特許 7109022 硬貨処理装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-07-21

(45)【発行日】2022-07-29

(54)【発明の名称】硬貨処理装置

(51)【国際特許分類】

   G07D 9/00 20060101AFI20220722BHJP

   G07D 11/20 20190101ALI20220722BHJP

【ＦＩ】

G07D9/00 Z

G07D11/20

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2018200059

(22)【出願日】2018-10-24

(65)【公開番号】P2020067819

(43)【公開日】2020-04-30

【審査請求日】2021-02-25

(73)【特許権者】

【識別番号】000116079

【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】500267170

【氏名又は名称】ローレル機械株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】500265501

【氏名又は名称】ローレル精機株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100141139

【弁理士】

【氏名又は名称】及川 周

(74)【代理人】

【識別番号】100161702

【弁理士】

【氏名又は名称】橋本 宏之

(74)【代理人】

【識別番号】100189348

【弁理士】

【氏名又は名称】古都 智

(72)【発明者】

【氏名】細見 慎太郎

【審査官】小島 哲次

(56)【参考文献】

【文献】特開平０１－１１８９８７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－０６６３７５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｇ０７Ｄ １／００－ ３／１６

Ｇ０７Ｄ ９／００－１３／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、前記収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と前記収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う制御部と
を備え 、
硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を前記収納処理時に前記収納部に収納する一時貯留部を有し、
前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記一時貯留部に一時貯留している硬貨が第２の所定枚数以下であると、前記繰出処理と前記収納処理とを並行して行う ことを特徴とする硬貨処理装置。

【請求項2】

硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、前記収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と前記収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う制御部と
を備え 、
前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記繰出処理で前記収納部から繰り出す硬貨が、第３の所定枚数以下であると、前記繰出処理と前記収納処理とを並行して行う ことを特徴とする硬貨処理装置。

【請求項3】

前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記繰出処理の中断時に前記収納処理を行うことを特徴とする請求項１又は２記載の硬貨処理装置。

【請求項4】

硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、前記収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と前記収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う制御部と
を備え 、
硬貨を一時貯留すると共に、前記収納処理時に底部を開状態にして一時貯留している硬貨を前記収納部に収納する一時貯留部を有し、
前記制御部は、前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行う場合、前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行わない場合よりも低速で前記一時貯留部の底部を開状態にする ことを特徴とする硬貨処理装置。

【請求項5】

硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、前記収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と前記収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う制御部と
を備え 、
硬貨を一時貯留すると共に、前記収納処理時に底部を開状態にして一時貯留している硬貨を前記収納部に収納する一時貯留部を有し、
前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも低速で前記一時貯留部の底部を開状態にして前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行う ことを特徴とする硬貨処理装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、硬貨処理を行う硬貨処理装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、硬貨の入金、出金及び包装ができる硬貨処理装置では、入金された硬貨を収納部に収納し、硬貨の出金時に収納部から硬貨を繰り出して出金している。また、収納部がニアフル状態になると、収納部から硬貨を繰り出して包装部へ搬送し、棒金（包装硬貨）を作成する自動包装機能が開示されている（例えば、特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特許第５１３５１０３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、従来の硬貨処理装置では、収納部からの硬貨を繰り出しているときには、収納部へ収納する硬貨の落下による衝撃で、収納部内の繰り出そうとする硬貨が乱れて、繰り出し不良が発生しやすいので、当該収納部への硬貨の入金を禁止している。このため、自動包装処理中や硬貨出金処理中には収納処理を行えず、処理時間が長くなり、ユーザの待ち時間が長くなってしまうという課題があった。

【0005】

本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、処理時間を短縮することができる硬貨処理装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成するために、本発明に係る第１，第２，第４，第５の態様は、硬貨を収納するとともに、収納している硬貨を繰り出す収納部と、前記収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、前記収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と前記収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う制御部とを備えることを特徴とする。

【0007】

上記第１，第２，第４，第５の態様によれば、制御部は、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、収納部から硬貨を繰り出す繰出処理と収納部に硬貨を収納する収納処理とを並行して行うため、処理時間を短縮することができる。即ち、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、既に収納している硬貨が多いため、これから収納する硬貨の落下による衝撃が加わっても、繰り出そうとする硬貨への影響が少ない。このような場合に、収納部の繰出処理と収納部への収納処理とを並行して行って、処理時間を短縮する。

【0008】

本発明に係る第１の態様は、硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を前記収納処理時に前記収納部に収納する一時貯留部を有し、前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記一時貯留部に一時貯留している硬貨が第２の所定枚数以下であると、前記繰出処理と前記収納処理とを並行して行うことを特徴とする。

【0009】

上記第１の態様によれば、制御部は、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、一時貯留部に一時貯留している硬貨が第２の所定枚数以下であると、繰出処理と収納処理とを並行して行うため、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合であっても、処理時間を短縮することができる。即ち、一時貯留部に一時貯留している硬貨が第２の所定枚数以下であれば、一時貯留部からの硬貨の落下による衝撃が加わっても、収納部から繰り出そうとする硬貨への影響が少ない。このような場合に、収納部の繰出処理と収納部への収納処理とを並行して行って、処理時間を短縮する。

【0010】

本発明に係る第２の態様は、前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記繰出処理で前記収納部から繰り出す硬貨が、第３の所定枚数以下であると、前記繰出処理と前記収納処理とを並行して行うことを特徴とする。

【0011】

上記第２の態様によれば、制御部は、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、繰出処理で収納部から繰り出す硬貨が、第３の所定枚数以下であると、繰出処理と収納処理とを並行して行うため、例えば、第３の所定枚数を、収納処理開始後、硬貨の収納部への実際の落下までの時間で繰出処理が完了する枚数に設定することで、その間は、収納部の繰出処理と収納部への収納処理とを並行して行うことになって処理時間を短縮することができる。

【0012】

本発明に係る第３の態様は、上記第１又は第２の態様において、前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記繰出処理の中断時に前記収納処理を行うことを特徴とする。

【0013】

上記第３の態様によれば、制御部は、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、繰出処理の中断時に収納処理を行うため、収納部の繰出処理の中断時間を利用して収納部への収納処理を行うことができる。よって、処理時間を短縮することができる。

【0014】

本発明に係る第４の態様は、硬貨を一時貯留すると共に、前記収納処理時に底部を開状態にして一時貯留している硬貨を前記収納部に収納する一時貯留部を有し、前記制御部は、前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行う場合、前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行わない場合よりも低速で前記一時貯留部の底部を開状態にすることを特徴とする。

【0015】

上記第４の態様によれば、制御部は、収納部への収納処理と収納部の繰出処理とを並行して行う場合、収納処理と繰出処理とを並行して行わない場合よりも低速で一時貯留部の底部を開状態にするため、一時貯留部から収納部に硬貨を少数枚ずつ落下させることができる。これにより、収納する硬貨の落下による衝撃を少なくすることができ、収納部内の繰り出そうとする硬貨が乱れて、繰り出し不良が発生することをより確実に防止できる。

【0016】

本発明に係る第５の態様は、硬貨を一時貯留すると共に、前記収納処理時に底部を開状態にして一時貯留している硬貨を前記収納部に収納する一時貯留部を有し、前記制御部は、前記収納部に前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、前記第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも低速で前記一時貯留部の底部を開状態にして前記収納処理と前記繰出処理とを並行して行うことを特徴とする。

【0017】

上記第５の態様によれば、制御部は、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも低速で底部を開状態にして収納部への収納処理と収納部の繰出処理とを並行して行うため、処理時間を短縮することができる。また、一時貯留部から収納部に硬貨を少数枚ずつ落下させることができるため、収納部に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合であっても、収納する硬貨の落下による衝撃を少なくすることができ、収納部内の繰り出そうとする硬貨が乱れて、繰り出し不良が発生することを防止できる。

【発明の効果】

【0018】

本発明によれば、処理時間を短縮することができる硬貨処理装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0019】

【図1】本発明の第１実施形態に係る硬貨処理装置の構成を概略的に示す正面図である。

【図2】本発明の第１実施形態に係る硬貨処理装置の要部の斜視図であって、入金貯留部本体及び底板が共に装填位置にある状態を示すものである。

【図3】本発明の第１実施形態に係る硬貨処理装置の要部の斜視図であって、入金貯留部本体が装填位置にあり、底板が収納位置にある状態を示すものである。

【図4】本発明の第１実施形態に係る硬貨処理装置の入金処理の制御内容を示すフローチャートである。

【図5】本発明の第２実施形態に係る硬貨処理装置の構成を概略的に示す正面図である。

【図6】本発明の第２実施形態に係る硬貨処理装置の入金処理の制御内容を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0020】

