(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】二酸化炭素の水素還元用触媒とその製造方法、二酸化炭素の水素還元方法および二酸化炭素の水素還元装置
(51)【国際特許分類】
B01J 23/46 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B01J23/46 301M
(21)【出願番号】P 2017172457
(22)【出願日】2017-09-07
【審査請求日】2020-06-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人科学技術振興機構 平成26年度戦略創造研究推進事業(CREST)「再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出」委託研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】島 明日香
(72)【発明者】
【氏名】曽根 理嗣
(72)【発明者】
【氏名】オマール メンドーサ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
(72)【発明者】
【氏名】井上 光浩
【審査官】松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104148065(CN,A)
【文献】米国特許第04847231(US,A)
【文献】特開平07-116516(JP,A)
【文献】特開2013-063405(JP,A)
【文献】特開2005-264297(JP,A)
【文献】特開2009-131835(JP,A)
【文献】Jinghua Xu, et al.,CO2 methanation over TiO2-Al2O3 binary oxides supported Ru catalysts,Chinese Journal of Chemical Engineering,2015年07月06日,24,140-145
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/46,37/02
C07C 1/12,9/04
C07B 61/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体に、触媒金属ナノ粒子と前記触媒金属ナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物とがそれぞれ分散担持されてい
て、
前記触媒金属ナノ粒子および前記金属酸化物が、金属と金属酸化物とを含むターゲットを用い、前記担体を転動させながら、スパッタリングを行うことにより得られたものであ
る、二酸化炭素の水素還元用触媒。
【請求項2】
前記触媒金属ナノ粒子が、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Ir及びPtからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含むナノ粒子である、請求項1に記載の二酸化炭素の水素還元用触媒。
【請求項3】
前記金属酸化物が、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物である、請求項1または2に記載の二酸化炭素の水素還元用触媒。
【請求項4】
前記担体が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二ニオブ、酸化アルミニウム、ゼオライト及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種の無機材料を含む粒状物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の二酸化炭素の水素還元用触媒。
【請求項5】
金属を含むターゲットと前記金属を含むナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物を含むターゲットとを用い、担体を転動させながら、スパッタリングを行って、前記担体の表面に、前記金属を含むナノ粒子と前記金属酸化物とを分散担持させる、二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の二酸化炭素の水素還元用触媒に、二酸化炭素と水素を含有するガスを接触させる工程を備える、二酸化炭素の水素還元方法。
【請求項7】
前記二酸化炭素の水素還元用触媒に、前記二酸化炭素と水素を含有するガスを50℃以上150℃以下の温度で接触させる、請求項
6に記載の二酸化炭素の水素還元方法。
