(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】錠の閉め忘れを防止するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20220722BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220722BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220722BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220722BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20220722BHJP
E05B 47/00 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B25/00 510M
G08B25/04 H
G08B25/10 D
H04M11/04
E05B47/00 H
(21)【出願番号】P 2017202010
(22)【出願日】2017-10-18
【審査請求日】2020-10-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸一
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】角田 慎治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137740(JP,A)
【文献】特開2003-87179(JP,A)
【文献】特開2010-159615(JP,A)
【文献】特開2007-170086(JP,A)
【文献】特開2015-228135(JP,A)
【文献】特開2006-251946(JP,A)
【文献】特開2003-18587(JP,A)
【文献】特開2008-33804(JP,A)
【文献】特開2017-37447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-15/02
G08B19/00-31/00
E05B 1/00-85/28
H04M11/00-11/10
G07C 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる扉および錠の少なくとも何れかの閉め忘れを防止するためのシステムであって、
前記扉の解錠および開扉の少なくとも何れかを検出する検出部と、
動きを検知する対象である検知対象物が、前記ユーザが外出する場合および入室する場合の何れか一方の場合の前記検知対象物の移動経路を移動していることを示す、前記検知対象物の時間的な変化を検知する変化検知部と、
前記変化検知部によって前記変化が検知されたときに、前記検出部によって前記扉の解錠および開扉の前記少なくとも何れかが検出されている場合に、警告する警告部と
を備え、
前記変化検知部は、前記検知対象物の時間的な変化として、前記扉の室外側および室内側の少なくとも一方における、前記ユーザの身体および前記ユーザが携帯する所有物の少なくとも何れかの画像、および、前記ユーザの前記身体
までの距離
を測距したデータ、の少なくとも一つの時間的な変化を検知する、システム。
【請求項2】
前記変化検知部は、前記ユーザが外出する場合および入室する場合の何れか一方の場合の、前記ユーザの前記身体および前記所有物
の少なくとも何れかが前記扉から遠ざかる移動経路を移動していることを示す、前記検知対象物の時間的な変化を検知する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記変化検知部は更に、前記扉の室外側および室内側の少なくとも一方における、前記ユーザの前記身体および前記所有物
の少なくとも何れかの位置の時間的な変化を検知する、
請求項1または2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠の閉め忘れを防止するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
家の居住者によって携帯される無線端末の動作モードが自営用モードから公衆モードに切り替わったことを検出したときに扉が施錠されていないことを検知した場合に、公衆無線通信を介して無線端末に通知する無線遠隔監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記のシステムと同様、家の居住者によって携帯される携帯端末が、家の占有空間内に配置された親機の通信範囲から出たことを検出したときに扉が施錠されていないことを検知した場合に、公衆網PNを介して携帯端末に通知する戸締り確認システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003-087179号公報
[特許文献2]特開2012-008878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の無線遠隔監視システムでは、無線端末の動作モードが自営用モードから公衆モードに切り替わったことを、上記の戸締り確認システムでは、親機が携帯端末と通信不可能になったことを、それぞれ、家の住人が外出したものと見做しているので、無線端末を所持する住人が家に居るときに、無線端末の動作モードが誤って自営用モードから公衆モードに切り替わったり、通信障害によって親機が無線端末と通信不可能になったりした場合にも警告するなど、適切な判断ができないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様においては、ユーザによる扉の錠の閉め忘れを防止するためのシステムであって、扉の解錠および開扉の少なくとも何れかを検出する検出部と、動きを検知する対象である検知対象物が、ユーザが外出する場合および入室する場合の何れか一方の場合の検知対象物の移動経路を移動していることを示す、検知対象物の時間的な変化を検知する変化検知部と、変化検知部によって変化が検知されたときに、検出部によって扉の解錠および開扉の少なくとも何れかが検出されている場合に、警告する警告部とを備える、システムを提供する。
【0005】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による、住居15に設けられた電気錠システム10の模式図である。
【
図2】第1実施形態による、住居15の扉20に設けられた電気錠110の模式図である。
【
図3】
図3(A)は、第1実施形態による、扉20の外側16におけるユーザ13の身体の画像を説明する図であって、
図3(B)は、第1実施形態による、扉20の外側16におけるユーザ14の身体の画像を説明する図であって、時間的に
図3(A)の後に続く図である。
【
図4】第1実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12、13、14に対して警告する場合のフロー図である。
【
図5】
図5(A)は、第2実施形態による、扉20の外側16に設けられた室外カメラ200の撮像範囲S内で撮影されるユーザ12の身体の画像を説明する図であって、
図5(B)は、第2実施形態による、室外カメラ200の撮像範囲S内で撮影されるユーザ12の身体の画像を説明する図であって、時間的に
図5(A)の後に続く図である。
【
図6】第2実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12に対して警告する場合のフロー図である。
【
図7】
図7(A)は、第3実施形態による、扉20の外側16における、移動経路を移動するユーザ12までの距離を説明する図であって、
図7(B)は、第3実施形態による、扉20の外側16における、移動経路を移動するユーザ12までの距離を説明する図であって、時間的に
図7(A)の後に続く図である。
【
図8】第3実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12に対して警告する場合のフロー図である。
【
図9】第4実施形態による、扉20の外側16に設けられた室外カメラ300の撮像範囲S内で撮影されるユーザ12、13、14の身体の位置の時間的な変化を説明する図である。
【
図10】第4実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12、13、14に対して警告する場合のフロー図である。
【
図11】第5実施形態による、ユーザ12、13の身体が、扉20の内側17の2か所に設けられた通過検知部51、52を通過したことの時間的な前後を説明する図である。
【
図12】第5実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12、13に対して警告する場合のフロー図である。
【
図13】第6実施形態による、ユーザ12、13の身体が、扉20の内側17に設けられた通過検知部52と、扉20の外側16に設けられた通過検知部53とを通過したことの時間的な前後を説明する図である。
【
図14】第7実施形態による、電気錠110が、ユーザ12によって所持される携帯型端末30から受信する信号の受信強度に基づいて算出される、電気錠110から携帯型端末30までの距離の時間的な変化を説明する図である。
【
図15】第7実施形態による、携帯型端末30のブロック図である。
【
図16】第7実施形態による、扉20が解錠された状態で住居15から外出しようとするユーザ12、13、14に対して警告する場合のフロー図である。
【
図17】第8実施形態による、ユーザ12、13によって所持される携帯型端末30が、扉20の内側17の2か所に設けられた電波受信部61、62の各通信範囲(a)、(b)を通過したことの時間的な前後を説明する図である。
【
図18】第9実施形態による、ユーザ12、13の身体が、扉20の内側17に設けられた電波受信部62の通信範囲(b)と、扉20の外側16に設けられた電波受信部63の通信範囲(c)とを通過したことの時間的な前後を説明する図である。
【
図19】第10実施形態による携帯型端末30のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、第1実施形態による、住居15に設けられた電気錠システム10の模式図である。電気錠システム10は、住居15の内側17と外側16とを仕切る玄関の扉20に設けられて扉20を電気的に施解錠する電気錠110を備える。電気錠システム10は、ユーザ12による扉20の電気錠110の閉め忘れを防止するためのシステムである。ここで、「施解錠」は、施錠のみ、解錠のみ、ならびに、施錠および解錠の両方、のいずれかであってよい。
【0009】
ユーザ12は、例えば住居15の住人である。なお、
図1では、説明の為に、扉20の内側17にいるユーザ12が、扉20の外側16に出て扉20から遠退いて行った状態を、時間の経過に合わせてユーザ13およびユーザ14で示してある。ユーザ12は動きを検知する対象である検知対象物の一例である。
【0010】
電気錠110は、扉20のハンドル22よりも上側に位置する。電気錠110が施解錠することによって、扉20が施解錠する。電気錠110は、ユーザ12による鍵穴への鍵の挿入および回転やサムターンの回転により手動で施解錠されてもよく、ユーザ12によって所持される携帯機器の近接や携帯機器以外の外部端末からの遠隔操作によりアクチュエータ等の駆動力で施解錠されてもよい。
【0011】
電気錠110は、Wi-Fi(登録商標)などを用いた無線LANにより、操作盤40とデータ通信してもよい。電気錠110は、有線通信により、操作盤40とデータ通信してもよい。
【0012】
電気錠システム10は更に、住居15の内側17における例えばキッチンといった離れた部屋に設けられる操作盤40を備えてもよい。操作盤40は、電気錠110を施解錠するための施解錠ボタンを有する。ユーザ12は、扉20から離れた場所にある操作盤40の施解錠ボタンを操作することによって、扉20を施解錠してもよい。
【0013】
図2は、第1実施形態の電気錠110の模式図である。
図2は、
図1において破線で示された円Aの部分を拡大した図に対応する。
【0014】