＜第１実施形態＞
本発明の第１実施形態に係る硬貨処理装置を図面を参照して以下に説明する。

【0021】

本実施形態に係る硬貨処理装置１０は、図１に示すように、バラの硬貨（以下、硬貨と称す）に関する処理を行う硬貨処理部１１と、棒金（包装硬貨）に関する処理を行う棒金処理部１２とを有している。

【0022】

［硬貨処理部］
硬貨処理部１１は、外部から入金された硬貨の入金処理を行う硬貨入金部２１と、硬貨入金部２１から硬貨を受け入れて収納する収納処理を行うと共に収納している硬貨を外部に取り出し可能に出金する硬貨収納出金部２２とを有している。

【0023】

硬貨入金部２１は、外部から硬貨が投入されると共に投入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す入金ホッパ３１と、入金ホッパ３１から繰り出された硬貨を搬送しつつ入金識別計数部３２で真偽、金種及び正損を識別して計数する入金搬送部３３と、入金識別計数部３２で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金搬送部３３から落下案内する開閉式の入金リジェクト案内部３４と、入金リジェクト案内部３４で入金搬送部３３から案内された硬貨を収容する入金リジェクト部３５とを有している。入金リジェクト部３５は、硬貨処理装置１０の装置本体４１から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。

【0024】

硬貨入金部２１は、入金識別計数部３２で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部３３から落下案内する開閉式の放出案内部５１と、放出案内部５１で入金搬送部３３から案内された硬貨を外部に放出する放出部５２とを有している。放出部５２は、外部から図示略の収納袋が装着されることになり、装着された収納袋内に、放出案内部５１で案内された硬貨を放出する。ここで、入金ホッパ３１に投入された硬貨の中から、設定金種の硬貨を設定枚数だけ収納袋に収納するローカル袋取り処理時に、放出案内部５１が、入金識別計数部３２の識別結果に基づいて、収納袋が装着された放出部５２に設定金種の硬貨を設定枚数だけ案内し、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を入金リジェクト案内部３４が入金リジェクト部３５に案内する。なお、入金リジェクト部３５に別の収納袋を装着することにより、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を袋取りすることもできる。

【0025】

硬貨入金部２１は、入金識別計数部３２で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部３３から落下案内する開閉式の包装案内部５５を有している。包装案内部５５で案内された硬貨は棒金処理部１２に搬送される。ここで、入金ホッパ３１に投入された硬貨の中から、設定金種の硬貨を包装して棒金とするローカル包装処理時に、包装案内部５５が、入金識別計数部３２の識別結果に基づいて、設定金種の硬貨を棒金処理部１２に案内し、設定金種以外の硬貨を入金リジェクト案内部３４が入金リジェクト部３５に案内する。棒金処理部１２は、硬貨処理部１１から送り込まれた硬貨を所定の包装単位枚数（例えば５０枚）ずつ集積させて包装する。

【0026】

硬貨入金部２１は、入金識別計数部３２で受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部３３から落下案内する貯留案内部６１と、貯留案内部６１で入金搬送部３３から案内された硬貨を一時貯留する入金貯留部６２（一時貯留部）とを有している。図２に示すように入金貯留部６２は、単一金種の硬貨を貯留する金種別の貯留区分部６３ａ～６３ｆと、汚損硬貨を金種混合で貯留する汚損硬貨用の貯留区分部６３ｇとを有している。

【0027】

図１に示す貯留案内部６１は、入金搬送部３３の装置前後方向に沿う直線状の部分に設けられており、最も包装案内部５５側の部分が開閉式で全金種の汚損硬貨を入金搬送部３３から落下させて入金貯留部６２に案内することになり、その包装案内部５５とは反対側の部分が常時開の選別孔式であって汚損のない正常硬貨を小径のものから順に入金搬送部３３から落下させて入金貯留部６２に案内する。

【0028】

貯留案内部６１の上記の振り分けの順番に合わせて、入金貯留部６２は、図２に示すように、汚損硬貨を貯留する貯留区分部６３ｇ、１円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ａ、５０円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ｂ、５円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ｃ、１００円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ｄ、１０円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ｅ、５００円の正常硬貨を貯留する貯留区分部６３ｆが、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。

【0029】

入金貯留部６２は、貯留区分部６３ａ～６３ｇの側壁部分を形成する一体の入金貯留部本体６４と、貯留区分部６３ａ～６３ｇの底部分を形成する底板６５と、入金貯留部本体６４を水平移動させる図示略の本体駆動部と、底板６５を水平移動させる図示略の底板駆動部とを有している。入金貯留部６２は、図１に示す貯留案内部６１の鉛直下方が装填位置であり、図２に示すようにこの装填位置に入金貯留部本体６４及び底板６５が位置する状態で、貯留案内部６１で案内された硬貨を貯留区分部６３ａ～６３ｇに分類して受け入れる。つまり、入金貯留部６２は、入金ホッパ３１に入金された正常硬貨を、金種別の貯留区分部６３ａ～６３ｆに金種別に分けて貯留すると共に、汚損硬貨を貯留区分部６３ｇに貯留する。

【0030】

硬貨入金部２１は、入金貯留部６２が貯留区分部６３ａ～６３ｇに分類して貯留している硬貨を収納する硬貨収納部７１を有している。硬貨収納部７１は、入金貯留部６２が、底板６５を装填位置に保持した状態のまま入金貯留部本体６４を側方の収納位置に移動させ入金貯留部本体６４の底部を開状態にすることで貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで収納する。

【0031】

硬貨収納部７１は、貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を収納する図２に示す収納カセット７１ｇ、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ａ、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ｂ、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ｃ、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ｄ、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ｅ、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を収納する収納カセット７１ｆが、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。硬貨収納部７１を構成する収納カセット７１ａ～７１ｇは、それぞれが箱状であって、装置本体４１から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、硬貨収納部７１は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収納するものであっても良い。

【0032】

硬貨入金部２１は、入金貯留部６２が貯留区分部６３ａ～６３ｇに分類して貯留している硬貨を外部に取り出し可能に返却する硬貨返却部７５を有している。硬貨返却部７５は、入金貯留部６２が、底板６５及び入金貯留部本体６４を収納位置に移動させた後に、入金貯留部本体６４のみを更に側方の返却位置に移動させ入金貯留部本体６４の底部を開状態にすることで貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで収容する。

【0033】

硬貨返却部７５は、貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を収容する図２に示す返却区分部７５ｇ、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ａ、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ｂ、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ｃ、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ｄ、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ｅ、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を収容する返却区分部７５ｆが、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。硬貨返却部７５は、箱状であって返却区分部７５ａ～７５ｇが一体に設けられている。硬貨返却部７５は、箱状であって、装置本体４１から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、硬貨返却部７５は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収容するものであっても良い。

【0034】

図２に示す硬貨収納出金部２２は、入金貯留部６２が貯留区分部６３ａ～６３ｆに分類して貯留している硬貨を出金可能に収納する硬貨収納繰出部８１を有している。硬貨収納繰出部８１は、図３に示すように、入金貯留部６２が、入金貯留部本体６４を装填位置に保持した状態のまま底板６５を側方の収納位置に移動させ入金貯留部本体６４の底部を開状態にすることで貯留区分部６３ａ～６３ｆから落下する硬貨をその分類状態のままで出金可能に収納する。硬貨処理装置１０には、入金貯留部６２の下方に、２つの金種別収納先である硬貨収納繰出部８１及び硬貨収納部７１と、返却先である硬貨返却部７５とが設けられている。

【0035】

硬貨収納繰出部８１は、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ａ（収納部）、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ｂ（収納部）、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ｃ（収納部）、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ｄ（収納部）、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ｅ（収納部）、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を出金可能に収納する出金ホッパ８１ｆ（収納部）が、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。

