(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/305 20220101AFI20220722BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20220722BHJP
F24H 15/12 20220101ALI20220722BHJP
F24H 15/14 20220101ALI20220722BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20220722BHJP
【FI】
F24H15/305
F24H15/315
F24H15/12
F24H15/14
F24H15/238
(21)【出願番号】P 2018011625
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井浪 裕基
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-031436(JP,A)
【文献】特開2003-214701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/305
F24H 15/315
F24H 15/12
F24H 15/14
F24H 15/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに接続されており、前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯路と、
前記出湯路に設けられており、前記出湯路を開閉する第1弁と、
前記第1弁を介して前記出湯路に接続されており、前記出湯路によって前記貯湯タンクから出湯された湯を温水利用箇所に供給する給湯路と、
水を加熱するヒートポンプと、
前記貯湯タンクと前記ヒートポンプに接続されており、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプの間で水を循環させる循環路と、
前記第1弁を介して前記給湯路に接続されており、前記第1弁を介して前記給湯路に水を供給する給水路と、
前記給湯路に設けられており、前記給湯路内の水を加熱する補助熱源機と、
前記出湯路を流れる湯の流量を検出する流量検出手段と、
前記補助熱源機より上流側の前記給湯路と前記補助熱源機より下流側の前記給湯路とに接続されており、前記補助熱源機より上流側の前記給湯路内の水を前記補助熱源機より下流側の前記給湯路内へ供給するバイパス路と、
前記給湯路において前記バイパス路の上流端が接続する箇所と前記バイパス路の下流端が接続する箇所の間に設けられており、前記給湯路を開閉する第2弁と、
前記バイパス路に設けられており、前記バイパス路を開閉する第3弁と、
制御装置と、を備えており、
前記第1弁が前記出湯路を開放している状態で前記貯湯タンクから湯を出湯して温水利用箇所に供給する給湯運転と、前記第1弁が前記出湯路を閉鎖している状態で前記貯湯タンクと前記ヒートポンプの間で水を循環させて前記貯湯タンク内の水を前記ヒートポンプによって加熱する滅菌運転と、を実行可能に構成されており、
前記第1弁は、前記制御装置から受信する動作指令情報に基づいて動作して前記出湯路を開閉するように構成されており、
前記第1弁は、前記給水路を開閉可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1弁によって前記出湯路を閉鎖して前記滅菌運転を実行するときに、前記第1弁によって前記給水路を開放して前記給湯路に水を供給すると共に、前記補助熱源機を動作させて前記給湯路内の水を加熱し、
前記制御装置は、前記滅菌運転を実行している場合であって、前記流量検出手段によって検出される流量が所定流量より多い場合は、前記第2弁によって前記給湯路を閉鎖すると共に、前記第3弁によって前記バイパス路を閉鎖する、給湯装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記出湯路の開度に対応する開閉状態情報を記憶しており、前記第1弁が前記出湯路を開閉するように動作指令情報を前記第1弁に送信すると共に、記憶している開閉状態情報を前記第1弁が動作した後の前記出湯路の開度を示す値に変更し、所定の滅菌運転実行条件が成立した場合は、前記第1弁が前記出湯路を閉鎖する状態よりも更に前記第1弁が前記出湯路を閉鎖する側に動作するように動作指令情報を前記第1弁に送信すると共に、そのときに記憶している開閉状態情報を前記出湯路が閉鎖されていることを示す値に変更する、請求項1に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に給湯装置が開示されている。特許文献1の給湯装置は、貯湯タンクと、貯湯タンクから湯を出湯する出湯路と、出湯路を開閉する弁と、出湯路によって貯湯タンクから出湯された湯を温水利用箇所に供給する給湯路と、を備えている。また、特許文献1の給湯装置は、水を加熱するヒートポンプと、貯湯タンクとヒートポンプの間で水を循環させる循環路と、制御装置と、を備えている。この給湯装置は、弁が出湯路を開放している状態で貯湯タンクから湯を出湯して温水利用箇所に供給する給湯運転と、弁が出湯路を閉鎖している状態で貯湯タンクとヒートポンプの間で水を循環させて貯湯タンク内の水をヒートポンプによって加熱する滅菌運転と、を実行可能に構成されている。給湯運転の実行時には弁が出湯路を開放しており、滅菌運転の実行時には弁が出湯路を閉鎖している。これによって、滅菌運転の実行時に貯湯タンク内の湯が温水利用箇所に供給されることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁によって出湯路が開閉する給湯装置では、出湯路の開度に対応する開閉状態情報を制御装置が記憶していることがある。