電気錠110は、扉20の内側17の面上に設けられる構成として、中空の内筐体124と、内筐体124の外面に取り付けられるサムターン116と、内筐体124の内部に収容される、制御部112、タイマ133、格納部136、および、電源132とを備える。サムターン116、タイマ133、格納部136、および、電源132は何れも、制御部112に有線接続される。電気錠110は更に、それぞれ制御部112に有線接続される、内筐体124の外面に取り付けられる室内起動ボタン139と、内筐体124の内部に収容される室内音声出力部129および残量計測部134とを備えてもよい。
【0015】
電気錠110は更に、デッドボルト120と、デッドボルト120を一方向に進退させるように駆動するアクチュエータ128とを備え、これらは扉20の内部に組み込まれる。電気錠110は更に、デッドボルト120の進退方向における位置を検出する位置検出部138、および、扉20における開扉および閉扉を検出する開閉検出部140を備え、それらは扉20の内部に組み込まれる。位置検出部138と開閉検出部140のいずれか一方を備えて、他方の機能も果たすようにしてもよい。位置検出部138および開閉検出部140は、扉20の解錠および開扉の少なくとも何れかを検出する検出部の一例である。アクチュエータ128、位置検出部138、および、開閉検出部140は何れも、制御部112に有線接続される。アクチュエータ128は、例えば電気式モータやソレノイドである。
【0016】
電気錠110は更に、中空の外筐体126と、シリンダ118とを備え、これらは扉20の外側16の面上に設けられる。電気錠110は更に、外筐体126の外面に取り付けられるカメラ135を備える。シリンダ118およびカメラ135は、制御部112に有線接続される。
【0017】
電気錠110は更に、外筐体126の内側に収容される通信部113と、外筐体126の外側に取り付けられる室外起動ボタン137とを備えてもよい。通信部113および室外起動ボタン137も、制御部112に有線接続される。電気錠110は更に、シリンダ118を内側に収容するように外筐体126と隣接して設けられ、工具を用いずに取り外し可能な中空のシリンダカバー122を備えてもよい。なお、外筐体126には、予期せずに電気錠110の電源が無くなってしまった場合に外部から給電するための非常用電源端子部が設けられてもよい。
【0018】
電気錠110は更に、外筐体126の内側に収容される室外音声出力部130、および、外筐体126の外側に取り付けられる発光部131を備えてもよい。なお、室外音声出力部130および発光部131のいずれか一方のみでもよい。室外音声出力部130および発光部131は、警告部の一例であって、何れも制御部112に有線接続される。なお、室外音声出力部130および前述の室内音声出力部129は、電気信号を物理振動に変えて、音楽や音声などの音を生み出すスピーカである。
【0019】
電源132は、例えばリチウム電池であり、電気錠110の全体に電力を供給する。電源132によって、例えば約2年程度の期間にわたる電気錠110の継続使用が可能になる。例えば電源132の電源残量が予め定められた閾値よりも少なくなった場合に、電源132はユーザ12によって交換される。電源132は、外部電源から無線又は有線により給電されて充電可能な構成としてもよく、例えば操作盤40の電源から無線又は有線により給電されて充電してもよい。
【0020】
残量計測部134は、制御部112からの指示信号が入力されると、電源132の電源残量を計測して、計測した電源残量値を制御部112に出力する。
【0021】
室内起動ボタン139および室外起動ボタン137は、ユーザ12によって押下されることで、消費電力を抑えて待機している状態である待機状態の電気錠110を起動するためのボタンである。より具体的には、電気錠110は、ユーザ12によって室内起動ボタン139または室外起動ボタン137を押下されるまで待機状態となり、室内起動ボタン139または室外起動ボタン137を押下されると待機状態から復帰して作動状態となり、予め定められた時間が経過すると再び待機状態となる。
【0022】
サムターン116は、扉20の内側17にいるユーザ12によって把持されて回転操作されることで、回転方向を示す電気信号を制御部112に出力する。また、シリンダ118は、鍵が差し込まれる穴を有し、鍵の形状が穴の内部形状と合致する場合に、鍵が差し込まれた状態で回転する。シリンダ118は、内部での鍵の回転方向を示す電気信号を制御部112に出力する。なお、サムターン116およびシリンダ118は、他の方法で電気錠110が施解錠されると、電気錠110の施解錠に連動して対応する方向に自動で回転する。
【0023】
デッドボルト120は、扉20が閉じられた状態で扉20の側面から突き出た場合に、扉20の周囲を囲うように住居15に設けられた枠に埋設されているストライクの開口と係合する。デッドボルト120には、デッドボルト120と共にストライクの開口と係合することにより扉20の施錠状態を強固に固定するための鎌や、デッドボルト120自体や鎌などを可動させるための複数のカムや軸受などの駆動機構が含まれてもよい。
【0024】
位置検出部138は、光学式、電気式、磁気式などの任意のセンサ、例えば光電センサ、静電容量センサ、ホール素子などであり、デッドボルト120の進退方向における位置を検出し、検出したデッドボルト120の位置情報を制御部112に出力する。位置情報には、デッドボルト120が施錠位置にあることを示す施錠情報、および、デッドボルト120が解錠位置にあることを示す解錠情報が含まれる。施錠位置とは、デッドボルト120が扉20の側面から予め定められた量以上出ている位置である。解錠位置とは、デッドボルト120が上記施錠位置にないときの位置であり、扉20の側面の内側に退避している位置を含む。
【0025】
開閉検出部140は、位置検出部138と同様に、光学式、電気式、磁気式などの任意のセンサ、例えば光電センサ、静電容量センサ、ホール素子などであり、扉20の開閉状態を検出し、検出した扉20の開閉情報を制御部112に出力する。扉20の開閉情報には、扉20が開扉していることを示す開扉情報、および、扉20が閉扉していることを示す閉扉情報が含まれる。
【0026】
通信部113は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いて、操作盤40や、ユーザ12によって所持される携帯機器などと無線通信する。通信部113は、扉20の外側16にいるユーザ12によって近接された携帯機器の識別情報(ID)を無線通信により読み取るリーダ114を有する。リーダ114はまた、扉20の内側17から接近するユーザ12が所持している携帯機器のIDも、無線通信により読み取ってもよい。なお、通信部113は、追加的に又は代替的に、扉20の内側17の面上に設けられた内筐体124の内部に配置されてもよい。
【0027】
発光部131は、例えばLEDランプであり、目的に応じて、ユーザ12に既知の、予め定められた異なる色、異なる点灯間隔、および、異なる点灯時間の少なくとも1つに従って発光する。発光部131は、ユーザ12が扉20を施錠せずに外出しようとしていることをユーザ12に知らせるべく、例えば赤色に点滅する。また、発光部131は、電源132の電源残量が予め定められた閾値よりも多いときは点灯せず、当該閾値以下となった場合に連続的に緑色に発光してもよい。また、発光部131は、デッドボルト120の動作に不具合が生じている場合にオレンジ色に点滅したり、IDの認証に失敗した場合に黄色に点滅したりしてもよい。このように、発光部131は、特定の色で発光することによって、特定の情報をユーザ12に知らせることができる。
【0028】
カメラ135は、撮像方向が扉20の外側16における廊下に向くように、外筐体126の外面に取り付けられる。カメラ135は、CMOSやCCDなどの撮像素子を含み、撮像範囲内の対象物を撮像して画像を生成し、制御部112に出力する。
【0029】
格納部136は、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリを含む。格納部136には、例えばカメラ135によって撮像された、住居15から外出しようとするユーザ12の身体の画像などの、時間的な変化を示す情報が、タイマ133によって計時された時刻の情報と共に格納される。格納部136には、制御部112によって使用される制御プログラムや、複数の携帯機器に対応する登録IDや、画像内に映るユーザ12の身体の大きさとの比較に用いられる閾値としての予め定められた大きさの情報などが予め格納されていてもよい。格納部136には更に、制御部112が発光部131を目的に応じて異なる色に発光させるべく参照する、目的と発光色との対応関係や、残量計測部134によって計測される電源残量との比較に用いられる予め定められた閾値も予め格納されていてもよい。
【0030】
制御部112は、CPU等から構成され、格納部136に予め格納された制御プログラムを読み込むことによって、電気錠110の各構成を制御するための複数の処理を実行する。また、制御プログラムは、可搬メディアを介してインストールされてもよく、インターネット等からダウンロードされてインストールされてもよい。
【0031】
制御部112は、ユーザ12の身体の時間的な変化を検知する。時間的な変化のうち、特に、ユーザ12が住居15から外出する場合の移動経路を移動していることを示す時間的な変化を検知する。移動経路の例は、住居15の扉20の内側17における扉20に近づく経路、外側16における扉20から遠ざかる経路、内側17から外側16への経路の少なくともひとつを含む。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の外側16における扉20から遠ざかる経路である。以降において特にことわらないかぎり、「ユーザ12が住居15から外出する場合の移動経路を移動していることを示す時間的な変化を検出する」ことを単に「時間的な変化を検出する」と表現する場合がある。
【0032】
本実施形態では、制御部112は、カメラ135から入力される画像を解析して、扉20の外側16におけるユーザ12の身体の画像の時間的な変化を検知する。よって、制御部112は、変化検知部の一例であるとも言える。
【0033】
制御部112は、ユーザ12の身体の画像の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合、および、開閉検出部140から開扉情報を入力されている場合、の少なくとも一方の場合に、例えば、室外音声出力部130からブザー音や「ドアを閉め忘れています」との音声などを発声させ、発光部131を赤色に点滅させるといった方法で、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。本実施形態では、制御部112は、上記の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、上記の警告を開始する構成とし、上記のように、開閉検出部140から開扉情報を入力されている場合については説明を省略する。以降の実施形態においても、解錠情報を用いた例で説明し、開閉情報を用いる例の説明を省略するがいずれの情報が用いられてもよい。
【0034】
制御部112は、サムターン116およびシリンダ118から回転方向を示す電気信号を入力されると、アクチュエータ128を駆動して、デッドボルト120を一方向に進退させることで、扉20を施解錠する。制御部112は、通信部113から、ユーザ12が所持している携帯機器のIDを入力されると、格納部136を参照し、携帯機器のIDが格納部136に予め格納されている登録IDであるか否かを判断してもよい。制御部112は、携帯機器のIDが登録IDであると決定した場合、アクチュエータ128を駆動して、デッドボルト120を一方向に進退させることで、扉20を施解錠してもよい。
【0035】
制御部112は、位置検出部138からデッドボルト120の位置情報が入力されると、位置情報を格納部136に記録してもよく、通信部113から操作盤40や携帯機器などに送信してもよい。制御部112は、アクチュエータ128を駆動することによってデッドボルト120に施錠動作を実行させた場合、デッドボルト120が施錠位置に移動したか否かをデッドボルト120の位置情報から判断し、デッドボルト120に解錠動作を実行させた場合、デッドボルト120が解錠位置に移動したか否かをデッドボルト120の位置情報から判断してもよい。
【0036】