【0036】

よって、硬貨収納繰出部８１は、それぞれが単一金種の硬貨を繰り出し可能に収納する金種別の出金ホッパ８１ａ～８１ｆを有しており、入金貯留部６２は、入金ホッパ３１に入金されて金種別の貯留区分部６３ａ～６３ｆに金種別に分けて貯留している硬貨を金種別に分けた状態のまま硬貨収納繰出部８１の金種別の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納可能となっている。

【0037】

出金ホッパ８１ａの出金ホッパ８１ｂとは反対側には、入金貯留部６２が入金貯留部本体６４を装填位置に保持した状態のまま底板６５を側方の収納位置に移動させ入金貯留部本体６４の底部を開状態にすることで貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を収納する汚損カセット８２ｇが設けられており、出金ホッパ８１ｆの出金ホッパ８１ｅとは反対側には精査ホッパ８３ｈが設けられている。汚損カセット８２ｇは、装置本体４１から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。

【0038】

出金ホッパ８１ａは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ａに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ａで計数を行って繰り出し、出金ホッパ８１ｂは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｂに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ｂで同様に繰り出し、出金ホッパ８１ｃは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｃに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ｃで同様に繰り出し、出金ホッパ８１ｄは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｄに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ｄで同様に繰り出し、出金ホッパ８１ｅは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｅに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ｅで同様に繰り出し、出金ホッパ８１ｆは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｆに向けて搬送し、下部の計数繰出部９１ｆで同様に繰り出す。精査ホッパ８３ｈは、収納している硬貨を、底部の硬貨排出部で下部の計数繰出部９１ｈに向けて搬送し、下部の識別計数繰出部９３ｈで金種を識別し計数して繰り出す。

【0039】

出金ホッパ８１ａ～８１ｆを有する硬貨収納繰出部８１は、硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出し可能に構成される。収納カセット７１ａ～７１ｇを有する硬貨収納部７１は、硬貨収納繰出部８１とは別に設けられて硬貨を収納する。入金貯留部６２は、硬貨を貯留すると共に貯留している硬貨の収納先を硬貨収納繰出部８１と硬貨収納部７１と硬貨返却部７５とに選択的に切り替える。入金貯留部６２は、収納先を硬貨収納繰出部８１とした場合に、貯留している硬貨を金種別に分けて金種別の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納する。

【0040】

硬貨収納出金部２２は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び精査ホッパ８３ｈから計数しつつ繰り出された硬貨を搬送する硬貨出金搬送部１０１と、硬貨出金搬送部１０１で搬送されてきた硬貨を収容する図１に示す硬貨出金部１０２と、硬貨出金部１０２に収容されている出金に適さないと判断された硬貨を案内する出金リジェクト案内部１０３と、出金リジェクト案内部１０３で硬貨出金部１０２から案内された硬貨を収容する出金リジェクト部１０４とを有している。硬貨出金部１０２及び出金リジェクト部１０４は、箱状であって、何れも装置本体４１から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。

【0041】

図２に示すように、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの計数繰出部９１ａ～９１ｆ及び精査ホッパ８３ｈの識別計数繰出部９３ｈは装置前後方向に直線状に並んで配置されており、これらの硬貨繰り出し方向の前方に、硬貨出金搬送部１０１を構成する繰出側搬送路１１１が設けられている。また、硬貨出金搬送部１０１は、この繰出側搬送路１１１の精査ホッパ８３ｈとは反対側の端部から硬貨を受け取って、繰出側搬送路１１１に垂直な水平方向に搬送する出金側搬送路１１２を有している。この出金側搬送路１１２は、繰出側搬送路１１１から汚損カセット８２ｇの方向に延びている。

【0042】

硬貨出金搬送部１０１は、出金側搬送路１１２の繰出側搬送路１１１とは反対側の端部に、出金側搬送路１１２で搬送中の硬貨の重なりを崩すローラ１１３を有しており、出金側搬送路１１２の繰出側搬送路１１１とは反対側に、出金側搬送路１１２とローラ１１３との間を通過して出金側搬送路１１２から一枚ずつ繰り出される硬貨を金種識別を行って計数する出金識別計数部１１４を有している。この出金識別計数部１１４の識別結果に基づいて、硬貨出金部１０２に出金すべき硬貨を収容させたり、硬貨出金部１０２の出金に適さない硬貨を更に出金リジェクト案内部１０３で出金リジェクト部１０４に収容させたりする。

【0043】

出金側搬送路１１２と汚損カセット８２ｇとの間には、出金側搬送路１１２と平行に戻入下搬送路１２１が設けられており、出金側搬送路１１２と戻入下搬送路１２１との間には、出金側搬送路１１２で繰出側搬送路１１１から出金識別計数部１１４に向けて搬送中の硬貨を、出金側搬送路１１２側に揺動することで戻入下搬送路１２１に移動させる揺動可能な精査ゲート１２２が設けられている。戻入下搬送路１２１には硬貨の残留を検出する図示略の残留検知センサが設けられている。戻入下搬送路１２１の上側には、戻入下搬送路１２１で搬送されてきた硬貨を上方に搬送する戻入縦搬送路１２３が設けられている。戻入縦搬送路１２３には末端位置に硬貨を計数する図示略の計数センサが設けられている。

【0044】

繰出側搬送路１１１の上方には、これと平行に戻入上搬送路１２５が設けられており、戻入上搬送路１２５は戻入縦搬送路１２３から硬貨を受け取って搬送する。戻入上搬送路１２５の出金ホッパ８１ａ～８１ｆとは反対側には、戻入上搬送路１２５で搬送中の硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び精査ホッパ８３ｈに振り分ける揺動可能な戻入ゲート１２６ａ～１２６ｆが設けられている。

【0045】

戻入ゲート１２６ａは出金ホッパ８１ａ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ａに収納し、戻入ゲート１２６ｂは出金ホッパ８１ｂ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ｂに収納し、戻入ゲート１２６ｃは出金ホッパ８１ｃ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ｃに収納し、戻入ゲート１２６ｄは出金ホッパ８１ｄ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ｄに収納し、戻入ゲート１２６ｅは出金ホッパ８１ｅ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ｅに収納し、戻入ゲート１２６ｆは出金ホッパ８１ｆ側に揺動することで硬貨を出金ホッパ８１ｆに収納する。戻入上搬送路１２５は、戻入ゲート１２６ａ～１２６ｆで出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納されなかった硬貨を末端位置から精査ホッパ８３ｈに収納する。戻入上搬送路１２５には硬貨の残留を検出する図示略の残留検知センサが設けられている。

【0046】

ここで、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの収納硬貨枚数を精査する精査処理時には、例えば、出金ホッパ８１ａの硬貨を、計数繰出部９１ａで繰出側搬送路１１１に繰り出して、繰出側搬送路１１１及び出金側搬送路１１２で搬送し、精査ゲート１２２で出金側搬送路１１２から戻入下搬送路１２１に移動させて、戻入下搬送路１２１、戻入縦搬送路１２３及び戻入上搬送路１２５で精査ホッパ８３ｈに収納させる。このようにして、出金ホッパ８１ａに収納されていた硬貨を全て精査ホッパ８３ｈに移動させて出金ホッパ８１ａを空にする。その後、精査ホッパ８３ｈから硬貨を識別計数繰出部９３ｈで識別しつつ計数して繰出側搬送路１１１に繰り出して、繰出側搬送路１１１及び出金側搬送路１１２で搬送し、精査ゲート１２２で出金側搬送路１１２から戻入下搬送路１２１に移動させて、戻入下搬送路１２１、戻入縦搬送路１２３及び戻入上搬送路１２５で搬送し、戻入ゲート１２６ａで出金ホッパ８１ａに戻す。

【0047】

これにより、出金ホッパ８１ａ内の収納硬貨枚数を確定する。出金ホッパ８１ｂ～８１ｆについても同様にして収納硬貨枚数を確定する。なお、汚損カセット８２ｇを出金ホッパ８１ａ～８１ｆと同様に、収納している汚損硬貨を計数して繰出側搬送路１１１に繰り出し可能な汚損ホッパ（図示略）として構成することで、汚損ホッパ内の収納硬貨枚数の自動精査が可能になる。精査処理時には、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの収納硬貨枚数の精査と同様に、汚損ホッパに収納されている汚損硬貨を精査ホッパ８３ｈに移動させて、精査ホッパ８３ｈから汚損硬貨を識別計数繰出部９３ｈで識別しつつ計数して汚損ホッパに戻すことで、汚損ホッパ内の収納硬貨枚数を確定する。これにより、汚損カセット８２ｇの収納硬貨枚数の精査のために、汚損カセット８２ｇを装置本体４１から取り外して、汚損カセット８２ｇの硬貨を硬貨入金部２１に戻し入れる処理が不要になるため、ユーザの処理負担が低減する。また、出金ホッパ８１ａ内の硬貨へのアクセスを制限できるため、セキュリティが向上する。

