(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】遮光スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/262 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
E06B9/262
(21)【出願番号】P 2018229108
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】澤口 直人
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-2550(JP,A)
【文献】特開2016-14309(JP,A)
【文献】特開平6-299767(JP,A)
【文献】実開昭58-187360(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能なシート状遮光素材により形成した水平配置の筒状部を単層又は複数層で上下方向に並設してなる遮光スクリーンを備え、該遮光スクリーンの上端をヘッドボックスに取り付けると共に、該遮光スクリーンの下端に可動桟を取り付け、上記ヘッドボックスをスクリーン枠の上枠に取り付けて、該ヘッドボックスに設けた昇降機構により上記可動桟を上下方向に昇降可能に吊下し、上記スクリーン枠内に該遮光スクリーンを展張・折り畳み自在に支持させた遮光スクリーン装置において、
上記遮光スクリーンの各筒状部の両端部がそれぞれ対面するスクリーン枠の内側面に沿って、該筒状部の端面に接離する遮光部材を収容するための溝状部を備えた遮光レール部材を縦設し、
該遮光部材は、上記筒状部の端部に対面してそれに接離する遮光面を備えると共に、上記遮光レール部材に対し、該遮光部材の上端部が上記遮光スクリーンの上端部に接する部位にあって、その傾動により上記遮光面が上記筒状部の端部に全面的に接離する吊下状態に係合保持されたものとし、
該遮光部材の下部側においては、上記可動桟の遮光部材側端部に、該可動桟の昇降時に常に該遮光部材の遮光面を押圧して該遮光面と上記筒状部の端部との間に隙間を形成させる押圧子を付設し、しかも、上記遮光部材の遮光面の下端に、上記可動桟がスクリーン枠の最下端に達したときに、該可動桟の押圧子による遮光面の押圧を解消させる凹部を設けると共に、上記遮光部材と上記可動桟との間に、それらを相互に接触させる方向に付勢する付勢機構を付設している、
ことを特徴とする遮光スクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遮光スクリーン装置において、
スクリーン枠の内側面に沿って縦設した遮光レール部材に係合保持させる遮光部材の上下端に、それぞれ上端キャップ及び下端キャップを固定し、該上端キャップ及び下端キャップには、上記遮光レール部材の上下端における溝状部の両側係合縁に対して、上記遮光部材の遮光面を上記筒状部の端部に接離する方向に変位可能に係止する一対の係止鉤を備えることにより、上記遮光部材を遮光レール部材に対して係合保持させたうえで、該遮光部材の上端部を上記遮光スクリーンの上端部に接する部位に対して弾性的に押圧保持させている、
ことを特徴とする遮光スクリーン装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遮光スクリーン装置において、
上記上端キャップと上記遮光レール部材の溝状部の内底との間に、遮光部材の上端部を遮光スクリーンの上端部に接する部位に対して弾性的に押圧するスプリングを配設している、
ことを特徴とする遮光スクリーン装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の遮光スクリーン装置において、
上記下端キャップと可動桟とを相互に接触させる方向に付勢する付勢機構として、該下端キャップと可動桟との一方に、マグネット片を、他方に該マグネット片との間で磁気的吸引力を発生させる磁性体を配設している、
ことを特徴とする遮光スクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部等における縦引き収納タイプの遮光スクリーン装置に関するものであり、更に具体的には、遮光性のハニカムスクリーンや、それに類する遮光スクリーンの建物開口部枠内への設置に際し、該遮光スクリーンの側端の遮光を効果的に行い得る遮光機構を備えたところの遮光スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既知の遮光スクリーン装置としては、通常、
