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特許7109010検出装置、プログラム、及び検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】検出装置、プログラム、及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20220722BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20220722BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20220722BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61B5/0245 100B
A61B5/02 A
A61B5/022 100
A61B5/02 310B
A61B5/1455
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020530885
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2019007074
(87)【国際公開番号】W WO2020017083
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2018134399
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509352897
【氏名又は名称】ジーニアルライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】下北 良
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0127721(US,A1)
【文献】特開2015-192742(JP,A)
【文献】特開2016-016144(JP,A)
【文献】特開2016-189924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長を有する第1光を発光可能な第1発光部と、
前記第1発光部が発光した前記第1光の反射光を受光可能であり、受光した光に応じた受光信号を出力する受光部と、
少なくとも一部に透光性を有し、前記第1発光部及び前記受光部を覆う測定面と、
前記第1発光部が発光している間、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定し、当該生体情報に基づいて、前記測定面に人体が接触したか判定する制御部と、
前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光を発光可能な第2発光部と、
を備え
前記受光部は、前記第2発光部が発光した前記第2光の反射光を受光可能であり、
前記測定面は、前記第2発光部を覆っており、
前記制御部は、前記測定面に前記人体が接触したと判定した場合、前記第2発光部を発光させ、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定する、検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記生体情報が所定の範囲外である場合、前記測定面に前記人体が接触していないと判定する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記生体情報は、脈拍間隔、血圧、及び血管年齢の少なくとも1つを含む
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1光は、不可視光である
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1発光部が発光している間、前記受光部が受光した光の交流振幅を測定し、当該交流振幅が閾値未満である場合、前記測定面に前記人体が接触していないと判定する
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2光は、可視光である
請求項に記載の検出装置。
【請求項7】
第1波長を有する第1光を発光可能な第1発光部と、
前記第1発光部が発光した前記第1光の反射光を受光可能であり、受光した光に応じた受光信号を出力する受光部と、
透光性を有し、前記第1発光部及び前記受光部を覆う測定面と、
制御部と、
前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光を発光可能な第2発光部と、
を備えた検出装置において、
前記受光部は、前記第2発光部が発光した前記第2光の反射光を受光可能であり、
前記測定面は、前記第2発光部を覆っており、
前記制御部に、
前記第1発光部が発光している間、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定し、当該生体情報に基づいて、前記測定面に人体が接触したか判定し、前記測定面に前記人体が接触したと判定した場合、前記第2発光部を発光させ、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定するステップを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
