(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】信号オフセットの決定及び補正
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20220722BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
G01N35/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017169121
(22)【出願日】2017-09-04
【審査請求日】2020-08-06
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・クノーベル
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257835(JP,A)
【文献】特表2003-502631(JP,A)
【文献】特表2011-529187(JP,A)
【文献】特開2001-249130(JP,A)
【文献】特表2015-532977(JP,A)
【文献】米国特許第5291426(US,A)
【文献】米国特許第4150295(US,A)
【文献】KULIGOWSKI, J. et al.,Background Correction and Multivariate Curve Resolution of Online Liquid Chromatography with Infrared Spectrometric Detection,Analytical Chemistry,2011年05月04日,Vol. 83,pp. 4855-4862,doi:10.1021/ac2004407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 35/00-G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析器の光学測定信号に含まれる背景シフトを決定するための方法であって、
a)異なる時点で前記分析器によって取られる複数組の試料の光学測定値(2a~2e、4a~4f)を得るステップであって、各組(2a~2e、4a~4f)が、第1のチャネル(λ1)で取られる少なくとも1つの測定値及び前記第1のチャネルと異なる第2のチャネル(λ2)で取られる他の測定値を含む、ステップと、
b)前記複数組の光学測定値(2a~2e、4a~4f)を1つのグループの組(グループA)及び他のグループの組(グループB)に分割するステップであって、前記1つのグループの組(グループA)における前記測定値が前記他のグループの組(グループB)における前記測定値とは異なる期間中に取られ、前記1つのグループの組(グループA)における前記測定値が、前記他のグループの組(グループB)における前記測定値より高い、時間での信号変化を示す、ステップと、
c)前記1つのグループの組(グループA)における前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での測定値の関係(10)に基づいて第1の背景信号(bA)を決定するステップであって、測定値の関係(10)に基づいて前記第1の背景信号を決定する前記ステップが、前記1つのグループの組(グループA)の前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での前記測定値間の相関を求めることを含む、ステップと、
d)ステップc)において前記1つのグループの組(グループA)における前記測定値に基づいて求められた前記関係を使用することによって、前記第2のチャネル(λ2)での前記他のグループの組(グループB)における前記測定値と前記第1のチャネル(λ1)で取られる前記1つのグループの組(グループA)における前記測定値とを比較するステップと、
e)前記1つのグループの組(グループA)及び前記他のグループの組(グループB)における前記第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第2の背景信号(bB)を決定するステップと、
f)前記第1及び第2の背景信号(bA、bB)に基づいて背景シフトを決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記決定された背景シフトに基づいて前記1つ又は前記他のグループの組(グループA、グループB)における前記測定値を補正するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記背景シフトが閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
前記
決定された背景シフトが前記閾値を超える場合だけ前記1つ又は前記他のグループの組(グループA、グループB)における前記測定値を補正するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された背景シフトを示す出力を提供するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値が絶対閾値、又は前記第1もしくは第2のチャネル(λ1、λ2)での1つもしくは複数の測定値の信号レベルに基づく相対閾値である、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の背景信号(bB)を決定する前記ステップが、前記1つのグループの組(グループA)における前記測定値に基づいて求められる前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での前記測定値間の比例定数(m)を使用することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
測定値の前記関係に基づいて前記第1の背景信号を決定する前記ステップが、前記1つのグループの組(グループA)の前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での前記測定値間の前記関係(10)の切片(bA)及び傾き(m)を計算することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記相関が線形相関である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つのグループの組(グループA)及び前記他のグループの組(グループB)における前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での測定値の前記関係に基づいて前記第2の背景信号(bB)を決定する前記ステップが、前記第1及び第2のチャネル(λ1、λ2)での前記測定値の比率を使用することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の背景信号(bB)を決定する前記ステップが、前記他のグループの組(グループB)の前記第1のチャネル(λ1)での前記測定値を平均すること、又は前記他のグループの組(グループB)の前記第2のチャネル(λ2)での前記測定値を平均することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数組の光学測定値(2a~2e、4a~4f)を前記1つ及び前記他のグループの組(グループA、グループB)に分割するステップが、所定の事象が前記1つ及び前記他のグループの組(グループA、グループB)における最終組の測定値間で起こることを識別することに基づき、任意選択で前記所定の事象が、測定されている前記試料への試薬の添加、前記試料の操作もしくは移動、前記試料を含む受口の操作もしくは移動
、光学測定を行う測定装置の調節、前記試料への試薬の添加、又は周囲条件の変化を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び前記第2のチャネル(λ1、λ2)での測定が異なる波長での測定チャネルを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
