(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】分解立体図の生成および表示に関するコンピュータで実行される方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20220722BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20220722BHJP
G06F 30/15 20200101ALI20220722BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220722BHJP
G06T 13/20 20110101ALI20220722BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/12
G06F30/15
G06T19/00 A
G06T13/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017191290
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-25
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500102435
【氏名又は名称】ダッソー システムズ
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ デルフィーノ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ダイデ
(72)【発明者】
【氏名】ジャックス ド シェレード ド モンブロン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ティキシアー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ-グザヴィエ ドルボー
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08452435(US,B1)
【文献】特開2003-076724(JP,A)
【文献】特開2006-277155(JP,A)
【文献】ALTARAWNEH,Ragaad,et al.,Poster:3DintEx-A Tool to Explore Interactively the Structural and Behavioral Aspects of System Models in 3D Environments,2014 IEEE Symposium on 3D User Interfaces(3DUI),米国,IEEE,2014年03月30日,pp.141-142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
G06T 19/00
G06T 13/20
G06F 3/04815
G06F 3/04845
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の組み立て品(A)の三次元モデルの分解立体図を生成し表示するための、コンピュータにより実行される方法であって、前記三次元モデルは、複数の階層レベルを含む階層構造を有し、前記組み立て品の各部品(P11-P30)もしくは部品の集合(SA1、SA2;01、02、03)は1つの階層レベルに関連づけられ、前記階層構造の最も高い階層レベルは前記組み立て品の全体に対応しており、前記方法は、
a)三次元シーンにおいて前記組み立て品の非分解立体図を表示するステップと、
b)前記組み立て品についての前記階層構造の前記階層レベルと、各階層レベルについて、分解率(explosion ratio)とを表現するグラフィカルツール(GT)を表示するステップと、
c)前記組み立て品の前記階層構造における階層レベルおよび分解率(explosion ratio)を選択するためのユーザ入力を受け取り、前記選択された階層レベルおよび前記分解率(explosion ratio)を表示するために前記グラフィカルツールを使用するステップと、
d)前記組み立て品の分解立体図を表示するステップであり、
前記選択された階層レベルよりも高い階層レベルに関連づけられている
全ての部品の集合は分解されるが、前記選択された階層レベルまたはそれよりも低い階層レベルに関連づけられている部品の集合は分解されず、
前記選択された階層レベルに関連づけられている部品または部品の集合は、予め決められた方向にしたがって、前記選択された分解率(explosion ratio)についての成長関数(growing function)である距離だけ初期位置から移動され、
高い階層レベルに関連づけられている部品は、当該階層レベルに対する最大の分解率(explosion ratio)に対応する距離だけ移動される、