図8の(a)に示すように折り畳み可能な可撓のシート状遮光素材により形成した水平配置の筒状部10aを単層に並設したところの、シングルハニカムと呼び得る断面形状の遮光スクリーン10や、同様な筒状部10aを、
図8の(b)に示すような複数層に順次並設したダブルハニカムと呼び得る断面形状の遮光スクリーン10が用いられ、それらによって、
図7に概要を示すように、該遮光スクリーン10をスクリーン枠15に上下方向に展張・折り畳み自在に設置したものが知られている。
【0003】
既知の遮光スクリーン装置の概要を示す
図7を参照し、
図8の(a)又は(b)に示すような断面形状の遮光スクリーン10を用いて、それらをスクリーン枠15に設置する場合の遮光の態様について具体的に説明すると、該遮光スクリーン装置では、上下方向に展張・折り畳み自在とした上記遮光スクリーン10を、その両端が開口する筒状部10aを水平方向に向けて、上端をヘッドボックス11に支持させると共に、該遮光スクリーン10の下端に、重錘としての機能をも備える可動桟12を取り付けている。そして、該遮光スクリーン10のヘッドボックス11には、該遮光スクリーンを昇降させる昇降機構13を収容してそれらをスクリーン枠15の上枠16に取り付け、一方、上記遮光スクリーン10の下端に取り付けた可動桟12には、それを昇降させるための複数のコード13aの下端を間隔を置いて取り付け、それらを遮光スクリーン10の筒状部内において上方に導出し、上記ヘッドボックス11に設けた昇降機構13に対し、上下方向に昇降可能に吊下し、その駆動により遮光スクリーン10を折り畳み、或いは遮光のために該遮光スクリーンを下方に展張させ、上枠16と可動桟12との間に該遮光スクリーンを展張可能に構成している。
【0004】
このような既知の遮光スクリーン装置において、上記遮光スクリーン10をスクリーン枠15の上枠16と下枠17との間の任意の範囲に張設するに当たっては、上記各筒状部10aの両端面とそれに対向するスクリーン枠15の側枠18の内側面との間に僅かな隙間19を設け、上記昇降機構13による遮光スクリーン10の展張・折り畳み操作を行う際に、該筒状部10aの端面とスクリーン枠15の側枠18の内側面とが摩擦接触するのを避けることにより、遮光スクリーン10の昇降の円滑化を図ると共に、該筒状部10aの端部の摩擦による損耗の防止を図り、該遮光スクリーン10に耐久性を付与する必要がある。しかしながら、上記隙間19が存在すれば、その隙間を通してスクリーンの一面側の光が他面側に漏れるため、該光の漏れも抑止することが求められる高度の遮光性を得る場合には、それに対する対応策を考慮する必要がある。
【0005】
上述した高度の遮光性を得る場合には、
図9又は
図10に示すような構成を採用することが一般的に考慮されている。これらの構成は、上記遮光スクリーン10の筒状部10aの端面とスクリーン枠15の側枠18の内側面等とが摩擦接触するのを避けながら、それらの間に設けた隙間tを通して光が遮光スクリーンの反対側に直接的に照射するのを封じるようにした点で有効なものである。
【0006】
更に具体的に説明すると、
図9に例示する構成は、上記スクリーン枠15の側枠18の内側面側に、上記筒状部10aの端部を覆うようなコ字状断面の防漏レール20を上下方向に向けて配設することにより、光の漏れの抑制機構を構成したもので、同図の(a)では、遮光スクリーン10を上下方向に折り畳んだ幅広の状態でもその筒状部10aの端部を防漏レール20内に挿入し得る溝幅とすればよいことを示し、また、同図の(b)は遮光スクリーン10を上下方向に展張させた状態で、その筒状部10aの端部が防漏レール20の溝幅よりも小さくはなるが、該防漏レール内に保持させて光の漏れを防げることを示している。
【0007】
一方、
図10に例示する構成では、遮光スクリーン10における筒状部10aの端面に上下方向の切り溝10bを切設し、上記スクリーン枠15の側枠18の内面側に、該切り溝10b内に挿入される凸板部21aを突設した断面T型の防漏レール21の該凸板部を配設することにより、光の漏れの抑制機構を構成させた場合を示している。
なお、
図9の場合と同様に、
