(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2019211311
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2020-02-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】下田 諒
【合議体】
【審判長】小林 俊久
【審判官】北川 創
【審判官】▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-170602(JP,A)
【文献】特開2018-161202(JP,A)
【文献】特開2018-143407(JP,A)
【文献】特開2015-33410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する表示手段と、
原位置または演出位置に位置することが可能であり、発光部を有する可動部材と、
前記表示領域に複数種類の演出画像のうちのいずれかを表示した上で、前記原位置に位置する前記可動部材の前記発光部の発光態様を、表示される前記演出画像の種類に対応した画像関連態様とする発光演出を実行する発光演出実行手段と、
前記可動部材を前記原位置から前記演出位置に変位させる可動演出を実行する可動演出実行手段と、
を備え、
前記発光演出が実行されており前記発光部が画像関連態様で発光している状態から、前記可動演出が実行される場合、前記可動部材が前記演出位置に位置する状態においては前記発光部の発光態様を
複数種類の前記演出画像のそれぞれに対応する前記画像関連態様
のいずれとも相違する別態様とすることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部を有する可動部材(可動役物)を備え、当該可動部材を用いた演出を実行することが可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、可動部材を用いた演出を分かりやすくすることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示領域を有する表示手段と、原位置または演出位置に位置することが可能であり、発光部を有する可動部材と、前記表示領域に所定の演出画像を表示した上で、前記原位置に位置する前記可動部材の前記発光部の発光態様を、前記演出画像に対応した画像関連態様とする発光演出を実行する発光演出実行手段と、前記可動部材を前記原位置から前記演出位置に変位させる可動演出を実行する可動演出実行手段と、を備え、前記発光演出が実行されており前記発光部が画像関連態様で発光している状態から、前記可動演出が実行される場合、前記可動部材が前記演出位置に位置する状態においては前記発光部の発光態様を前記画像関連態様とは異なる別態様とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、可動部材を用いた演出を分かりやすくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】発光演出(画像関連態様)の概要を説明するための図である。
【
図4】発光演出の最中に可動演出が発生した場合における発光部の制御を説明するための図である。
【
図5】発光演出および可動演出に関する第一具体例を説明するための図である。
【
図6】発光演出および可動演出に関する第二具体例を説明するための図である。
【
図7】(a)は演出モードの選択画面を、(b)は特別演出発生時に発生する可能性がある大当たり遊技の種類(ラウンド数)を演出モード毎に示す表である。
【
図8】特別演出(演出モード)に関する第四具体例を説明するための図である。
【
図9】特別演出(演出モード)に関する第五具体例を説明するための図である。
【
図10】特定期間中における特定映像および特定楽曲の制御を説明するための図である。
【
図11】特定期間中における特定映像および特定楽曲の制御を説明するための図(タイミングチャート)である。
【
図12】特定映像の終了(繰り返し)タイミングと特定楽曲の終了(繰り返し)タイミングが一致することを説明するための図である。
【
図13】特定期間中における特定映像および特定楽曲の制御に関する第三具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置10、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置10の表示領域11は、遊技盤90に形成された開口を通じて視認される領域である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留画像(保留図柄)80として表示される(
図2参照)。
【0014】
本実施形態では、保留画像80として、当否判定結果を報知する報知演出は開始されている(当否判定結果を示す識別図柄70(識別図柄群70g)の変動は開始されている)ものの、当否判定結果の報知は完了していない(当否判定結果を示す態様で識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が停止していない)ものに対応する変動中保留画像81(いわゆる「当該変動保留」を示す画像)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない(当否判定結果を示す識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が開始されていない)ものに対応する変動前保留画像82が表示される(
図2参照)。変動前保留画像82に対応する保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、始動入賞口904(いわゆる「特
図1」)に入賞することによって得られる保留情報(当否判定情報)の最大の記憶数は四つである。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置10の表示領域11に表示される識別図柄70(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0016】
2)各種演出
当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄70の変動開始から当否判定結果を示す組み合わせで停止するまでの演出)を構成する演出として、種々の演出が実行される。以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な各種演出について説明する。なお、以下で説明する演出の全てが実行可能でなければならないわけではない。また、以下の説明において「画像」というときは、静止画と動画の両方を含むものとする。また、以下で説明する演出中に、いわゆる小図柄等、遊技に関する各種情報を示す小さな画像が表示領域11に表示されていてもよい(目立たないように表示領域11の外縁近傍に表示されるのが一般的である)が、以下の説明は当該画像の存在を無視した状態でいうものとする(当該画像の図示も省略する)。すなわち、あくまで遊技者に見せるための演出用の画像についての説明であるものとする。