分析器のコントローラによって実行されると、前記分析器に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の作用を実施することを促す命令を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
自動試料分析器であって、
試料の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成される光学測定装置であり、少なくとも第1のチャネル及び前記第1のチャネルと異なる第2のチャネルで前記パラメータを測定するように構成される光学測定装置と、
前記自動試料分析器に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の作用を実施することを促すように構成される背景シフト検出モジュールと
を備える自動試料分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学測定信号の背景シフトを決定するための方法、及び背景シフト検出モジュールを含む分析器に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる種類の光学測定方法が複数の自動試料分析器に利用される。たとえば、臨床化学分析器は、生体試料の吸光度を測定して、この測定に基づいて生体試料の単一又は複数のパラメータを決定するように構成することができる。光学測定値は異なる種類の背景信号に左右されることがある。背景信号の影響を軽減する1つの技術がいわゆる2色補正技術である。この技術は、2つの異なる波長で測定値を取り、そしてこれらの2つの測定値を減算して両測定信号に含まれる一定の背景信号を除去することを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、いくつかの状況では、背景信号は、たとえばキュベット移動後に、時間とともに変動する可能性がある。これは2色補正技術及び他の補正技術をより信頼できなくかつ/又は正確でなくすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の一般的な態様は、試料用の分析器の光学測定信号に含まれる背景シフトを決定するための方法であって、異なる時点で試料用の分析器によって取られる複数組の試料の光学測定値を得るステップであり、各組が、第1のチャネルで取られる少なくとも1つの測定値及び第1のチャネルと異なる第2のチャネルで取られる他の測定値を含み、複数組の光学測定値が1つのグループの組及び他のグループの組を含み、1つのグループの組における測定値が他のグループの組における測定値とは異なる期間中に取られ、1つのグループの組における測定値が他のグループにおける測定値より高い信号変化を示すステップと、1つのグループにおける第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第1の背景信号を決定するステップと、1つのグループ及び他のグループにおける第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第2の背景信号を決定するステップと、第1及び第2の背景信号に基づいて背景シフトを決定するステップとを含む方法に関する。
【0005】
本開示の第2の一般的な態様は、自動試料分析器であって、光学試料の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成される光学測定装置であり、少なくとも第1のチャネル及び第1のチャネルと異なる第2のチャネルでパラメータを測定するように構成される光学測定装置と、分析器に、異なる時点で試料用の分析器によって取られる複数組の試料の光学測定値の結果を得させ、各組が、第1のチャネルで取られる少なくとも1つの測定値及び第2のチャネルで取られる他の測定値を含み、複数組の光学測定値が1つのグループの組及び他のグループの組を含み、1つのグループの組における測定値が他のグループの組における測定値とは異なる期間中に取られ、かつ1つのグループの組における測定値が他のグループにおける測定値より高い信号変化を示しており、1つのグループにおける第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第1の背景信号を決定し、1つのグループ及び他のグループにおける第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第2の背景信号を決定し、そして第1及び第2の背景信号に基づいて背景シフトを決定するように構成される背景シフト検出モジュールとを含む自動試料分析器に関する。
【0006】
第1の一般的な態様の方法及び第2の一般的な態様の装置は、いくつかの実施形態で以下の利点の1つ又は複数を有することができる。
第1に、本開示の技術は、いくつかの例で背景シフトが所定の時点で発生したことを検出することを可能にすることができる。たとえば、背景シフトは波長依存であることができ、これは背景シフトが第1及び第2のチャネルで異なる値を有する可能性があることを意味する。
【0007】
たとえば、試料を含む容器が、容器に試薬を添加する過程で分析器によってわずかに回転又は変位されることがある。この状況で、測定装置の光経路に対する容器の表面の傾きが変化されることがある。結果として、この事象前後で取られる測定値は異なる背景信号を有することがある。この例では、背景シフトは波長依存性を呈することもある。
【0008】
他の例では、試料を含む容器が、分析器による容器の操作中に擦過又は汚染される可能性がある。これも(時間でも波長でも)変動する背景信号をもたらす可能性がある。本発明の技術は、そのような種類の背景シフトが発生したかどうかを検出することを可能にすることができる。結果として、不正確な又はさらには誤った測定結果がいくつかの例で回避されることができる。
【0009】
第2に、背景信号検出工程はいくつかの例で自動的にかつ実行時中に起こることができる。これは、変動する背景信号を引き起こす事象に、そのような事象の悪影響を制限するのに十分初期に対処する適切な手段を選択することを可能にすることができる。たとえば、いくつかの先行の既知の分析器では、変動する背景信号による誤りが事後に検出されれば、高コストの測定の反復が必要とされる可能性がある(これは一定の時間が経過した後では生体試料のいくつかの検定で同じ試料には可能でない可能性がある)。そのような状況を回避すること、又はそのような状況の出現度数を低下させることが測定工程をより高信頼にかつ/又はより資源効率的にすることができる。
【0010】
第3に、本開示の技術は、いくつかの例で背景シフトを補正することを可能にすることができる。これはいくつかの例で自動的に起こることができる。このように、たとえ一定の背景信号変動が存在しても測定が(比較的高精度で)実施されることができるので、自動分析器のアイドル時間は削減されることができる。他の例では、一定のレベルの背景信号変動が補正及びしたがって許容されることができるので、本開示の技術を利用すると、試料処理工程の精度に関する要件が緩和される可能性がある。これはいくつかの例で分析器ハードウェアをより複雑でなくかつしたがってより安価にすることができる。
【0011】
本開示の技術にわたる概観を提供した後に、以下の段落で、本開示で特定の様式で使用されるいくつかの用語が論じられることになる。
本開示で使用される用語「光」は人間にとって可視の波長帯における放射線を含むが、これに限定されない。本開示で使用されるように、光はスペクトルの非可視部における(たとえば、スペクトルのUV又は赤外部における)放射線も含むことができる。いくつかの例では、光は、200nmを超えかつ10,000nm未満の波長(たとえば、350nmと1000nmとの間の波長)を有する放射線を含むことができる。
【0012】
表現「光学測定」は、試料によって放出される(赤外線又はUV放射線を含む)光が収集される試料のいかなる測定も含む。一例では、光学測定は、試料に向けて光を案内し、そして応答して試料から発散する光を測定すること含むことができる。この発散光は線形散乱光であることができる。たとえば、光学測定は反射率、透過率又は吸光度測定を含むことができる。
【0013】
他の例では、光学測定は、非弾性散乱光を検出することを含むことができる。たとえば、試料の輝度(たとえば、蛍光度)が光学測定のいくつかの例で検出されることができる。たとえ以下に論じられるいくつかの例が反射率、透過率又は吸光度測定に関連しても、本明細書に記載される技術は他の光学測定技術を使用する分析器に適用されることもできる。
