IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テクノテックの特許一覧

<>
  • 特許-床排水トラップ 図1
  • 特許-床排水トラップ 図2
  • 特許-床排水トラップ 図3
  • 特許-床排水トラップ 図4
  • 特許-床排水トラップ 図5
  • 特許-床排水トラップ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】床排水トラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
E03C1/28 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018215759
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020084434
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592139887
【氏名又は名称】株式会社テクノテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】朝賀 隆
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3215054(JP,U)
【文献】特開2015-197036(JP,A)
【文献】特開2017-95930(JP,A)
【文献】特開2008-261183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水ホースによって導かれた排水を床板の下穴に立ち上げられた排水管に排出する床排水トラップにおいて、
前記排水ホースが接続されるホースジョイントと、
前記ホースジョイントが接続され前記床板に固定される床固定部材と、
前記床固定部材にスライド移動して取り付けられ前記ホースジョイントを前記床固定部材に押し付けるカバー部材と、
前記床固定部材に保持される封水筒とを有し、
前記床固定部材は、
前記ホースジョイントが着脱自在に接続されるとともに前記排水管に接続される接続部と、
前記接続部に着脱自在に連結され前記カバー部材がスライド移動して取り付けられるフランジ部とを有し、
前記フランジ部が複数個の構成片に分割され、それぞれの構成片が前記床板に着脱自在にネジ締結されることを特徴とする床排水トラップ。
【請求項2】
前記接続部は筒形状を有し、前記フランジ部の前記構成片は前記接続部を径方向外方から挟持自在な挟持部を有する請求項1に記載の床排水トラップ。
【請求項3】
前記接続部は、前記床板よりも上方の位置において外方に向けて突出する凸部を有し、
前記フランジ部の前記構成片は、前記接続部の前記凸部を支持する凹所を有する請求項1または請求項2に記載の床排水トラップ。
【請求項4】
前記フランジ部の前記構成片は、前記カバー部材をスライド移動させる方向に分割されている請求項1~3のいずれか1項に記載の床排水トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に取り付けて使用する床排水トラップに関する。
【背景技術】
【0002】
排水ホースによって導かれた電気洗濯機等からの排水を床下に排出する場合、床排水トラップが使用される。床排水トラップは、単に排水を流すだけでなく、排水の一部を貯留して封水を確保し、これにより臭気の逆流を阻止する機能を備えている。床排水トラップは、床板に形成された下穴に立ち上げられた排水管に接続され、下穴を塞ぐように取り付けられる。
【0003】
本件出願人は、排水ホースが接続されるホースジョイントを取り付けたり、取り外したりするときの操作性を改善した床排水トラップを提案した(特許文献1を参照)。この床排水トラップは、ホースジョイントが接続され床板に固定される床固定部材と、床固定部材にスライド移動して取り付けられるカバー部材とを有している。カバー部材を床固定部材に取り付けることによって、ホースジョイントが床固定部材に押し付けられる。床固定部材は、排水管に接続される接続部と、カバー部材がスライド移動して取り付けられるフランジ部とを有する。フランジ部は、接続部の外方に向けて拡がった形状を有し、接続部よりも大きい。フランジ部は、接続部と一体的に形成され、床板にネジ締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5016361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床板の上にはクッションフロアやフロアタイルなどの床材が敷設されている。床排水トラップの周囲に床板そのものが見えると美感が損なわれる。このため、床排水トラップを施工するときには、床固定部材の接続部を通過させることができ、かつ、フランジ部を通過させることができない程度の大きさの穴を床材に形成し、穴の周囲の床材を床固定部材と床板との間に挟み込んでいる。