制御部112は、デッドボルト120に施錠動作を実行させたにも拘わらずデッドボルト120が施錠位置以外にある場合に、発光部131を特定の色で発光させてユーザ12に施錠エラーを知らせてもよい。同様に、制御部112は、デッドボルト120に解錠動作を実行させたにも拘わらずデッドボルト120が解錠位置以外にある場合に、発光部131を特定の色で発光させてユーザ12に解錠エラーを知らせてもよい。制御部112は、施錠エラーを示す施錠エラー情報および解錠エラーを示す解錠エラー情報を格納部136に記録してもよく、通信部113から操作盤40や携帯機器などに送信してもよい。
【0037】
制御部112は、開閉検出部140から扉20の開閉情報が入力されると、開閉情報を格納部136に記録してもよく、通信部113から操作盤40や携帯機器などに送信してもよい。制御部112は、開閉検出部140から閉扉情報を入力された場合、位置検出部138から施錠情報を入力されているか否かを判断してもよい。同様に、制御部112は、開閉検出部140から開扉情報を入力された場合、位置検出部138から解錠情報を入力されているか否かを判断してもよい。
【0038】
制御部112は、扉20の状態が閉状態であるにも拘わらずデッドボルト120が施錠位置以外にある場合に、発光部131を特定の色で発光させてユーザ12に閉扉エラーを知らせてもよい。制御部112は、扉20の状態が開状態であるにも拘わらずデッドボルト120が解錠位置以外にある場合に、発光部131を特定の色で発光させてユーザ12に開扉エラーを知らせてもよい。制御部112は、閉扉エラーを示す閉扉エラー情報および開扉エラーを示す開扉エラー情報を格納部136に記録してもよく、通信部113から操作盤40や携帯機器などに送信してもよい。
【0039】
制御部112は、残量計測部134から電源132における電源残量値が入力されると、通信部113から操作盤40や携帯機器などに送信してもよい。制御部112は、残量計測部134から入力された電源残量値が、格納部136に格納されている予め定められた閾値を下回っているか否かを判断してもよく、更に、閾値を下回っている場合に、特定の音声信号を室内音声出力部129または室外音声出力部130に出力して、音声信号に基づく特定の音声を発声させてもよい。これにより、例えば電源132の交換、又は、電源132への給電の必要性をユーザ12に知らせることができる。
【0040】
ここで、
図3および
図4を用いて、第1実施形態によるユーザ13、14の身体の画像の時間的な変化を検知する方法を説明する。
図3(A)は扉20の外側16におけるユーザ13の身体の画像を説明する図であって、
図3(A)の後に続いて、
図3(B)は扉20の外側16におけるユーザ14の身体の画像を説明する図である。
図3(A)では、
図1に示されているユーザ13の身体をカメラ135で撮影した画像を説明し、
図3(B)では、
図1に示されているユーザ14の身体をカメラ135で撮影した画像を説明する。
【0041】
図1および
図2を用いて説明した通り、カメラ135は、撮像方向が扉20の外側16における廊下に向くように、電気錠110の外筐体126の外面に取り付けられる。よって、
図3(A)および
図3(B)に示される通り、ユーザ12が住居15から外出する場合、カメラ135が撮影するユーザ12の身体の画像には、扉20から外側16に出て、扉20から遠退くように廊下を進むユーザ12の後ろ姿が映る。なお、本実施形態において、カメラ135から制御部112に出力される画像は、静止画とする。
【0042】
本実施形態では、制御部112は、カメラ135によって撮像されるユーザ13、14の身体の画像を解析して、画像内におけるユーザ13、14の頭部の特徴量から頭部を特定し、頭部の有無を判断する。画像内に頭部がある場合、例えば
図3(A)および
図3(B)において、それぞれ破線の四角(a)と(b)とで示されるように、頭部の大きさを測定する。例えば
図3(A)および
図3(B)のように時間的に連続する画像の前後で、時間の経過と共に画像内の頭部の大きさが小さくなっている場合に、ユーザ12が住居15から外出する場合の移動経路を移動していることを示す時間的な変化があったと判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。
【0043】
図4は、第1実施形態のフロー図である。当該フローの動作の主体は制御部112であることが多いので、主体が制御部112以外である場合を除いて、主体の説明を省略する。以降の複数の実施形態についても、特にことわらない限りにおいて主体の説明を省略する。
【0044】
当該フローが開始すると、扉20が解錠されたか否か、すなわち、位置検出部138から解錠情報を入力されたか否かを判断し(ステップS101)、解錠情報が入力されていない場合(ステップS101:NO)、ステップS101を繰り返す。
【0045】
位置検出部138から解錠情報を入力されている場合(ステップS101:YES)、カメラ135による撮影を開始する、すなわち、タイマ133を参照し、カメラ135に静止画を1秒間隔で撮影させて、静止画を、順次、制御部112に出力する(ステップS103)。
【0046】
ステップS103に続けて、カメラ135から入力される画像内に人の頭部があるか否かを判断し(ステップS105)、頭部がない場合(ステップS105:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS107)、ステップS105を繰り返す。
【0047】
ステップS105において、画像内に人の頭部がある場合(ステップS105:YES)、当該画像が入力された時点をT=0[秒]とし、当該画像、および、T=0以降に順次入力されるT=n(n≧1[秒])の画像内に映る頭部の大きさの測定を開始する(ステップS109)。
【0048】
ステップS109に続けて、格納部136を参照し、T=0の画像内の頭部の大きさが、格納部136に格納されている予め定められた大きさ以上であるか否かを判断する(ステップS111)。ステップS111において、T=0の画像内の頭部の大きさが予め定められた大きさ以上ではない場合(ステップS111:NO)、画像解析による、画像内に映る頭部の大きさの測定を終了し(ステップS113)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS115)、ステップS105に戻る。
【0049】
ステップS111において、画像内に映る頭部の大きさが予め定められた大きさ未満であるか否かを判断することにより、ユーザ12、13、14以外の第3者が、例えば、扉20の外側16の廊下を通ってカメラ135の撮像範囲内に入り込んだ場合や、扉20の外側16から扉20に近付いてきて撮像範囲内に入り込んだ場合等に、誤検知することを防ぐことができる。
【0050】
ステップS111において、T=0の画像内の頭部の大きさが予め定められた大きさ以上である場合(ステップS111:YES)、T=0の画像を格納部136に格納し、タイマ133を参照して1秒待つ(ステップS117)。なお、ステップS111において、当該頭部がユーザ13の頭部であるかどうかをさらに判断してもよい。
【0051】
ステップS117に続けて、T=1の画像内に人の頭部があるか否かを判断し(ステップS119)、頭部がない場合(ステップS119:NO)、ステップS113に戻る。なお、ステップS119において、T=1の画像内に人の頭部がないと判断される場合の例は、一度、扉20の内側17から外側16に出たユーザ13が、扉20の外側16から内側17に引き返した場合である。
【0052】
ステップS119において、T=1の画像内に人の頭部がある場合(ステップS119:YES)、格納部136を参照し、格納部136に格納されているT=0の画像内の頭部の大きさに対する、T=1の画像内の頭部の大きさの比を算出し、当該比が1未満であるか否かを判断する(ステップS121)。
【0053】
ステップS121において、上記の比が1未満でない場合(ステップS121:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS123)、ステップS119に戻る。なお、ステップS121において、上記の比が1未満でないと判断される場合の例は、T=0の時点からT=1までの間に、ユーザ13が扉20の外側16で立ち位置を変えずに留まっている場合や、ユーザ13が扉20の外側16において扉20に近付いた又は扉20の内側17に引き返した場合である。
【0054】
ステップS121において、上記の比が1未満である場合(ステップS121:YES)、扉20が解錠されたままであるかどうかを判断する、すなわち、位置検出部138から依然として解錠情報を入力されているか否かを判断し(ステップS125)、依然として解錠情報が入力されている場合(ステップS125:YES)、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する(ステップS127)。
【0055】
ステップS127に続けて、扉20が施錠されたか否か、すなわち、位置検出部138から施錠情報を入力されたか否かを判断し(ステップS129)、施錠情報が入力されていない場合(ステップS129:NO)、ステップS129を繰り返す。
【0056】
ステップS129において、施錠情報が入力された場合(ステップS129:YES)、室外音声出力部130および発光部131による警告を停止させ(ステップS131)、カメラ135による撮影を終了し(ステップS133)、当該フローが終了する。
【0057】
上記のステップS125において、既に解錠情報が入力されていない場合、すなわち、施錠情報が入力されている場合にも(ステップS125:NO)、ステップS133に進んでカメラ135による撮影を終了し、当該フローが終了する。なお、ステップS125:NOからステップS133に進んでカメラ135による撮影を終了すると判断することは、ユーザ12が、扉20を施錠してから外出したと判断することを含む。
【0058】
図1から
図4に示す第1実施形態によれば、制御部112が、カメラ135から入力される画像を解析して、扉20の外側16において扉20から遠ざかる移動経路を移動するユーザ12の身体の画像の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、例えばユーザ12によって所持される携帯機器が住居15内に設定された通信エリアと通信不可能になったことを、ユーザ12が外出したと見做して警告する場合に比べて、ユーザ12が扉20を施錠せずに外出しようとしていることをより正確且つ確実に判断して、扉20を解錠したまま外出しようとしていることを扉20の外側16にいるユーザ12に適切且つ迅速に知らせることができ、ユーザ12による扉20の電気錠110の閉め忘れを確実に防止することができる。
【0059】
図4に示したフローにおいて、扉20が解錠されてから(S101:Yes)、施錠されるまで(S129:Yes)、カメラによる撮像は終了しない。よって、扉20が解錠された後に、ユーザ12そのものまたはその時間的な変化が検出されない状態が続くと、カメラ135による撮影および制御部112による時間的な変化の検知が継続されることになり、電気錠システム10全体の電力消費量が増大してしまう。そこで、扉20が解錠された後に、ユーザ12そのものまたはその時間的な変化が検出されない状態が予め定められた時間以上、例えば5分以上継続した場合、カメラ135による撮影、および、制御部112による上記の検知を中断してもよい。この場合、これらの中断後に、扉20の開扉が検出されたことをトリガとして、ステップS103から再開してもよい。なお、カメラ135による撮影、および、制御部112による上記の検知の中断に加えて、住居15の中にいると推測されるユーザ12に対して、室内音声出力部129から警告を開始して、扉20が施錠された場合に警告を停止してもよい。なお、以降の実施形態におけるフローについても、特に断らない限り、ユーザ12そのものまたはその時間的な変化が検出されない状態が続いた場合の動作を上記と同様とし、重複する説明を省略する。
【0060】
なお、上記のステップS109およびステップS111において、T=0の画像内に複数人の頭部が映り込んでいる場合には、全ての頭部の大きさを計測し、最も大きい頭部を特定して、その頭部の大きさが予め定められた大きさ以上であるか否かを判断してもよい。このとき、上記のステップS119およびステップS121において、T=nの画像内にも依然として複数の人の頭部が映り込んでいる場合には、同様にして、T=nの画像内における最も大きい頭部を特定し、T=0の画像との比較を行ってもよい。また、このとき、追加的に又は代替的に、T=nの画像内において、T=0の画像内で特定した最も大きい頭部の特徴と同じ特徴を有する頭部を特定し、T=0の画像との比較を行ってもよい。