表示するステップと、
を含
み、
前記グラフィカルツールは、複数の区分(S1-S3)を含むスライダを有し、各区分は前記階層構造の階層レベルに関連づけられ、かつ区分内における各位置は、分解率(explosion ratio)に関連づけられていることを特徴とするコンピュータにより実行される方法。
【請求項2】
前記ステップc)において受け取る前記ユーザ入力は、前記グラフィカルツールの上での操作により、前記ユーザにより与えられることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項3】
前記ステップd)の後に実行される、以下のステップ
e)前記分解立体図において部品または部品の集合(01)を選択するためのユーザ入力を受け取るステップと、前記選択された階層レベルまたはそれより高い階層レベルに関連づけられた、三次元シーンの中において前記部品または前記部品の集合を動かすためのステップをさらに含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項4】
前記ステップd)の後に実行される、以下のステップ
f)前記分解立体図において部品の集合(01)を選択するためのユーザ入力を受け取るステップと、
g)前記選択された部品の集合を前記組み立て品として扱い、前記ステップa)から前記ステップd)まで実行するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1
ないし3のいずれか1つに記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項5】
部品の組み立て品についての三次元モデルの前記階層構造を、2個ないし10個の階層レベルを含むように、単純化するための予備的なステップをさらに含むことを特徴とする請求項1
ないし4のいずれか1つに記載のコンピュータにより実行される方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1
ないし5のいずれか1つに記載の方法を実行させるための命令を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求
項6記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体(M1-M4)。
【請求項8】
メモリ(M1-M4)およびグラフィカルユーザインタフェース(KB、PD、DC、DY)に結合されたプロセッサ(P)を備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、前記プロセッサに、請求項1
ないし5のいずれか1つに記載の方法を実行させるコンピュータ実行可能命令(EXP)を格納したことを特徴とするコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の組み立て品についての三次元モデルの分解立体図の生成および表示をする、コンピュータで実行可能な方法に関する。本発明は、コンピュータグラフィックスの分野に適用され、特に、三次元(3D)内容の視覚化における分野に対して、より適用される。本発明は、特に、コンピュータ援用設計(CAD)によって生成された3Dモデルの視覚化および調査を可能とすることに適するものである。また、本発明は、視覚表現を目的として分解立体図の生成をすることを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
分解立体図は、組み立て品における部品の関係性や取り付け順序を示し、隠れた部品を見えるようにするのに役立つものである。分解立体図において、組み立て品の部品は、あたかも組み立て品の内側からの分解により間隔を拡げられたように、互いに分離しており、周囲の空間中に浮遊している。
【0003】
多くのグラフィカルソフトウェアツールは、分解立体図を生成し、表示することが可能である。大抵の場合、このとき、分解させる複数の部分組み立て品の手動選択と、異なる部品に対する変位方向および個々の部品が初期位置から移動した距離を表す分解率(explosion ratio)との定義が必要となる。たとえば、
図1は、飛行機の星形エンジンAの部分分解図であり、ここで、シャフトとそれと関連したいくつかの構成要素とが、1つの軸方向に沿って分解している。これによれば、このエンジンの構造について、非常に部分的にしか理解することができない。仮に、放射状に指向したシリンダについても分解するのであれば、それらを手動で選択し、それらのそれぞれについて、変位方向と分解率(explosion ratio)を定義する必要があるだろう。結果的に、分解立体図の作成は、時間が掛かり、かつ扱いにくい操作となることが多い。さらに、逆の順序でそれらを反転する目的で、分解立体図を生成するために行われた種々の操作について、手動で追跡する必要があるために、分解された組み立て品を復元(collapse back)することは大変困難である。いくつかの理由により、分解操作(explosion operation)の再現性を確保するのは困難である。組み立て品が次第に分解していくようなアニメーションを作成すること(組み立て品の構造を理解するのに極めて役に立つ)も従来のツールを用いた場合、大変複雑である。