ネットワークを介して接続されたセンサ及び情報処理装置を備えた生体検出システムであって、
前記センサは、
第1波長を有する第1光を発光可能な第1発光部と、
前記第1発光部が発光した前記第1光の反射光を受光可能であり、受光した光に応じた受光信号を出力する受光部と、
透光性を有し、前記第1発光部及び前記受光部を覆う測定面と、
前記受光信号を前記情報処理装置に送信する通信部と、
前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光を発光可能な第2発光部と、
を備え、
前記受光部は、前記第2発光部が発光した前記第2光の反射光を受光可能であり、
前記測定面は、前記第2発光部を覆っており、
前記情報処理装置は、前記第1発光部が発光している間、前記センサから受信した前記受光信号に基づいて、前記測定面に人体が接触したか判定し、前記測定面に前記人体が接触したと判定した場合、前記第2発光部を発光させ、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定する、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、プログラム、及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射光を利用して人体の接触を検出する装置が知られている。このような装置として、第1の波長の光を発光する第1の発光手段と、第1の波長とは異なる第2の波長の光を発光する第2の発光手段と、第1及び第2の波長の光の反射光に基づいて、接触した物体が人体であるか判断する判断手段と、を備えた切替装置が提案されている。この切替装置は、第1及び第2の波長の光の反射率に基づいて、接触した物体が人体であるか判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/117006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の切替装置は、外光に第1及び第2の波長の光が含まれる場合、人体が接触していないにもかかわらず、人体が接触したものと誤検出するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、人体の接触を精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る検出装置は、第1波長を有する第1光を発光可能な第1発光部と、前記第1発光部が発光した前記第1光の反射光を受光可能であり、受光した光に応じた受光信号を出力する受光部と、少なくとも一部に透光性を有し、前記第1発光部及び前記受光部を覆う測定面と、前記第1発光部が発光している間、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定し、当該生体情報に基づいて、前記測定面に人体が接触したか判定する制御部と、前記第1波長とは異なる第2波長を有する第2光を発光可能な第2発光部と、を備え、前記受光部は、前記第2発光部が発光した前記第2光の反射光を受光可能であり、前記測定面は、前記第2発光部を覆っており、前記制御部は、前記測定面に前記人体が接触したと判定した場合、前記第2発光部を発光させ、前記受光信号に基づいて、生体情報を測定する
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態によれば、人体の接触を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】生体センサの一例を示す機能ブロック図。
図2】生体センサの一例を示す斜視図。
図3図2の測定面の拡大図。
図4】制御部による処理の概要を示すフローチャート。
図5】制御部による測定対象者の検出処理の一例を示すフローチャート。
図6】検出システムの一例を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
【0010】
一実施形態に係る検出装置について、図1図6を参照して説明する。本実施形態に係る検出装置は、測定面Rに人体が接触したことを検出する装置であり、人体の接触に応じた制御を行う任意の装置に適用できる。このような装置として、人体の接触に応じて、生体情報を測定する生体センサ(生体情報測定装置)や、人体の接触に応じて点灯又は消灯を行う照明器具のスイッチなどが挙げられる。以下では、検出装置が生体センサである場合を例に説明するが、上記の通り、検出装置が適用可能な装置はこれに限られない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る生体センサ1の一例を示す機能ブロック図である。図2は、生体センサ1の一例を示す斜視図である。図3は、図2の点線で囲まれた部分である測定面Rの拡大図である。
【0012】
生体センサ1は、反射光に基づいて生体情報を測定する反射型の生体情報測定装置であり、人体の表面に向き合うように構成された平坦な測定面Rを有している。生体センサ1は、測定面Rに測定対象者(人体)が接触したことを検出すると、当該測定対象者の生体情報を測定し、測定した生体情報を無線通信により外部に送信する。生体センサ1は、例えば、図2に示すように、幅Wが40mm、奥行きDが30mm、高さHが10mmである。