このような給湯装置では、長期にわたる給湯装置の使用において弁が出湯路を何度も開閉する過程で、出湯路の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路の開度との間で不一致が生じることがある。このような不一致は、例えば出湯路を開閉する弁に異物が詰まることによって生じる。あるいは、例えば給湯装置における電気的な接触不良が原因で上記の不一致が生じる。このような不一致が生じると、出湯路の実際の開度を制御装置が正確に特定することができず、給湯運転の実行時に温水利用箇所に供給する湯の流量を正確に調整することができなくなることがある。また、滅菌運転の実行時に、制御装置が出湯路を閉鎖するように動作指令信号を弁に送信しても、実際には出湯路が閉鎖されずに、貯湯タンク内の湯が温水利用箇所に供給されてしまう可能性がある。そこで、本明細書では、出湯路の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路の開度との間で生じる不一致を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する給湯装置は、貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続されており、前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯路と、前記出湯路に設けられており、前記出湯路を開閉する第1弁と、前記第1弁を介して前記出湯路に接続されており、前記出湯路によって前記貯湯タンクから出湯された湯を温水利用箇所に供給する給湯路と、水を加熱するヒートポンプと、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプに接続されており、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプの間で水を循環させる循環路と、前記第1弁を介して前記給湯路に接続されており、前記第1弁を介して前記給湯路に水を供給する給水路と、前記給湯路に設けられており、前記給湯路内の水を加熱する補助熱源機と、前記出湯路を流れる湯の流量を検出する流量検出手段と、前記補助熱源機より上流側の前記給湯路と前記補助熱源機より下流側の前記給湯路とに接続されており、前記補助熱源機より上流側の前記給湯路内の水を前記補助熱源機より下流側の前記給湯路内へ供給するバイパス路と、前記給湯路において前記バイパス路の上流端が接続する箇所と前記バイパス路の下流端が接続する箇所の間に設けられており、前記給湯路を開閉する第2弁と、前記バイパス路に設けられており、前記バイパス路を開閉する第3弁と、制御装置と、を備えている。前記第1弁が前記出湯路を開放している状態で前記貯湯タンクから湯を出湯して温水利用箇所に供給する給湯運転と、前記第1弁が前記出湯路を閉鎖している状態で前記貯湯タンクと前記ヒートポンプの間で水を循環させて前記貯湯タンク内の水を前記ヒートポンプによって加熱する滅菌運転と、を実行可能に構成されている。前記第1弁は、前記制御装置から受信する動作指令情報に基づいて動作して前記出湯路を開閉するように構成されている。前記第1弁は、前記給水路を開閉可能に構成されている。前記制御装置は、前記第1弁によって前記出湯路を閉鎖して前記滅菌運転を実行するときに、前記第1弁によって前記給水路を開放して前記給湯路に水を供給すると共に、前記補助熱源機を動作させて前記給湯路内の水を加熱する。前記制御装置は、前記滅菌運転を実行している場合であって、前記流量検出手段によって検出される流量が所定流量より多い場合は、前記第2弁によって前記給湯路を閉鎖すると共に、前記第3弁によって前記バイパス路を閉鎖する。
【0006】
この構成によれば、滅菌運転の実行時に第1弁によって出湯路が閉鎖されている状態であっても、給水路によって水が供給され、その水が補助熱源機によって加熱される。補助熱源機によって加熱された水が温水利用箇所に供給される。そのため、滅菌運転の実行時であっても、温水利用箇所に湯を供給することができる。
【0007】
滅菌運転の実行時に第1弁が出湯路を閉鎖した状態であっても、出湯路が完全に密閉されないことがあり得る。例えば、第1弁と出湯路の間に異物が挟まって両者の間に隙間が生じており、その隙間から湯が漏れ出すことが考えられる。あるいは、例えば第1弁が故障しており、出湯路が完全に密閉されないことが考えられる。このような場合には、滅菌運転の実行時に、貯湯タンク内の湯が温水利用箇所に供給されてしまう可能性がある。
【0008】
本明細書に開示する給湯装置では、制御装置が、滅菌運転を実行している場合であって、流量検出装置によって検出される流量が所定流量より多い場合は、第2弁によって給湯路を閉鎖すると共に、第3弁によってバイパス路を閉鎖する。これによって、出湯路が完全に密閉されない場合であっても、出湯路を流れる湯の流量が所定流量より多い場合は、出湯路より下流側の給湯路とバイパス路とが閉鎖されるので、滅菌運転の実行時に貯湯タンク内の湯が温水利用箇所に供給されることが抑制される。
【0009】
いくつかの実施例に係る給湯装置では、前記制御装置は、前記出湯路の開度に対応する開閉状態情報を記憶しており、前記第1弁が前記出湯路を開閉するように動作指令情報を前記第1弁に送信すると共に、記憶している開閉状態情報を前記第1弁が動作した後の前記出湯路の開度を示す値に変更し、所定の滅菌運転実行条件が成立した場合は、前記第1弁が前記出湯路を閉鎖する状態よりも更に前記第1弁が前記出湯路を閉鎖する側に動作するように動作指令情報を前記第1弁に送信すると共に、そのときに記憶している開閉状態情報を前記出湯路が閉鎖されていることを示す値に変更してもよい。
