(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】物品移載装置及び物品移載システム
(51)【国際特許分類】
B65B 35/38 20060101AFI20220722BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20220722BHJP
B65B 1/16 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B65B35/38
A23L5/00 G
B65B1/16
(21)【出願番号】P 2018079839
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】大林 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 眞悟
(72)【発明者】
【氏名】山中 文浩
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 清作
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-187807(JP,A)
【文献】実開平07-009835(JP,U)
【文献】特開平01-101855(JP,A)
【文献】米国特許第4800703(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/38
A23L 5/00
B65B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインに沿って搬送される容器に、物品群から物品の一部を移載する物品移載装置であって、
前記物品群が載置される載置部と、
少なくとも前記搬送ラインの上方と前記搬送ラインの側方との間において前記載置部を移動させる第1駆動機構と、
前記物品群から前記物品の一部を保持する保持部と、
少なくとも前記搬送ラインの上方において少なくとも鉛直方向に前記保持部を移動させる第2駆動機構と、
前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御する制御部と、を備える、物品移載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送ラインの上方に前記載置部が位置する状態で前記保持部が前記物品群から前記物品の一部を保持し、前記容器の直上に前記保持部が位置する状態で前記搬送ラインの側方に前記載置部が移動し、前記保持部が前記物品の一部を前記容器に移載するように、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御する、請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記載置部に載置される前記物品群の状態を調整する調整部を更に備える、請求項1又は2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記調整部を動作させる第3駆動機構を更に備え、
前記制御部は、前記搬送ラインの上方と前記搬送ラインの側方との間を前記載置部が移動する際に前記調整部が前記物品群の状態を調整するように、前記第3駆動機構を制御する、請求項3に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記調整部は、板状部材を有し、
前記制御部は、前記板状部材が前記物品群を前記載置部の端に寄せるように、前記第3駆動機構を制御する、請求項4に記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記調整部は、複数の棒状部材を有し、
前記制御部は、前記複数の棒状部材が前記物品群に挿入された状態で移動するように、前記第3駆動機構を制御する、請求項4又は5に記載の物品移載装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記搬送ラインの上方と前記搬送ラインの側方との間に固定され、前記搬送ラインの上方と前記搬送ラインの側方との間における前記載置部の移動に連動して前記物品群の状態を調整する、請求項3に記載の物品移載装置。
【請求項8】
前記調整部は、板状部材及び複数の棒状部材の少なくとも一方を有する、請求項7に記載の物品移載装置。
【請求項9】
前記載置部に載置される前記物品群の状態を検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記物品群の状態が所定状態となるように前記第1駆動機構を制御する、請求項3~8のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項10】
前記検知部は、前記載置部に載置される前記物品群の状態として当該物品群の高さを検知し、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記物品群の高さが所定高さ以上となるように前記第1駆動機構を制御する、請求項9に記載の物品移載装置。
