(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】移動式作業台
(51)【国際特許分類】
E04G 1/34 20060101AFI20220722BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20220722BHJP
E04G 5/14 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E04G1/24 301A
E04G5/14 302A
(21)【出願番号】P 2018005617
(22)【出願日】2018-01-17
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-153729(JP,U)
【文献】特開平10-280670(JP,A)
【文献】特開2012-092617(JP,A)
【文献】米国特許第04263984(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00-7/34
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、
前記天板部の下側に位置する脚部と、
前記天板部の上側に配置され作業領域の少なくとも一部を囲む横架部を支持するための支持部材と、を有し、複数を連結させて作業領域を広くすることが可能な移動式作業台であって、
前記支持部材は、上下方向に直線状に沿った本体部と、前記支持部材を前記天板部に取り付けるための取付部を有し、
前記天板部は、前記取付部が取り付けられる被取付部を有し、
前記支持部材は、前記本体部を上下方向に沿った軸線回りに回転させることにより前記取付部および前記被取付部を介して前記天板部に着脱可能に取り付けられ、前記支持部材が前記天板部に取り付けられた状態では、前記天板部の外周縁から前記天板部の中央寄りにオフセットして配置されていることを特徴とする移動式作業台。
【請求項2】
前記支持部材は、前記取付部に設けられた取付軸が前記被取付部に設けられた取付孔に螺合されることにより、前記天板部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項3】
前記支持部材は、前記取付部に設けられた係合突起が前記被取付部に設けられた螺旋状の係合溝に係合することにより、前記天板部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項4】
前記支持部材は、前記取付部に設けられた係合突起が前記被取付部に設けられた
孔の周縁と係合することにより、前記天板部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項5】
前記脚部に連結される走行部を更に有し、
前記脚部は、4つの脚部材を有し、
前記走行部は、前記4つの脚部材にそれぞれ連結され、旋回可能なキャスターを有し、
平面視において、前記キャスターは、旋回した何れの位置であっても前記天板部に重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項6】
平面視において、前記天板部は矩形状であって、
4つの前記支持部材が、それぞれ前記天板部の4隅に着脱可能であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項7】
前記支持部材は、回動支持部を有し、
前記回動支持部は、前記横架部を回動可能に支持することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項8】
前記支持部材は、前記横架部を着脱可能に支持することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項9】
前記支持部材は、前記天板部に着脱させるための操作部を有することを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項10】
前記操作部は、前記横架部を装着させる装着部を兼ねていることを特徴とする請求項9に記載の移動式作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高所作業を行うための移動式作業台が知られている。特許文献1には、連結用の足場板を架け渡すことで、所定の広さの作業領域を確保することができる足場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように複数を連結させて作業領域を広く確保できる足場では、足場同士を隣接して配置できるようにするために、脚柱を脚立式作業台等のように傾斜させずに鉛直方向に沿って配置する。このような足場では、作業者が天板の外周縁あるいは外周縁の近くで作業すると、天板に揺れが生じる虞があり、高所作業の作業効率が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、高所作業の作業効率を向上させることができる移動式作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の移動式作業台は、天板部と、前記天板部の下側に位置する脚部と、前記天板部の上側に配置され作業領域の少なくとも一部を囲む横架部を支持するための支持部材と、を有し、複数を連結させて作業領域を広くすることが可能な移動式作業台であって、前記支持部材は、上下方向に直線状に沿った本体部と、前記支持部材を前記天板部に取り付けるための取付部を有し、前記天板部は、前記取付部が取り付けられる被取付部を有し、前記支持部材は、前記本体部を上下方向に沿った軸線回りに回転させることにより前記取付部および前記被取付部を介して前記天板部に着脱可能に取り付けられ、前記支持部材が前記天板部に取り付けられた状態では、前記天板部の外周縁から前記天板部の中央寄りにオフセットして配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高所作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の移動式作業台の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】移動式作業台の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】移動式作業台の構成の一例を示す正面図である。
【
図4】移動式作業台の構成の一例を示す側面図である。
【
図5】天板部の周辺の構成の一例を示す斜視図である。
【
図6】移動式作業台の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図8】脚部を折り畳んだ状態の一例を示す図である。
【
図11】支持部材のロック部の構成の一例を示す図である。
【
図12】作業台システムの構成の一例を示す平面図である。
【
図13】作業台システムの構成の一例を示す平面図である。
【
図14】第2の実施形態の移動式作業台の構成の一例を示す正面図である。
【
図15】第3の実施形態の取付部の構成の一例を示す図である。
【
図16】第4の実施形態の取付部の構成の一例を示す図である。
【
図17】第4の実施形態の取付部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る移動式作業台について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
移動式作業台100は、作業者が高所作業を行うための作業台である。本実施形態の移動式作業台100(作業台100)は、床面から後述する天板部110までが例えば略1000mm~略1500mmの高さであるものを想定している。
作業台100は、作業者が単体で用いたり、複数の作業台100を連結させて作業台システムとして用いたりすることができる。
【0009】
まず、単体の作業台100について説明する。
図1は、作業台100の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、作業台100の構成の一例を示す平面図である。
図3は、作業台100の構成の一例を示す正面図である。
図4は、作業台100の構成の一例を示す側面図である。
図5は、天板部110の周辺の構成の一例を示す斜視図である。
図6は、作業台100の構成の一例を示す分解斜視図である。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、前側をFr、後側をRr、右側をR、左側をLとして示している。
作業台100は、天板部110と、脚部130と、回動部150と、走行部160と、支持部200とを有する。
【0010】
天板部110は、高所作業を行う作業者の足場として機能する。上側から見て(平面視において)、天板部110は前後方向に長い矩形状である。前後方向が例えば略1500mmの長さであり、左右方向が例えば略1000mmの長さである。
天板部110は、複数の長尺状の天板部材が連結して構成される。具体的に、天板部110は、前後方向に沿って長い複数(例えば4つ)の長手部材111a~111dを左右に並べて連結し、前後から短手部材112aと短手部材112bとで挟み込みボルトやリベットを用いて固定される。なお、リベットにはブラインドリベットが含まれる。長手部材111a~111dおよび短手部材112a、112bは、例えば、アルミニウム合金製であって、シルバー色等の金属色である。
