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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】看板照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/00 20180101AFI20220722BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220722BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20220722BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20220722BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220722BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20220722BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20220722BHJP
   F21Y 105/12 20160101ALN20220722BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220722BHJP
【FI】
F21V5/00 510
F21S2/00 311
F21V3/02 400
F21V3/00 320
F21V5/00 320
F21V29/503
F21V29/70
F21V14/02
F21Y105:12
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018123832
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020004628
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】506059399
【氏名又は名称】株式会社ESL
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】安田 好伸
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116144(JP,A)
【文献】特開2017-162697(JP,A)
【文献】特開2015-125917(JP,A)
【文献】特開2013-089420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-2/00,390
2/00,500-45/70
F21V 1/00-8/00,282
9/00-15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
看板を照らすように構成された看板照明器具であって、
平坦面を有する基板と、
発光面が前記平坦面に対して直交する方向に向くように前記平坦面に設けられた複数の発光ダイオードと、
光透過性を有する本体部を有し、複数の前記発光ダイオードを前記本体部で覆うように構成されたカバーとを備え、
複数の前記発光ダイオードのそれぞれの前記発光面には、前記発光面から出射された光の一部を前記平坦面に対して平行となる方向に屈折させるレンズ体が設けられており、
前記カバーは、前記本体部が前記平坦面に対して平行となる方向から前記レンズ体に対向するように構成されており、さらに、
光透過性を有し、複数の前記発光ダイオードのそれぞれの前記発光面から前記レンズ体を通して出射された光を配光する配光部を備え、
複数の前記発光ダイオードのそれぞれは、互いに平行となる少なくとも3つの列を構成するように並べて配置されており、
前記列が延びる方向を縦方向とし、縦方向に対して直交する方向を横方向としたとき、前記配光部は、横方向の最も外側の前記列から出射された光を、横方向の中央の前記列から出射された光よりも横方向に広げるように構成されている、請求項1に記載の看板照明器具。
【請求項2】
横方向において互いに隣接する2つの前記列に着目したとき、一方の前記列を構成する複数の前記発光ダイオードは、他方の前記列を構成する複数の前記発光ダイオードに対して、縦方向にずれた位置に配置されている、請求項1に記載の看板照明器具。
【請求項3】
前記配光部を通して放射状に出射される光の出光領域を、横方向の中央の第1領域と、横方向の最も外側の第2領域と、第1領域と第2領域との間の第3領域とに区分したとき、前記配光部は、前記第3領域の光度が前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの光度よりも高4なるように構成されている、請求項1または2に記載の看板照明器具。
【請求項4】
前記基板および前記カバーを支持する支持面を有するヒートシンクと、
前記ヒートシンクを支持体に取り付けるための取付部とを備え、