【請求項8】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の二酸化炭素の水素還元用触媒が充填された反応管を備える、二酸化炭素の水素還元装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の水素還元用触媒とその製造方法に関する。本発明はまた、二酸化炭素の水素還元方法および二酸化炭素の水素還元装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーの用途拡大が期待される中で、再生可能エネルギーを使用して貯蔵、輸送が可能なエネルギーキャリアを生成する技術が盛んに検討されている。例えば、再生可能エネルギーを使用して水を電気分解して水素を生成させ、これを熱エネルギー源あるいは燃料電池の燃料として活用することが検討されている。また、水素をメタンあるいはアンモニアに転換して活用することも検討されている。特に、メタンは、天然ガスの主成分であり、既存のインフラを利用できるという利点があることから、エネルギーキャリアとしての活用が期待されている。
【0003】
水素をメタンに転換する手法として、サバチエ反応が知られている。このサバチエ反応は、水素と二酸化炭素とを触媒反応させて、メタンと水とを生成させる手法である。サバチエ反応は、350℃の温度で二酸化炭素の水素による還元率が100%近くに達する反応であり、高効率で二酸化炭素を水素還元できる。また、サバチエ反応は発熱を伴う自律反応であり、外部からの熱エネルギー等の供給なしに反応を持続することが可能である。
【0004】
サバチエ反応用の触媒として、特許文献1には、粉末状の担体に、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Ir及びPtからなる群から選択される少なくとも一種の触媒金属ナノ粒子を分散担持させた二酸化炭素の水素還元用触媒が開示されている。この特許文献1に開示されている水素還元用触媒で担体に担持されている触媒金属ナノ粒子は、90%以上が粒径10nmの微粒子とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている微細な金属ナノ粒子を担持させた二酸化炭素の水素還元用触媒は活性が高く、これを用いることによって、低い反応温度で二酸化炭素を効率よく水素還元することが可能となる。しかしながら、本発明の発明者の検討によると、金属ナノ粒子のみを担持させた二酸化炭素の水素還元用触媒を用いて、長時間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施すると、水素還元効率が低下し易くなる傾向があることが判明した。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施しても水素還元効率が低下しにくい二酸化炭素の水素還元用触媒とその製造方法、二酸化炭素の水素還元方法および二酸化炭素の水素還元装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の二酸化炭素の水素還元用触媒は、担体に、触媒金属ナノ粒子と前記触媒金属ナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物とがそれぞれ分散担持されていて、前記触媒金属ナノ粒子および前記金属酸化物が、金属と金属酸化物とを含むターゲットを用い、前記担体を転動させながら、スパッタリングを行うことにより得られたものであることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る二酸化炭素の水素還元用触媒においては、前記触媒金属ナノ粒子が、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Ir及びPtからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含むナノ粒子であってもよい。
【0010】
また、本発明に係る二酸化炭素の水素還元用触媒においては、前記金属酸化物が、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を含むナノ粒子であってもよい。
【0011】
また、本発明に係る二酸化炭素の水素還元用触媒においては、前記担体が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二ニオブ、酸化アルミニウム、ゼオライト及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種の無機材料を含む粒状物であってもよい。
【0012】
本発明の二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法は、金属を含むターゲットと前記金属を含むナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物を含むターゲットとを用い、担体を転動させながら、スパッタリングを行って、前記担体の表面に、前記金属を含むナノ粒子と前記金属酸化物を含むナノ粒子とを分散担持させることを特徴としている。
【0013】
本発明の二酸化炭素の水素還元方法は、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒に、二酸化炭素と水素を含有するガスを接触させる工程を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る二酸化炭素の水素還元方法においては、前記二酸化炭素の水素還元用触媒に、前記二酸化炭素と水素を含有するガスを50℃以上150℃以下の温度で接触させてもよい。
