(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】S-ICAリボシルホモシステインの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07H 19/052 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
C07H19/052
(21)【出願番号】P 2018095270
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)日本薬学会第138年会要旨 掲載年月日 平成30年2月1日 掲載アドレス http://nenkai.pharm.or.jp/138/pc/ipdfview.asp?i=1438 (2)発行者名 公益社団法人日本薬学会 刊行物名 日本薬学会第138年会 要旨 DVD 発行年月日 平成30年3月5日 (3)発行者名 公益社団法人日本薬学会 刊行物名 日本薬学会第138年会 要旨 冊子 発行年月日 平成30年3月5日 (4)日本薬学会第138年会要旨集 アプリ 公開年月日 平成30年3月16日 掲載アドレスGoogle play ストアおよびApp storeからダウンロード (5)集会名 日本薬学会第138年会 開催日 平成30年3月25~28日(発表は28日)
(73)【特許権者】
【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】菅 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】稲井 誠
(72)【発明者】
【氏名】大内 仁志
(72)【発明者】
【氏名】河岸 洋和
(72)【発明者】
【氏名】崔 宰熏
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-500503(JP,A)
【文献】特表2016-501879(JP,A)
【文献】特開平02-290896(JP,A)
【文献】OUCHI,H. et al.,S-Adenosylhomocysteine Analogue of a Fairy Chemical, Imidazole-4-carboxamide, as its Metabolite in Rice and Yeast and Synthetic Investigations of Related Compounds,Journal of Natural Products,2021年01月22日,Vol.84, No.2,p.453-458
【文献】PERRY,T.L. et al.,Sulfur-containing amino acids in the plasma and urine of homocystinurics,Clinica Chimica Acta,1967年,Vol.15, No.3,p.409-20
【文献】PERRY,T.L. et al.,Homocystinuria; excretion of a new sulfur-containing amino acid in urine,Science(Washington, DC, United States),1966年,Vol.152, No.3723,p.776-8
【文献】SRIVASTAVA,P.C. et al.,Synthesis and antiviral and antimicrobial activity of certain 1-β-D-ribofuranosyl-4,5-disubstituted imidazoles,Journal of Medicinal Chemistry,1976年,Vol.19, No.8,p.1020-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/052
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
式(2):
【化2】
(式中、R
1はカルボン酸の保護基であり、R
2はアミノ基の保護基である。)で表される化合物と、
式(3):
【化3】
(式中、Xは脱離基であり、R
3はヒドロキシル基の保護基である。)で表される化合物とを反応させて式(4):
【化4】
(式中、R
1、R
2およびR
3は前記定義に同じ)で表される化合物を生成させ、
得られた前記式(4)で表される化合物に対し保護基の除去処理を行うことを含む、前記式(1)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
前記式(2)で表される化合物を光学活性メチオニンから変換することにより得ることをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記光学活性メチオニンがL-メチオニンまたはD-メチオニンである請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S-ICAリボシルホモシステインの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸などのメチル化を司るS-アデノシルメチオニン(SAM)が知られており、変形性関節炎やうつ病の治療薬として使用されているほか、例えば該SAMを含む関節の痛みの改善用組成物が提案されている(特許文献1)。
また、SAMの脱メチル体(SAH)も、SAHヒドラーゼ活性や抗ウイルスや腫瘍活性など多彩な生物活性を有することから医薬品のリードとして大きく期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、S-ICAリボシルホモシステインの製造方法に係る新規な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
コムラサキシメジより単離された新規植物成長促進物質(フェアリー化合物)のイミダゾールカルボキサミド(ICA)を稲に投与後の抽出物より、式(1)で表される化合物(S-ICAリボシルホモシステイン)が単離された。