【請求項11】
前記載置部に載置される前記物品群の状態を検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置される前記物品群における保持領域を決定し、当該保持領域で前記保持部が前記物品の一部を保持するように前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の少なくとも一方を制御する、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項12】
前記検知部は、前記載置部に載置される前記物品群の状態として当該物品群の高さを検知し、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置される前記物品群において所定高さ以上の領域を前記保持領域と決定し、当該保持領域で前記保持部が前記物品の一部を保持するように前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の少なくとも一方を制御する、請求項11に記載の物品移載装置。
【請求項13】
前記第2駆動機構は、前記搬送ラインの上方において、前記鉛直方向に前記保持部を移動させると共に、前記搬送ラインに沿って前記保持部を移動させ、
前記制御部は、前記保持部が前記物品の一部を前記容器に移載する際に、搬送される前記容器の直上に前記保持部が位置し続けるように、前記第2駆動機構を制御する、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項14】
搬送ラインに沿って搬送される容器に、物品群から物品の一部を移載する物品移載システムであって、
前記搬送ラインに沿って前記容器を搬送する搬送部と、
前記物品群が載置される載置部と、
少なくとも前記搬送ラインの上方と前記搬送ラインの側方との間において前記載置部を移動させる第1駆動機構と、
前記物品群から前記物品の一部を保持する保持部と、
少なくとも前記搬送ラインの上方において少なくとも鉛直方向に前記保持部を移動させる第2駆動機構と、
前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を制御する制御部と、を備える、物品移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移載装置及び物品移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品移載装置として、特許文献1は、食品を搬送するコンベアと、皿の上方において食品が載置されるスライド板と、スライド板がスライドする際に皿の上方に食品を停止させるストッパと、皿に対して食品を押さえ込む押さえ板と、を備えるスライド式盛付装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したスライド式盛付装置は、定形の食品を1つずつ皿に盛りつけることは可能と考えられるが、ゴマ、刻みネギ、パスタ等の非定形の物品群から物品の一部を定量ずつ皿に盛りつけることはできない。
【0005】
本発明は、定形か非定形かを問わず、物品群から物品の一部を容器に確実に移載できる物品移載装置及び物品移載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品移載装置は、搬送ラインに沿って搬送される容器に、物品群から物品の一部を移載する物品移載装置であって、物品群が載置される載置部と、少なくとも搬送ラインの上方と搬送ラインの側方との間において載置部を移動させる第1駆動機構と、物品群から物品の一部を保持する保持部と、少なくとも搬送ラインの上方において少なくとも鉛直方向に保持部を移動させる第2駆動機構と、第1駆動機構及び第2駆動機構を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この物品移載装置では、搬送ラインの上方に載置部が位置する状態で保持部が物品群から物品の一部を保持し、容器の直上に保持部が位置する状態で搬送ラインの側方に載置部が移動し、保持部が物品の一部を容器に移載する、という動作を実施できる。特に、容器の直上に保持部が位置する状態で搬送ラインの側方に載置部が移動することで、搬送ラインにおける容器外の領域に物品が落下するのを抑制できる。よって、この物品移載装置によれば、定形か非定形かを問わず、物品群から物品の一部を容器に確実に移載できる。
【0008】
本発明の物品移載装置では、制御部は、搬送ラインの上方に載置部が位置する状態で保持部が物品群から物品の一部を保持し、容器の直上に保持部が位置する状態で搬送ラインの側方に載置部が移動し、保持部が物品の一部を容器に移載するように、第1駆動機構及び第2駆動機構を制御してもよい。このように制御することで、上述のとおり、定形か非定形かを問わず、物品群から物品の一部を容器に確実に移載できる。
【0009】
