(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】繊維製品用液体漂白剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20220722BHJP
C11D 3/39 20060101ALI20220722BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20220722BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20220722BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20220722BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220722BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20220722BHJP
D06L 4/13 20170101ALI20220722BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/39
C11D3/395
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/20
C11D3/43
D06L4/13
(21)【出願番号】P 2017193096
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】宮代 由佳
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246585(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050710(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073741(WO,A1)
【文献】特開2015-025055(JP,A)
【文献】特開2009-035504(JP,A)
【文献】特開平11-140490(JP,A)
【文献】国際公開第2011/152452(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/112312(WO,A1)
【文献】特開2013-116970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06L 1/00-4/75
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):過酸化水素と、
成分(B):
3-メトキシ-3-メチルブタノールと、
成分(C):下記式(II)で表されるノニオン界面活性剤と
を含む繊維製品用液体漂白剤組成物であって、
前記成分(A)の含有量が、前記繊維製品用液体漂白剤組成物のうち0.1~6質量%であり、前記成分(B)の含有量が、前記繊維製品用液体漂白剤組成物のうち2~10質量%であり、前記成分(C)の含有量が、前記繊維製品用液体漂白剤組成物のうち1~50質量%であり、
ポリオキシアルキレンアルキルアミンを含まない、繊維製品用液体漂白剤組成物。
R
11-X-[(EO)
p/(PO)
q]-R
12 (II)
ただし、R
11は、炭化水素基であり、Xは、2価の連結基であり、R
12は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、EOは、オキシエチレン基であり、pは、EOの平均の数であり、3~20の数であり、POは、オキシプロピレン基であり、qはPOの平均の数であり、0~6の数である。
【請求項2】
アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および半極性界面活性剤から選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の繊維製品用液体漂白剤組成物。
【請求項3】
前記成分(C)/前記成分(B)で表される質量比が1~15である、請求項1または2に記載の繊維製品用液体漂白剤組成物。
【請求項4】
前記成分(C)/前記成分(A)で表される質量比が0.1~50である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品用液体漂白剤組成物。
【請求項5】
前記成分(C)/総界面活性剤で表される質量比が0.2以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維製品用液体漂白剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体漂白剤組成物は、被洗物に付着した汚れを漂白する効果を有している。漂白剤として過酸化水素を含む液体漂白剤組成物は、色柄物にも使用できる手軽さから現在広く使用されている。液体漂白剤組成物には、さらなる汚れ洗浄力が求められている。
【0003】
液体漂白剤組成物としては、下記のものが知られている。
(1)過酸化水素とアルキレンオキサイド付加体と非石鹸系アニオン界面活性剤と、飽和脂肪酸とを含む液体漂白剤組成物(特許文献1)。
(2)半極性界面活性剤と過酸化水素と脂肪酸またはその塩とを含む液体洗浄剤(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-229405号公報
【文献】特開2016-183253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)の液体漂白剤組成物は、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制できるとされている。しかし、発生してしまった黄ばみに対する洗浄力は十分ではない。
(2)の液体洗浄剤は、衣類の黄ばみに対する洗浄力により優れるとされている。しかし、保存中に沈殿、分離が発生しやすい(安定性が低い)。
本発明は、洗浄力および安定性に優れる液体漂白剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>成分(A):過酸化水素と、成分(B):下記式(I)で表される有機溶剤と、成分(C):ノニオン界面活性剤とを含む、液体漂白剤組成物。
【化1】
ただし、R
1~R
3は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R
4は、水素原子またはアセチル基である。
<2>前記成分(A)の含有量が、液体漂白剤組成物のうち0.1~6質量%であり、前記成分(B)の含有量が、液体漂白剤組成物のうち0.1~30質量%であり、前記成分(C)の含有量が、液体漂白剤組成物のうち0.5~70質量%である、前記<1>の液体漂白剤組成物。