【0006】
既設の床材を新規な床材に張り替えることがある。床固定部材のフランジ部は接続部よりも大きいことから、床材を張り替える場合に、フランジ部を通過させることができる程度の大きさの穴を床材に形成したときには、床排水トラップの周囲に床板そのものが見えてしまい美感が損なわれる。このため、排水管を切断して床排水トラップを一旦取り外し、床材を張り替え、その後に床排水トラップを再び排水管に接続する作業を行っている。
【0007】
しかしながら、排水管を切断したり、床排水トラップを再び排水管に接続したりする等の作業が必要であり、床材の張り替え作業が煩雑である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、本件出願人が先に提案したホースジョイントの取り付け・取り外しの操作性を改善した床排水トラップをさらに改善し、床材の張り替え作業を簡単に行うことができる床排水トラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の床排水トラップは、排水ホースによって導かれた排水を床板の下穴に立ち上げられた排水管に排出する床排水トラップであって、前記排水ホースが接続されるホースジョイントと、前記ホースジョイントが接続され前記床板に固定される床固定部材と、前記床固定部材にスライド移動して取り付けられ前記ホースジョイントを前記床固定部材に押し付けるカバー部材と、前記床固定部材に保持される封水筒とを有する。前記床固定部材は、前記ホースジョイントが着脱自在に接続されるとともに前記排水管に接続される接続部と、前記接続部に着脱自在に連結され前記カバー部材がスライド移動して取り付けられるフランジ部とを有する。そして、前記フランジ部が複数個の構成片に分割され、それぞれの構成片が前記床板に着脱自在にネジ締結される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床排水トラップは、床固定部材における接続部とフランジ部とが着脱自在であり、フランジ部が複数個の構成片に分割されている。フランジ部におけるそれぞれの構成片の床板へのネジ締結を解除することによって、接続部を排水管に接続したままの状態で、フランジ部の構成片を、接続部および床板から取り外すことができる。床板の上に敷設された既設の床材を新規な床材に張り替える場合にあっては、排水管を切断したり、床排水トラップを再び排水管に接続したりする作業は不要である。また、排水管に接続された接続部を通過させることができる程度の大きさの穴を新規な床材に形成すればよいため、床排水トラップの周囲に床板そのものが見えることがなく、美感が損なわれない。よって、ホースジョイントの取り付け・取り外しの操作性を維持したまま、床材の張り替え作業を簡単に行うことができるよう改善した床排水トラップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る床排水トラップを示す分解斜視図である。
図2】床排水トラップを組み立てた状態を示す斜視図である。
図3】床排水トラップを示す断面図である。
図4図4(A)(B)は、床排水トラップの床固定部材を示す斜視図であり、図4(A)は、接続部とフランジ部の構成片とが分離された状態において示す斜視図、図4(B)は、接続部にフランジ部の構成片が取り付けられた状態において示す斜視図である。
図5図5(A)は、床排水トラップの床固定部材を接続部とフランジ部の構成片とが分離された状態において示す平面図、図5(B)は、図5(A)の5B-5B線に沿う断面図、図5(C)は、図5(A)の5C-5C線に沿う断面図である。