【0017】
2-1)可動演出(発光演出との関係)
本実施形態にかかる遊技機1は、可動部材15(いわゆる可動役物)を備える。可動部材15は、原位置(
図1において実線で示す位置)と演出位置(
図1において点線で示す位置)との間を往復動作可能なものである(なお、一部の図においては可動部材15の図示を省略する)。本実施形態では、可動部材15は、平面方向(表示領域11の面に沿う方向)に変位する。原位置は表示領域11の上側縁に沿う位置であり、演出位置は表示領域11の略中央に重なる(可動部材15の方が表示領域11よりも前方に位置する)位置である(
図1等参照)。原位置から演出位置に向かって移動するにつれて、可動部材15と表示領域11の重なる範囲が大きくなる箇所が含まれるともいえる。当該可動部材15を動作させるための駆動機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0018】
可動部材15は、発光部151を有する。発光部151は、その発光を遊技者が視認可能な位置に設けられていればよい。本実施形態では、可動部材15の前側に発光部151が設けられている(
図1等参照)。当該発光部151は、発光態様を変化させることが可能なものである。本実施形態では、発光色(当該発光色の違いが、発光態様の違いに相当するものとする)を変化させることができる。
【0019】
本実施形態にかかる遊技機1は、当該可動部材15を用いた演出として発光演出および可動演出を実行することが可能である。
【0020】
発光演出は、表示領域11に所定の演出画像20が表示される演出(以下、画像演出と称する)と一緒に実行される演出である。演出画像20の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、表示領域11の周囲に沿うようにして青、緑、赤(それぞれ、
図3(a)、(b)、(c)参照)のいずれかの色調を呈する演出画像20(エフェクト画像)が表示される(なお、各図において「色」は文字で表すものとする)。演出画像20の態様(色)は、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下(大当たり)信頼度と称することもある)が高まったことを示すものである。青、緑、赤の順で大当たり信頼度が高くなるように設定されている(
図3参照)。演出画像20は、信頼度が高まる方向に変化する(いわゆるステップアップする)可能性もある。本実施形態では、擬似連続演出(いわゆる「擬似連」;当該演出自体は周知であるため説明を省略する)が発生したときに、演出画像20の変化が発生する可能性がある。
【0021】
このような演出画像20が表示される画像演出が実行されている最中においては、可動部材15の発光部151の発光態様は演出画像20に対応したものとされる。これが発光演出である。画像演出が実行されている際には、可動部材15は基本的には(後述する可動演出が実行されている最中を除いては)原位置に位置する。当該原位置に位置する可動部材15の発光部151を、演出画像20に対応した発光態様(画像関連態様)とする。本実施形態では、演出画像20の「色」と、発光部151の発光「色」を一致させる(大まかな「色」の系統を一致させるという意味であって、完全に一致させることを要するものではない)。青の演出画像20が表示されているときには、発光部151は青で発光する(当該「青」の発光態様を第一画像関連態様とする)(
図3(a)参照)。緑の演出画像20が表示されているときには、発光部151は緑で発光する(当該「緑」の発光態様を第二画像関連態様とする)(
図3(b)参照)。赤の演出画像20が表示されているときには、発光部151は赤で発光する(当該「赤」の発光態様を第三画像関連態様とする)(
図3(c)参照)。原位置に位置する(表示領域11の位置側縁に沿う)状態で発光色が演出画像20と一致するため、可動部材15が演出画像20(エフェクト)の一部であるかのように見える状態となる。なお、発光演出が実行されていないときには、発光部151は非発光状態であってもよいし、発光状態であってもよい。発光状態とされるときには、当該発光は第一画像関連態様~第三画像関連態様のいずれとも異なる態様とされるとよい。
【0022】
可動演出は、可動部材15が原位置から演出位置に移動する演出である。表示領域11の上側近傍に位置していた可動部材15が表示領域11の略中央に重なる状態となるものであるため、可動部材15が「目立つ」状態となる演出であるといえる。当該可動演出は、いわゆる「チャンスアップ」の演出として設定されている。つまり、ある報知演出にて可動演出が発生することは、当該報知演出に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まる(大当たり信頼度が高まる)事象として設定されている。
【0023】
このような可動演出は、発光演出が実行されている最中に発生しうる。発光演出が実行されているときに可動演出が発生したときには発光部151は次のように制御する。発光演出が実行されているのであるから、発光部151は演出画像20に対応した発光態様(画像関連態様)にある(
図4(a)参照)。その最中に可動演出が実行される、すなわち可動部材15が原位置から変位して演出位置に位置することを契機として発光部151の発光態様を画像関連態様から当該画像関連態様とは異なる(第一画像関連態様~第三画像関連態様のいずれとも異なる)別態様とする(
図4(b)参照)。なお、画像関連態様から別態様に変化させるタイミングは適宜調整可能である。演出位置に位置する前であってもよいし、演出位置に位置した後であってもよい。可動部材15が演出位置に位置する少なくとも一部の期間(ただし、少なくとも数秒程度の長さを有する期間である)中において発光部151は別態様で発光する。なお、このように可動部材15が演出位置に位置してその発光部151が別態様で発光した状態にあっても、表示領域11に演出画像20は表示された状態にある。
【0024】
本実施形態では、発光部151が「白」で発光した態様が別態様として設定されている(
図4(b)参照)。つまり、画像関連態様(第一画像関連態様~第三画像関連態様)は、「青」「緑」「赤」のいずれかで発光した態様であるところ、そのいずれとも異なる発光態様が別態様として設定されている。本実施形態では、第一画像関連態様~第三画像関連態様のいずれである場合であっても、可動演出においては当該第一画像関連態様~第三画像関連態様のいずれとも異なる別態様で発光した状態となるということである。つまり、可動演出における演出位置での発光部151の発光態様は、いつも別態様であってその他の態様とはならないため大当たり信頼度を示唆する要素ではない。なお、別態様は、第一画像関連態様~第三画像関連態様と異なる態様であればよく、発光部151が発光していない状態が別態様とされたものとしてもよい(発光部151の発光態様には、発光部151が非発光である態様も含まれるものとする)。
【0025】