<3>水をさらに含み、水の含有量が、液体漂白剤組成物のうち10~97質量%である、前記<1>または<2>の液体漂白剤組成物。
<4>界面活性剤の総含有量が、液体漂白剤組成物のうち0.5~80質量%である、前記<1>~<3>のいずれかの液体漂白剤組成物。
<5>成分(C)/成分(B)で表される質量比が、0.1~30である、前記<1>~<4>のいずれかの液体漂白剤組成物。
<6>成分(C)/成分(A)で表される質量比が、0.1~50である、前記<1>~<5>のいずれかの液体漂白剤組成物。
<7>成分(C)/総界面活性剤で表される質量比が、0.2以上である、前記<1>~<6>のいずれかの液体漂白剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体漂白剤組成物は、洗浄力および安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および特許請求の範囲において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
【0009】
本発明の漂白剤組成物は、以下の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含む組成物である。
【0010】
<成分(A)>
成分(A)は、過酸化水素である。成分(A)は、漂白効果を有し、洗浄力を向上する成分である。
成分(A)の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.1~6質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1.5~4質量%がさらに好ましい。成分(A)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力が向上しやすい。成分(A)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、安定性が向上しやすい。
【0011】
<成分(B)>
成分(B)は、下記式(I)で表される有機溶剤である。成分(B)は、洗浄力を向上するとともに、安定性を向上する成分である。
【0012】
【0013】
ただし、R1~R3は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R4は、水素原子またはアセチル基である。
成分(B)としては、本発明の効果を発揮しやすい点から、R1~R3のうち2または3個が水素原子であるものが好ましい。R1~R3におけるアルキル基の炭素数としては、本発明の効果を発揮しやすい点から、1または2が好ましく、1がより好ましい。R4としては、本発明の効果を発揮しやすい点から、水素原子が好ましい。
【0014】
成分(B)としては、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-3-エチルブタノール、3-メトキシ-3-プロピルブタノール、3-メトキシ-2-メチルブタノール、3-メトキシ-2-エチルブタノール、3-メトキシ-2-プロピルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-1-エチルブタノール、3-メトキシ-1-プロピルブタノール、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-2-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-1-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-プロピルブチルアセテートが挙げられる。成分(B)としては、本発明の効果を発揮しやすい点から、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-2メチルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテートが好ましく、3-メトキシ-3-メチルブタノールがより好ましい。成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
成分(B)の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。成分(B)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力および安定性が向上しやすい。成分(B)の含有量が前記範囲の上限値を超えても、洗浄力および安定性の向上効果は小さい。
【0016】
<成分(C)>
成分(C)は、ノニオン界面活性剤である。成分(C)は、洗浄力を向上する成分である。
成分(C)としては、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステルまたはそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(またはアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
成分(C)としては、液体漂白剤組成物の安定性の点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
R11-X-[(EO)p/(PO)q]-R12 (II)
ただし、R11は、炭化水素基であり、Xは、2価の連結基であり、R12は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、EOは、オキシエチレン基であり、pは、EOの平均の数であり、POは、オキシプロピレン基であり、qはPOの平均の数である。
【0018】
R11の炭素数は、6~22が好ましく、8~22がより好ましく、10~18がさらに好ましい。R11の炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
-X-としては、-O-、-COO-、-CONH-等が挙げられ、-O-が好ましい。
-X-が-O-のとき、R12としては、水素原子が好ましい。
pは、3~20が好ましく、5~18がさらに好ましい。qは、0~6が好ましく、0~3がより好ましい。pとqの合計は、5~20が好ましい。qが0でない場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
【0019】
成分(C)の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.5~70質量%が好ましく、10~65質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましい。成分(C)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力が向上しやすい。成分(C)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、安定性が向上しやすい。