図10の(a)は、遮光スクリーン10を上下方向に折り畳んだ状態を示し、また、同図の(b)は、遮光スクリーン10を上下方向に展張させた状態を示し、いずれの場合も、防漏レール21の凸板部21aを切り溝10b内に挿入しておくことにより、光の漏れを防げることを示している。
【0008】
しかしながら、これらの光漏れの抑制機構によれば、上記隙間tを通して遮光スクリーン10内に入射した光が、該遮光スクリーンの反対面側に直接的に照射して漏れるのを抑制することはできるが、遮光スクリーン10内における表裏面間は、上記筒状部10a内において反射を繰り返す迂回した通路により相互に連通し、より具体的にはスクリーン枠15の側枠18の内面側に沿って配設した防漏レール20,21の表面や、遮光スクリーン10の内面において多重の反射を繰り返すことにより光が通過できる状態にあり、その通路の存在によって遮光率を極端に高めるのには困難性がある。
【0009】
しかも、両図の(b)に示している場合のように、遮光スクリーン10が展張状態にあって、筒状部10a内の空間が大きく開かれている場合、つまり、遮光率を可及的に高めたい状態にあるときに、該筒状部10aの端面も防漏レール20,21の表面との間に大きな開口部分を有し、そのため、上記筒状部10a内において反射を繰り返す光の通路を著しく縮小することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の技術的課題は、上述した上下方向に折り畳み可能なシート状遮光素材により形成した遮光スクリーンを用い、該遮光スクリーンを建物開口部枠内において昇降機構により吊下して、その昇降を可能にすると共に、展張・折り畳み自在とした遮光スクリーン装置において、該建物開口部枠内における遮光スクリーンの側端の遮光を効果的に行うことが可能な遮光機構を備えた遮光スクリーン装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の技術的課題は、上記遮光スクリーン装置において、遮光スクリーンを上下方向に折り畳む昇降機構の動作を有効に活用し、遮光スクリーンを開閉操作するところの遮光の必要がない段階では、該遮光スクリーンの両側端と建物開口部の側枠の内側面との間に隙間が存在することを許容し、しかしながら、遮光スクリーンを展張させて建物開口部の遮光を行う段階においては、該遮光スクリーンの両端と側枠の内側面との間に隙間が存在することがないようにし、遮光スクリーンの側端の遮光を効果的に行えるようにした遮光スクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明によれば、折り畳み可能なシート状遮光素材により形成した水平配置の筒状部を単層又は複数層で上下方向に並設してなる遮光スクリーンを備え、該遮光スクリーンの上端をヘッドボックスに取り付けると共に、該遮光スクリーンの下端に可動桟を取り付け、上記ヘッドボックスをスクリーン枠の上枠に取り付けて、該ヘッドボックスに設けた昇降機構により上記可動桟を上下方向に昇降可能に吊下し、上記スクリーン枠内に該遮光スクリーンを展張・折り畳み自在に支持させた遮光スクリーン装置において、上記遮光スクリーンの各筒状部の両端部がそれぞれ対面するスクリーン枠の内側面に沿って、該筒状部の端面に接離する遮光部材を収容するための溝状部を備えた遮光レール部材を縦設し、該遮光部材は、上記筒状部の端部に対面してそれに接離する遮光面を備えると共に、上記遮光レール部材に対し、該遮光部材の上端部が上記遮光スクリーンの上端部に接する部位にあって、その傾動により上記遮光面が上記筒状部の端部に全面的に接離する吊下状態に係合保持されたものとし、該遮光部材の下部側においては、上記可動桟の遮光部材側端部に、上記可動桟の昇降時に常に該遮光部材の遮光面を押圧して該遮光面と上記筒状部の端部との間に隙間を形成させる押圧子を付設し、しかも、上記遮光部材の遮光面の下端に、上記可動桟がスクリーン枠の最下端に達したときに、該可動桟の押圧子による遮光面の押圧を解消させる凹部を設けると共に、上記遮光部材と上記可動桟との間に、それらを相互に接触させる方向に付勢する付勢機構を付設していることを特徴とする遮光スクリーン装置が提供される。
【0013】