【0011】
図5は、天板部110の一部の構成および天板部110の周辺の構成の一例を示す斜視図である。なお、
図5は、支持部200を取り付ける前の状態を示している。
図5に示すように、天板部110は、作業面となる上面に滑り止めとしての複数の突起113を有する。突起113は間隔を空けて天板部110の全面に亘って形成される。突起113は上側に向かって突出し、中央に孔を有する。
【0012】
また、天板部110は、4隅に近接した位置に複数の連結部材114を有する。連結部材114は、隣接する他の作業台100を連結する部材である。ここで、
図5の拡大図で示すように、連結部材114はバー状であって、略コ字状に折曲げた形状である。
図5の実線で示すように、連結する作業台100がない場合には、連結部材114は天板部110の内部に収容される。一方、連結部材114を他の作業台100に連結するには、作業者は連結部材114を引き上げて
図5の拡大図の二点鎖線で示すように回動させることで、先端を天板部110の外周縁よりも外側に位置させる。作業者は連結部材114の先端を、他の作業台100の後述する連結孔116に上側から挿入することで、他の作業台100を連結することができる。
【0013】
また、天板部110は、外周縁に近接した位置に複数の連結孔116を有する。連結孔116は、隣接する他の作業台100の連結部材114あるいは後述するブリッジ20と連結するための孔である。
連結孔116は、長手部材111aおよび長手部材111dにそれぞれ例えば6つ、短手部材112aおよび短手部材112bにそれぞれ例えば4つ形成される(
図2を参照)。
【0014】
また、天板部110は、外周縁から天板部110の中央寄りにオフセットした位置に複数の挿入孔118a~118dを有する。挿入孔118a~118dは、支持部200を着脱可能に取り付けるときに支持部200の一部が挿入される孔である。
挿入孔118a~118dは、天板部110の4隅にそれぞれ形成される。具体的には、挿入孔118aは、天板部110の後側かつ左側に位置する。挿入孔118bは、天板部110の後側かつ右側に位置する。挿入孔118cは、天板部110の前側かつ左側に位置する。挿入孔118dは、天板部110の前側かつ右側に位置する。
本実施形態の挿入孔118a~118dは、天板部110に形成した開口孔内に筒部材120を配置することで構成される。
【0015】
図7は、
図5に示すI-I線を鉛直方向に切断して、矢印方向から見た断面図である。筒部材120は、天板部110に形成した開口孔119を補強する。筒部材120は、例えば鉄製であり、天板部110の天板部材(長手部材111a~111dおよび短手部材112a、112b)よりも硬い材質が用いられる。筒部材120は、いわゆるハトメ状であって、上側フランジ部121、下側フランジ部122を有する。筒部材120の内部が上述した挿入孔118aとなる。上側フランジ部121は開口孔119の開口縁を上側から覆い、下側フランジ部122は開口孔119の開口縁を下側から覆う。挿入孔118cの下側には、挿入孔118cと連通する取付孔123を有する被取付部としての高ナット124が、後述する回動支持部材152aに固定される。取付孔123は雌ネジを構成する。なお、挿入孔118a~118dは、それぞれ同一の構成である。
【0016】
挿入孔118a~118dは、支持部200の後述する支持部材201a~201dの取付軸219が取り付けられる度に挿入されることから、挿入孔118a~118d自体およびその周辺が、取付軸219によって傷付いたり破損したりする虞がある。したがって、筒部材120によって挿入孔118a~118dを構成することで、傷や破損を抑制することができる。また、挿入孔118a~118dが破損したときに筒部材120を取り替えることで容易に補修することができる。筒部材120は開口孔119の開口縁を内側および上側の少なくとも何れか一方から覆うことで、傷や破損を抑制することができる。
【0017】
また、筒部材120は、天板部110の天板部材の上面とは異なる色が付されている。更に、本実施形態では、4つの筒部材120のうち対角となる、挿入孔118aと挿入孔118dに対応する筒部材120同士が同じ色で着色され、挿入孔118bと挿入孔118cに対応する筒部材120同士が同じ色で着色されている。具体的には、挿入孔118aと挿入孔118dに対応する筒部材120は、例えば黒色に着色されている。一方、挿入孔118bと挿入孔118cに対応する筒部材120は、例えば白色に着色されている。このように、筒部材120に色を付すことで、作業者は挿入孔118a~118dを容易に認識することができる。更に、挿入孔118a~118dのうち対角となる挿入孔同士には、後述する支持部材201a~201dのうち同一の支持部材が取り付けられることから、作業者は何れの挿入孔118a~118dに支持部材201a~支持部材201dを取り付ければよいかを容易に判別することができる。
なお、筒部材120全体を着色する場合に限られず、上側フランジ部121の表面や挿入孔118a~118dの周囲に塗料を塗ることで着色してもよく、シールを貼付することで着色してもよい。
【0018】
次に、作業台100の脚部130について説明する。
脚部130は、天板部110の荷重を支持したり、天板部110で作業する作業者の荷重を支持したりする機能を有する。また、脚部130は、天板部110の下側に位置し、天板部110に対して回動することで、天板部110と重なり合うようにして折り畳まれる。
具体的に、脚部130は4本の脚部材131a~131dを有する。脚部材131a、131bは後側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材131aと脚部材131bとは、互いに左右方向に離れて位置する。脚部材131c、131dは前側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材131cと脚部材131dとは、互いに左右方向に離れて位置する。したがって、脚部材131a~131dは、それぞれ天板部110の4隅に近接した位置から床面に向かって延びる。
【0019】
脚部材131a~131dは、主脚132と、伸縮脚133とを有する。
主脚132は、脚部材131a~131dの主とする部材である。主脚132は、例えば、アルミニウム合金製であって、シルバー色等の金属色である。また、主脚132は、例えば、中空状または中実状の断面略矩形の部材である。主脚132は、上端に近接した位置に回動孔139を有する(
図6を参照)。回動孔139は、後述する回動軸157が挿通される。なお、脚部材131a、131bの主脚132の回動孔139は、脚部材131c、131dの主脚132の回動孔139よりも上側に位置する。
【0020】
伸縮脚133は、脚部材131a~131dを長手方向に沿って伸縮させる部材である(
図3を参照)。伸縮脚133は、主脚132の内部に嵌まり込み、主脚132の長手方向に沿って摺動可能である。伸縮脚133は、例えば、アルミニウム合金製であって、シルバー色等の金属色である。
伸縮脚133により脚部材131a~131dを伸縮させることで、天板部110の高さを調整することができる。脚部130は高さ方向に例えば、0mmから400mmまでの間を例えば略50mmや略100mmの間隔で段階的に調整することができる。また、主脚132はロック機構135を有し、ロック機構135により伸縮脚133が主脚132の下端から突出させる長さを段階的にロックする。なお、
図3に示す二点鎖線は、伸縮脚133を主脚132の下端から最も突出させるように調整してロックした状態である。
【0021】
また、脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間には、水平方向に沿って補強部材137a、137bが架け渡される。補強部材137a、137bは、脚部材131a~131dの剛性を向上させる部材である。
補強部材137a、137bは、例えば、アルミニウム合金製であって、中空状または中実状の断面略矩形または断面多角形の部材である。なお、補強部材137aと補強部材137bとは、異なる色が付されている。補強部材137aは例えばシルバー色等の金属色であり、補強部材137bは例えばゴールド色である。補強部材137bが補強部材137aと異なる色に付されているのは、伸縮脚133により補強部材137bが可動することを作業者に認識させるためである。
ここでは、脚部材131aと脚部材131bとの間に架け渡される補強部材137a、137bについて説明したが、脚部材131cと脚部材131dとの間でも、同様の構成および同様の高さに補強部材137a、137bが架け渡される。
【0022】
このように、補強部材137a、138bが脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間に架け渡されることで、脚部材131aと脚部材131bが一つのユニット、すなわち第1の脚体140Aとし、脚部材131cと脚部材131dとが一つのユニット、すなわち第2の脚体140Bとして構成される。脚部130は、一対の脚体140A、140Bが前後方向で対向するように配置される。