本発明の物品移載装置は、載置部に載置される物品群の状態を調整する調整部を更に備えてもよい。特に、物品群が非定形である場合に、載置部に載置される物品群の状態を調整することで、保持部が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0010】
本発明の物品移載装置は、調整部を動作させる第3駆動機構を更に備え、制御部は、搬送ラインの上方と搬送ラインの側方との間を載置部が移動する際に調整部が物品群の状態を調整するように、第3駆動機構を制御してもよい。このように制御することで、載置部に載置される物品群の状態を効率良く調整できる。
【0011】
本発明の物品移載装置では、調整部は、板状部材を有し、制御部は、板状部材が物品群を載置部の端に寄せるように、第3駆動機構を制御してもよい。例えば、物品群が粒状物の集合である場合に、板状部材が物品群を載置部の端に寄せることで、保持部が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0012】
本発明の物品移載装置では、調整部は、複数の棒状部材を有し、制御部は、複数の棒状部材が物品群に挿入された状態で移動するように、第3駆動機構を制御してもよい。例えば、物品群が麺類の集合である場合に、複数の棒状部材が物品群に挿入された状態で移動することで、保持部が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0013】
本発明の物品移載装置では、調整部は、搬送ラインの上方と搬送ラインの側方との間に固定され、搬送ラインの上方と搬送ラインの側方との間における載置部の移動に連動して物品群の状態を調整してもよい。これにより、単純な構成で、載置部に載置される物品群の状態を調整できる。
【0014】
本発明の物品移載装置では、調整部は、板状部材及び複数の棒状部材の少なくとも一方を有してもよい。例えば、物品群が粒状物の集合である場合に、板状部材が物品群を載置部の端に寄せることで、保持部が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。また、例えば、物品群が麺類の集合である場合に、複数の棒状部材が物品群に挿入されることで、保持部が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0015】
本発明の物品移載装置は、載置部に載置される物品群の状態を検知する検知部を更に備え、制御部は、検知部の検知結果に基づいて、物品群の状態が所定状態となるように第1駆動機構を制御してもよい。これにより、載置部に載置される物品群の状態を、保持部が物品の一部を保持し易い状態に維持できる。
【0016】
本発明の物品移載装置では、検知部は、載置部に載置される物品群の状態として当該物品群の高さを検知し、制御部は、検知部の検知結果に基づいて、物品群の高さが所定高さ以上となるように第1駆動機構を制御してもよい。これにより、載置部に載置される物品群の高さを、保持部が物品の一部を保持し易い高さに維持できる。
【0017】
本発明の物品移載装置は、載置部に載置される物品群の状態を検知する検知部を更に備え、制御部は、検知部の検知結果に基づいて、載置部に載置される物品群における保持領域を決定し、当該保持領域で保持部が物品の一部を保持するように第1駆動機構及び第2駆動機構の少なくとも一方を制御してもよい。これにより、保持部が物品の一部を確実に保持できる。
【0018】
本発明の物品移載装置では、検知部は、載置部に載置される物品群の状態として当該物品群の高さを検知し、制御部は、検知部の検知結果に基づいて、載置部に載置される物品群において所定高さ以上の領域を保持領域と決定し、当該保持領域で保持部が物品の一部を保持するように第1駆動機構及び第2駆動機構の少なくとも一方を制御してもよい。これにより、保持部が物品の一部を確実に保持できる。
【0019】
本発明の物品移載装置では、第2駆動機構は、搬送ラインの上方において、鉛直方向に保持部を移動させると共に、搬送ラインに沿って保持部を移動させ、制御部は、保持部が物品の一部を容器に移載する際に、搬送される容器の直上に保持部が位置し続けるように、第2駆動機構を制御してもよい。この場合、容器の搬送を停止させなくても、搬送ラインにおける容器外の領域に物品が落下するのを抑制しつつ、物品の一部を容器に確実に移載できる。
【0020】
本発明の物品移載システムは、搬送ラインに沿って搬送される容器に、物品群から物品の一部を移載する物品移載システムであって、搬送ラインに沿って容器を搬送する搬送部と、物品群が載置される載置部と、少なくとも搬送ラインの上方と搬送ラインの側方との間において載置部を移動させる第1駆動機構と、物品群から物品の一部を保持する保持部と、少なくとも搬送ラインの上方において少なくとも鉛直方向に保持部を移動させる第2駆動機構と、第1駆動機構及び第2駆動機構を制御する制御部と、を備えてもよい。
【0021】