【0013】
生体センサ1は、図1図3に示すように、第1発光部11と、第2発光部12と、駆動回路13と、受光部14と、増幅回路15と、制御部16と、無線通信部17と、基板18と、ケース19と、を備える。基板18は、図3に示すように、第1発光部11、第2発光部12、駆動回路13、受光部14、増幅回路15、制御部16、及び無線通信部17が実装された状態でケース19に収容されている。なお、図3の破線は隠れ線を表している。また、生体センサ1は、電池動作を実現する図示しない電源回路を有している。また、生体センサ1は、3軸のジャイロセンサ、3軸の加速度センサ、肌温度センサ等を有していてもよい。
【0014】
第1発光部11は、第1波長λ1を有する第1光を発光可能な発光ダイオード素子又はレーザ素子である。第1光は、不可視光であり、例えば、近赤外光である。第1波長λ1は、850nm±50nmであるのが好ましく、例えば、850nmであるが、これに限られない。図1図3の例では、生体センサ1は、2つの第1発光部11を備えるが、1つ又は3つ以上の第1発光部11を備えてもよい。
【0015】
第2発光部12は、第1波長λ1とは異なる第2波長λ2を有する第2光を発光可能な発光ダイオード素子又はレーザ素子である。第2光は、可視光であり、例えば、赤色光である。第2波長λ2は、760nm±50nmであるのが好ましく、例えば、760nmであるが、これに限られない。図1図3の例では、生体センサ1は、2つの第2発光部12を備えるが、1つ又は3つ以上の第2発光部12を備えてもよい。
【0016】
なお、第1波長λ1及び第2波長λ2を上記のように設計することにより、受光部14の出力をより大きくしてS/N比を高くすることができる。また、第1発光部11及び第2発光部12は、互いに独立した素子であってもよいし、1つのパッケージに含まれていてもよい。また、第1光及び第2光のいずれも発光可能な1つの発光素子により、第1発光部11及び第2発光部12が構成されてもよい。
【0017】
駆動回路13は、第1発光部11及び第2発光部12をそれぞれ駆動する回路である。すなわち、駆動回路13は、第1発光部11及び第2発光部12に電力を供給し、第1発光部11及び第2発光部12に第1光及び第2光をそれぞれ発光させる。
【0018】
受光部14は、受光した光に応じた信号(受光信号)を出力するフォトダイオード素子又はフォトトランジスタ素子である。受光部14は、第1発光部11及び第2発光部12が発光した第1光及び第2光の反射光を受光可能なように配置される。受光部14は、第1波長λ1の近傍の波長と、第2波長λ2の近傍の波長と、に感度を有するように構成される。図1図3の例では、生体センサ1は、1つの受光部14を備えるが、2つ以上の受光部14を備えてもよい。また、生体センサ1は、第1波長λ1の近傍の波長に感度を有する受光部14と、第2波長λ2の近傍の波長に感度を有する受光部14と、をそれぞれ備えてもよい。
【0019】
増幅回路15は、受光部14が出力した受光信号を増幅する回路である。増幅回路15は、例えば、オペアンプにより構成される。増幅回路15が増幅した受光信号は、制御部16に入力される。
【0020】
本実施形態では、図2に示すように、ケース19の表面に測定面Rが設けられ、測定面Rは、反射部20を含むように構成される。反射部20は、第1発光部11及び第2発光部12から発光された第1光及び第2光を、測定面Rに接触した物体との間で反射させるように構成された部分である。反射部20と物体との間で繰り返し反射された第1光及び第2光の少なくとも一部は、受光部14に受光される。反射部20は、測定面Rの表面に設けられた、金(Au)などを含む金属膜(金メッキ)により構成される。
【0021】
受光部14は、図3に示すように、基板18上で、第1発光部11と第2発光部12との間に挟まれて配置される。そして、反射部20には、第1発光部11及び第2発光部12を露出させる窓部W1と、受光部14を露出させる窓部W2と、が形成される。窓部W1及び窓部W2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透光性を有する材料で形成されている。すなわち、測定面Rは、第1発光部11、第2発光部12、及び受光部14を覆うように配置され、第1発光部11、第2発光部12、及び受光部14を露出させる透光性の窓部W1,W2と、窓部W1,W2の周囲に形成された反射部20と、を有する。
【0022】
測定面Rの近傍に物体が存在しない場合、第1発光部11及び第2発光部12が発光した第1光及び第2光は、窓部W1を通過し、外部に拡散する。受光部14には、窓部W2を通過した外光が入射する。
【0023】
一方、測定面Rに物体が接触している場合、第1発光部11及び第2発光部12が発光した第1光及び第2光の一部は、窓部W1を通過し、測定面Rに接触した物体で反射し、反射部20で反射し、物体と反射部20との間で繰り返し反射した後、窓部W2を通過して受光部14に入射する。測定面Rと物体との間に隙間がある場合には、当該隙間及び窓部W2を通過した外光が受光部14に入射する。
【0024】