【0004】
本願出願人による「3DPlay」のような、いくつかのソフトウェアツールは、
図2に図示するように、組み立て品Aに含まれる全ての部品を同時に分解することが可能である。さらに、各部品が移動する方向は、予め決められている。ユーザは、たとえば、スライダSL(
図2の下部に現れている)を使用するなど分解率(explosion ratio)を設定するだけで良い。分解の再現性が確保され、組み立て品を復元(collapse back)すること、または漸進的分解(progressive explosion)を得ることが容易である。しかしながら、この取り組みもまた、重大な欠点を有している。まず第一に、いくつかの部分的な組み立て品は分解される一方で、その他は分解されないといった「部分的な」分解(explosions)をすることができない。つまり、「全部の」分解(explosions)のみを得ることができ、非常に込み入った表現の結果として、部品同士の取り付けの関係性を、理解することを困難にして隠してしまう。さらに、組み立て品の全ての部品について同時に分解(explosion)することは、コンピューティングリソースの見地から、非常に困難である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、少なくとも先行技術のこれら欠点のいくつかを克服することを目的としている。具体的には、部品の組み立て品についての部分的なまたは全体的な分解立体図を生成する方法を、ユーザにとって最小限の負荷で、かつコンピューティングリソースの効果的な使用で提供することを目的としている。また、分解した組み立て品を復元(collapse back)すること、かつ/または、漸進的分解(progressive explosion)を得ることを容易にし、かつ生成した分解立体図の再現性を確保することも目的としている。
【0006】
これら目的を達成するために、本発明は、分解される組み立て品の三次元モデルについて階層構造を利用する。実際、コンピュータ援用設計の分野において、組み立て品は、通例、ツリーを例とする階層的なデータ構造で表現されることがよく知られている。たとえば、
図3Aは、6個の部品(P11、P12、P21、P22、P23、P30)から構成される組み立て品Aのモデルについての階層構造を、非常に模式的に図示している。部品P11とP12とは、第一の部分組み立て品SA1に属しており、部品P21、P22、P23は第二の部分組み立て品SA2に属している。部品P30は、どの部分組み立て品にも属していない(その代わりに、P30は、それ自身により単一の部品による部分組み立て品を構成している、とも言える)。
図3Bは、ツリーグラフの形態で同じ階層構造を表現したものである。組み立て品A自身は、この構造における最も高い順位(ゼロ順位)の階層レベルである。部分組み立て品SA1、SA2およびP30は、第一の順位であって、部品P11、P12、P21、P22、P23は、第二の順位であって最も低い階層レベルである。
【0007】
本発明は、ユーザに階層的モデルの特定の階層レベルを選択させ、分解立体図を生成させるグラフィカルツールを使用するものであり、その際に、その選択された階層レベルよりも高い階層レベルの部分組み立て品は分解され、その間、選択された階層レベルに属するものが、基本部品として取り扱われる。たとえば、
図3Cは、階層-1の部分分解を図示したものであり、ここで、組み立て品Aは、その構成要素であるSA1、SA2、P30に分解されるが、それ以降は、さらには分解されない。階層2を選択すると、全体の分解が得られ、独立した基本部品P11-P30に分離される。グラフィカルツールは、分解率(explosion ratio)も、都合よく、選択することが可能である。
【0008】
本発明の対象は、部品の組み立て品の三次元モデルの分解立体図を生成し表示するための、コンピュータにより実行される方法であって、前記三次元モデルは、複数の階層レベルを含む階層構造を有し、前記組み立て品の各部分もしくは部品の集合は一の階層レベルに関連づけられ、前記階層構造の最も高い階層レベルは前記組み立て品の全体に対応しており、前記方法は、
a)三次元シーンにおいて前記組み立て品の非分解立体図を表示するステップと、
b)前記組み立て品についての前記階層構造の前記階層レベルと、各階層レベルについて、分解率(explosion ratio)とを表現するグラフィカルツールを表示するステップと、
c)前記組み立て品の前記階層構造における階層レベルおよび分解率(explosion ratio)を選択するためのユーザ入力を受け取り、前記選択された階層レベルおよび分解率(explosion ratio)を表示するために前記グラフィカルツールを使用するステップと、