【0023】
次に、回動部150について説明する。
回動部150は、脚部130を天板部110に対して回動させる機能を有する。脚部130が回動部150を介して天板部110に対して回動することで、脚部130が下側に向かって延びる開脚姿勢と、脚部130が天板部110に重なり合って折り畳まれる閉脚姿勢とに変化する。
具体的には、回動部150は4つの回動体151a~151dを有する(
図6を参照)。回動体151a~151dは、それぞれ脚部材131a~131dと天板部110との間に配置される。すなわち、回動体151a~151dは、それぞれ天板部110の4隅に近接して位置する。
【0024】
まず、回動体151aについて説明する。なお、回動体151aと回動体151bとは略左右対称の構成である。
回動体151aは、回動支持部材152aと、回動軸157とを有する(
図6を参照)。
回動支持部材152aは脚部材131aの回動を支持する部材である。回動支持部材152aは、例えば、鉄製あるいはチタン製であって、シルバー色等の金属色である。
図8に示すように、回動支持部材152aは、前後方向から見て略コ字状である。回動支持部材152aは、天板部110の下面と略重なり合った状態でボルトやリベット等を用いて固定される。また、回動支持部材152aは、左右方向に沿って挿入された回動軸157を介して、脚部材131aの回動を支持する。
【0025】
次に、回動体151cについて説明する。なお、回動体151cと回動体151dとは略左右対称の構成である。回動体151cは、回動体151aの構成と異なる点を中心に説明する。
回動体151cは、回動支持部材152cと、回動軸157とを有する(
図6を参照)。
回動支持部材152cは脚部材131cの回動を支持する部材である。回動支持部材152cは、例えば、鉄製あるいはチタン製であって、シルバー色等の金属色である。
回動支持部材152cは、上述した回動支持部材152aよりも更に下側で、左右方向に沿って挿入された回動軸157を介して、脚部材131cの回動を支持する。このように、脚部材131cを回動させる位置を下側にしているのは、脚部材131cが天板部110に対して直接、重なり合うのではなく、閉脚姿勢の脚部材131aを介して重なり合うためである。すなわち、閉脚姿勢では、天板部110、脚部材131a、脚部材131cの順に重なり合うようにして、閉脚姿勢の脚部材131cを水平な状態にするために、回動させる位置を脚部材131aの前後方向の略厚み分だけ下側にオフセットさせている。
【0026】
次に、走行部160について説明する。
走行部160は、天板部110および脚部130を支持しながら作業台100を任意の位置に移動させる機能を有する。走行部160は、脚部130の下側に連結される。
具体的には、走行部160は4つのキャスター161a~161dを有する(
図5を参照)。キャスター161a~161dは、それぞれ脚部材131a~131dの下端に連結される。キャスター161a~161dは、同一の構成であることから、ここでは、キャスター161aについて説明する。
【0027】
図3および
図4に示すように、キャスター161aは、車輪部162と、支持部165と、ペダル部166とを有する。
車輪部162は、2つの車輪を有し、それぞれ独立して回転する。車輪部162が2つの車輪を有することで、一つの大きな車輪にするよりも転がり抵抗を削減でき、キャスター161aを円滑に走行させたり旋回させたりすることができる。
支持部165は、車輪部162を回転可能に支持したり、ペダル部166を上下に揺動可能に支持したりする。支持部165は、脚部材131aに対して鉛直軸の軸線回りに旋回することができる。したがって、支持部165の旋回に応じて、車輪部162およびペダル部166も同様に旋回する。また、支持部165をキャスター161aの走行方向に対して直交する方向から見たときに、車輪部162を支持する車軸の位置が旋回軸に対して走行方向にオフセットされている。
ペダル部166は、車輪部162の回転を停止させたり、停止を解除させたりするときに作業者が操作する部位である。
【0028】
車輪部162の回転を停止させたい場合、作業者はペダル部166を下側に踏み込むように操作する。ペダル部166を踏み込む操作により、ペダル部166は下側に揺動して、直接または間接的に車輪部162の2つの車輪を押圧することで車輪部162の回転を停止させることができる。また、ペダル部166は間接的に脚部材131a側に当接されることで、車輪部162が旋回できないように旋回を停止させることができる。
【0029】
車輪部162の回転を停止させることで、作業者が作業台100を移動させようとして作業台100に対して水平方向に力を掛けたとしても、車輪部162が回転しないために車輪部162と床面との間に生じる摩擦によって、作業台100を移動させることができない。すなわち、作業者は高所作業を行う場合には、走行部160のキャスター161a~161dのペダル部166を操作して、車輪部162の回転を停止させて、作業台100を移動できないようにする。このように、作業台100を移動できないようにすることで、作業者は安全に高所作業を行うことができる。
【0030】
次に、回動規制部180について説明する。
回動規制部180は、天板部110に対する脚部130の回動を規制する機能を有する。
具体的には、回動規制部180は、ステー部181a~ステー部181dを有する(
図6を参照)。ステー部181aとステー部181bは、脚部材131aと脚部材131bの回動を規制する。また、ステー部181cとステー部181dは、脚部材131cと脚部材131dの回動を規制する。
【0031】
ここでは、ステー部181aについて説明する。
図3および
図4に示すように、ステー部181aは、天板部110と上から2段目の補強部材137aとの間に亘って配置される。なお、ステー部181aとステー部181bとは略左右対称の構成である。また、ステー部181aとステー部181cとは略前後対称の構成であり、ステー部181bとステー部181dとは略前後対称の構成である。
【0032】
図8は、天板部110に対して脚部130を折り畳んだ閉脚状態を示す図である。なお、折り畳む場合には天板部110を床面に接地するようにして折り畳むことから、下側から天板部110、脚部材131a、脚部材131cの順に重なり合う。また、閉脚状態では、ステー部181aがほぼ天板部110の内部に位置し、ステー部181cの一部が天板部110の内部に位置する。
【0033】
ここで、本実施形態の作業台100は、開脚状態で脚部130が完全に鉛直方向に延出しているのではなく、安定性を向上させるために鉛直方向に対して傾斜している。
すなわち、
図3に示すように作業台100を左右方向に沿って見たときに、一対の脚体140A、140Bは、上端から下端に向かうしたがって、互いに離れるように傾斜している。
また、脚部材131aは、水平面(床面)に対して鋭角側の傾斜角度が略88度で傾斜している。同様に、脚部材131b~131dについても、水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度の角度で傾斜している。したがって、脚部材131aと脚部材131cとは下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜し、脚部材131bと脚部材131dとは下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜する。なお、脚部材131a~131dの傾斜角度は、それぞれ回動規制部180のステー部181a~181dの長さにより設定される。
【0034】
本実施形態では、
図2に示すように平面視において、脚部材131a~131dは、天板部110の外周縁からはみ出さないように配置している。換言すると、平面視において、脚部材131a~131dは、脚部材131a~131dの上端から下端までが天板部110に重なり合うように配置している。したがって、脚部材131a~131dが干渉することがないので、作業台100を壁や他の作業台100等に容易に近接させることができ、作業台100の設置の自由度を向上させることができる。
【0035】
また、脚部材131a~131dの下端には鉛直線の軸線回りに旋回可能なキャスター161a~161dが連結されている。
図3に示すように、キャスター161aが旋回して、最も外側に位置するような場合であっても、ペダル部166を含めたキャスター161aの何れの部材もが天板部110の外周縁を鉛直方向に伸ばした直線Eを外側にはみ出さないように配置している。
【0036】
次に、支持部200について説明する。
支持部200は、天板部110の上側に配置され作業領域の少なくとも一部を囲む横架部を支持する機能を有する。具体的には、支持部200は支持部材201a~201dを有する。支持部材201a~201dは、それぞれ天板部110に着脱可能に配置される。具体的には、支持部材201a~201dはそれぞれ天板部110の挿入孔118a~118dを通して取付孔123に取り付けられる。本実施形態では、支持部材201a~201dのうち、対角となる支持部材201aと支持部材201dとが同一の構成であり、対角となる支持部材201bと支持部材201cとが同一の構成である。
【0037】
まず、支持部材201aについて説明する。