本発明に係る上記遮光スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーン枠の内側面に沿って縦設した遮光レール部材に係合保持させる遮光部材の上下端に、それぞれ上端キャップ及び下端キャップを固定し、該上端キャップ及び下端キャップには、上記遮光レール部材の上下端における溝状部の両側係合縁に対して、上記遮光部材の遮光面を上記筒状部の端部に接離する方向に変位可能に係止する一対の係止鉤を備えることにより、上記遮光部材を遮光レール部材に対して係合保持させたうえで、該遮光部材の上端部を上記遮光スクリーンの上端部に接する部位に対して弾性的に押圧保持させているものとして構成される。
【0014】
本発明に係る上記遮光スクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記上端キャップと上記遮光レール部材の溝状部の内底との間に、遮光部材の上端部を遮光スクリーンの上端部に接する部位に対して弾性的に押圧するスプリングが配設される。
【0015】
また、本発明に係る上記遮光スクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記下端キャップと可動桟とを相互に接触させる方向に付勢する付勢機構として、該下端キャップと可動桟との一方に、マグネット片を、他方に該マグネット片との間で磁気的吸引力を発生させる磁性体を配設したものとして構成される。
【0016】
上述した本発明に係る遮光スクリーン装置によれば、遮光スクリーンを建物開口部枠内に昇降機構により吊下して展張・折り畳み自在とした遮光スクリーン装置において、遮光スクリーンを開閉操作するところの遮光の必要がない段階では、可動桟の遮光部材側端部に付設した押圧子により常に該遮光部材を押圧して、該遮光面と遮光スクリーンとの間に隙間を形成させるようにしているので、遮光スクリーンの側端が遮光部材と摩擦接触するのを避け、遮光スクリーンの昇降の円滑化を図ることができると共に、遮光スクリーンの側端の摩擦による損耗の防止を図ることもでき、また、可動桟がスクリーン枠の最下端に達したときには、上記可動桟の押圧子による遮光部材の押圧を解消させ、遮光部材と可動桟との間に、それらを相互に接触させる方向に付勢する付勢機構を付設しているので、建物開口部枠内における遮光スクリーンの側端の遮光を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明によれば、上下方向に折り畳み可能なシート状遮光素材により形成した遮光スクリーンの昇降による展張・折り畳みを行うようにした遮光スクリーン装置において、該建物開口部枠内における遮光スクリーンの側端の高度な遮光を効果的に行うことができ、また、遮光スクリーンを上下方向に折り畳む昇降機構の動作を有効に活用し、遮光スクリーンを開閉操作するところの遮光の必要がない段階では、該遮光スクリーンの両側端と遮光部材の内側面との間に隙間が存在するようにし、しかしながら、遮光スクリーンを展張させて建物開口部の遮光を行う段階においては、該遮光スクリーンの両端と遮光部材の内側面との間に隙間が存在することがないようにし、遮光スクリーンの側端の遮光を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る遮光スクリーン装置の実施例における遮光スクリーンとその側端に接離して遮光を行う遮光部材との関連的構成を示し、(a)は遮光スクリーンが収納或いは非展張状態にあるときの要部縦断面図、(b)は遮光スクリーンが展張状態にあるときの要部縦断面図である。
【
図2】上記実施例における遮光レール部材と遮光部材との関連的構成を示す横断面図である。
【
図3】上記実施例における遮光部材の上端に連結する上端キャップの構成を示すもので、(a)は該上端キャップの斜視図、(b)は同正面図、(c)は同縦断面図である。
【
図4】上記実施例における遮光部材の下端に連結する下端キャップの構成を示すもので、(a)は該下端キャップの斜視図、(b)は同正面図、(c)は同縦断面図である。
【
図5】遮光部材に連結した上端キャップ及び下端キャップにおける各一対の係止鉤を、遮光レール部材の上下端の係合縁に対し係合保持させた状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図2における遮光レール部材と遮光部材との関連的構成に加え、それらと上端キャップ(2点鎖線)の位置的関係を示す横断面図である。
【
図7】既知の遮光スクリーン装置の概要を示す正面図である。
【
図8】筒状部の多数を上下に並設した既知の遮光スクリーンの断面形状を示すもので、(a)は該筒状部が単層に、(b)は該筒状部が複数層に並設された形態を示す部分断面図である。