【0015】
本発明の二酸化炭素の水素還元装置は、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒が充填された反応管を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施しても、触媒性能が維持され、水素還元効率が低下しにくい二酸化炭素の水素還元用触媒とその製造方法、二酸化炭素の水素還元方法および二酸化炭素の水素還元装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る二酸化炭素の水素還元用触媒の構造を概略的に示す外観図である。
【
図2】本実施形態に係る二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法で用いることができる多角バレルスパッタ装置の概略を示す構成図である。
【
図3】
図2の多角バレルスパッタ装置のターゲットホルダーの平面図である。
【
図4】本実施形態に係る二酸化炭素の水素還元装置の断面図である。
【
図5】(a)は、実施例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-TiO
2/TiO
2)の製造直後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-TiO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
【
図6】(a)は、実施例2で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-ZrO
2/TiO
2)の製造直後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-ZrO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
【
図7】(a)は、比較例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru/TiO
2)の製造直後のTEM写真であり、(b)は、そのRu/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
【
図8】実施例1、2および比較例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒の二酸化炭素還元率の温度依存性を評価した結果を示すグラフである。
【
図9】(a)は、実施例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-TiO
2/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-TiO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である
。
【
図10】(a)は、実施例2で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-ZrO
2/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-ZrO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
【
図11】(a)は、比較例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の二酸化炭素の水素還元用触媒とその製造方法、二酸化炭素の水素還元方法および二酸化炭素の水素還元装置の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を理解し易くするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。
また、本発明は、以下の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。
【0019】
[二酸化炭素の水素還元用触媒]
本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒は、サバチエ反応を利用して、水素と二酸化炭素とを反応させて、メタンを生成させる際に利用されるものである。サバチエ反応による二酸化炭素の水素還元反応の反応過程は、次のように考えられる。
【0020】
先ず、下記の反応式(1)に示すように、触媒金属(Me)に二酸化炭素が吸着した二酸化炭素付加体(Me-CO2ad)が生成する。この二酸化炭素付加体が水素で還元されることによって、一酸化炭素付加体(Me-COad)と酸素付加体(Me-Oad)とに変化する。
【0021】
【0022】
一酸化炭素付加体(Me-COad)は水素で還元されると、下記の反応式(2)に示すように、最初にアルデヒド付加体(Me-CHOad)に変化する。そして、このアルデヒド付加体はさらに水素で還元されるとメチル付加体(Me-CH3ad)に変化し、そして最後にメタンが生成する。一方、酸素付加体は水素で還元されると、水が生成する。
【0023】
【0024】