図9は、支持部材201aの構成の一例を示す斜視図である。
支持部材201aは、本体部202と、回動支持部203と、第1横架部207と、第2横架部208と、操作部215と、取付部216と、を有する。
本体部202は、第1横架部207および第2横架部208を支持する支柱(ポスト)として機能する。本体部202は、例えば、アルミニウム合金製であって、シルバー色等の金属色である。また、本体部202は、例えば、断面略円形あるいは断面略矩形の中空あるいは中実の直線状に形成される。また、本体部202は、例えば、略800mm~1000mmの長さである。
【0038】
回動支持部203は、第1横架部207および第2横架部208を回動可能に支持する。回動支持部203は、例えば、鉄製あるいはアルミニウム合金製であって、シルバー色等の金属色である。回動支持部203は、本体部202の上端に近接した位置に取り付けられる。回動支持部203は、本体部202の下端から、例えば、略750mm~1000mmの位置に取り付けられる。
回動支持部203は、本体部202の外周に沿って配置される円柱状の回動部204と、第1横架部207の一端を軸着する第1軸着部205と、第2横架部208の一端を軸着する第2軸着部206とを有する。
【0039】
また、回動部204は、本体部202に固定された上リング209と下リング210との間に位置することで、本体部202の軸線回りに回動可能である。第1軸着部205および第2軸着部206は、回動部204の外周面から水平方向に沿って延出する。第1軸着部205および第2軸着部206はそれぞれ一対の平行な板状の部材である。平面視において、第1軸着部205および第2軸着部206は、本体部202の外周面に90度の間隔に離れて位置する。また、第1軸着部205および第2軸着部206は、それぞれ一対の板状の部材の間に第1横架部207の一端および第2横架部208の一端を、軸線が水平方向の軸ピン211により回動可能に軸着する。
【0040】
第1横架部207および第2横架部208は、作業領域の少なくとも一部を囲み、作業者が接触したときに接触したことを作業者に感知させる感知部(感知バー)として機能する。第1横架部207および第2横架部208は、横架部材213と、ロック部214とを有する。
横架部材213は、例えば、合成樹脂製であって、断面略矩形状の中空あるいは中実の棒(バー)状に形成される。また、横架部材213は、本体部202とは異なる色が付されている。具体的には、横架部材213は、例えば、黄色、緑色、黄緑色等であって、樹脂材料に着色剤を混合させて射出成形することで着色される。
第1横架部207の横架部材213は、第2横架部208の横架部材213よりも長さが長い。第1横架部207の横架部材213の長さは、天板部110の挿入孔118aから挿入孔118cまでの距離の半分よりも僅かに短い。一方、第2横架部208の横架部材213の長さは、挿入孔118aから挿入孔118bまでの距離の半分よりも僅かに短い。なお、本体部202の軸線が鉛直方向に沿った状態では、横架部材213はそれぞれ自重によって第1軸着部205および第2軸着部206を中心に回動し、本体部202と略平行になるように垂下する。
ロック部214は、横架部材213を水平にした状態にロックする機能を有する。なお、ロック部214については、後述する。
【0041】
操作部215は、支持部材201aを天板部110に取り付けたり、取り外したりするときに作業者が操作する部位である。操作部215は、例えば、鉄製であって、シルバー色等の金属色である。また、操作部215は、バーを環状、ここでは略ロ字状に折曲げた形状である。操作部215は、中央が水平方向に開放される開口を有する。また、操作部215は、本体部202の上端に、例えば溶接等によって固定される。したがって、操作部215と本体部202は、相対的に移動せずに一体的に構成される。
また、操作部215は、水平方向のうち最も長い幅寸法W1が、本体部202の径(直径)よりも長い。また、操作部215は、厚み方向のうち最も厚い厚み寸法W2が、本体部202の径(直径)よりも短い。なお、本実施形態の操作部215は、所定の径の線材を折曲げて形成されていることから、厚み寸法W2は一定である。操作部215は、作業者が手で握り易いように形成される。
【0042】
取付部216は、支持部材201aを天板部110に取り付ける部位である。取付部216は、ブラケット217と、取付軸219とを有する。
ブラケット217は、例えば、鉄製あるいはアルミニウム合金製であって、下端がフランジ部218によって閉塞される筒状である。ブラケット217は、本体部202の下端が上側から挿入された状態に固定される。フランジ部218は、ブラケット217(あるいは本体部202)の下端に位置する。フランジ部218は、支持部材201aが天板部110に取り付けられたときに、下面が天板部110の上面に接して接触面積を増やすことで、支持部材201aを安定した状態にすることができる。
ここで、ブラケット217は、支持部材201aの取付軸219が挿入される挿入孔118aに対応する筒部材120と同一の色が着色されている。本実施形態では、挿入孔118aに対応する筒部材120に黒色が着色されていることから、ブラケット217にも黒色が着色されている。なお、着色する位置は、ブラケット217に限られず、作業者が識別できれば、本体部202等の支持部材201aの一部に着色してもよい。また、支持部材201aの一部に塗料を塗ることで着色してもよく、シールを貼付することで着色してもよい。
【0043】
取付軸219は、フランジ部218(あるいは本体部202)の下端から下側に向かって延出する雄ネジである。取付軸219は、挿入孔118a~挿入孔118dを通して取付孔123の雌ネジに螺合される(
図7を参照)。
なお、支持部材201dは、支持部材201aと同様の構成であるために、その説明を省略する。
【0044】
次に、支持部材201bについて説明する。
図10は、支持部材201bの構成の一例を示す斜視図である。なお、以下では、支持部材201aとの差異を中心に説明し、同一の構成は、同一符号を付して説明を適宜、省略する。
支持部材201bは、本体部202と、回動支持部203と、第3横架部237と、第4横架部238と、操作部215と、取付部216と、を有する。
【0045】
回動支持部203は、回動部204と、第3横架部237の一端を軸着する第1軸着部205と、第4横架部238の一端を軸着する第2軸着部206とを有する。
第3横架部237および第4横架部238は、作業領域の少なくとも一部を囲み、作業者が接触したときに接触したことを作業者に感知させる感知部(感知バー)として機能する。第3横架部237および第4横架部238は、横架部材233を有する。ここで、第3横架部237および第4横架部238は、第1横架部207および第2横架部208と異なり、ロック部214を有していない。
横架部材233は、例えば、合成樹脂製であって、断面略矩形状の中空あるいは中実の棒(バー)状に形成される。また、横架部材233は、本体部202とは異なる色であって、支持部材201aの横架部材213と略同一の色が着色されている。具体的には、横架部材233は、例えば、黄色、緑色、黄緑色等であって、樹脂材料に着色剤を混合させて射出成形することで着色される。
【0046】
第3横架部237の横架部材233は、第4横架部238の横架部材233よりも長さが短い。第3横架部237の横架部材233の長さは、挿入孔118aから挿入孔118bまでの距離の半分よりも僅かに短い。ここで、第3横架部237の横架部材233の長さと、上述した第2横架部208の横架部材213の長さとは、略同一の長さである。一方、第4横架部238の横架部材233の長さは、挿入孔118bから挿入孔118dまでの距離の半分よりも僅かに短い。ここで、第4横架部238の横架部材233の長さはと、上述した第1横架部207の横架部材213とは、略同一の長さである。なお、本体部202の軸線が鉛直方向に沿った状態では、横架部材233はそれぞれ自重によって第1軸着部205および第2軸着部206を中心に回動し、本体部202と略平行になるように垂下する。
【0047】
また、ブラケット217は、支持部材201bの取付軸219が挿入される挿入孔118bに対応する筒部材120と同一の色が着色されている。本実施形態では、挿入孔118bに対応する筒部材120に白色が着色されていることから、ブラケット217にも白色が着色されている。なお、着色する位置は、ブラケット217に限られず、作業者が識別できれば、本体部202等の支持部材201bの一部に着色してもよい。また、支持部材201bの一部に塗料を塗ることで着色してもよく、シールを貼付することで着色してもよい。
なお、支持部材201cは、支持部材201bと同様の構成であるために、その説明を省略する。
【0048】
次に、天板部110に支持部200を取り付けて、天板部110の作業領域を横架部で囲む方法について説明する。ここでは、一台の作業台100の天板部110に支持部200を取り付ける場合について説明する。
まず、作業者は、支持部材201a~201dを準備する。なお、本実施形態では、支持部材201aと支持部材201dとが同一の構成であり、支持部材201bと支持部材201cとが同一の構成であることから、作業者は2種で一組の支持部材を二組準備する。
【0049】