【
図9】上記遮光スクリーンの筒状部端を、建物開口部枠にコ字状断面の防漏レールを介在させて吊下した態様を示し、(a)は遮光スクリーンを上下方向に折り畳んだ状態でその筒状部の端部を防漏レールに対向させた状態を、(b)は遮光スクリーンを上下方向に展張させた状態でその筒状部の端部を防漏レールに対向させた状態を示す部分横断面図である。
【
図10】上記遮光スクリーンの筒状部端を建物開口部枠にT型断面の防漏レールを介在させて吊下した態様を示し、(a)は遮光スクリーンを上下方向に折り畳んだ状態でその筒状部の端部を防漏レールに対向させた状態を、(b)は遮光スクリーンを上下方向に展張させた状態でその筒状部の端部を防漏レールに対向させた状態を示す部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して本発明に係る遮光スクリーン装置の実施例について詳細に説明するに、該遮光スクリーン装置は、
図7及び
図8等を参照して前述した既知の遮光スクリーン装置と比較して、基本構成において若干の共通点を有してはいるが、縦引き収納タイプの遮光スクリーンの建物開口部枠内への設置に際し、該遮光スクリーンの左右側端について高度の遮光を行い得る遮光機構を備えた点において、基本的に相違するところの大きな特徴を有するものである。
【0020】
逆に、本発明に係る遮光スクリーン装置の基本構成で、既知のスクリーン装置の構成と共通しているのは、遮光スクリーン10自体の構成や、該遮光スクリーンの上下端をヘッドボックス11及び可動桟12に取り付けて、該可動桟をヘッドボックスに設けた昇降機構13により上下方向に駆動可能にし、該遮光スクリーンを展張・折り畳み自在とした構成などである。
このように、本発明に係る遮光スクリーン装置の基本構成自体は、
図7及び
図8等を参照して前述した既知のものと格別の差異がないので、ここでは、前記既知のものと共通する部分については説明をできるだけ省略するが、以下に説明する本発明の実施例の詳細図において、既知のものとの対応部分には同一の符号を付し、本明細書では、それらの符号を用いて本発明の実施例について説明することとする。
【0021】
図1乃至
図6の実施例を参照して以下に説明する本発明の遮光スクリーン装置は、基本的には、折り畳み可能なシート状遮光素材により形成した水平配置の筒状部10aを単層又は複数層で上下方向に並設してなるハニカム状断面の遮光スクリーン10を備え(
図8参照)、該遮光スクリーン10の上端を、
図7に示しているようなヘッドボックス11に取り付けると共に、該遮光スクリーン10の下端に可動桟12を取り付け、該ヘッドボックス11をスクリーン枠15の上枠16に取り付けて、該ヘッドボックスに設けた昇降機構13により上記可動桟12を上下方向に昇降可能に吊下し、上記スクリーン枠15内に該遮光スクリーンを展張・折り畳み自在に支持させたものである。この可動桟12を昇降させるための昇降機構13は、先に
図7等を参照して説明した既知のものと格別変わるものではない。
【0022】
なお、
図7の既知の遮光スクリーン装置は、その遮光スクリーンにより高度の遮光を求めるものではなく、例えば、ヘッドボックス11とスクリーン枠15の上枠16との間、及び遮光スクリーン10の展張位置にある可動桟12とスクリーン枠15の下枠17との間において、光の漏れが生じるかの如く図示しているが、本発明に係る遮光スクリーン装置では、高度な遮光性を得るために該ヘッドボックス11とスクリーン枠15の上枠16との間や、遮光スクリーン10の展張位置にある可動桟12と該スクリーン枠の下枠17との間においては、光の漏れが生じないように遮光する必要があるのは勿論である。
【0023】
また、上記遮光スクリーン10の各筒状部10aの両端部とそれらが対面するスクリーン枠15の内側面との間の遮光を行うため、
図1、
図2等に示すように、上記スクリーン枠15の側枠18の内側面に沿って、該筒状部10aの端面に接離する遮光部材30を収容するための溝状部25aを備えたコ字状断面の遮光レール部材25を縦設している。該遮光レール部材25は、
図2或いは
図6に明瞭に示すような断面形状を有するところの、上記側枠18の内側面に沿って固定するL形断面のベース部材26と、それに対して2か所の凹凸部の嵌合により接合する略L形断面のアタッチ部材27とによって構成されたものである。
【0024】
なお、
図1及び
