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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】トルク調整に用いる警告装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/142 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B25B23/142
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021044556
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2021194764
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】109120208
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521115498
【氏名又は名称】瞬豐實業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Matatakitoyo Tool Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 28,Ln.67,Hecuo St.,Xitun Dist.,Taichung City 407,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼逸民
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3222709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクレンチ(10)、ノブ(40)、調節ボタン(33)、スケールリング(32)、可視領域(38)及びカラーリング(36)を備えた、トルク調整に用いる警告装置であって、
前記トルクレンチ(10)は、1つの把持部(16)を有し、
前記ノブ(40)は、前記把持部(16)に配設されて、前記トルクレンチ(10)のトルク値を決定するとともに、色を有する1つの外周面(41)を有し、
前記調節ボタン(33)は、前記把持部(16)に対してロック位置とアンロック位置との間で直線変位し、アンロック位置にあるとき、前記調節ボタン(33)は、前記ノブ(40)の前記外周面(41)を遮蔽し、
前記スケールリング(32)は、前記把持部(16)と前記調節ボタン(33)との間に位置し、ロック位置にあるとき、前記調節ボタン(33)に対して平行に配列されて前記把持部(16)に隣接され、前記調節ボタン(33)から前記ノブ(40)の前記外周面(41)が露出され
前記可視領域(38)は、アンロック位置のときに前記スケールリング(32)の単側から露出され、ロック位置のときに隠され、
前記カラーリング(36)は、前記可視領域(38)を介して使用者により見られ、前記カラーリング(36)の色は、前記ノブ(40)の前記外周面(41)の色と異なることを特徴とする、トルク調整に用いる警告装置。
【請求項2】
前記可視領域(38)は、前記スケールリング(32)と前記調節ボタン(33)との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項3】
前記カラーリング(36)は、前記調節ボタン(33)に外嵌されることを特徴とする請求項2に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項4】
前記調節ボタン(33)の外表面の1つの溝部(39)には、前記カラーリング(36)が収容されることを特徴とする請求項3に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項5】
前記把持部(16)には、1つの透明カバー(34)が結合され、
前記透明カバー(34)により前記スケールリング(32)が覆われているため、前記調節ボタン(33)に伴って、前記スケールリング(32)が直線変位することを制限し、前記調節ボタン(33)により前記スケールリング(32)が前記把持部(16)の周りで回転を許容することを特徴とする請求項2、3又は4に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項6】
前記スケールリング(32)は、1組の目盛(31)を有することを特徴とする請求項5に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項7】
前記可視領域(38)は、前記スケールリング(32)と前記把持部(16)との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項8】
前記カラーリング(36)は、前記把持部(16)の1つの隠匿部(45)の外側に配設され、ロック位置にあるとき、前記隠匿部(45)が前記スケールリング(32)又は前記調節ボタン(33)により遮蔽されることを特徴とする請求項7に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【請求項9】
前記スケールリング(32)は、1組の目盛(31)を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のトルク調整に用いる警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクレンチなどのハンドツールの警告装置に関し、特に、トルク調整がオン状態にあるかオフ状態にあるかを使用者に警告するか注意を促す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトルクレンチは、支持部材を有する。支持部材は、一端にヘッドが枢着され、他端に把持部が固定される。上述した枢着構造は、1つのアーム及び1本の軸を含む。アームは、ヘッドから一定の長さで延ばされ、中空の支持部材に挿入される。軸とは、一般にリベットを指す。リベットは、支持部材及びアームに挿通され、支持アームは、支持部材の端部が接触された1つのノッチ(notch)の単辺に深く挿入される。ノッチの他側は、1つの押圧ブロックに転がり接触される。押圧ブロックがノッチを押動し、アームに接触させる動力源は、支持部材に埋設された圧縮ばねから提供される。