発明者は、S-ICAリボシルホモシステインにも多彩な生物活性が期待できると考え、合成研究に着手し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 式(1):
【化1】
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
式(2):
【化2】
(式中、R
1はカルボン酸の保護基であり、R
2はアミノ基の保護基である。)で表される化合物と、
式(3):
【化3】
(式中、Xは脱離基であり、R
3はヒドロキシル基の保護基である。)で表される化合物とを反応させて式(4):
【化4】
(式中、R
1、R
2およびR
3は前記定義に同じ)で表される化合物を生成させ、
得られた前記式(4)で表される化合物に対し保護基の除去処理を行うことを含む、前記式(1)で表される化合物の製造方法。
[2] 前記式(2)で表される化合物を光学活性メチオニンから変換することにより得ることをさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記光学活性メチオニンがL-メチオニンまたはD-メチオニンである[1]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、S-ICAリボシルホモシステインの製造方法に係る新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の1つについて詳細に説明する。
なお、以下において、一般式が有する官能基の定義については、すでに記載した定義を引用してその説明を省略することがある。
【0009】
なお、本明細書において、アミノ基の保護基とは、アミノ基の保護基として通常知られている保護基であれば特に制限はなく、例えばベンジル基、パラメトキシベンジル基(p-メトキシベンジル基)等のアラルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基等のアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルコキシカルボニル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-(エトキシ)エチル基、メトキシイソプロピル基などの1-(アルコキシ)アルキル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基等のアシル基などが挙げられる。
また、カルボン酸の保護基もまた、カルボン酸の保護基として通常知られている保護基であれば特に制限はなく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ベンジル基、ニトロベンジル基などが挙げられる。
また、ヒドロキシル基の保護基もまた、ヒドロキシル基の保護基として通常知られている保護基であれば特に制限はなく、例えば、トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル(TBS)基等のトリアルキルシリル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアリールメチル基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等のアラルキルオキシメチル基、テトラヒドロピラニル基等などが挙げられる。
【0010】
本実施形態に係る製造方法の一例である、以下に表す反応経路を詳細に説明する。
なお、以下の説明において、粗生成物について精製をせずにそのまま次の処理に用いている場合は、基質となる化合物が100%の収率で生成物に変換されたとみなし、基質の使用量を生成物の使用量とみなす。
【0011】
【0012】
当該反応経路において、R1はカルボン酸の保護基を、R2はアミノ基の保護基を、Xは脱離基を、R3はヒドロキシル基の保護基を示す。
【0013】
[工程1]
式(ii)で表される化合物は、式(i)で表される化合物であるメチオニンを酸化し、ジスルフィド結合を形成して二量体とすることにより得ることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
当該反応は、例えば、液体アンモニアなどの反応溶媒中、式(i)で表される化合物(メチオニン)を金属リチウムなどで処理することにより行うことができる。金属リチウム等の使用量は、式(i)で表される化合物に対し、例えば2~10当量とすることができる。また、反応温度は、例えば-78~-40℃とすることができる。
【0017】
[工程2]
式(iii)で表される化合物は、式(ii)で表される化合物にカルボン酸の保護基およびアミノ基の保護基を導入することにより得ることができる。
【0018】
【0019】
式中、R1、R2は上記の定義に同じ。
【0020】
当該反応は当業者が適宜設定でき、カルボン酸、アミノ基保護基導入に係る公知の方法により行うことができる。
例えば、R1がメチル基、R2がBoc基である場合を想定する。
当該反応は、まず、メタノールなどの反応溶媒中、塩化チオニル、塩化オキサリルなどを式(ii)で表される化合物に作用させる。塩化チオニル等の使用量は、式(ii)で表される化合物に対し、例えば1~3当量とすることができる。また、反応温度は、例えば20~80℃とすることができる。
次に、得られた生成物に対し、メタノールなどの反応溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下、Boc2Oを作用させる。Boc2Oの使用量は、式(ii)で表される化合物に対し、例えば2~4当量とすることができる。また、反応温度は、例えば20~40℃とすることができる。
【0021】
[工程3]
式(2)で表される化合物は、式(iii)で表される化合物を還元してジスルフィド結合を切断し、単量体とすることにより得ることができる。
【0022】
【0023】
式中、R1、R2は上記の定義に同じ。
【0024】