この物品移載システムによれば、上述のとおり、定形か非定形かを問わず、物品群から物品の一部を容器に確実に移載できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、定形か非定形かを問わず、物品群から物品の一部を容器に確実に移載できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に示される物品移載装置の平面図である。
【
図3】
図1に示される物品移載装置の一部の斜視図である。
【
図4】
図1に示される物品移載装置の保持部の斜視図である。
【
図6】動作を説明するための物品移載装置の側面図である。
【
図7】動作を説明するための物品移載装置の平面図である。
【
図8】動作を説明するための物品移載装置の側面図である。
【
図9】動作を説明するための物品移載装置の側面図である。
【
図10】動作を説明するための物品移載装置の側面図である。
【
図11】動作を説明するための物品移載装置の側面図である。
【
図12】一実施形態の物品移載システムの平面図である。
【
図13】他の実施形態の物品移載システムの平面図である。
【
図14】トラッキング制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[物品移載装置の構成]
【0025】
図1及び
図2に示されるように、物品移載装置10は、搬送ライン2に沿って搬送される容器Cに、物品群Sから物品の一部を移載する。より具体的には、物品移載装置10は、搬送部3によって順次搬送されてくる各容器Cに、物品(例えば、粉状物)の集合である物品群Sから物品の一部を定量ずつ移載する。本実施形態では、搬送部3が有する搬送コンベア4の搬送面4aが搬送ライン2に相当する。
【0026】
物品移載装置10は、フレーム20、第1駆動機構30、第2駆動機構40、第3駆動機構50、載置部60、保持部70、調整部80及び制御部90を備える。以下、水平方向のうち搬送ライン2に平行な方向をX軸方向、水平方向のうち搬送ライン2に垂直な方向をY軸方向、鉛直方向をZ軸方向として、各構成について詳細に説明する。
【0027】
フレーム20は、搬送コンベア4に対して所定位置に設置される。フレーム20は、第1駆動機構30、第2駆動機構40及び第3駆動機構50を支持する。フレーム20において、第1駆動機構30、第2駆動機構40及び第3駆動機構50のそれぞれの位置は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれの方向に調整可能である。
【0028】
第1駆動機構30は、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間において載置部60を移動させる。つまり、第1駆動機構30は、搬送コンベア4の搬送面4aよりも高い位置において、Y軸方向に載置部60を移動させる。第1駆動機構30は、リニアガイド31及び電動アクチュエータ32を有する。リニアガイド31は、レール及びスライダによって構成される。リニアガイド31のレールは、フレーム20に取り付けられ、Y軸方向にリニアガイド31のスライダを案内する。電動アクチュエータ32は、フレーム20に取り付けられ、リニアガイド31のスライダをY軸方向に移動させる。
【0029】
載置部60は、リニアガイド31のスライダに取り付けられる。載置部60には、物品群Sが載置される。本実施形態では、物品群Sが収容されたトレイTが載置部60に載置される。ただし、載置部60自体がトレイ状の形状を呈し、物品群Sが載置部60に直接載置されてもよい。
【0030】
第2駆動機構40は、搬送ライン2の上方においてZ軸方向に保持部70を移動させる。第2駆動機構40は、リニアガイド41及び電動アクチュエータ42を有する。リニアガイド41は、レール及びスライダによって構成される。リニアガイド41のレールは、フレーム20に取り付けられ、Z軸方向にリニアガイド41のスライダを案内する。電動アクチュエータ42は、フレーム20に取り付けられ、リニアガイド41のスライダをZ軸方向に移動させる。
【0031】
保持部70は、リニアガイド41のスライダに取り付けられる。保持部70は、物品群Sから物品の一部を保持する。より具体的には、保持部70は、物品(例えば、粉状物)の集合である物品群Sから、物品の一部である定量の物品を保持する。
【0032】
第3駆動機構50は、調整部80が有する板状部材81をY軸方向に移動させる。第3駆動機構50は、板状部材81をY軸方向に移動させるための構成として、リニアガイド51及び電動アクチュエータ52を有する。リニアガイド51は、レール及びスライダによって構成される。リニアガイド51のレールは、リニアガイド31のスライダに取り付けられ、Y軸方向にリニアガイド51のスライダを案内する。電動アクチュエータ52は、リニアガイド31のスライダに取り付けられ、リニアガイド51のスライダをY軸方向に移動させる。
【0033】
第3駆動機構50は、調整部80が有する複数の棒状部材82をX軸方向及びZ軸方向に移動させる。第3駆動機構50は、複数の棒状部材82をX軸方向に移動させるための構成として、リニアガイド53及び電動アクチュエータ54を有する。リニアガイド53は、レール及びスライダによって構成される。リニアガイド53のレールは、フレーム20に取り付けられ、X軸方向にリニアガイド53のスライダを案内する。電動アクチュエータ54は、フレーム20に取り付けられ、リニアガイド53のスライダをX軸方向に移動させる。