制御部16は、駆動回路13を制御することにより、第1発光部11及び第2発光部12の発光を制御すると共に、受光部14が出力した受光信号に基づいて、測定面Rへの測定対象者の接触を検出し、接触した測定対象者の生体情報を測定する回路である。制御部16は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを備えたマイクロコンピュータである。CPUがROMに記憶されたプログラムをRAM上で実行することにより、制御部16の機能が実現される。CPUが実行するプログラムは、CD(Compact Disk)、DVD、フラッシュメモリなどの、コンピュータ読み取り可能な任意の記録媒体に記録され得る。
【0025】
具体的には、制御部16は、駆動回路13にタイミング信号を送信し、第1発光部11及び第2発光部12に第1光及び第2光をそれぞれ発光させる。また、制御部16は、例えば、内蔵のアナログ-デジタル変換回路を用いて、増幅回路15から出力された増幅後の受光信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換後の受光信号に基づいて、測定対象者の検出や、測定対象者の生体情報の測定を行う。制御部16の処理について後述する。
【0026】
無線通信部17は、生体センサ1と外部との無線通信を制御する回路である。無線通信部17は、例えば、無線通信IC(Integrated Circuit)であるが、これに限られない。無線通信部17は、制御部16で測定した生体情報を、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格を用いた通信により外部に送信する。生体センサ1は、生体情報ではなく、生体情報の測定に用いる信号情報を無線通信により外部に送信してもよい。この場合、外部にある機器は、信号情報に基づき生体情報を測定することができる。
【0027】
基板18は、第1発光部11、第2発光部12、駆動回路13、受光部14、増幅回路15、制御部16、及び無線通信部17を保持するように構成される。基板18は、例えば、ガラスエポキシ基板に銅箔で配線パターンが形成されたプリント基板であるが、これに限られない。第1発光部11及び第2発光部12は、図3に示すように、基板18の表面で仮想線L1上に並ぶように配置される。また、受光部14は、仮想線L1に垂直な仮想線L2上に配置される。図3の例では、2つの第1発光部11は、仮想線L2を挟んで対称に配置されている。また、2つの第2発光部12は、仮想線L2を挟んで対称に配置されている。第1発光部11と仮想線L2との間隔D1及び第2発光部12と仮想線L2との間隔D2は、例えば、4~11mmの範囲内である。このように、第1発光部11及び第2発光部12を、仮想線L2(受光部14)を挟んで対称に配置することにより、受光部14に入射する第1光及び第2光を均一化できる。なお、間隔D1,D2は、任意に設計可能である。例えば、図3の例では、間隔D1は間隔D2より大きいが、間隔D1は間隔D2より小さくてもよい。また、第1発光部11ごとに間隔D1が異なってもよい。同様に、第2発光部12ごとに間隔D2が異なってもよい。
【0028】
本実施形態では、第1発光部11、第2発光部12、及び受光部14は、基板18の下面(測定面R側の面)に実装されている。そして、駆動回路13、増幅回路15、制御部16、及び無線通信部17は、基板18の上面に実装されている。但し、駆動回路13、増幅回路15、制御部16、及び無線通信部17のうちの少なくとも1つは、基板18の下面に実装されていてもよい。電源回路についても同様である。
【0029】
次に、制御部16による処理について説明する。図4は、制御部16による処理の概要を示すフローチャートである。制御部16は、図4の処理を所定時間毎に実行する。
【0030】
まず、制御部16は、駆動回路13にタイミング信号を送信し、第1発光部11を点灯させる(ステップS101)。これにより、第1発光部11が第1光を発光する。第1光は、不可視光であるため、第1発光部11が点灯しても、第1光は外部からは見えない。
【0031】
次に、制御部16は、増幅回路15から入力された受光信号の波形に基づいて、測定面Rへの測定対象者の接触を検出する(ステップS102)。測定対象者の検出方法については後述する。
【0032】
制御部16は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出しなかった場合(ステップS102:NO)、処理を終了する。一方、制御部16は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出した場合(ステップS102:YES)、第2発光部12を点灯する(ステップS102)。第2光は可視光であるものの、第2発光部12を覆う測定面Rには測定対象者が接触しているため、第2光は外部からは見えない。
【0033】
制御部16は、第2発光部12を点灯すると、増幅回路15から入力された受光信号に基づいて、測定対象者の生体情報を測定する(ステップS104)。測定対象者が接触している場合、受光部14には測定対象者と反射部20との間で反射を繰り返した第2光が入射するため、受光信号には、測定対象者に照射された第2光に応じた信号が含まれる。したがって、制御部16は、受光信号の周波数、振幅、及び波形などに基づいて、可視光を利用した既存の任意の測定方法により、測定対象者の生体情報を測定することができる。具体的には、制御部16は、測定対象者の血中ヘモグロビン濃度、血中酸素濃度、脈拍数、脈拍間隔、血圧、及び肌温度などを測定することができる。