図6図6(A)は、図5(A)の6A-6A線に沿う断面図、図6(B)は、図6(A)の状態から接続部にフランジ部の構成片が取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係る床排水トラップ100を説明する。床排水トラップ100は、排水ホース110によって導かれた排水を床板120の下穴121に立ち上げられた排水管130に排出するために用いる。床排水トラップ100は、概説すると、排水ホース110が接続されるホースジョイント10と、ホースジョイント10が接続され床板120に固定される床固定部材40と、床固定部材40にスライド移動して取り付けられホースジョイント10を床固定部材40に押し付けるカバー部材60と、床固定部材40に保持される封水筒70とを有する。床固定部材40は、ホースジョイント10が着脱自在に接続されるとともに排水管130に接続される接続部41と、接続部41に着脱自在に連結されカバー部材60がスライド移動して取り付けられるフランジ部42とを有する。フランジ部42は、複数個の構成片43、44に分割され、それぞれの構成片43、44が床板120に着脱自在にネジ締結される。以下、床排水トラップ100の構成について詳述する。
【0014】
ホースジョイント10は、エルボ形状を有し、水平部の端部に洗濯機の排水ホース110が接続される。ホースジョイント10の下方に垂直円筒部11が延在し、その外周にフランジ12が設けられる。ホースジョイント10は、好ましくはエラストマー製であり、一体成形される。エラストマーとしては、軟質ゴム、軟質合成樹脂などが使用可能である。
【0015】
ホースジョイント10は、リング20および環状シール30によって床固定部材40に対して水密に取り付けられる。
【0016】
リング20は、2個の部材21、22から構成されている。リング20は、2個の部材21、22が係合した状態でホースジョイント10の垂直円筒部11を囲繞し、フランジ12の上面に配置される。符号「23」は、リング20の部材21における上段部の上面を示している。
【0017】
環状シール30は、ゴム製であり、好ましくは、EPDM製である。環状シール30の形状は、平ワッシャー状、断面凸状の平ワッシャー状であってよく、O-リングであってもよい。
【0018】
図4図6をも参照して、床固定部材40は、接続部41と、接続部41に着脱自在に連結されるフランジ部42とを有する。接続部41は、中空の円筒形状を有し、上部開口に、ホースジョイント10が着脱自在に接続される。接続部41の外周面に排水管130の内周面が接続される(図3を参照)。接続部41は、接着剤によって排水管130に接続される。接続部41は、フランジ部42の下面から下方に向けて伸びている。図3および図6(A)(B)に示すように、接続部41における内周面の下端に、環状段部41aが形成されている。また、接続部41における内周面の高さ方向の略中間部位にも、環状段部41bが形成されている。
【0019】
床固定部材40のフランジ部42は、角部にRが付された略矩形の平面形状を有する。フランジ部42の上に、カバー部材60をスライド移動して取り付けることが可能である。フランジ部42は、複数個の構成片43、44に分割されている。図示例のフランジ部42は、2分割され、第1構成片43と、第2構成片44とを有する。第1構成片43には2個のネジ穴45が形成され、第2構成片44にも2個のネジ穴45が形成されている。各ネジ穴45に図示しない皿ネジなどのネジを通して捩じ込むことによって、第1構成片43および第2構成片44のそれぞれが床板120にネジ締結される。ネジを外すことによって、第1構成片43および第2構成片44のそれぞれを床板120から取り外すことができる。各ネジ穴45は、同一円周上において長穴形状を有するように伸びている。このような形状とすることによって、リフォームなどのときにフランジ部42を一旦取り外し、その後にフランジ部42を再びネジ締結する場合、ネジの締結位置を長穴内においてずらすことができる。このため、フランジ部42の取り付け強度の低下を防ぐことができる。また、フランジ部42は角型形状であるため、所定の方向から角度がずれた状態にフランジ部42を固定すると美感が損なわれる。各ネジ穴45を上記の形状とすることによって、取付時に、角型形状のフランジ部42の角度調整を簡単に行うことができ、美感が損なわれることがない。
【0020】
フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44のそれぞれは、筒形状を有する接続部41を径方向外方から挟持自在な挟持部51、52を有する。第1構成片43および第2構成片44は、互いに向かい合って接続部41を挟持する。第1構成片43の挟持部51は、離間して配置された一対のアーム53a、53bを有し、第2構成片44の挟持部52も同様に、離間して配置された一対のアーム54a、54bを有する。一対のアーム53aと53b、54aと54bを接続する内周縁55、56は、半円弧形状を有する。接続部41は、アーム53aと53b、54aと54bの内周縁55、56によって、径方向外方から挟持される。第1構成片43の一対のアーム53a、53bは、第2構成片44の一対のアーム54a、54bに向かい合う。第2構成片44のアーム54a、54bの先端には、係合ピン57が突出して形成され、第1構成片43のアーム53a、53bの先端には、係合ピン57が嵌り込む係合凹部58が窪んで形成されている(図5(A)および図6(A)を参照)。第1構成片43および第2構成片44は、係合ピン57と係合凹部58との嵌め合いによって、位置合わせされて組み付けられる。