当該反応は、例えば、式(iii)で表される化合物を、酢酸およびジエチルエーテルの混合液中などにおいて亜鉛等を作用させることにより行うことができる。亜鉛等の使用量は、式(iii)で表される化合物に対し、例えば20~100当量とすることができる。また、反応温度は、例えば20~40℃とすることができる。
【0025】
[工程4]
式(4)で表される化合物は、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0026】
【0027】
式中、R3は上記の定義に同じ。
【0028】
【0029】
式中、R1、R2、R3は上記の定義に同じ。
【0030】
当該反応は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などの反応溶媒中、塩基の存在下、式(2)で表される化合物を式(3)で表される化合物に作用させることにより行うことができる。塩基は、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、およびN-メチルイミダゾールなどの有機塩基を用いることができる。塩基の使用量は、例えば式(3)で表される化合物に対し2~10当量とすることができる。また、反応温度は、例えば20~50℃とすることができる。
【0031】
なお、式(3)で表される化合物は、例えば以下の工程A~Dを行うことにより得ることができる。
【0032】
【0033】
当該反応経路において、X、R3は上記の定義に同じ。
【0034】
[工程A]
式(b)で表される化合物は、式(a)で表される化合物を変換することにより得ることができる。
【0035】
【0036】
式中、Arは2,4-ジニトロフェニル基を示し、R3は上記の定義に同じ。
【0037】
【0038】
式中、R3は上記の定義に同じ。
【0039】
当該反応においては、例えば、DMFなどの反応溶媒中、式(a)で表される化合物に対しエチレンジアミン等をまず反応させる。エチレンジアミン等の使用量は、式(a)で表される化合物に対し例えば10~30当量とすることができる。また、反応温度は例えば20~80℃とすることができる。
次に生成物に対し、反応溶媒中、酸性条件下で亜硝酸ナトリウムを作用させて式(b)で表される化合物を得る。亜硝酸ナトリウムの使用量は、反応に供する生成物に対し、例えば3~10当量とすることができる。反応溶媒は例えばテトラヒドロフラン(THF)と水の混合液とすることができる。また、反応温度は例えば0~20℃とすることができる。
【0040】
なお、式(a)で表される化合物についてはOrg. Biomol. Chem., 2014, 12, 3813-3815.に基づき得ることができる。
【0041】
[工程B]
式(c)で表される化合物は、式(b)で表される化合物を変換することにより得ることができる。
【0042】
【0043】
式中、R3は上記の定義に同じ。
【0044】
当該反応は、例えば、メタノールなどの反応溶媒中、式(b)で表される化合物に対しカンファースルホン酸を作用させることにより行うことができる。カンファースルホン酸等の使用量は、例えば0.2~2当量とすることができる。また、反応温度は例えば0~40℃とすることができる。
【0045】
[工程C]
式(d)で表される化合物は、式(c)で表される化合物から変換することにより得ることができる。
【0046】
式中、R3は上記の定義に同じ。
【0047】
当該反応は、例えば、塩化メチレンなどの反応溶媒中、式(c)で表される化合物に対しトリエチルアミンとメシルクロライドを作用させることにより行うことができる。トリエチルアミンとメシルクロライドの使用量は、それぞれ、例えば式(c)で表される化合物に対し1~5当量とすることができる。また、反応温度は例えば0~40℃とすることができる。
【0048】
[工程D]
式(3)で表される化合物は、式(d)で表される化合物から変換して脱離基を導入することにより得ることができる。
【0049】
本明細書において、脱離基とは、ハロゲン原子、C1-6アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基などをいう。このうち、工程4がより効率的に進行するため、脱離基としてハロゲン原子が好ましく、より好ましくはヨウ素原子である。
脱離基の導入するための処理は特に限定されず、適宜設定でき、公知の方法に基づき行うようにしてもよい。
例えば脱離基がヨウ素原子である場合を想定する。
当該反応は、アセトンなどの反応溶媒中、式(d)で表される化合物に対しヨウ化ナトリウム等を作用させることにより行うことができる。ヨウ化ナトリウム等の使用量は、例えば、式(d)で表される化合物に対し1~5当量とすることができる。また、反応温度は例えば20~50℃とすることができる。
【0050】
[工程5]
式(1)で表される化合物は、式(4)で表される化合物について保護基の除去を行うことにより得ることができる。
【0051】
【0052】
当該反応は、例えば、反応溶媒中、公知の脱保護試薬を式(4)で表される化合物に対し作用させることにより行うことができ、例えば各保護基の除去に係る公知の方法を組み合わせるなどして行うことができる。
例えば、R1がメチル基、R2がBoc基、R3がTBS基である場合を想定する。
このとき、まず、式(4)で表される化合物に対し、反応溶媒中、フッ化アンモニウム等を作用させることにより、Boc基を除去する。フッ化アンモニウム等の使用量は、式(4)で表される化合物に対し、例えば2~20当量とすることができる。反応溶媒は、例えばTHFとメタノールの混合溶媒とすることができる。また、反応温度は、例えば20~60℃とすることができる。
次に、Boc基を除去した化合物に対し、反応溶媒中、水酸化リチウム等を作用させることにより、メチルエステルの加水分解を行い、メチル基を除去する。水酸化リチウム等の使用量は、当該反応に供した化合物に対し、例えば2~20当量とすることができる。反応溶媒は、例えばTHFとすることができる。また、反応温度は、例えば20~60℃とすることができる。