サバチエ反応では、触媒金属は微粒子であるほど、活性が高くなる。従って、触媒金属のナノ粒子を用いることによって、低い反応温度で二酸化炭素を効率よく水素還元することが可能となる。しかしながら、本発明者の検討によると、触媒金属ナノ粒子を用いて二酸化炭素の水素還元反応を実施すると、触媒金属ナノ粒子が凝集し、粒成長することによって、水素還元効率が低下し易くなることが判明した。このため、本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒では、担体に、触媒金属ナノ粒子と共に、触媒金属ナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物を分散担持させている。
【0025】
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素の水素還元用触媒の構造を概略的に示す外観図である。
図1に示すように、二酸化炭素の水素還元用触媒1は、担体2に、触媒金属ナノ粒子3と、金属酸化物4とが分散担持された構造とされている。なお、
図1では、金属酸化物4は、ナノ粒子として分散されている。
【0026】
担体2としては、特に限定されないが、無機材料を含む粒状物を用いることができる。担体2は、例えば、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二ニオブ、酸化アルミニウム、ゼオライト及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種の無機材料を含む粒状物である。
【0027】
担体2の形状は、
図1では球状とされているが、特に制限はなく、例えば、多面体状、不定形、薄片状、鱗片状であってもよい。また、担体2の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上30μm以下の範囲である。
【0028】
触媒金属ナノ粒子3は、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Ir及びPtからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含むナノ粒子である。触媒金属ナノ粒子3は、触媒機能を損なわない範囲で金属酸化物を含有していてもよい。
【0029】
触媒金属ナノ粒子3の平均粒子径は、例えば1nm以上10nm以下の範囲であり、好ましくは1nm以上5nm以下の範囲であり、特に好ましくは1nm以上3nm以下の範囲である。触媒金属ナノ粒子3の平均粒子径が大きくなりすぎると、触媒としての活性が低くなるおそれがある。一方、触媒金属ナノ粒子3の平均粒子径が小さくなりすぎると、二酸化炭素の水素還元反応時において粒成長し易くなるおそれがある。
【0030】
金属酸化物4は、触媒金属ナノ粒子3の粒成長を抑制する機能を有する。触媒金属ナノ粒子3と金属酸化物4とが分散担持されることによって、触媒金属ナノ粒子3の粒成長が抑制される。なお、分散担持とは、
図1に示すように、触媒金属ナノ粒子3と金属酸化物4とがそれぞれ凝集体を形成せずに、担体2の表面に分散されていることを意味する。なお、触媒金属ナノ粒子3と金属酸化物4とが分散担持されていることは、透過型電子顕微鏡(TEM)による表面観察によって確認することができる。
【0031】
金属酸化物4は、水素存在下での加熱によって変化しにくく、耐還元性が高い金属酸化物から形成される。金属酸化物4は、例えば、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を含む。金属酸化物4は、耐還元性を損なわない範囲で触媒金属を含有していてもよい。なお、
図1において、金属酸化物4は、触媒金属ナノ粒子3と同様の粒径で記載されているが、金属酸化物4は、触媒金属ナノ粒子3の粒成長を抑制できるように担持されていれば、その粒径には特に制限はない。また、金属酸化物4は、例えば、粒子状あってもよいし、不定形状であってもよい。
【0032】
担体2に分散担持されている金属酸化物4の量は、触媒金属ナノ粒子3の質量に対して5質量%以上50質量%以下の範囲にあることが好ましい。金属酸化物4の量がこの範囲にあると、触媒金属ナノ粒子3の有する触媒機能と、金属酸化物4が有する触媒金属ナノ粒子3の粒成長抑制機能とがバランスよく発揮され、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施しても水素還元効率が低下しにくくなる傾向がある。
【0033】
以上のような構成とされた本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒1によれば、担体2に、触媒金属ナノ粒子3と触媒金属ナノ粒子の粒成長を抑制するための金属酸化物4とが分散担持されているので、二酸化炭素の水素還元反応時に触媒金属ナノ粒子3が粒成長しにくくなる。このため、本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒1を用いることによって、長期間にわたって二酸化炭素の水素還元反応を実施しても触媒性能が維持され、水素還元効率が低下しにくくなる。
【0034】