【0061】
なお、上記のステップS121において、格納部136に格納されているT=0の画像内の頭部の大きさに対する、T=1の画像内の頭部の大きさの比を算出し、当該比が1未満であるか否かを判断する構成として説明したが、これに代えて、当該比が、例えば2分の1未満であるか否かなど他の閾値が用いられてもよく、当該比を算出せずに、格納部136に格納されているT=0の画像内の頭部の大きさとT=1の画像内の頭部の大きさとの大小を判断してもよい。また、2つの時刻の画像で比較することに加えて3つ以上の時刻において、頭部の大きさが徐々に小さくなるか否かを判断してもよい。また、頭部を判断の対象とすることに代えて、身体の他の一部や全身を判断の対象としてもよい。
【0062】
なお、上記のステップS125からステップS129にかけては、扉20が施錠されるまで警告を停止しない構成としているが、予め定められた時間、例えば5分経っても扉20が施錠されなかったら、当該フローは無条件でステップS131に進んで、警告を停止し、ステップS133でカメラ135による撮影を終了して、当該フローは終了してもよい。この場合、当該フローは扉20が解錠されたまま終了するので、例えば扉20の開扉が検出されたことをトリガとして、ステップS103から繰り返してもよい。
【0063】
なお、上記のステップS127において、ユーザ12に対する警告手段として、室外音声出力部130からの発声、および、発光部131の発光を用いる構成として説明したが、追加的に又は代替的に、例えば、扉20から離れた位置において、扉20の外側16の廊下に設けられた天井ランプの点滅や、当該廊下の側壁に設けられたLEDの点滅やスピーカからの発声などを用いてもよく、ユーザ12が携帯機器を所持している場合には、携帯機器のスピーカからの発声や、ランプの点滅や、バイブレーションなどを用いてもよく、携帯機器がウェアラブル端末である場合には、メガネレンズへの画像表示や、イヤホンからの骨伝導や、腕時計からの静電気や、リストバンドの圧迫や、香りを生成する機器からの臭いの発生など、ユーザ12の五感に対する何らかの刺激的手段を用いてもよい。
【0064】
なお、ステップS111:YESに続けて、T=0[秒]の画像を格納部136に格納する構成として説明したが、これに代えて、T=0[秒]の画像内の頭部の大きさを示す情報のみを格納部136に格納してもよい。この場合、ステップS121において、格納部136に格納されているT=0[秒]の画像内の頭部の大きさを示す情報を参照して、T=0[秒]の画像内の頭部の大きさに対するT=1[秒]の画像内の頭部の大きさの比を算出し、当該比が1未満であるかどうかを判断してもよい。
【0065】
なお、本実施形態では、カメラ135によって撮影される画像を静止画としたが、カメラ135によって撮影される画像は動画であってもよい。この場合、ステップS111:YESに続けて、動画を構成するT=0[秒]の静止画を格納部136に格納してもよく、T=0[秒]の動画内における頭部の大きさを示す情報のみを格納部136に格納してもよい。
【0066】
なお、本実施形態によれば、住居15内にいるユーザ12が扉20を解錠した後、ユーザ12が扉20の内側17から外側16に出ることなく、第3者が扉20の外側16に接近して再び扉20から離れた場合にも、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始することになる。これにより、当該第3者が、例えば悪意で扉20に接近した場合には、第3者が再び接近しないように警告することができる。また、このような場合に、室外音声出力部130および発光部131のみからではなく室内音声出力部129からも警告を開始することで、住居15内にいるユーザ12は、扉20が解錠されている状態で第3者が扉20に接近したことを知ることができる。また、このような事態が生じ得ることを考慮する場合、室外音声出力部130からの発声内容を、単なるブザー音のみにすることが好ましい。室外音声出力部130から「ドアを閉め忘れています」などの発声をしないことで、上記の第3者が、扉20が施錠されていない事実を認知してしまうことを防止できる。なお、以降の実施形態においても、特に断らない限り警告の内容は同様とし、重複する説明を省略する。
【0067】
また、カメラ135の撮像範囲は、外側に開いた扉20がなるべく映り込まず、かつ、外側に開いた扉20よりも扉20から遠い側が多く映るように設定することが好ましい。これにより、ユーザ12が扉20から遠ざかる場合に扉20の陰に隠れて映らないという不具合を防ぐことができる。
【0068】
なお、本実施形態において、追加的に又は代替的に、制御部112は人工知能(AI)を有してもよい。この場合に予め例えば深層学習、機械学習または統計処理といった手法を用いて、カメラ135から入力される画像を解析し、ユーザ12が住居15から外出する場合における上記の移動経路を移動する、すなわち外出時のユーザ12の身体の画像の時間的な変化と、上記の移動経路を移動していない、すなわちユーザ12が住居15から外出しない場合におけるユーザ12の身体の画像の時間的な変化とを区別できるよう学習しておいてもよい。上記学習に基づいて、制御部112は、カメラ135から入力される画像を解析することで、ユーザ12の身体の画像の時間的な変化が、ユーザ12が住居15から外出する場合における当該時間的な変化であると判断したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始してもよい。
【0069】
なお、本実施形態において、制御部112は、カメラ135から入力される画像を解析して、扉20の外側16において扉20から遠ざかる移動経路を移動するユーザ12が携帯する所有物の画像の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始してもよい。ユーザ12が携帯する所有物は、例えばカバンや、帽子や、メガネなどの、露出した状態でユーザ12に携帯されるものを含む。また、この場合、制御部112が上記のAIを有し、予め、例えば深層学習、機械学習または統計処理といった手法を用いて、カメラ135から入力される画像を解析し、ユーザ12が住居15から外出する場合にいつも身に付ける上記の所有物を学習しておいてもよい。これらを予め学習した制御部112は、上記の学習時の手法と同じ手法を用いてカメラ135から入力される画像を解析し、当該手法によって予め学習した、ユーザ12によって携帯される所有物を画像内から検出し、且つ、上記の移動経路を移動する当該所有物の画像の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始してもよい。
【0070】
図5および
図6は、第2実施形態による電気錠システム10を示す。第2実施形態による電気錠システム10は、第1実施形態による電気錠システム10の各構成と比較すると、カメラ135に代えて、又は、カメラ135に加えて、室外カメラ200を備える点を除いては同じであるので、重複する説明を省略する。
【0071】
第2実施形態においては、制御部112が、室外カメラ200によって撮像される、前述の移動経路を移動するユーザ12の身体の画像を解析して、扉20の外側16におけるユーザ12の身体の画像の時間的な変化を検知する。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の外側16において扉20から遠ざかる経路、例えば
図5における左から右の経路である。
【0072】
図5(A)は、扉20の外側16に設けられた室外カメラ200の撮像範囲S内で撮影されるユーザ12の身体の画像を説明する図であって、
図5(B)は、時間的に
図5(A)の後に続く、ユーザ12の身体の画像を説明する図である。
【0073】
図5に示されるように、室外カメラ200は、撮像方向が扉20の外側16における廊下の一方の側壁に向くように、廊下の他方の側壁に設けられる。室外カメラ200は、有線又は無線で電気錠110と通信する。室外カメラ200は、カメラ135と同様に、CMOSやCCDなどの撮像素子を含み、
図5に破線の円で示される撮像範囲S内の対象物を撮像して画像を生成し、有線通信又は無線通信によって画像を制御部112に出力する。
【0074】
図5(A)および
図5(B)に示される通り、ユーザ12が住居15から外出する場合、室外カメラ200が撮影するユーザ12の身体の画像には、扉20から外側16に出て、扉20から遠退くように廊下を進むユーザ12の横姿が映る。なお、本実施形態において、室外カメラ200から制御部112に出力される画像は、静止画とする。
【0075】
格納部136には、室外カメラ200の撮像範囲S内の画像を左右に分割した、より扉20に近い側の第1領域(a)と、より扉20から遠い側の第2領域(b)とを示す情報が予め格納されている。
【0076】
制御部112は、室外カメラ200から画像を入力されると、格納部136を参照して、画像を第1領域(a)と第2領域(b)とに区分して、画像を解析し、ユーザ12が第1領域(a)および第2領域(b)にいるか否かを判断する。
【0077】
本実施形態では、制御部112は、室外カメラ200によって撮像されるユーザ12の身体の画像を解析して、画像内におけるユーザ12の身体の特徴量を抽出することで身体を特定し、ユーザ12の身体の位置が第1領域(a)および第2領域(b)の何れにあるのかを判断する。例えば
図5(A)および
図5(B)のように時間的に連続する画像の前後で、時間の経過と共にユーザ12の身体が第1領域(a)から第2領域(b)に移動した場合に、ユーザ12が住居15から外出して扉20から遠退いていることを示す、時間的な変化があったと判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。
【0078】
図6は、第2実施形態のフロー図である。当該フローのステップS101、および、ステップS125以降のステップは、
図4に示したフローにおけると同一であるので、重複する説明は省略する。
【0079】
当該フローにおいて、位置検出部138から解錠情報を入力されると(S101:YES)、室外カメラ200による撮影を開始する。具体的には、タイマ133を参照し、室外カメラ200に静止画を1秒間隔で撮影させて、静止画を、順次、制御部112に出力させる(ステップS201)。
【0080】
ステップS201に続けて、室外カメラ200から入力される画像内の第1領域(a)に人がいるか否かを判断し(ステップS203)、人がいない場合(ステップS203:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS205)、ステップS203を繰り返す。
【0081】
ステップS203において、画像内の第1領域(a)に人がいる場合(ステップS203:YES)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS207)、画像内の第2領域(b)に人がいるか否かを判断する(ステップS209)。
【0082】
ステップS209において、第2領域(b)に人がいない場合(ステップS209:NO)、ステップS203に戻る。なお、ステップS209において、第2領域(b)に人がいないと判断する場合の例は、ステップS207で1秒待つ間に、ユーザ12が第1領域(a)内で立ち位置を変えずに留まっている場合や、ユーザ12が第1領域(a)から出て扉20に近付いた又は扉20の内側17に引き返した場合などである。
【0083】
ステップS209において、第2領域(b)に人がいる場合(ステップS209:YES)、
図4のステップS125以降の動作が実行される。よって、扉20が解錠されたままである場合には警告がなされる(S125、S127等)。
【0084】
以上、
図5および
図6の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、制御部112が、室外カメラ200から入力される画像を解析して、扉20の外側16におけるユーザ12の身体の画像の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第2実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。なお、2つの領域で判断することに代えて、3つ領域において扉20に近い領域から遠い領域へ順次移動したか否かを判断してもよい。