d)前記組み立て品の分解立体図を表示するステップであり、ここで、前記選択された階層レベルよりも高い階層レベルに関連づけられている部品の集合は分解されるが、前記選択された階層レベルまたはそれよりも低い階層レベルに関連づけられている部品の集合は分解されない、表示するステップと、
を含むコンピュータにより実行される方法である。
【0009】
本発明の方法についての特定の実施態様によれば、
ステップd)において、前記選択された階層レベルに関連づけられている部品または部品の集合は、予め決められた方向にしたがって、前記選択された分解率(explosion ratio)についての成長関数(growing function)である距離だけ初期位置から移動され、一方、高い階層レベルに関連づけられている部品は、当該階層レベルに対する最大の分解率(explosion ratio)に対応する距離だけ移動される。
【0010】
前記ステップc)において受け取られる前記ユーザ入力は、前記グラフィカルツール上の操作により、前記ユーザにより与えられ得る。
【0011】
前記グラフィカルツールは、複数の区分を含むスライダを有し、各区分は前記階層構造の階層レベルに関連づけられ、かつ区分内における各位置は分解率(explosion ratio)に関連づけられ得る。
【0012】
本方法は、前記ステップd)の後に実行される、以下のステップ
e)前記分解立体図において部品または部品の集合(01)を選択するためのユーザ入力を受け取るステップと、前記選択されたまたはそれより高い階層レベルに関連づけられた、三次元シーンの中において前記部品または前記部品の集合を動かすためのステップとを、
をさらに含み得る。
【0013】
本方法は、前記ステップd)の後に実行される、以下のステップ
f)前記分解立体図において部品の集合(01)を選択するためのユーザ入力を受け取るステップと、
g)前記選択された部品の集合を前記組み立て品として扱い、前記ステップa)から前記ステップd)まで実行するステップと、
をさらに含み得る。
【0014】
本方法は、部品の組み立て品についての三次元モデルの前記階層構造を、2乃至10個の階層レベルを含むように、単純化するための予備的なステップをさらに含み得る。
【0015】
本発明のその他の対象は、不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体に記憶されるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータシステムにこのような方法を実行させるための、コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品である。
【0016】
本発明のその他の対象は、コンピュータシステムにこのような方法を実行させるための、コンピュータ実行可能命令を含む、不揮発性コンピュータ可読データ記憶媒体である。
【0017】
本発明のその他の対象は、メモリとグラフィカルユーザインタフェースとに結合されたプロセッサを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは前記コンピュータシステムにこのような方法を実行させるためのコンピュータ実行可能命令を格納している、コンピュータシステムである。
【0018】
本発明におけるさらなる特徴および有利な効果は、以下に続く明細書、それに添付される図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、上記のように、従来技術に関するものである。
【
図2】
図2は、上記のように、従来技術に関するものである。
【
図3A】
図3Aは、同様に上記のように、部品の組み立て品についてのモデルの階層構造を図示するものである。
【
図3B】
図3Bは、同様に上記のように、部品の組み立て品についてのモデルの階層構造を図示するものである。
【
図3C】
図3Cは、同様に上記のように、本発明による利用を図示するものである。
【
図4A】
図4Aは、飛行機の星形エンジンの三次元モデルの階層構造を図示するものである。
【
図4B】
図4Bは、飛行機の星形エンジンの三次元モデル階層構造を図示するものである。
【
図5】
図5は、本発明の実施態様において使用される複数区分スライダの形状によるグラフィカルツールを表したものであり、
図4A、
図4Bの組み立て品の階層構造と前記スライダとの間の関係を図示したものである。
【
図7】
図7は、
図5のグラフィカルツールの機能を図示したものである。
【
図8A】
図8Aは、
図5-7のグラフィカルツールを用いる本発明の実施形態に従い得られる
図4A、
図4Bの組み立て品の漸進的分解を示したものである。
【
図8B】
図8Bは、
図5-7のグラフィカルツールを用いる本発明の実施形態に従い得られる