[二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法]
本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法は、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒1を製造する方法である。本実施形態の製造方法では、金属と金属酸化物とを含むターゲットを用い、担体を転動させながら、スパッタリングを行って、その担体の表面に、金属を含むナノ粒子と金属酸化物を含むナノ粒子とを分散担持させる。
【0035】
金属は、二酸化炭素の水素還元用触媒1の触媒金属ナノ粒子3の原料となる金属である。金属は、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Ir、Ptである。これらの金属は、二種以上を組み合わせて使用してもよいが、一種を単独で使用することが好ましい。
【0036】
金属酸化物は、二酸化炭素の水素還元用触媒1の金属酸化物4の原料となる金属酸化物である。金属酸化物は、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムである。これらの金属酸化物は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
担体は、二酸化炭素の水素還元用触媒1の担体2の原料となるものである。担体は、例えば、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二ニオブ、ゼオライト、リン酸カルシウムを含む粒状物である。これらの粒状物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本実施形態の製造方法では、上記の金属と金属酸化物とを含むターゲットを用い、担体を転動させながら、スパッタリングを行う。担体を転動させながら、スパッタリングを行う装置としては、例えば、多角バレルスパッタ装置を用いることができる。
【0039】
図2は、本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法で用いることができる多角バレルスパッタ装置の概略を示す構成図であり、
図3は、
図2の多角バレルスパッタ装置のターゲットホルダー13の平面図である。
【0040】
図2に示すように、多角バレルスパッタ装置10は、担体2に触媒金属ナノ粒子3と金属酸化物4を分散担持させる真空容器11を有する。真空容器11は円筒部11aと、その内部に設置された断面が八角形の八角型バレル11bとを備えている。円筒部11aの直径は、例えば200mmである。ここで示す断面は、重力方向に対して略平行な断面である。なお、本実施形態では、八角型バレル11bを用いているが、これに限定されるものではなく、断面が八角形以外の多角形のバレルを用いることも可能である。
【0041】
真空容器11には回転機構(図示せず)が設けられている。この回転機構により八角型バレル11bを矢印12の方向に回転又は振り子動作させることによって、八角型バレル11b内の担体2を転動させながらスパッタリングを行うことが可能となる。この回転機構により八角型バレル11bを振り子動作又は回転させる際の回転軸は、ほぼ水平方向(重力方向に対して垂直方向)に平行な軸である。
【0042】
また、真空容器11内には円筒の中心軸上にターゲットホルダー13が配置されている。ターゲットホルダー13は、
図3に示すように、触媒金属ナノ粒子3の原料となる金属を含む金属ターゲット3aと、金属酸化物4の原料となる金属酸化物を含む金属酸化物ターゲット4aとが分割配置されている。金属ターゲット3aと金属酸化物ターゲット4aのスパッタ面の面積比は、例えば1:0.5~1:2の範囲である。なお、本実施形態では、ターゲットホルダー13に、金属ターゲット3aと金属酸化物ターゲット4aとが分割配置されているが、金属と金属酸化物とが一体となったターゲットを用いることも可能である。
【0043】
ターゲットホルダー13は角度を自由に変えられるように構成されている。これにより、八角型バレル11bを振り子動作又は回転させながらスパッタリングを行う際に、金属ターゲット3aと金属酸化物ターゲット4aのスパッタ面を、担体2の位置する方向に向けることができ、それによってスパッタ効率を上げることが可能となる。
【0044】
真空容器11には配管14の一端が接続されており、この配管14の他端には第1バルブ22の一方側が接続されている。第1バルブ22の他方側は配管15の一端が接続されており、配管15の他端は油拡散ポンプ20の吸気側に接続されている。油拡散ポンプ20の排気側は配管16の一端に接続されており、配管16の他端は第2バルブ23の一方側に接続されている。第2バルブ23の他方側は配管17の一端に接続されており、配管17の他端はポンプ(RP)21に接続されている。また、配管14は配管18の一端に接続されており、配管18の他端は第3バルブ24の一方側に接続されている。第3バルブ24の他方側は配管19の一端に接続されており、配管19の他端は配管17に接続されている。
【0045】