前記取付部は、前記看板の表面に対する前記列の傾斜角度を調整する角度調整機構を有している、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の看板照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置されている看板を照らすように構成された看板照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な種類の屋外用の照明器具がある。下記特許文献1に記載されたLED照明器具は、街路灯や防犯灯として用いられる屋外用の照明器具であり、収容ボディ、LED光源およびグローブを備えている。LED光源は、収容ボディの内部に取り付けられており、LED光源で発生した光は、グローブに形成された光拡散部を通して路面などに照射される。このLED照明器具によれば、LED光源を用いているので、水銀灯などに比べて電力消費量を少なく抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-232959号
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたLED照明器具では、LED光源の光軸に対して直交する方向において、収容ボディの一部がLED光源と対向して配置されていたので、LED光源から出射された光を真横方向からLED照明器具の外側に出すことができず、LED光源の真横方向における光度が著しく低くなっていた。したがって、このLED照明器具を看板照明器具として用いた場合には、看板における光が照射された領域の外周部が著しく暗くなり、看板の表示内容が見え難くなるという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、看板照度の均一性を高めることができる看板照明器具を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る看板照明器具の特徴は、看板を照らすように構成された看板照明器具であって、平坦面を有する基板と、発光面が前記平坦面に対して直交する方向に向くように前記平坦面に設けられた複数の発光ダイオードと、光透過性を有する本体部を有し、複数の前記発光ダイオードを前記本体部で覆うように構成されたカバーとを備え、複数の前記発光ダイオードのそれぞれの前記発光面には、前記発光面から出射された光の一部を前記平坦面に対して平行となる方向に屈折させるレンズ体が設けられており、前記カバーは、前記本体部が前記平坦面に対して平行となる方向から前記レンズ体に対向するように構成されており、さらに、光透過性を有し、複数の前記発光ダイオードのそれぞれの前記発光面から前記レンズ体を通して出射された光を配光する配光部を備え、複数の前記発光ダイオードのそれぞれは、互いに平行となる少なくとも3つの列を構成するように並べて配置されており、前記列が延びる方向を縦方向とし、縦方向に対して直交する方向を横方向としたとき、前記配光部は、横方向の最も外側の前記列から出射された光を、横方向の中央の前記列から出射された光よりも横方向に広げるように構成されていることにある。
【0007】
この構成では、発光ダイオードの発光面から出射された光の一部をレンズ体によって基板の平坦面に対して平行となる方向に屈折させた後、カバーの光透過性を有する本体部からカバーの外側に出すことができる。したがって、レンズ体の真横方向における光度が著しく低くなることを抑制でき、看板の照度の均一性を高めることができる。これにより、看板の表示内容を見え易くすることができる。
【0008】
また、この構成では、配光部によって、横方向の最も外側の列から出射された光を、横方向の中央の列から出射された光よりも横方向に広げることができるので、横方向において光度が著しく低くなることを抑制でき、看板の照度の均一性を高めることができる。また、複数の看板照明器具を横方向に間隔を隔てて設置する場合には、隣接する2つの看板照明器具の間隔を長くすることができるので、1つの看板に対して使用する看板照明器具の総数を少なくすることができる。
【0010】
本発明に係る看板照明器具の他の特徴は、横方向において互いに隣接する2つの前記列に着目したとき、一方の前記列を構成する複数の前記発光ダイオードは、他方の前記列を構成する複数の前記発光ダイオードに対して、縦方向にずれた位置に配置されていることにある。
【0011】
この構成では、一方の列を構成する複数の発光ダイオードと他方の列を構成する複数の発光ダイオードとが、縦方向にずれた位置に配置されているので、縦方向に揃った位置に配置されている場合に比べて、看板の照度の均一性を高めることができる。
【0012】
本発明に係る看板照明器具の他の特徴は、前記配光部を通して放射状に出射される光の出光領域を、横方向の中央の第1領域と、横方向の最も外側の第2領域と、第1領域と第2領域との間の第3領域とに区分したとき、前記配光部は、前記第3領域の光度が前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの光度よりも高くなるように構成されていることにある。