続いて、メチル基を除去した化合物に対し、反応溶媒中、トリフルオロ酢酸等を作用させることにより、TBS基を除去する。トリフルオロ酢酸等の使用量は、当該反応に供した化合物に対し、例えば50~200当量とすることができる。反応溶媒は、例えばメタノールとすることができる。また、反応温度は、例えば20~70℃とすることができる。
【0053】
以上、本実施形態によれば、S-ICAリボシルホモシステインの製造方法に係る新規な技術を提供することができる。本方法では、両鏡像体が入手容易なメチオニンを出発原料としている。すなわち、L-メチオニンやD-メチオニンなどの光学活性メチオニンを出発原料として用いS-ICAリボシルホモシステインについてL体とD体の両異性体をそれぞれ合成することができるため、非天然型のホモシステイン誘導体の合成も可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
4,4'-ジスルファンジイル (2S,2'S)-ビス (2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸)ジメチル
【0056】
【0057】
-78℃に冷やしたナスフラスコに約100 mLの液体アンモニアを貯め、(L)-メチオニン4.0 g, 26.8 mmolと薄く切った金属リチウム555 mg, 80.0 mmolを順次加えた後、1.5時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウムを加え反応を停止させた後、室温まで昇温しアンモニアを揮発させた。得られた残渣を水40 mLに溶かし、pH 4-5になるまで1Mの塩酸を加えた。この水溶液を氷冷下撹拌しているところに30%過酸化水素水20 mLを加え、析出物をろ取し、減圧下乾燥させることで (2S,2'S)-ホモシスチン (1.56 g, 収率43%)を白色固体として得た。
(2S,2'S)-ホモシスチン (500 mg, 1.86 mmol)をメタノール(MeOH)18 mLに懸濁させ、塩化チオニル2.0 mL, 27.6 mmolを加え、70℃で24時間撹拌した。その後、反応液を減圧下濃縮し、688 mgの粗生成物を得た。
粗生成物200 mgをMeOH 6.8 mLに溶かし、トリエチルアミン376μL, 2.71 mmolとBoc2O 440 mg, 2.02 mmolを氷冷下加え、室温で24時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮後、残渣に0.1 Mの塩酸と酢酸エチルを加え溶解させた。分離した有機層を炭酸ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:2)にて精製することで、4,4'-ジスルファンジイル (2S,2'S)-ビス (2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸)ジメチル (237 mg, 収率88%, 2段階) を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 5.12 (br d, J = 7.0 Hz, 2H), 4.36 (br s, 2H), 3.72 (s, 6H), 2.68 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 2.18-2.22 (m, 2H), 1.94-1.99 (m, 2H), 1.40 (s, 18H).
【0058】
[実施例2]
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド
【0059】
【0060】
5-アミノ-1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-N-(2,4-ジニトロフェニル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド 30.4 g, 39.6 mmolをDMF 396 mLに溶かし、氷冷下エチレンジアミン66.2 mL, 991 mmolを加え、60度で8.5時間撹拌した。室温に冷却後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M塩酸と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し26.1 gの粗生成物を得た。
得られた粗生成物5.0 gをTHF 90 mLに溶解させ氷冷し、4.0 gの亜硝酸ナトリウムを溶かした水50 mLと酢酸90 mLを加えた後、8時間氷冷下で撹拌した。その後、反応液に炭酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を炭酸ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル = 3:1 → 2:1)にて精製することで、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド(2.17g, 収率45%)をオレンジ色のアモルファスとして得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 7.79 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.64 (d, J =1.1 Hz, 1H), 6.92 (br s, 1H), 5.56 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 5.30 (br s, 1H), 4.15-4.19 (m, 2H), 4.08 (br s, 1H), 3.82 (dd, J = 11, 3.4 Hz, 1H), 3.76 (dd, J = 11, 2.3 Hz, 1H), 0.95 (s, 9H), 0.93 (s, 9H), 0.82 (s, 9H), 0.17 (s, 3H), 0.14 (s, 3H), 0.10 (s, 6H), -0.06 (s, 3H), -0.30 (s, 3H).
