IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7109095トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法
<>
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図1
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図2
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図3
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図4
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図5
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図6
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図7
  • -トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20220722BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20220722BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20220722BHJP
   E03D 3/10 20060101ALI20220722BHJP
   A47K 13/28 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
A47K13/30 Z
E03D3/10
A47K13/28
E03D9/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019565607
(86)(22)【出願日】2017-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 DE2017000102
(87)【国際公開番号】W WO2018149427
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-01-20
(31)【優先権主張番号】102017001775.1
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519298499
【氏名又は名称】リューレ, アルミン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リューレ, アルミン
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-063995(JP,U)
【文献】国際公開第2008/072677(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3062688(JP,U)
【文献】特開平03-202031(JP,A)
【文献】特開昭63-089131(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02898807(EP,A1)
【文献】特開2010-268930(JP,A)
【文献】特開2007-217996(JP,A)
【文献】特開平05-137670(JP,A)
【文献】国際公開第2013/167919(WO,A2)
【文献】特開2002-209797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
E03D 9/00
A47K 13/30
E03D 3/10
A47K 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ装置のための洗浄および清掃システムであって、
便器と、
便座と、
前記便器と前記便座との間で、前記便器に対するシールを形成する第1の閉鎖位置と第2の開放位置とを有する便蓋と、
前記便器から分離された清掃スペース
を備え、前記便座は、清掃目的のために前記清掃スペース内に配置されることが可能である、洗浄および清掃システム。
【請求項2】
前記便座を前記清掃スペース内へおよび前記清掃スペースから外へ移動させるように動作可能である移動装置をさらに備える、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項3】
前記移動装置は、前記便座を前記清掃スペース内へおよび前記清掃スペースから外へ回転させる、請求項2に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項4】
前記便蓋は、前記便器の後ろの保管位置へ移動する、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項5】
