(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 310C
(21)【出願番号】P 2018085605
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】菊池 潤
(72)【発明者】
【氏名】牛山 武聡
【審査官】中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057720(JP,A)
【文献】特開2006-280989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域の一部を構成するよう遊技盤に取り付けられ、前記遊技領域を流下する遊技球と接触し、その流下方向に変化を与え得る遊技盤構成部品を複数備えた遊技機において、
前記遊技盤構成部品は、
少なくとも第1構成部品と、前記第1構成部品と所定の間隙を経て隣接して前記遊技盤に取り付けられる第2構成部品とを含んでおり、
前記第1構成部品は、
前記第2構成部品と隣接する側から、前記第2構成部品に向かって所定長突出するように形成された係止片を有しており、
前記係止片は、
前記第1構成部品と前記第2構成部品とが前記遊技盤に隣接して取り付けられた取付状態において、
前記遊技盤の前面側と前記第2構成部品の裏面側
との間に挟み込まれているとともに、前記所定の間隙よりも前記所定長が長くなるように構成され、前記取付状態における正面視において、前記所定の間隙から前記係止片の一部が視認可能に露呈していることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、詳しくは、複数のユニットから構成される遊技盤面を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、釘等が実装され遊技盤面の一部を構成する遊技面構成部品と、この遊技面構成部品が嵌合自在、かつ、嵌合状態において遊技面構成部品と遊技盤面とが略面一になるような孔が設けられた遊技盤とを備えた遊技機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような遊技機においては、遊技面構成部品を異なる型式、例えば、通過型、入賞型のいずれかの入賞口が搭載された遊技面構成部品に交換することでホールの営業形態にマッチした遊技機を提供可能となる点で優れていた。しかし、遊技者にとっては、所詮、入賞口近辺の一部が変更されるだけのものであり、交換前後において何ら遊技性が変化することもなく、遊技者の興趣を高めるものになっているとは言えなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した事情によりなされたものであり、遊技盤を複数の部品で構成し、これらを交換可能にすることで遊技者の興趣を向上させることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
以下、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。なお、下記の符号及び記載は、本発明の構成に相当する発明の実施の形態における構成の符号及び名称を示したものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
(1)本発明は、遊技球が流下可能な遊技領域120の一部を構成するよう遊技盤100に取り付けられ、前記遊技領域120を流下する遊技球と接触し、その流下方向に変化を与え得る遊技盤構成部品(上ユニット1、中ユニット2等)を複数備えた遊技機(パチンコ機P)において、前記遊技盤構成部品は、少なくとも第1構成部品(中ユニット2)と、前記第1構成部品と所定の間隙を経て隣接して前記遊技盤に取り付けられる第2構成部品(上ユニット1、下ユニット3)とを含んでおり、前記第1構成部品は、前記第2構成部品と隣接する側(中ユニット2の上縁部又は下縁部)から、前記第2構成部品に向かって所定長突出するように形成された係止片(上部リブ250、下部リブ260)を有しており、前記係止片は、前記第1構成部品と前記第2構成部品とが前記遊技盤に隣接して取り付けられた取付状態において、前記遊技盤の前面側と前記第2構成部品の裏面側との間に挟み込まれているととともに、前記所定の間隙よりも前記所定長が長くなるように構成され、前記取付状態における正面視において、前記所定の間隙から前記係止片の一部が視認可能に露呈していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る遊技機においては、遊技領域の一部を構成する遊技盤構成部品を少なくとも第1構成部品と第2構成部品とで構成し、遊技盤に取り付ける構成となっているため、これらを交換することにより異なる遊技性を創出することが可能となり遊技者の興趣を高めることが可能となる。また、遊技盤構成部品を構成する第1構成部品に設けられた係止片が第2構成部品の裏面側に位置するとともに、その所定長(突出量)が、第1構成部品と隣接配置される第2構成部品との間隙よりも長くなるようになっている。そのため、第2構成部品のみを取り外そうとしても、係止片が第1構成部品に引っかかって外せないため、特定の遊技盤構成部品のみを狙った不正な交換を防止することもできるのである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技者の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】上ユニットカバーを外した状態の上ユニットの外観斜視図である。