【0048】

繰出側搬送路１１１の中間位置には、小径側の３金種の硬貨を収納する出金ホッパ８１ａ～８１ｃから計数繰出部９１ａ～９１ｃで繰り出されて繰出側搬送路１１１で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部８１側に揺動することで図１に示す棒金処理部１２側に繰り出す小径側中間ゲート１３１と、大径側の３金種の硬貨を収納する出金ホッパ８１ｄ～８１ｆから計数繰出部９１ｄ～９１ｆで繰り出されて繰出側搬送路１１１で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部８１側に揺動することで棒金処理部１２側に繰り出す大径側中間ゲート１３２とが設けられている。大径側中間ゲート１３２は、精査ホッパ８３ｈから識別計数繰出部９３ｈで繰り出されて繰出側搬送路１１１で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部８１側に揺動することで棒金処理部１２側に繰り出す。

【0049】

図１に示すように、硬貨処理部１１には、硬貨処理装置１０の全体を制御する制御部１４１と、硬貨処理装置１０に電源を供給する電源部１４２とが設けられている。

【0050】

［棒金処理部］
棒金処理部１２は、硬貨収納出金部２２から硬貨を受け入れて包装し棒金とする包装処理を行う包装部２０１と、包装部２０１で作製した棒金を収納する棒金収納部２０２と、包装部２０１及び棒金収納部２０２から棒金を受け入れて外部に取り出し可能に出金する棒金出金部２０３とを有している。

【0051】

包装部２０１は、硬貨収納出金部２２の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れか一金種用の出金ホッパから計数繰出部９１ａ～９１ｆの対応するもので繰り出され、繰出側搬送路１１１と、小径側中間ゲート１３１或いは大径側中間ゲート１３２とで棒金処理部１２に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部２０１は、精査ホッパ８３ｈから識別計数繰出部９３ｈで繰り出され、繰出側搬送路１１１と大径側中間ゲート１３２とで棒金処理部１２に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部２０１は、入金ホッパ３１から繰り出され、包装案内部５５で棒金処理部１２に案内されてきた硬貨を受け取って包装する。

【0052】

ここで、硬貨処理装置１０は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかの収納硬貨枚数が所定の包装開始基準値以上になると、自動包装処理を行うことになる。出金ホッパ８１ａ～８１ｆのそれぞれの包装開始基準値は、満杯であると判定できるフル値又は満杯に近いと判定できるニアフル値に設定されることになり、ここではニアフル値に設定されている。この自動包装処理では、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうちの収納硬貨枚数が包装開始基準値以上になったものから計数繰出部９１ａ～９１ｆの対応するもので硬貨を繰り出す繰出処理を行い、この繰出処理で繰り出され、繰出側搬送路１１１と、小径側中間ゲート１３１或いは大径側中間ゲート１３２とで棒金処理部１２に搬送されてきた硬貨を包装部２０１で受け取って包装する。

【0053】

また、硬貨処理装置１０は、入金ホッパ３１に投入された硬貨を包装するローカル包装処理において、入金ホッパ３１に投入された硬貨から指定された金種以外の硬貨を入金リジェクト案内部３４で入金リジェクト部３５に案内する一方、指定された金種の硬貨を包装案内部５５で棒金処理部１２に案内することになり、包装部２０１は、このように包装案内部５５で案内された硬貨を受け取って包装する。

【0054】

包装部２０１は、硬貨処理部１１側にあって、硬貨処理部１１から硬貨を受け入れると共に、受け入れた硬貨を、金種識別しつつ計数して包装単位枚数（５０枚）ずつ繰り出す硬貨識別計数部２１１と、硬貨識別計数部２１１から繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて紙或いは樹脂フィルムからなる包装紙を巻き回し、この包装紙を切断した後、集積方向に両側の包装紙の余長部分を内側に丸めるように加締めることにより棒金とする硬貨集積包装部２１２とを有している。

【0055】

包装部２０１は、硬貨集積包装部２１２で作製されて下方に繰り出された棒金を３方向に振り分けて搬送する棒金振分搬送部２１３と、棒金振分搬送部２１３で第１の方向に振り分けられた棒金を収納する自動時端数棒金収納部２１４と、棒金振分搬送部２１３で第２の方向に振り分けられた棒金を収納するローカル時端数棒金収納部２１５とを有している。自動時端数棒金収納部２１４は、自動包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納することになり、ローカル時端数棒金収納部２１５は、ローカル包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納することになる。自動時端数棒金収納部２１４及びローカル時端数棒金収納部２１５は、いずれも箱状であって、装置本体４１から取り外されることで、収納した端数棒金が外部に取り出し可能となる。

【0056】

棒金出金部２０３は、棒金振分搬送部２１３で硬貨処理部１１とは反対の第３の方向に振り分けられた棒金を受け取って昇降搬送する棒金出金リフト２２１を有している。棒金振分搬送部２１３で第３の方向に振り分けられる棒金は、端数棒金以外の棒金つまり包装単位枚数の硬貨を包装して作製した正常棒金である。棒金出金部２０３は、棒金出金リフト２２１で搬送されてきた棒金を外部に放出する下部棒金放出口２２２と、棒金出金リフト２２１で搬送されてきた棒金を受け取って外部に取り出し可能に収容する上部棒金出金口２２３と、棒金出金リフト２２１で搬送されてきた棒金を外部に取り出し可能に収納する棒金一括収納部２２４とを有している。

【0057】

下部棒金放出口２２２は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト２２１から受け取った棒金を図示略の受箱に向けて放出する。上部棒金出金口２２３は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト２２１から受け取った棒金を外部に取り出し可能に収容する。棒金一括収納部２２４は、箱状であって、装置本体４１から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。

【0058】

棒金収納部２０２は、棒金出金リフト２２１で搬送されてきた棒金を受け取って装置後方に搬送する棒金収納搬送部２３１と、棒金収納搬送部２３１から棒金を受け取って上方に搬送する棒金収納リフト２３２と、棒金収納リフト２３２で搬送されてきた棒金を受け取って金種別に分類して収納する棒金収納本体部２３３と、棒金収納本体部２３３から金種別に棒金を計数しつつ棒金出金リフト２２１に繰り出す棒金繰出部２３４とを有している。棒金出金リフト２２１は、棒金繰出部２３４で棒金収納本体部２３３から繰り出された棒金を受け取って、上部棒金出金口２２３及び棒金一括収納部２２４に振り分ける。

【0059】

硬貨処理装置１０は、入金ホッパ３１の図示略のシャッタを閉じ、入金貯留部６２を空の状態でその入金貯留部本体６４及び底板６５の両方を図２に示す装填位置に位置させた状態が待機状態となっている。また、この待機状態では、精査ゲート１２２を、出金側搬送路１１２で繰出側搬送路１１１からの硬貨を出金識別計数部１１４に搬送する状態としている。

【0060】

「硬貨出金処理」
図示略の操作部に出金させる硬貨の金種別の枚数を含む出金処理操作が入力されると、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの対応する金種のものから硬貨を繰り出す繰出処理を行って硬貨出金部１０２に搬送する。

【0061】

例えば、出金させる硬貨に１円の正常硬貨が含まれている場合、出金ホッパ８１ａから硬貨をその計数繰出部９１ａで出金枚数だけ繰り出し、繰出側搬送路１１１及び出金側搬送路１１２で搬送して、出金識別計数部１１４で識別しつつ計数して、硬貨出金部１０２に搬送する。その際に、制御部１４１は、出金ホッパ８１ａの収納硬貨枚数から、繰り出した１円硬貨の硬貨枚数を減算する。出金ホッパ８１ｂ～８１ｆについても同様にする。そして、出金させる全金種の硬貨をそれぞれの設定枚数繰り出すと、制御部１４１は、硬貨出金処理を終了する。その後、硬貨出金部１０２が、装置本体４１から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。即ち、硬貨出金部１０２は、硬貨収納繰出部８１の繰出処理により繰り出された硬貨を外部に取り出し可能に出金する。ここで、硬貨出金処理において、出金識別計数部１１４で、出金させる硬貨に含まれない金種の硬貨や、出金枚数を超える枚数の硬貨が検出された場合、制御部１４１は、硬貨出金部１０２に貯留していた全ての硬貨を、出金リジェクト案内部１０３で出金リジェクト部１０４に収容して、硬貨出金処理をやり直す。