【0003】
実際に使用する際、ヘッドには、1つのワーク(例えば、ねじ、ナットなど)が直接的又は間接的に結合される。ヘッドから把持部までの距離に、使用者が把持部に加える作用力を乗算すると、トルクレンチがワークを回転させるトルク値(value of torque)が得られる。トルクとワークの反作用力とがノッチで働き合うと、トルクが反作用力より大きいか等しいときに、ワークを締め付けたり緩めたりすることができる。トルクが反作用力より小さい場合、アームがノッチから外れ、ワークに伝わるトルクが中断され、ねじ部分構造が受けた外力により破壊されることを防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ノッチは、トルクレンチ調整がオン状態にあるかオフ状態にあるかを使用者に知らせることはできなかった。
【0005】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上述した従来技術の問題点を改善し、目視構造を採用し、レンチのトルク調節機能がオフ状態にあるか、調節可能なオン状態であるかを使用者に知らせることができる、トルク調整に用いる警告装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、トルクレンチ(10)、ノブ(40)、調節ボタン(33)、スケールリング(32)、可視領域(38)及びカラーリング(36)を備えた、トルク調整に用いる警告装置であって、前記トルクレンチ(10)は、1つの把持部(16)を有し、前記ノブ(40)は、前記把持部(16)に配設されて、前記トルクレンチ(10)のトルク値を決定するとともに、色を有する1つの外周面(41)を有し、前記調節ボタン(33)は、前記把持部(16)に対してロック位置とアンロック位置との間で直線変位し、アンロック位置にあるとき、前記調節ボタン(33)は、前記ノブ(40)の前記外周面(41)を遮蔽し、前記スケールリング(32)は、前記把持部(16)と前記調節ボタン(33)との間に位置し、ロック位置にあるとき、前記調節ボタン(33)に対して平行に配列されて前記把持部(16)に隣接され、前記調節ボタン(33)から前記ノブ(40)の前記外周面(41)が露出され、前記可視領域(38)は、アンロック位置のときに前記スケールリング(32)の単側から露出され、ロック位置のときに隠され、前記カラーリング(36)は、前記可視領域(38)を介して使用者により見られ、前記カラーリング(36)の色は、前記ノブ(40)の前記外周面(41)の色と異なることを特徴とする、トルク調整に用いる警告装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトルク調整に用いる警告装置は、カラーリングとノブの外周面とを組み合わせ、両者のうちの1つの色により、調節ボタンがロック状態にあるかアンロック状態にあるかを表し、使用者に警告するか注意を促す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置のトルクレンチを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置の把持部を示す拡大図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置がロック位置にある状態の説明図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置がアンロック位置にある状態の説明図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置のアンロック位置にある把持部を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置がアンロック位置にある警告装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の技術手段及びそれにより達成可能な効果を、より完全かつ明白に開示するために、開示した添付の図面及び符号と併せて本発明を以下に詳説する。
【0010】
図1を参照する。図1は、本発明の一実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置のトルクレンチを示す平面図である。図1に示すように、トルクレンチ10は、1つの把持部16を有する。把持部16は、一端に1つの調節機構18が設けられ、他端に1つの支持部材12が結合される。1つのヘッド部14には、支持部材12が枢着される。ヘッド部14及び把持部16は、トルクレンチ10の両端にそれぞれ設けられる。
【0011】
図2を参照する。図2は、本発明の一実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置の把持部を示す拡大図である。図2に示すように、把持部16の外表面には、1つのトルク表示装置20及び1つの矢印部30が設けられる。トルク表示装置20には、1つの透光性バー状体22が形成される。バー状体22の1つの着色部28は、バー状体22の単辺の1組の目盛24のうちの一つと位置が揃い、トルクレンチ10のメートル法のトルク値(例えば、小数点前の数値)を読取ることができる。バー状体22の他側の1組の目盛26は、ヤード・ポンド法のトルク値を表す。
【0012】
上述した調節機構18は、これだけに限定されないが、1つのスケールリング32を含んでもよい。スケールリング32の外側面には、1組の目盛が設けられる(符号は付されていない)。この目盛は、一端が矢印部30に向かい、他端に数字31が表示され、より細かな数値が得られる(例えば、小数点以下の数値)。例えば、小数点前の数値と小数点以下の数値を組み合わせると、トルクレンチ10の実際のトルク値をより正確に知ることができる。
【0013】
また、調節機構18は、1つの調節ボタン33及び1つのノブ40を有する。調節ボタン33には、スケールリング32が平行に配列される。スケールリング32は、把持部16の末端に密着され、ノブ40の外周面41から調節ボタン33が露出される。外周面41の色は、調節ボタン33がロック位置にあることを表し、トルクを調節することができないため、このときトルクレンチ10は安全である。