【0034】
第3駆動機構50は、複数の棒状部材82をZ軸方向に移動させるための構成として、リニアガイド55及び電動アクチュエータ56を有する。リニアガイド55は、レール及びスライダによって構成される。リニアガイド55のレールは、リニアガイド53のスライダに取り付けられ、Z軸方向にリニアガイド55のスライダを案内する。電動アクチュエータ56は、リニアガイド53のスライダに取り付けられ、リニアガイド55のスライダをZ軸方向に移動させる。
【0035】
制御部90は、第1駆動機構30、第2駆動機構40及び第3駆動機構50を制御する。より具体的には、制御部90は、各電動アクチュエータ32,42,52,54,56を制御する。一例として、制御部90は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイスを含むコンピュータ装置として構成される。その場合、制御部90では、プロセッサが、メモリ等に読み込まれた所定のソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる制御装置間での通信を制御することで、制御部90の機能が実現される。
【0036】
図3に示されるように、調整部80が有する板状部材81は、リニアガイド51のスライダに取り付けられる。板状部材81は、電動アクチュエータ52(
図2参照)によってリニアガイド51のスライダと共にY軸方向に移動させられ、物品群SをトレイT内の端(載置部60の端)に寄せる。調整部80が有する複数の棒状部材82は、リニアガイド55のスライダに取り付けられる。複数の棒状部材82は、電動アクチュエータ56によってリニアガイド55のスライダと共にZ軸方向に移動させられ、物品群Sに挿入される。その状態で、複数の棒状部材82は、電動アクチュエータ54によってリニアガイド53のスライダと共にX軸方向に移動させられ、物品群Sをほぐしたりならしたりする。このように、調整部80は、第3駆動機構50によって動作させられ、トレイTに収容された物品群Sの状態を調整する。なお、隣り合う棒状部材82間の距離は、調整可能である。
[保持部の構成]
【0037】
保持部70の構成について説明する。
図4及び
図5に示されるように、保持部70は、ノズル71、フィルタ72及びヘッド73を有する。ノズル71は、第1開口部71a及び第2開口部71bを有する筒体である。ノズル71には、第1開口部71a及び第2開口部71bに連通する収納空間74が形成される。第2開口部71bの内側には、段差部71c及び雌ネジ部71dが設けられる。収納空間74は第1開口部71aと同径であり、第2開口部71bは第1開口部71a及び収納空間74よりも大径である。段差部71cは、第2開口部71bが収納空間74に対して拡径されることで形成される。
【0038】
フィルタ72は、第2開口部71bを塞ぎ、収納空間74を画定する。フィルタ72は、複数の孔72aが形成された板材である。各孔72aは、移載対象となる物品群を構成する物品が通過し得ないサイズを有する。つまり、フィルタ72は、空気流を通過させ、移載対象となる物品群を通過させない。複数の孔72aは、フィルタ72のうち少なくとも収納空間74に臨む領域において一様に(等ピッチで)分布する。フィルタ72は、第2開口部71bと略同径であり、段差部71cに配置される。
【0039】
ヘッド73は、リニアガイド41のスライダ(
図2参照)に着脱可能に取り付けられる。ノズル71及びフィルタ72は、ヘッド73に着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、ヘッド73の下端部の外側に設けられた雄ネジ部73aに、ノズル71の雌ネジ部71dが螺合されることで、ノズル71の第1開口部71aが下方に向いた状態で、ヘッド73にノズル71及びフィルタ72が取り付けられる。このとき、ヘッド73の下端部がスペーサ75を介してフィルタ72の外縁部をノズル71の段差部71cに押圧することで、フィルタ72が段差部71cに位置決めされる。
【0040】
スペーサ75は、円形環状の部材である。スペーサ75の外径は第2開口部71bと略同径であり、スペーサ75の内径は第1開口部71a及び収納空間74よりも大径である。なお、スペーサ75と伴に或いはスペーサ75に替えてOリングがノズル71の段差部71cに配置されてもよい。また、スペーサ75、Oリング等が用いられずに、ヘッド73の下端部がフィルタ72の外縁部を直接押圧する構成が採用されてもよい。
【0041】
ヘッド73には、本流路76、第1分岐流路77及び第2分岐流路78が形成される。本流路76は、Z軸方向に延在する。本流路76は、ヘッド73の下端部において下側に開口し、ノズル71の第2開口部71bに接続される。本流路76における第2開口部71bとは反対側の端部には、ドレンホース(図示省略)が間接的に(つまり、他の配管を介して)又は直接的に接続される。第1分岐流路77は、本流路76から分岐し、ヘッド73の側方に開口する。第2分岐流路78は、第1分岐流路77よりも下側において本流路76から分岐し、ヘッド73の側方に開口する。