【0013】
この構成において、看板照明器具から看板までの光路の距離は、光が真直ぐに進む第1領域において最も短くなるため、第1領域の光度が低くても、第1領域の光で照らされた看板の照度は低くなり難い。また、看板照明器具から看板までの光路の距離は、光が斜めに進む第2領域において最も長くなるが、複数の看板照明器具を横方向に並べて設置する使用態様(通常の使用態様)では、互いに隣接する2つの看板照明器具の第2領域が重なるため、第2領域の光で照らされた看板の照度は低くなり難い。上記構成では、第3領域の光度が第1領域および第2領域のそれぞれの光度よりも高くなるので、全体として、看板の照度は低くなり難く、看板の照度の均一性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る看板照明器具の他の特徴は、前記基板および前記カバーを支持する支持面を有するヒートシンクと、前記ヒートシンクを支持体に取り付けるための取付部とを備え、前記取付部は、前記看板の表面に対する前記列の傾斜角度を調整する角度調整機構を有していることにある。
【0015】
この構成では、複数の発光ダイオードのそれぞれで発生した熱を基板からヒートシンクに伝えて大気中に放散することができる。また、取付部が角度調整機構を有しているので、看板の表面に対する発光ダイオードの列の傾斜角度を現場の状況に応じて適宜調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る看板照明器具の構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る看板照明器具の構成を示す横断面図である。
図3】実施形態に係る看板照明器具の構成を示す分解斜視図である。
図4】実施形態に係る看板照明器具の一部の構成を示す分解斜視図である。
図5】発光ダイオードおよびレンズ体の態様を示す図であり、(A)はこれらの構成を示す斜視図、(B)はこれらとカバーとの位置関係を示す断面図である。
図6】(A)は実施形態に係る看板照明器具を使用した場合の看板の照度分布を示す図、(B)は一般的なLED照明器具を使用した場合の看板の照度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る看板照明器具の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(看板照明器具10の構成)
図1は、実施形態に係る看板照明器具10の構成を示す斜視図である。図2は、看板照明器具10の構成を示す横断面図である。図3は、看板照明器具10の構成を示す分解斜視図である。図4は、看板照明器具10の一部の構成を示す分解斜視図である。これらの各図は、本発明の理解を容易にするために、一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。そのため、各構成要素間の寸法や比率などは実物とは異なっていることがある。なお、以下の説明で用いる「横方向」および「縦方向」は、図中に矢印で示した「横」および「縦」の各方向と一致している。
【0019】
図1に示す看板照明器具10は、図6(A)に示す看板Kを照らすように構成された屋外用の照明器具であり、看板Kの前方斜め上方に設けられた支持体12に取り付けて使用される。
【0020】
図2に示すように、看板照明器具10は、ヒートシンク14、基板16、複数の発光ダイオード(LED)18、配光部20およびカバー22を備えている。また、図1に示すように、看板照明器具10は、電力供給部24および取付部26を備えている。なお、図2では、基板16および配光部20を除く部品を断面で示している。
【0021】
図3に示すように、ヒートシンク14は、基板16およびカバー22を面で支持する支持面28aを有するブロック状の部品であり、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料によって形成されている。本実施形態のヒートシンク14は、長方形の支持面28aを有する直方体状に形成されており、ヒートシンク14における支持面28aとは反対側の面28bには、複数のフィン30が長さ方向に延びて互いに平行に形成されている。
【0022】
また、支持面28aには、基板16および配光部20を固定するための固定ネジ32が螺合される複数(本実施形態では12個)のネジ穴(図示省略)と、カバー22を固定するための固定ネジ34が螺合される複数(本実施形態では18個)のネジ穴36とが形成されている。なお、本実施形態では、ヒートシンク14の長さ方向が「縦方向」と一致しており、ヒートシンク14の幅方向が「横方向」と一致している。
【0023】
図4に示すように、基板16は、平坦面38を有する長方形の板状の部品であり、基板16には、複数(本実施形態では60個)の発光ダイオード18のそれぞれに電力を供給するための電気配線(図示省略)と、電気配線に電気的に接続されたソケット40とが設けられている。また、基板16には、固定ネジ32が挿通される複数(本実施形態では11個)の貫通孔42aと、固定ネジ32が挿通される1つのスリット42bとが形成されている。