【0034】
なお、制御部16は、生体情報を測定する際に、第1発光部11を消灯してもよいし、第1発光部11を点灯したままにしてもよい。後者の場合、受光部14には測定対象者と反射部20との間で反射を繰り返した第1光及び第2光が入射するため、受光信号には、測定対象者に照射された第1光及び第2光に応じた信号が含まれる。したがって、制御部16は、受光信号の周波数、振幅、及び波形などに基づいて、可視光及び不可視光を利用した既存の任意の測定方法により、測定対象者の生体情報を測定することができる。
【0035】
その後、制御部16は、第2発光部12を消灯し(ステップS105)、処理を終了する。以上の処理により、制御部16は、第1光による測定対象者の検出を所定時間毎に実行し、測定対象者を検出した場合には、第2光による生体情報の測定を実行することができる。
【0036】
図5は、制御部16による測定対象者の検出処理の一例を示すフローチャートである。図5の検出処理は、図4のステップS102の内部処理に相当する。
【0037】
測定対象者の検出処理が開始されると、まず、制御部16は、受光信号の交流振幅を測定する(ステップS201)。交流振幅は、受光信号に含まれる交流成分の振幅の最大値であってもよいし、平均値であってもよいし、実効値であってもよい。
【0038】
測定面Rに測定対象者が接触していない場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射されないため、受光部14にはほとんど入射しない。すなわち、受光部14に入射する光のほとんどは外光となる。そして、一般に、外光は交流成分が小さい。このため、測定面Rに測定対象者が接触していない場合、受光信号の交流振幅は小さくなると考えられる。
【0039】
これに対して、測定面Rに測定対象者が接触している場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射され、受光部14に入射する。また、外光は、測定対象者に遮られ、受光部14にはほとんど入射しない。そして、測定対象者に反射した第1光は、測定対象者の脈拍により交流成分が大きくなる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触している場合、受光信号の交流振幅は大きくなると考えられる。
【0040】
そこで、制御部16は、受光信号の交流振幅が、予め設定された閾値Ath未満である場合(ステップS202:NO)、測定対象者が測定面Rに接触していないと判定し(ステップS210)、検出処理を終了する。ステップS210の判定は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出しないことに相当するため、検出処理の終了後、図4の処理も終了する。なお、閾値Athは、実験により設定され、制御部16のROMに保存される。
【0041】
一方、制御部16は、受光信号の交流振幅が、予め設定された閾値Ath以上である場合(ステップS202:YES)、測定面Rに測定対象者が接触している可能性があると判定する。
【0042】
次に、制御部16は、生体情報に基づく第1の判定処理を実行する。具体的には、制御部16は、受光信号が測定対象者の脈波に応じた信号であると仮定して、受光信号に基づいて、脈拍間隔を測定する(ステップS203)。脈拍間隔は、脈波のピーク(R波)間隔である。人間の脈拍間隔は、一般に、300ms以上2150ms以下である。制御部16は、受光信号を利用した既存の任意の方法により脈拍間隔を測定できる。
【0043】
測定面Rに測定対象者が接触していない場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射されないため、受光部14にはほとんど入射しない。すなわち、受光部14に入射する光のほとんどは外光となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触していない場合、受光信号に基づいて脈拍間隔を測定しても、当該脈拍間隔は人間の脈拍間隔とはかけ離れた値になる、又は測定できないと考えられる。
【0044】
これに対して、測定面Rに測定対象者が接触している場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射され、受光部14に入射する。また、外光は、測定対象者に遮られ、受光部14にはほとんど入射しない。そして、測定対象者に反射した第1光の波形は、測定対象者の脈波に応じた波形となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触している場合、受光信号に基づいて脈拍間隔を測定すると、当該脈拍間隔は人間の脈拍間隔と一致した値になると考えられる。
【0045】
そこで、制御部16は、受光信号に基づいて測定した脈拍間隔が所定の第1範囲外である場合(ステップS204:NO)、測定対象者が測定面Rに接触していないと判定し(ステップS210)、検出処理を終了する。脈拍間隔が第1範囲外である場合には、脈拍間隔が測定できない場合も含まれる。ステップS210の判定は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出しないことに相当するため、検出処理の終了後、図4の処理も終了する。第1範囲は、例えば、300ms以上2150ms以下の範囲であるが、これに限られない。第1範囲は、制御部16のROMに保存される。