【0042】
保持部70では、本流路76及び第1分岐流路77によってノズル71に吸引空気流が発生させられ、本流路76及び第2分岐流路78によってノズル71に吐出空気流が発生させられる。吸引空気流は、第1開口部71aから収納空間74を介して第2開口部71bに至る空気流である。吐出空気流は、第2開口部71bから収納空間74を介して第1開口部71aに至る空気流である。
【0043】
これらの空気流の発生タイミング等は、第1分岐流路77及び第2分岐流路78のそれぞれに接続された流量調整部(図示省略)が制御部90(
図1参照)によって制御されることで、調整される。一例として、保持部70が物品を保持する場合には、ノズル71に吸引空気流が発生させられ、その状態で、ノズル71の第1開口部71aが物品群Sに接触させられて、ノズル71の収納空間74が物品によって満たされる。これにより、収納空間74の容積に相当する定量の物品が保持部70によって保持される。保持部70が物品を排出する場合には、ノズル71の第1開口部71aが移載先の直上の近傍位置に移動させられ、その位置で、ノズル71に吐出空気流が発生させられて、ノズル71の収納空間74から物品が排出される。
【0044】
なお、ノズル71は、ヘッド73に対して着脱可能であるため、保持すべき物品の量、移載先の形状等に応じて、適切な形状を呈するノズル71を選択できる。同様に、フィルタ72も、ヘッド73に対して着脱可能であるため、保持すべき物品のサイズ等に応じて、適切な形状を呈するフィルタ72を選択できる。
[制御部による制御]
【0045】
制御部90による制御について説明する。まず、制御部90は、
図6及び
図7に示されるように、搬送コンベア4の搬送面4a(搬送ライン2)の上方にトレイT(載置部60)が位置するように、第1駆動機構30を制御する。続いて、制御部90は、
図8及び
図9に示されるように、搬送面4aの上方にトレイTが位置する状態で保持部70が物品群Sから物品の一部を保持するように、第2駆動機構40を制御する。より具体的には、制御部90は、保持部70に吸引空気流が発生するように、流量調整部を制御する。そして、制御部90は、保持部70に吸引空気流が発生した状態で、物品群Sに保持部70が接触し、所定時間の接触後、物品群Sから保持部70が離れるように、第2駆動機構40を制御する。これにより、定量の物品が保持部70によって保持される。
【0046】
続いて、搬送コンベア4による容器Cの搬送が停止させられ、制御部90は、
図10に示されるように、容器Cの直上に保持部70が位置する状態で搬送コンベア4の搬送面4aの側方にトレイTが移動するように、第1駆動機構30を制御する。このとき、制御部90は、板状部材81が物品群SをトレイT内の端に寄せるように、第3駆動機構50を制御する。なお、例えば、物品群Sに粘度があり、物品群Sをほぐしたりならしたりする必要がある場合には、制御部90は、複数の棒状部材82が物品群Sに挿入された状態で移動するように(例えば、X軸方向において揺動するように)、第3駆動機構50を制御する。
【0047】
続いて、制御部90は、
図11に示されるように、容器Cが保持部70の直下に停止させられた状態で保持部70が物品の一部を容器Cに移載するように、第2駆動機構40を制御する。より具体的には、制御部90は、保持部70に吸引空気流が発生した状態で容器Cの直上の近傍位置に保持部70が位置するように、第2駆動機構40を制御する。そして、制御部90は、容器Cの直上の近傍位置に保持部70が位置する状態で保持部70に吐出空気流が発生するように、流量調整部を制御する。これにより、定量の物品が保持部70から容器Cに排出される。続いて、搬送コンベア4による容器Cの搬送が再開され、制御部90は、
図1及び
図2に示されるように、搬送コンベア4の搬送面4a(搬送ライン2)の上方に保持部70が位置するように、第2駆動機構40を制御する。以降、搬送コンベア4によって順次搬送されてくる各容器Cに対し、上述した制御が繰り返し実施される。
[物品移載システムの構成]
【0048】
図12に示されるように、物品移載システム1は、搬送部3と、複数の物品移載装置10と、を備える。複数の物品移載装置10は、搬送ライン2(すなわち、搬送部3が有する搬送コンベア4の搬送面4a)に沿って設置される。一例として、物品移載システム1は、搬送部3によって順次搬送されてくる各容器Cに、物品として複数種の食品を移載する。複数種の食品は、例えば、ゴマ等の粒状物、パスタ等の麺類、ハンバーグ等の固形物であり、それぞれ、容器Cにおいて決められた領域に移載される。
【0049】