【0011】
以上のように、本明細書に開示する給湯装置では、滅菌運転の実行時に、出湯路の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路の開度とを正確に一致させることができる。これにより、給湯運転の実行時に温水利用箇所に供給する湯の流量を正確に調整することができる。また、滅菌運転の実行時に貯湯タンク内の湯が温水利用箇所に供給されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例に係る給湯装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施例に係る給湯装置で実行される開閉処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施例に係る給湯装置で実行される初期化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1実施例に係る給湯装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、第1実施例に係る給湯装置2は、タンクユニット4と、ヒートポンプ(HP)ユニット6と、燃焼ユニット8を備えている。
【0015】
HPユニット6は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、R744といったCO2冷媒)を循環させるための冷媒循環路52と、空気熱交換器54と、ファン56と、圧縮機62と、流体熱交換器58と、膨張弁60と、循環ポンプ22を備えている。
【0016】
空気熱交換器54は、ファン56によって送風された外気と冷媒循環路52内の冷媒との間で熱交換させる。圧縮機62は、気相状態の冷媒を加圧して送り出す。流体熱交換器58は、冷媒循環路52内の冷媒と、後述のタンク水循環路20内の給湯用水の間で熱交換させる。膨張弁60は、液相状態の冷媒を断熱膨張させて減圧する。空気熱交換器54と、圧縮機62と、流体熱交換器58と、膨張弁60によって、ヒートポンプ50が構成されている。
【0017】
ヒートポンプ50では、圧縮機62から送り出される高温高圧の気相状態の冷媒が、流体熱交換器58へ流入する。冷媒は、流体熱交換器58を通過する際に放熱して凝縮し、液相状態となる。流体熱交換器58を通過した液相状態の冷媒は、膨張弁60で減圧される。膨張弁60を通過した低温低圧の液相状態の冷媒が、空気熱交換器54へ流入する。冷媒は、空気熱交換器54を通過する際に吸熱して蒸発し、気相状態となる。空気熱交換器54を通過した気相状態の冷媒は、圧縮機62へ戻される。すなわち、HPユニット6は、空気熱交換器54で外気から吸熱し、流体熱交換器58で給湯用水を加熱する、ヒートポンプ熱源機として動作する。
【0018】
HPユニット6は、HPコントローラ102を備えている。HPコントローラ102は、CPU、メモリ等を備えている。メモリには各種の運転プログラムが格納されている。メモリには、HPコントローラ102に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが記憶される。HPコントローラ102は、CPUがメモリに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、HPユニット6の各構成要素の動作を制御する。
【0019】
タンクユニット4は、貯湯タンク10を備えている。貯湯タンク10は、HPユニット6によって加熱された給湯用水(湯)を貯える。本実施例では、貯湯タンク10に貯えられる給湯用水は、水道水である。貯湯タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。貯湯タンク10内には満水まで給湯用水が貯留される。貯湯タンク10には、サーミスタ12、14、16、18が貯湯タンク10の高さ方向に所定間隔で取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の給湯用水の温度を検出する。例えば、各サーミスタ12、14、16、18は、それぞれ、貯湯タンク10の上部から6L、12L、30L、50Lの位置の水の温度を検出する。各サーミスタ12、14、16、18の検出温度から、貯湯タンク10の蓄熱状態を特定することができる。
【0020】
タンク水循環路20は、上流端が貯湯タンク10の下部に接続されており、HPユニット6の流体熱交換器58を通過して、下流端が貯湯タンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20は、貯湯タンク10とHPユニット6の間で給湯用水を循環させる。タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、タンク水循環路20内の給湯用水を上流側から下流側へ送り出す。HPユニット6が、ヒートポンプ50を作動させて、循環ポンプ22を駆動すると、貯湯タンク10の下部の給湯用水が流体熱交換器58に送られて加熱され、加熱された給湯用水が貯湯タンク10の上部に戻される。貯湯タンク10の内部には、低温の給湯用水の層の上に高温の給湯用水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0021】