可動演出時における発光部151の発光態様を上記のように制御する理由は以下の通りである。報知演出時に可動部材15が変位する演出は公知である。このような演出では、可動部材15が変位するということに加え、可動部材15の色等(本実施形態で言う発光部151の発光態様)も信頼度を示唆する要素とされる可能性がある。例えば、可動部材15が変位したときの色が「白」である場合よりも「赤」である場合の方が高信頼度である、といった設定されることがある。このような実情があるため、本実施形態にかかる遊技機1においても、演出位置に位置する可動部材15の発光部151の発光態様(色)が、信頼度を示唆しているのではないかと遊技者が勘違いしてしまうおそれがある。例えば、発光部151が第三画像関連態様で発光する(「赤」で発光する)発光演出の最中に可動演出が実行される場合、演出位置において発光部151を「赤」のままとしてしまうと、当該「赤」の発光が信頼度を示唆していると遊技者が勘違いしてしまうおそれがある(可動演出での演出位置に位置する可動部材15の発光部151の発光態様(色)が、発光演出での発光部151の発光態様(演出画像20に対応する発光態様)を維持しただけなのか、信頼度を示唆した態様であるのか遊技者に分かりにくいという問題がある)。そこで、本実施形態では、可動部材15が演出位置に位置するときにおける発光部151の発光態様を、別態様(画像関連態様とは異なる態様)とすることで、上記のような勘違いが発生してしまうおそれを低減する。このようにすることで、発光演出としての発光部151の態様と可動演出としての発光部151の態様が明確に区別される(発光演出としての発光と可動演出としての発光が混同されてしまうこと等が防止される)ため、可動部材15を用いた演出が分かりやすくなる。
【0026】
特に、本実施形態では、第一画像関連態様~第三画像関連態様のいずれ(「青」「緑」「赤」のいずれ)である場合であっても、可動演出においては当該画像関連態様とは異なる別態様(「白」の発光)となる(別態様は一種類のみである)ため、可動演出での発光部151の発光態様が信頼度を示唆していると勘違いしてしまうおそれは低い。
【0027】
可動演出後、可動部材15は原位置に戻る。可動部材15が原位置に戻ることを契機として、発光部151の発光態様が画像関連態様に戻る(可動演出前の画像関連態様と同じ画像関連態様に戻る)(
図4(c)参照)。つまり、可動演出が終了した結果として、発光部151が発光演出用の発光態様である画像関連態様に戻る。例えば、画像関連態様が「緑」である(第二画像関連態様である)発光演出の最中に可動演出が実行される場合、演出位置にて可動部材15が別態様である「白」の発光態様とされた後、当該可動部材15は原位置に戻ることを契機として画像関連態様である「緑」の発光態様(第二画像関連態様)に戻る。なお、ここでいう、「可動部材15が原位置に戻ることを契機として」とは、可動部材15が原位置に戻るタイミングと、発光部151が画像関連態様に戻るタイミングが完全に一致しなければならないわけではなく、多少のタイミングのずれは許容されるものとする。可動演出が終了した結果として、発光部151が発光演出用の発光態様に戻ったと遊技者が感じられる程度のタイミングのずれは許容されるものとする。
【0028】
以下、上記発光演出および可動演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0029】
○第一具体例
上記実施形態では、発光演出が実行されている状態で可動演出が発生する場合(以下、「発光演出付随ケース」と称する)における発光部151の制御について説明したが、発光演出が実行されていない状態(
図5(a)参照)で可動演出が発生しうる(
図5(b-1)(b-2)参照)構成であるとし、この場合(以下、「発光演出非付随ケース」と称する)における発光部151の制御は、発光演出付随ケースにおける発光部151の制御とは異なるものとする。
【0030】
発光演出非付随ケースにおいては、可動演出における発光部151の発光態様により、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする。すなわち、可動部材15が演出位置に位置した状態における発光部151の発光態様(発光演出非付随ケースにおける可動演出での発光部151の発光態様を、発光演出付随ケースにおける可動演出での発光部151の発光態様と区別するため「信頼度示唆態様」と称することもある)により大当たり信頼度が示唆されるものとする。例えば、信頼度示唆態様として、発光部151が「白」で発光する第一信頼度示唆態様(
図5(b-1)参照)と、「赤」で発光する第二信頼度示唆態様(
図5(b-2)参照)が設定されているものとし、発光演出非付随ケースにおいては第一信頼度示唆態様および第二信頼度示唆態様のいずれかで発光部151が発光するものとする。そして、第一信頼度示唆態様となった場合よりも、第二信頼度示唆態様となった場合の方が、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高い(大当たり信頼度が高い)設定とする。このようにすることで、発光演出非付随ケースの可動演出においては、演出位置に位置した可動部材15の発光部151の発光態様にも注目すべき演出形態となる。
【0031】
上記実施形態にて説明した通り、発光演出付随ケースの可動演出においては、演出位置に位置した可動部材15の発光部151は別態様(「白」の発光)となる(
図4(b)参照)。つまり、演出位置に位置した可動部材15の発光部151の発光態様により、信頼度示唆がなされないようにし、演出が分かりにくくなる問題が生じないようにしている。特に、信頼度示唆態様のいずれかが、画像関連態様のいずれかと一致する(例えば、上記実施形態および本例の構成が採用されたとすれば、第二信頼度示唆態様(
図5(b-2)参照)と第三画像関連態様(
図3(c)参照)は「赤」の発光であり発光態様が一致する。なおここでいう一致とは、完全に一致することを要するものではなく、遊技者が同じ発光態様であると勘違いしてしまう程度に似通った態様を含むものとする)構成であるとすると、発光演出付随ケースの可動演出における発光部151の「赤」の発光は、発光演出としての発光(演出画像20に応じた発光)なのか、信頼度を示唆する発光なのか分かりにくい。
【0032】
これに対し、本例にて説明した通り、発光演出非付随ケースの可動演出は、発光演出が実行されていないときに発生するのであるから、上記のような問題は生じにくい。つまり、演出位置に位置した可動部材15の発光部151の発光態様により信頼度が示唆されるようにしても、演出が分かりにくくなる(発光演出と混同する)といった問題は生じにくい。
また、可動演出において第二信頼度示唆態様(「赤」の発光)となるのは、発光演出非付随ケースに限られるから、第二信頼度示唆態様が発光演出としての発光である(第三画像関連態様としての発光である)と勘違いされてしまうおそれはほぼない。
【0033】
○第二具体例
可動演出時における発光部151の発光態様が複数種設定されていてもよい。つまり、複数種の別態様が設定されていてもよい。ただし、当該複数種の別態様のいずれもが、画像関連態様のいずれとも異なる態様とされる。例えば、別態様として、第一別態様(
図6(b-1)参照)および第二別態様(