図2においては、上記遮光レール部材25をスクリーン枠15の左側の側枠18に縦設した構成しか図示していないが、スクリーン枠15の右側の側枠18においても、左右対称状に遮光レール部材25及び以下に説明する各種構成を設けるのは勿論である。
【0025】
また、上記遮光レール部材25を構成するベース部材26は、
図9を参照して前述した筒状部10aの端部を覆うコ字状断面の防漏レール20と同様に、遮光スクリーン10の側端を覆ってそれらを保護するもので、
図2及び
図6に示すようなほぼ一定断面の型材により形成され、更に、それと一体化している上記アタッチ部材27も、同図に示すようなほぼ一定断面の型材により形成しているが、その上下端に、後述する遮光部材30の上下端キャップ32,33の係合縁27a,27bを形成している。なお、上記遮光レール部材25をベース部材26とアタッチ部材27との接合によって構成したのは、遮光レール部材25に対する後述の遮光部材30の組み付けや解体を容易にするためであり、必ずしも2部材の接合によって構成する必要はない。
【0026】
これらによって構成された遮光レール部材25は、前述した
図9の筒状部10aの端部を覆うコ字状断面の防漏レール20に近似しているが、それとは機能的に全く異なり、
図6に示すように、該アタッチ部材27における上記筒状部10aの端面に対向する部位に、該筒状部端面に接離する上記遮光部材30を収容するための溝状部25aを備え、しかも、そのアタッチ部材27の上端における溝状部25aの両側に、以下に詳述するところの、遮光部材30の上部を係合保持するための係合縁27aを備えると共に、該アタッチ部材27の下端における該溝状部25aの両側に該遮光部材30の下部を係合保持するための係合縁27bを備え、それらに該遮光部材30を係合保持させることによって、上記遮光スクリーン10で遮光を行うときに、該遮光部材30による遮光スクリーンの側端の確実な遮光を可能にするものである。
【0027】
ここで、上記遮光レール部材25に係合保持させる遮光部材30の構成について具体的に説明するに、該遮光部材30は、
図1、
図2及び
図6等から分かるように、その本体31が、遮光スクリーン10の筒状部10aの端部に対面してそこに接離する遮光面31aを一側に備えた筒状の部材により形成されると共に、該本体31の上下端にそれぞれ上端キャップ32(
図3)及び下端キャップ33(
図4)を取り付けることにより構成され、それらが、上記遮光レール部材25におけるアタッチ部材27の溝状部25aに緩嵌或いは遊嵌する状態において、該本体31の上下端に取り付けた上記上端キャップ32及び下端キャップ33により、該アタッチ部材27の溝状部25aの上下端の両側に設けられた係合縁27a,27bに対して係合保持させるようにしたものである。
【0028】
このような構成を備えた遮光部材30は、後述するように、可動桟12がスクリーン枠15の最下端にまで降下していないときには、上記遮光レール部材25に保持される該遮光部材30の上端部が、上記遮光スクリーン10の上端部に近接する部位にあるが、その遮光部材30の下部が遮光スクリーン10側に傾動するのを可動桟12により抑制して、該可動桟12の下降を制限しないように保持される。また、遮光スクリーン10が展張位置まで下降したときには、遮光部材30の上記傾動を可能にするだけでなく、その段階では、上記遮光部材30の遮光面31aを上記筒状部10aの端部に全面的に接触する方向に押し付けるような位置に変位させ、それにより該筒状部10aの端部が遮光できるような位置に保持される。
【0029】
遮光部材30の上下端にそれぞれ上端キャップ32及び下端キャップ33を固定し、該上端キャップ及び下端キャップのを上記遮光レール部材25の上下端における溝状部25aの両側係合縁27a,27bに対して係合保持させる部分の構成は、可動桟の下降時における上述した遮光部材30の動きを円滑に行い得るものであることが必要であり、そのため、該上端キャップ32及び下端キャップ33の一部が常に遮光レール部材25の上下端における係合縁27a,27bの一部に対して接触している必要はなく、しかし、係合関係が解除されることはないようにしておく必要がある。
【0030】
上記遮光部材30を上記遮光レール部材25におけるアタッチ部材27の溝状部25aの上端に対して係合保持させる上記上端キャップ32は、
図3に示すような構成を備え、また、アタッチ部材27の溝状部25aの下端に対して係合保持させる上記下端キャップ33は、