【0085】
また、室外カメラ200の撮像範囲は、外側に開いた扉20がなるべく映り込まず、かつ、外側に開いた扉20よりも扉20から遠い側が多く映るように設定することが好ましい。これにより、ユーザ12が扉20から遠ざかる場合に扉20の陰に隠れて映らないという不具合を防ぐことができる。
【0086】
なお、第2実施形態による電気錠システム10において、上記のステップS201の後に、人が画像内の第1領域(a)に映り込まずに第2領域(b)に映り込んだ場合、すなわち、扉20が解錠されている状態でユーザ12以外の第3者が扉20の外側16で扉20に近付いてくる場合、たとえその後に第3者が扉20から遠退いて行くことで画像内の第1領域(a)から第2領域(b)へと順次映り込んだとしても、警告しない構成としてもよい。室外音声出力部130が「ドアを閉め忘れています」といったメッセージを発声するように予め設定している場合には、上記の第3者に警告しないことによって、扉20が解錠されている状態であることを第3者に認知されることを防止できる。また、一様に警告するように構成してもよく、この場合、室外音声出力部130は、上記と同じ理由で、「ドアを閉め忘れています」といったメッセージの発声に代えて、ブザー音などを発声することが好ましい。
【0087】
図7および
図8は第3実施形態による電気錠システム10を示す。第3実施形態による電気錠システム10は、カメラ135に代えて、又は、カメラ135に加えて、赤外線発信部143および赤外線受信部145を備える点を除いては第1実施形態による電気錠システム10同じであるので、重複する説明を省略する。
【0088】
図7および
図8には、第3実施形態による、制御部112が、赤外線発信部143から発信されて、前述の移動経路を移動するユーザ12の身体の一部で反射し、赤外線受信部145で受信される、赤外線の往復時間に基づいて、電気錠110からユーザ12までの距離を算出し、移動経路を移動するユーザ12の身体までの距離の時間的な変化を検知する方法が示されている。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の外側16における扉20から遠ざかる経路である。
図7(A)は、ユーザ12までの距離を説明する図であって、
図7(B)は、時間的に
図7(A)の後に続く、ユーザ12までの距離を説明する図である。
【0089】
図7に示されるように、赤外線発信部143および赤外線受信部145は外筐体126の外面に取り付けられる。赤外線発信部143は扉20から外に向かって赤外線を発信する。赤外線受信部145は、扉20の外側16からの赤外線を受信する。赤外線発信部143および赤外線受信部145は何れも、制御部112に有線接続される。赤外線発信部143は、制御部112からの指示信号が入力されると、赤外線を発信する。赤外線受信部145は、赤外線を受信すると、受信したことを示す受信信号を制御部112に出力する。
【0090】
図7(A)および
図7(B)に示される通り、ユーザ12が住居15から外出する場合、赤外線発信部143から発信される赤外線はユーザ12の背部である例えば背中に照射され、背中で反射した赤外線は赤外線受信部145によって受信される。
【0091】
格納部136には、上記の赤外線の往復時間と、電気錠110からユーザ12の身体までの距離との対応表や、当該往復時間から当該距離を算出するための関数情報などが予め格納されている。なお、単に、電気錠110からユーザ12の身体までの距離を説明する目的で、
図7(A)および
図7(B)には、一例として、当該距離に対応する1方向の座標軸を、0から50毎に200までの目盛と共に示している。なお、目盛の単位は例えばcmである。
【0092】
制御部112は、赤外線発信部143に指示信号を出力した後に、赤外線受信部145から赤外線を受信したことを示す受信信号を入力されると、タイマ133を参照して、前述の往復時間、すなわち、指示信号を出力してから受信信号を入力されるまでの時間を算出し、格納部136を参照して、当該時間からユーザ12までの距離を算出する。
【0093】
本実施形態では、
図7(A)および
図7(B)に示されるように、扉20からユーザ12までの距離の時間的変化が予め定められた変化よりも大きい場合に、ユーザ12が住居15から外出して扉20から遠退いていると判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。
【0094】
図8は、第3実施形態のフロー図である。当該フローのステップS101、および、ステップS125以降のステップと、
図4に示したフローと同一であるので、重複する説明は省略する。なお、
図4のステップS131ではカメラ135による撮影を終了するが、本実施形態では、当該ステップS131において赤外線による測距を終了する。
【0095】
位置検出部138から解錠情報を入力されると(S101:YES)、赤外線発信部143および赤外線受信部145を用いた赤外線による測距を開始する。具体的には、タイマ133を参照し、赤外線発信部143からパルス状の1つ又は複数の赤外線を1秒間隔で発信させて、赤外線受信部145から受信信号を、順次、制御部112に出力させる(ステップS301)。
【0096】
ステップS301に続けて、扉20から一定距離内、例えば100cm以内に人がいるか否かを判断し(ステップS303)、人がいない場合(ステップS303:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS305)、ステップS303を繰り返す。
【0097】
ステップS303において、
図7(A)に示されるように扉20から100cm以内に人がいる場合(ステップS303:YES)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS307)、扉20から人までの距離が100cmよりも長いか否かを判断する(ステップS309)。
【0098】
ステップS309において、扉20から人までの距離が100cmよりも長くない場合(ステップS309:NO)、ステップS303に戻る。なお、ステップS309において、扉20から人までの距離が100cmよりも長くないと判断する場合の例は、ステップS307で1秒待つ間に、ユーザ12が扉20から100cm以内で立ち位置を変えずに留まっている場合や、ユーザ12が扉20の内側17に引き返した場合などである。
【0099】
ステップS309において、扉20から人までの距離が100cmよりも長い場合(ステップS309:YES)、
図4のステップS125以降の動作が実行される。よって、扉20が解錠されたままである場合には警告がなされる(S125、S127等)。
【0100】
以上、
図7および
図8の第3実施形態によれば、制御部112が、扉20の外側16における、移動経路を移動するユーザ12の身体までの距離を算出し、当該距離の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第3実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0101】
なお、第3実施形態において、赤外線を用いて電気錠110からユーザ12の身体までの距離を算出する構成として説明したが、代替的に又は追加的に、超音波などの他の方法を用いて当該距離を算出してもよい。
【0102】
なお、第3実施形態において、赤外線の往復時間に基づいて電気錠110からユーザ12の身体までの距離を算出する構成として説明したが、追加的に又は代替的に、赤外線の反射強度に基づいて当該距離を算出してもよい。なお、2つの時刻の距離で判断することに代えて、3つ以上の時刻における距離が徐々に大きくなったか否かを判断してもよい。
【0103】
また、赤外線発信部143が赤外線を発信する方向および赤外線受信部145が赤外線を受信する範囲は、外側に開いた扉20に遮られないことが好ましい。外側に開いた扉20に遮られる場合には、扉20が閉まるまでの時間にユーザ12が扉20から遠ざかる距離を考慮して、上記一定距離を設定することが好ましい。これにより、赤外線による測距とユーザ12が扉20から遠ざかる時間的な変化とを適切に対応付けることができる。
【0104】
図9および
図10は第4実施形態による電気錠システム10を説明する図である。第4実施形態の電気錠システム10は、カメラ135に代えて、又は、カメラ135に加えて、室外カメラ300を備える点を除いては第1実施形態の電気錠システム10と同じであるので、重複する説明を省略する。
【0105】
図9および
図10に示す、第4実施形態では、室外カメラ300によって撮像される、前述の移動経路を移動するユーザ12、13、14の身体の画像を制御部112が解析して、当該移動経路におけるユーザ12、13、14の身体の位置の時間的な変化を検知する。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の外側16における扉20から遠ざかるL字状の経路である。
【0106】
図9は、第4実施形態による、扉20の外側16に設けられた室外カメラ300の撮像範囲S内で撮影されるユーザ12、13、14の身体の位置の時間的な変化を説明する図である。
図9に示されるように、室外カメラ300は、撮像方向が扉20の外側16における廊下を向くように、且つ、前述の移動経路が撮像範囲内に含まれるように、廊下の側壁に設けられる。室外カメラ300は、有線又は無線で電気錠110と通信する。室外カメラ300は、カメラ135と同様に、CMOSやCCDなどの撮像素子を含み、
図9に2本の破線状の直線で示される撮像範囲S内の対象物を撮像して画像を生成し、有線通信又は無線通信によって画像を制御部112に出力する。
【0107】
図9に示される通り、ユーザ12が扉20を施錠せずに住居15から外出する場合、室外カメラ300が撮影するユーザ12の身体の画像には、扉20から外側16に出て、扉20から遠退くように廊下を進むユーザ12の前姿、横姿および後姿が映る。なお、本実施形態において、室外カメラ300から制御部112に出力される画像は、静止画とする。
【0108】
格納部136には、前述の移動経路における、互いに直交するX軸およびY軸からなる2次元の位置座標の情報が予め格納されている。本実施形態における扉20は、内側17から外側16への押し扉であって右開きである、よって、扉20から外側16に出たユーザ12が、室外カメラ300の撮像範囲内で扉20によって隠されてしまわないような位置に室外カメラ300が配されている。
【0109】
なお、単に、当該移動経路におけるユーザ12の身体の位置を説明する目的で、
図9には、扉20の左端を原点とするX軸およびY軸の座標軸をそれぞれ、0[cm]から50[cm]毎に200[cm]までの目盛と共に示している。また、同様の目的で、
図9には、X≦100[cm]且つY≦100[cm]の範囲と、100[cm]≦X≦200[cm]且つ100[cm]≦Y≦200[cm]の範囲とがそれぞれ、直線状の破線と各座標軸とで示されている。
【0110】
制御部112は、室外カメラ300からユーザ12の身体の画像を入力されると、画像を解析して画像内におけるユーザ12の身体の特徴量を抽出することで身体を特定し、格納部136を参照することで、ユーザ12の身体の位置座標を特定する。制御部112は更に、特定したユーザ12の身体の位置座標が、格納部136に格納されている予め定められた座標範囲内に含まれるか否かを判断する。例えば
図9に示されるように、時間の経過と共にユーザ12、13、14の身体の位置座標が、1から2を経由して3へと移動して予め定められた座標範囲内となった場合に、ユーザ12が住居15から外出して扉20から遠退いていると判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。
【0111】
図10は、第4実施形態のフロー図である。当該フローステップのS101、および、ステップS125以降の複数のステップは、
図4に示したフローと同一であるので、重複する説明は省略する。なお、
図4のステップS131ではカメラ135による撮影を終了するが、本実施形態では、当該ステップS131において室外カメラ300による撮影を終了する。
【0112】