【0014】
表現「波長での測定」は比較的狭スペクトル帯での(又は理想とされる場合には単一波長での)測定に限定されない。むしろ、表現「波長での測定」は、特定のスペクトル分布(本明細書で論じられるすべてのスペクトル分布は別途明記されない限り半値全幅帯域幅によって特性化される)を有する放射線を収集する測定を指す。いくつかの例では、この特定のスペクトル分布は(たとえば、10nm半値全幅帯域幅より狭い)かなり狭い分配であることができる。いくつかの例では、測定帯域幅は(たとえば、照明光源がCWレーザ又は狭帯域幅を有する他の光源であれば)2nm以下であることができる。
【0015】
しかしながら、他の例では、測定で収集される放射線のスペクトル分布はより広いスペクトル領域にわたることができる。いくつかの例では、測定範囲は30nm以上(又は50nm以上)の帯域幅を有することができる。いくつかの例では、発光ダイオードによって放出され、そして試料によって散乱又は非弾性的に反射される放射線が検出されて「波長での測定値」を得ることができる。これらの「広帯域幅」の場合でさえ、比較的広波長帯は単一波長(たとえば、波長帯の中心波長)によって特性化されることができる。
【0016】
用語「測定波長」は試料から収集される放射線の波長を指す。照明光及び試料によって放出される光も、追加又は他のスペクトル成分を含む可能性がある。たとえば、放出又は再放出光が光学フィルタによってフィルタリングされて特定の波長で測定値を取る。
【0017】
表現「異なる波長での測定」は、(「異なる波長で測定値を取る」ための)の2つの異なる波長源の波長帯が(完全にでないとしても)部分的に重複する状況を含む。たとえば、第1の測定値は500nmと550nmとの間の波長で、そして第2の測定値は545nmと600nmとの間の波長で取られてもよい。これらの2つの波長はそれでも、本開示に定義されるように「異なる」と考えられる。
【0018】
例示的な一例では、照明光源は複数の異なる発光ダイオード(たとえば、赤色、緑色及び青色発光ダイオード)を含むことができる。「赤色」発光ダイオードは600nmと630nmとの間の波長を有する光を放出してよく、「緑色」発光ダイオードは515及び550nm間の光を放出してよく、そして「青色」発光ダイオードは400nmと420nmとの間の光を放出してよい。この状況で、赤色発光ダイオードの透過光は緑色及び青色発光ダイオードの透過光とは異なる波長の光であることができる。
【0019】
本明細書で使用される用語「分析器」/「分析作業セル」/「分析ユニット」は、測定値を得るために、たとえば、試料の試薬との反応後に試料の分析性質を測定することができるいかなる装置又は装置部品も包含する。
【0020】
分析器は、試料又はその成分の1つ又は複数のパラメータを決定するように動作可能である。たとえば、パラメータは、キュベットに含まれる試料の吸収度、透過率又は反射率であることができる。他の例では、パラメータは、励起光で照明された後の試料の蛍光度であることができる。(たとえば、吸収度、透過率又は反射率を決定する)以下に論じられる分析器の光学測定装置とは別に、分析器は、1つ又は複数の化学的、生物学的、物理的又は他の技術的手順を介して試料のパラメータを決定する測定装置を含むことができる。
【0021】
分析器は、試料の又は少なくとも1つの分析物の上記パラメータを決定し、決定されたパラメータを処理し、そして得られた測定値を返すように動作可能でもよい。分析器によって返される可能な分析結果の一覧は、限定することなく、試料における分析物の濃度、(検出レベルを超える濃度に対応する)試料における分析物の存在を示す質的(はい又はいいえ)結果、光学パラメータ、DNA又はRNA配列、タンパク質又は代謝産物の質量分光測定から得られるデータ、及び様々な種類の物理又は化学パラメータを含む。
【0022】
分析作業セルは、試料及び/又は試薬の分注、分量及び混合のためのユニットを備えてもよい。分析器は、検定を行う試薬を保持するための試薬保持ユニットを備えてもよい。試薬は、たとえば、保管区画又は搬送機内の適切な受口又は位置に置かれる、個々の試薬又はグループの試薬を含むコンテナ(container)又はカセットの形態で配置されてもよい。それは消耗送りユニットを備えてもよい。分析器は、作業の流れが一定の種類の分析のために最適化される処理及び検出システムを備えてもよい。そのような分析器の例は、化学的もしくは生物学的反応の結果を検出するために又は化学的もしくは生物学的反応の進行を監視するために使用される、臨床化学分析器、凝固分析器、免疫化学分析器、尿分析器、血液学分析器、核酸分析器である。
【0023】
用語「試料」は、着目した分析物を潜在的に含むかもしれない物質を指す。試料は、血液、唾液、水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、糞便、精液、乳汁、腹水液、粘液、滑液、腹腔液、羊水を含む生理液、組織、培養細胞などといった生物源から取り出されることができる。生体試料は、血液から血漿を準備することなど、使用前に前処理されることができる。処理の方法は、着目した分析物を含む試料成分の遠心沈殿、濾過、留出、希釈、濃縮及び/又は分離、干渉成分の不活性化、ならびに試薬の添加を含むことができる。生体試料は、源から得られるまま直接使用されても、又は試料の性質を変更する前処理後に使用されてもよい。いくつかの実施形態において、初期に固体又は半固体の生体物質は、それを適切な液体培地で溶解又は懸濁することによって液体にされることができる。いくつかの例では、試料は、一定の抗原又は核酸を含むのではないかと思われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示に係る光学測定信号の背景シフトを決定するための方法例を例示する。
【
図2】本開示に係る光学測定信号の背景シフトを決定するための方法例を例示する。
【
図3】本開示に係る光学測定信号の背景シフトを決定するための方法例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
光学測定信号の背景シフトを決定するための方法及び背景シフト検出モジュールを含む分析器の特定の態様が続いて論じられることになる。
図1~
図3に関連して、光学測定信号の背景シフトの決定及び補正のいくつかの態様が論じられることになる。続いて、
図4~
図6に関連して、本開示に係る背景シフト検出モジュールを含む分析器の異なる態様がより詳細に扱われることになる。
【0026】
図1~
図3は、試料用の分析器の光学測定信号の背景シフトを決定するための方法であって、異なる時点で試料用の分析器によって取られる複数組の試料の光学測定値の結果2a~2e、4a~4fを得るステップであり、各組2a~2e、4a~4fが、第1のチャネルで取られる少なくとも1つの測定値(たとえば、第1の波長λ
1で取られる測定値)及び第1のチャネルと異なる第2のチャネルで取られる(たとえば、第1の波長λ
1と異なる第2の波長λ
2で取られる)他の測定値を含み、複数組2a~2e、4a~4fの光学測定値が1つのグループの組(「グループA」)及び他のグループの組(「グループB」)を含み、1つのグループの組(「グループA」)における測定値が他のグループの組(「グループB」)における測定値とは異なる期間中に取られ、1つのグループの組(「グループA」)における測定値が他のグループ(「グループB」)における測定値より高い信号変化を示すステップを含む方法を例示する。
【0027】
図1~
図3の方法は、1つのグループ(「グループA」)における第1及び第2のチャネルでの測定値4a~4fの関係に基づいて第1の背景信号を決定するステップと、1つのグループ(A)及び他のグループ(B)における第1及び第2のチャネルでの測定値2a~2e、4a~4fの関係に基づいて第2の背景信号を決定するステップと、第1及び第2の背景信号に基づいて背景シフトを決定するステップとをさらに含む。
【0028】
以降、1つのグループ(「グループA」)は「第2のグループ」とも称され、そして他のグループ(「グループB」)は「第1のグループ」とも称される。たとえ