【0046】
一方、制御部16は、受光信号に基づいて測定された脈拍間隔が、予め設定された第1範囲内である場合(ステップS204:YES)、測定面Rに測定対象者が接触している可能性があると判定する。
【0047】
次に、制御部16は、生体情報に基づく第2の判定処理を実行する。具体的には、制御部16は、受光信号が測定対象者の脈波に応じた信号であると仮定して、受光信号に基づいて、血圧を測定する(ステップS205)。制御部16は、受光信号を利用した既存の任意の方法により血圧を測定できる。人間の血圧は、一般に、40mmHg以上255mmHg以下である。
【0048】
測定面Rに測定対象者が接触していない場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射されないため、受光部14にはほとんど入射しない。すなわち、受光部14に入射する光のほとんどは外光となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触していない場合、受光信号に基づいて血圧を測定しても、当該血圧は人間の血圧とはかけ離れた値になる、又は外光は人固有の脈波と波形が異なるため血圧を測定できないと考えられる。
【0049】
これに対して、測定面Rに測定対象者が接触している場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射され、受光部14に入射する。また、外光は、測定対象者に遮られ、受光部14にはほとんど入射しない。そして、測定対象者に反射した第1光の波形は、測定対象者の脈波に応じた波形となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触している場合、受光信号に基づいて血圧を測定すると、当該血圧は人間の血圧と一致した値になると考えられる。
【0050】
そこで、制御部16は、受光信号に基づいて測定した血圧が所定の第2範囲外である場合(ステップS206:NO)、測定対象者が測定面Rに接触していないと判定し(ステップS210)、検出処理を終了する。血圧が第2範囲外である場合には、血圧が測定できない場合も含まれる。ステップS210の判定は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出しないことに相当するため、検出処理の終了後、図4の処理も終了する。第1範囲は、例えば、40mmHg以上255mmHg以下の範囲であるが、これに限られない。第2範囲は、制御部16のROMに保存される。
【0051】
一方、制御部16は、受光信号に基づいて測定された血圧が、予め設定された第2範囲内である場合(ステップS206:YES)、測定面Rに測定対象者が接触している可能性があると判定する。
【0052】
次に、制御部16は、生体情報に基づく第3の判定処理を実行する。具体的には、制御部16は、受光信号が測定対象者の脈波に応じた信号であると仮定して、受光信号に基づいて、血管年齢を測定する(ステップS207)。制御部16は、受光信号を利用した既存の任意の方法により血管年齢を測定できる。人間の血管年齢は、一般に、0歳以上100歳未満である。
【0053】
測定面Rに測定対象者が接触していない場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射されないため、受光部14にはほとんど入射しない。すなわち、受光部14に入射する光のほとんどは外光となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触していない場合、受光信号に基づいて血管年齢を測定しても、当該血管年齢は人間の血管年齢とはかけ離れた値になる、又は外光は人固有の脈波と波形が異なるため血管年齢を測定できないと考えられる。
【0054】
これに対して、測定面Rに測定対象者が接触している場合、第1発光部11が発光した第1光は、測定対象者に反射され、受光部14に入射する。また、外光は、測定対象者に遮られ、受光部14にはほとんど入射しない。そして、測定対象者に反射した第1光の波形は、測定対象者の脈波に応じた波形となる。したがって、測定面Rに測定対象者が接触している場合、受光信号に基づいて血管年齢を測定すると、当該血管年齢は人間の血管年齢と一致した値になると考えられる。
【0055】
そこで、制御部16は、受光信号に基づいて測定した血管年齢が所定の第3範囲外である場合(ステップS208:NO)、測定対象者が測定面Rに接触していないと判定し(ステップS210)、検出処理を終了する。血管年齢が所定の第3範囲外である場合には、血管年齢が測定できない場合も含まれる。ステップS210の判定は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出しないことに相当するため、検出処理の終了後、図4の処理も終了する。第3範囲は、例えば、0歳以上100歳以下の範囲であるが、これに限られない。第3範囲は、制御部16のROMに保存される。
【0056】