本装置は、真空容器11内の担体2を加熱するためのヒータ27を備えている。また、本装置は、真空容器11内の担体2に振動を加えるためのバイブレータ28を備えている。また、本装置は、真空容器11の内部圧力を測定する圧力計29を備えている。また、本装置は、真空容器11内に窒素ガスを導入する窒素ガス導入機構25を備えていると共に真空容器11内にアルゴンガスを導入するアルゴンガス導入機構26を備えている。また、本装置は、ターゲット(金属ターゲット3a、金属酸化物ターゲット4a)と八角型バレル11bとの間に高周波を印加する高周波印加機構(図示せず)を備えている。
【0046】
以上のような構成とされた本実施形態の二酸化炭素の水素還元用触媒の製造方法によれば、ターゲットとして、金属と金属酸化物とを含むターゲットを用いることにより、担体の表面に触媒金属ナノ粒子と金属酸化物とを同時に担持させることができる。このため、微細な触媒金属ナノ粒子と金属酸化物とがそれぞれ高分散担持されている二酸化炭素の水素還元用触媒を製造することが可能となる。従って、本実施形態の製造方法によって製造された二酸化炭素の水素還元用触媒は、水素還元効率が低下しにくくなるだけでなく、触媒金属ナノ粒子の更なる微細化による水素還元反応の反応温度の低温シフトを実現することも可能となる。
【0047】
[二酸化炭素の水素還元方法]
本実施形態の二酸化炭素の水素還元方法は、サバチエ反応を利用して、二酸化炭素を水素還元することによって、メタンと水を生成させる方法である。本実施形態の二酸化炭素の水素還元方法は、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒に、二酸化炭素と水素を含有するガスを接触させる工程を備える。
【0048】
二酸化炭素の水素還元用触媒に、二酸化炭素と水素を含有するガスを接触させる方法としては、例えば、予め二酸化炭素と水素とを混合し、得られた混合ガスを二酸化炭素の水素還元用触媒に接触させる方法、あるいはそれぞれ別の配管から供給された二酸化炭素と水素とをそれぞれ二酸化炭素の水素還元用触媒に接触させる方法を用いることができる。また、二酸化炭素と水素の混合ガスに、二酸化炭素の水素還元用触媒を噴霧する方法を用いることもできる。
【0049】
二酸化炭素の水素還元用触媒に接触させる二酸化炭素と水素を含有するガスは、不活性ガスで希釈されていてもよい。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンを用いることができる。また、二酸化炭素と水素を含有するガスは、室温以上150℃以下の温度であることが好ましい。
【0050】
以上のような構成とされた本実施形態の二酸化炭素の水素還元方法によれば、反応触媒として、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒を使用するので、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施しても触媒性能が維持され、水素還元効率が低下しにくくなる。
【0051】
[二酸化炭素の水素還元装置]
本実施形態の二酸化炭素の水素還元装置は、サバチエ反応を利用して、二酸化炭素を水素還元することによって、メタンと水を生成させるための装置である。本実施形態の二酸化炭素の水素還元装置は、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒が充填された反応管を備える。
【0052】
図4は、本実施形態に係る二酸化炭素の水素還元装置の断面図である。
図4に示すように、二酸化炭素の水素還元装置30は、両端が開口した反応管31と、反応管31に充填されている二酸化炭素の水素還元用触媒1と、反応管31の両端の開口近傍に配置された多孔質体32からなる。
【0053】
反応管31の形状は、特に制限はなく、例えば、円筒形状、楕円筒形状、多角筒形状とすることができる。反応管31の材料は、原料である二酸化炭素や水素および反応生成物であるメタンや水に対して反応性を有しないものであれば、特に制限はない。反応管31の材料としては、例えば、プラスチック、金属、セラミックス、ガラスなどを用いることができる。
【0054】
多孔質体32は、二酸化炭素の水素還元用触媒1を透過させず、二酸化炭素、水素、メタン、水(水蒸気)などの気体を通過させるものである。多孔質体32としては、例えば、金属繊維フィルタ、セラミックフィルタ、ガラスフィルタ、発泡金属、グラスウールを用いることができる。
【0055】
二酸化炭素の水素還元用触媒1は、多孔質基体中に分散付着させた状態で、反応管31に充填してもよい。二酸化炭素の水素還元用触媒1を多孔質基体に分散付着させることによって、反応管31内での気体の流路を確保することができ、気体の圧力損失を低くすることができる。多孔質基体としては、例えば、金属繊維フィルタ、セラミックフィルタ、ガラスフィルタ、発泡金属、グラスウールを用いることができる。
【0056】
また、二酸化炭素の水素還元用触媒1は、多孔質状に成形した状態で反応管31に充填してもよい。二酸化炭素の水素還元用触媒1を多孔質状とすることによって、反応管31内での気体の流路を確保することができ、気体の圧力損失を低くすることができる。多孔質状に成形する方法としては、例えば、プレス法を用いることができる。
【0057】