次に、作業者は、支持部材201a~201dを天板部110に取り付ける。具体的には、作業者は、支持部材201a~201dの取付軸219をそれぞれ挿入孔118a~118dに上側から挿入し、取付軸219の雄ネジを取付孔123の雌ネジに螺合する。このとき、作業者は、支持部材201a~201dのブラケット217に着色された色と、挿入孔118a~118dに対応する筒部材120に着色された色とを確認し、同一の色同士になるように、支持部材201a~201dと、挿入孔118a~118dとを組み合わせる。本実施形態では、支持部材201a、201dのブラケット217が黒色であり、挿入孔118a、118dに対応する筒部材120が黒色であることから、支持部材201a、201dの取付軸219を、それぞれ挿入孔118a、118dに挿入する。また、支持部材201b、201cのブラケット217が白色であり、挿入孔118b、118cに対応する筒部材120が白色であることから、支持部材201b、201cの取付軸219を、それぞれ挿入孔118b、118cに挿入する。このように、作業者は、支持部材201a~201dを、何れの位置に取り付ければよいかを容易に判別することができる。
【0050】
作業者は、支持部材201a~201dの操作部215を保持しながら、本体部202の軸線回りに回転させることで、取付軸219の雄ネジを取付孔123の雌ネジに螺合する。このとき、操作部215は、作業者の手で保持し易い形状であることから、容易に支持部材201a~201dを回転させることができる。なお、取付軸219の雄ネジのピッチと、取付孔123の雌ネジのピッチとは通常のピッチよりも広くすることが好ましい。広いピッチの雄ネジおよび雌ネジを用いることで、取付作業の効率化を図ることができる。
作業者は、支持部材201a~201dのフランジ部218の下面がそれぞれ天板部110の上面あるいは筒部材120に接するまで螺合することで、支持部材201a~201dを天板部110に取り付けることができる。
【0051】
次に、作業者は、支持部材201a~201dのそれぞれ回動部204を本体部202の軸線回りに回動させる。
具体的には、支持部材201aについては第1軸着部205が前側、第2軸着部206が右側に位置するように、回動部204を回動させる。また、支持部材201dについては第1軸着部205が後側、第2軸着部206が左側に位置するように、回動部204を回動させる。すなわち、支持部材201a、201dのそれぞれ第1横架部207および第2横架部208を略水平にしたときに、第1横架部207が天板部110の長辺と略平行、かつ、第2横架部208が天板部110の短辺と略平行であって、平面視で第1横架部207および第2横架部208が天板部110に重なり合うように、回動部204を回動させる。
【0052】
一方、支持部材201bについては第1軸着部205が左側、第2軸着部206が前側に位置するように、回動部204を回動させる。また、支持部材201cについては第1軸着部205が右側、第2軸着部206が後側に位置するように、回動部204を回動させる。すなわち、支持部材201b、201cのそれぞれ第3横架部237および第4横架部238を略水平にしたときに、第3横架部237が天板部110の短辺と略平行、かつ、第4横架部238が天板部110の長辺と略平行であって、平面視で第3横架部237および第4横架部238が天板部110に重なり合うように、回動部204を回動させる。
このように、回動支持部203の回動部204が本体部202の軸線回りに回動可能であることから、第1横架部207と第2横架部208、および、第3横架部237と第4横架部238とを所定の位置に配置することができる。したがって、作業者は、第1横架部207~第4横架部238の位置を気にすることなく、支持部材201a~201dを天板部110に取り付けることができる。
【0053】
次に、作業者は、支持部材201aの第1横架部207と支持部材201cの第4横架部238とをそれぞれ略水平になるように保持する。このとき、第1横架部207と第4横架部238とは直線状に配置され、第1横架部207の先端と第4横架部238の先端とが僅かな隙間を介して対向する。次に、作業者は、第1横架部207のロック部214を、第4横架部238に向かって摺動させる。
【0054】
図11(a)はロック部214を摺動させる前の状態であって、第1横架部207および第4横架部238の断面図である。
図11(b)はロック部214を摺動させた後の状態であって、第1横架部207および第4横架部238の断面図である。
図11は、第1横架部207と第4横架部238とをそれぞれ略水平に保持した状態で、鉛直方向に沿って切断して左側(正面)から見た断面図である。
ロック部214は、ロック操作部材241と、摺動部材242とを有する。ロック部214は、ロックする前には第1横架部207の横架部材213側に位置し、ロックした後には第1横架部207の横架部材213および第4横架部238の横架部材233の間に位置する。
【0055】
ロック操作部材241は、例えば、合成樹脂製であって、横架部材213および横架部材233とは異なる色が付されている。ロック操作部材241は、横架部材213の外周を囲むように断面略矩形の筒状に形成される。
摺動部材242は、例えば、合成樹脂製であって、横架部材213、横架部材233およびロック操作部材241とは異なる色が付されている。摺動部材242は、横架部材213および横架部材233の内部を長手方向に沿って円滑に摺動できるように形成される。また、摺動部材242の長さは、ロック操作部材241の長さよりも長く、横架部材213の長さよりも短い。したがって、摺動部材242は、ロックする前では横架部材213から突出することなく横架部材213内に収容される。また、摺動部材242のうち第4横架部238側の上面には、係止突起243が形成される。
【0056】
ロック操作部材241と摺動部材242とはロック操作部材241の側面から締め付けられたネジ244によって結合される。したがって、ロック操作部材241と摺動部材242とは常に連動して摺動する。なお、第1横架部207の横架部材213の側面には、ロック部214が摺動するときにネジ244との干渉を防止するために長孔が摺動方向に沿って形成される。ネジ244が長孔の両端と当接することで、ロック部214の摺動方向の移動が規制される。
【0057】
作業者は、ロック操作部材241を第4横架部238側に摺動させることで、ロック操作部材241および摺動部材242が横架部材213および横架部材233に跨って位置する。このとき、摺動部材242の係止突起243は、第4横架部238の横架部材233の上面に形成された係止孔235に没入することでロックされ、摺動部材242が不用意に摺動してしまうのを防止する。このように、ロック部214の摺動部材242を横架部材213および横架部材233に跨るように位置させることで、第1横架部207および第4横架部238が直線状かつ略水平に保持される。
【0058】
同様に、作業者は、支持部材201aの第2横架部208と支持部材201bの第3横架部237についても、それぞれ略水平になるように保持し、第2横架部208のロック部214を第3横架部237に跨るように位置させることで、第2横架部208および第3横架部237が直線状かつ略水平に保持される。
同様に、作業者は、支持部材201cの第3横架部237と支持部材201dの第2横架部208についても、それぞれ略水平になるように保持し、第2横架部208のロック部214を第3横架部237に跨るように位置させることで、第2横架部208および第3横架部237が直線状かつ略水平に保持される。
最後に、作業者は、支持部材201bの第4横架部238と支持部材201dの第1横架部207についても、それぞれ略水平になるように保持し、第1横架部207のロック部214を第4横架部238に跨るように位置させることで、第1横架部207および第4横架部238が直線状かつ略水平に保持される。
【0059】
したがって、
図1~
図4に示すように、支持部材201a~201dの第1横架部207、第2横架部208、第3横架部237および第4横架部238によって天板部110の上側に形成される作業領域を四方から囲った状態にすることができる。各横架部は、天板部110の外周縁に近接して位置することから、作業者は作業領域で作業をしている場合に、体の一部が第1横架部207、第2横架部208、第3横架部237および第4横架部238の何れに接触することで、天板部110の外周縁の近辺で作業をしていることを認識することができる。なお、作業者は、上述した支持部200の取り付け方法と逆の順序によって支持部200を取り外すことができる。このように、支持部200は天板部110に対して特別な工具を用いることなく着脱可能である。
【0060】
ここで、本実施形態の作業台100は、上述したように、他の作業台100を隣接して連結できるように、平面視において、脚部材131a~131dが天板部110の外周縁からはみ出さないように配置している。このような、作業台100では、作業者が天板部110の外周縁の近辺で作業すると、天板部110に揺れが生じ易く、安定しないために高所作業の作業効率が低下してしまう。
そこで、本実施形態の作業台100は、支持部200が天板部110の外周縁から天板部110の中央寄りにオフセットして配置することで、天板部110が安定しないような天板部110の外周縁の近辺での高所作業を抑制できるように構成している。