物品移載装置10は、物品群Sが非定形物(例えば、ゴマ等の粒状物、パスタ等の麺類)の集合である場合、物品群Sから物品の一部を定量ずつ移載する。移載対象がゴマ等の粒状物の集合である場合には、上述した保持部70が適切である。移載対象がパスタ等の麺類の集合である場合には、例えば、先端が櫛歯形状を呈するトングが保持部70として適切である。また、物品移載装置10は、物品群Sが定形物(例えば、ハンバーグ等の固形物)の集合である場合、物品群Sから物品の一部を定数ずつ移載する。その場合には、例えば、トングが保持部70として適切である。このように、各物品移載装置10は、自装置の移載対象である物品群Sの特性に適した保持部70を備える。
【0050】
物品群Sが非定形物の集合である場合、物品移載装置10は、例えば、載置部60上における物品群Sの高さを検出するために、撮像部を備えてもよい。その場合、Z軸方向に加え、例えばX軸方向に保持部70を移動させる第2駆動機構40が用いられ、制御部90が、撮像部による撮像結果に基づいて、物品群Sが適切な高さを有する位置に保持部70が移動するように、第2駆動機構40を制御してもよい。また、物品群Sが定形物の集合である場合、物品移載装置10は、例えば、載置部60上における各定形物の位置を検出するために、撮像部を備えてもよい。その場合、Z軸方向に加え、例えばX軸方向に保持部70を移動させる第2駆動機構40が用いられ、制御部90が、撮像部による撮像結果に基づいて、把持すべき物品が存在する位置に保持部70が移動するように、第2駆動機構40を制御してもよい。
【0051】
なお、物品移載装置10は、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間において載置部60が移動する構成を有する。そのため、
図13に示されるように、物品移載装置10と共に、搬送ライン2の側方に作業台Dを設置し、一部の移載作業を作業員Wに実施させることもできる。このように、物品移載装置10は、物品移載システム1において作業員Wとの共存を実現し易い装置である。
[作用及び効果]
【0052】
以上説明したように、物品移載装置10では、搬送ライン2の上方に載置部60が位置する状態で保持部70が物品群Sから物品の一部を保持し、容器Cの直上に保持部70が位置する状態で搬送ライン2の側方に載置部60が移動し、保持部70が物品の一部を容器Cに移載する、という動作を実施できる。特に、容器Cの直上に保持部70が位置する状態で搬送ライン2の側方に載置部60が移動することで、搬送ライン2における容器C外の領域に物品が落下するのを抑制できる。よって、物品移載装置10によれば、定形か非定形かを問わず、物品群Sから物品の一部を容器Cに確実に移載できる。
【0053】
また、物品移載装置10では、上述した動作が実施されるように、制御部90が第1駆動機構30及び第2駆動機構40を制御する。このように制御することで、上述のとおり、定形か非定形かを問わず、物品群Sから物品の一部を容器Cに確実に移載できる。
【0054】
また、物品移載装置10では、調整部80が、載置部60に載置される物品群Sの状態を調整する。特に、物品群Sが非定形である場合に、載置部60に載置される物品群Sの状態を調整することで、保持部70が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0055】
また、物品移載装置10では、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間を載置部60が移動する際に調整部80が物品群Sの状態を調整するように、制御部90が第3駆動機構50を制御する。このように制御することで、載置部60に載置される物品群Sの状態を効率良く調整できる。
【0056】
また、物品移載装置10では、板状部材81が物品群Sを載置部60の端に寄せるように、制御部90が第3駆動機構50を制御する。例えば、物品群Sが粒状物の集合である場合に、板状部材81が物品群Sを載置部60の端に寄せることで、保持部70が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0057】
また、物品移載装置10では、複数の棒状部材82が物品群Sに挿入された状態で移動するように、制御部90が第3駆動機構50を制御する。例えば、物品群Sが麺類の集合である場合に、複数の棒状部材82が物品群Sに挿入された状態で移動することで、保持部70が物品の一部を定量ずつ確実に保持できる。
【0058】
また、物品移載システム1によれば、上述した物品移載装置10を備えるため、定形か非定形かを問わず、物品群Sから物品の一部を容器Cに確実に移載できる。
[変形例]
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、第2駆動機構40は、搬送ライン2の上方において、鉛直方向に保持部70を移動させると共に、搬送ライン2に沿って保持部70を移動させてもよい。そして、制御部90は、
図14の(a)、(b)及び(c)に示されるように、保持部70が物品の一部を容器Cに移載する際に、搬送される容器Cの直上に保持部70が位置し続けるように、第2駆動機構40を制御してもよい。この場合、容器Cの搬送を停止させなくても、搬送ライン2における容器C外の領域に物品が落下するのを抑制しつつ、物品の一部を容器Cに確実に移載できる。