図1の例で第1のグループの測定値が第2のグループの測定値の前に取られても、これらの属性は時間順序を意味しないものとする。むしろ、1つのグループ(「グループA」)又は第2のグループ(「グループA」)はより高い信号変化を示すグループである。いくつかの例では、より高い信号変化をもつグループ(すなわち、1つのグループ又は第2のグループ)は、他のグループ又は第1のグループより早い時間に取られる測定値のグループでもあってもよい。同じように、第1及び第2のチャネルでの測定値は「第1」及び「第2」の測定値とも呼ばれることになる。これらの属性はいかなる時間順序も意味しないものとする。
【0029】
背景シフトを決定するための方法の異なるステップの異なる態様及び特徴が続いてより詳細に論じられる。本開示に係る方法が以下に論じられる態様の1つ又は複数を単独又は組合せで含むことができることが理解される。
【0030】
図1に見られることができるように、光学測定値の組2a~2e、4a~4fは(
図1の例では時刻t=5sとt=6sとの間で)2つのグループに分けられる。概して、分析器は、背景シフト決定手順の一部として測定値の組を第1及び第2のグループの測定値の組(「グループA」及び「グループB」)に分割することができる。測定値の組2a~2e、4a~4fのこの分割はいくつかの異なる方法で起こることができる。
【0031】
第1の例では、分割点は、2組の測定値間で起こる事象を識別することに基づいて決定されることができる。たとえば、事象は試料コンテナ(たとえば、キュベット)への試薬の添加であることができる。この試薬の添加は、試料の光学的性質を変化させることができ、そして次いで、(たとえば、
図1に図示されるグループAに見られることができる)非定常信号変化に至ることができる試料コンテナにおける反応を開始することができる。一例では、自動試料マニピュレータ(たとえば、ピペッタ)が試料容器に試薬を添加することができる。
【0032】
他の例では、所定の事象は、試料を含む試料コンテナとの自動分析器の試料コンテナマニピュレータ(たとえば、キュベットグリッパ)の他の相互作用であることができる。たとえば、自動試料マニピュレータ(たとえば、ピペッタ)が試料容器から物質を取り出すことができる。なお他の例では、試料を含むコンテナが異なる組の測定値間で移動又は運搬されてもよい。たとえば、試料容器が第1の位置から分析器における第2の位置(たとえば、試薬が添加される位置又は保温位置)に移動されても、そして続いて第1の位置又は異なる測定位置に戻されてもよい。これら及び他の種類の動作が本明細書に記載される背景シフトをもたらすことがある。
【0033】
他の例では、所定の事象は、自動分析器によって実施される動作(たとえば、分析器の可動部の移動、たとえば、分析器の扉の開放又は閉鎖)であることができる。なお他の例では、所定の事象は、(たとえば、分析器に含まれるもしくは分析器に接続されるセンサによって検出される)分析器の周囲条件の変化、又は光学測定を行う測定装置の調節であることができる。
【0034】
上記された事象の発生は、たとえば、それぞれのセンサをサンプリングすることに基づいて分析器によって検出されることができる。他の例では、事象の発生は、分析器の制御待ち行列を監視することによって検出されることができる。たとえば、分析器は、分析器の制御待ち行列におけるそれぞれの命令を識別することによって、容器に試薬が投入されるはずであることを検出することができる。
【0035】
第2の例では、第1及び第2のグループ(「グループA」及び「グループB」)間の境界を形成する時点は、測定データの1つ又は複数の特性の変化に基づいて決定されることができる。
【0036】
たとえば、第1及び/又は第2のチャネルでの測定値の移動平均が(たとえば、所定の閾値を超えることによって)ある時点で変化する可能性がある。他の例では、第1及び/又は第2のチャネルでの後続の測定値間の差が(たとえば、所定の閾値を超えることによって)ある時点で変化する可能性がある。なお他の例では、第1及び/又は第2のチャネルでの測定値の標準偏差の値(又は測定値の分散を特性化する他のパラメータ)がある時点で変化する可能性がある。これらの例では、第1及び第2のグループ(「グループA」及び「グループB」)の測定値の組間の境界は、測定データ自体を分析することによって決定されることができる。いくつかの例では、測定データの変化が、前項で論じられた事象の1つの発生を示す可能性がある。
【0037】
前例では、第1及び第2のグループ(「グループB」及び「グループA」)の測定値の組間の境界は、トリガ事象の直接又は間接判定に基づいて決定される。すべてのこれらのトリガ事象は、それらが背景シフトが発生する可能性がある時点を表すことがある点で共通している。この時点は、第1及び第2のグループ(「グループA」及び「グループB」)に帰属する測定値の組間の境界を表し、そしてしたがって測定値の組を第1及び第2のグループに分割するために決定される。
【0038】
いくつかの例では、本開示の分析器は、背景シフトが発生する可能性がある時点を表すことができる事象の発生を求めて測定データを連続的に監視することができる。背景シフトが発生した可能性があるときはいつでも、本開示の分析器は、本開示に記載される背景シフト検出(及び潜在的にさらに補正)技術を行うことができる。
【0039】
測定値の組に対する監視ウィンドウは任意に選択されることができる。一例では、監視ウィンドウは、第1及び第2のグループの各々に少なくとも2組の測定値が含まれるように選択される(たとえば、少なくとも4組の測定値又は少なくとも10組の測定値)。測定値の組数は両グループで等しい必要はない。
図1の例では、第2のグループ(「グループA」)が6組の測定値4a~4fを含む一方で、第1のグループ(「グループB」)は5組の測定値2a~2eを含む。第1及び第2のグループにおける測定値の数が大きいほど、いくつかの例で背景シフト決定及び補正工程の精度を向上させる可能性がある。
【0040】
他の例では、背景シフト決定(及びおそらく補正)手順は分析器におけるデータ取得工程とは別々に起こる。たとえば、分析器は第1のステップで、本開示に記載される測定データを取得し、そして記憶装置での記憶のために測定データを送信してもよい。後続のデータ処理段階では、測定データは次いで本開示の技術を使用して処理されることができる。換言すれば、本明細書に記載される決定(及び補正)技術は(たとえば、結果の精度を向上させるために)事後に行われることもできる。
【0041】
上記されたように、本開示の技術は、どちらのグループの測定値がより高い信号変化を有するかを判定することを含む。このステップは以下の項でより詳細に論じられることになる。
【0042】
図1に見られることができるように、第2のグループ(「グループA」)における信号変化が第1のグループ(「グループB」)における信号変化より大きい。
図1の例では、第1のグループ(「グループB」)における測定信号は実質的に定常である(すなわち、測定値がそれぞれの測定環境に存在するランダムノイズにより変動するだけである)。第2のグループ(「グループA」)における測定信号は、他方で、非定常である(すなわち、測定値は試料光学的性質の系統的な時間変化により変動する)。換言すれば、第1のグループ(「グループB」)における測定信号が実質的に安定している一方で、第2のグループ(「グループA」)における測定信号は時間で変化する。
【0043】
たとえば、試料に試薬が添加された可能性があり、そして反応が進行中である一方で、第2のグループ(「グループA」)における測定値が取られる。この例では、反応が進行中である間、2つの波長λ1及びλ2での試料の吸収度が連続的に上昇(又は下降)する可能性がある。結果として、第2のグループ(「グループA」)の測定値は両チャネルで上昇する信号レベルを示す。第1のグループ(「グループB」)の測定値は、他方で、試薬が添加される前の比較的定常状態に試料がある可能性があるので、比較的安定した信号レベルを有する。
【0044】
たとえ
図1の例が第1のグループ(「グループB」)に対して無視できるほどの信号変化を示しても、これは、本開示の技術が適用されるすべての状況に対して事実である必要はない。いくつかの例では、両グループの測定値とも時間信号変化を呈する。たとえば、最初のグループの測定値は、試料に第1の試薬が添加された後に取られてもよい。次いで、第2の試薬が添加されてもよく、そして第2のグループの測定値が取られてもよい。
【0045】
信号変化の大きさの決定は以下の方法の1つで起こることができる。
