面部53の後端から車幅方向外側に延び、ストッパ本体1aの最後部に配置されている。第5側面部53と第5後面部52とにより構成される角部には第5傾斜面部54が設けられている。
【0027】
第1側面部13の車両前後方向長さは、第2側面部23の前後方向長さよりも長い。また、第3側面部33、第4側面部43及び第5側面部53のそれぞれの車幅方向長さは、第2側面部23の車両前後方向長さとほぼ同じに設定されている。第5後面部52の車幅方向長さは、第4後面部42の車幅方向長さよりも長い。第1後面部12、第2後面部22及び第3後面部32のそれぞれの車幅方向長さは、第4後面部42とほぼ同じに設定されている。
【0028】
上記のように第1~第5の段差形状部11~55を配置することにより、ストッパ部材の車幅方向内側部は、第1の段差形状部11から、第5の段差形状部51に向かって、車両後方且つ車幅方向外側に向かうように構成されている。本実施形態では、上記したように、略台形の横断面を有している。第1の段差形状部11から第5の段差形状部51に向かう方向を略直線とみなしたときに、この略直線と、前壁面部2と、互いに平行な第1側面部13及び外壁面部4とにより、略台形を構成する。
【0029】
続いて、貫通孔について説明する。本実施形態では、第1~第5の貫通孔16~56が設けられている。第1~第5の貫通孔16~56は、それぞれ車両上下方向に貫通しており、第1~第5の段差形状部11~55の車幅方向外側に対応する位置に配置されている。
【0030】
第1の貫通孔16は、第1側面部13の車幅方向外側に隣接して配置されている。第1の貫通孔16の前部は、前壁面部2に平行に車幅方向に延びている。第1の貫通孔16の車幅方向内側部は、第1側面部13に平行に車両前後方向に延びている。また、第1の貫通孔16は、第1傾斜面部14に対応する傾斜部を有している。
【0031】
第2貫通孔は、第1の貫通孔16と同様に、第2側面部23の車幅方向外側に隣接して配置されている。第1の貫通孔16と第2の貫通孔26との境界は、第1縦壁部18を有している。第1縦壁部18は、第1の貫通孔16と第2の貫通孔26の間に配置され、車幅方向に延び、且つ車両上下方向に延びている。
【0032】
第3及び第4の貫通孔36,46のそれぞれは、第2の貫通孔26と同様に、第3側面部33及び第4側面部43のそれぞれの車幅方向外側に隣接して配置されている。また、第2の貫通孔26と第3の貫通孔36との境界には、第2縦壁部28が設けられ、第3の貫通孔36と第4の貫通孔46との境界には、第3縦壁部38が設けられている。第2縦壁部28及び第3縦壁部38は、第1縦壁部18と同様に構成されている。
【0033】
また、第5の貫通孔56は、第5側面部53の車幅方向外側に隣接して配置されている。第5の貫通孔56の後部は、第5後面部52に平行に車幅方向に延びている。第5の貫通孔56の車幅方向内側部は、第5側面部53に平行に車両前後方向に延びている。第5の貫通孔56の後側内壁と第5後面部52との間の肉厚は、第1の貫通孔16と第1後面部12との間の肉厚よりも厚い。
【0034】
上記のように構成されたバックドアストッパ1を、バックドア開口部60の側部に位置するバックピラーアウタパネル61の後面61aに取り付けた状態で、バックドアを閉じるとき、バックドアの側部は、バックドアストッパ1を押圧する。
【0035】
詳細には、バックドアの側部は、バックドアストッパ1の特に複数の段差形状部を有する部分(車幅方向内側部)を、押圧する。このとき、バックドアストッパ1には、車両前後方向及び車幅方向の荷重が作用する。バックドアストッパ1は、車両前後方向の荷重が作用すると、第1縦壁部18、第2縦壁部28、第3縦壁部38及び第4縦壁部48が、車両前方または車両後方に湾曲して撓む。このため、第1~第5の貫通孔16~56を設けない場合に比べて、すなわち、第1縦壁部18、第2縦壁部28、第3縦壁部38及び第4縦壁部48を有しない場合に比べて、車両前後方向のばね定数は低くなる。本実施形態では、ストッパ本体1aのばね定数に最も寄与する部分は、外壁面部4となる。
【0036】
一方、バックドアストッパ1に車幅方向の荷重が作用して、車幅方向に変形しようとするとき、当該変形を阻害する力(抗力)は、第1縦壁部18、第2縦壁部28、第3縦壁部38及び第4縦壁部48によってもたらされる。すなわち、これらの第1縦壁部18等が、いわゆる、つっかえ棒として機能する。さらに、前壁面部2と第5後面部52も、車幅方向の変形を阻害する力をもたらす。そのため、ストッパ本体1aの車幅方向のばね定数は、車両前後方向のばね定数に対して、大きく設定される。
【0037】
このようにバックドアストッパ1を構成することにより、車両前後方向のばね定数を低くして車両前後方向の振動によるこもり音を抑制し、車幅方向のばね定数を高くしてバックドアの横揺れを抑制することが可能となる。
【0038】
また、第1~第5の段差形状部11~55に傾斜部を設けているので、当該傾斜部でバックドアの側部を受けることができる。第1~第5の段差形状部11~55の角部でバックドアの側部を受ける場合に比べて、荷重が分散されやすくなる。その結果、バックドアストッパ1に作用する負荷が分散され、バックドアストッパ1の損耗を抑制できる。