水道水導入路24は、上流端が給湯装置2の外部の水道水供給源32に接続されている。水道水導入路24の下流側は、第1給水路24aと第2給水路24bに分岐している。第1給水路24aの下流端は、貯湯タンク10の下部に接続されている。第2給水路24bの下流端は、後述する出湯路25に設けられている混合弁30(第1弁の一例)に接続されている。第1給水路24aには、逆止弁26が介装されている。第2給水路24bには、逆止弁28が介装されている。なお、水道水導入路24を流れる給湯用水の温度(給水温度)は、図示しない給水温度サーミスタにより検出することができる。
【0022】
出湯路25は、上流端が貯湯タンク10の上部に接続されている。出湯路25は、貯湯タンク10内の湯を、貯湯タンク10の上部から出湯する。出湯路25の下流端には混合弁30が設けられている。混合弁30は、出湯路25を開閉する。混合弁30には、第1給湯路36が接続されている。混合弁30を介して出湯路25と第1給湯路36が接続されている。また、上述したように、混合弁30には、第2給水路24bが接続されている。混合弁30は、第2給水路24bを開閉する。混合弁30を介して第2給水路24bと第1給湯路36が接続されている。混合弁30を介して第2給水路24bから第1給湯路36へ水が供給される。混合弁30は、出湯路25から第1給湯路36へ流入する高温の給湯用水(湯)の流量と、第2給水路24bから第1給湯路36へ流入する低温の水道水の流量の割合を調整する。
【0023】
混合弁30は、ステッピングモータ31を備えている。混合弁30の弁体(図示省略)がステッピングモータ31の駆動によって動作する。ステッピングモータ31は、後述するタンクコントローラ104から動作指令情報を受信する。タンクコントローラ104は、混合弁30の弁体の初期位置から動作指令情報により動作した位置を開閉状態情報としてメモリに記憶する。ステッピングモータ31は、動作指令情報に基づいて動作する。動作指令情報は、例えば、ステッピングモータ31が回転するときのステップ角度を特定する信号である。動作指令情報は、計算に基づいて算出されてもよい。ステッピングモータ31が動作指令情報に基づいて動作することによって、混合弁30が出湯路25や第2給水路24bをステップ角度分だけ開閉する。動作指令情報に応じて出湯路25の開度および第2給水路24bの開度が変化する。混合弁30が出湯路25を全開にして第2給水路24bを全閉にしている場合は、混合弁30より下流側の第1給湯路36へ出湯路25から湯が供給され、第2給水路24bから水が供給されない。一方、混合弁30が出湯路25を全閉にして第2給水路24bを全開にしている場合は、混合弁30より下流側の第1給湯路36へ出湯路25から湯が供給されず、第2給水路24bから水が供給される。
【0024】
また、出湯路25には流量検出手段として流量検出装置45が設けられている。流量検出装置45は、出湯路25を流れる湯の流量を検出する。出湯路25が混合弁30によって完全に閉鎖されている場合は、出湯路25を流れる湯の流量が0(ゼロ)になる。
【0025】
混合弁30より下流側の第1給湯路36は、燃焼ユニット8の給湯加熱路37を介して、第2給湯路39に接続されている。第2給湯路39の下流端は給湯栓38(温水利用箇所の一例)に接続されている。第1給湯路36と給湯加熱路37と第2給湯路39は、出湯路25から出湯された給湯用水(湯)を給湯栓38に供給する。また、第1給湯路36と給湯加熱路37と第2給湯路39は、第2給水路24bから供給された給湯用水を給湯栓38に供給する。
【0026】
第1給湯路36と第2給湯路39には、熱源機バイパス路33が接続されている。熱源機バイパス路33は、第1給湯路36内の水を第2給湯路39内へ供給する。熱源機バイパス路33にはバイパス弁34(第3弁の一例)が設けられている。バイパス弁34は、熱源機バイパス路33を開閉し、熱源機バイパス路33を流れる給湯用水の流量を調整する。
【0027】
バイパス弁34は、ステッピングモータ35を備えている。バイパス弁34の弁体(図示省略)がステッピングモータ35の駆動によって動作する。ステッピングモータ35は、後述するタンクコントローラ104から動作指令情報を受信する。ステッピングモータ35は、動作指令情報に基づいて動作する。動作指令情報は、例えば、ステッピングモータ35が回転するときのステップ角度を特定する信号である。ステッピングモータ35が動作指令情報に基づいて動作することによって、バイパス弁34が熱源機バイパス路33を開閉する。動作指令情報に応じて熱源機バイパス路33の開度が変化する。
【0028】
タンクユニット4は、タンクコントローラ104を備えている。タンクコントローラ104は、CPU、メモリ等を備えている。メモリには各種の運転プログラムが格納されている。また、メモリには、タンクコントローラ104に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが記憶される。タンクコントローラ104は、CPUがメモリに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、タンクユニット4の各構成要素の動作を制御する。
【0029】
また、タンクコントローラ104のメモリには出湯路25の開度に対応する開閉状態情報が記憶されている。出湯路25の開度は、混合弁30によって出湯路25が閉鎖されている場合は0%(ゼロパーセント)である。
【0030】
燃焼ユニット8は、給湯用水加熱バーナ81(補助熱源機の一例)を備えている。給湯用水加熱バーナ81は、給湯加熱路37に設けられている。給湯用水加熱バーナ81は、燃料(例えば都市ガスなどの燃料ガス)の燃焼によって給湯加熱路37内の給湯用水を加熱する、燃焼熱源機である。給湯用水加熱バーナ81よりも上流側の給湯加熱路37には、水量調整弁43(第2弁の一例)が介装されている。水量調整弁43は、熱源機バイパス路33の上流端が第1給湯路36に接続する箇所と熱源機バイパス路33の下流端が第2給湯路39に接続する箇所の間に設けられている。水量調整弁43は、給湯加熱路37を開閉し、給湯加熱路37を流れる給湯用水の流量を調整する。