一例では、第1又は第2のチャネルでの第1及び第2のグループにおける測定値の最大広がりが比較されることができる(たとえば、第1又は第2のチャネルでの測定値のより大きな広がり)。他の例では、第1及び第2のチャネルでの測定値の広がりの平均が計算及び比較されることができる。なお他の例では、第1及び第2のグループ(「グループA」及び「グループB」)における測定値の偏差又はばらつきの量に対する他の測度が利用されることができる(たとえば、標準偏差又は高次偏差)。異常値がいくつかの例で識別及び除外されてもよい。
【0046】
図1の図に戻ると、各組の測定値2a~2e、4a~4fが、第1の波長λ
1で取られる1つの測定値及び第2の波長λ
2で取られる1つの測定値を含むことが
図1に見られることができる。
図1の例では、各組の両測定値は実質的に同時に取られる。しかしながら、他の例では、第1及び第2の組の測定値で2つの測定値間に所定の時間距離があることができる(たとえば、同じ波長での2つの後続の測定値間の時間距離の30%より小さい)。
【0047】
加えて、
図1の例(及びすべて後続の例)は、光学測定で決定される測定値として強度を使用する。しかしながら、本明細書に記載される技術は測定強度に限定されない。むしろ、いかなる適切な測定値も本明細書に記載される技術に使用されることができる。たとえば、測定は他の例で吸光度、透過率又は反射率測定を含んでもよい。
【0048】
測定値の組が第1及び第2のグループに分割され、そしてより大きな信号変化を有するグループの一方が選択された後に、第1及び第2のグループにおける測定値は背景シフトを決定するために処理されている。工程例が
図2及び
図3に関連して続いて論じられることになる。
【0049】
より大きな信号変化を有する第2のグループ(「グループA」)の第1及び第2のチャネルでの測定値は第1のステップで処理される。第2のグループ(「グループA」)の第1及び第2のチャネルでの測定値間の関係が求められる。
【0050】
一例では、
図2に見られることができるように、これは、第1及び第2のチャネルでの(たとえば、第1及び第2の波長での)測定値間の線形相関10を求めることを含むことができる。
図2では、描かれたグラフにおける各データ点3は、
図1に図示される第2のグループ(「グループA」)における1組の測定値4a~4fを表す(
図2が略図であり、かつ
図1に図示される値の真の表現でない可能性があることに留意されたい)。第2の波長Int
2での測定の強度(又はいずれかの他の測定値)が横座標に示される一方で、第1の波長Int
1での強度(又はいずれかの他の測定値)は縦座標に示される。したがって、
図2の図は第1及び第2の波長での測定値の相関度を例示する。他の例では、相関は逆に計算されることができる(後続のステップはそれに応じて変更されなければならないかもしれない)。
【0051】
図2に見られることができるように、線形相関度は例では比較的高い。相関関数に基づいて、相関関数の第1の軸切片bA及び傾きmが求められることができる。これらの2つのパラメータは光学測定信号の背景ドリフトを決定するために使用されることができる。他の例では、傾きm以外のいかなる他の適切な比例定数も使用されることができる。
【0052】
図2の例では、測定信号は比較的強い線形相関を呈する。これは、第2のグループ(「グループA」)における2つの波長での測定の強度を符号化するデータ点3の近くを延びる線5を相関関数が定義することができることを意味する。一例では、分析器は、2組の試料間の線形相関度を求める線形回帰技術又はいずれかの他の技術を使用することによって相関関数の第1の軸切片bA及び傾きmを求めることができる。この例では、傾きmは、第1のチャネルの信号レベルが所与の量Δ
1だけ変化するときに第2のチャネルの信号レベルが変化する量Δ
2を示す。第1の軸切片bAは、第1の波長Int
1での強度がゼロであるときに第2のチャネルで仮定的に測定される強度である。第1及び第2のチャネルでの測定値間の線形相関は、第1及び第2のチャネル間の間隔が比較的狭い(たとえば、50nmより小さい)状況で見つけられる可能性がある。
【0053】
しかしながら、他の例では、第1及び第2のチャネルでの(たとえば、第1及び第2の波長での)測定値間の相関は非線形でもよい。これらの場合、分析器はそれでも相関パラメータ及び第1の軸切片を求めることができる。たとえば、分析器は(たとえば、非線形回帰技術によって)非線形相関関数を求めてもよい。この非線形相関関数に基づいて、(いくつかの例では測定信号レベルの関数であることができる)第1の軸切片及び傾きが求められることができる。
【0054】
その上、たとえ
図2における図が第1及び第2のチャネルでの測定値間の正相関を図示しても、相関は他の例では負でもよい。本開示の技術はこれらの状況に等しく適用されることができる。
【0055】
第1の軸切片bA及び傾きmが求められた後、工程は、
図3に図示されるように第1のグループ(「グループB」)における測定値を処理することを続けることができる。
第1の作用では、第2のチャネルでの(たとえば、第2の波長λ
2で取られる)第1のグループにおける測定値及び第1のチャネルで(たとえば、第1の波長λ
1で)取られる第1のグループにおける測定値が、前ステップで第2のグループ(「グループA」)における測定値に基づいて求められた関係(たとえば、第2のグループにおける測定値間の相関)を使用することによって比較されることができる。
【0056】
一例では、これは、第1及び第2のチャネルでの信号レベル間の関係を決定する傾きmを使用することを含むことができる。たとえば、第1のチャネルで(たとえば、第1の波長λ
1で)取られる第1のグループにおける測定値が傾きを乗算され、そして第2のチャネルで(たとえば、第2の波長λ
2で)取られる第1のグループにおける測定値から減算されることができる。これは第2の軸切片を与えることができる。
図2に図示されるように、第2の軸切片は:
bB=Int
2-m*Int
1(式1)
として計算されることができる。
【0057】
加えて、いくつかの例では、第2の軸切片を求めることは、第1のグループ(「グループB」)における複数組の測定値2にわたって平均することを含むことができる。たとえば、第1のチャネルでの測定値が平均されることができ、そして第2のチャネルでの測定値が平均されることができる。次いで、第1及び第2のチャネルでの測定値に対する平均値に基づいて第2の軸切片bBavgが計算されることができる。他の例では、各組がまず傾きmを使用することによって処理されることができ、そして結果としての差がさらなるステップで平均されて第2の軸切片bBavgを得ることができる。
【0058】
他の例では、第1のグループ(「グループB」)における単一組の測定値が処理されて第2の軸切片bBsを求めることができる。たとえば、第2の軸切片bBsは、第1の組の測定値2に対してのみ上記式1を使用することによって求められることができる。
【0059】
しかしながら、第2の軸切片を計算するために使用される組数が大きいほど、いくつかの例で推定及び補正工程の精度を改善する可能性がある。特に、いくつかの例では、本開示の技術を使用することによって決定される背景シフトの変動はかなり小さくなることができ、そのため第1のグループ(「グループB」)における測定値を平均することが望ましい。
【0060】
第1及び第2の軸切片bA及びbBを求めるために利用される厳密な技術に関係なく、第1及び第2の軸切片bA及びbBは、第1又は第2のグループの測定値間で背景シフトが生じたか否か(たとえば、上論された事象の1つによって引き起こされる)を判定するために使用されることができる。第1及び第2の軸切片bA及びbBはしたがって、本明細書に記載される第1及び第2の背景信号の例である。この作用は後続の節でより詳細に論じられることになる。
【0061】
一例では、第1及び第2の軸切片bB、bAは、第1及び第2のグループの測定値間で背景シフトが生じた可能性があるかどうかを推定するために比較されることができる。
たとえば、第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の閾値より大きい分だけ離れるかどうかが決定されることができる。所定の閾値は、絶対閾値とすることができる、又はそれは測定値の信号レベルに応じた相対閾値とすることができる。第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の閾値より大きいだけ異ならなければ、第1及び第2のグループの測定値間でいかなる背景シフトも生じなかったと想定されることができる。したがって、第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の閾値より大きいだけ異なれば、第1及び第2のグループの測定値間で背景シフトが生じたと想定されることができる。