図6(b-2)参照)が設定されているものとする。第一別態様は「白」で発光する態様であり、第二別態様は「黄」で発光する態様であるとする。このようにすれば、第一別態様および第二別態様は、第一画像関連態様~第三画像関連態様(「青」「緑」「赤」)のいずれとも異なる態様となる。このようにすることで、可動演出での演出位置に位置する可動部材15の発光部151の発光態様(色)が、発光演出での発光部151の発光態様を維持したものであると遊技者が捉えるおそれが低減される。
【0034】
本例のようにする場合、可動演出における発光部151の発光態様、すなわち別態様の種類により、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が示唆されるようにしてもよい。例えば、第一別態様(白)(
図6(b-1)参照)よりも第二別態様(黄)(
図6(b-2)参照)の方が大当たり信頼度が高い設定とする。このようにすることで、発光演出としての発光と可動演出としての発光の混同を防止しつつ、可動演出による信頼度示唆を行うことができる。
【0035】
2-2)特別演出(演出モード)
本実施形態にかかる遊技機1は、報知演出を構成する演出として、当該報知演出に対応する当否判定結果が大当たりであることが確定する特別演出(プレミア演出)を実行することが可能である。つまり、特別演出は、当否判定結果が大当たりとなる報知演出(以下、当たり変動と称することもある)中に限り発生しうるものである(ただし、当たり変動であれば必ず発生するというものではない)。特別演出は、識別図柄70の組み合わせが大当たりを示す組み合わせで示される前(図柄確定前)に実行される。当該特別演出自体の態様はどのようなものであってもよい。例えば、所定の画像が表示領域11に表示される演出であってもよいし、スピーカ60(音出力手段)より所定の演出音が出力される演出であってもよい。本実施形態では、複数種の特別演出が実行可能である。
【0036】
報知演出の構成を決定する演出モードとして、通常モードおよび特別モードが設定されている。通常モードが設定されている場合よりも、特別モードが設定されている場合の方が、報知演出にて特別演出が発生する蓋然性が高くなる。つまり、通常モードが設定されている状況での当たり変動中に特別演出が発生する蓋然性よりも、特別モードが設定されている状況での当たり変動中に特別演出が発生する蓋然性の方が高い。なお、特別モードが設定されている状況での当たり変動にて、必ず特別演出が発生するわけではない。また、通常モードが設定されている状況での当たり変動にて、特別演出が発生することがないわけではない。
【0037】
演出モードは、遊技者が任意に設定することができる。本実施形態では、待機状態中(報知演出が実行されていないとき)に押しボタンや十字キー(十字キーについては図示せず)等の操作手段50を操作することで、好みのモードを設定すること(通常モードおよび特別モードのいずれかを設定すること)ができる(
図7(a)参照(「プレミアアップモード」は特別モードのことである))し、報知演出が実行されている最中(変動中)に演出モードが変更することもできる。報知演出中に演出モードの変更が受け付けられた場合には、次の報知演出(次変動)から当該変更が反映される。また、本実施形態では、当否抽選に当選する確率が低い低確率遊技状態(低確率かつ時短無し(低ベース状態))中における演出モードを好みのモードとすることができるものである。特別演出は当たり変動しか実行される可能性はないため、特別モードが設定されている場合であっても特別演出が実行される頻度はそれほど高くはないといえる。ただし、高確率遊技状態中(いわゆる確変中)における演出モードを好みのモードとすることができる構成とすることを否定するわけではない。
【0038】
通常モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合と、特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合とでは、当否判定結果が大当たりとなることによって遊技者が得る利益の期待値が異なる。具体的には次の通りである。
【0039】
当否判定結果が大当たりとなった場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、一または複数の単位遊技(一般的には「ラウンド」と称される)を含む。単位遊技は、所定条件が成立するまで大入賞口906(入賞領域)が開放されるものである。本実施形態では、N個(当該Nの値は一般的には「カウント」と賞される)の遊技球が大入賞口906に入賞するか、所定時間経過するまで大入賞口906が開放される。大入賞口906を狙って継続的に遊技球を発射させておりさえすれば、所定時間経過するよりも前にN個の遊技球が大入賞口906に入賞するように設定されている。つまり、指示通り遊技していれば(遊技球の発射を比較的長い時間停止させる等しなければ)、N個の遊技球が大入賞口906に入賞することにより単位遊技は終了することになるため、「賞球数(遊技球1個が大入賞口906に入賞することにより払い出される遊技球の数)×N×単位遊技数」の遊技球(出玉)が得られることになる(いわゆるオーバー入賞等の発生により出玉は増えることがある)。このように、単位遊技の数が多くなるほど、大当たり遊技にて遊技者が得られる遊技球数(出玉)の期待値が多くなる。本実施形態では、大当たり遊技として、5ラウンド大当たり(5回の単位遊技が実行される大当たり遊技)、7ラウンド大当たり(7回の単位遊技が実行される大当たり遊技)、10ラウンド大当たり(10回の単位遊技が実行される大当たり遊技)の三種類が設定されている。
【0040】
本実施形態では、通常モードが設定されている状態での報知演出にて特別演出が発生した場合には、その後実行される大当たり遊技は10ラウンド大当たりとなる(5ラウンド大当たり、7ラウンド大当たりとなることはない)(
図7(b)参照)。つまり、単位遊技の数が最大である大当たり遊技が実行されることが確定する。なお、10ラウンド大当たりに当選した場合には必ず特別演出が発生するわけではない。
【0041】
一方、特別モードが設定されている状態での報知演出にて特別演出が発生した場合には、その後大当たり遊技は、5ラウンド大当たり、7ラウンド大当たり、10ラウンド大当たりのいずれかとなる(
図7(b)参照)。つまり、通常モードが設定されているケースとは異なり、10ラウンド大当たりとなるとは限られず、「ラウンド数」は不定である。
【0042】
このように設定されているため、通常モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合の方が、特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合よりも、当否判定結果が大当たりとなることによって遊技者が得る利益、すなわち大当たり遊技にて遊技者が得る利益(出玉)の期待値が大きくなる。換言すれば、特別演出の発生は、演出モードの種類によらず大当たりが確定するという点においては共通するものの、その後得られる利益の期待値が異なるという設定であるため、通常モードと特別モードとでは「特別演出の価値」が異なるといえる。遊技者視点でいえば、発生することが喜ばしい特別演出の発生確率を高める特別モードと、特別演出の発生頻度は低いが発生した場合には得られる利益が大きくなる通常モードのいずれを選択するか(特別演出の発生する確率を高めることを選択するか、特別演出が発生したときの利益を大きくすることを選択するか)という面白みのある遊技性を実現することができる。