図4A、
図4Bの組み立て品の漸進的分解を示したものである。
【
図8C】
図8Cは、
図5-7のグラフィカルツールを用いる本発明の実施形態に従い得られる
図4A、
図4Bの組み立て品の漸進的分解を示したものである。
【
図8D】
図8Dは、
図5-7のグラフィカルツールを用いる本発明の実施形態に従い得られる
図4A、
図4Bの組み立て品の漸進的分解を示したものである。
【
図9】
図9は、本発明によるさらなる有利な特徴を示すものである。
【
図12】
図12は、本発明によるさらなる有利な特徴を示すものである。
【
図13】
図13は、タッチスクリーンを用いた本発明についての代替の実施態様を示したものである。
【
図14】
図14は、本発明の別の実施態様において方法の実行に適しているそれぞれのコンピュータシステムのブロック図である。
【
図15】
図15は、本発明の別の実施態様において方法の実行に適しているそれぞれのコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これ以降、「三次元」(または「3D」)モデルは、コンピュータシステムにより、三次元(3D)描画表現が可能である物理的物体についてのデジタル表現である。3D表現は、全ての角度からその部品を可能とする。たとえば、3D表現された場合、3Dモデル化された物体は、操作され、その物体のいかなる軸の周りでも回転させ、3D表現が表示されているスクリーン上のいかなる軸の周りでも回転させることができる。三次元シーンは、三次元空間に配置された複数の3Dモデル化された物体によって構成されている。「組み立て品」は、幾何学的に接続される複数の構成要素すなわち「部品」により構成されるモデル化された物体である。組み立て品モデルは、複数の階層レベルを持つ階層構造を有することが可能で、その場合、いくつかの部品は、たとえば、より低い階層レベルの(より単純な)部品の集合のような部分組み立て品であり得る。
【0021】
図4Aは、部品Aの組み立て品であり、飛行機の星形エンジン(
図1を参照)を構成している。
図4Bは、その階層構造のツリー表現である。その構造の最上位(ゼロ順位)の階層レベルは、その組み立て品それ自身を含んでいる。第1階層は、3個の部分組み立て品「03」、「02」および「01」から構成されている。部分組み立て品「03」は、階層の隠されている内部の階層構造を有している。部分組み立て品「02」は、第3階層であって、最も低い階層レベルである基本部品「02_part1_geometry1」と「02_part1_geometry1」とにより構成される、2個の第2階層の部品を含む「02_part1」と、それ以上の部分構造を有しない「02_part2」とを含む。部分組み立て品「01」は、5個の2つの階層レベルの部品「01_P1」、「01_P2」、「01_P3」、「01_P4」、「01_P5」から構成されている。そのうちの「01_P1」は、8個の第3階層の部品「cyl_top」、「ventil」、「Shaft」、「cylinder」、「Weeble」(2倍)、「piston」、「Rod」から構成されている。
【0022】
時々、階層構造は、10個以上の階層レベルを有して、大変深くなる。このような場合、本発明の実施は、大変複雑になる恐れがあり、ユーザを困惑させる結果を招く。そのときには、構造を単純化することが推奨される。たとえば、ノードが単一の子を有しているとき、情報を欠損すること無く、その単一の子と併合させることが可能である。いくつかのその他の場合には、若干の情報の欠損を伴うとしても、モデルの複雑さを管理可能なレベルに維持するために、ノードを「人工的に」併合する必要がある。好ましくは、階層構造の階層レベルの数は、10を超えず、好ましくは6を超えないことである。
【0023】
図5は、階層的な分解(hierarchical decomposition)の仕組みを図示している。左から右に、
分解されていない組み立て品 A:
第1の階層の分解:ここで、第1の階層の部分組み立て品は、互いに分離される。
第2の階層の分解:ここで、第1の階層の部分組み立て品は、分解され、それらの第2順位の構成要素は、互いに分離され;そして、
第3の階層の分解:ここで、全ての部分組み立て品が、分解される。
【0024】
グラフィックツールGTは、組み立て品のどの順位が分解されているのかを表示するために三次元シーンに重ねて表示される。
図5乃至12における実施態様において、グラフィカルツールは、複数の区分S1-S3により構成され、分解されていない組み立て品に対応するゼロ順位の階層レベルを除き、階層構造の各階層レベルがそのひとつの区分であるスライダと、カーソルCRとの形式である。組み立て品の第1の順位の分解が表示されるとき、カーソルCRは、区分S1上またはその近傍に位置する。組み立て品の第2の順位の分解が表示されるとき、カーソルCRは、区分S2上またはその近傍に位置する。そして、組み立て品の第3の順位の分解が表示されるとき、カーソルCRは、区分S3上またはその近傍に位置する。さらに、