前記清掃スペースに配置された少なくとも2つの清掃ノズルをさらに備え、これにより、前記便座は、2つの異なる、対向する方向から噴霧されることができる、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項6】
前記清掃スペースは、排水収集容器と流体連通している、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項7】
前記便器または前記清掃スペースからの排水が、圧縮空気ノズルから送給される圧縮空気と共に排水管に流れ込む、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項8】
前記便蓋は、折り畳み可能であり、かつ/または、押圧可能であり、かつ/または、旋回可能である、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項9】
仕切り板およびシールをさらに備え、前記仕切り板およびシールの両方は、前記清掃スペースを少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載の洗浄および清掃システム。
【請求項10】
トイレを洗浄および清掃するための方法であって、前記方法は、
前記トイレが使用された後に、便座を、便器から分離された清掃スペース内に移動させることと、
前記便座を清掃し、便蓋を出すように移動させることにより、前記便蓋によって前記便器に対してシールを形成することと、
ノズルを通じて前記便器内に圧縮空気を導入することにより、水の供給の有無に関わらず、前記圧縮空気によって前記便器を洗浄することと、
排水管に被洗浄物を導入することと
を含み、1つの便座のみを備える前記トイレの場合、前記方法は、前記便座を清掃した後に、前記清掃された便座を移動させて前記便器の上に戻すことをさらに含む、方法。
【請求項11】
前記便座を清掃することのプロセスからの排水で、前記清掃スペース内の排水収集容器を充填することと、
前記排水を前記便器からの排水と共に排出することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
2つの便座を交互に使用することをさらに含み、
各場合において、前記2つの便座のうちの1つが前記清掃スペース内で清掃され、他方の便座が前記便器上に配置され、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記便器を洗浄することのプロセスおよび前記排水管への前記被洗浄物の排出の間中、前記便器に圧縮空気を導入することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記清掃スペース内の清掃水に、消毒剤、洗剤、芳香剤、および/またはその他の添加剤を添加することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄手段として、主にまたは排他的に水が使用されるトイレ用洗浄装置が公知である。この場合、洗浄圧力は重力によって生成される。トイレを洗浄するための飲料水の消費は、環境保護を考慮すると望ましくない。したがって、その他の可能性を追求することが有意義である。
【0003】
洗浄プロセス時の水を節約するために、水に加えて圧縮空気を洗浄に使用することが公知である。DE2519620C3(「鉄道車両用トイレ装置」)は、淡水タンクと便器との間に中間容器が配置され、ペダルを押すことで時間リレー制御された淡水量が、貯蔵された圧縮空気によって中間容器から便器へ押し出される鉄道車両用トイレ装置を開示している。
【0004】
これにより、列車の汚物タンクを頻繁に空にする必要がないように、水量を減らして便器洗浄を行う。
【0005】
しかしながら、このシステムは大量の水なしには機能しない。現在、1回の洗浄プロセスに約6~9リットルの飲料水が使用されている。
【0006】
トイレの使用に関連する別の問題は衛生である。特に、駅、空港、レストラン等の公共エリアでは、清潔な便座を見つけること、または使用時の便座を衛生上問題なく使用できるようにする手段を用いることが望ましい。
【0007】
人体と便座との直接の接触を回避するために、または少なくとも最小限に抑えるために、紙カバーを便座に被せることが公知である。ここでの問題は、紙カバーは便座に支持されていないため滑り落ちること、また、紙カバーは便器の内側に貼り付いているため、水洗で洗い流すことが難しく、特に、紙カバーが水洗によって湿った場合は一層難しいことである。
【0008】
この点に関して、DE3916371A1は、「自動載置技術を備えまた、汚物脱臭機能と便器の水利用とを備えた、コンパクトで、紙カバーリザーバとして適用可能なトイレ補助装置」を開示している。ここでは、ロゼット形状の紙カバーを、便座リング上に配置することができる。この場合、紙カバーは、リザーバから引き出される。紙は、陰圧下、または真空下でこの便座リングに固定される。洗浄は、空気の吸引と組み合わせた水洗によって行われる。
【0009】
この解決手段の欠点は、滑らかな紙の種類のみがこれに適しており、そうでない場合、より大きな真空力で吸引する必要がある点である。裂けたり、または破損した紙片は、陽陽圧が充分でなくなるため、便座リングに付着しなくなる。