【0043】
以下、上記特別演出(演出モード)に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0044】
○第一具体例
上記実施形態は、通常モードが設定されている状態での報知演出にて特別演出が発生した場合には、その後実行される大当たり遊技は10ラウンド大当たり(ラウンド数(単位遊技の数)が最大の大当たり)となることが確定するものであることを説明したが、ラウンド数が不定である設定としてもよい。通常モードにて特別演出が発生した場合の大当たり遊技のラウンド数の平均値(期待値)が、特別モードにて特別演出が発生した場合の大当たり遊技のラウンド数の平均値(期待値)よりも高くなるようにすればよい。ただし、上記実施形態のように、通常モードにて特別演出が発生した場合にラウンド数が最大となることが確定するようにした方が、通常モードが設定されているときにおける「特別演出の価値」が分かりやすい遊技性であるといえる。
【0045】
○第二具体例
上記実施形態では、遊技者が得る利益の期待値の差は、大当たり遊技を構成する単位遊技の数(ラウンド数)により設定されていることを説明したが、当該期待値の差を設定する要素としてその他の要素を採用することも可能である。例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態が低確率遊技状態となるか高確率遊技状態(確変状態)となるかが当該要素として採用された構成とすることが考えられる。大当たり遊技として、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となる通常大当たりと、高確率遊技状態となる確変大当たり(ラウンド数は通常大当たりと同じ)とが設定されているとする。通常モードが設定されている状態での報知演出にて特別演出が発生した場合には、その後の大当たりは確変大当たりとなることが確定する一方、特別モードが設定されている状態での報知演出にて特別演出が発生した場合には、その後の大当たりは確変大当たりとなるとは限らず、通常大当たりとなる場合もある設定とする。このようにしても、通常モードにて発生した特別演出の方が、特別モードにて発生した特別演出よりも、遊技者にとっての価値が高いことになる。
【0046】
なお、大当たり遊技の単位遊技の数、すなわち「ラウンド数」の要素と、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率遊技状態となるか否か、すなわち「確変大当たりかどうか」の要素の両方を踏まえ、遊技者が得る利益の期待値の差が設定されるものとしてもよい。また、遊技者の利益に影響を与えるその他の要素を取り入れてもよい。例えば、大当たり遊技終了後、いわゆる時短状態(高ベース状態)となるか否かや、時短回数の要素を取り入れることも考えられる。
【0047】
○第三具体例
上記実施形態とは逆の設定、すなわち特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合の方が、通常モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合よりも、当否判定結果が大当たりとなることによって遊技者が得る利益、すなわち大当たり遊技にて遊技者が得る利益の期待値が大きくなるものとしてもよい。このようにすることで、特別モードは、特別演出が発生する蓋然性が高く、かつ、「特別演出の価値」が通常モードである場合よりも高い設定とすることができる。
【0048】
ただし、このような設定とした場合、特別演出の発生頻度が著しく低下してしまうおそれがあるという問題がある。例えば、大当たり遊技の種類が上記実施形態にて説明したものであるとすると、特別モードが設定されている場合には10ラウンド大当たりに当選した場合しか特別演出を発生させることができないため、特別モードにて特別演出を発生させることができる機会は(上記実施形態のようにした場合に比して)少なくなる。そして、通常モードが設定されている場合に特別演出が発生する蓋然性は、特別モードが設定されている場合に特別演出が発生する蓋然性よりも低くしなければならないため、通常モードにて特別演出を発生させることができる機会はさらに低下する。つまり、本例のような設定とした場合、特別モードおよび通常モードのいずれが設定されている場合であっても(通常モードが設定されている場合は特に)特別演出を発生させることができる機会は少なくなるため、その発生頻度が低下してしまうことになる。逆の見方をすれば、上記実施形態のような設定は、ある程度の特別演出の発生頻度が担保されるという面において優れているということがいえる。
【0049】
○第四具体例
三種類以上の演出モードが設定された構成としてもよい。例えば、
図8に示すように、通常モード、第一特別モード、第二特別モードの三種類が設定され、当該順で報知演出(当たり変動)にて特別演出が発生する蓋然性が高くなる(第二特別モードが最も高い)ものとする。そして、通常モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合の方が、第一特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合よりも、当否判定結果が大当たりとなることによって遊技者が得る利益の期待値が大きく、第一特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合の方が、第二特別モードが設定されている場合に特別演出が発生した場合よりも、当否判定結果が大当たりとなることによって遊技者が得る利益の期待値が大きくなるようにする。端的にいえば、報知演出(当たり変動)にて特別演出が発生する蓋然性が低いものほど、特別演出が発生した場合における大当たり遊技にて遊技者が得る期待値が大きくなるようにする。
【0050】
このようにすることで、特別演出が発生する確率を高めることを選択するか、特別演出が発生した場合に利益が大きくなることを選択するか、という遊技性(一方を高くする(大きくする)と他方が低くなる(小さくなる)遊技性)を実現することができる。
【0051】
○第五具体例
発生した場合に当否判定結果が大当たりとなることが確定する演出(プレミア演出)の全てが特別演出として設定されていない構成としてもよい。具体的には、プレミア演出の一部が特別演出(演出モードに応じて発生する蓋然性が異なる演出)であるものの、他の一部は特別演出ではない演出(以下、確定演出と称する)とする。つまり、確定演出が発生した場合、当否判定結果が大当たりとなることは確定するものの、遊技者が得る利益の期待値については上記実施形態にて説明した通りにならないものとする。より具体的には、通常モードおよび特別モードのいずれが設定されている場合であっても、確定演出が発生する蓋然性は同じである(特別モードが設定されても、確定演出が発生する蓋然性は高まらない)。また、通常モードが設定されている状態にて確定演出が発生した場合であっても、単位遊技の数が最大である大当たり遊技(上記実施形態に即して言えば10ラウンド大当たり)になるとは限らない(10ラウンド大当たりよりも単位遊技の数が少ないラウンド数の大当たりとなる可能性がある)設定とする(