【0061】
[実施例3]
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド
【0062】
【0063】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド 100 mg, 171 μmolをMeOH 1.0 mLに溶かし、カンファースルホン酸49.5 mg, 213 μmolを加え、室温下6.5時間撹拌した。その後、反応混合物にトリエチルアミンを加え酸を中和し、減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルと水を加え溶解させた後、有機層を分離し、飽和塩化アンモニウム水溶液と飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール = 30:1)にて精製することで、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (64.4 mg, 収率80%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CD3OD, δ): 7.84 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 5.53 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 12, 5.2 Hz, 1H), 4.12-4.13 (m, 1H), 3.92-3.93 (m, 1H), 3.63 (dd, J = 12, 3.6 Hz, 1H), 3.58 (dd, J = 12, 2.8 Hz, 1H), 0.82 (s, 9H), 0.68 (s, 9H), 0.01 (s, 6H), -0.16 (s, 3H), -0.42 (s, 3H).
【0064】
[実施例4]
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(メタンスルフォニルオキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド
【0065】
【0066】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (100 mg, 210 μmol) を塩化メチレン350 μLに溶かし、氷冷下トリエチルアミン64 μL, 460 μmolとメシルクロライド18 μL, 230 μmolを順次加え、氷冷下22時間撹拌した。その後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール = 10:1)にて精製することで、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(メタンスルフォニルオキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (97 mg, 収率83%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 7.81 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.98 (br s, 1H), 5.85 (br s, 1H), 5.57 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 12, 3.5 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 12, 3.5 Hz, 1H), 4.23 (q, J = 3.5 Hz, 1H), 4.19 (t, J = 3.5 Hz, 1H), 4.15 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 3.07 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.80 (s, 9H), 0.09 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), -0.03 (s, 3H), -0.21 (s, 3H).
【0067】
[実施例5]
1-((2R,3R,4R,5S)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヨードメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド
【0068】
【0069】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(メタンスルフォニルオキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (135 mg, 250 μmol) をアセトン1.4 mLに溶かし、ヨウ化ナトリウム147 mg, 980 μmolを加え、50度で21時間撹拌した。その後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え溶解させた後、有機層と水層を分離した。水層は酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール = 10:1)にて精製することで、1-((2R,3R,4R,5S)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヨードメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (124 mg, 収率87%)を黄色油状物質として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 7.77 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.95 (br s, 1H), 5.64 (br s, 1H), 5.57 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.15-4.18 (m, 1H), 4.04-4.07 (m, 2H), 3.36 (dd, J = 11, 6.0 Hz, 1H), 3.32 (dd, 11, 4.5 Hz, 1H), 0.91 (s, 9H), 0.81 (s, 9H), 0.14 (s, 3H), 0.11 (s, 3H), -0.05 (s, 3H), -0.22 (s, 3H).
【0070】
[実施例6]
(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチル
【0071】
【0072】
4,4'-ジスルファンジイル (2S,2'S)-ビス (2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸)ジメチル (237 mg, 477 μmol)を酢酸14.6 mLとジエチルエーテル0.8 mLに溶かして氷冷し、亜鉛粉末1.87 g, 28.6 mmolを加えた後、室温下24時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過して固形物を除いた後、減圧下濃縮した。残渣に0.1 M塩酸と酢酸エチルを加え溶解させた後、有機層と水層を分離した。水層は酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機層を0.1 M塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られた(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチルを含む残渣236 mgはそのまま次の反応に用いた。
【0073】
[実施例7]
S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチル
【0074】
【0075】
1-((2R,3R,4R,5S)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヨードメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (130 mg, 224 μmol) をDMF 800 μLに溶かし、トリエチルアミン200 μL, 1.44 mmolと(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチル 110 mg, ca 441 μmolを氷冷下加え、室温下24時間撹拌した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=3:2→0:1)にて精製することで、S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチル(116 mg, 74%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 7.71 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 6.99 (br s, 1H), 6.05 (br s, 1H), 5.51 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.47 (br s, 1H), 4.35 (br s, 1H), 4.14 (m, 1H), 4.09 (m, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.68 (s, 3H), 2.70-2.79 (m, 2H), 2.57-2.63 (m, 2H), 1.85-1.91 (m, 1H), 1.34 (s, 9H), 0.87 (s, 9H), 0.77 (s, 9H), 0.06 (s, 3H), 0.05 (s, 3H), -0.09 (s, 3H), -0.27 (s, 3H).