図4に示すような構成を備えたものとするのが望ましく、それらの構成及び作用について以下に詳細に説明する。
【0031】
図3の上端キャップ32は、その本体部32aの左右両側に、
図5及び
図6に明示しているところの上記遮光レール部材25の上端における溝状部25aの両側の係合縁27aに対して、上記遮光部材30の遮光面31aを上記筒状部10aの端部に全面的に接離する方向に変位可能に係止させる一対の係止鈎32bを備えている。また、該上端キャップ32は、
図3から分かるように、上記一対の係止鈎32bの間に位置させて、該本体部32aと一体化したところの遮光機能部32cと、該遮光機能部32cにおける遮光部材30の本体31との連結端側に設けたところの連結部32dとを備えたものである。
【0032】
上記遮光機能部32cは、上端キャップ32に設けた取付ピン35に、
図3の(a)に示すようなスプリング36の基端を嵌挿固定して、該スプリング36の先端を、
図1に示すように、上記アタッチ部材27における溝状部25aの内底に押し当てるように構成したものであり、これによって、該スプリング36の付勢力が上端キャップ32自体を介して上記遮光部材30における遮光面31aの上端部を、常に上記遮光スクリーン10の上端部における筒状部10aの端部側に押圧保持させることになる。
【0033】
上記連結部32dは、上記上端キャップ32を遮光部材30の本体31の上端に連結するための構成及び操作を簡単化したもので、該連結部32dの外形を、筒状の部材により構成した遮光部材30の本体31内に密に挿入できる形状に形成すると共に、該連結部の表面の一部にコ字状溝37aで形成した弾片37bに、該連結部32dの外側に突出する係止凸部37cを設け、一方、上記遮光部材30の本体31に、該本体31内における所定の位置まで上記連結部32dが挿入されたときに、該連結部32dの係止凸部37cが嵌入して位置決めされる嵌入孔31bを設けている。そのため、上記遮光部材30の本体31の上端に上端キャップ32の連結部32dを挿入するだけで、連結部32dの係止凸部37cを本体31の嵌入孔31bに嵌入して、両者を位置決め状態で連結することができる。
【0034】
一方、上記遮光部材30を上記遮光レール部材25におけるアタッチ部材27の溝状部25aの下端に対して係合保持させる上記下端キャップ33は、
図4に示すような構成を備えるもので、上端キャップ32の場合と同様に、その本体部33aの左右両側に、上記遮光レール部材25の下端において溝状部25aの両側の係合縁27bに係止させる一対の係止鈎33bを備え、
図5に示しているような態様での該係合縁27bへの係止により遮光レール部材25に保持させている。この下端キャップ33についても、係止鈎33bを上記遮光レール部材25の下端の溝状部25aの両側の係合縁27bに対し、遮光部材30の遮光面31aを上記筒状部10aの端部に全面的に接離する方向に変位するように係止保持させているのは勿論である。そして、該一対の係止鈎33bの間には、上記本体部33aと一体化した遮光機能部33cと、該遮光機能部33cにおける遮光部材30の本体31との連結端側に位置させた連結部33dとを備えている。
【0035】
上記連結部33dは、遮光部材30の本体31の上端に連結する上端キャップ32の上記連結部32dと同様に、下端キャップ33を遮光部材30の本体31の下端に連結するための構成及び操作を簡単化したもので、外形を筒状の部材により構成した遮光部材30の本体31内に下端から密に挿入できる形状に形成し、該連結部33dの表面に、コ字状溝38aで形成した弾片38bに、該連結部33dの外側に突出する係止凸部38cを設け、一方、上記遮光部材30の本体31に、該本体31内における所定の位置まで上記連結部33dが挿入されたときに、該連結部33dの係止凸部38cが嵌入して位置決めされる嵌入孔31cを設けている。
【0036】
上記遮光部材30の上下端に取り付けた上端キャップ32及び下端キャップ33は、遮光スクリーン10の下端に取り付けている可動桟12と協働して、簡易な構成により上述の遮光スクリーン10の側端の遮光を行う遮光機構を構成するものである。そのため、ここでは、上記上端キャップ32及び下端キャップ33における遮光機能部32c,33cと、可動桟12における上記遮光のための構成を、それらの作用と共に説明する。
【0037】