【0024】
図5は、発光ダイオード18およびレンズ体46の態様を示す図であり、(A)はこれらの構成を示す斜視図、(B)はこれらとカバー22との位置関係を示す断面図である。図5(A)に示すように、複数の発光ダイオード18のそれぞれは、光を出射させる発光面44を有する発光素子である。各発光ダイオード18の発光面44には、発光面44から出射された光の一部を基板16の平坦面38に対して平行となる方向に屈折させるレンズ体46が設けられている。本実施形態のレンズ体46は、合成樹脂によって半球状に形成されており、円形の底面(図示省略)から入射された光を半球面46aの全体から出射させることができるように構成されている。したがって、図5(B)中に破線で示すように、半球面46aにおける発光面44に近接した部分から出射された光は、光透過性を有する配光部20の内部を、基板16の平坦面38に対して平行となる方向に進んだ後、カバー22の光透過性を有する本体部58を透過してカバー22の外側に出る。
【0025】
図5(A)に示すように、複数の発光ダイオード18のそれぞれは、その発光面44が基板16の平坦面38に対して直交する方向に向くようにして平坦面38に設けられている。図4に示すように、複数の発光ダイオード18のそれぞれは、互いに平行となる5つの列48a~48eを構成するように並べて配置されている。各列48a~48eは、縦方向に直線状に延びて、横方向に互いに一定の間隔を隔てて配置されている。つまり、本実施形態では、各列48a~48eが延びる方向が「縦方向」と一致しており、各列48a~48eが互いに離間する方向が「横方向」と一致している。
【0026】
図4に示すように、横方向において互いに隣接する2つの列(例えば、列48aおよび48b)に着目したとき、一方の列(例えば、列48a)を構成する複数の発光ダイオード18は、他方の列(例えば、列48b)を構成する複数の発光ダイオード18に対して、縦方向にずれた位置に配置されている。
【0027】
図4に示す配光部20は、複数の発光ダイオード18のそれぞれの発光面44(図5(A))からレンズ体46を通して出射された光を配光する部品であり、光透過性を有する合成樹脂によって板状に形成されている。配光部20は、5つの列48a~48eのうち横方向の最も外側(左右両側)の列48a,48eを構成する複数の発光ダイオード18の一部に対応する複数の第1レンズ部50と、当該複数の発光ダイオード18の他の一部を露出させる複数の貫通孔52とを有している。また、配光部20は、5つの列48a~48eのうち横方向の両側の列48a,48eよりも中央側の列48b,48c,48dを構成する複数の発光ダイオード18に対応する複数の第2レンズ部54を有している。
【0028】
複数の第1レンズ部50のそれぞれは、発光ダイオード18の発光面44(図5(A))からレンズ体46を通して出射された光を縦方向よりも横方向に広げるように(すなわち横方向に分配するように)構成されている。一方、複数の第2レンズ部54のそれぞれは、発光ダイオード18の発光面44(図5(A))からレンズ体46を通して出射された光を横方向よりも縦方向に広げるように(すなわち縦方向に分配するように)構成されている。換言すると、配光部20は、横方向の最も外側の列48a,48eから出射された光を、横方向の中央の列48b,48c,48dから出射された光よりも横方向に広げるように(すなわち横方向に分配するように)構成されている。
【0029】
また、図2に示すように、配光部20を通して放射状に出射される光の出光領域Sを、横方向の中央の第1領域S1と、横方向の最も外側の第2領域S2と、第1領域S1と第2領域S2との間の第3領域S3とに区分したとき、配光部20は、第3領域S3の光度が第1領域S1および第2領域S2のそれぞれの光度よりも高くなるように構成されている。
【0030】
そして、図4に示すように、配光部20には、固定ネジ32が挿通される複数(本実施形態では11個)の貫通孔56aと、固定ネジ32が挿通される1つのスリット56bとが形成されている。
【0031】
図2に示すように、カバー22は、複数の発光ダイオード18および配光部20を覆うようにヒートシンク14の支持面28aに設けられた部品であり、アクリル樹脂などの光透過性を有する合成樹脂によって形成された本体部58と、本体部58と支持面28aとの間に介在されたシート状のクッション材60とを有している。本体部58は、複数の発光ダイオード18のそれぞれに対して、配光部20を介して対向する対向部62と、対向部62の外周縁に形成された側壁部64と、側壁部64におけるヒートシンク14側の端部に形成された鍔部66とを有している。つまり、本体部58は、複数の発光ダイオード18および配光部20を覆うように構成されている。
【0032】
対向部62は、横方向において緩やかに湾曲した曲板状に形成されており、対向部62の内表面62aには、光を拡散させるための微細な凹凸が形成されている。したがって、対向部62は、完全な透明ではなく、半透明となっている。鍔部66は、ヒートシンク14の支持面28aに対して平行となる平板状に形成されており、鍔部66における支持面28aと対向する対向面66aには、クッション材60が貼り付けられている。