【0021】
接続部41は、床板120よりも上方の位置において外方に向けて突出する凸部46を有する。第1構成片43および第2構成片44は、接続部41の凸部46を支持する凹所47を有する。図示例の凸部46は、接続部41の上端縁に全周にわたって形成されたフランジ形状を有する。凸部46を含む部位が、接続部41における最大の外径寸法となる。図6に示すように、凸部46の外周面は、下向きの傾斜面46aに形成されている。各構成片43、44の凹所47は、上向きの傾斜面47aに形成されている。接続部41は、凸部46が各構成片43、44の凹所47に支持されることによって、フランジ部42に支持される。これによって、接続部41にフランジ部42を連結したときに、接続部41がフランジ部42から脱落することがない。
【0022】
第1構成片43は、接続部41の凸部46の上面に接触する押え部48が形成されている。押え部48によって、接続部41にフランジ部42を連結したときに、接続部41がフランジ部42から持ち上がることがない。
【0023】
第1構成片43および第2構成片44は、カバー部材60をスライド移動させる方向に分割されている(図1を参照)。つまり、フランジ部42の分割方向と、カバー部材60のスライド移動方向とを揃えている。第1構成片43と第2構成片44とを突き合わせてフランジ部42を形成するときの作業者の手の動きと、カバー部材60をフランジ部42に組み付けるときの作業者の手の動きとが同一方向となる。このため、フランジ部42を形成する作業と、カバー部材60をフランジ部42に組み付ける作業との作業性が良好になる。
【0024】
フランジ部42の対向する2辺の端部は、ガイドレール49を構成している(図4を参照)。ガイドレール49は、第1構成片43の第1レール片49aと、第2構成片44の第2レール片49bとによって形成される。フランジ部42の上面には段差が形成されている。上段部の上面42aと下段部の上面42bとは異なる高さに構成されている。下段部の上面42bは平面であり、その上をカバー部材60がスライド移動する。上段部の形状および厚みは、カバー部材60の取付時において、その厚みおよび形状に対応するように形成されている。
【0025】
カバー部材60は、略矩形の平面形状を有する。カバー部材60は、対向する2辺にコの字形状の係合部61が設けられる(図1を参照)。カバー部材60の係合部61は、フランジ部42のガイドレール49と係合する。カバー部材60は、ガイドレール49に沿ってスライドし、フランジ部42に取り付けられる。カバー部材60を取り付けるときには、例えば、後端部62を指などで押圧し、スライドさせる。カバー部材60を取り外すときには、例えば、爪部63を指などで押圧し、スライドさせる。符号「64」は、カバー部材60の縁取りを示している。カバー部材60の縁取り64は、リング20の部材22に対応する同心円状に形成されている。カバー部材60をガイドレール49に沿ってスライドさせると、カバー部材60がリング20上に乗り上げるように構成されている。
【0026】
封水筒70は、スロート71と、カップ72とから構成されている。図3に示されるように、カップ72は、開口部73の上部に段差部74が形成され、スロート71は、カップ72の段差部74に嵌まり合う段差部75が形成されている。カップ72の内部にスロート71を嵌め合わせた封水筒70は、床固定部材40の環状段部41aによって保持される。封水筒70は、床固定部材40の接続部41の内周面に接した状態において360度回転可能である。ホースジョイント10から流入した排水は、スロート71の内部を流下した後、スロート71とカップ72との間に形成されるスペース内を上方に流れ、カップ72の開口部73から流出する。
【0027】
床排水トラップ100における各構成部材の形成材料は特に限定されないが、床固定部材40、カバー部材60、および封水筒70などは、例えば合成樹脂脂材料から形成されている。
【0028】
本実施形態の作用を説明する。まず、床排水トラップ100の施工について簡単に説明する。
【0029】