【0062】
一例では、第1及び第2の軸切片bB、bAが実質的に等しい(たとえば、5%より小さいだけ又は2%より小さいだけ離れている)かどうかが判定されることができる。これが事実であれば、いかなる背景シフトも生じなかったと想定されることができる。これが事実でなければ、他方で、背景シフトが生じたと想定されることができる。
【0063】
他の例では、第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の基準を満たすかどうかが確認されることができる。たとえば、第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の関係を有すると想定される(たとえば、測定構成に基づいて、第1の背景パラメータが第2の背景パラメータの二倍の大きさであると想定されることができる)。次いで、第1及び第2の軸切片bB、bAに対する求められた値がこの想定された関係に従うかどうかが確認されることができる。これが事実である(たとえば、第1及び第2の軸切片bB、bA間の関係が所定の値より小さいだけ想定された関係から離れる)とすれば、いかなる追加の背景シフトも生じなかったと想定されることができる。これが事実でなければ、他方で、追加の背景シフトが生じたと想定されることができる。
【0064】
要約すると、本開示の技術は、測定信号の動的変化を使用して、背景シフトが所定の時点で発生したかどうかを判定することを含んでもよい。一例では、動的変化値が線形回帰技術によって分析されて、第1及び第2のチャネルでの測定値間の関係を求めることができる。この知識が次いで使用されて、変化を示す測定値のグループに対しての他に実質的に定常測定値をもつ測定値のグループに対して背景信号を抽出することができる。2つの背景信号の比較が、背景信号変化が生じたか否かの評価を可能にすることができる。
【0065】
このように、本開示の技術を使用することによって、背景シフトが検出されることができる。当然、背景シフト検出技術は、いくつかの例で100%は信頼できない可能性がある。たとえいかなる実際の背景シフトも生じなかったとしても、他の要因により、第1及び第2の軸切片bB、bAが所定の量より大きいだけ異なる、又は一定の基準を満たさない状況に至ることが事実である可能性がある。
【0066】
第1及び第2の軸切片bB、bAに基づいて、背景シフトが生じたという判定が一旦なされると、この情報は分析器において異なる方法で使用されることができる。これらの作用の態様が次に論じられることになる。
【0067】
一例では、背景シフトが生じたことを検出することに応じて、警告メッセージが生成されてもよい。この警告メッセージは(たとえば、分析器自体の、又は分析器とネットワーク接続される他の装置の)ユーザインタフェースでユーザに出力されることができる。警告に応答して、ユーザは、何をすべきか(たとえば、分析工程を停止し、そして背景シフトを引き起こした問題を解決すること)を決定してもよい。
【0068】
加えて又は代替的に、警告メッセージは分析器で内部処理されてもよい。たとえば、自動分析器は1つ又は複数の所定の動作を行って、背景シフトを引き起こした問題を解決してもよい。たとえば、分析器は、試料コンテナを再位置決めすること、試料コンテナを洗浄すること、試料コンテナを交換すること、分析器の異なる測定チャネルに切り替えること、又は分析器の測定チャネルを再較正することを含むステップの1つ又は複数を行うように構成されることができる。
【0069】
加えて又は代替的に、これらの測定値がおそらく背景シフトを含むことをユーザに通知するために、背景シフトに関する情報が測定データセットに付加されることができる。測定値が使用及び処理される方法に依存して、この情報は、測定データを評価するときに後の時点で考慮されることができる。
【0070】
なお他の例では、自動分析器は、背景シフトに左右される測定値を破棄し、そして測定を再実行してもよい。たとえば、分析器は、新たな試料及び/又は新たな試料コンテナを使用し、そして測定を再実行してもよい。その上、上論されたように、分析器は、背景シフトの原因を自動的に識別し、背景シフトの原因に対処し、そして測定を再実行してもよい。
【0071】
警告メッセージを生成することに加えて又は代替的に、分析器は、背景シフトが生じたことを検出した後に測定データを補正するように構成されることができる。この工程は後続の節でより詳細に論じられることになる。
【0072】
一例では、背景シフトは、第1及び第2の軸切片bB、bA及び傾きm(たとえば、又は第1及び第2のチャネルでの測定値間の関係を示すいずれかの他のパラメータ)に基づいて定量化されることができる。いくつかの例では、波長依存背景シフトが決定されることができる(すなわち、第1及び第2の測定チャネルでの第1及び第2の波長λ1、λ2での測定値に対して異なる値を有するであろう背景シフト)。たとえば、試料容器の前面が試料コンテナの操作作用の結果として測定装置の光経路と比較して傾けられる状況で、波長依存背景シフトが予想されることができる。他の例では、試料コンテナ又は測定装置の汚染が波長依存背景シフトという結果になる可能性がある。
【0073】
他の例では、波長依存背景シフトは、第1及び第2の軸切片bB、bA、傾きm(たとえば、又は第1及び第2のチャネルでの測定値間の関係を示すいずれかの他のパラメータ)及び(本開示で「f」として示される)2つの波長チャネルでの背景シフト間の想定される比率に基づいて決定されることができる。
【0074】
想定される比率は、2つのチャネルでの(たとえば、2つの波長λ1、λ2での)背景シフトの比率についての事前知識に基づいて求められることができる。一例では、2つの背景シフト間の想定される比率は1であることができる(すなわち、両チャネルで同じ背景シフトが想定される)。他の例では、2つの背景シフト間の想定される比率は1より大きく又は小さくなることができる。
【0075】
したがって、第1のチャネルΔb1での及び第2のチャネルΔb2での波長依存背景シフトは:
Δb1=(bA-bB)/(f-m)、及び(式2)
Δb2=(bA-bB)/(1-m/f)(式3)
として計算されることができる。
【0076】
背景シフトを定量化するために使用される技術に関係なく、測定データは、いくつかの例で定量化された背景シフトを使用することによって補正されることができる。たとえば、
図1の例では、第2のグループ(「グループA」)における測定値から(波長依存である又はない可能性がある)背景シフトが減算されることができる。上記例では、第2のグループ(「グループA」)の第1のチャネルでの測定値は第1の背景シフトΔb
1によって(たとえば、各測定値から背景シフトを減算することによって)補正されることになり、そして第2のグループ(「グループA」)の第2のチャネルでの測定値は第2の背景シフトΔb
2によって(たとえば、各測定値から背景シフトを減算することによって)補正されることになる。
【0077】
このように、測定データの精度はいくつかの例で改善されることができる。特に、波長依存背景シフトに対処する際の2色補正技術の不備がいくつかの例で対応されることができる。
【0078】
上論されたいくつかの例では、背景シフト推定及び補正方法は分析器の実行時中に起こることができる。しかしながら、他の例では、本開示の技術は(それらが必ずしも分析器の実行時中に、たとえば、分析器の動作が背景シフト推定に応じて変更されるときに行われなければならないわけではない限り)測定データに対して後の時間に行われることもできる。一例では、背景シフト推定及び補正方法は、分析器によって取られた測定データを処理するデータ処理装置で起こることができる。
【0079】
本開示の背景シフト推定及び補正技術の異なる態様が
図1~
図3に関連して論じられた後、背景シフト検出モジュールを有する自動分析器が
図4及び
図5に関連して次に論じられることになる。
【0080】