【0010】
さらに、この公知の解決手段は技術的に煩雑である。しかしながら、このような装置は脆弱である。したがって、これらは、特に多数の使用者向けに設計された公衆トイレには不適切である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、トイレの衛生的な使用を可能にし、同時に環境保護上有意義な清掃を提供する、洗浄および清掃システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
汚物を排出するための洗浄手段として閉鎖された陽圧システムが使用されている、トイレ用の洗浄および清掃システム、ならびに洗浄方法が開示される。ここで使用されるエネルギーは、特に、陽圧を提供するためのエネルギー貯蔵庫として機能する洗浄タンクから取られる。本発明にかかる方法は、陽圧によって生成される圧力差によって機能する。この陽圧は簡単に生成され、提供される。通常、陽圧は給水管の水道ネットワークに既に存在している。圧縮空気洗浄は、使用後の便座の確実な清掃を可能にする清掃プロセスと組み合わされる。
【0013】
このため、洗浄および清掃システムは、複数のモジュールを含む。これらの個々のモジュールは、共に洗浄および清掃システムを構成する。洗浄および清掃プロセスは、交換機構と、便器とは別の清掃スペースとを含む。
【0014】
便器は、ユニットバスまたは浴室の壁、または壁の張り出し部分に配置される。便器は高さを調節でき、小便器として構成することも、身体の不自由な人のための特別設計で設計することもできる。便器は、円形、角形、球形等で構成することができる。
【0015】
便器には、ほぼ気密に密閉可能な便蓋がある。便器は、便蓋と共に閉鎖した装置を構成する。この便蓋は、トイレの使用中に、壁、または壁と便器との間の張り出し部分における、便器後ろの保管スペースに配置され、他の方法では便器から取り外され、使用されていない時は便器を覆う。便蓋は、便座の下の領域で覆われた状態で配置され、保管のために保管スペース内の位置まで移動可能であり、その後、再び便器の閉鎖やカバーのためにそこから出るように移動可能である。便蓋は、押圧し、折り畳み、旋回させることができ、例えば、二分割または半球状に形成することができる。便蓋が二分割で形成されている場合、両側の半分を開くことで展開できる。
【0016】
便器には1つまたは複数の便座を置くことができる。少なくとも1つ、必要に応じて2つの便座が設けられている。この場合、2番目の便座は予備便座として設けられている。予備便座は、便器に載置されている他方の便座の使用時に清掃することができ、その後、清掃された状態で他のトイレ利用者に提供可能であり、同時に、またはわずかに遅れて、他方の便座は清掃プロセスを行う。使用は利用頻度による。便座は、電気的に加温可能に構成することもできる。
【0017】
本発明にかかる清掃方法では、便座が清掃スペースに移動する。便座は、特に、折り畳み、旋回し、または回転させることができる。清掃は、蒸気による汚染なしに清掃スペース内で行われる。そこで発生する排気は吸い込まれ、凝縮される。これは排気コンデンサを介して行うことができる。排気コンデンサは、スペースを取らないように特に横方向に配置できる。蒸気は、換気装置を介して対応する配管へ排出できる。場合によって発生する沈殿物は、水抜きによって排出できる。その際、便器からの排気が一緒に吸い込まれる。消毒は添加剤、つまり消毒剤によって行われる。清掃および手入れ用添加剤は、正確に計量して供給できる。これらは、特に脱灰剤、芳香剤、消毒剤または軟化剤であり得る。便座は、ファンとともに、またはファンなしで、空気で乾燥させることができる。
【0018】
清掃スペースは、特に便器が配置されている後壁の後ろに形成されている。通常は、一般的な後壁洗浄タンクの既存スペースで充分である。清掃スペースは正面から、すなわちトイレ側からアクセス可能に構成されている。固定および密閉は、シールによって実現される。シールは、後壁とカバーを形成する。シールは、例えば、側方向から移動することができ、これによって、固定、シール、および便座を回転するためのスペースを可能にする。この回転は、特に回転台を使用して行うことができる。回転台は回転運動を実施し、180°回転する。これによって、便器後ろの後壁は、清掃スペースのカバーを形成する。したがって、清掃スペースは閉鎖される。便座は折りたたまれ、搬送装置によって清掃スペースへ移動される。便座は、特に回転装置によって180°回転する。その後、清掃が行われる。したがって、既に清掃された他方の便座が、後方の清掃スペースから、使用のために前方へ180°回転するため、トイレ利用者にとって、清掃プロセス中の待機時間が発生しない。トイレ利用者は、妨げられることなくトイレを利用できる。したがって、2つの便座がある場合、利用時間は清掃時間に対応する。したがって、清掃プロセスでは、特に回転台の構成に、回転ユニットが使用される。
【0019】