【
図5】上ユニットカバーを外した状態の上ユニットの正面図である。
【
図6】上ユニットカバーを外した状態の上ユニットの上面図である。
【
図8】中ユニットカバーを外した状態の中ユニットの外観斜視図である。
【
図9】中ユニットカバーを外した状態の中ユニットの正面図である。
【
図10】中ユニットカバーを外した状態の中ユニットの上面図である。
【
図11】中ユニットカバーを外した状態の中ユニットの側面図である。
【
図13】下ユニットカバーを外した状態の下ユニットの外観斜視図である。
【
図14】下ユニットカバーを外した状態の下ユニットの正面図である。
【
図16】上ユニット、中ユニット、下ユニットを遊技盤に取り付けた状態を示す概略図である。
【
図17】上ユニット、中ユニット、下ユニットを遊技盤に取り付けた状態におけるA-A方向の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、後述するパチンコ機Pに設けられた各構成部品についての、前後(正面背面)、左右(側面)、上下(平面底面)の方向は、各構成部品をパチンコ機Pに固定した状態でパチンコ機Pを正面視したときの方向を示すものとする。
【0012】
(パチンコ機Pの外部構成)
本形態に係る遊技機は、遊技媒体として遊技球を使用するパチンコ機Pである。特に図示していないが、一般的に、パチンコ機Pが設置される遊技場においては、島と呼ばれる遊技機の設置領域に、複数台のパチンコ機Pが並べて配設されるとともに、遊技球を貸し出すための遊技球貸出装置(特に図示しておらず)が各パチンコ機Pに隣接して設置される。また、各パチンコ機Pは対応する遊技球貸出装置に接続されている。
遊技球貸出装置は、紙幣の投入や遊技球の貸し出しに必要な価値情報が記憶される記憶媒体(カード)の挿入が可能となっている。そして、遊技球貸出装置に紙幣を投入(又は、カードを挿入)した上で、パチンコ機Pに対して所定の操作を行うことにより、遊技球貸出装置から遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。
【0013】
本形態に係るパチンコ機Pは、
図1に示すように、島に固定される四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する機枠F1と、この機枠F1にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられる四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する本体枠F2と、この本体枠F2にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられ、正面に開口部(特に図示しておらず)が形成された前扉Dと、を備えている。
【0014】
本体枠F2の中空部には、遊技領域120を形成するための遊技盤100が収容されている。また、
図1に示すように、前扉Dには、開口部を覆う透明板400と、透明板400の下方に位置し遊技球を受容可能な上皿600及び受皿700と、受皿700の右方に取り付けられ遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル500と、透明板400の左右下方にそれぞれ1個ずつ取り付けられたスピーカSPと、が設けられている。
【0015】
また、上皿600には、遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pから払い出される賞球が導かれるようになっている。上皿600は、所定量の遊技球を受容可能となっているが、この上皿600が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり、払い出されたりする遊技球は受皿700に導かれるようになっている。また、受皿700の底面には、特に図示していないが、貯留されている遊技球を排出するための排出孔と、排出孔を開閉可能な開閉板と、が設けられている。常態において、排出孔は開閉板により閉じられているものの、開閉板と一体に取り付けられた開閉レバー800(
図1参照)を横方向に移動させることで、開閉板も同方向に移動し、排出孔が開放される。これにより、遊技球を排出孔から落下させて、受皿700の外に排出することができるようになっている。
【0016】
また、操作ハンドル500は、遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されている。そして、遊技者が操作ハンドル500を回転操作すると、上皿600に受容されている遊技球が発射装置(特に図示せず)に送られ、発射装置によって、操作ハンドル500の回転角度に応じた強度で遊技球が発射される。
【0017】
遊技盤100は、透明なアクリル板であって、その背面側の中央付近にはメイン液晶表示装置200が設けられ、その表示画面210は遊技盤100を通して視認することができるようになっている(
図2参照)。また、遊技盤の正面側には上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3を含む種々の構成部品が取り付けられている。
【0018】