【0031】
水量調整弁43は、ステッピングモータ44を備えている。水量調整弁43の弁体(図示省略)がステッピングモータ44の駆動によって動作する。ステッピングモータ44は、後述する燃焼コントローラ106から動作指令情報を受信する。ステッピングモータ44は、動作指令情報に基づいて動作する。動作指令情報は、例えば、ステッピングモータ44が回転するときのステップ角度を特定する信号である。ステッピングモータ44が動作指令情報に基づいて動作することによって、水量調整弁43が給湯加熱路37をステップ角度に開閉する。動作指令情報に応じて給湯加熱路37の開度が変化する。後述する燃焼コントローラ106は、初期位置から動作指令情報により動作した位置をメモリに記憶する。
【0032】
燃焼ユニット8は、燃焼コントローラ106を備えている。燃焼コントローラ106は、CPU、メモリ等を備えている。メモリには各種の運転プログラムが格納されている。また、メモリには、燃焼コントローラ106に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。燃焼コントローラ106は、CPUがメモリに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、燃焼ユニット8の各構成要素の動作を制御する。また、燃焼コントローラ106には、リモコン108が接続されている。リモコン108には、使用者が給湯装置2を操作するための各種のスイッチや、使用者に給湯装置2の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられている。
【0033】
HPコントローラ102とタンクコントローラ104は、双方向に通信可能である。また、タンクコントローラ104と燃焼コントローラ106は、双方向に通信可能である。HPコントローラ102、タンクコントローラ104および燃焼コントローラ106は、協働して給湯装置2の動作を制御する。以下では、HPコントローラ102、タンクコントローラ104および燃焼コントローラ106を総称して単にコントローラ110ともいう。
【0034】
次いで、本実施例の給湯装置2の基本的な動作について説明する。以下では、給湯装置2が実行する、沸き上げ運転、給湯運転、滅菌運転について順に説明する。
【0035】
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転は、混合弁30が出湯路25を開放している状態で、貯湯タンク10内の給湯用水をHPユニット6で加熱し、高温となった給湯用水を貯湯タンク10に戻す運転である。例えば、コントローラ110は、予め設定された沸き上げ開始時刻が到来すると、沸き上げ運転を実行してもよい。あるいは、コントローラ110は、サーミスタ12、14、16、18の検出温度から、貯湯タンク10に所定温度(例えば45℃)以上の給湯用水が所定量(例えば6L)以上貯えられていないと判断される場合、すなわち貯湯タンク10が湯切れしたと判断される場合に、沸き上げ運転を実行してもよい。沸き上げ運転を実行する際には、コントローラ110は、圧縮機62およびファン56を駆動する。また、コントローラ110は、循環ポンプ22を駆動する。
【0036】
圧縮機62の駆動により、冷媒循環路52内の冷媒は、圧縮機62、流体熱交換器58、膨張弁60、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、流体熱交換器58を通過する冷媒循環路52内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ22の駆動により、タンク水循環路20内を貯湯タンク10内の給湯用水が循環する。即ち、貯湯タンク10の下部に存在する給湯用水がタンク水循環路20内に導入され、導入された給湯用水が流体熱交換器58を通過する際に、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱され、加熱された給湯用水が貯湯タンク10の上部に戻される。この際、コントローラ110は、流体熱交換器58を通過した後の給湯用水の温度が、設定された沸き上げ温度となるように、圧縮機62、ファン56、循環ポンプ22の動作を制御する。これにより、貯湯タンク10に高温の給湯用水が貯められる。貯湯タンク10の内部が高温の給湯用水で満たされた満蓄状態となると、コントローラ110は、沸き上げ運転を終了する。
【0037】
沸き上げ運転における沸き上げ温度は、ヒートポンプ50における給湯用水の目標加熱温度ということができる。沸き上げ運転における沸き上げ温度は、コントローラ110が設定する。通常、沸き上げ運転における沸き上げ温度は、リモコン108を介して使用者が設定した給湯設定温度に所定温度幅を加算した温度(例えば45℃)に設定される。あるいは、沸き上げ運転における沸き上げ温度は、リモコン108を介して使用者が予め設定してもよい。
【0038】
(給湯運転)
給湯運転は、給湯設定温度に調温された給湯用水を給湯栓38に供給する運転である。給湯栓38が開かれると、水道水供給源32からの水圧によって、水道水導入路24(第1給水路24a)から貯湯タンク10の下部に水道水が流入する。同時に、貯湯タンク10上部の給湯用水が、出湯路25、第1給湯路36及び第2給湯路39を介して給湯栓38に供給される。なお、給湯用水は、給湯加熱路37または熱源機バイパス路33を通過する。
【0039】