図5乃至12における実施態様において、各セグメント上のカーソルの位置は、分解率(explosion ratio)に関連している。たとえば、カーソルが、ある区分上において右側に位置するほど、組み立て品における構造のその階層レベルに対応する分解率(explosion ratio)(つまり部品との相対距離)は、より大きくなる。これは、
図7に図示されている。グラフィックツール(スライダ)における区分のテーパ形状は、記号的に、この分解率(explosion ratio)を表現するものである。もちろん、グラフィックツールは、他の適する形状、たとえば、回転するコントロールノブによる形状とすることもできる。
【0025】
グラフィカルツールは、分解が実行されている階層レベルやその分解率(explosion ratio)を示して、ユーザへのフィードバックを与えるためのみに使用されるのではなく、それらの階層レベルと分解率とを選択することにも使用されることが、好ましい。たとえば、
図6A、6Bに図示されるように、ポインタPT(たとえば、マウス、ジョイスティック、タッチパッド、またはトラックボールによって制御される)は、カーソルを移動させる(たとえば、ごくわずかな(またはゼロに等しい)分解率(explosion ratio)を有する第1の階層の部分分解に対応する区分S1における左から、分解率(explosion ratio)の最大値を有する完全な(第3の階層の)分解に対応する区分S3における右へ)ために使用することができる。このとき、組み立て品の三次元イメージは、選択された分解される階層レベルおよび分解率に従って、なめらかに進展していく。
【0026】
図8Aおよび8Dは、カーソルを左から右に徐々に移動させることにより得られる漸進的分解(progressive explosion)のスナップショットである。
図8Aは、初期(分解されていない)状態に対応している。カーソルが、スライダの区分S1上または上方で右に向かって移動を開始すると、第1の階層の部分組み立て品が、互いに離れるように移動を開始する(
図8B)。次いで、カーソルは、区分S2上または上方に到達する。:第1の階層の部分組み立て品は、互いに離れるように移動するのを中止する(それらの共通重心は、一定の相対位置を維持する)が、分解が開始し、次いでそれらの第2の階層の部分組み立て品が分離する(
図8C)。同様に、カーソルが区分S3上または上方に到達する時、第2階層の部分組み立て品は、互いに互いに離れるように移動するのを中止して、第3の順位の構成要素が抜き出され始める。
【0027】
漸進的分解(progressive explosion)を逆に行うことは、極めて簡単である:ユーザは、単にカーソルを左に向かって移動させるのみである。
【0028】
カーソルCRを移動させるために、ポインタPTを使用してカーソルをドラッグアンドドロップすることが可能である。より単純には、ある区分上をクリックすると(たとえば、
図9で図示されるように、区分S2の中)、カーソルは、その初期位置(たとえば、同様に
図9における区分S1の左)から、その中央に向かって移動をする(好ましくは、なめらかに、徐々に)。
【0029】
図10Aおよび10Bに図示されるように、異なる階層レベルにおける分解に関連して、ユーザは、3Dシーン内において、それをクリックしドラッグすることにより、構成要素を移動させるためにポインタPTを使用することができる。
図10Aの場合、グラフィックツールを用いて選択された階層レベルは、結果として第1の階層であり、もし、ポインタがシリンダ上に位置するならば、階層構造の第1の階層の構成要素に対応する星形シリンダブロック01の全体が選択され移動される。そのかわりに、
図10Bの場合では、「現在」の階層レベルは、第2の階層であり、したがって選択され移動されるのは、個別のシリンダ01_P4である。好ましくは、ある構成要素が移動された場合、ユーザが、再びグラフィカルツールと対話型操作を行うと直ちに、その構成要素は元の位置に素早く戻ることである。
【0030】
図11A-11Cに図示されるように、ユーザは、星形シリンダブロック01のような特定の部分組み立て品を、たとえば、ポインタPTを使用してその上でダブルクリックを行うことにより、選択することもできる(
図11A)。選択された構成要素は、そのとき画面の中央に配置され、一方、その他の構成要素は、影または「透かし(watermarks)として表現される(
図11B)。グラフィカルツールGTは、新たにGT’と置き換えられ、選択された構成要素の階層レベルのみを表現する。ユーザは、新しいグラフィカルツールGT’を使用して選択した構成要素を分解し、そのとき選択した構成要素の構造を細かく見ることができる(
図11C)。注目すべきは、新しいグラフィカルツールGT’は、元のグラフィカルツールよりも単純である必要が無い、ということである。実際、