一方、制御部16は、受光信号に基づいて測定された血管年齢が、予め設定された第3範囲内である場合(ステップS208:YES)、測定面Rに測定対象者が接触していると判定する(ステップS209)。ステップS209の判定は、測定面Rへの測定対象者の接触を検出したことに相当するため、検出処理の終了後、制御部16は、図4のステップS103の処理を実行する。
【0057】
以上の処理により、制御部16は、第1光による測定対象者の検出を実行することができる。なお、図5の例では、制御部16は、交流振幅による判定処理、第1の判定処理、第2の判定処理、及び第3の判定処理という順番で判定処理を実行したが、判定処理を実行する順番は任意に設計できる。また、制御部16は、第1の判定処理、第2の判定処理、及び第3の判定処理のうち、いずれか1つだけを実行してもよいし、いずれか2つだけを実行してもよい。この場合、制御部16は、実行する判定処理のいずれか1つにおいて、生体情報が所定の範囲外である場合、人体が接触していないと判定し、実行する判定処理の全てにおいて、生体情報が所定の範囲内である場合、人体が接触していると判定すればよい。また、制御部16は、交流振幅による判定処理を省略することも可能である。いずれの場合も、制御部16は、受光信号に基づいて測定した生体情報に基づいて、測定対象者を検出することができる。
【0058】
以上説明した通り、本実施形態によれば、制御部16は、第1発光部11が第1光を発光している間、受光信号に基づいて生体情報を測定し、当該生体情報に基づいて、測定面Rに人体が接触しているか判定する。脈拍間隔、血圧、及び血管年齢などの生体情報は、人間固有の情報であるため、制御部16は、生体情報を利用することにより、測定面Rへの人体の接触を精度よく検出することができる。具体的には、人体以外の物体が測定面Rに接触した場合や、外光の影響により、人体が測定面Rに接触していないにもかかわらず、人体が測定面Rに接触していると判定される誤判定を抑制することができる。
【0059】
また、人体の接触を精度よく検出することにより、人体が確実に測定面Rに接触しているときに、すなわち、外光が受光部14にほぼ入射しないときに、第2光による生体情報の測定が行われるため、生体情報を精度よく測定することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、人体の検出処理は不可視光である第1光により行われ、当該検出処理の間、可視光である第2光は発光されない。したがって、第2光により生体センサ1の周囲の人間に与える眩しさを抑制することができる。また、人体の検出処理に要する電力を抑制することができる。
【0061】
なお、本実施形態において、人体の検出方法は、上記の例に限られない。例えば、制御部16は、脈波の波形を機械学習し、機械学習により得られた波形モデルに基づいて、受光信号の波形が脈波の波形であるか判定することにより、人体を検出してもよい。機械学習方法として、サポートベクターマシンなどの既存の任意の方法を利用できる。
【0062】
また、以上では、生体センサ1の制御部16が人体の検出や生体情報の測定を行ったが、人体の検出や生体情報の測定は、生体センサ1の外部にある機器で行ってもよい。
【0063】
ここで、図6は、本実施形態に係る検出システム100の一例を示す機能ブロック図である。図6の検出システム100は、無線通信可能な生体センサ1及び情報処理装置2を備える。生体センサ1の構成は上述の通りである。ただし、図6の例では、制御部16は、人体の検出や生体情報の測定を行わない。また、無線通信部17は、受光信号を無線で情報処理装置2に送信する。
【0064】
情報処理装置2は、生体センサ1と通信可能な任意のコンピュータである。情報処理装置2は、例えば、マイクロコンピュータ、サーバ、PC(Personal Computer)、スマートフォン、又はタブレット端末であるが、これに限られない。図6の例では、情報処理装置2は、生体センサ1と無線により通信可能であるが、有線により通信可能であってもよい。また、生体センサ1及び情報処理装置2は、インターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。情報処理装置2は、生体センサ1から受信した受光信号に基づいて、人体の検出や生体情報の測定を実行する。人体の検出方法及び生体情報の測定方法については、上述の通りである。
【0065】
情報処理装置2が受光信号に基づいて生体情報を測定し、当該生体情報に基づいて、人体の接触を検出することにより、上述の効果が得られる。また、図6の構成により、生体センサ1の計算量を抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0067】
また、本国際出願は、2018年7月17日に出願した日本国特許出願第2018-134399号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0068】
1:生体センサ
2:情報処理装置
11:第1発光部
12:第2発光部
13:駆動回路
14:受光部
15:増幅回路
16:制御部
17:無線通信部
18:基板
19:ケース
20:反射部
100:検出システム
R:測定面
W1,W2:窓部
L1,L2:仮想線
D1,D2:間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6