【0033】
また、図3に示すように、鍔部66における対向面66aとは反対側の面66bには、複数の補強リブ68が縦方向に延びて形成されており、鍔部66およびクッション材60における補強リブ68から外れた部分には、固定ネジ34が挿通される複数(本実施形態では18個)の貫通孔70が形成されている。さらに、側壁部64におけるヒートシンク14の縦方向一方端部に対応する部分の外面には、ソケット40に接続されるプラグ(図示省略)を有する電力供給部24が設けられており、電力供給部24のプラグには、電力線72が電気的に接続されている。
【0034】
図5(B)に示すように、クッション材60の厚さは、基板16および発光ダイオード18を合わせた部分の厚さよりも十分に薄くされている。したがって、発光ダイオード18の発光面44に設けられたレンズ体46の真横には、カバー22の本体部58が配置されている。つまり、カバー22は、光透過性を有する本体部58が基板16の平坦面38に対して平行となる方向からレンズ体46に対向するように構成されている。
【0035】
図3に示す取付部26は、ヒートシンク14を支持体12(図6(A))に取り付けるための部品であり、ステンレスなどの金属からなる板材を略U字状に曲げることによって構成されている。取付部26は、支持体12にボルトおよびナットなどで固定される固定部74と、固定部74の横方向両端部から屈曲して形成された一対の支持部76a,76bとを有している。
【0036】
支持部76a,76bの先端部には、ヒートシンク14の回動中心となる複数(本実施形態では4つ)の貫通孔78と、ヒートシンク14を角度調整可能に固定するための複数(本実施形態では7つ)の貫通孔80とが形成されている。そして、複数(本実施形態では4つ)の貫通孔78のいずれか1つにボルト82が挿通されており、このボルト82がヒートシンク14の側面に形成されたネジ穴(図示省略)に螺合されている。また、複数(本実施形態では7つ)の貫通孔80のいずれか1つにボルト84が挿通されており、このボルト84がヒートシンク14の側面に形成されたネジ穴(図示省略)に螺合されている。したがって、ボルト84が挿通される貫通孔80を変更することによって、看板K(図6(A))の表面に対する発光ダイオード18の各列48a~48e(図4)の傾斜角度を変更することができる。つまり、本実施形態では、貫通孔78,80およびボルト82,84によって、看板K(図6(A))の表面に対する発光ダイオード18の各列48a~48e(図4)の傾斜角度を調整する角度調整機構86が構成されている。
【0037】
(看板照明器具10の使用方法)
図6(A)は、看板照明器具10を使用した場合の看板Kの照度分布を示す図であり、図6(B)は、一般的なLED照明器具Wを使用した場合の看板Kの照度分布を示す図である。看板照明器具10を使用する際には、図6(A)に示す看板Kの前方斜め上方に複数のアーム状の支持体12を一定の間隔で設置する。そして、複数の支持体12のそれぞれに対して、看板照明器具10を取り付ける。看板照明器具10を支持体12に取り付ける際には、図3に示す固定部74を図示しないボルトおよびナットを用いて支持体12に固定する。
【0038】
看板照明器具10の総数、看板照明器具10の位置および隣接する2つの看板照明器具10の間隔などは、看板Kの大きさ、看板照明器具10から看板Kに至る光路の距離、看板照明器具10の出力および出光領域S(図2)の幅などを考慮して、看板Kの照度にむらが生じ難いように設計する。図6(A)に示した使用例では、看板Kの横方向長さが10000mm(10m)、看板Kの上下方向長さが3500mm(3.5m)となっている。そこで、4つのアーム状の支持体12を用いて、4つの看板照明器具10のそれぞれを看板Kの上端部から1000mm(1m)前方に配置し、かつ、隣接する2つの看板照明器具10を2700mm(2.7m)の間隔を隔てて配置している。
【0039】
また、看板Kの表面に対する発光ダイオード18の各列48a~48e(図4)の傾斜角度は、看板Kに対する看板照明器具10の位置、看板Kの上下方向長さおよび配光部20(図2)の配光特性などを考慮して、看板Kの照度にむらが生じ難いように調整する。図6(A)に示した使用例では、看板Kの表面に対する各列48a~48e(図4)の傾斜角度を60度に調整している。
【0040】
支持体12に取り付けられた複数の看板照明器具10を点灯させる際には、各看板照明器具10の各発光ダイオード18に電力線72から電力を供給する。すると、図5(B)に示すように、各発光ダイオード18の発光面44からレンズ体46を通して光が出射され、この光が配光部20を通して屈折されるとともに、カバー22を通して拡散されて、看板Kの表面に照射される。