図3に示すように、排水管130は、床板120の下穴121の高さ位置まで立ち上げられている。床板120の上にはクッションフロアやフロアタイルなどの床材140が敷設されている。床材140の穴141は、接続部41における最大の外径寸法部位、つまり凸部46を含む部位を通過させることができる程度の大きさを有する。床固定部材40の接続部41を床材140の穴141および床板120の下穴121に通し、接着剤によって排水管130の上端部に接続する。
【0030】
フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44のそれぞれを、接続部41を間に挟むようにして向かい合わせる(図4(A)、図6(A)を参照)。第1構成片43および第2構成片44を接続部41に接近させ、アーム53aと53b、54aと54bの内周縁55、56によって接続部41を径方向外方から挟持する(図4(B)、図6(B)を参照)。このとき、第1構成片43および第2構成片44は、係合ピン57と係合凹部58との嵌め合いによって、位置合わせされて組み付けられる。
【0031】
接続部41の凸部46が各構成片43、44の凹所47に支持され、接続部41がフランジ部42から脱落することがない。また、第1構成片43の押え部48が接続部41の凸部46の上面に接触するため、接続部41がフランジ部42から持ち上がることがない(図3図6(B)を参照)。
【0032】
第1構成片43および第2構成片44の各ネジ穴45にネジを通して捩じ込み、第1構成片43および第2構成片44のそれぞれを床板120にネジ締結する。接続部41とフランジ部42とが連結されて、床固定部材40が形成される。床材140は、床固定部材40と床板120との間に挟み込まれる。床固定部材40の周囲に床板120そのものが見えることがなく、美感が損なわれない。
【0033】
封水筒70を、床固定部材40の接続部41の内部に収容し、環状段部41aによって保持する。環状シール30を接続部41の内部に収容し、封水筒70の上部に配置する。リング20をホースジョイント10のフランジ12の上面に配置し、接続部41の内部に収容する。
【0034】
カバー部材60をガイドレール49に沿ってスライドさせると、カバー部材60がリング20上に乗り上げることによって締付力が発生する。この締付力が、リング20を介してフランジ12に伝達される。フランジ12の下面が環状シール30を押圧し、フランジ12の下面と床固定部材40の環状段部41aとの間が環状シール30によって水密となる。
【0035】
次に、既設の床材140を新規な床材140に張り替えるときの作用を説明する。
【0036】
まず、カバー部材60をガイドレール49に沿ってスライドさせ、床固定部材40から取り外す。リング20、ホースジョイント10、環状シール30、および封水筒70を、順に接続部41の内部から取り外す。
【0037】
フランジ部42における第1構成片43および第2構成片44の床板120へのネジ締結を解除する。接続部41とフランジ部42とは着脱自在であり、フランジ部42が2個の構成片43、44に分割されている。接続部41を排水管130に接続したままの状態で、第1構成片43および第2構成片44を、接続部41および床板120から取り外すことができる。
【0038】
床材140の穴141は、接続部41における凸部46を含む部位を通過させることができる程度の大きさを有する。このため、接続部41を排水管130に接続したままの状態で、既設の床材140を床板120から簡単に剥がし取ることができる。
【0039】
新規な床材140に、接続部41における凸部46を含む部位を通過させることができる程度の大きさの穴141を形成する。床材140の穴141に、排水管130に接続されたままの接続部41を通す。床材140を床板120の上に敷設する。
【0040】
この後は、床排水トラップ100の施工時と同様の作業を行う。すなわち、フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44によって接続部41を径方向外方から挟持し、第1構成片43および第2構成片44のそれぞれを床板120にネジ締結する。封水筒70、環状シール30、ホースジョイント10、およびリング20をセットした後、カバー部材60をガイドレール49に沿ってスライドさせると、ホースジョイント10が床固定部材40に水密状態に接続される。
【0041】