コントローラ110は、貯湯タンク10から出湯路25に供給される給湯用水の温度(即ち、サーミスタ12の検出温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁30を駆動して第2給水路24bから第1給湯路36に水道水を導入する。従って、貯湯タンク10から供給された給湯用水と第2給水路24bから供給された水道水とが、混合弁30で混合される。コントローラ110は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁30の開度を調整する。このような態様での給湯運転を、非燃焼給湯運転ともいう。
【0040】
一方、コントローラ110は、貯湯タンク10から出湯路25に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、バイパス弁34を閉じて、給湯用水加熱バーナ81によって給湯加熱路37を通過する給湯用水を加熱する。コントローラ110は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、給湯用水加熱バーナ81の出力を制御する。このような態様での給湯運転を、第1燃焼給湯運転ともいう。
【0041】
また、給湯運転は、混合弁30が出湯路25を閉鎖している状態でも実行可能である。この状態では、出湯路25から第1給湯路36へ給湯用水が供給されない。すなわち、貯湯タンク10内の給湯用水が第1給湯路36へ供給されない。その一方で、第2給水路24bから混合弁30を介して第1給湯路36へ給湯用水が供給される。混合弁30は第2給水路24bを開放している。
【0042】
この状態でコントローラ110は、バイパス弁34を閉じて、給湯用水加熱バーナ81によって給湯加熱路37を通過する給湯用水を加熱する。コントローラ110は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、給湯用水加熱バーナ81の出力を制御する。このような態様での給湯運転を、第2燃焼給湯運転ともいう。
【0043】
(滅菌運転)
滅菌運転は、混合弁30が出湯路25を閉鎖している状態で、貯湯タンク10内の給湯用水をHPユニット6で加熱して滅菌し、滅菌された給湯用水を貯湯タンク10に戻す運転である。滅菌運転は、沸き上げ温度が給湯用水の滅菌に必要とされる温度(例えば60℃)に設定され、混合弁30が出湯路25を閉鎖していること以外は、沸き上げ運転と同様の運転であるので詳細な説明を省略する。
【0044】
次いで、上記の給湯装置2で実行される開閉処理について
図2を参照して説明する。この開閉処理は、給湯装置2で給湯運転が実行されているときに実行される。
図2に示すように、開閉処理のS1では、コントローラ110が、混合弁30によって出湯路25を開閉するために、ステッピングモータ31に動作指令情報を送信する。ステッピングモータ31が動作指令情報に基づいて動作することによって、混合弁30が動作して出湯路25の開度が調整される。コントローラ110は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が給湯設定温度と一致するように混合弁30を動作させる。
【0045】
続いてS2では、コントローラ110が、タンクコントローラ104のメモリに記憶している開閉状態情報を更新する。コントローラ110は、開閉状態情報を、混合弁30が動作した後の出湯路25の開度を示す値に変更する。コントローラ110は、S2の処理が終了するとS1に戻る。
【0046】
次いで、上記の給湯装置2で実行される初期化処理について
図3を参照して説明する。この初期化処理は、給湯装置2の電源がオフからオンになったときに実行される。
図3に示すように、初期化処理のS11では、コントローラ110が、滅菌運転実行条件が成立したか否かを判断する。滅菌運転実行条件は、上記の滅菌運転を実行するための条件である。滅菌運転実行条件は特に限定されるものではない。例えば、コントローラ110は、貯湯タンク10に取り付けられているサーミスタ12によって検出される温度が所定温度(例えば40℃)以下の状態が所定時間(例えば100時間)以上継続した場合は、滅菌運転実行条件が成立したと判断する。コントローラ110は、S11で滅菌運転実行条件が成立した場合は、YESと判断してS12に進む。一方、滅菌運転実行条件が成立していない場合は、コントローラ110がS11でNOと判断して待機する。例えば、貯湯タンク10内の給湯用水の温度が所定温度(例えば40℃)より高い場合は、滅菌運転実行条件が成立しない。また、貯湯タンク10内の給湯用水の温度が所定温度以下である場合であっても、その状態が所定時間(例えば100時間)以上継続していない場合は、滅菌運転実行条件が成立しない。
【0047】
続いてS12では、コントローラ110が、混合弁30によって出湯路25を閉鎖するために、ステッピングモータ31に動作指令情報を送信する。具体的には、コントローラ110が、混合弁30が出湯路25を閉鎖する状態よりも更に混合弁30が出湯路25を閉鎖する側に動作するように、動作指令情報をステッピングモータ31に送信する。例えば、コントローラ110が記憶している開閉状態情報によって特定される出湯路25の開度が、混合弁30の弁体(図示省略)が20°回転すると出湯路25が完全に閉鎖される開度であるとする。この状況において、コントローラ110は、混合弁30の弁体(図示省略)が30°回転するための動作指令情報をステッピングモータ31に送信する。混合弁30の弁体は、20°回転すると、その後は空回りする。ステッピングモータ31が動作指令情報に基づいて動作することによって、混合弁30が動作して出湯路25が閉鎖される。
【0048】