そして、パチンコ機Pは、機枠F1に対して本体枠F2を閉じ、さらに、前扉Dを閉じると、遊技盤100の前方に間隙を挟んで透明板400が位置することとなる。これにより、透明板400を透過して、後方に位置する遊技盤100を視認することができるとともに、遊技盤100のさらに後方に位置するメイン液晶表示装置200の表示画面210を視認することができるようになっている。
【0019】
メイン液晶表示装置200の表示画面210には、背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、演出図柄(ダミー図柄)が変動表示されるようになっている。そして、各演出図柄の停止表示態様により、後述する特別図柄の抽選の結果が遊技者に報知されることとなる。
【0020】
遊技盤100の正面側には、発射装置から発射された遊技球を案内する外レールR1及び内レールR2が設けられ、機枠F1に対し本体枠F2及び前扉Dを閉じた状態で遊技盤100と透明板400との間に形成される空間のうち、外レールR1と内レールR2の内側(遊技盤100の中心側)に形成される領域が遊技領域120を構成する。そして、この遊技領域120を遊技球が流下可能に形成されている。
【0021】
遊技盤100には、
図2に示すように、遊技球の流下方向に変化をもたらすための遊技盤構成部品として、上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3、振分けユニット4、センタ―ステージ5が設けられ、遊技領域120の一部を構成している。本形態においては、風車や遊技釘を用いることなく、これらの構造体によって遊技球の流下方向に変化をもたらすように構成されている。また、遊技盤100には、遊技球が入球可能な一般入賞口6,8,10と、始動領域としての始動入賞口7、所定条件を満たすことで作動する大入賞口装置(図示せず)と、遊技球を遊技盤100の裏面側に導くアウト口9,11と、が設けられている。
アウト口9,11に受け入れられた遊技球は、遊技盤100の背面側に導かれ回収される。なお、一般入賞口6,8,10、始動入賞口7、大入賞口に入球した遊技球も、遊技盤100の背面側に導かれ回収される。
【0022】
(遊技の概要)
本形態に係るパチンコ機Pでは、発射装置(図示せず)により発射され遊技領域120を流下する遊技球が、一般入賞口6,8,10、始動入賞口7に入球すると、所定個数の賞球が払い出される。また、遊技球が始動入賞口7に入球した場合には、大入賞口が開放される特別遊技を実行させるか否かを決定する大当たりの抽選が行われるとともに、大当たりの抽選の結果に対応する特別図柄の決定が行われる。そして、この大当たりの抽選によって大当たりに当選すると、大入賞口が開閉するラウンド遊技が所定回数行われる特別遊技が実行される。なお、大入賞口へ遊技球が入球すると、一般入賞口6,8,10、始動入賞口7よりも多い個数の賞球が払い出される。また、1回のラウンド遊技は、大入賞口が開放されることにより開始され、開始後、所定時間(例えば29秒)が経過するか、所定個数(例えば10個)の遊技球の入球が検出されたかのいずれかの条件に該当すると、大入賞口が閉じることにより終了する。そして、所定のインターバル期間(例えば2秒)をおいて、次のラウンド遊技が開始されるようになっている。
【0023】
ここで、上述のように、大当たりの抽選の結果に応じて特別図柄の決定が行われるが、大当たりに当選した場合には、大当たりの当選に対応付けられた複数種類の特別図柄のうちいずれか一の特別図柄が抽選により決定される。そして、各特別図柄には特別遊技中に実行されるラウンド遊技の回数(ラウンド数)が予め定められている。ラウンド数は1種類であっても複数種類であってもよい。また、大入賞口を開放させる時期及び回数は、ラウンド数に応じてあらかじめ定められている。
【0024】
(遊技盤構成部品)
遊技盤100に設けられ遊技領域120を構成する各種の遊技盤構成部品について以下説明する。
【0025】
上ユニット1は、遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で構成され、
図2に示すように、遊技盤100の左側領域の上方側に設けられる。また、
図3に示すように遊技領域上部から流下してくる遊技球を内部に受入れ可能に上方に向けて開放された上ユニット開口部12を備える。なお、上ユニット開口部12に受け入れられなかった遊技球は上ユニット1と内レールR2との間に形成された外周ルート13に沿って、後述する中ユニット2に向けて流下する。
【0026】
上ユニット開口部12から受け入れられた遊技球は上ユニット第1転動部14から上ユニット第2転動部15を介して、又は、上ユニット第2転動部15を介して、上ユニット第3転動部16から転動し、上ユニットベース17に設けられた上ユニット通過口18に向けて案内される(
図4参照)。
【0027】
上ユニット通過口18は上ユニットベース17を貫通しており、上ユニット通過口18を通過した遊技球は上ユニットクルーン流入通路19を介して上ユニットクルーン20に受け入れられる(
図4参照)。
【0028】
上ユニットクルーン20は、受け入れた遊技球を転動させる転動面21を有した円盤状の転動部22と、転動部22の周縁から上方に向かって立設された周壁部23を備えている。転動部22の中心部分には遊技球が通過可能な落下口24が4つ設けられており、転動面21を転動する遊技球が何れかの落下口24に向かうように緩やかな傾斜が設けられている。また、上ユニットクルーン20は