図5に関して先に説明したように、グラフィカルツールGTの複雑さを管理可能な程度に維持するために、階層構造のいくつかのノード(と、それに対応する階層レベル)を併合することにより、組み立て品についての階層構造を単純化することが必要であろう。ある部分組み立て品のみが選択されたとき、おそらく、これらのノードは、併合されず、それに対応する階層レベルは、復元される。したがって、組み立て品全体を細かく見るよりも、離隔された部分組み立て品について見る方がより詳細に見ることが可能であろう。
【0031】
スライダの近傍に位置する「戻る(back)」ボタンBKは、前の表現へと戻すことが可能である(
図12)。
【0032】
図13は、本発明の代替の実施態様について言及しており、ここでグラフィカルツールGTは、選択された分解階層レベルおよび分解率を表示することのみに使用され、選択は、異なる方法により行われる。この実施態様において、3Dシーンは、タッチスクリーンに表示され、分解を命令するために、3本指で行うピンチジェスチャ(three-finger pinch gesture)が使用される。たとえば、指の接触点FCが、互いに離れるように移動するときは、分解率(explosion ratio)は、その最大値まで増大する。もし、接触点が外側へと移動する動作が継続する場合、次の階層レベルの分解が起動する等が生じる。
【0033】
本発明の方法は、好適にプログラムされた多目的のコンピュータ、またはコンピュータシステム、あるいはコンピュータネットワークを含み、ハードディスク、ソリッドステートディスクまたはCD-ROMのようなコンピュータ可読媒体上に不揮発性方式により適するプログラムを蓄積し、単一のまたは複数のそのマイクロプロセッサとメモリを使用して当該プログラムを実行することにより、実施が可能である。
【0034】
本発明の典型的な実施態様に従う方法を好適に実行可能なコンピュータは、
図14に関連して説明される。
図14において、コンピュータは、RAM M1、ROM M2、ハードディスクドライブ(HDD)M3、またはDVD/CDドライブM4のような記憶デバイスに蓄積され、または遠隔に蓄積された、たとえば一群のコンピュータ可読命令のような実行可能なプログラムを実行している間、先に説明した方法についてのステップ(method step)を実行する、中央演算ユニット(CPU)Pを含む。さらに、1またはそれより多くのM1からM4といった記憶デバイス上に、または遠隔に、組み立て品の三次元モデルを定義する1またはそれより多くのコンピュータファイルも、蓄積され得る。
【0035】
クレームされた発明は、コンピュータ可読命令、かつ/または本発明の方法についてのデジタルファイルが蓄積されている、コンピュータ可読媒体の方式によって制限をされない。たとえば、その命令やファイルは、CD、DVD、フラッシュメモリ、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、ハードディスク、またはサーバやコンピュータのようなコンピュータが通信をするその他のいかなる情報処理デバイスに蓄積され得る。プログラムとファイルは、同一の記憶デバイス、または異なる記憶デバイス上に蓄積され得る。
【0036】
さらに、本発明の方法を好適に実行可能なコンピュータプログラムは、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドで動作するデーモン、オペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせにより提供され、CPU PおよびMicrosoft VISTA(登録商標)、Microsoft Windows 8、UNIX、Apple Mac-OSや当業者にとって既知のその他のシステムと共に実行される。
【0037】
CPU Pは、米国Intel社によるXenonプロセッサ、米国AMD社によるOpteronプロセッサ、米国Freescale社によるFreescale ColdFire(登録商標)、IMX、ARM(登録商標)プロセッサのようなその他のタイプのプロセッサであり得る。代わりに、通常の知識を有する当業者にとって認識できる程度において、CPUは、米国Intel社によるCore2 Duoのようなプロセッサであり得り、またはFPGA、ASIC、PLDもしくは個別配置された論理回路上で実現され得る。さらに、CPUは、先に説明した本発明の方法におけるコンピュータ可読命令を実行するために、共同的に動作する複数のプロセッサとして実現され得る。
【0038】