【0062】

以上により、硬貨出金処理時には、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納されている硬貨を繰り出し、硬貨出金搬送部１０１を介して硬貨出金部１０２へ放出する。

【0063】

「自動包装処理」
制御部１４１は、後述する硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆのそれぞれの収納硬貨枚数つまり金種別の収納硬貨枚数を、金種別に設定された包装開始基準値（例えば３００枚）と、金種別に比較する。出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかの収納硬貨枚数が、対応する包装開始基準値以上になると、制御部１４１は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち包装開始基準値以上になったものから硬貨を棒金処理部１２に向け繰り出す繰出処理を行って、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち包装開始基準値以上になったものに収納している硬貨の収納硬貨枚数を、包装開始基準値よりも所定値を超えて下回る量（例えば２００枚未満）まで減らす。このとき、計数繰出部９１ａ～９１ｆの対応するもので包装単位枚数或いはその倍数分の減少用繰出枚数（例えば棒金３本分の１５０枚）を繰り出すようにする。その際に、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１の金種別の収納硬貨枚数から、繰り出した金種別の硬貨枚数を、金種別に減算する。そして、硬貨収納繰出部８１から繰り出された硬貨を棒金処理部１２で包装する。

【0064】

例えば、後述する硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ８１ａに収納されている１円の正常硬貨の収納硬貨枚数が、１円の正常硬貨について設定されている包装開始基準値以上になると、繰出側搬送路１１１を、出金ホッパ８１ａから繰り出された硬貨を小径側中間ゲート１３１に向けて搬送する状態とし、小径側中間ゲート１３１を、繰出側搬送路１１１で搬送されてきた硬貨を棒金処理部１２側に繰り出す状態として、出金ホッパ８１ａから硬貨をその計数繰出部９１ａで包装単位枚数或いはその倍数分の減少用繰出枚数だけ繰り出し、出金ホッパ８１ａに収納されている１円の正常硬貨の収納硬貨枚数を包装開始基準値よりも所定値を超えて下回らせる。その際に、制御部１４１は、出金ホッパ８１ａの収納硬貨枚数から、繰り出した硬貨枚数を減算して、出金ホッパ８１ａの収納硬貨枚数を更新する。そして、出金ホッパ８１ａから繰り出された硬貨を棒金処理部１２に搬送してその包装部２０１で包装する。出金ホッパ８１ｂ，出金ホッパ８１ｃについても同様にする。

【0065】

また、例えば、後述する硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ８１ｄに収納されている１００円の正常硬貨の収納硬貨枚数が、１００円の正常硬貨について設定されている包装開始基準値以上になると、繰出側搬送路１１１を、出金ホッパ８１ｄから繰り出された硬貨を大径側中間ゲート１３２に向けて搬送する状態とし、大径側中間ゲート１３２を、繰出側搬送路１１１で搬送されてきた硬貨を棒金処理部１２側に繰り出す状態として、出金ホッパ８１ｄから硬貨をその計数繰出部９１ｄで包装単位枚数或いはその倍数分の減少用繰出枚数だけ繰り出し、出金ホッパ８１ｄに収納されている１００円の正常硬貨の収納硬貨枚数を包装開始基準値よりも所定値を超えて下回らせる。その際に、制御部１４１は、出金ホッパ８１ｄの収納硬貨枚数から、繰り出した硬貨枚数を減算して、出金ホッパ８１ｄの収納硬貨枚数を更新する。そして、出金ホッパ８１ｄから繰り出された硬貨を棒金処理部１２に搬送してその包装部２０１で包装する。出金ホッパ８１ｅ，出金ホッパ８１ｆについても同様にする。

【0066】

包装部２０１では、硬貨処理部１１から受け入れた硬貨を硬貨識別計数部２１１で計数して包装単位枚数（５０枚）の硬貨を硬貨集積包装部２１２に繰り出し、硬貨集積包装部２１２が、このように繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて、その周囲に包装紙を巻き回し包装紙を両側を加締めて棒金とする。即ち、包装部２０１は、硬貨収納繰出部８１から繰出処理により繰り出された硬貨を集積させて包装する。制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れか一つでも収納している収納硬貨枚数が所定量を超えると、所定量を超えた出金ホッパから硬貨を繰り出す繰出処理を行うと共に、この繰出処理で繰り出された硬貨を包装部２０１で包装する。

【0067】

そして、このように硬貨集積包装部２１２で作製された棒金を、棒金振分搬送部２１３、棒金出金部２０３の棒金出金リフト２２１、棒金収納部２０２の棒金収納搬送部２３１及び棒金収納リフト２３２で搬送して棒金収納本体部２３３に金種別に収納させる。ここで、棒金収納本体部２３３の対応金種の棒金が満杯である場合、硬貨集積包装部２１２で作製された棒金を、棒金振分搬送部２１３及び棒金出金リフト２２１で棒金一括収納部２２４に収納する。

【0068】

後述する硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうちの複数の出金ホッパにおいて、収納している硬貨の収納硬貨枚数が包装開始基準値以上になった場合、制御部１４１は、何れか一金種について繰出処理を開始したら、この金種について繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部２１２に送り込まれて包装されるまで待機して、次の金種について繰出処理を開始し、この金種について繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部２１２に送り込まれて包装されたら、次の金種について繰出処理を開始するということを繰り返して、一金種ずつ包装する。その場合、例えば、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち、収納硬貨枚数が多いものから順に繰出処理を行う。逆に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち、収納硬貨枚数が少ないものから順に繰出処理を行っても良い。

【0069】

そして、硬貨収納繰出部８１の全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆの収納硬貨枚数が包装開始基準値を所定値を超えて下回る状態となり、硬貨収納繰出部８１から繰り出された硬貨が全て棒金となって棒金収納本体部２３３或いは棒金一括収納部２２４に収納されると、制御部１４１は、自動包装処理を終了する。

【0070】

自動包装処理としては、上記のように、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの収納硬貨枚数が包装開始基準値よりも大きくなった場合に行われる処理以外に、棒金処理部１２の棒金の収納量に応じて、出金ホッパ８１ａ～８１ｆから硬貨を繰り出し棒金処理部１２に搬送して棒金を作製する処理もある。この場合、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの収納硬貨枚数が、運用上必要な最小値である所定の基準値を下回らない範囲で、自動的に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆから硬貨を繰り出し棒金処理部１２に搬送して棒金を作製する。例えば、棒金処理部１２における棒金の金種別の収納量の変化から、棒金での出金が多い金種を判別し、この金種の硬貨を硬貨処理部１１から棒金処理部１２に繰り出して棒金を作製する。

【0071】

以上により、自動包装処理時には、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納されている硬貨を繰り出して、棒金処理部１２の包装部２０１へ放出する。

【0072】

「入金処理」
入金処理について図４のフローチャートを参照して説明する。図示略の操作部に入金処理実行の操作入力がなされると（ステップＳ１）、制御部１４１は、入金処理を行う（ステップＳ２）。即ち、まず、入金ホッパ３１の図示略のシャッタを開く。入金ホッパ３１内に硬貨が投入されたことを図示略のセンサで検出すると、制御部１４１は、入金ホッパ３１のシャッタを閉じ、入金ホッパ３１によって硬貨を一枚ずつ分離した状態で入金搬送部３３に繰り出し、入金搬送部３３で搬送しながら、入金識別計数部３２で真偽、金種及び正損を識別して計数する。そして、入金識別計数部３２で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金リジェクト案内部３４で入金搬送部３３から案内して入金リジェクト部３５に収容する。他方、入金識別計数部３２で受け入れ可能と識別された硬貨を貯留案内部６１で入金搬送部３３から案内して、入金貯留部本体６４及び底板６５の両方が装填位置に位置する状態の入金貯留部６２に分類して貯留させる。入金貯留部６２は、貯留区分部６３ｇに全金種の汚損硬貨を、貯留区分部６３ａに１円の正常硬貨を、貯留区分部６３ｂに５０円の正常硬貨を、貯留区分部６３ｃに５円の正常硬貨を、貯留区分部６３ｄに１００円の正常硬貨を、貯留区分部６３ｅに１０円の正常硬貨を、貯留区分部６３ｆに５００円の正常硬貨を、それぞれ貯留することになる。