概して、背景シフト検出モジュールは、本開示の背景シフト推定、決定及び補正技術のいずれかを実施するように構成されることができる。いくつかの例では、背景シフト検出モジュールは分析器でのローカルモジュールであることができる。他の例では、背景シフト検出モジュールはネットワークを通じて分析器に結合されることができる。これらの例では、背景シフト検出モジュールは他の装置の一部である、又は異なる装置にわたって分散さえされることができる。したがって、背景シフト検出モジュールは、本開示の背景シフト決定及び補正技術を実施するように構成される専用装置である必要はない。むしろ、背景シフト検出モジュールのタスクは、いかなる適切なコンピューティングシステム(たとえば、自動分析器のコントローラ又は自動分析器とネットワーク接続されるコンピュータシステム)によっても行われることができる。
【0081】
そうは言っても、
図4~
図6は、背景シフト検出モジュール付きの自動分析器例を例示する。
図4は、複数の測定位置3a、…3n、複数の測定位置3a、…3nから信号を受信するように構成される検出器7及び異なる測定位置3a、…3nの測定データを処理するように、かつ本開示の背景シフト検出、決定及び/又は補正技術のいずれか1つを行うように構成されるコントローラ(
図4には図示されない)を含む、試料用の光学測定装置の略図を図示する。したがって、分析器のコントローラは背景シフト検出モジュールとして動作する。
【0082】
図4の例では、各測定位置3a、…3nは、光学測定装置の光源1からそれぞれの測定チャネルで分析されることになる生体試料の試料コンテナ6に光を案内するためのそれぞれの光ファイバ2を含む。加えて、検出器7は、各測定位置3a、…3nに対して1つずつ、複数の専用検出器を含む。その上、各測定位置3a、…3nは、測定位置3a、…3nのそれぞれのファイバ2を励起する光をそれぞれの測定領域に向けて案内するように適合される第1の光学部品が搭載される。さらには、各光学測定位置3a、…3nは、測定チャネルのそれぞれの測定領域から発散する光を集光し、そして集光した光をそれぞれの検出器7に向けて案内するように適合される第2の光学部品を含む。
図4に見られることができるように、測定位置3a、…3nは透過的に作用する(たとえば、測定位置3a、…3nは、それぞれの測定位置3a、…3nに配置される試料コンテナ6に含まれている試料を光が通過することができるように配置及び構成される)。分析器は、各測定位置3b、…3nで(又は少なくともこれらの位置の部分集合で)第1及び第2のチャネルでの測定が(たとえば、異なる波長で)起こることができるように構成されることができる。他の例では、第1及び第2のチャネルでの測定が異なる測定位置3b、…3nで起こってもよい。
【0083】
図4では、前項で論じられた、光学測定装置の特定の構成が例示される。一例では、光学測定装置は透過的に作用する光度計である。
図5及び
図6は、(いくつかの例で凝固分析器であることができる)管内診断分析のためのシステム100の例の異なる図を示す。システム100は、異なる凝固試験を行う試薬を保持するための試薬保持ユニット110を備える。試薬ユニット110は密閉かつ強化保管区画として具象化され、分注ノズルが区画に進入して一定量の試薬を取り出すためのアクセスホール111を備える。システム100は試料ラックトレイユニット122をさらに備え、これは試料ラック121を試料装填/取出ユニット120へ/から装填する/取り出すための試料装填/取出ユニット120にモジュールとして機能的に結合される。システムは中央容器処理領域130’をさらに備える。容器処理領域130’は第1の直線静的容器ホルダ140及び第2の直線静的容器ホルダ140’を備え、静的容器ホルダ140、140’は各々(たとえば、生体試料が保温されつつ、又は生体試料に光学測定が行われつつ)生体試料を含む容器を保持するための複数の容器配置位置6、8、6’、8’を備える。容器処理領域130’は、静的容器ホルダ140に容器を一つずつ送るための容器入力ステーション150をさらに備える。容器処理領域130’は、それぞれの静的容器ホルダ140、140’に対して直線的に並進可能であり、かつそれぞれの静的容器ホルダ140、140’に機能的に結合されて、静的容器ホルダ140の容器配置位置6、8間で容器を移送する第1及び第2の可動容器ワークステーション160、160’をさらに備える。
【0084】
システム100は、各々複数の分注装置を備える2つのそれぞれの水平アームに並進可能に取り付けられる2つのピペットヘッド(
図5又は
図6には図示されない)をさらに備える。システム100は、可動容器ワークステーションの、ピペットヘッドの、及び分注装置の動作を含む多数のスケジュールされた工程動作の実行を制御するようにプログラムされるコントローラをさらに備える。
【0085】
自動分析器における容器の操作中に、本明細書で論じられる背景シフトに至る異なる事象が発生する可能性があることが見うけられる。たとえば、容器が、保温ステーションに移動された後に複数の容器配置位置6、8、6’、8’の1つに適切に置かれないかもしれない。この状況で、自動分析器のコントローラが、背景シフトが生じたことを検出すること(そして、いくつかの例で、本開示で論じられるように定量化された推定背景シフトに基づいて測定値を補正すること)ができる。
【0086】
上記詳細な説明では、光学測定信号の背景シフトを推定するための方法及び背景シフト推定モジュールを含む分析器の複数の例が論じられた。しかしながら、光学測定信号の背景シフトを推定するための方法及び背景シフト推定モジュールを含む分析器は、以下の態様に定められるように構成されることもできる。
【0087】
1. 試料用の分析器の光学測定信号に含まれる背景シフトを決定するための方法であって、
異なる時点で試料用の分析器によって取られる複数組の試料の光学測定値を得るステップであり、
各組が、第1のチャネルで取られる少なくとも1つの測定値及び第1のチャネルと異なる第2のチャネルで取られる他の測定値を含み、
複数組の光学測定値が1つのグループの組(A)及び他のグループの組(B)を含み、
1つのグループの組(A)における測定値が他のグループの組(B)における測定値とは異なる期間中に取られ、
1つのグループの組(A)における測定値が他のグループ(B)における測定値より高い信号変化を示すステップと、
1つのグループ(A)における第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第1の背景信号を決定するステップと、
1つのグループ(A)及び他のグループ(B)における第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第2の背景信号を決定するステップと、
第1及び第2の背景信号に基づいて背景シフトを決定するステップとを含む方法。
【0088】
2. 決定された背景シフトに基づいて1つ又は他のグループ(A、B)における測定値を補正するステップをさらに含む、態様1の方法。
3. 背景シフトが閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
計算された背景シフトが閾値を超える場合だけ1つ又は他のグループ(A、B)における測定値を補正するステップとをさらに含む、態様2の方法。
【0089】
4. 決定された背景シフトを示す出力を提供するステップをさらに含む、態様1から3のいずれか1つの方法。
5. 背景シフトが閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
計算された背景シフトが閾値を超える場合だけ決定された背景シフトを示す出力信号を提供するステップとをさらに含む、態様3の方法。
【0090】
6. 閾値が絶対閾値、又は第1もしくは第2のチャネルでの1つもしくは複数の測定値の信号レベルに基づいて求められる相対閾値である、態様3又は5の方法。
7. 第2の背景信号を決定するステップが、1つのグループ(A)における測定値に基づいて求められる第1及び第2のチャネルでの測定値間の比例定数を使用することを含む、態様1から6のいずれか1つの方法。
【0091】
8. 測定値の関係に基づいて第1の背景信号を決定するステップが、1つのグループ(A)の第1及び第2のチャネルでの測定値間の関係の切片及び傾きを計算することを含む、態様1から7のいずれか1つの方法。
【0092】