以上のような構成とされた本実施形態の二酸化炭素の水素還元装置30によれば、反応触媒として、上述の二酸化炭素の水素還元用触媒1が充填されているので、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施しても触媒性能が維持され、水素還元効率が低下しにくくなる。
【実施例】
【0058】
次に、本発明を実施例により説明する。
【0059】
[実施例1]
図2に示す多角バレルスパッタ装置10を用いて、TiO
2粒状物に、Ruナノ粒子とTiO
2ナノ粒子とが分散担持されているRu-TiO
2担持TiO
2粒状物を作製した。
具体的には、まず、多角バレルスパッタ装置10のターゲットホルダー13に、金属ターゲット3aとしてRuターゲットを、金属酸化物ターゲット4aとしてTiO
2ターゲットを配置した。ターゲットホルダー13に配置したRuターゲットとTiO
2ターゲットのスパッタ面の面積比は1:1とした。
【0060】
多角バレルスパッタ装置の八角型バレル11b内に、担体2として3.0gのTiO2粉末を投入した。TiO2粉末は、平均粒子径が0.2μmのものを使用した。
【0061】
次いで、油拡散ポンプ20を用いて八角型バレル11b内を8.0×10-4Pa以下に減圧した。その後、アルゴンガス導入機構26により八角型バレル11b内にArガスを導入して、八角型バレル11b内の圧力を0.8Paとした。そして、回転機構により八角型バレル11bを角度75°、4.3rpmで振り子動作させて、八角型バレル11b内のTiO2粉末を転動させた。その際、ターゲットホルダー13を、RuターゲットとTiO2ターゲットのスパッタ面が下を向くように傾けた。その後、八角型バレル11bを振り子動作させながら、高周波印加機構(RF発振器)に100Wの高周波を4時間印加して、Ru-TiO2担持TiO2粒状物(Ru-TiO2/TiO2)を得た。
【0062】
作製したRu-TiO
2/TiO
2の表面をTEMで観察した。また、TEM写真上で黒点であらわされるRu粒子を100個程度の任意に選択し、拡大写真から実測することでRuナノ粒子の平均粒径を算出した。
Ru-TiO
2/TiO
2のTEM写真を
図5の(a)に、Ruナノ粒子の粒度分布図を(b)に示す。
図5(a)のTEM写真から、Ru-TiO
2/TiO
2の表面に微細なRuナノ粒子が高分散していることが確認された。また、
図5(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子の平均粒子径(132個の粒子の平均値)は1.7nmと非常に微細であった。
【0063】
[実施例2]
多角バレルスパッタ装置10のターゲットホルダー13に、TiO2ターゲットの代わりに、ZrO2ターゲットを用い、ターゲットホルダー13にRuターゲットとZrO2ターゲットとを、スパッタ面の面積比が1:0.5となるように配置した以外は、実施例1と同様にして、TiO2粒状物に、Ruナノ粒子とZrO2ナノ粒子とが分散担持されているRu-ZrO2担持TiO2粒状物(Ru-ZrO2/TiO2)を作製した。
【0064】
作製したRu-ZrO
2/TiO
2のTEM写真を
図6の(a)に、Ruナノ粒子の粒度分布図を(b)に示す。
図6(a)のTEM写真から、Ru-ZrO
2/TiO
2の表面には微細なRuナノ粒子が高分散していることが確認された。また、
図6(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子の平均粒子径(133個の粒子の平均値)は1.3nmと非常に微細であった。
【0065】
[比較例1]
多角バレルスパッタ装置のターゲットホルダーに、TiO2ターゲットを配置せずに、Ruターゲットのみを配置し、高周波印加機構への高周波の印加時間を2時間にしたこと以外は、実施例1と同様にして、TiO2粒状物に、Ruナノ粒子が担持されているRu担持TiO2粒状物(Ru/TiO2)を作製した。
【0066】
作製したRu/TiO
2のTEM写真を
図7の(a)に、Ruナノ粒子の粒度分布図を(b)に示す。
図7(a)のTEM写真から、Ru/TiO
2の表面にはRuナノ粒が高分散していることが確認された。
図7(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子の平均粒子径(132個の粒子の平均値)は2.5nmであり、実施例1、2で作製したものと比較するとやや大きくなった。
【0067】
[評価]
実施例1、2および比較例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒について、二酸化炭素の還元率の温度依存性を測定した。次いで、温度依存測定で使用した二酸化炭素の水素還元用触媒の表面状態を評価した。
【0068】
(温度依存性の測定)
試料の二酸化炭素の水素還元用触媒1.0gとグラスウール2.0gとを混合して、グラスウール中に水素還元用触媒を分散付着させた触媒付グラスウールを得た。得られた触媒付グラスウールを、上下方向に開口し、下部にガラスフィルタを備えたガラス管(硼珪酸ガラス製、直径20mm)に、高さが30mmになるように充填した。充填した触媒付グラスウールの上下の端部からそれぞれ5mmの位置と中央部の3カ所に熱電対を配置した。触媒付グラスウールを充填したガラス管をヒータに配置し、ガラス管の上側の開口部を、質量流量計(MFC)を備えたガス供給管と接続し、下側の開口部を排気管と接続した。