【0073】

そして、入金ホッパ３１内にあった全ての硬貨が入金リジェクト部３５或いは入金貯留部６２に至ったと判定すると、制御部１４１は、入金識別計数部３２の識別結果から、受け入れ可能な入金硬貨の金種別の枚数データを図示略の表示部に表示させると共に、図示略の操作部に了解操作及びキャンセル操作の何れか一方の選択入力を受け付ける状態になって入金処理を終了する。

【0074】

「入金収納処理」
入金処理後、操作部に了解操作が入力されると、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかが、上記した硬貨出金処理或いは自動包装処理を実行中であって硬貨を繰り出す繰出処理を行っているか否かを判定する（ステップＳ３）。出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れも硬貨を繰り出す繰出処理を行っていない場合（ステップＳ３：ＮＯ）、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１への硬貨の収納処理を許容する状態になる。このため、制御部１４１は、図３に示すように入金貯留部本体６４を装填位置に保持した状態のまま底板６５を側方の収納位置に移動させて貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇに収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う（ステップＳ５）。

【0075】

この硬貨収納繰出部等収納処理によって、貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を汚損カセット８２ｇが、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を出金ホッパ８１ａが、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を出金ホッパ８１ｂが、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を出金ホッパ８１ｃが、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を出金ホッパ８１ｄが、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を出金ホッパ８１ｅが、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を出金ホッパ８１ｆが、それぞれ収納する。即ち、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆは、硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を入金収納処理時に硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納する。その後、制御部１４１は、図２に示すように、底板６５を装填位置に戻して、硬貨収納繰出部等収納処理つまり入金収納処理を終了する。その際に、制御部１４１は、この入金収納処理前の硬貨収納繰出部８１の金種別の収納硬貨枚数に、この入金収納処理直前の入金処理で計数された入金貯留部６２の金種別の貯留硬貨枚数を金種別に加算して、この入金収納処理後の硬貨収納繰出部８１の金種別の収納硬貨枚数とする（ステップＳ６）。

【0076】

入金処理後、操作部に了解操作が入力された時点で、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかが硬貨を繰り出す繰出処理を行っている場合（ステップＳ３：ＹＥＳ）、制御部１４１は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうちの繰出処理を行っているもの全てのその時点での収納硬貨枚数が、一定枚数である第１の所定枚数（例えば１００枚）以上であるか否かを判定する（ステップＳ４）。第１の所定枚数は、例えば、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの底部の硬貨排出部が、収納されている硬貨によって覆われる枚数である。

【0077】

この判定時点で、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っているもの全ての収納硬貨枚数が第１の所定枚数以上である場合（ステップＳ４：ＹＥＳ）、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１への硬貨の収納処理を許容する状態になる。このため、制御部１４１は、上記と同様、図３に示すように入金貯留部本体６４を装填位置に保持した状態のまま底板６５を側方の収納位置に移動させて貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇに収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う（ステップＳ５）。その後、制御部１４１は、図２に示すように、底板６５を装填位置に戻して、硬貨収納繰出部等収納処理つまり入金収納処理を終了する。その際に、制御部１４１は、この入金収納処理前の硬貨収納繰出部８１の金種別の収納硬貨枚数に、この入金収納処理直前の入金処理で計数された入金貯留部６２の金種別の貯留硬貨枚数を金種別に加算して、この入金収納処理後の硬貨収納繰出部８１の金種別の収納硬貨枚数とする（ステップＳ６）。

【0078】

つまり、硬貨収納繰出部８１の繰出処理中に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っているもの全ての収納硬貨枚数が第１の所定枚数以上である場合、入金貯留部６２に貯留している硬貨を硬貨収納繰出部８１に収納しても、硬貨収納繰出部８１の繰出処理で繰り出しジャムが発生する可能性が低いことから、処理時間短縮のために、硬貨収納繰出部８１の繰出処理と並行して、入金貯留部６２に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納繰出部８１に収納する。

【0079】

硬貨収納繰出部等収納処理の終了時に、制御部１４１は、今回の硬貨収納繰出部等収納処理と並行して行われていた硬貨収納繰出部８１の繰出処理が、上記した自動包装処理の繰出処理であるか否かを判定し（ステップＳ７）、自動包装処理の繰出処理でなければ（ステップＳ７：ＮＯ）、ステップＳ１に戻り、次の入金処理の実行待ちとなる。自動包装処理の繰出処理であれば（ステップＳ７：ＹＥＳ）、今回の硬貨収納繰出部等収納処理で出金ホッパ８１ａ～８１ｆにそれぞれ追加された貯留硬貨枚数を、今回の硬貨収納繰出部等収納処理と並行して行われている自動包装処理の開始時点での出金ホッパ８１ａ～８１ｆのそれぞれの収納硬貨枚数に金種別に加算して、包装開始基準値よりも所定値を超えて下回る量（例えば２００枚未満）まで減らすのに必要な、包装単位枚数或いはその倍数分の減少用繰出枚数を算出し直す。

【0080】

そして、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのそれぞれについて、包装開始基準値よりも所定値を超えて下回る量まで減らすのに必要な減少用繰出枚数が、自動包装処理開始時点よりも増加したか否かを判定する（ステップＳ８）。出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れも、減少用繰出枚数が自動包装処理開始時点よりも増加していない場合（ステップＳ８：ＮＯ）、ステップＳ１に戻り、次の入金処理の実行待ちとなる。出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかで減少用繰出枚数が自動包装処理開始時点よりも増加している場合（ステップＳ８：ＹＥＳ）は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち、減少用繰出枚数が自動包装処理開始時点よりも増加しているものについて、増加後の減少用繰出枚数の硬貨を、棒金処理部１２の包装部２０１に繰り出させる（ステップＳ９）。その結果、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち、減少用繰出枚数が自動包装処理開始時点よりも増加しているものについては、自動包装処理開始時点で算出された減少用繰出枚数分の棒金よりも、多い棒金が作成されることになる。

【0081】

ここで、ステップＳ７において、自動包装処理の繰出処理中でない場合、又は、自動包装処理が終了してしまっていた場合（ステップＳ７：ＮＯ）は、ステップＳ１に戻り、次の入金処理の実行待ちとなるが、ステップＳ６での加算結果により、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかで、収納硬貨枚数が、包装開始基準値以上となった場合には、図示せぬ自動包装ルーチンが働き、自動包装処理が再開する。

【0082】

出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っているものの何れかの収納硬貨枚数が第１の所定枚数未満である場合（ステップＳ４：ＮＯ）、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１への硬貨の収納処理を禁止する状態になる。このため、制御部１４１は、入金貯留部６２を、底板６５を装填位置に保持した状態のまま入金貯留部本体６４を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨収納部７１に収納する収納部収納処理を行う（ステップＳ１０）。

【0083】

この収納部収納処理によって、貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を収納カセット７１ｇが収納し、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を収納カセット７１ａが収納し、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を収納カセット７１ｂが収納し、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を収納カセット７１ｃが収納し、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を収納カセット７１ｄが収納し、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を収納カセット７１ｅが収納し、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を収納カセット７１ｆが収納する。その後、制御部１４１は、入金貯留部本体６４を図２に示す装填位置に戻して、収納部収納処理、即ち入金収納処理を終了する。その際に、制御部１４１は、この入金収納処理前の硬貨収納部７１の金種別の収納硬貨枚数に、この入金収納処理直前の入金処理で計数された入金貯留部６２の金種別の貯留硬貨枚数を金種別に加算して、この入金収納処理後の硬貨収納部７１の金種別の収納硬貨枚数とする（ステップＳ１１）。

【0084】

つまり、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理中に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っているものの何れかの収納硬貨枚数が第１の所定枚数未満である場合、入金貯留部６２に貯留している硬貨を硬貨収納繰出部８１に収納すると、硬貨収納繰出部８１の繰出処理で繰り出しジャムが発生する可能性が高くなることから、繰り出しジャムの発生を抑制するために、硬貨収納繰出部８１の繰出処理中は、入金貯留部６２に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納繰出部８１とは別の硬貨収納部７１に収納する。