【0076】
[実施例8]
S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン
【0077】
【0078】
S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ホモシステイン酸メチル(27 mg, 38.4 μmol) をTHFとMeOHの1:2混合溶媒0.3 mLに溶かし、フッ化アンモニウム14 mg, 384 μmolを加えて60℃で48時間撹拌した。その後、反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール = 19:1→4:1)にて精製することで、N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン酸メチル (8 mg, 43%)を得た。
N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン酸メチル (8 mg, 16.9 μmol) をTHF 450 μLに溶かし、水50 μLに溶解させた水酸化ナトリウム5.3 mg, 34.0 μmolを加え、室温下1時間撹拌した。反応液に酢酸を加え溶液を酸性にした後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール = 2:1) にて精製することで、N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン (4 mg, 52%) を得た。
N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン (4 mg)を水100 μLに溶かし、トリフルオロ酢酸100 μLを加え、室温下54時間撹拌した。その後、反応液を減圧下濃縮することでS-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-L-ホモシステイン (6 mg)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D2O, δ): 8.33 (br s, 1H), 7.99 (br s, 1H), 5.79 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.42 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.20-4.26 (m, 2H), 3.87 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 15, 5.0 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 15, 7.0 Hz, 1H), 2.66 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.03-2.15 (m, 2H).
【0079】
[実施例9]
(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチル
【0080】
【0081】
4,4'-ジスルファンジイル(2R,2'R)-ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸)ジメチル (228 mg, 459 μmol) を酢酸15 mLとジエチルエーテル0.3 mLに溶かして氷冷し、亜鉛粉末1.80 g, 27.5 mmolを加えた後、室温下10時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過して固形物を除いた後、減圧下濃縮した。残渣に0.1 M塩酸と酢酸エチルを加え溶解させた後、有機層と水層を分離した。水層は酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機層を0.1 M塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られた(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチルを含む残渣213 mgはそのまま次の反応に用いた。
【0082】
[実施例10]
S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチル
【0083】
【0084】
1-((2R,3R,4R,5S)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヨードメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド (200 mg, 344 μmol) をDMF 680 μLに溶かし、トリエチルアミン142 μL, 1.02 mmolと(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチル 158 mg, ca 634 μmolを氷冷下加え、室温下24時間撹拌した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=3:2→0:1)にて精製することで、S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチル(190 mg, 79%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 7.71 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 6.97 (br s, 1H), 5.75 (br s, 1H), 5.53 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.21 (br s, 1H), 4.36 (br s, 1H), 4.15 (dt, J = 6.0, 2.5 Hz, 1H), 4.00-4.08 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 2.75 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 2.58-2.61 (m, 3H), 1.86-1.92 (m, 1H), 1.39 (s, 9H), 0.89 (s, 9H), 0.79 (s, 9H), 0.09 (s, 3H), 0.07 (s, 3H), -0.07 (s, 3H), -0.25 (s, 3H).
【0085】
[実施例11]
S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン
【0086】
【0087】
S-(((2S,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-D-ホモシステイン酸メチル(190 mg, 270 μmol)をTHFとMeOHの1:1混合溶媒2.6 mLに溶かし、フッ化アンモニウム100 mg, 2.70 mmolを加えて60 ℃で48時間撹拌した。その後、反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:メタノール=19:1→4:1)にて精製することで、N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン酸メチル (128 mg, quant)を白色アモルファスとして得た。
N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン酸メチル (105 mg, 221 μmol)をTHF 2 mLに溶かし、水200 μLに溶解させた水酸化リチウム26 mg, 1.09 mmolを加え、室温下20分間撹拌した。反応液に水を加え希釈した後、減圧濃縮によりTHFを除き、得られた水溶液をジエチルエーテルで洗浄した。その後、1Mの塩酸を加え溶液を酸性にし、酢酸エチルとTHFで抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮することでN-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン (88 mg, 86%)を白色固体として得た。
N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン (29 mg, 630 μmol) をMeOH 100 μLに溶かし、トリフルオロ酢酸300 μLを加え、室温下20時間撹拌した。その後、反応液を減圧下濃縮することでS-(((2S,3S,4R,5R)-5-(4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-D-ホモシステイン (30 mg)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D2O, δ): 8.97 (br s, 1H), 8.14 (br s, 1H), 5.85 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.40 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.28 (dt, J = 6.5, 5.0 Hz, 1H), 4.17 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.08 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 14, 5.0 Hz, 1H), 2.84 (dd, J = 14, 7.0 Hz, 1H), 2.69 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.06-2.21 (m, 2H).