続いてS13では、コントローラ110が、タンクコントローラ104のメモリに記憶している開閉状態情報を初期化する。具体的には、コントローラ110が、開閉状態情報を、出湯路25が閉鎖されていることを示す値に変更する。例えば、コントローラ110が開閉状態情報を0%に変更する。変更された開閉状態情報はタンクコントローラ104のメモリに記憶される。
【0049】
続いてS14では、コントローラ110が、滅菌運転を実行する。滅菌運転では、出湯路25が閉鎖されている状態で貯湯タンク10内の給湯用水が沸き上げられる。
【0050】
続いてS15では、コントローラ110が、流量検出装置45によって検出される流量が所定流量より多いか否かを判断する。検出流量が所定流量より多い場合は、コントローラ110がS15でYESと判断してS16に進む。S15でYESの場合は、上記のS12で混合弁30が出湯路25を閉鎖したにもかかわらず、出湯路25が完全に閉鎖されておらず、貯湯タンク10から出湯された湯が出湯路25を流れている状態である。一方、S15で流量検出装置45の検出流量が所定流量より多くない場合は、コントローラ110がNOと判断して、S18に進む。
【0051】
続いてS16では、コントローラ110が、水量調整弁43によって給湯加熱路37を閉鎖する。具体的には、コントローラ110が、ステッピングモータ44に動作指令情報を送信する。コントローラ110は、水量調整弁43が給湯加熱路37を閉鎖するように、動作指令情報をステッピングモータ44に送信する。例えば、水量調整弁43の弁体(図示省略)が20°回転すると給湯加熱路37が閉鎖される状況において、水量調整弁43の弁体(図示省略)が20°回転するための動作指令情報をステッピングモータ31に送信する。ステッピングモータ44が動作指令情報に基づいて動作することによって、水量調整弁43が動作して給湯加熱路37が閉鎖される。
【0052】
続いてS17では、コントローラ110が、バイパス弁34によって熱源機バイパス路33を閉鎖する。具体的には、コントローラ110が、ステッピングモータ35に動作指令情報を送信する。コントローラ110は、バイパス弁34が熱源機バイパス路33を閉鎖するように、動作指令情報をステッピングモータ35に送信する。例えば、バイパス弁34の弁体(図示省略)が20°回転すると熱源機バイパス路33が閉鎖される状況において、バイパス弁34の弁体(図示省略)が20°回転するための動作指令情報をステッピングモータ35に送信する。ステッピングモータ35が動作指令情報に基づいて動作することによって、バイパス弁34が動作して熱源機バイパス路33が閉鎖される。
【0053】
S21では、コントローラ110が、エラーが生じたと判断する。また、コントローラ110は、エラーが生じたことをリモコン108の液晶表示器に表示する。例えば、コントローラ110は、滅菌運転の実行中に出湯路25が完全に閉鎖されておらず貯湯タンク10から出湯された湯が出湯路25を流れている状態であることを示す画像を液晶表示器に表示する。コントローラ110は、S21の後にS19に進む。
【0054】
一方、上記のS15でNOと判断した後のS18では、コントローラ110が、滅菌運転が開始されてから所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合は、コントローラ110がS18でYESと判断してS19に進む。一方、所定時間が経過していない場合は、コントローラ110がS18でNOと判断してS15に戻る。続いてS19では、コントローラ110が、滅菌運転を終了する。その後、コントローラ110は初期化処理を終了する。
【0055】
以上、第1実施例に係る給湯装置2について説明した。上記の説明から明らかなように、給湯装置2は、貯湯タンク10と、貯湯タンク10から給湯用水(湯)を出湯する出湯路25と、出湯路25を開閉する混合弁30と、出湯路25によって貯湯タンク10から出湯された給湯用水を給湯栓38に供給する給湯路(第1給湯路36、給湯加熱路37及び第2給湯路39)と、を備えている。また、給湯装置2は、給湯用水を加熱するヒートポンプ50と、貯湯タンク10とヒートポンプ50の間で給湯用水を循環させるタンク水循環路20と、コントローラ110と、を備えている。この給湯装置2は、混合弁30が出湯路25を開放している状態で貯湯タンク10から給湯用水を出湯して給湯栓38に供給する給湯運転と、混合弁30が出湯路25を閉鎖している状態で貯湯タンク10とヒートポンプ50の間で給湯用水を循環させて貯湯タンク10内の給湯用水をヒートポンプ50によって加熱する滅菌運転と、を実行可能に構成されている。混合弁30は、ステッピングモータ31がコントローラ110から受信する動作指令情報に基づいて動作して出湯路25を開閉するように構成されている。この給湯装置2では、コントローラ110が、出湯路25の開度に対応する開閉状態情報を記憶している。また、コントローラ110は、混合弁30が出湯路25を開閉するように動作指令情報を混合弁30に送信すると共に、記憶している開閉状態情報を混合弁30が動作した後の出湯路25の開度を示す値に変更する(S1、S2)。また、コントローラ110は、所定の滅菌運転実行条件が成立した場合は(S11でYES)、混合弁30が出湯路25を閉鎖する状態よりも更に混合弁30が出湯路25を閉鎖する側に動作するように動作指令情報を混合弁30のステッピングモータ31に送信する(S12)。また、それと共に、コントローラ110は、記憶している開閉状態情報を出湯路25が閉鎖されていることを示す値(0%)に変更する(S13)。また、コントローラ110は、滅菌運転を実行する(S14)。
【0056】