便座の清掃は、清掃スペース内部で前方および後方から行うことができる。このために、互いに向けられた水または洗剤吹き機が形成されている。両面(Flaechen)で同時に排水でき、水はこのために設けられた容器へ排出される。乾燥も同様に両面で行うことができる。
【0020】
清掃プロセス中に、水が収集され、便器は制御されて換気される。蓄圧器は、特に清掃プロセスからの水で充填されている。流入した水によって、加圧されていなかった貯蔵水に圧力が生じる。便座が閉まる。加圧された汚水は、別の配管を通って排水管へ流れる。廃水スペースでは陰圧が発生する。場合によって生じる粗い汚物粒子は、清掃時に粗い汚物用の収集機で分離され、個別に廃棄処理ネットワークへ誘導される。
【0021】
清掃プロセスに使用される水または流体は、洗浄プロセスを補助するために使用されうる。使用しない場合、便座の洗浄に必要な水または洗剤は、洗浄プロセス後に収集容器に流れ込む。収集容器は、発生した廃水、洗剤、脱灰剤、消毒剤、芳香剤などを捕捉する。これらの流体性の物質の混合物は、家庭用配管を介して排出でき、または、リフティング装置を介して同様にホームネットワークに導入できる。便器の内部には清掃ノズルを配置できる。
【0022】
特に、2つの便座が使用される場合、1つの便座は壁のスペース、特に清掃スペース、または対応する張り出し部分に配置される。トイレを使用するためには、自動的にまたは機械的にトリガされる便蓋が動き、特に折り畳まれ、押され、旋回され、展開され、かつ、他方の便座は、ほぼ同時に保管スペースから便器へ移動し、便器の端に載置される。これは、便座を回転運動によってその位置へ移動することで行うことができる。便座は使用後、設けられたスペースへ再び収容され、そこで清掃が行われる。少なくとも1つの便座が必要だが、必要に応じて交換し、未使用の便座をそれぞれ清掃するために、1つまたは複数の追加の便座を常備してもよい。便座は、便器の上領域を完全に囲むように構成されているため、便器から何も外側にはねることはできない。
【0023】
陽圧は、洗浄プロセスの際に、閉じた便器と排出用供給管とに同時に導入される。つまり、陽圧は洗浄タンクから得られる。廃棄管に迅速に流入する媒体、つまり流体および空気は、ベンチュリーノズルの原理に従って流入箇所の下流に陰圧を生成し、そうして容器の内容物を吸い込む。便器内で発生する陽圧により圧力差が増大し、便器の内容物が廃棄管に向かって移動する。陽圧プロセスでは、このエネルギーショットを使用して便器を空にすることができる。必要な水量は最小限であり、水を使用しない変更形態も提供される。例として、100mlの流体と、0.2barの陽圧が排出に提供される。洗浄時に便蓋で便器を閉めることにより、汚染された細菌や水蒸気が室内の空気中に到達しない。これにより、洗浄サイクルが改善される。
【0024】
充分な圧力が蓄積されている場合にのみ、洗浄プロセスが行われる。便蓋が閉じられるとすぐに、充分なエネルギー、すなわち蓄圧器の陽圧があるため、さらなるエネルギー源なしで便器を空にすることが可能である。複数回の洗浄が必要な場合、リザーバが満たされて陽圧が発生するか、または代替的に、ハンドポンプを用いて陽圧を生成することができる。これは、エネルギー供給の問題がある国に適用される変更形態でもある。したがって、他の洗剤源に接触することなく、洗浄および清掃システムの操作が可能である。さらに、配管システムでの搬出には、供給された水、または、例えば、便器の後ろの配管システムでのガス混合物を使用することができる。これによって導入前に発生した陰圧により、便器から配管システムへの圧力差がより大きくなり、媒体が便器から吸い出され、移送エネルギーが配管システム内で汚水管まで供給される。したがって、古い配管や長い配管もさらに使用されうる。
【0025】
したがって、洗浄および清掃システムにより、水なしの変更形態が可能となる。例えば、汚物が便器の端に触れないように、スライド式媒体として紙の敷物が便器に置かれている場合、配管ネットワークにおいて内容物を無水で移送することができる「気送管」の原理が発生する。水を分離する必要がないため、汚物のさらなる処理への利用がこれによって何倍も簡素化される。汚物が移送容器に運ばれると、体積が排泄物にまで減少する。「紙」は、特にわらなどの天然材料からなる材料で作られている。この材料は、汚物と共に、高品質の肥料として適切に熱処理され、すぐに使用することができる。
【0026】
洗浄物、すなわち汚物と、紙の敷物と、使用済みトイレットペーパーを収容するために、水なしの変更形態では、廃棄容器が必要である。これは、使い捨てまたは複数回利用可能な容器であり、回収に提供することができる。内容物は別々に廃棄されるか、例えば肥料に処理することができる。紙の敷物とトイレットペーパーに含まれている紙は、陽圧の圧縮空気によって洗浄プロセス中に圧縮された。
【0027】