位置検出部138から解錠情報を入力されると(S101:YES)、室外カメラ300による撮影を開始する、すなわち、タイマ133を参照し、室外カメラ300に静止画を1秒間隔で撮影させて、静止画を、順次、制御部112に出力することを開始させる(ステップS401)。
【0113】
ステップS401に続けて、室外カメラ300の撮像範囲内に人がいるか否か、すなわち、室外カメラ300から入力される画像内に人がいるか否かを判断し(ステップS403)、人がいない場合(ステップS403:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS405)、ステップS403を繰り返す。
【0114】
ステップS403において、画像内に人がいる場合(ステップS403:YES)、人のXY座標を取得する(ステップS407)。ステップS407に続けて、人のXY座標が、X≦100[cm]且つY≦100[cm]の範囲内であるか否かを判断し(ステップS409)、当該範囲内でない場合(ステップS409:NO)、取得したXY座標をリセットし(ステップS411)、タイマ133を参照して1秒待った後(ステップS413)、ステップS403に戻る。なお、ステップS409において、人のXY座標が当該範囲内でないと判断する場合の例は、ユーザ12以外の第3者が室外カメラ300の撮像範囲内で扉20に接近してきた場合などである。
【0115】
ステップS409において、人のXY座標が上記の範囲内である場合(ステップS409:YES)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS415)、室外カメラ300から入力される画像内に人がいるか否かを判断し(ステップS417)、人がいない場合(ステップS417:NO)、ステップS411に戻る。
【0116】
ステップS417において、画像内に人がいる場合(ステップS417:YES)、人のXY座標を取得する(ステップS419)。ステップS419に続けて、人のXY座標が、X≧100[cm]且つY≧200[cm]の範囲内であるか否かを判断し(ステップS421)、当該範囲内でない場合(ステップS421:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後(ステップS423)、ステップS417に戻る。なお、ステップS421において、人のXY座標が上記の範囲内でないと判断する場合の例は、ステップS415で1秒待つ間に、ユーザ12が
図9における1の位置が含まれるX≦100[cm]且つY≦100[cm]の範囲内で留まっている場合や、
図9における1の位置から進んで2の位置にユーザ13がいる場合や、ユーザ12が扉20の内側17に引き返した場合などである。
【0117】
ステップS421において、人のXY座標が上記の範囲内である場合(ステップS421:YES)、
図4のステップS125以降の動作が実行される。よって、扉20が解錠されたままである場合には警告がなされる(S125、S127等)。
【0118】
図9および
図10の第4実施形態によれば、制御部112が、室外カメラ300から入力される画像を解析して、扉20の外側16における、前述の移動経路を移動するユーザ12の身体の位置の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第4実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0119】
なお、扉20が右開きであるか左開きであるか、室外カメラ300が扉20から向かって外側16の左壁に設けられるか右壁に設けられるか、更には、扉20の外側16における共有部分の構造を考慮して、ステップS409およびステップS421の各条件が設定されることが好ましい。
【0120】
図11および
図12は、第5実施形態による電気錠システム10を説明する図である。第5実施形態による電気錠システム10は、カメラ135に代えて、又は、カメラ135に加えて、通過検知部51、52を備える点を除いては第1実施形態による電気錠システム10と同じであるので、重複する説明を省略する。
【0121】
図11および
図12の第5実施形態において、制御部112が、前述の移動経路上の2か所に配された通過検知部51、52による、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の通過検知に基づいて、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の位置の時間的な変化を検知する。換言すると、制御部112は、ユーザ12の身体が前述の移動経路上の2か所を通過したことの時間的な前後を検知することで、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の位置の時間的な変化を検知する。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の内側17における扉20へ近づく経路である。なお、通過検知部51、52は、変化検知部の一例である。
【0122】
図11は、ユーザ12、13の身体が通過検知部51、52を通過したことの時間的な前後を説明する図である。
図11に示されるように、通過検知部51、52はそれぞれ、光の受光面の方向が扉20の内側17における廊下の一方の側壁に設けられるレーザ光発信器に向くように、廊下の他方の側壁に一定間隔で設けられる。通過検知部51、52はそれぞれ、レーザ光発振器から発信されるレーザ光の受信が途絶えることによって、レーザ光発振器との間を人が通過したことを検知する。例えば、
図11に示されるように、通過検知部51および対応するレーザ光発振器は、扉20の内側17における、玄関から室内に上がった箇所に配され、通過検知部52および対応するレーザ光発振器は、扉20の内側17における、玄関の扉20付近に配される。通過検知部52と扉20との間隔は、人がその間に入れない程度に短くすることが好ましい。これにより、通過検知部51および通過検知部52によって順に人の通過が検知された場合、人は扉20を開扉して扉20の外側16に出ていると判断できる。
【0123】
通過検知部51、52は、有線又は無線で電気錠110と通信する。通過検知部51、52は、人の通過を検知したことを示す検知信号を制御部112に出力する。
【0124】
制御部112は、通過検知部51、52から検知信号を入力されると、人が通過検知部51および通過検知部52を順に通過したか否かを判断する。例えば
図11のように、ユーザ12が上記の移動経路を移動して通過検知部51を通過し、一定時間後に、通過検知部52を通過してユーザ13の位置まで移動した場合に、ユーザ13が住居15から外出して扉20から遠退いていく時間的な変化があった判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。
【0125】
図12は、第5実施形態のフロー図である。当該フローが開始すると、通過検知部51および通過検知部52が順に人の通過を検知したか否かを判断し(ステップS501)、当該通過を検知していない場合(ステップS501:NO)、ステップS501を繰り返す。
【0126】
ステップS501において、当該通過を検知した場合(ステップS501:YES)、扉20が解錠されているか否か、すなわち、位置検出部138から解錠情報を入力されているか否かを判断し(ステップS503)、解錠情報が入力されている場合(ステップS503:YES)、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する(ステップS505)。
【0127】
ステップS505に続けて、扉20が施錠されたか否か、すなわち、位置検出部138から施錠情報を入力されたか否かを判断し(ステップS507)、施錠情報が入力されていない場合(ステップS507:NO)、ステップS507を繰り返す。
【0128】
ステップS507において、施錠情報が入力された場合(ステップS507:YES)、室外音声出力部130および発光部131による警告を停止させ(ステップS509)、当該フローは終了する。
【0129】
上記のステップS503において、解錠情報が入力されていない場合、すなわち、施錠情報が入力されている場合にも(ステップS503:NO)、当該フローは終了する。なお、ステップS503:NOから直接フローが終了すると判断することは、ユーザ12が、扉20を施錠してから外出したと判断することを含む。
【0130】
続けて、第5実施形態による電気錠システム10の変形例を、
図13を用いて説明する。
図13は、第6実施形態による、ユーザ12、13の身体が、扉20の内側17に設けられた通過検知部52と、扉20の外側16に設けられた通過検知部53とを通過したことの時間的な前後を説明する図である。第6実施形態による電気錠システム10は、第5実施形態による電気錠システム10の各構成と比較すると、扉20の内側17に設けられた通過検知部51に代えて、扉20の外側16に設けられた通過検知部53を備える点を除いては同じであるので、重複する説明を省略する。なお、通過検知部53も、変化検知部の一例である。本実施形態では、上記の移動経路は、扉20の内側17から外側16に向かう経路である。
【0131】
通過検知部53は、通過検知部51と異なる構成として、
図13に示されるように、光の受光面の方向が扉20の外側16における廊下の一方の側壁に設けられるレーザ光発信器に向くように、廊下の他方の側壁に設けられる。例えば、
図13に示されるように、通過検知部53および対応するレーザ光発振器は、扉20の外側16における、玄関の扉20付近に配される。本実施形態では、扉20は内側17から外側16への押し扉である。通過検知部53と扉20との間隔は、開扉した状態の扉20によって通過検知部53および対応するレーザ光発振器の間が遮られず、通過検知部53が扉20から離れすぎない程度にすることが好ましい。これにより、通過検知部52および通過検知部53によって順に人の通過が検知された場合、人は扉20を開扉して扉20の外側16に出ていると判断できる。なお、第6実施形態による電気錠システム10のフローは、
図12に示される第5実施形態による電気錠システム10のフローのステップS501が、通過検知部52および通過検知部53が順に人の通過を検知したか否かを判断することに変更される点を除いては同じなので、説明を省略する。
【0132】
図11および
図12の第5実施形態および
図13の第6実施形態による電気錠システム10の何れによっても、制御部112が、前述の移動経路上の2か所に配された通過検知部51および通過検知部52の2つによる、又は、通過検知部51および通過検知部53の2つによる、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の通過検知に基づいて、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の位置の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第5実施形態による電気錠システム10および第6実施形態による電気錠システム10の何れも、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0133】
なお、
図11においては、通過検知部52は扉20の内側17における扉20の近傍に、扉20から扉20の内側17に向かって右側の壁に設けられているが、扉20が扉20の内側17から内側17への引き扉である場合には、開扉した状態の扉20によって通過検知部52および対応するレーザ光発振器の間が遮られず、通過検知部52が扉20から離れすぎない程度にすることが好ましい。
図13においても、同様に各事情を考慮して、通過検知部52および通過検知部53と扉20との距離が調整されることが好ましい。
【0134】
以上の複数の実施形態においては、ユーザ12が検知対象物の一例であった。以降の
図14から
図19を用いて説明する複数の実施形態では、検知対象物の一例として、ユーザ12によって所持される、外部と通信する携帯型端末30が用いられる。ここで言う「通信」は、一方向に情報を伝達する場合や、双方向に情報を伝達する場合などを含む。また、「通信」は、電波を送信すること、電波を受信すること、電波を送受信すること、光を送信すること、光を受信すること、光を送受信すること等を含む。
【0135】