【0020】
成分(C)/成分(B)で表される質量比(以下、C/B比とも記す。)は、0.1~30が好ましく、0.5~20がより好ましく、1~15がさらに好ましい。C/B比が前記範囲の下限値以上であれば、本発明の効果を発揮しやすい。C/B比が前記範囲の上限値以下であれば、安定性が向上しやすい。
【0021】
成分(C)/成分(A)で表される質量比(以下、C/A比とも記す。)は、0.1~50が好ましく、2~30がより好ましく、5~25がさらに好ましい。C/A比が前記範囲内であれば、洗浄力が向上しやすい。
【0022】
<任意成分>
本発明の液体漂白剤組成物は、成分(A)~成分(C)以外に、液体漂白剤組成物に通常用いられる任意成分を含んでもよい。
任意成分としては、溶媒、成分(C)以外の界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、ラジカルトラップ剤、成分(B)以外の有機溶剤、緩衝剤、香料、ハイドロトロープ剤、漂白活性化剤、抗菌剤、防腐剤が挙げられる。
【0023】
溶媒としては、水が挙げられる。
水の含有量は、液体漂白剤組成物のうち10~97質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましい。水の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、安定性が向上しやすい。水の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、洗浄力が向上しやすい。
【0024】
成分(C)以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、α-オレフィンスルホン酸塩、直鎖状または分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、カルボン酸型のアニオン界面活性剤(脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等)、リン酸エステル型のアニオン界面活性剤(アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等)等が挙げられる。塩形態としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0025】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられ、アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲンイオンとしてフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、アルキル硫酸イオンとして、炭素数1~3のアルキル基を有するものが好ましく、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。カチオン界面活性剤は、設備への腐食性の点から、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩として用いることが好ましい。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
半極性界面活性剤としては、アミンオキシド型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤の総含有量は、液体漂白剤組成物のうち1~80質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。界面活性剤の総含有量が前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力が向上しやすい。界面活性剤の総含有量が前記範囲の上限値以下で、本発明の効果が見えやすい。
【0027】
成分(C)/総界面活性剤で表される質量比(以下、C/総活性剤比とも記す。)は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。C/総活性剤比が前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力が向上しやすい。C/総活性剤比の上限値は1である。
【0028】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等が挙げられる。
本発明の液体漂白剤組成物のpHは、1~8が好ましく、2~6がより好ましい。pHが前記範囲の下限値以上であれば、洗浄力が向上しやすい。pHが前記範囲の上限値以下であれば、安定性が向上しやすい。液体漂白剤組成物(25℃)のpHは、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、HM-30G)等によって測定される値を示す。
【0029】
キレート剤としては、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸等のホスホン酸系キレート剤が挙げられる。キレート剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.1~2質量%が好ましい。
ラジカルトラップ剤としては、p-メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。ラジカルトラップ剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.01~1質量%が好ましい。
成分(B)以外の有機溶剤としては、フェニルジグリコール、ブチルカルビトールが挙げられる。成分(B)以外の有機溶剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.1~10質量%が好ましい。
緩衝剤としては、クエン酸、ホウ酸化合物、例えば四ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.01~2質量%が好ましい。
香料としては、香料原料単体、または、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物が挙げられる。衣料用等の液体洗浄剤、液体漂白洗浄剤、液体漂白剤等に通常用いられる香料が挙げられる。香料の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.01~1.0質量%が好ましい。