【0041】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、図5(B)に示すように、発光ダイオード18の発光面44から出射された光の一部をレンズ体46によって基板16の平坦面38に対して平行となる方向に屈折させた後、光透過性を有するカバー22の本体部58からカバー22の外側に出すことができる。したがって、レンズ体46の真横方向における光度が著しく低くなることを抑制でき、看板Kの照度の均一性を高めることができる。これにより、看板Kの表示内容を見え易くすることができる。
【0042】
また、図4に示す配光部20によって、横方向の最も外側の列48a,48eから出射された光を、横方向の中央の列48b,48c,48dから出射された光よりも横方向に広げることができるので、出光領域S(図2)の横方向端部において光度が著しく低くなることを抑制でき、看板Kの照度の均一性を高めることができる。また、このような効果を得られることから、複数の看板照明器具10を横方向に間隔を隔てて設置する場合には、隣接する2つの看板照明器具10の間隔を長くすることができ、1つの看板Kに対して使用する看板照明器具10の総数を少なくすることができる。
【0043】
図4に示すように、横方向において互いに隣接する2つの列(例えば、列48a,48b)に着目したとき、一方の列(例えば、列48a)を構成する複数の発光ダイオード18は、他方の列(例えば、列48b)を構成する複数の発光ダイオード18に対して、縦方向にずれた位置に配置されているので、縦方向に揃った位置に配置されている場合に比べて、看板Kの照度の均一性を高めることができる。
【0044】
図2に示すように、看板照明器具10から看板Kに至る光路の距離は、光が真直ぐに進む第1領域S1において最も短くなるため、第1領域S1の光度が低くても、第1領域S1の光で照らされた看板Kの照度は低くなり難い。また、看板照明器具10から看板Kに至る光路の距離は、光が斜めに進め第2領域S2において最も長くなるが、横方向において隣接する2つの看板照明器具10の第2領域S2が重なるため、第2領域S2の光で照らされた看板Kの照度は低くなり難い。さらに、配光部20は、第3領域S3の光度が第1領域S1および第2領域S2のそれぞれの光度よりも高くなるように構成されているので、第3領域S3の光で照らされた看板Kの照度は低くなり難い。したがって、全体として、看板Kの照度の均一性を高めることができる。
【0045】
図6(A),(B)において、符合Dで示した領域は、照度が100lx(ルクス)程度の領域であり、符合Eで示した領域は、照度が200lx程度の領域であり、符合Fで示した領域は、照度が300lx程度の領域である。また、符合Gで示した領域は、照度が500lx程度の領域であり、符合Hで示した領域は、照度が700lx(ルクス)程度の領域である。看板Kの照明では、照度が500lx程度の領域Gが広く分布していることが望ましく。領域Gの面積が同じ程度であれば、看板照明器具10の総数が少ないことが経済的に望ましい。図6(A),(B)を見ると、本実施形態の看板照明器具10を使用した場合(図6(A))には、一般的なLED照明器具Wを使用した場合(図6(B))に比べて、少ない照明器具の数で、同等の領域Gの面積を確保できることが分かる。
【0046】
図3に示すように、上記実施形態では、看板照明器具10がヒートシンク14を備えているので、複数の発光ダイオード18のそれぞれで発生した熱を基板16からヒートシンク14に伝えて大気中に放散することができる。また、取付部26が角度調整機構86を有しているので、看板Kの表面に対する発光ダイオード18の各列48a~48e(図4)の傾斜角度を現場の状況に応じて適宜調整することができる。
【0047】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、発光ダイオード18の列48a~48eの数が5つにされているが、当該列の数は、少なくとも3つあればよく、3つまたは4つにされてもよいし、6つ以上にされてもよい。
【0048】
図4に示すように、上記実施形態では、複数の発光ダイオード18のそれぞれを覆うようにして板状の配光部20を設けているが、配光部20は、図3に示すカバー22と一体的に形成されてもよい。
【0049】
図5(B)に示すように、上記実施形態のカバー22は、本体部58の鍔部66が基板16の平坦面38に対して平行となる方向からレンズ体46に対向するように構成されているが、カバー22は、本体部58の側壁部64が基板16の平坦面38に対して平行となる方向からレンズ体46に対向するように構成されてもよい。
【0050】
図6(A)に示すように、上記実施形態では、看板照明器具10が取り付けられる支持体12が、看板Kの前方斜め上方に設けられているが、支持体12は、看板Kの前方斜め下方に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
S…出光領域、10…看板照明器具、12…支持体、14…ヒートシンク、16…基板、
18…発光ダイオード、20…配光部、22…カバー、38…平坦面、44…発光面、
46…レンズ体、58…本体部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6