【0085】

以上のように、入金処理で、制御部１４１は、入金ホッパ３１から入金されて入金貯留部６２に貯留された硬貨を、入金収納処理で、硬貨収納部７１と硬貨収納繰出部８１との何れかに切り替えて放出して収納する。また、入金収納処理で、制御部１４１は、硬貨収納繰出部８１に第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、硬貨収納繰出部８１から硬貨を繰り出す繰出処理と硬貨収納繰出部８１に硬貨を収納する収納処理とを並行して行う。

【0086】

なお、収納部収納処理において、硬貨収納部７１の収納カセット７１ａ～７１ｇの何れかがフル値又はニアフル値以上となっている場合、或いは、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨枚数と既に硬貨収納部７１の収納カセット７１ａ～７１ｇに収納されている硬貨枚数とを対応加算した収納硬貨枚数の何れかが、収納カセット７１ａ～７１ｇの何れか対応するもののフル値又はニアフル値以上となるなら、硬貨出金処理が終了してから、入金貯留部６２に貯留した硬貨を、硬貨収納繰出部８１へ収納する。硬貨収納部７１の収納カセット７１ａ～７１ｇの何れかがフル値又はニアフル値以上となっており、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇの対応するものがフル値又はニアフル値以上となっているなら入金処理は実行不可にする。

【0087】

また、入金貯留部６２に貯留された金種別の硬貨と、硬貨収納繰出部８１に収納されている金種別の収納硬貨枚数とを金種別に加えたものが、硬貨収納繰出部８１の金種別の上限枚数を超える金種が一つでもあるときは、入金貯留部６２に貯留された硬貨は硬貨収納部７１へ収納する。

【0088】

「入金返却処理」
入金処理後、操作部にキャンセル操作が入力されると、制御部１４１は、底板６５及び入金貯留部本体６４を収納位置に移動させた後に、入金貯留部本体６４のみを更に側方の返却位置に移動させて、貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨返却部７５に収容する。

【0089】

即ち、貯留区分部６３ｇから落下する汚損硬貨を返却区分部７５ｇが、貯留区分部６３ａから落下する１円の正常硬貨を返却区分部７５ａが、貯留区分部６３ｂから落下する５０円の正常硬貨を返却区分部７５ｂが、貯留区分部６３ｃから落下する５円の正常硬貨を返却区分部７５ｃが、貯留区分部６３ｄから落下する１００円の正常硬貨を返却区分部７５ｄが、貯留区分部６３ｅから落下する１０円の正常硬貨を返却区分部７５ｅが、貯留区分部６３ｆから落下する５００円の正常硬貨を返却区分部７５ｆが、それぞれ収容する。その後、制御部１４１は、図２に示すように、底板６５及び入金貯留部本体６４を装填位置に戻して、返却処理を終了する。この状態で、硬貨返却部７５は、図２に示す装置本体４１から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。

【0090】

以上に述べた第１実施形態の硬貨処理装置１０によれば、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、制御部１４１は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの第１の所定枚数以上の硬貨が収納されているものについては、硬貨を繰り出す繰出処理と硬貨を収納する収納処理とを並行して行うため、処理時間を短縮することができる。即ち、出金ホッパ８１ａ～８１ｆに一定枚数である第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合、既に収納している硬貨が多いため、これから収納する硬貨の落下による衝撃が加わっても、繰り出そうとする硬貨への影響が少ないため、このような場合に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの収納処理とを並行して行って、処理時間を短縮する。

【0091】

具体的には、出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納された硬貨を包装部２０１へ装填するために繰り出す自動包装処理、又は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆに収納された硬貨を硬貨出金部１０２へ出金するために繰り出す硬貨出金処理において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆから硬貨を繰り出す繰出処理中であっても、出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの硬貨の入金収納処理が並行して可能になり、ユーザの処理待ち時間が削減できる。

【0092】

また、硬貨を繰り出すことができない収納カセット７１ａ～７１ｇではなく、繰り出し可能な出金ホッパ８１ａ～８１ｆにより多くの硬貨を収納させることができるので、自動包装処理や硬貨出金処理にまわす硬貨が多くなり、硬貨の補充等の回数を削減でき、作業性が良い。

【0093】

＜第２実施形態＞
本発明の第２実施形態に係る硬貨処理装置を主に図５及び図６を参照して第１実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。

【0094】

第２実施形態においては、第１実施形態の硬貨収納部７１が設けられていない点が第１実施形態との主な相違点である。これにより、第２実施形態では、入金貯留部６２が底板６５を装填位置に保持した状態のまま入金貯留部本体６４を側方の返却位置に移動させると、硬貨返却部７５が、貯留区分部６３ａ～６３ｇから落下する硬貨をその分類状態のままで、返却区分部７５ａ～７５ｇに収納する。

【0095】

それに合わせて、制御部１４１は、入金収納処理のステップＳ４において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうちの繰出処理を行っているものの何れかの収納硬貨枚数が第１の所定枚数未満である場合（ステップＳ４：ＮＯ）、ステップＳ３に戻って繰出処理が終了するのを待機する。

【0096】

その結果、入金収納処理のステップＳ４において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうちの繰出処理を行っているものの何れかの収納硬貨枚数が第１の所定枚数未満である場合、全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理が終了した後に、又は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された全ての出金ホッパの繰出処理が終了した後に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が有ると判断された出金ホッパからの硬貨の繰出処理に並行して、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する入金収納処理を行う。

【0097】

第２実施形態のように、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨の収納先が硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇのみの場合も、第１実施形態と同様の効果を奏することができる。

【0098】

以上の第１，第２実施形態を以下の変形例１～６のように変更することができる。

【0099】

＜変形例１＞
第１，第２実施形態に対して、ステップＳ４において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された場合（ステップＳ４：ＮＯ）、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆから、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された出金ホッパに収納される硬貨が、一定の第２の所定枚数（例えば５枚）以下であるかどうか判定し、全て第２の所定枚数以下である場合は、収納する硬貨の落下による衝撃が少ないので、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。

【0100】

一方、貯留区分部６３ａ～６３ｆから出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された出金ホッパの何れかに収納される硬貨が、第２の所定枚数より多い場合、第１実施形態では、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、硬貨収納部７１の収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納する。また、この場合、第２実施形態では、全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理が終了した後に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。又は、全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された全ての出金ホッパの繰出処理が終了した後に、第１の所定枚数以上の硬貨が有ると判断された出金ホッパからの硬貨の繰出処理と並行して、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。

【0101】

即ち、変形例１では、制御部１４１が、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、貯留区分部６３ａ～６３ｆのうち、第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない出金ホッパに対応する全ての貯留区分部に一時貯留している硬貨が第２の所定枚数以下であると、貯留区分部６３ａ～６３ｆからの硬貨の落下による衝撃が加わっても、出金ホッパ８１ａ～８１ｆから繰り出そうとする硬貨への影響が少ない。このような場合に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理とを並行して行って、処理時間を短縮する。これにより、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合であっても、処理時間を短縮することができる。

【0102】

＜変形例２＞
第１，第２実施形態に対して、ステップＳ４において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された場合（ステップＳ４：ＮＯ）、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された出金ホッパから繰り出される硬貨が、一定の第３の所定枚数（例えば５枚）以下であるかどうかを判定し、全て第３の所定枚数以下である場合は、判断時点から、ほんの少し待つだけで、自動包装処理又は硬貨出金処理が終了するので、繰り出しへの影響が無くなり、硬貨の落下による衝撃を考慮しなくて良くなるので、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。第３の所定枚数は、入金収納処理開始後、硬貨の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの実際の落下までの時間で出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理が完了する枚数に設定されることになり、よって、その間は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理とを並行して行う。

【0103】

一方、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された出金ホッパの何れかから繰り出される硬貨が、第３の所定枚数より多い場合、第１実施形態では、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、硬貨収納部７１の収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納する。また、この場合、第２実施形態では、全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理が終了した後に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。又は、全ての出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された全ての出金ホッパの繰出処理が終了した後に、第１の所定枚数以上の硬貨が有ると判断された出金ホッパからの硬貨の繰出処理と並行して、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する。