このように、床板120の上に敷設された既設の床材140を新規な床材140に張り替える場合にあっては、排水管130を切断したり、床排水トラップ100を再び排水管130に接続したりする作業は不要である。また、排水管130に接続された接続部41を通過させることができる程度の大きさの穴141を新規な床材140に形成すればよいため、床排水トラップ100の周囲に床板120そのものが見えることがなく、美感が損なわれない。よって、ホースジョイント10の取り付け・取り外しの操作性を維持したまま、床材140の張り替え作業を簡単に行うことができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の床排水トラップ100は、ホースジョイント10と、床固定部材40と、カバー部材60と、封水筒70とを有し、床固定部材40は、ホースジョイント10が着脱自在に接続されるとともに排水管130に接続される接続部41と、接続部41に着脱自在に連結されカバー部材60がスライド移動して取り付けられるフランジ部42とを有する。そして、フランジ部42が第1構成片43と第2構成片44とに分割され、第1と第2のそれぞれの構成片43、44が床板120に着脱自在にネジ締結される。
【0043】
床固定部材40における接続部41とフランジ部42とが着脱自在であり、フランジ部42が第1構成片43と第2構成片44とに分割されている。フランジ部42における第1構成片43および第2構成片44の床板120へのネジ締結を解除することによって、接続部41を排水管130に接続したままの状態で、フランジ部42の構成片43、44を、接続部41および床板120から取り外すことができる。床板120の上に敷設された既設の床材140を新規な床材140に張り替える場合にあっては、排水管130を切断したり、床排水トラップ100を再び排水管130に接続したりする作業は不要である。また、排水管130に接続された接続部41を通過させることができる程度の大きさの穴141を新規な床材140に形成すればよいため、床排水トラップ100の周囲に床板120そのものが見えることがなく、美感が損なわれない。
【0044】
接続部41は筒形状を有し、フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44は接続部41を径方向外方から挟持自在な挟持部51、52を有する。
【0045】
このように構成することによって、フランジ部42を接続部41に着脱自在に連結することが可能となる。
【0046】
接続部41は、床板120よりも上方の位置において外方に向けて突出する凸部46を有し、フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44は、接続部41の凸部46を支持する凹所47を有する。
【0047】
このように構成することによって、接続部41にフランジ部42を連結したときに、接続部41がフランジ部42から脱落することがない。
【0048】
フランジ部42の第1構成片43および第2構成片44は、カバー部材60をスライド移動させる方向に分割されている。
【0049】
このように構成することによって、フランジ部42の分割方向と、カバー部材60のスライド移動方向とが揃えられため、フランジ部42を形成するときの作業者の手の動きと、カバー部材60をフランジ部42に組み付けるときの作業者の手の動きとが同一方向となる。このため、フランジ部42を形成する作業と、カバー部材60をフランジ部42に組み付ける作業との作業性を良好にできる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく適宜改変することができる。例えば、フランジ部42を2個の構成片43、44に分割した実施形態について説明したが、フランジ部42を3個以上の構成片に分割することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ホースジョイント、
20 リング、
30 環状シール、
40 床固定部材、
41 接続部、
41a 環状段部、
41b 環状段部、
42 フランジ部、
42a 上面、
42b 上面、
43 第1構成片、
44 第2構成片、
45 ネジ穴、
46 凸部、
46a 傾斜面、
47 凹所、
47a 傾斜面、
48 押え部、
49 ガイドレール、
49a 第1レール片、
49b 第2レール片、
51、52 挟持部、
53a、53b アーム、
54a、54b アーム、
55、56 内周縁、
60 カバー部材、
70 封水筒、
71 スロート、
72 カップ、
73 開口部、
100 床排水トラップ、
110 排水ホース、
120 床板、
121 床板の下穴、
130 排水管、
140 床材、
141 床材の穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6