図9(a)参照)。このように、発生した場合に大当たりが確定するプレミア演出のうち、一部の演出(確定演出)は上記実施形態にて説明した「法則」に当てはまらない構成としてもよい。
【0052】
本例のようにする場合、いずれのプレミア演出が特別演出に該当するのか(またはいずれのプレミア演出が確定演出に該当するのか)遊技者が把握可能な構成とすることが好ましい。例えば、演出モードの選択画面において、特別モードを設定した場合に発生する蓋然性が高まる演出(すなわち特別演出)を表示することや、特別モードを設定した場合であっても発生する蓋然性が高まるものではない演出(除外される演出。すなわち確定演出)を表示すること(
図9(b)参照)が考えられる。
【0053】
○第六具体例
演出モードが自動的に設定される(遊技者が好みのものを任意に設定することができるわけではない)構成としてもよい。遊技者が任意に演出モードを選択するわけではないため、現在設定されている演出モードの種類を示す表示がなされるようにするとよい。例えば、特別モードが設定されている状況においては、「プレミア演出発生確率上昇中」といった表示がなされるようにする。上記実施形態にて説明したように、演出モードが二種類であるのであれば、一方の演出モードが設定されているときに当該演出モードを示す表示がなされ、他方の演出モードが設定されているときには当該演出モードを示す表示がなされないようにしてもよい(「表示」が存在しないときには、他方の演出モードが設定された状況であることを把握することができるから)。
【0054】
ただし、特別演出の発生確率および特別演出が発生したときに得られる利益の大きさのバランスは遊技性に大きな影響を与えるものであることに照らせば、上記実施形態のように演出モードは遊技者が任意に選択することができるようにすることが好ましいといえる。
【0055】
3)特定期間中における特定映像および特定楽曲の制御
本実施形態にかかる遊技機1は、特定期間中に特定映像および特定楽曲が出力される特定演出を実行することが可能である。ここで、特定期間は、当否判定結果が大当たりとなったときに実行される大当たり遊技中の期間である。全ての大当たり遊技中の期間が特定期間である構成としてもよいし、一部の大当たり遊技中の期間が特定期間である構成としてもよい。本実施形態では、10ラウンド大当たりが実行されている期間の少なくとも一部が特定期間とされる。
【0056】
当該特定期間中は、表示装置10の表示領域11に特定映像が表示され、スピーカ60から特定楽曲が出力される。本実施形態では、複数種の特定映像のうち、実際に表示される映像を特定期間中であっても遊技者が任意に切り替えることが可能である。特定映像の種類を切り替える方法はどのようなものであってもよい。押しボタン等の操作手段50の操作により切り替える方法が例示できる。特定期間の開始前(大当たり遊技の開始前)に遊技者が好みの特定映像を選択することができるものであってもよいが、当該選択を行ったとしても特定期間中に特定映像の種類を切り替えることができるものとする。
【0057】
複数種の特定映像は、映像の内容が同じものである。ここで、映像の内容が同じであるとは、映像の質(画質)や色等は異なるものの、同じ内容を表していると遊技者が捉えるような関係にあるものである。本実施形態では、複数種の特定映像として第一特定映像と第二特定映像が設定されている(三種類以上の特定映像が設定されていてもよい)。第一特定映像はカラーの映像であり、第二特定映像は第一特定映像と同じ内容であるモノクロ(または白黒)の映像である。なお、各図においては、第一特定映像(カラー映像)を実線で、第二特定映像(モノクロ映像)を点線で示す(
図10参照)。このような関係にあるものとしては、その他に、映画による公開やテレビ放送等されたアニメの当時の映像(原作映像)と、当該原作映像を映像の質を高める方向に加工した映像(いわゆるデジタルリマスター加工された映像)との関係を例示することができる。各種特定映像は、同じ内容であるのであるから、映像の長さも同じである。
【0058】
特定期間中に遊技者により特定映像の種類の切り替えが要求された場合、それを契機として即座(制御処理上不可避なタイムラグは許容される)に特定映像の種類が切り替わる(
図10、
図11参照)。本実施形態では、第一特定映像および第二特定映像の一方から他方に切り替わる。このように特定映像の種類の切り替えが要求された場合、映像の内容が継続するように特定映像の種類が切り替えられるよう制御する。上述した通り、第一特定映像および第二特定映像のいずれであっても映像の内容は同じであるところ、映像の色が切り替わる(カラーおよびモノクロの一方から他方に切り替わる)だけで、映像の継続性は担保される(なお、制御処理上不可避な遊技者が違和を感じない程度のわずかなずれや空白期間が存在することは許容する(「映像の継続性」は担保される)ものとする)。例えば、特定期間の開始時には第一特定映像が表示されており(
図10(a)参照)、当該特定期間の開始から10秒が経過した時点で第二特定映像への切り替えが要求されたとする。この場合には、冒頭から10秒経過した時点から第二特定映像が表示される(
図10(b)参照)。仮にその後、特定期間の開始から25秒経過した時点で再び第一特定映像への切り替えが要求された場合(
図10(c)参照)には、冒頭から25秒経過した時点から第一特定映像が表示される(
図10(d)参照)。このようにすることで、特定映像の種類が切り替わっても、映像の内容は継続して表示されることになる。
【0059】
このような特定映像の切り替えを実現する手法としては種々考えられる。一例として、いわゆる(画像)レイヤを用いた手法が考えられる。本実施形態に即して言えば、特定期間の開始から、第一特定映像と第二特定映像が出力されるものの、一方の特定映像のレイヤを他方の特定映像のレイヤよりも手前に設定する。例えば、第一特定映像のレイヤ(第一レイヤ)を第二特定映像のレイヤ(第二レイヤ)よりも手前に設定する。第一特定映像が実際に表示されているとき(第一レイヤONである場合)には、第二特定映像(第二レイヤ)は第一特定映像に覆われて視認できない。第一特定映像が実際に表示されていないとき(第一レイヤOFFである場合)には、第二特定映像(第二レイヤ)が視認できる状態となる。つまり、第一特定映像の実際の出力を切り替える(第一レイヤのON/OFFを切り替える)ことで、第一特定映像および第二特定映像の一方のみが視認できる状態となる。なお、このように制御する場合、厳密には特定期間を通じて第一特定映像および第二特定映像の「両方が出力」されているということになるが、「レイヤ」に関する説明以外の説明においては実際に表示されている(遊技者が実際に視認可能な)映像が「出力」されていると記載する。
【0060】
三種類以上の特定映像が設定されている構成とする場合であっても、各種特定映像のレイヤを互いに異なるレイヤとし、実際に表示する特定映像のレイヤよりも手前の一または複数のレイヤをOFFにするよう制御すればよい(最前のレイヤの特定映像を表示する場合にはいずれのレイヤもOFFにしなくてもよい)。