図14は、第7実施形態を説明する図である。第7実施形態による電気錠システム10は、カメラ135に代えて、又は、カメラ135に加えて、ユーザ12によって所持される携帯型端末30を備える点で、第1実施形態による電気錠システム10と異なる。本実施形態では、上記の移動経路は、扉20の外側16における扉20から遠ざかる経路である。
【0136】
携帯型端末30は、電源がONの状態で、例えばアドパタイズパケットなどの信号を、例えば1秒毎等の一定時間間隔で、自動的に発信する。そのため、
図14に示されているように、ユーザ12は、携帯型端末30を例えば手持ちのカバン18に入れた状態で、携帯型端末30を操作することなく、住居15から外出してもよい。
【0137】
電気錠110の制御部112は、上記の移動経路を移動する携帯型端末30が一定時間間隔で発信する信号を通信部113から受信して、当該信号の受信強度に基づき、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出する。制御部112は、算出した当該距離に基づいて、電気錠110から、移動経路を移動する携帯型端末30までの距離の時間的な変化を検知する。
【0138】
なお、本実施形態において、扉20の外側16での扉20から携帯型端末30の距離を知りたいので、通信部113は、扉20の内側17にある携帯型端末30から発信される信号を受信できないよう構成されてもよい。例えば、電気錠110の内筐体124の内側に妨害電波を発信する発信部が設けられ、発信部は、扉20の内側17にある携帯型端末30から発信される信号が通信部113によって受信されないよう妨害してもよい。また、追加的に又は代替的に、例えば電気錠110および扉20が電波を遮蔽する部材を含み、扉20の内側17にある携帯型端末30から発信される信号が通信部113によって受信されないよう遮蔽してもよい。
【0139】
図15は、携帯型端末30のブロック図である。電気錠110は、上記の通り、近距離無線通信等により携帯型端末30と無線通信する。
【0140】
携帯型端末30は、例えば住人によって所持されるスマートフォンである。携帯型端末30は、近距離無線通信や赤外線通信の他、電磁誘導式や電波式のRFID(Radio Frequeny Identifer)による無線通信等により、電気錠110とデータ通信する。近距離無線通信規格としては、例えばBLE、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などを用いてもよい。NFCとして、電磁誘導式のFeliCa(登録商標)を用いてもよい。
【0141】
携帯型端末30は、無線通信によって電気錠110との間でデータを送受信する端末送受信部31と、携帯型端末30を制御する端末制御部35とを備える。電気錠110が電気的に携帯型端末30のIDを認証して、例えば扉20を施解錠するなどの何らかの処理を行う場合には、携帯型端末30は更に、電気錠110を施解錠するためのIDを予め格納している端末格納部33を備えてもよい。携帯型端末30がBLE通信を介したID認証によって電気錠を施解錠できるスマートフォンである場合、携帯型端末30には、扉20を施解錠するためのアプリケーションが予めインストールされていてもよい。この場合、当該アプリケーションは、端末送受信部31が電気錠110からアプリケーション立ち上げ用の信号を受信した場合に、バックグラウンドで立ち上がり、電気錠110との間で例えばBLE通信を確立してもよい。この場合、当該無線通信が確立した状態で、端末制御部35は、端末格納部33に予め格納されているIDを読み出して、端末送受信部31からIDを電気錠110に送信してもよい。また、この場合、携帯型端末30と、電気錠110とは、上記の様にBLE通信を確立できるよう、例えばユーザ12が住居15に入居したときにペアリングしてあるものとする。
【0142】
なお、携帯型端末30は、携帯機器の一例である。携帯機器は、携帯型端末30のような端末制御部35を備える通信デバイスや、CPUやディスプレイ等を備えるスマートフォンのみならず、少なくとも、電気錠110とデータ通信する機能と、電気錠110から受信した信号を一時的に記憶する機能とを有する通信デバイスを含んでもよい。携帯機器は、例えば電子キーを含んでもよい。ここで言う電子キーとは、カードキー、ノンタッチキー、リモコンキー等である。
【0143】
図16は、第7実施形態のフロー図である。当該フローのステップS101、および、ステップS125以降のステップは、
図4に示したフローと同一であるので、重複する説明は省略する。なお、
図4のステップS131ではカメラ135による撮影を終了するが、本実施形態では、当該ステップS131において携帯型端末30から受信する信号の受信強度の測定を終了する。
【0144】
位置検出部138から解錠情報を入力されると(S101:YES)、携帯型端末30から1秒ごとに受信する信号の受信強度の測定、すなわち、電気錠110から携帯型端末30までの距離の算出を開始する(ステップS601)。
【0145】
ステップS601に続けて、扉20から100cm以内に携帯型端末30があるか否かを判断し(ステップS603)、携帯型端末30がない場合(ステップS603:NO)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS605)、ステップS603を繰り返す。なお、携帯型端末30から1秒ごとに信号が送信されるので、ステップS605においてタイマ133を参照せずに、順次受信する信号についてステップS603を繰り返してもよい。
【0146】
ステップS603において、扉20から100cm以内に携帯型端末30がある場合(ステップS603:YES)、タイマ133を参照して1秒待った後に(ステップS607)、扉20から携帯型端末30までの距離が100cmよりも長いか否かを判断する(ステップS609)。なお、携帯型端末30から1秒ごとに信号が送信されるので、ステップS607においてタイマ133を参照せずに、ステップS603の判断に用いた信号の次に受信した信号についてステップS609の判断を実行するようにしてもよい。
【0147】
ステップS609において、扉20から携帯型端末30までの距離が予めさだめられた一定距離、例えば100cmよりも長くない場合(ステップS609:NO)、ステップS603に戻る。なお、ステップS609において、扉20から携帯型端末30までの距離が100cmよりも長くないと判断する場合は、ステップS607で1秒待つ間に、携帯型端末30を所持しているユーザ12が扉20から100cm以内で立ち位置を変えずに留まっている場合や、携帯型端末30を所持しているユーザ12が扉20の内側17に引き返した場合などである。
【0148】
ステップS609において、扉20から携帯型端末30までの距離が100cmよりも長い場合(ステップS609:YES)、
図4のステップS125以降の動作が実行される。よって、扉20が解錠されたままである場合には警告がなされる(S125、S127等)。
【0149】
図14、
図15および
図16の第7実施形態による電気錠システム10によれば、制御部112が、扉20の外側16における、移動経路を移動する携帯型端末30が一定時間間隔で発信する信号を通信部113から受信して、当該信号の受信強度に基づき、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出し、当該距離の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第7実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0150】
なお、第7実施形態による電気錠システム10は、移動経路を移動する携帯型端末30が一定時間間隔で自動的に信号を発信する構成として説明したが、代替的に、電気錠110が通信部113から信号を発信して、携帯型端末30が当該信号を受信したら確認信号を返信し、制御部112は、通信部113から受信した確認信号の受信強度に基づいて、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出してもよい。
【0151】
なお、第7実施形態による電気錠システム10は、制御部112が、携帯型端末30から一定時間間隔で発信される信号の受信強度に基づいて電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出する構成として説明したが、追加的に又は代替的に、携帯型端末30から一定時間間隔で発信される信号を受信する時間間隔の変化に基づいて、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出してもよい。また、追加的に又は代替的に、電気錠110が通信部113から信号を発信して、携帯型端末30が当該信号を受信したら確認信号を返信し、制御部112は、通信部113から信号を発信してから確認信号を受信するまでの時間に基づいて、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出してもよい。
【0152】
図17は、第8実施形態による電気錠システム10を説明する図である。第8実施形態による電気錠システム10は、追加的に、電波受信部61、62を備える点を除いては第7実施形態と同じであるので、重複する説明を省略する。
【0153】
図17に示す第8実施形態において、制御部112が、前述の移動経路上で少なくとも一部が互いに異なっている2つの通信範囲に対応する、当該移動経路上の2か所に配された電波受信部61、62による、当該移動経路を移動する携帯型端末30の通過検知に基づいて、当該移動経路を移動する携帯型端末30の位置の時間的な変化を検知する。換言すると、制御部112は、携帯型端末30が前述の移動経路上で少なくとも一部が互いに異なっている2つの通信範囲を通過したことの時間的な前後を検知することで、当該移動経路を移動するユーザ12の身体の位置の時間的な変化を検知する。本実施形態では、当該移動経路は、扉20の内側17における扉20に近づく経路である。
図17は、第8実施形態による、ユーザ12、13によって所持される携帯型端末30が、扉20の内側17の2か所に設けられた電波受信部61、62の各通信範囲(a)、(b)を通過したことの時間的な前後を説明する図である。
図17において、電波受信部61、62は、相対的に小さな破線の円で示されており、各通信範囲(a)、(b)は、相対的に大きな破線の円で示されている。なお、電波受信部61、62は、変化検知部の一例である。
【0154】
図17に示されるように、電波受信部61、62はそれぞれ、各通信範囲(a)、(b)が前述の移動経路上において少なくとも一部で互いに異なるように、扉20の内側17における廊下の天井又は床に一定間隔で設けられる。また、扉20の内側17において、電波受信部61は、電波受信部62よりも扉20から遠い側に設けられている。電波受信部61、62はそれぞれ、前述した携帯型端末30から発信される信号を受信することによって、各通信範囲を携帯型端末30が通過したことを検知する。なお、例えば
図17に示されるように、扉20の内側17において、電波受信部61より扉20に近い側に設けられている電波受信部62の通信範囲(b)は、扉20が含まれるように設定されることが好ましい。または、これに代えて、通信範囲(b)は、通信範囲(b)と扉20との間に人が入れない程度に扉20に近くなるよう設定されることが好ましい。これにより、電波受信部61および電波受信部62によって順に携帯型端末30の通過が検知された場合、携帯型端末30を所持しているユーザ12は扉20を開扉して扉20の外側16に出ていると判断できる。
【0155】
電波受信部61、62は、有線又は無線で電気錠110と通信する。電波受信部61、62は、携帯型端末30の通過を検知したことを示す検知信号を制御部112に出力する。
【0156】
制御部112は、電波受信部61、62から検知信号を入力されると、携帯型端末30が電波受信部61および電波受信部62を順に通過したか否かを判断する。例えば
図17のように、ユーザ12が上記の移動経路を移動して電波受信部61の通信範囲(a)を通過し、一定時間後に、電波受信部62の通信範囲(b)を通過してユーザ13の位置まで移動した場合に、ユーザ13が住居15から外出して扉20から遠退いていると判断する。このとき、扉20が施錠されていなければ、制御部112は、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。なお、第8実施形態による電気錠システム10のフローは、