【0104】

即ち、変形例２では、制御部１４１が、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない全ての出金ホッパから繰出処理で繰り出す硬貨が、第３の所定枚数以下であると、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理とを並行して行って、処理時間を短縮する。例えば、第３の所定枚数を、入金収納処理開始後、硬貨の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの実際の落下までの時間で繰出処理が完了する枚数に設定することで、その間は、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理とを並行して行うことになって処理時間を短縮することができる。

【0105】

＜変形例３＞
第２実施形態及びそれに対応する変形例１，２では、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていないことにより出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理との並行処理が不可な状態において、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理が終了した後に、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納するようにしたが、これに限定されるものではない。即ち、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理の中断時に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納するようにしても良い。例えば、自動包装処理において複数の棒金を連続して作成する際に、一の棒金を作成するための硬貨の繰り出しと、その次の棒金を作成するための硬貨の繰り出しとの間の一時的な硬貨の繰り出しの中断時に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留された硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納するようにし、収納後、出金ホッパ８１ａ～８１ｆからの硬貨の繰り出しを再開し、次の棒金を作成するようにしても良い。

【0106】

即ち、変形例３では、制御部１４１が、硬貨収納繰出部８１の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの何れかに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、自動包装処理における繰出処理の中断時に入金収納処理を行う。これにより、出金ホッパ８１ａ～８１ｆの自動包装処理における繰出処理の中断時間を利用して入金収納処理を行うことができるため、処理時間を短縮することができる。

【0107】

＜変形例４＞
第１，第２実施形態及びそれぞれに対応する変形例１，２に対して、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された繰出処理中の出金ホッパに、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆの対応するものに貯留された硬貨を収納する際に、入金貯留部６２の底板６５を動かすスピードを通常より遅くし、入金貯留部６２の入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして、硬貨を少数枚ずつ落下させるようにしても良い。これにより、収納する硬貨の落下による衝撃を少なくすることができ、出金ホッパ８１ａ～８１ｆに、貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨を収納する際に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ内の繰り出そうとする硬貨が乱れて、繰り出し不良が発生することをより確実に防止できる。

【0108】

即ち、変形例４では、制御部１４１が、出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理とを並行して行う場合、これら入金収納処理と繰出処理とを並行して行わない場合よりも低速で底板６５を開作動させる。この場合、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【0109】

＜変形例５＞
また、第１実施形態では繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が無い場合に、変形例１では更に入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨が第２の所定枚数以上である場合に、変形例２では更に繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの硬貨が第３の所定枚数以上である場合に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納している。しかし、これら何れの場合も、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納する代わりに、入金貯留部６２の底板６５を動かすスピードを、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っている全ての出金ホッパに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも遅くし、入金貯留部６２の入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして硬貨を少数枚ずつ落下させるようにし、繰出処理に影響を及ぼさないようにして、貯留区分部６３ａ～６３ｆに貯留した硬貨を、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへ収納するようにしても良い。

【0110】

即ち、変形例５では、制御部１４１が、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも低速で底板６５を開作動させて、出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理とを並行して行うことで、処理時間を短縮する。この場合、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【0111】

＜変形例６＞
更に、第２実施形態では繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が無い場合に、変形例１では更に入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨が第２の所定枚数以上である場合に、変形例２では更に繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの硬貨が第３の所定枚数以上である場合に、繰出処理が終了又は中断している間に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納している。しかし、これら何れの場合も、繰出処理が終了又は中断している間に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する代わりに、入金貯留部６２の底板６５を動かすスピードを、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも遅くし、入金貯留部６２の入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして、硬貨を少数枚ずつ落下させるようにし、繰出処理に影響を及ぼさないようにして、貯留区分部６３ａ～６３ｆに貯留した硬貨を、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへ収納するようにしても良い。この場合も、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【0112】

＜変形例７＞
第１，第２実施形態及び変形例１～６において、入金貯留部６２は、入金貯留部本体６４及び底板６５が共に硬貨収納繰出部８１上にある状態で、貯留案内部６１で案内された硬貨を一時貯留するようになっている。これにより、入金貯留部６２は、入金貯留部本体６４は停止状態とし底板６５が移動することで、底板６５を相対的に開作動させて硬貨を硬貨収納繰出部８１に収納するようになっている。これに対し、変形例７では、入金貯留部６２は、入金貯留部本体６４及び底板６５が共に硬貨収納部７１上又は硬貨返却部７５上にある状態で、貯留案内部６１で案内された硬貨を一時貯留する構成となっている。これにより、入金貯留部６２は、硬貨収納部７１上の場合、底板６５は停止状態とし入金貯留部本体６４が移動することで、入金貯留部本体６４の底部を開状態にして硬貨を硬貨収納繰出部８１に収納することになる。また、入金貯留部６２は、硬貨返却部７５上の場合、底板６５及び入金貯留部本体６４を硬貨収納部７１上に移動させた後に、底板６５は停止状態とし入金貯留部本体６４が移動することで、入金貯留部本体６４の底部を開状態にして硬貨を硬貨収納繰出部８１に収納することになる。

【0113】

変形例７の構成の場合、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち第１の所定枚数以上の硬貨が無いと判断された繰出処理中の出金ホッパに、入金貯留部６２の貯留区分部６３ａ～６３ｆの対応するものに貯留された硬貨を収納する際に、入金貯留部６２の入金貯留部本体６４を動かすスピードを通常より遅くし、入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして、硬貨を少数枚ずつ落下させるようにしても良い。これにより、収納する硬貨の落下による衝撃を少なくすることができ、出金ホッパ８１ａ～８１ｆに、貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨を収納する際に、出金ホッパ８１ａ～８１ｆ内の繰り出そうとする硬貨が乱れて、繰り出し不良が発生することをより確実に防止できる。

【0114】

即ち、制御部１４１が、出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理とを並行して行う場合、これら入金収納処理と繰出処理とを並行して行わない場合よりも低速で入金貯留部本体６４の底部を開状態にする。この場合、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【0115】

また、第１実施形態では繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が無い場合に、変形例１では更に貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨が第２の所定枚数以上である場合に、変形例２では更に繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの硬貨が第３の所定枚数以上である場合に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納している。しかし、これら何れの場合も、変形例７では、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を収納カセット７１ａ～７１ｇへ収納する代わりに、入金貯留部本体６４を動かすスピードを、出金ホッパ８１ａ～８１ｆのうち繰出処理を行っている全ての出金ホッパに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも遅くし、入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして硬貨を少数枚ずつ落下させるようにし、繰出処理に影響を及ぼさないようにして、貯留区分部６３ａ～６３ｆに貯留した硬貨を、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへ収納するようにしても良い。

【0116】

即ち、制御部１４１が、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されていない場合、第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも低速で入金貯留部本体６４の底部を開状態にし、出金ホッパ８１ａ～８１ｆへの入金収納処理と出金ホッパ８１ａ～８１ｆの繰出処理とを並行して行うことで、処理時間を短縮する。この場合、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【0117】

更に、第２実施形態では繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が無い場合に、変形例１では更に貯留区分部６３ａ～６３ｆの硬貨が第２の所定枚数以上である場合に、変形例２では更に繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆの硬貨が第３の所定枚数以上である場合に、繰出処理が終了又は中断している間に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納している。しかし、これら何れの場合も、変形例７では、繰出処理が終了又は中断している間に、貯留区分部６３ａ～６３ｇに貯留した硬貨を出金ホッパ８１ａ～８１ｆ及び汚損カセット８２ｇへ収納する代わりに、入金貯留部本体６４を動かすスピードを、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆに第１の所定枚数以上の硬貨が収納されている場合よりも遅くし、入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くして硬貨を少数枚ずつ落下させるようにし、繰出処理に影響を及ぼさないようにして、貯留区分部６３ａ～６３ｆに貯留した硬貨を、繰出処理中の出金ホッパ８１ａ～８１ｆへ収納するようにしても良い。この場合も、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数に応じて、貯留区分部６３ａ～６３ｆの貯留硬貨枚数が多くなるほど段階的に又は比例させて入金貯留部本体６４の底部を開状態にする速度を遅くすることが可能である。

【符号の説明】

【0118】

１０…硬貨処理装置、６２…入金貯留部（一時貯留部）、８１ａ～８１ｆ…出金ホッパ（収納部）、１４１…制御部。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】