前述したところから分かるように、遮光スクリーンに高度の遮光性が求められるのは、スクリーン枠15内の全体に該遮光スクリーン10を張設している場合のみであって、該遮光スクリーン10の開閉操作を行う段階では遮光の必要がなく、しかも、上述の遮光スクリーン10を用いる場合において遮光の必要があるのは、該遮光スクリーンの両側端における建物開口部の側枠18の内側面との間の隙間のみである。
【0038】
そのような隙間の遮光を行うためには、遮光スクリーン10をスクリーン枠15の全面に張設した場合、つまり、該遮光スクリーン10の下端の可動桟12がスクリーン枠15の下枠17に当接するまで下降している場合のみに、遮光スクリーン10における筒状部10aの両端部に、上記遮光部材30の遮光面31aを押し付ければよく、これによって上記筒状部10aを通しての光の漏れを無くすことができ、しかも、遮光スクリーンの開閉操作段階での筒状部10aに対する遮光部材30の遮光面31aの摩擦接触を無くすことができるので、遮光部材30の遮光面31aによる筒状部10aの両端部の摩損を避けることができる。
【0039】
このような遮光を行うため、上記上端キャップ32は、その上部の遮光機能部32cにおけるスプリング36の付勢力で、遮光部材30における遮光面31aの上端部を常に上記遮光スクリーン10の上端部における筒状部10aの端部側に押し付けている。
一方、上記遮光スクリーン10の下端に取り付けた可動桟12の両端における遮光部材30の遮光面31aに対向する側端部には、該可動桟12の昇降時に常に遮光面31aに当接してそれを押圧する押圧子12aを付設することにより、遮光スクリーン10の開閉操作段階では、
図1の(a)に示すように、遮光部材30の下部を遮光スクリーン10の端部から離間させる方向に傾斜させているので、遮光面31aと上記筒状部10aの端部との間に隙間を保持させることができ、これにより、遮光スクリーン10の両端の遮光部材30に対向する側端部の摩擦による損耗を防止することができる。
【0040】
更に、上記遮光部材30の遮光面31aの下端に取り付けた上記下端キャップ33の遮光機能部33cには、上記可動桟12がスクリーン枠15の最下端に達したときに、可動桟12の押圧子12aによる遮光面31aの押圧を解消させるための、該押圧子12aが嵌入する凹部39aを設けている。しかも、上記遮光部材30の下端キャップ33と上記可動桟12との間には、下端キャップ33を可動桟12に接触させる方向に付勢する付勢機構を付設している。
【0041】
図示の実施例における該付勢機構としては、下端キャップ33の遮光機能部33cにおける凹部39aの内側に、マグネット片42aの装着孔41aを穿設し、該装着孔内にマグネット片42aを嵌着して、それを該装着孔内壁に突出させた複数の突子41bにより保持させ、一方、それに対向する可動桟12の押圧子12aの内側には、該マグネット片42aとの間で磁気的吸引力を発生させる磁性体42bを配設している。
【0042】
そのため、上記可動桟12をスクリーン枠15の最下端まで降下させたときには、可動桟12の押圧子12aによる遮光面31aの押圧が解除されると同時に、上記マグネット片42aと上記磁性体42bとの間に磁気的吸着力が作用するようになるので、前記スプリング36の付勢力で、常に上記遮光スクリーン10の上端部側に押し付けて吊下されていた遮光部材30が、
図1の(b)に示すように、その吊下位置から垂直に垂れ下がるようになり、それに伴って、上記遮光部材30における遮光面31aが遮光スクリーン10における筒状部10aの端部側に対して全面的に押し付けられ、該筒状部10aの端部を安定的に遮光することになる。
【0043】
なお、上記下端キャップ33と可動桟12の押圧子12aの内側との間に設けた付勢機構としては、
図1の(b)に示す態様に限るものではなく、上記下端キャップ33と可動桟12のうちの一方に上記マグネット片42aを、他方に上記磁性体42bを設けることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 遮光スクリーン
10a 筒状部
11 ヘッドボックス
12 可動桟
12a 押圧子
15 スクリーン枠
16 上枠
17 下枠
18 側枠
25 遮光レール部材
25a 溝状部
26 ベース部材
27 アタッチ部材
27a,27b 係合縁
30 遮光部材
31 本体
31a 遮光面
32 上端キャップ
32b 係止鈎
32c 遮光機能部
33 下端キャップ
33b 係止鈎
33c 遮光機能部
36 スプリング
42a マグネット片
42b 磁性体