【0061】
以下、具体的に、支持部200が配置される位置について
図2~
図4を参照して説明する。まず、
図2に示すように、平面視において、支持部200は、天板部110と重なり合う。具体的には、平面視において、支持部材201a~201d、第1横架部207、第2横架部208、第3横架部237および第4横架部238の何れもが、天板部110の外周縁から外側に、はみ出すことなく天板部110に重なり合う。更には、平面視において、支持部200は、天板部110の外周縁に近接して位置する連結孔116よりも中央寄り(内側)に配置される。
【0062】
また、
図3に示すように、正面視において、支持部材201a(あるいは支持部材201b)は天板部110の後側の外周縁から距離L1でオフセットされ、支持部材201c(あるいは支持部材201d)は天板部110の前側の外周縁から距離L1でオフセットされている。天板部110の長辺の距離/距離L1は、例えば、略8~30であることが好ましい。距離L1が短すぎるとオフセットの効果がなく、長すぎると作業領域が狭くなってしまうためである。
また、
図4に示すように、側面視において、支持部材201a(あるいは支持部材201c)は天板部110の左側の外周縁から距離L2でオフセットされ、支持部材201b(あるいは支持部材201d)は天板部110の右側の外周縁から距離L2でオフセットされている。天板部110の短辺の距離/距離L2は、例えば、略5~20であることが好ましい。距離L2が短すぎるとオフセットの効果がなく、長すぎると作業領域が狭くなってしまうためである。
なお、上述した距離L1と距離L2とは略同一の距離であってもよく、距離L1>距離L2あるいは距離L1<距離L2であってもよい。例えば、天板部110の外周縁のうち安定しない側に応じて、距離L1>距離L2あるいは距離L1<距離L2を選択することができる。
【0063】
このように、支持部材201a~支持部材201dを天板部110の外周縁から天板部110の中央寄りにオフセットすることで、第1横架部207、第2横架部208、第3横架部237および第4横架部238も、天板部110の中央寄りにオフセットされる。したがって、本実施形態の作業台100によれば、支持部200によって天板部110の外周縁に近接した高所作業を抑制することができるために、作業者は安定した高所作業を行うことができる。したがって、作業者の作業効率を向上させることができる。
【0064】
次に、作業台100を複数、連結させた作業台システムについて説明する。
図12は、作業台システム10の構成の一例を示す平面図である。
図12に示す作業台システム10は、9台の作業台100a~100iを連結した構成例である。作業台100a~100iは、それぞれ上述した作業台100と同一の構成である。
具体的には、作業台システム10は、前後方向に3台、左右方向に3台の作業台100が連結されている。このような作業台システム10によれば、作業領域を広く確保することができる。したがって、作業者は異なる位置で作業をするときに作業台100を移動させる必要がなく、更には、複数の作業者が同時に作業することができる。
【0065】
作業台システム10では、9台の作業台100a~100iの天板部110のうち作業台が連結されていない外周縁に近接した位置のみに、支持部材201a~支持部材201dを取り付ける。更に、9台の作業台100a~100iの全体で構成される作業領域を囲むように横架部を配置する。
例えば、作業台100aについては、支持部材201a、201b、201cのみを天板部110に取り付け、支持部材201aと支持部材201bとの間、および、支持部材201aと支持部材201cとの間でのみ、横架部を略水平に保持させる。なお、支持部材201bの第4横架部238および支持部材201cの第3横架部237については、垂下させたままとする。
同様に、他の作業台100b~100iについても、全体で構成される作業領域を囲むように横架部を配置する。したがって、作業台100を連結して作業領域を広くした場合であっても横架部を配置することができる。
【0066】
なお、
図12の作業台システム10は、全てを作業台100で構成する場合について説明したが、この場合に限られず、作業台100b、作業台100eあるいは作業台100hを、複数(例えば3つ)のブリッジ20に変更してもよい。ブリッジ20はいわゆる足場として機能する。すなわち、ブリッジ20と床面との間にはブリッジ20を支持する部材は存在せず、例えば、作業台100aと作業台100cがブリッジ20を支持する。ここでは、3つのブリッジ20が隙間なく並列に配置される。なお、ブリッジ20は、長手方向の長さが500mm、1000mm、1500mm、2000mm、2500mm等の種類がある。
【0067】
ここで、
図5を参照してブリッジ20について説明する。ブリッジ20は、作業台100と連結する側の端部に連結ピン22を有する。連結ピン22はブリッジ20の端部の両側に位置するブラケット21から下側に突出する。2つの連結ピン22を、それぞれ連結孔116に上側から挿入することにより、ブリッジ20が作業台100に連結される。
ブリッジ20は、天板部110と同様、例えば、ブリッジ20の4隅であって、外周縁からブリッジ20の中央寄りにオフセットした位置に複数の挿入孔118a~118dを有する。挿入孔118a~118dは、天板部110の挿入孔118a~118dと同じような構成であり、下側には取付孔123が配置される。したがって、作業台100をブリッジ20に置き換えても支持部材201a~201dを取り付けることができ、横架部を配置することができる。なお、ブリッジ20は、天板部110の長辺側に限られず、短辺側であっても連結することができる。
このように、複数の作業台100を直接またはブリッジ20を介して間接的に連結することで、作業現場に応じた作業領域を構成することができ、作業空間に応じて横架部を配置することができる。
【0068】
図13は、作業台システム30の構成の一例を示す平面図である。
図13に示す作業台システム30は、9台の作業台100a~100iを連結した構成例である。作業台100a~100iは、それぞれ上述した作業台100と同一の構成である。
図13に示す作業台システム30は、天板部110にそれぞれ支持部材201a~201を取り付け、作業者が略水平に位置させる横架部を選択することにより、作業領域を区分けすることができる。ここでは、作業台100aにより一つの作業領域、作業台100b、100cにより一つの作業領域、作業台100d~100gにより一つの作業領域、作業台100h、100iにより一つの作業領域を構成している。したがって、例えば、複数の作業者で作業する場合に、各作業者の作業領域を区分けすることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、支持部200の支持部材201a~201dがそれぞれ横架部を有する場合について説明した。本実施形態では、支持部材201a~201dをそれぞれ支持部材301a~301dに置き換えて構成する。支持部材301a~301dは、同一の構成であって、横架部を有しない。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して、その説明を省略する。
図14は、移動式作業台300(作業台300)の一例を示す正面図である。なお、
図14では、支持部材301a、301cのみについて図示している。
支持部材301a~301dは、本体部202と、操作部215と、取付部216と、を有する。すなわち、支持部材301a~301dは、回動支持部203、第1横架部207、第2横架部208、第3横架部237、第4横架部238を有していない。
【0070】
支持部材301a~301dは、横架部(感知部)としての親綱310を着脱可能に支持することができる。
親綱310は、ロープ等の綱部311と、綱部311の両端に連結された取付部としてのフック312a、312bと、緊張器313とを有する。
作業者は、フック312aを支持部材301aの操作部215の開口に挿通させ、フック312bを支持部材301cの操作部215の開口に挿通させることで、綱部311を支持部材301aと支持部材301cとの間に亘って取り付ける。このように、操作部215は、親綱310を取り付けるための装着部としての機能を兼ねている。次に、作業者は、緊張器313を用いて、綱部311を張って撓みをなくす。したがって、支持部材301aと支持部材301cとの間に綱部311を架け渡すことができる。
作業者は、同様に、支持部材301aと支持部材301bとの間、支持部材301cと支持部材301dとの間、支持部材301bと支持部材301dとの間に親綱310の綱部311を架け渡す。したがって、天板部110の上側に形成される作業領域を四方から囲った状態にすることができる。
【0071】
本実施形態の作業台300によれば、第1の実施形態と同様に、支持部によって支持された親綱310によって、天板部110の外周縁に近接した高所作業を抑制することができるために、作業者は安定した高所作業を行うことができる。したがって、作業者の作業効率を向上させることができる。
【0072】
また、第2の実施形態の作業台300は、
図12に示す作業台システム10および