図12に示される第5実施形態による電気錠システム10のフローのステップS501が、電波受信部61および電波受信部62が順に携帯型端末30の通過を検知したか否かを判断することに変更される点を除いては同じなので、説明を省略する。
【0157】
図18は、第9実施形態による電気錠システム10の変形例を示す。
図18は、第9実施形態による、ユーザ12、13の身体が、扉20の内側17に設けられた電波受信部62の通信範囲(b)と、扉20の外側16に設けられた電波受信部63の通信範囲(c)とを通過したことの時間的な前後を説明する図である。第9実施形態による電気錠システム10は、第8実施形態による電気錠システム10の各構成と比較すると、扉20の内側17に設けられた電波受信部61に代えて、扉20の外側16に設けられた電波受信部63を備える点を除いては同じであるので、重複する説明を省略する。なお、電波受信部63も、変化検知部の一例である。本実施形態では、上記の移動経路は、扉20の内側17から外側16に向かう経路である。
【0158】
電波受信部63は、電波受信部61と異なる構成として、
図18に示されるように、電波受信部63の通信範囲(c)が電波受信部61の通信範囲(a)と前述の移動経路上において少なくとも一部で互いに異なるように、扉20の外側16における廊下の天井又は床に一定間隔で設けられる。なお、第9実施形態による電気錠システム10のフローも、
図12に示される第5実施形態による電気錠システム10のフローのステップS501が、電波受信部62および電波受信部63が順に携帯型端末30の通過を検知したか否かを判断することに変更される点を除いては同じなので、説明を省略する。
【0159】
図17の第8実施形態および
図18の第9実施形態による電気錠システム10の何れによっても、制御部112が、前述の移動経路上で少なくとも一部が互いに異なっている2つの通信範囲に対応する、当該移動経路上の2か所に配された電波受信部61および電波受信部62の2つによる、又は、電波受信部62および電波受信部63の2つによる、当該移動経路を移動する携帯型端末30の通過検知に基づいて、当該移動経路を移動する携帯型端末30の位置の時間的な変化を検知したときに、位置検出部138から解錠情報を入力されている場合に、室外音声出力部130および発光部131から警告を開始する。これにより、第8実施形態による電気錠システム10および第9実施形態による電気錠システム10の何れも、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0160】
図19は、第10実施形態による携帯型端末30のブロック図である。第10実施形態による携帯型端末30は、
図15のブロック図を用いて説明した
図14から
図18の複数の実施形態による携帯型端末30と異なる構成として、
図19に示されるように、追加的に、端末発光部37、端末発振部38および端末音声出力部39を備える。端末発光部37、端末発振部38および端末音声出力部39は何れも、警告部の一例であって、端末制御部35に有線接続される。端末発光部37および端末音声出力部39はそれぞれ、電気錠110の発光部131および室外音声出力部130と同じ機能構成を有するので、重複する説明を省略する。端末発振部38は、例えばスマートフォンに内蔵されるバイブレータであって、制御部112からの指示信号を入力されると、任意の周期、強度および時間で発振する。
【0161】
第10実施形態において、端末制御部35は、電気錠110の制御部112における変化検知部としての機能を有してもよい。ただし、この場合には、電気錠110の位置検出部138からの施錠情報および解錠情報が携帯型端末30に送信される構成、および、電気錠110の開閉検出部140からの開扉情報および閉扉情報が携帯型端末30に送信される構成、の少なくとも一方が必要である。
【0162】
例えば
図14から
図16を用いて説明した第7実施形態による電気錠システム10において、電気錠110の制御部112は、通信部113から信号を一定時間間隔で発信し、端末制御部35は、端末送受信部31によって受信した当該信号の受信強度や、当該信号を受信する時間間隔の変化に基づいて、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出してもよい。また、追加的に又は代替的に、端末制御部35が端末送受信部31から信号を発信して、電気錠110が当該信号を受信したら確認信号を返信し、端末制御部35は、端末送受信部31から信号を発信してから確認信号を受信するまでの時間に基づいて、電気錠110から携帯型端末30までの距離を算出してもよい。そして、端末制御部35が、算出した当該距離に基づいて、電気錠110から、移動経路を移動する携帯型端末30までの距離の時間的な変化を検知したときに、電気錠110の位置検出部138から解錠情報を受信している場合に、端末音声出力部39、端末発光部37および端末発振部38の少なくとも1つから警告を開始する。このような第10実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0163】
また、例えば
図17を用いて説明した第8実施形態による電気錠システム10、および、
図18を用いて説明した第9実施形態による電気錠システム10において、電波受信部61、62、63のそれぞれを、例えば1秒毎等の一定時間間隔で自動的に信号を発信する電波送信部とし、端末制御部35は、扉20の内側17における、前述の移動経路上の2か所に配された2つの電波送信部から信号を受信することによる、又は、扉20の内側17および外側16における、前述の移動経路上の2か所に配された2つの電波送信部から信号を受信することによる、当該移動経路を移動する携帯型端末30の通過検知に基づいて、当該移動経路を移動する携帯型端末30の位置の時間的な変化を検知したときに、電気錠110の位置検出部138から解錠情報を受信している場合に、端末音声出力部39、端末発光部37および端末発振部38の少なくとも1つから警告を開始する。このような第10実施形態による電気錠システム10も、第1実施形態による電気錠システム10と同様の効果を有する。
【0164】
なお、この場合、
図17の第8実施形態および
図18の第9実施形態による電気錠システム10の何れにおいても、上記の複数の電波送信部から発信される信号は、電波送信部毎に、周波数が異なっていたり、電波強度が異なっていたりしてもよい。周波数が異なる一例として、
図17の第8実施形態において、電波受信部61、62のそれぞれの位置に電波送信部が設けられ、電波受信部61に対応する電波送信部はLF(Low Frequency)を発信し、電波受信部62に対応する電波送信部はBLEを発信してもよい。この場合、上記の移動経路を移動する携帯型端末30の端末制御部35は、LFおよびBLEの受信および切断が順に生じることによって、当該移動経路を移動する携帯型端末30の通過検知を行う。
【0165】
電波強度が異なる一例として、
図17の第8実施形態において、電波受信部61、62のそれぞれの位置に電波送信部が設けられ、電波受信部61に対応する電波送信部は相対的に電波強度が強い信号を発信し、電波受信部62に対応する電波送信部は相対的に電波強度が弱い信号を発信してもよい。この場合、電波受信部61に対応する電波送信部の通信範囲は、電波受信部62に対応する電波送信部の通信範囲を内包してもよい。この場合、上記の移動経路を移動する携帯型端末30の端末制御部35は、例えば両方の電波送信部からの信号を受信した後に、電波受信部61に対応する電波送信部の信号のみを受信するようになり、その後、何れの信号も受信しなくなったことによって、当該移動経路を移動する携帯型端末30の通過検知を行う。
【0166】
以上の複数の実施形態において、ユーザが住居から外出する場合に、扉の錠の閉め忘れを防止する電気錠システムを説明した。当該電気錠システムは、ユーザが住居に入室する場合に、扉の錠の閉め忘れを防止することにも適用可能である。この場合、上記の変化検知部は、追加的に又は代替的に、検知対象物が、ユーザが入室する場合の検知対象物の移動経路を移動していることを示す、検知対象物の時間的な変化を検知する。また、この場合、上記のカメラ、赤外線発信部、赤外線受信部、発光部、室外カメラなどの構成は、追加的に又は代替的に、扉の室内側に設けられる。
【0167】
以上の複数の実施形態のうち、
図11および
図12の実施形態、
図13の実施形態、
図17の実施形態、および、
図18の実施形態では、それぞれ移動経路上に設けられた2つの変化検知部を備える構成として説明したが、そのような変化検知部は、移動経路上で3つ以上設けられていてもよい。
【0168】
以上の複数の実施形態において、例えば室外音声出力部や発光部などの警告部は、例えば制御部などの変化検知部によって、移動経路を移動する検知対象物の時間的な変化が検知されたときに、例えば位置検出部や開閉検出部などの検出部によって扉の解錠および開扉の少なくとも何れかが検出されていて、且つ、変化検知部によって上記の変化が検知されてから予め定められた時間が経過した場合に警告するように構成されてもよい。当該予め定められた時間を示す情報は、格納部に予め格納されてもよく、制御部が格納部及びタイマを参照して、当該予め定められた時間が経過したときに警告部に指示信号を出力してもよい。
【0169】
以上の複数の実施形態において説明したフローでは、原則的に、扉が解錠された状態で、第3者が扉の外側から扉に接近した後に扉から遠退いて行く場合にも警告を開始することになるが、電気錠は、住居から外出するユーザと、外部から扉に接近してくる第3者とを識別して、第3者に対しては警告しなくてもよい。これにより、扉が解錠していることを第3者に認知されることを防止できる。
【0170】
以上の複数の実施形態において、電気錠は、サムターンの回転運動を電気的に伝達するものとして説明したが、これに代えて、電気錠は、サムターンの回転運動を機械的に伝達してもよい。より具体的には、電気錠の内部に例えばラック・アンド・ピニオンが設けられ、サムターンの回転運動が、デッドボルトを一方向に進退させるための直線運動に変換されて、デッドボルトへと伝達されてもよい。この場合、サムターンは、制御部に電気的に有線接続されなくてもよい。なお、サムターンは、回転運動が電気的に伝達されるか機械的に伝達されるかに拘わらず、他の方法で電気錠が施解錠されると、電気錠の施解錠に連動して対応する方向に自動で回転する。
【0171】
以上の複数の実施形態において、電気錠にはテンキーがあってもよく、ユーザがテンキー入力することで、認証および施解錠を行ってもよい。また、電気錠に緊急事態用ボタンがあってもよく、緊急事態用ボタンの押下操作がトリガとなって携帯型端末などの外部機器との通信を開始してもよい。
【0172】
以上の複数の実施形態において、携帯型端末は、外部と通信する構成の一例として、電波を送受信できる構成とし、電波受信部は携帯型端末の電波を受信する構成とし、電波送信部は携帯型端末の電波を送信する構成として説明した。追加的に又は代替的に、携帯型端末は、外部と光通信できる構成とし、これに対応して、電波受信部や電波送信部などと同様の機能を有する、携帯型端末と光通信する光通信部を設けてもよい。
【0173】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0174】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0175】
10 電気錠システム、12、13、14 ユーザ、15 住居、16 外側、17 内側、18 カバン、20 扉、22 ハンドル、30 携帯型端末、31 端末送受信部、33 端末格納部、35 端末制御部、37 端末発光部、38 端末発振部、39 端末音声出力部、40 操作盤、51、52、53 通過検知部、61、62、63 電波受信部、110 電気錠、112 制御部、113 通信部、114 リーダ、116 サムターン、118 シリンダ、120 デッドボルト、122 シリンダカバー、124 内筐体、126 外筐体、128 アクチュエータ、129 室内音声出力部、130 室外音声出力部、131 発光部、132 電源、133 タイマ、134 残量計測部、135 カメラ、136 格納部、137 室外起動ボタン、138 位置検出部、139 室内起動ボタン、140 開閉検出部、143 赤外線発信部、145 赤外線受信部、200、300 室外カメラ