ハイドロトロープ剤としては、炭素数2~4のアルコール類、グリコール類、ポリグリコール類、アルキルエーテル類等の水混和性有機溶剤、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、安息香酸塩、尿素等が挙げられる。ハイドロトロープ剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.01~15質量%が好ましい。
【0030】
漂白活性化剤は、それ自体は漂白効果を持たないが、液体漂白剤組成物中で過酸化水素と反応して酸化力の高い有機過酸に変わる物質である。漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数1~18(好ましくは炭素数8~12)のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩、炭素数1~18(好ましくは炭素数8~12)のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシ安息香酸またはその塩が挙げられる。このうち、4-デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS)、4-ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)が好ましい。これら漂白活性化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。漂白活性化剤の含有量は、液体漂白剤組成物のうち0.1~2質量%が好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.4~1質量%がさらに好ましい。漂白活性化剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、液体漂白剤組成物における黄ばみに対する漂白力が高まる。漂白活性化剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、安定性が向上しやすい。
液体漂白剤組成物に含まれる各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0031】
<液体漂白剤組成物の製造方法>
本発明の液体漂白剤組成物は、例えば、成分(A)と成分(B)と成分(C)と、必要に応じて任意成分とを混合し、必要に応じて所定のpHになるように調整することによって製造できる。
【0032】
<液体漂白剤組成物の使用方法>
本発明の漂白剤組成物の使用方法は、例えば、液体漂白剤組成物を単独でまたは公知の洗浄剤や柔軟剤とともに水に入れて洗浄液とし、この洗浄液に被洗物を入れ、洗濯機で洗浄する方法、液体漂白剤組成物をあらかじめ水に溶解し、これに被洗物を浸漬し、その後洗濯機で洗浄する方法等が挙げられる。また、液体漂白剤組成物を被洗物に塗布した後、適宜放置し、その後、通常の洗濯を行ってもよい。
被洗物としては、例えば、衣料、布帛、シーツ、カーテン、絨毯等の繊維製品が挙げられる。
洗浄液中の液体漂白剤組成物の含有量は、特に限定されない。水に対する液体漂白剤組成物の添加量は、例えば、水10L当たり、液体漂白剤組成物3~15mLとされる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
<各成分>
(成分(A))
・a-1:過酸化水素(35質量%工業用過酸化水素、三菱ガス化学株式会社製)。
(成分(B))
・b-1:3-メトキシ-3-メチルブタノール(クラレ社製、商品名「ソルフィット」、式(I)中、R1=メチル基、R2=水素原子、R3=水素原子、R4=水素原子)。
(成分(B’))
・b’-1:エタノール:日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定アルコール95度合成」。
(成分(C))
・c-1:炭素数12および14の天然アルコール(第1級アルコール)に10モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式(II)中、R11=炭素数12および炭素数14の直鎖状のアルキル基、-X-=-O-、p=10、q=0、R12=水素原子。
・c-2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL-60」、式(II)中、R11=炭素数12および炭素数14の直鎖状のアルキル基、-X-=-O-、p=6、q=0、R12=水素原子)。
・c-3:炭素数12~14の第2級アルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール70」)。式(II)中、R11=炭素数12~14の分岐鎖のアルキル基、-X-=-O-、p=7、q=0、R12=水素原子。
・c-4:炭素数12~14の第2級アルコールに、5モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール50」)。式(II)中、R11=炭素数12~14の分岐鎖のアルキル基、-X-=-O-、p=5、q=0、R12=水素原子。
・c-5:天然アルコール(質量比で炭素数12の第1級アルコール/炭素数14の第1級アルコール=7/3)に、8モル相当のエチレンオキシド、2モル相当のプロピレンオキシド、8モル相当のエチレンオキシドを、この順にブロック付加させて得られたノニオン界面活性剤。
・c-6:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(青木油脂工業株式会社製、ブラウノンCW―20―90)。
【0035】
(アニオン界面活性剤)
・石鹸:日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
・AES:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、EOの平均付加モル数2)(新日本理化株式会社製、商品名「シノリン SPE―1250」)。
・AEPS:下記の合成方法によって得られたポリオキシエチレンポリオキシプロパン-1,2-ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩。