図13に示す作業台システム30にも適用することができる。この場合、作業領域全体あるいは区分けされた作業領域ごとを囲むように親綱310を配置することができる。すなわち、例えば、
図12に示す作業台システム10の左側の外周縁を例にすると、作業台100aの支持部材201aを支持部材301aに置き換え、作業台100gの支持部材201cを支持部材301cに置き換える。一方、作業台100aの支持部材201c、作業台100dの支持部材201a、201cおよび作業台100gの支持部材201aは取り外す。したがって、作業台システム10の左側の外周縁には作業台100aの支持部材301aおよび作業台100gの支持部材301cのみが配置され、支持部材301aと支持部材301cとに亘って長い親綱310を架け渡すことができる。同様に、作業台システム10の前側、後側、右側の外周縁でも、作業領域全体を囲むように長い親綱310を配置することで、容易に作業台システム10を構成することができる。
【0073】
なお、長い親綱310を架け渡す場合に限られず、単に、第1横架部207と第4横架部238、第2横架部208と第3横架部237を、それぞれ親綱310に置き換えるように構成してもよい。また、綱部311はロープである場合に限られず、隣接する支持部材301a~301dの間に架け渡される部材であればよく、例えば、テープ、ベルト、チェーン等であってもよい。
【0074】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、取付軸219の雄ネジと取付孔123の雌ネジとを螺合することにより支持部材201a~201dを天板部110に取り付ける場合について説明した。本実施形態では、取付部216を取付部320に置き換え、高ナット124を被取付部330に置き換えて構成する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
図15(a)は取付部320と被取付部330の構成の一例を示す斜視図である。
図15(b)は取付部320と被取付部330の構成の一例を示す側面図および側断面図である。
取付部320は、ブラケット部321と、係合部324とが一体で構成される。取付部320は、例えば、鉄製あるいはアルミニウム合金製である。
ブラケット部321は略末広がりの円錐状あるいは山状である。ブラケット部321は、係合部324の上側に位置し、上側に開口する孔322が形成される。ブラケット部321は、本体部202の下端が上側から孔322に挿入された状態でボルトやリベット等を用いて固定される。また、
図15(b)に示すように、ブラケット部321の下面には、取付部320の軸線を中心とした環状溝323が形成される。
係合部324は略円柱状である。係合部324は、ブラケット部321の下側に位置する。また、係合部324は外周面から径方向に突出する羽根状の係合突起325を複数(例えば2つ)有する。なお、
図15には、係合突起325の一つは反対側に位置して見えないために一つの係合突起325のみが表れている。係合突起325は、取付部320の軸線に対して螺旋状に形成される。
【0076】
被取付部330は、管状部331と、鍔部334とが一体で構成される。被取付部330は、例えば、鉄製あるいはアルミニウム合金製である。
管状部331は略筒状である。管状部331は、係合部324が上側から挿入される有底孔332を有する。有底孔332は、支持部材201a~201dを天板部110に取り付けるための取付孔に相当する。また、有底孔332の内周面には、係合突起325が係合する係合溝333が複数(例えば2つ)形成される。係合溝333は被取付部330の軸線に対して螺旋状に形成される。本実施形態では、一つの係合溝333における内周面に沿った周方向の角度は、管状部331の軸線を中心にして例えば90度~180度である。
鍔部334は、管状部331の外周面から径方向に突出する。鍔部334には、ボルトやリベット等を用いて天板部110に固定されるための固定孔335を複数有する。
【0077】
ここで、被取付部330は、第1の実施形態の挿入孔118a~118dと同一の位置に配置される。具体的には、天板部110には挿入孔118a~118dに置き換えて、径が大きな挿入孔340が形成される。挿入孔340にそれぞれ被取付部330の管状部331を挿入することで、鍔部334が天板部110の上面と接した状態で配置される。この状態において、鍔部334の固定孔335にボルトやリベットを用いて天板部110に固定することで被取付部330が天板部110に固定される。
【0078】
作業者が、支持部材201a~201dを天板部110に取り付ける場合、支持部材201a~201dの係合部324をそれぞれ被取付部330の有底孔332に挿入して、軸線回りの一方向に回転させる。係合突起325は回転に応じて係合溝333に係合すると共に、係合溝333の螺旋状に沿って進入する。作業者は、係合部324の下端が有底孔332に当接するまで回転させることで、支持部材201a~201dを天板部110に取り付けることができる。このとき、管状部331の上端が、ブラケット部321の下面の環状溝323に嵌まり込むことで、支持部材201a~201dを安定して天板部110に取り付けることができる。また、一つの係合溝333における内周面に沿った周方向の角度は90度~180度であって、360度未満であることから、作業者は支持部材201a~201dを軸線回りに1回転もさせず(例えば、90度以上180度未満、90度以上270度未満あるいは90度以上360度未満)に天板部110に取り付けることができる。
【0079】
なお、本実施形態でも、支持部材201a、201dの取付部320と、支持部材201a、201dが取り付けられる被取付部330とは、例えば黒色等の同一の色で着色する。また、支持部材201b、201cの取付部320と、支持部材201b、201cが取り付けられる被取付部330とは、例えば白色等の同一の色で着色する。したがって、作業者は、支持部材201a~201dを、何れの位置に取り付ければよいかを容易に判別することができる。
また、係合突起325を係合溝333に係合した状態を安定して保持させるために、被取付部330の有底孔332の底部に付勢部材としてバネを配置して、常に係合部324を上側に向かって付勢させてもよい。このように付勢することで、係合突起325が係合溝333に強く押し当てられることから、意図せずに支持部材201a~201dが回転してしまうことを抑制でき、支持部材201a~201dの取付部320が被取付部330から外れてしまうことを防止することができる。
【0080】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、取付軸219の雄ネジと取付孔123の雌ネジとを螺合することにより支持部材201a~201dを天板部110に取り付ける場合について説明した。本実施形態では、支持部材201a、201dの取付部216を第1の取付部340Aに置き換え、支持部材201a、201dが取り付けられる高ナット124を第1の被取付部350Aに置き換えて構成する。更に、支持部材201b、201cの取付部216を第2の取付部340Bに置き換え、支持部材201b、201cが取り付けられる高ナット124を第2の被取付部350Bに置き換えて構成する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
図16(a)は第1の取付部340Aと第1の被取付部350Aの構成の一例を示す斜視図である。
図16(b)は第1の被取付部350Aの構成の一例を示す平面図である。
第1の取付部340Aは、ブラケット部341と、フランジ部342と、係合部345Aとが一体で構成される。第1の取付部340Aは、例えば、アルミニウム合金製である。
ブラケット部341は、略筒状である。ブラケット部341は、外周に支持部材201aの本体部202の下端が嵌め込まれ、フランジ部342に当接した状態でボルトやリベット等を用いて固定される。なお、支持部材201aの本体部202の外周には、例えば黒色に着色された筒状の着色部材220aが嵌め込まれた状態で固定される。着色部材220aは、例えば合成樹脂製である。
【0082】
フランジ部342は、円板状である。フランジ部342は、外周の一部にマークとして機能する切欠き状の切欠部343を有する。切欠部343は、例えば、フランジ部342の軸線の中心を挟んだ2箇所に設けられる。また、フランジ部342は、外周寄りの下面から突出するガイド突起344を有する。ガイド突起344は、例えば、フランジ部342の軸線の中心を挟んだ2箇所、具体的には切欠部343に近接して配置される。
係合部345Aは、略筒状である。係合部345Aは、ブラケット部341の下側に位置し、ブラケット部341と上下方向に連通する。また、第1の取付部340Aの係合部345Aは、外周面から径方向に突出する羽根状の係合突起346を複数(例えば2つ)有する。2つの係合突起346は、略同一の形状であって、係合部345Aの軸線の中心を挟んで位置する。係合突起346は、円周方向における一方側と他方側とで、フランジ部324までの隙間Gの距離が異なる。具体的には、係合突起346は円周方向の他方側に向かうにしたがって隙間Gを小さくなるように形成される。ここで、最も小さい隙間Gの寸法は、第1の被取付部350Aの板厚と略同一である。
【0083】