9. 測定値の関係に基づいて第1の背景信号を決定するステップが、1つのグループ(A)の第1及び第2のチャネルでの測定値間の相関を求めることを含み、任意選択で相関が線形相関である、態様1から8のいずれか1つの方法。
【0093】
10. 1つのグループ(A)及び他のグループ(B)における第1及び第2のチャネルでの測定値の関係に基づいて第2の背景信号を決定するステップが、第1及び第2のチャネルでの測定値の比率を使用することを含む、態様1から9のいずれか1つの方法。
【0094】
11. 第2の背景信号を決定するステップが、他のグループ(B)の第1のチャネルでの測定値を平均すること、又は他のグループ(B)の第2のチャネルでの測定値を平均することを含む、態様1から10のいずれか1つの方法。
【0095】
12. 第2の背景信号を決定するステップが、他のグループ(B)の第1のチャネルでの測定値及び他のグループ(B)の第2のチャネルでの測定値を併用することを含み、第1又は第2のチャネルでの測定値の1つが第1の背景信号に基づいて調整される、態様1から11のいずれか1つの方法。
【0096】
13. 他のグループの組(B)における測定値が定常である、態様1から12のいずれか1つの方法。
14. 所定の事象が1つ及び他のグループの組(A、B)における最終組の測定値間で起こることを識別することに基づいて、複数組の光学測定値を1つ及び他のグループの組(A、B)に分割するステップをさらに含む、態様1から13のいずれか1つの方法。
【0097】
15. 所定の事象が、測定されている試料への試薬の添加を含む、態様14の方法。
16. 所定の事象が、試料の操作もしくは移動、試料を含む受口の操作もしくは移動、光学測定を行う測定装置の調節、試料への試薬の添加、又は周囲条件の変化の1つ又は複数を含む、態様14の方法。
【0098】
17. 1つ及び他のグループの組(A、B)における測定値の組が少なくとも1つの異なる特性を有することを識別することに基づいて、複数組の光学測定値を1つ及び他のグループの組(A、B)に分割するステップをさらに含む、態様1から13のいずれか1つの方法。
【0099】
18. 第1及び第2のチャネルでの測定が異なる波長での測定チャネルを含む、態様1から17のいずれか1つの方法。
19. 第1及び第2のチャネルの中心波長が50nmより小さいだけ離間される、態様18の方法。
【0100】
20. 分析器のコントローラによって実行されると、分析器に態様1から19のいずれか1つの方法の作用を実施することを促す命令を有するコンピュータ可読媒体。
21. 自動試料分析器であって、
試料の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成される光学測定装置であり、少なくとも第1のチャネル及び第1のチャネルと異なる第2のチャネルでパラメータを測定するように構成される光学測定装置と、
分析器に態様1から19のいずれか1つの方法の作用を実施することを促すように構成される背景シフト検出モジュールとを備える自動試料分析器。
【0101】
22.背景シフト検出モジュールが光学測定装置から離れて存在する、態様21の分析器。
23. 背景シフト検出モジュールが、光学測定装置とネットワーク接続される1つ又は複数の遠隔コンピュータ装置に存在する、態様21の分析器。
【0102】
24. 光学測定装置が試料の吸収度、反射率及び/又は透過率を決定するように構成される、態様21から23のいずれか1つの分析器。
25. 光学測定装置が光度計を含む、態様24の分析器。
【0103】
26. 分析器が臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、血液学分析器又は核酸分析器である、態様21から25のいずれか1つの分析器。
さらに開示及び提案されるのは、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワークで実行されると、本明細書に包含される実施形態の1つ又は複数で本発明に係る方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムである。詳細には、コンピュータプログラムはコンピュータ可読データキャリアに記憶されてもよい。したがって、詳細には、本明細書に開示される方法ステップの1つ、2つ以上又はすべてさえ、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって行われてもよい。
【0104】
さらに開示及び提案されるのは、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワークで実行されると、本明細書に包含される実施形態の1つ又は複数で本発明に係る方法を行うために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。詳細には、プログラムコード手段はコンピュータ可読データキャリアに記憶されてもよい。
【0105】
さらに開示及び提案されるのは、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ又はメインメモリへなど、コンピュータ又はコンピュータネットワークへのロード後に、本明細書に開示される実施形態の1つ又は複数に係る方法を実行してもよいデータ構造が記憶されたデータキャリアである。
【0106】
さらに開示及び提案されるのは、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワークで実行されると、本明細書に開示される実施形態の1つ又は複数に係る方法を行うために、プログラムコード手段が機械可読キャリアに記憶されたコンピュータプログラム製品である。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は一般に、紙形式でなど、任意の形式で、又はコンピュータ可読データキャリアに存在してもよい。詳細には、コンピュータプログラム製品はデータネットワークを通じて流通されてもよい。
【0107】
さらに開示及び提案されるのは、本明細書に開示される実施形態の1つ又は複数に係る方法を行うために、コンピュータシステム又はコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0108】
本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態の1つ又は複数に係る方法の方法ステップの1つもしくは複数又は方法ステップのすべてさえ、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって行われてもよい。したがって、一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって行われてもよい。一般に、これらの方法ステップは、典型的に、試料を提供すること及び/又は測定を行う一定の態様など、手作業を必要とする方法ステップを除いて、方法ステップのいずれも含んでもよい。
【0109】
さらに開示及び提案されるのは、少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータ又はコンピュータネットワークであり、プロセッサは本説明に記載される実施形態の1つに係る方法を行うように適合される。
【0110】
さらに開示及び提案されるのは、データ構造がコンピュータで実行されつつ、本説明に記載される実施形態の1つに係る方法を行うように適合されるコンピュータロード可能データ構造である。
【0111】
さらに開示及び提案されるのは記憶媒体であり、記憶媒体にデータ構造が記憶され、かつデータ構造は、コンピュータの、又はコンピュータネットワークの主及び/又は作業記憶領域へロードされた後に本説明に記載される実施形態の1つに係る方法を行うように適合される。
【符号の説明】
【0112】
1 光源
2 光ファイバ
2a~2e 光学測定値の組
3 データ点
3a~3n 測定位置
4a~4f 光学測定値の組
5 線
6 試料コンテナ
6、8 容器配置位置
6’、8’ 容器配置位置
7 検出器
10 線形相関
100 システム
110 試薬保持ユニット
111 アクセスホール
120 試料装填/取出ユニット
121 試料ラック
122 試料ラックトレイユニット
130’ 中央容器処理領域
140、140’ 直線静的容器ホルダ
150 容器入力ステーション
160、160’ 可動容器ワークステーション