撹拌装置、温度制御装置および自動導入装置を備えたオートクレーブ内に、炭素数12の直鎖の第1級アルコール(東京化成工業株式会社製、商品名「1-ドデカノール」、分子量186.33、純度>99%)の640gと、KOHの1.0gとを仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後、窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロパン-1,2-ジイルオキシドの199gを仕込んだ。次いで、120℃にて付加反応・熟成を行った後、145℃に昇温し、エチレンオキシドの303gを仕込んだ。次いで、145℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のエチレンオキシドを除去した。未反応のエチレンオキシドを除去した後、酢酸の1.0gをオートクレーブ内に加え、80℃で30分間撹拌した後、抜き出しを行い、アルキル基がドデシル基、POの平均付加モル数が1.0、EOの平均付加モル数が2.0であるアルコキシレートを得た。得られたアルコキシレートを、SO3ガスを用いて下降薄膜式反応器により硫酸化した。得られた硫酸化物をモノエタノールアミンにて中和し、ポリオキシエチレンポリオキシプロパン-1,2-ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩(AEPS)を含む組成物を得た。
・LAS:直鎖アルキル(炭素数10~14)ベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、商品名「ライポンLH-200」)
(半極性界面活性剤)
・APAX:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(クラリアント社製、商品名「GENAMINOX AP」)。
(カチオン界面活性剤)
・カチオン:ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート(第一工業製薬株式会社製、商品名「カチオーゲンES-L」)
【0036】
(キレート剤)
・HEDP:1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(ローディア社製、商品名「BRIQUEST ADPA」)。
(ラジカルトラップ剤)
・p-メトキシフェノール(川口化学工業社製、商品名「MQ-F」)。
(緩衝剤)
・クエン酸:関東化学株式会社製、試薬「クエン酸」。
・ホウ酸化合物:四ホウ酸ナトリウム・五水塩(Borax社製、「Neobor」)。
(香料)
・香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
(ハイドロトロープ剤)
・パラトルエンスルホン酸:関東化学社製。
(漂白活性化剤)
・OBS:4-ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(日東化成株式会社製)。
(抗菌剤)
・PHMB:ポリヘキサメチレンビグアニド(ロンザジャパン株式会社製、商品名「Proxel IB」)。
・ダイクロサン:4,4’-ジクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
(アルカリ剤)
・モノエタノールアミン(株式会社日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン」)。
(pH調整剤)
・水酸化ナトリウム:鶴見曹達株式会社製。
・硫酸:東邦亜鉛株式会社製。
(溶媒)
・水:精製水
【0037】
<実施例1~6、比較例1~5>
(液体漂白剤組成物の調製)
表1または表2に示す組成にしたがって各成分を混合し、pH調整剤を加えてpHが表1または表2の値となるよう調整して各組成物を得た。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
【0038】
<洗浄力>
市販の綿肌シャツ(BVD社製、綿100%)を20~40代男性が1日着用した。着用後の綿肌シャツと、市販の綿肌シャツ(BVD社製、綿100%)とを合計700gになるように調整し、全自動洗濯機(Haier社製、JW-Z23A)に投入した。次いで衣料用液体洗剤(JAFET標準洗剤)を16mL投入し、洗浄、すすぎ、脱水を洗濯機の標準コースで行い、綿肌シャツを洗濯した。洗濯後の綿肌シャツを衣類用電気乾燥機(TOSHIBA社製、ED-45C)の標準コースで乾燥した。この着用から、洗濯、乾燥までの操作を20回繰り返した衣類を、引き出し棚に室温で1年間保管した。この試験衣料の胴部から5cm×5cmの大きさの布を切り出し、測色色差計(日本電色社製、「SE2000」)でb値を測定し、ほぼ同じ値を示すもの(b値=5±0.5)を評価布(洗浄前の評価布)とした。
【0039】
評価布5枚をプラスチック製シャーレの上に重ならないように広げ、評価布1枚につき各例の液体漂白剤組成物を0.2mLずつ滴下した後、室温で10分間放置した。放置後の評価布と、チャージ布(綿)43gとを、水道水(15℃)900mLとともに洗浄試験機(Terg-O-Tometer)に入れ、120rpmで10分間洗浄した。この際、実施例1~3、6および比較例1~4の液体漂白剤組成物では洗剤(ライオン株式会社製、商品名「トップクリアリキッド」)0.75gをいれ、実施例4~5および比較例5の液体漂白剤組成物では洗剤を追加せずに洗浄した。洗浄後に、脱水を行い、水道水(15℃)900mLで3分間のすすぎを行った。すすぎ後の評価布を脱水しアイロンで乾燥したものを洗浄後の評価布とした。
【0040】
洗浄前の評価布および洗浄後の評価布5枚について、それぞれ反射率を測色色差計(日本電色社製、「SE2000」)で測定し、洗浄率(%)を下記式(s)より算出した。
洗浄率(%)=100×(洗浄前の評価布の反射率-洗浄後の評価布の反射率)/(洗浄前の評価布の反射率-未汚染布の反射率) ・・・(s)
なお、式(s)中、未汚染布は、新品の綿肌シャツ(BVD社製、綿100%)の胴部から5cm×5cmの大きさに切り出した布である。
評価布5枚の洗浄率の平均値を洗浄力とし、下記判断基準で黄ばみに対する洗浄力を評価した。◎、○、△を合格とした。結果を表1および表2に示す。
◎:35%以上。
○:30%以上35%未満。
△:25%以上30%未満。
×:25%未満。
【0041】
<安定性>
透明のガラス製瓶に、各例の液体漂白剤組成物100gをそれぞれ充填し、蓋を閉めて密封した。この瓶を50℃恒温槽に1週間静置して保存した。
かかる保存の後、液の外観を目視で観察し、下記評価基準にしたがって、液体漂白剤組成物の保存安定性を評価した。結果を表1および表2に示す。
○:無色透明であった。
×:沈殿・分離が認められた。
【0042】
【0043】
【0044】
本発明を適用した実施例1~5はいずれも、洗浄力および安定性が優れていた。
成分(B)を含まない比較例1では、洗浄力が劣っていた。
成分(C)を含まない比較例2では、洗浄力が劣っていた。
成分(A)を含まない比較例3では、洗浄力が劣っていた。
成分(B)の代わりに成分(B’)を含む比較例4では、洗浄力が劣っていた。
成分(B)を含まない比較例5では、安定性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の液体漂白剤組成物は、洗浄力および安定性に優れるため、家庭用、工業用等の液体漂白剤組成物として有用である。