【0060】
また、調整部80は、板状部材81又は複数の棒状部材82を有するものに限定されず、物品群Sに応じて様々な形状を有する部材を適用可能である。また、物品移載装置10が第3駆動機構50を備えず、調整部80がフレーム20に固定されてもよい。つまり、調整部80は、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間に固定され、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間における載置部60の移動に連動して物品群Sの状態を調整してもよい。その場合にも、搬送ライン2の上方と搬送ライン2の側方との間を載置部60が移動することで、載置部60に載置された物品群Sに対して調整部80が相対的に移動する。これにより、単純な構成で、載置部60に載置される物品群Sの状態を調整できる。
【0061】
また、物品移載装置10は、載置部60に載置される物品群Sの状態を検知する検知部を更に備え、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、物品群Sの状態が所定状態となるように第1駆動機構30を制御してもよい。これにより、載置部60に載置される物品群Sの状態を、保持部70が物品の一部を保持し易い状態に維持できる。この場合、検知部は、載置部60に載置される物品群Sの状態として当該物品群Sの高さを検知し、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、物品群Sの高さが所定高さ以上となるように第1駆動機構30を制御してもよい。これにより、載置部60に載置される物品群Sの高さを、保持部70が物品の一部を保持し易い高さに維持できる。
【0062】
また、物品移載装置10は、載置部60に載置される物品群Sの状態を検知する検知部を更に備え、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、載置部60に載置される物品群Sにおける保持領域を決定し、当該保持領域で保持部70が物品の一部を保持するように第1駆動機構30及び第2駆動機構40の少なくとも一方を制御してもよい。これにより、保持部70が物品の一部を確実に保持できる。この場合、検知部は、載置部60に載置される物品群Sの状態として当該物品群Sの高さを検知し、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、載置部60に載置される物品群Sにおいて所定高さ以上の領域を保持領域と決定し、当該保持領域で保持部70が物品の一部を保持するように第1駆動機構30及び第2駆動機構40の少なくとも一方を制御してもよい。これにより、保持部70が物品の一部を確実に保持できる。
【0063】
なお、載置部60に載置される物品群Sの状態として当該物品群Sの高さ(形状)を検知する検知部の例としては、カメラ、ラインセンサ、近赤外線センサ等がある。この場合、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、目標保持量の保持を実現するために必要な保持部70の挿し込み深さ(物品群Sに対する差し込み深さ)を満たす座標を抽出できる。また、物品群Sの高さが高いほど保持部70の移動量を短くでき、物品移載装置10の移載能力を向上できる。更に、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、保持部70の挿し込み深さ、角度、開状態を決定することも可能である。
【0064】
また、載置部60に載置される物品群Sの状態として当該物品群Sの密度(質量)を検知する検知部の例としては、X線センサ等がある。この場合、制御部90は、検知部の検知結果に基づいて、目標保持量の保持を実現するために適した密度を有する座標を抽出できる。なお、例えば、物品群Sがパスタである場合、麺同士が絡み合っていると保持量のコントロールが難しくなるため、密度が高過ぎる領域は避けることが望ましい。逆に、密度が低過ぎる領域で保持部70による保持を実施すると、保持状態で密度が上がらず、保持し損ねるおそれがあるため、周辺から物品をかき集める保持動作を保持部70に実施させる必要がある。
【0065】
また、載置部60に載置される物品群Sの状態として当該物品群Sの色を検知する検知部の例としては、カメラ等がある。数種類の物品が混在した物品群Sである場合、種類に偏り無く物品を移載する必要がある。そこで、制御部90は、カメラによって撮像された画像に基づいて色から物品の分布を判断し、適切な保持領域を抽出する。
【0066】
また、物品移載システム1は、少なくとも1つの物品移載装置10を備えればよい。
【符号の説明】
【0067】
1…物品移載システム、2…搬送ライン、3…搬送部、10…物品移載装置、30…第1駆動機構、40…第2駆動機構、50…第3駆動機構、60…載置部、70…保持部、80…調整部、81…板状部材、82…棒状部材、90…制御部、C…容器、S…物品群。