【0069】
次いで、CO
2ガスを流量10mL/分、H
2ガスを流量40mL/分(GHSV:318h
-1、WHSV:3000mL/g・h)の条件で、ガス供給管からガラス管に供給した。ヒータの温度を160℃に設定し、3カ所に配置した各熱電対で測定された触媒付グラスウールの温度がそれぞれで30分以上一定に保たれたのを確認した後、排気管から排気されたガスの組成をガスクロマトグラフィを用いて分析し、CO
2の還元反応によって生成したCH
4の収率(二酸化炭素の還元率)を算出した。この操作を、ヒータの温度を20℃ずつ昇温させて、ヒータの温度が240℃となるまで行った。なお、ヒータの温度は、PID制御により行った。この結果を、上記3カ所に配置した熱電対それぞれのサンプリング中の平均値うち、最も値が高かったものを触媒最高温度として横軸に、二酸化炭素の還元率を縦軸にとったグラフとして
図8に示す。
【0070】
図8のグラフから、実施例1および実施例2で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒は、比較例1で作製したものよりも低い温度で二酸化炭素の還元率が上昇し、かつ、いずれの温度でも高い還元率を示すことが確認された。これは、実施例1および実施例2の二酸化炭素の水素還元用触媒は、比較例1のものと比較してRuナノ粒子の平均粒子径が小さいためであると考えられる。
【0071】
(二酸化炭素の水素還元用触媒の表面状態の評価)
上記温度依存性の測定で使用した触媒付グラスウールをガラス管から取出した。次いで、グラスウールに付着している二酸化炭素の水素還元用触媒を回収し、TEMを用いて、その水素還元用触媒の表面状態を観察し、またRu粒子の粒度分布を測定した。
【0072】
図9(a)は、実施例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-TiO
2/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-TiO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
図9(a)のTEM写真を、
図5(a)のTEM写真とを比較すると、使用後のRu-TiO
2/TiO
2は、Ruナノ粒子が全体的に均一に粒成長していることが確認された。また、
図9(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子の平均粒子径(166個の粒子の平均値)が2.6nmであった。
【0073】
図10(a)は、実施例2で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru-ZrO
2/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu-ZrO
2/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
図10(a)のTEM写真を、
図6(a)のTEM写真とを比較すると、使用後のRu-ZrO
2/TiO
2は、Ruナノ粒子が全体的に均一に粒成長していることが確認された。また、
図9(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子の平均粒子径(135個の粒子の平均値)が2.5nmであった。
【0074】
図11(a)は、比較例1で作製した二酸化炭素の水素還元用触媒(Ru/TiO
2)の使用後のTEM写真であり、(b)は、そのRu/TiO
2に担持されているRuナノ粒子の粒度分布図である。
図11(a)のTEM写真を、
図7(a)のTEM写真とを比較すると、使用後のRu/TiO
2は、Ruナノ粒子が不均一に粒成長しており、長径が20nmを超える大型の粒子が生成していることが確認された。また、
図9(b)の粒度分布図から算出されたRuナノ粒子は、平均粒子径(128個の粒子の平均値)が4.3nmであった。
【0075】
以上の結果から、本実施例によれば、微細なRuナノ粒子と金属酸化物とが高分散担持されている二酸化炭素の水素還元用触媒を製造することが可能となることが確認された。そして、この二酸化炭素の水素還元用触媒を用いることによって、二酸化炭素の水素還元反応温度をさらに低くすることができ、また、長期間にわたって連続的に二酸化炭素の水素還元反応を実施してもRuナノ粒子が粒成長しにくいことが確認された。
【符号の説明】
【0076】
1…二酸化炭素の水素還元用触媒、2…担体、3…触媒金属ナノ粒子、4…金属酸化物、10…多角バレルスパッタ装置、11…真空容器、11a…円筒部、11b…八角型バレル、12…矢印、13…ターゲットホルダー、14、15、16、17、18、19…配管、20…油拡散ポンプ、21…ポンプ(RP)、22…第1バルブ、23…第2バルブ、24…第3バルブ、25…窒素ガス導入機構、26…アルゴンガス導入機構、27…ヒータ、28…バイブレータ、29…圧力計、30…二酸化炭素の水素還元装置、31…反応管、32…多孔質体