洗浄および清掃システムは、水を用いた洗浄の変更形態でも可能である。人々の快適さの必要性はますます広がっている。ここでは、水が中心的役割を果たす。これはトイレの衛生にも当てはまる。ここでは、水が中心的な役割を果たす。しかし同時に、水はますます希少になりつつある資源である。したがって、水を主にエネルギー媒体として使用することは望ましくない。しかしながら、公知の方法によるトイレ洗浄時の節水は、配管ネットワークに詰まりおよび汚染が生じ、多大な費用が発生する可能性がある。本発明にかかる洗浄および清掃システムを使用することにより、トイレ洗浄の水を配管ネットワーク内の移送に使用することができ、洗浄水の量をさらに削減する可能性がある。洗浄水の量が少なくなっても、長くて複雑な、古い配管ネットワークでも排出が可能である。既存の配管ネットワークは損傷ないままである。
【0028】
水なしまたは水誘導の変更形態のための、洗浄に使用可能な圧縮空気は、特にそれ自体で、またはコンプレッサで空気を圧縮した水圧と組み合わせて生成することができる。そして、圧縮空気は圧力容器に保存される。しかしながら、圧力はその他の選択肢で、例えば、温水(蒸気)、機械(ポンプ)、機械(供給ネットワークからの水圧)、電気(コンプレッサ)、油圧(ポンプ)、または付勢によるばね力、圧縮ガス、ガス混合物によって、または太陽エネルギーによって生成できる。
【0029】
より簡単な家庭用バージョン、すなわち家庭使用またはレストランでの使用では、便座のみが使用され、便座は使用後に毎回清掃される。便器を確実に洗浄するために、圧縮空気を使用することでこれ以上の洗浄工程は不要となる。
【0030】
本発明にかかる洗浄および清掃システムは、洗浄時に淡水または飲料水が最小限であるか、または全く必要ないという利点を有し、ひいては、この洗浄および清掃システムは、環境に優しい装置を形成する。清掃によって、清潔にしたばかりの便座で衛生的で清潔なトイレの使用が可能となる。
【0031】
本発明のさらなる利点、および有利な実施形態は、以下の図面の説明、図面、および特許請求の範囲からわかる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
トイレ装置のための洗浄および清掃システム(100)であって、便器(10)と、少なくとも1つの便座(14,16)と、便蓋(12)とを有するものにおいて、前記洗浄および清掃システム(100)は、前記便器(10)が配置されているスペースから分離して形成されている清掃スペース(24)を有し、前記清掃スペース(24)では、少なくとも1つの便座(14)を、または2つの便座(14,16)を配置する場合は前記2つの便座(14,16)のそれぞれ1つを、清掃の目的で配置できることを特徴とする、洗浄および清掃システム(100)。
(項目2)
前記少なくとも1つの便座(14,16)は、移動装置によって前記清掃スペース(24)へ、および前記清掃スペース(24)から出入りするように移動可能であることを特徴とする、項目1に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目3)
前記少なくとも1つの便座(14,16)は、回転装置として構成された前記移動装置によって、前記清掃スペース(24)へ、および前記清掃スペース(24)から出入りするように回転可能に構成されていることを特徴とする、項目2に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目4)
トイレ装置の未使用時には、前記便蓋(12)は前記便器(10)を完全に閉鎖し、前記トイレ装置を使用するために、前記便蓋(12)は保管位置へ移動可能であることを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目5)
前記清掃スペース(24)において、少なくとも2つの清掃ノズル(26)が配置されているため、前記便座(14,16)は前記清掃スペース(24)において、2つの異なる、対向した側から洗浄可能であることを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目6)
前記清掃スペース(24)において、少なくとも2つの乾燥ノズルが配置されているため、前記便座(14,16)は、2つの異なる、対向した側から乾燥用の空気を当てることができることを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目7)
前記清掃スペース(24)は、少なくとも1つの排水収集容器(38)を有することを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目8)
前記排水収集容器(38)に収集された媒体にて、前記便器(10)の排水のための圧力供給部(40)を有することを特徴とする、項目7に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目9)
前記便器(10)および/または前記清掃スペース(24)の排水が、圧縮空気ノズル(56,58,60,62)からの圧縮空気を加えることによって、排水管(48)へ搬出されることを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目10)
前記便蓋(12)は、1つの部分、または2つの部分からなり、折り畳み、スライド、旋回、または回転可能に構成されていることを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目11)