【0061】
なお、特定映像以外に表示すべき要素は、特定映像のレイヤのうちの最前のレイヤよりも前のレイヤにより表示されるようにすればよい。このようにすることで、特定映像の種類が切り替わっても、これらの要素は表示され続ける(特定映像の手前に重なって表示される)ことになる。特定映像以外に表示すべき要素としては、ラウンド数の表示、大当たり遊技にて得られた遊技球数(出玉)の表示、識別図柄70(大当たり図柄)の表示等を例示することができる。
【0062】
本実施形態における特定期間は大当たり遊技中の期間であるため、その長さが不定である(いわゆる大当たり(ラウンド)消化速度に応じて期間の長さが変化する)。特定期間の途中で特定映像が終了時点に到達した場合には、最初から特定映像が表示される(繰り返される)(
図12参照)。各種特定映像はその長さが同じであるから、どの特定映像が表示されている場合であっても、特定期間の開始から所定時間(特定映像の長さ)経過した時点で、最初から特定映像が表示されることになる。例えば、特定映像の長さが120秒であるとすれば、どの特定映像が表示されている場合であっても、特定期間の開始から120秒経過時点でその時点で表示されている特定映像が最初から表示される。
【0063】
特定楽曲は特定映像とともに特定期間中に出力される楽曲である。表示されている特定映像の種類によらず、出力される特定楽曲は同じである。つまり、第一特定映像および第二特定映像のいずれが表示されている場合であっても、同じ特定楽曲が出力される。本実施形態では、特定期間中に特定映像の種類の切り替えがなされた場合であっても、特定楽曲が継続的に出力され続ける。つまり、第一特定映像および第二特定映像の一方から他方への切り替えがなされた場合であっても、(最初から出力されるというわけではなく)映像の切り替え時点を跨いで特定楽曲が継続的に出力される(
図10、
図11参照)。
【0064】
本実施形態では、特定楽曲の長さは、特定映像の長さと同じに設定されている。上述した通り、各種特定映像はその長さが同じであるのであるから、特定楽曲はいずれの種類の特定映像とも同じ長さを有する。したがって、特定期間の開始から所定時間経過し、その時点で表示されている特定映像が最初から表示されることとなると同時に、特定楽曲が最初から出力されることになる(
図12参照)。なお、ここでいう「特定楽曲の長さ」とは、著作物としての楽曲の長さと同じでなければならないものではない。例えば、ある著作物としての楽曲の「1番(目)」のみが特定楽曲として設定されたものとしてもよい。
【0065】
上述した通り、各種特定映像は、映像の内容は同じものである。当該特定映像とともに所定の特定楽曲が出力されるのであるから、映像の場面と特定楽曲の内容は常時リンクする。本実施形態に即して言えば、特定期間の開始からX時間経過時点の特定映像の場面(映像の一コマ)は、カラーであるかモノクロであるかの違いはあるものの、その内容は同じである。当該場面が表示されている際には、いつも特定楽曲の同じ箇所が出力されるということである。
【0066】
特定映像の種類の切り替えを要求する遊技者は、あくまで特定映像の変化を望んでいるのであって、特定楽曲がリセットされる(最初から出力される)こと等を望んでいるわけではないことが想定される。このような場面において特定楽曲がリセット等されると遊技者が苛立ってしまうおそれがあるから、本実施形態では、特定期間中に特定映像の種類の切り替えがなされた場合であっても、特定楽曲は継続して出力されるように制御する。
【0067】
また、各種特定映像は同じ内容を表すものであって、特定映像の種類の切り替えが要求された場合であっても、内容の継続性を担保して当該特定映像の種類の切り替えが実行される。そして、当該特定映像の種類の切り替えがなされた場合であっても、特定楽曲は継続して出力されるのであるから、表示されている特定映像の種類によらず、特定映像と特定楽曲が常時リンク(映像の場面と楽曲の内容がリンク)した特定期間中の演出形態とすることができる。
【0068】
以下、特定期間中における特定映像および特定楽曲の制御に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0069】
○第一具体例
上記実施形態における特定期間は、大当たり遊技中であることを説明したが、それ以外の期間を特定期間として設定してもよい。ただし、大当たり遊技中は、大入賞口906に向かって遊技球を発射し続けておりさえすればよい期間であり、遊技者が注視すべき要素が少なく(例えば、報知演出が実行されている期間は、報知演出の内容(信頼度示唆)や保留数等、遊技者が注視するであろう要素が多い)、映像や楽曲に関心をもつ蓋然性が高い。このような状況であるため、大当たり遊技中にて上記実施形態のように制御する意義があるといえる。
【0070】
○第二具体例
上記実施形態では、各種特定映像は同じ内容を示す映像であることを説明したが、このような構成でなくてもよい。つまり、特定期間に表示される映像の種類を切り替えることが可能な構成において、当該映像の種類が切り替えられても特定楽曲が継続的に出力されるものとしてもよい。
【0071】
○第三具体例
上記実施形態のように、特定期間に表示される特定映像の種類が切り替えられても、特定楽曲が継続的に出力されることを基本態様とする(
図13(a)(b-1)参照)。場合によっては、当該基本態様とは異なる態様(以下、特殊態様とする)、すなわち特定期間に表示される特定映像の種類が切り替えられることを契機として特定楽曲が継続的に出力される事象以外の事象が発生しうるものとする(
図13(a)(b-2)参照)。特殊態様としては、特定映像の種類が切り替えられることを契機として特定楽曲とは別の楽曲が出力される態様(
図13(b-2)参照)や、特定楽曲の出力が提示される態様、特定楽曲が最初から出力される態様等を例示することができる。
【0072】
特殊態様の発生は、遊技者に有利な事象の発生を予告するものとされる。つまり、基本態様よりも、特殊態様の方が、遊技者に有利な態様として設定されている。有利な事象としては、様々な事象が考えられる。大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率状態(確率変動状態)となることや、大当たり遊技終了後に再び大当たり当選が確定すること(いわゆる保留内連チャンが発生すること)等を例示することができる。
【0073】
本例とは逆の構成としてもよい。つまり、特定期間に表示される特定映像の種類が切り替えられても特定楽曲が継続的に出力される場合の方が、特定楽曲が継続的に出力されない事象が発生する場合よりも遊技者にとって有利である構成としてもよい。
【0074】
4)以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0075】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した事項を除き、回胴式遊技機等の他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0076】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0077】