【0014】
本実施形態において、外周面41の色は、ノブ40を製造する材料成分の色(例えば、赤色、黄色又は明色系の色)である。他の実施形態では、外周面41の色は、ノブ40の外側面の1層のシール、フィルム又は他の付着物により現わされてもよい。
【0015】
図3を参照する。図3は、本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置がロック位置にある状態の説明図である。図3に示すように、1つの支持構造44は、把持部16とノブ40との間に固定される。1つの伝動杆43は、支持構造44を介してノブ40と結合される。1つのカバー42は、ノブ40の端面を覆い、埃又は汚染物がノブ40の内部に侵入することを防ぐ。そのため、ノブ40と把持部16との距離が一定に保たれ、一部の外周面41から調節ボタン33が露出される。
【0016】
ロック位置にある場合、調節ボタン33は、把持部16の1つの隠匿部を覆う。隠匿部は環状凸縁である。凸縁と調節ボタン33とにより1つの係合構造37が構成される。係合構造37とは、2列の直歯が互いに噛合された噛着関係を指すため、調節ボタン33は把持部16に対して回転しない。同じ直歯の噛着関係により、ノブ40が調節ボタン33の部位に挿入されるため、調節ボタン33がノブ40に対してロック位置からアンロック位置までの直線変位が拘束される。そのため、調節ボタン33が把持部16に噛合され、ノブ40は、把持部16に対して旋回しない。勿論、ノブ40により調節ボタン33をアンロック位置まで移動すると、把持部16と調節ボタン33との係合関係が解除されるとともに、調節ボタン33をロック位置まで戻し、調節ボタン33を再び把持部16に係合させて回転することを防ぐ。
【0017】
図4を参照する。図4は、本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置がアンロック位置にある状態の説明図である。アンロック位置にある場合、係合構造37が分離されて調節ボタン33と把持部16との係合関係が解除される。調節ボタン33が把持部16から離れ、ノブ40の外周面41を遮蔽すると、1つの可視領域38がスケールリング32の単側から露出される。調節ボタン33は、ノブ40を同じ方向で回転させ、伝動杆43が中空の支持部材12内で駆動すると、トルクレンチによりトルクを調節することができる。
【0018】
図4において、上述した可視領域38は、スケールリング32と調節ボタン33との間に位置し、可視領域38を介して調節ボタン33の1つのカラーリング36を見ることができる。調節ボタン33の1つの溝部39にカラーリング36が収容される。
【0019】
本実施形態において、カラーリング36はバンドである。バンドは、調節ボタン33に外嵌される。他の実施形態では、カラーリング36は塗料である。この塗料は、調節ボタン33の溝部39に充填される。
【0020】
スケールリング32は、調節ボタン33に嵌設され、噛合状態を同様に保持する直歯構造である。そのため、調節ボタン33が把持部16に噛合されているため、スケールリング32が把持部16に対して回転しない。調節ボタン33が把持部16から離れると、スケールリング32が同じ方向で回転可能となるため、スケールリング32は、調節後のトルク値を表示する。
【0021】
また、1つの透明カバー34は、スケールリング32を覆う。透明カバー34は、1つの接続部材35を介して把持部16に結合されて固定されているため、調節ボタン33に伴って、スケールリング32が直線変位することを制限し、調節ボタン33によりスケールリング32が把持部16(の隠匿部)の周りで回転することを許容する
【0022】
図5を参照する。図5は、本発明の第1実施形態に係るトルク調整に用いる警告装置のアンロック位置にある把持部16を示す説明図である。図5に示すように、可視領域38は、ノブ40の外周面41の色とは異なるカラーリング36の色(例えば、緑色、青色又は暗色系の色)を示す。そのため、カラーリング36は、トルクレンチ10がトルク調節可能な状態にあることを示し、ワークを締め付けたり緩めたりするのに適切でないことを、使用者に警告するか注意を促す。
【0023】
図3を再び参照する。図3に示すように、調節ボタン33がスケールリング32に近づけられてロック位置に戻り、把持部16と調節ボタン33とが再び係合関係になると、係合構造37が直歯噛合状態に回復する。また、可視領域38のロック位置が隠匿されるため、スケールリング32がカラーリング36を遮蔽し、ノブ40の外周面41が調節ボタン33から露出される。
【0024】
そのため、ノブ40の外周面41とカラーリング36とは、1つの警告装置を構成する。警告装置の第1実施例は、ノブ40の外周面41又はカラーリング36の色により、トルクレンチ10を安心して操作することができるか否かを使用者に警告するか注意を促す。
【0025】
図6は、警告装置の第2実施例を示し、その構造は、第1実施例に略等しいが、可視領域38がスケールリング32と把持部16との間に位置する点が異なる。
【0026】
便宜的な説明をすると、透明カバー34は、接続部材35を介して調節ボタン33に固定されるとともに、スケールリング32を覆う。スケールリング32は、調節ボタン33の直線変位に伴い、同じ方向で回転する。
【0027】
アンロック位置にあるとき、可視領域38は、スケールリング32と把持部16との間に位置する。可視領域38から見えるカラーリング36は、把持部16の1つの隠匿部45の外表面に配設される。
【0028】
ロック位置にあるとき、隠匿部45がスケールリング32又は調節ボタン33により遮蔽されるため、可視領域38のロック位置が隠される。
【符号の説明】
【0029】
10 トルクレンチ
12 支持部材
14 ヘッド部
16 把持部
18 調節機構
20 トルク表示装置
22 バー状体
24 目盛
26 目盛
28 着色部
30 矢印部
31 数字
32 スケールリング
33 調節ボタン
34 透明カバー
35 接続部材
36 カラーリング
37 係合構造
38 可視領域
39 溝部
40 ノブ
41 外周面
42 カバー
43 伝動杆
44 支持構造
45 隠匿部
図1
図2
図3
図4
図5
図6