前記清掃スペース(24)は、仕切り板(28)と、少なくとも1つのシール(30)とを有することを特徴とする、前記項目のいずれか一項に記載の洗浄および清掃システム(100)。
(項目12)
a)便蓋(12)を開けるステップと、
b)前記便蓋(12)の位置を、清掃スペース(24)下側のスペースにおいて、前記清掃スペース(24)と排水収集容器(38)との間の領域に変更するか、便器(10)横の位置へ移動するステップと、
c)トイレ利用後に、利用した便座(14,16)を前記清掃スペース(24)へ入れるように移動するステップと、
d)前記便座(14,16)を清掃するステップと、
e)同時に前記便蓋(12)を出すように移動するステップと、
f)前記便器(10)を前記便蓋(12)で覆うステップと、
g)少なくとも1つのノズル(44,50)によって圧縮空気を導入するステップと、
h)水を供給の有無に関わらず、圧縮空気によって前記便器(10)を洗浄するステップと、
i)排水管(48)に洗浄物を導入するステップと、
を備えることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載のトイレの洗浄および清掃方法。
(項目13)
前記清掃スペース(24)は前記排水収集容器(38)を有し、前記排水収集容器(38)は清掃ステップの排水で充填されて、その排水は前記便器(10)の排水と共に排出されることを特徴とする、項目12に記載の方法。
(項目14)
2つの便座(14,16)が使用され、清掃時には便座(14)または便座(16)がそれぞれ前記清掃スペース(24)において清掃され、一方で、それぞれ他方の前記便座(14,16)は、前記便器(10)上に配置され使用可能であることを特徴とする、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
洗浄プロセスと、前記排水管(48)への洗浄物の排出とは、圧縮空気ノズル(56,58,60,62)による圧縮空気の導入によって補助されていることを特徴とする、項目12から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記清掃スペース(24)では、清掃水に、消毒剤、洗剤、芳香剤、またはその他の添加剤が添加されていることを特徴とする、項目12から15のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
本発明にかかる解決手段の実施例を、添付の概略図を参照して以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、変更機構を備え、圧縮空気洗浄を使用した洗浄および清掃システムの側面図である。
図2図2は、図1と類似の、バルブ装置の変更形態を備えた洗浄および清掃システムを、同じく側面図で示す図である。
図3図3は、洗浄および清掃システムの正面図である。
図4図4は、圧力形成バルブを備えた便器の側面図である。
図5図5は、水を移送媒体とした便器の側面図である。
図6図6は、便座用の回転ユニットの側面図である。
図7図7は、図6に従って、シールを備えた回転ユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、洗浄および清掃システム100が示されている。便器10は便蓋12を有する。さらに、第1の便座14および第2の便座16が形成されている。便座14、16は、下降ユニット18によって下降可能に形成されている。第1の便座14の下には、洗浄ノズル20が形成されている。便器10内には、第1の清掃ノズル22が形成されている。
【0035】
便器10が配置されているスペースとは別に、清掃スペース24が配置されている。清掃スペース24は、第2の清掃ノズル26と仕切り板28とを有する。仕切り板28は、シール30で密閉されている。清掃スペース24には、排気コンデンサ32が配置されている。清掃スペース24内には、清掃装置、例えば水噴霧装置または乾燥装置用の少なくとも1つのガイド34が形成されている。
【0036】
清掃スペース24は、ダイヤフラム弁36を有する。さらに、排水収集容器38が形成され、これは圧力供給部40を有する。供給リザーバ42が形成されている。さらに、排水収集容器38用の第1の遮断弁44および排水口46が形成される。排水は、排水管48を介して行われる。
【0037】
図2では、図1に示した特徴に加えて、排水収集容器38用の遮断弁52が形成されている。図示された排出は、直接防臭弁へ行われる。排出は、異なる方法で構成することもできる。
【0038】
図3は、便蓋12および便座14を備えた便器10の正面図を示す。さらに、洗浄ノズル20および下降ユニット18も示されている。便器10内には、第1の清掃ノズル22が示されている。清掃スペース24は、シール30と第2の清掃ノズル26とを有する。排気コンデンサ32は、清掃スペース24内の横方向に配置されている。したがって、排気コンデンサ32の排出口54は、その下端に形成される。
【0039】