・手段1-1
表示領域を有する表示手段と、原位置または演出位置に位置することが可能であり、発光部を有する可動部材と、前記表示領域に所定の演出画像を表示した上で、前記原位置に位置する前記可動部材の前記発光部の発光態様を、前記演出画像に対応した画像関連態様とする発光演出を実行する発光演出実行手段と、前記可動部材を前記原位置から前記演出位置に変位させる可動演出を実行する可動演出実行手段と、を備え、前記発光演出が実行されており前記発光部が画像関連態様で発光している状態から、前記可動演出が実行される場合、前記可動部材が前記演出位置に位置する状態においては前記発光部の発光態様を前記画像関連態様とは異なる別態様とすることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、発光演出としての発光部の態様と可動演出としての発光部の態様が明確に区別されるため、可動部材を用いた演出が分かりやすくなる。
【0078】
・手段1-2
前記可動演出後、前記可動部材が前記原位置に戻ることを契機として、前記発光部の発光態様が前記画像関連態様に戻ることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、可動部材が演出位置に位置しているときにおける発光部の発光態様(別態様)は、発光演出としての発光態様でなかったということがより分かりやすくなる。
【0079】
・手段1-3
前記発光演出が実行されていない状態で実行される前記可動演出は、前記可動部材が前記演出位置に位置する状態における前記発光部の発光態様である演出態様により当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする請求項1または手段1-2に記載の遊技機。
・手段1-4
前記画像関連態様のいずれかと、前記演出態様のいずれかは、同じ発光態様であることを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
発光演出が実行されない状態で実行される可動演出については、発光演出との混同するおそれは低いから、演出位置での発光部の発光態様(演出態様)により信頼度が示唆されるようにしてもよい。
【0080】
・手段2-1
当否判定結果を報知する報知演出を構成する演出として、当否判定結果が当たりであることが確定する特別演出を実行することが可能な遊技機であって、演出モードとして、通常モードおよび当該通常モードよりも前記報知演出にて前記特別演出が発生する蓋然性が高くなる特別モードが設定されており、前記特別モードにて前記特別演出が発生した場合と、前記通常モードにて前記特別演出が発生した場合とでは、当否判定結果が当たりとなることによって遊技者が得る利益の期待値が異なることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特別演出が発生する蓋然性の高低に応じ、特別演出が発生した場合に享受できる利益の期待値が異なるという面白みのある遊技性が実現される。
【0081】
・手段2-2
前記特別モードにて前記特別演出が発生した場合よりも、前記通常モードにて前記特別演出が発生した場合の方が、当否判定結果が当たりとなることによって遊技者が得る利益の期待値が大きいことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特別モードは、特別演出が発生する蓋然性は高いものの、その価値(利益の大きさ)は低いというモードになり、通常モードは、特別演出が発生する蓋然性は低いものの、その価値(利益の大きさ)は高いというモードになる。つまり、演出モードの変化が、一方の要素を高く(大きく)し、他方の要素を低く(小さく)することをもたらす面白みのある遊技性が実現される。
【0082】
・手段2-3
前記当否判定結果が当たりとなることによって実行される当たり遊技は、所定条件成立まで所定の入賞領域が開放される単位遊技を一または複数含むものであり、前記通常モードにて前記特別演出が発生した場合には、前記単位遊技の数が最大である前記当たり遊技が実行されることを特徴とする手段2-2に記載の遊技機。
このようにすることで、通常モードを設定している場合、「特別演出の発生」が「最大単位遊技数の大当たり遊技の発生」に繋がるという分かりやすい遊技性になる。
【0083】
・手段2-4
発生した場合に当否判定結果が当たりとなることが確定する演出として、前記特別演出とは異なる演出である確定演出が発生することがあり、前記通常モードにて前記確定演出が発生した場合には、前記単位遊技の数が最大である前記当たり遊技が実行されるとは限らないことを特徴とする手段2-3に記載の遊技機。
このように、当否判定結果が当たりとなることが確定する全ての演出が、「最大単位遊技数の大当たり遊技の発生」となる演出として設定されていなくてもよい(一部の演出が除外されていてもよい)。
【0084】
・手段2-5
前記演出モードは、遊技者が任意に選択可能なものであることを特徴とする手段2-1から手段2-4のいずれかに記載の遊技機。
特別演出の発生頻度を高めること、および、特別演出が発生したときの利益を大きくすること、のいずれかを遊技者が任意に選択できるようにすることが好ましい。
【0085】
・手段3-1
表示手段と、音出力手段と、特定期間にて前記表示手段に特定映像が出力されつつ、前記音出力手段から特定楽曲が出力される特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定演出は、複数種の前記特定映像のうちのいずれかが出力されるものであり、前記特定期間中であっても前記特定映像の種類を遊技者が任意に切り替えることが可能であり、前記特定期間中に遊技者により前記特定映像の種類の切り替えがなされた場合であっても、前記特定楽曲が継続的に出力され続けることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、特定映像の種類の切り替えがなされても特定楽曲が継続的に出力されるから、特定楽曲の同じ箇所を何度も聴くことになって遊技者が苛立ってしまうおそれを低減することが可能である。
【0086】
・手段3-2
複数種の前記特定映像のそれぞれは、同じ内容を示す映像であり、前記特定期間中に遊技者により前記特定映像の種類の切り替えが要求された場合には、映像の内容が継続するように当該特定映像の種類が切り替えられることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定映像の種類が切り替えられた場合であっても、映像の内容と特定楽曲がリンクした状態が担保される。
【0087】
・手段3-3
前記特定期間は、当否判定結果が当たりとなったときに実行される当たり遊技中の期間であることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
特定期間(特定映像や特定楽曲が出力される期間)としては、当たり遊技中を例示することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 遊技機
10 表示装置
11 表示領域
15 可動部材
151 発光部
20 演出画像
70 識別図柄