第1の被取付部350Aは、板状あるいは略円板状の部材である。第1の被取付部350Aは、例えば、アルミニウム合金製である。なお、本実施形態の第1の被取付部350Aは、支持部材201aの着色部材220aと同一の色(同一の色と認識できる色)、例えば黒色に着色される。なお、第1の被取付部350A全体を着色する場合に限られず、一部に塗料を塗ることで着色してもよく、シールを貼付することで着色してもよい。
第1の被取付部350Aは、挿通孔351Aと、ガイド孔354と、切欠部355と、固定孔356とを有する。挿通孔351Aは、中央に孔352を有し、中央を挟んだ2箇所に孔352を径方向に拡大させた拡大孔353を有する。2つの拡大孔353は、略同一の形状である。ここで、孔352には、第1の取付部340Aの係合部345Aが上側から挿通される。一方、拡大孔353には、係合突起346が上側から挿通される。挿通孔351Aは、2つの係合突起346と2つの拡大孔353とが上下方向に位置合わせした状態でしか第1の取付部340Aの係合部345Aが挿通できない形状である。
【0084】
ガイド孔354は、例えば、孔352の軸線の中心を挟んだ2箇所に配置される。ガイド孔354は、孔352の軸線を中心とした湾曲状に沿った長孔であり、ガイド突起344を湾曲状に沿ってガイドする。
切欠部355は、外周の一部にマークとして機能する切欠き状に形成される。
固定孔356は、第1の被取付部350Aを天板部110の上面にボルトやリベット等を用いて固定するための孔である。
【0085】
図17(a)は第2の取付部340Bと第2の被取付部350Bの構成の一例を示す斜視図である。
図17(b)は第2の被取付部350Bの構成の一例を示す平面図である。なお、第1の取付部340Aおよび第1の被取付部350Aの構成と同一の構成は、同一符号を付して説明を省略する。
第2の取付部340Bのブラケット部341は、外周に支持部材201bの本体部202の下端が嵌め込まれ、フランジ部342に当接した状態でボルトやリベット等を用いて固定される。なお、支持部材201bの本体部202の外周には、例えば白色に着色された筒状の着色部材220bが嵌め込まれた状態で固定される。着色部材220bは、例えば合成樹脂製である。
【0086】
係合部345Bは、略筒状である。係合部345Bは、ブラケット部341の下側に位置し、ブラケット部341と上下方向に連通する。また、第2の取付部340Bの係合部345Bは、外周面から径方向に突出する羽根状の係合突起346を、第1の取付部340Aの係合部345Aとは異なる数(例えば3つ)有する。3つの係合突起346は、それぞれ略同一の形状あるいは1つが他の2つよりも縮小または拡大した形状であって、係合部345Bの軸線を中心して均等に位置する。第2の取付部340Bの係合突起346と第1の取付部340Aの係合突起346とは、略同一の形状であってもよい。係合突起346は円周方向の他方側に向かうにしたがって隙間Gを小さくなるように形成される。ここで、最も小さい隙間Gの寸法は、第2の被取付部350Bの板厚と略同一である。
【0087】
第2の被取付部350Bは、板状あるいは略円板状の部材である。第2の被取付部350Bは、例えば、アルミニウム合金製である。なお、本実施形態の第2の被取付部350Bは、支持部材201bの着色部材220bと同一の色(同一の色と認識できる色)、例えば白色に着色される。
第2の被取付部350Bは、挿通孔351Bを有する。挿通孔351Bは、中央に孔352を有し、中央を挟んだ均等な3箇所に孔352を径方向に拡大させた拡大孔353を有する。3つの拡大孔353は、それぞれ略同一の形状あるいは1つが他の2つのよりも縮小または拡大した形状である。挿通孔351Bは、3つの係合突起346と3つの拡大孔353とが上下方向に位置合わせした状態でしか第2の取付部340Bの係合部345Bが挿通できない形状である。
【0088】
なお、第1の被取付部350Aは第1の実施形態の挿入孔118aおよび挿入孔118dと同一の位置に配置され、第2の被取付部350Bは第1の実施形態の挿入孔118bおよび挿入孔118cと同一の位置に配置される。
作業者が、支持部材201aを天板部110に取り付ける場合、支持部材201aの第1の取付部340Aの係合部345Aを第1の被取付部350Aの挿通孔351Aに挿入する。このとき、2つの係合突起346と2つの拡大孔353とが上下方向に位置合わせした状態でのみ係合部345Aが挿通孔351Aに挿入される。また、ガイド突起344はガイド孔354に挿入される。なお、作業者が誤って支持部材201bの第2の取付部340Bの係合部345Bを第1の被取付部350Aの挿通孔351Aに挿入しようとしても、3つの係合突起346と2つの拡大孔353とで位置合わせすることができないことから、誤った取り付けを防止することができる。
【0089】
次に、作業者は、支持部材201aを軸線回りの一方向に回転させる。係合突起346は回転に応じて隙間Gに第1の被取付部350Aの孔352の周縁が挟み込まれることで、支持部材201aが上側に抜け出すことを防止する。
図16(b)では回転させた後の係合突起346の位置を二点鎖線で示している。作業者は、ガイド突起344がガイド孔354の端部に当接するまで支持部材201aを例えば90度、回転させることで、支持部材201aを天板部110に取り付けることができる。このとき、作業者は、第1の取付部340Aの切欠部343と、第1の被取付部350Aの切欠部355とがフランジ部342の径方向に沿って配列されていることを視認することで、支持部材201aの第1の取付部340Aが天板部110の第1の被取付部350Aに取り付けられていることを認識できる。
同様にして、作業者は、支持部材201dを天板部110に取り付けることができる。
【0090】
作業者が、支持部材201bを天板部110に取り付ける場合、支持部材201bの第2の取付部340Bの係合部345Bを第2の被取付部350Bの挿通孔351Bに挿入する。このとき、3つの係合突起346と3つの拡大孔353とが上下方向に位置合わせした状態でのみ係合部345Bが挿通孔351Bに挿入される。また、ガイド突起344はガイド孔354に挿入される。なお、作業者が誤って支持部材201aの第1の取付部340Aの係合部345Aを第2の被取付部350Bの挿通孔351Bに挿入しようとしても、2つの係合突起346と3つの拡大孔353とで位置合わせすることができないことから、誤った取り付けを防止することができる。
【0091】
次に、作業者は、支持部材201bを軸線回りの一方向に回転させる。係合突起346は回転に応じて隙間Gに第2の被取付部350Bの孔352の周縁が挟み込まれることで、支持部材201bが上側に抜け出すことを防止する。
図17(b)では回転させた後の係合突起346の位置を二点鎖線で示している。作業者は、ガイド突起344がガイド孔354の端部に当接するまで支持部材201bを例えば90度、回転させることで、支持部材201bを天板部110に取り付けることができる。このとき、作業者は、第2の取付部340Bの切欠部343と、第2の被取付部350Bの切欠部355とがフランジ部342の径方向に沿って配列されていることを視認することで、支持部材201bの第2の取付部340Bが天板部110の第2の被取付部350Bに取り付けられていることを認識できる。
【0092】
このように、本実施形態によれば、係合部345Aと挿通孔351Aとの間、および、係合部345Bと挿通孔351Bとの間でしかそれぞれ挿入できないように構成されることで、作業者が誤った取り付けを防止することができる。
なお、係合部345Aと挿通孔351Aとの間、および、係合部345Bと挿通孔351Bとの間でしかそれぞれ挿入できないように構成されていればよく、係合部346および拡大孔353は上述した数に限定されない。
【0093】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、各実施形態に組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、脚部材131a~131dが水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度で傾斜している場合について説明したが、この場合に限られず、例えば、90度よりも小さく、80度よりも大きい角度、好ましくは85度よりも大きい角度で傾斜していてもよく、90度であってもよい。
上述した実施形態では、車輪部162が2つの車輪を有する場合について説明したが、この場合に限られず、1つの車輪のみを有していてもよい。
【0094】
上述した実施形態では、脚部材131a~131dは伸縮脚133を有する場合について説明したが、この場合に限られず、伸縮脚133を有していなくてもよい。
なお、本実施形態では、支持部200が、天板部110の外周縁から天板部110の中央寄りにオフセットして配置されている場合について説明したが、この場合に限られず、課題等に応じて適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
100:移動式作業台 110:天板部 130:脚部 131a~131d:脚部材 150:回動部 160:走行部 161a~161d:キャスター 200:支持部 201a~201d:支持部材 207:第1横架部 208:第2横架部 213:横架部材 215:操作部 233:横架部材 237:第3横架部 238:第4横架部