出湯路25を開閉する混合弁30を備えている給湯装置2では、長期にわたる給湯装置2の使用において混合弁30が出湯路25を何度も開閉する過程で、出湯路25の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路25の開度との間で不一致が生じることがある。このような不一致は、例えば出湯路25を開閉する混合弁30に異物が詰まることによって生じる。
【0057】
上記の構成によれば、コントローラ110が上記の動作指令情報を混合弁30のステッピングモータ31に送信することによって、上記のような不一致が生じている場合であっても、混合弁30によって出湯路25が確実に閉鎖される。したがって、滅菌運転の実行時に出湯路25の実際の開度が確実に0%(ゼロパーセント)になる。また、それと共に、出湯路25の開度に対応する開閉状態情報が、出湯路25が閉鎖されていることを示す値(0%)に変更される。そのため、滅菌運転の実行時に、出湯路25の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路25の開度との間の不一致を解消することができる。
【0058】
以上のように、本明細書に開示する給湯装置2では、滅菌運転の実行時を利用して、出湯路25の実際の開度と、開閉状態情報によって特定される出湯路25の開度とを正確に一致させることができる。これにより、給湯運転の実行時に給湯栓38に供給する給湯用水(湯)の流量を正確に調整することができる。また、滅菌運転の実行時に貯湯タンク10内の湯が給湯栓38に供給されることを抑制することができる。
【0059】
また、上記の給湯装置2は、出湯路25を流れる湯の流量を検出する流量検出装置45を備えている。また、給湯装置2は、給湯用水加熱バーナ81より上流側の第1給湯路36内の水を給湯用水加熱バーナ81より下流側の第2給湯路39内へ供給する熱源機バイパス路33を備えている。また、給湯装置2は、給湯加熱路37を開閉する水量調整弁43と、熱源機バイパス路33を開閉するバイパス弁34と、を備えている。コントローラ110は、滅菌運転を実行している場合であって(S14)、流量検出装置45によって検出される流量が所定流量より多い場合(S15でYES)は、水量調整弁43によって給湯加熱路37を閉鎖する(S16)。また、それと共に、コントローラ110は、バイパス弁34によって熱源機バイパス路33を閉鎖する(S17)。
【0060】
この構成によれば、例えば混合弁30の故障等によって出湯路25が完全に閉鎖されず、貯湯タンク10から出湯された湯が出湯路25を流れたとしても、出湯路25より下流側の給湯加熱路37と熱源機バイパス路33とが閉鎖されるので、貯湯タンク10内の湯が給湯栓38に供給されることを抑制することができる。そのため、滅菌運転の実行時に貯湯タンク10内の湯が給湯栓38に供給されることを抑制することができる。
【0061】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
(その他の実施例)
上記のS11で説明した滅菌運転実行条件は特に限定されるものではない。他の実施例では、給湯装置2の電源がオフである状態が所定時間以上継続した場合に、滅菌運転実行条件が成立したとコントローラ110が判断してもよい。また、給湯装置2のユーザが不在である状態が所定期間以上継続した場合に、滅菌運転実行条件が成立したとコントローラ110が判断してもよい。例えば、給湯装置2のユーザが1週間以上不在である場合に、滅菌運転実行条件が成立したとコントローラ110が判断してもよい。また、滅菌運転の実行スイッチ(図示省略)がオンに切り替わった場合に、滅菌運転実行条件が成立したとコントローラ110が判断してもよい。また、沸き上げ運転が実行されない状態が所定時間以上継続した場合に、滅菌運転実行条件が成立したとコントローラ110が判断してもよい。
【0063】
滅菌運転の実行中に、給湯設定温度に調温された給湯用水を給湯栓38に供給する必要がある場合には、コントローラ110が、第2燃焼給湯運転を実行する。具体的には、コントローラ110が、給湯用水加熱バーナ81を動作させる。これによって、給湯加熱路37内の給湯用水が給湯用水加熱バーナ81によって加熱される。第2給水路24bから供給された給湯用水が給湯用水加熱バーナ81によって加熱される。給湯用水加熱バーナ81によって加熱された給湯用水が給湯栓38に供給される。
【0064】
また、上記の給湯装置2では、コントローラ110が、混合弁30によって出湯路25を閉鎖して滅菌運転を実行するときに、混合弁30によって第2給水路24bを開放して給湯加熱路37に給湯用水を供給すると共に、給湯用水加熱バーナ81を動作させて給湯加熱路37内の水を加熱する。
【0065】
この構成によれば、滅菌運転の実行中に混合弁30によって出湯路25が閉鎖されている状態であっても、第2給水路24bによって給湯用水が供給され、その給湯用水が給湯用水加熱バーナ81によって加熱される。そのため、滅菌運転の実行中であっても、加熱された給湯用水(湯)を給湯栓38に供給することができる。
【0066】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0067】
2 :給湯装置
4 :タンクユニット
6 :HPユニット
8 :燃焼ユニット
10 :貯湯タンク
20 :タンク水循環路
22 :循環ポンプ
24 :水道水導入路
24a :第1給水路
24b :第2給水路
25 :出湯路
30 :混合弁
32 :水道水供給源
33 :熱源機バイパス路
34 :バイパス弁
36 :第1給湯路
37 :給湯加熱路
38 :給湯栓
39 :第2給湯路
43 :水量調整弁
50 :ヒートポンプ
52 :冷媒循環路
54 :空気熱交換器
56 :ファン
58 :流体熱交換器
60 :膨張弁
62 :圧縮機
81 :給湯用水加熱バーナ
108 :リモコン
110 :コントローラ