【0039】
[第2の実施形態]
続いて、本発明に係る第2の実施形態について、図5を参照しながら説明する。本実施形態は、第1の実施形態(図1図4)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0040】
本実施形態では、図5に示すように、車両前後方向に並んで配置される第1の貫通孔16と第2の貫通孔26との間を連通する第1連通部19が設けられている。第1連通部19は、第1の実施形態で説明した第1縦壁部18に相当する部分が、空間になっている。
【0041】
また、第2の貫通孔26と第3の貫通孔36との間には、第2連通部29が設けられている。同様に、第3の貫通孔36と第4の貫通孔46との間には、第3連通部39が設けられ、第4の貫通孔46と第5の貫通孔56との間には、第4連通部49が設けられている。
【0042】
本実施形態では、第1連通部19は、第1の貫通孔16の車幅方向内側部と第2の貫通孔26の車幅方向外側部とを連通している。第2連通部29は、第2の貫通孔26の車幅方向内側部と第3の貫通孔36の車幅方向外側部とを連通している。第3連通部39は、第3の貫通孔36の車幅方向内側部と第4の貫通孔46の車幅方向外側部とを連通している。また、第4連通部49は、第4の貫通孔46の車幅方向内側部と第5の貫通孔56の車幅方向外側部とを連通している。
【0043】
上記のように構成されたバックドアストッパ1を、バックドア開口部60の側部に位置するバックピラーアウタパネル61の後面61aに取り付けた状態で、バックドアを閉じるとき、バックドアの側部は、バックドアストッパ1を押圧する。このとき、バックドアストッパ1には、第1の実施形態と同様に、車両前後方向及び車幅方向の荷重が作用する。
【0044】
バックドアストッパ1は、車両前後方向の荷重が作用すると、第1側面部13等が車幅方向外側に変形し、第1側面部13の内側は、外側壁部の車幅方向内側を押圧する。このとき、第1側面部13は、第1連通部19の領域では容易に変形し、その後、外側壁部の車幅方向外側で抗力を受ける。第2側面部23、第3側面部33、第4側面部43及び第5側面部53は、第1側面部13と同様に変形する。
【0045】
第1の実施形態に比べて、第1連通部19の車幅方向幅寸法の分だけ車幅方向に容易に変形可能になる。すなわち、第1連通部19等を設けることにより、車幅方向のばね定数を調整することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、車両前後方向に並んで配置されている貫通孔の間の全てに、連通部が設けられているがこれに限らない。車幅方向のばね定数を調整するために、車両前後方向のほぼ中央に位置する第3連通部39のみを設けてもよい。
【0047】
第2の貫通孔26の車両前後方向長さ(図3の車両前後方向寸法b)は、第1連通部19の車幅方向長さ(図3の車幅方向寸法a)よりも長い。このよう、車幅方向寸法aを車両前後方向寸法bよりも短くすることで、第1側面部13が車幅方向に変形しやすい領域(第1連通部19)よりも、第2後面部22が車両前方に変形しやすい領域(第2の貫通孔26)の方が大きくなる。その結果、ストッパ本体1aの車幅方向のばね定数は、車両前後方向のばね定数に対して、大きく設定される。
【0048】
[その他の実施形態]
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、第2の実施形態では、車両前後方向に並んで配置されている貫通孔の間の全てに、連通部が設けられているがこれに限らない。第1の実施形態の特徴と第2の実施形態の特徴を組み合わせもよい。第2の実施形態において、車幅方向のばね定数を調整するために、第1の実施形態で説明した第1縦壁部18、第2縦壁部28及び第4縦壁部48と、車両前後方向のほぼ中央に位置する第3連通部39と、を設けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、段差形状部の上下には、例えば第1側面部13と第1後面部12とを繋ぐ上壁と下壁が設けられているが、これに限らない。当該上壁及び下壁はなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 バックドアストッパ
1a ストッパ本体
2 前壁面部
2a 上側フランジ
2b 下側フランジ
4 外壁面部
11 第1の段差形状部
12 第1後面部
13 第1側面部
14 第1傾斜面部
16 第1の貫通孔
18 第1縦壁部
19 第1連通部
21 第2の段差形状部
22 第2後面部
23 第2側面部
24 第2傾斜面部
26 第2の貫通孔
28 第2縦壁部
29 第2連通部
31 第3の段差形状部
32 第3後面部
33 第3側面部
34 第3傾斜面部
36 第3の貫通孔
38 第3縦壁部
39 第3連通部
41 第4の段差形状部
42 第4後面部
43 第4側面部
44 第4傾斜面部
46 第4の貫通孔
48 第4縦壁部
49 第4連通部
51 第5の段差形状部
52 第5後面部
53 第5側面部
54 第5傾斜面部
56 第5の貫通孔
60 バックドア開口部
61 バックピラーアウタパネル
61a 後面
61b 側面

図1
図2
図3
図4
図5