図4は、便器10および排水管48を示す。圧縮空気の衝撃を生成するため、または圧縮空気を調節するために、特に第1のノズル56および第2のノズル58が形成されている。ここで、供給空気の円筒対称の流れが、短く狭い箇所を通って案内されるため、圧力の上昇が生じる。理想気体の場合、拡張ベルヌーイ方程式が当てはまる。流れが音速に到達すると、ベンチュリーノズルはラバルノズルになる。獲得された圧縮空気の衝撃により、排水と空気の混合物の排出がはるかに容易になる。
【0040】
図5では、図4の排出が、長距離、または不良配管での配管ネットワーク内の移送媒体である水と共に示されている。圧縮空気または水の混合物を流入させるためのさらなるノズル60、62、特にベンチュリーノズルを配置することができる。これらの使用により、配管システムの堆積や狭まりが防止され、排水性が向上する。
【0041】
図6は、回転ユニット(Rotations- bzw. Dreheinheit)200の詳細図である。便座14および16は、この回転ユニット200によって回転軸64を中心に180°回転させることができ、それにより、清掃スペース24に移動することができる。清掃スペース24(破線で表示)は、仕切り板28によって便器10が配置されているスペースから分離されている。下降ユニット18は、この実施例では同一に形成されており、互いに独立して動作することができる。この実施例では、2つの便座14、16が示されている。しかしながら、便座14のみを配置することもでき、便座14は、同様に回転ユニット200によって清掃スペース24へ回転することができる。
【0042】
トイレシステムを清掃するために、便座14’が便器10に載置される。便座14はその下側にスプラッシュガード66を有し、便座16はスプラッシュガード68を有する。このスプラッシュガード66、68は、便器10に適合する形状で形成されている。これによって、それぞれ載置された便座14、16と便器10との間に継目または隙間が生じない。これによって、清掃機能、シャワー機能または排泄時の下はね、または外はねも防止される。
【0043】
便器10の換気は、便座14、16に配置された空気チャネルによって導入された外気によって行われる。これにより、外はねは不可能である。便座14が下降すると、洗浄ノズル20は便座14と便器10との間に進入する。下降のために、モータ74が配置されている。さらに、洗浄ノズル20用のモータ76が配置されている。便座16には、モータ、すなわち、下降ユニット18を下降させるためのモータ78および洗浄ノズル82用のモータ80も同様に設けられている。便座14、16はそれぞれ、便座ヒータ用の装置を有する。これらは便座14のヒータ84と便座16の86である。
【0044】
図示された回転機構の代替として、便座14、16を清掃スペース24に移動させるために機能するその他の移動装置を使用することができる。これらは、便座14、16を移送するための旋回、スライド、折り畳み、または異なる構成の装置または方法である。
【0045】
回転ユニット200の回転軸64上には、給水口88が配置されている。そこでは、電気供給管もある。
【0046】
便座14および/または16の清掃は、清掃スペース24内への移動または変位後に行われる。
【0047】
図6に従う図7では、清掃スペース24が示されている。密閉用のシール90が配置されている。
【0048】
記載された形式での個々の装置の配置によって、トイレの利用者と接触する全ての部品を清掃することができる。したがって、便器内にはこれ以上の洗浄ノズルは配置されない。これは、トイレ利用者によって不快で非衛生的であると見なされていた、また、見なされている。同様に、発明にかかる構成によって、清掃時および/または使用中に液体等が便座14、16の下で飛散することが、確実に防止される。一方で、本発明にかかる便器10の洗浄工程、および便座14、16の確実で衛生的な洗浄により、看護、病院、レストランおよびその他の用途での洗浄労力が著しく低減される。
【0049】
上述の説明、以下の特許請求の範囲および図面に示された全ての特徴は、単独でも、任意の組合わせでも、本発明の主要点でありうる。
【符号の説明】
【0050】
10 便器
12 便蓋
14 第1の便座
16 第2の便座
18 下降ユニット
20 第1の洗浄ノズル
22 第1の清掃ノズル
24 清掃スペース
26 第2の清掃ノズル
28 仕切り板
30 シール
32 排気コンデンサ
34 ガイド 清掃
36 ダイヤフラム弁
38 排水収集容器
40 圧力供給部
42 供給リザーバ
44 第1の遮断弁
46 排水口
48 排水管
50 10への換気口/排気口
52 第2の遮断弁
54 32からの排出口
56 第1のノズル
58 第2のノズル
60 第3のノズル
62 第4のノズル
64 回転軸
66 第1のスプラッシュガード
68 第2のスプラッシュガード
70 第1の空気チャネル
72 第2の空気チャネル
74 第1のモータ
76 第2のモータ
78 第3のモータ
80 第4のモータ
82 第2の洗浄ノズル
84 第1の便座ヒータ
86 第2の便座ヒータ
88 給水口
90 シール
100 洗浄および清掃システム
200 回転ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8