図14におけるコンピュータは、米国Intel社によるIntel Ethernet PRO ネットワークインタフェースカード、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットその他同類のもののような、ネットワークに接続するためのネットワークインタフェースNIも含む。コンピュータは、Hewlett Packard HPL2445w LCDモニタのようなディスプレイDYと接続するために、米国NVIDIA社によるNVIDEA GeForce GTX(登録商標)グラフィックスアダプタのようなディスプレイコントローラDCもさらに含む。多目的用途のI/OインタフェースIFは、キーボードKBと、ローラボール、マウスまたはタッチパッドその他同類のもののようなポインティングデバイスPDとに接続されている。ディスプレイ、キーボードおよびポインティングデバイスは、ディスプレイコントローラおよびI/Oインタフェースと共に、グラフィカルユーザインタフェースから、入力命令(たとえば、ポインタを移動させること)を与えるために、ユーザにより使用され、かつ、コンピュータにより、三次元シーンとグラフィカルツールとを表示するために用いられる。
【0039】
ディスクコントローラDKCは、コンピュータの構成要素全てを相互に接続するために、ISA、EISA、VESA、PCIまたは類似であり得るコミュニケーションバスCBSと共に、HDD M3およびDVD/CD M4に接続している。
【0040】
ディスプレイコントローラ、ディスクコントローラ、ネットワークインタフェースおよびI/Oインタフェースと同様に、ディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイスについての一般的な特徴と機能についての説明は、本明細書中では簡潔さを期すために既知の特徴として省略される。
【0041】
図15は、本発明の異なる典型的な実施態様に従う方法を、実行するために好適なコンピュータシステムのブロック図である。
【0042】
図15において、実行可能プログラムEXPおよび組み立て品の三次元モデルを定義するコンピュータファイルは、サーバSCに接続された記憶デバイスに蓄積される。記憶デバイスおよびサーバの全体構成は、サーバには接続され得ないディスプレイコントローラ、ディスプレイ、キーボード、かつ/または、ポインティングデバイスを除き、先に
図14に関して論じたものと同様であり得る。
【0043】
このとき、サーバSCは、ネットワークNWを介して、管理者システムADSおよび末端ユーザコンピュータEUCに接続される。
【0044】
管理者システムおよび末端ユーザコンピュータの全体構成は、実行可能プログラムEXP、かつ/または組み立て品の三次元モデルを定義するコンピュータファイルを蓄積しない管理者システムおよび末端ユーザコンピュータの記憶デバイスを除き、先に
図14に関して論じたものと同様であり得る。しかしながら、末端ユーザコンピュータは、以下で、論じられるように、サーバ内の実行可能プログラムと協力して動作するように設計されたクライアントプログラムを蓄積する。
【0045】
望ましいものとして、ネットワークNWは、インターネットのようなパブリックネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークのようなプライベートネットワーク、またはPSTNやISDNサブネットワークをも含み得るそれらの組み合わせであり得る。ネットワークNWは、イーサネットネットワークのような有線回線でもあり得り、またはEDGE(登録商標)、3G、4G無線移動体通信システムを含む移動体通信ネットワークであり得る。ワイヤレスネットワークは、Wi-Fi、Bruetooth(登録商標)、または既知であるその他の無線通信方式であり得る。したがって、ネットワークNWは、典型的なものに過ぎず、本発明の進歩の範囲を何らの制限をするものではない。
【0046】
クライアントプログラムは、末端ユーザコンピュータの記憶デバイス中に蓄積されCPUのその後のアクセスにより実行され、ネットワークを介して、サーバSCによりデータベースDBに蓄積され、組み立て品の三次元モデルを定義するファイルを含んでいる。これにより、末端ユーザに、そのようなファイルをオープンし、あるいは修正することを可能とし、組み立て品のグラフィカル表現をパラメータで表記させ、先に説明したように1またはそれより多くの分解立体図を生成させることができる。サーバは、ネットワークNWを再度使用して、先に説明したように処理を実行し、末端ユーザコンピュータに組み立て品の分解立体図を含むシーンの望ましい表現に対応するイメージファイルを送信する。
【0047】
1つの管理者システムADSおよび1つの末端ユーザシステムEUXが示されているが、本システムは、管理者システムの数、かつ/または末端ユーザシステムの数の如何に制限されずにサポートすることができる。同様に、本発明を逸脱しない範囲内で、本システムにおいて多数のサーバも、実行させることが可能である。
【0048】
本明細書に記載されたいかなる方法ステップも、特定の論理関数またはプロセスにおけるステップに対する1つまたはそれ以上の実行可能命令を含む、表現しているモジュール、セグメント、またはコードのポーション(potions)として理解されるべきであり、かつ代替の実施は、本発明の典型的な実施態様の範囲内に含まれる。