図6に示すように、上面視において上ユニットベース17の裏面側に突出し、遊技盤100より後方に位置するように設けられている。このような配置とすることで、遊技球が遊技盤面上のみを平面的に移動するのみならず前後方向にも移動させることができ、遊技球の動きを多様にすることができる。なお、この場合、上ユニットクルーン流入通路19や上ユニットクルーン20も含め、遊技球が移動可能な領域も遊技領域120の一部となることは言うまでもない。
【0029】
上ユニットクルーン20へと受け入れられた遊技球は、その転動面21をしばらく転動した後にいずれかの落下口24から落下し、上ユニットクルーン排出通路25を経て上ユニット出口26から中ユニット2へ案内される。
【0030】
上ユニットベース17は、
図17に示すように、中ユニット2と隣接する下縁部に第1係止部150を備える。第1係止部150は、上ユニット1及び中ユニット2を遊技盤100に取り付けた状態で中ユニット2に設けられた後述する上部リブ250よりも前方側に位置するとともに、正面視において上部リブ250を覆うように構成されている。また、上ユニットベース17には複数の挿入孔Hが設けられており(
図4、
図5参照)、上ユニット1を遊技盤100に取り付ける際には、この挿入孔Hからネジ等が挿入され、上ユニット1が遊技盤100に固定されることとなる。
【0031】
上ユニット1の前面側には、上ユニットカバー27が設けられる。上ユニットカバー27は、上ユニットベース17と正面視において略同一形状の板状のカバーであり上ユニット1の略全体を覆うように設けられている。ただし、上ユニットカバー27の挿入孔Hに対応する部分には切り欠きがそれぞれ設けられており、上ユニットカバー27を取り付けたままでもドライバー等の工具が上ユニットベース17を固定するネジ等にアクセス可能に構成されている。
【0032】
また、上ユニットカバー27は遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で形成され、上ユニット1内を転動する遊技球が視認可能に構成されている。なお、上ユニットカバー27は不正防止の観点から、上ユニット1が遊技盤100に取り付けられている状態では取り外しができないよう上ユニットベース17の背面側からネジ等で固定されている。
【0033】
また、上ユニットカバー27の第2転動部15、第3転動部16に対応する部分には、上ユニットカバー27の背面側から各転動部に向かって突出する第1凸条部28、第2凸条部29が設けられている(
図17参照)。第1凸条部28、第2凸条部29は各転動部に向かって先窄まりとなるように下傾したテーパー形状となっており、各転動部を転動する遊技球の前後方向の動き(いわゆる暴れ)を抑え遊技球の転動をスムーズにしている。また、下傾したテーパー形状としている為、各転動部に直接遊技球が流下した場合においても衝撃を緩和させることができる。このような構成は、本実施形態のように釘を用いない遊技機においては特に有効となる。
【0034】
中ユニット2は、遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で構成され、
図2に示すように、遊技盤100の左側領域の中間部分に上ユニット1の下部と例えば1~2mm程度の所定の間隙を経て隣接して設けられている。また、
図7に示すように、上ユニット出口26を通過した遊技球、及び上ユニット1を通過せずに外周ルート13を流下してきた遊技球を中ユニット2内に受け入れ可能に上方に向けて開放された中ユニット開口部30を備える。
【0035】
中ユニット開口部30から受け入れられた遊技球は中ユニット上転動部31を転動し、第1経路32又は第2経路33のいずれかに振り分けられる(
図8参照)。なお、外周ルート13から流入する遊技球は第1経路32に、上ユニット1から流入する遊技球は第2経路33に向かいやすいように構成されている。
【0036】
第1経路32を通過する遊技球は、
図8、9に示すように、中ユニットベース34に設けられた中ユニット通過口35に直接案内され、第2経路33を通過する遊技球は中ユニット振分部36によって中ユニット通過口35又は第3経路37のいずれかに振り分けられる。
【0037】
中ユニット振分部36は、軸部38から先端に向かって先窄まり形状となるよう構成され、軸部38を中心に回動自在に軸支された第1羽根部材39と、この第1羽根部材39の先端を鉛直下方側に向け第2経路33上に進出しない第1位置と、第1羽根部材39の先端を第3経路37側に向け第2経路33上に進出させた第2位置との間で回動させる第1羽根部材駆動制御部40とから構成される(
図8、
図9参照)。第1羽根部材39は予め定められた一定のパターンによって周期的に第1位置と第2位置との間を回動するように制御されている。
【0038】
第1羽根部材39が第1位置にある場合には、第2経路33を流下する遊技球は、そのまま下方に流下し中ユニット下転動部41によって中ユニット通過口35に向けて案内される。また、第1羽根部材39が第2位置にある場合には、第2経路33を流下する遊技球は、第1羽根部材39と接触し第3経路37へと案内される。
【0039】
中ユニット通過口35は中ユニットベース34を貫通しており、中ユニット通過口35を通過した遊技球は中ユニットクルーン流入通路(図示せず)を介して中ユニットクルーン42へと案内される。
【0040】
中ユニットクルーン42は、上ユニットクルーン20と同様、受け入れた遊技球を転動させる転動面43を有した円盤状の転動部44と、転動部44の周縁から上方に向かって立設された周壁部45を備えている(
図10参照)。転動部44の中心部分には遊技球が通過可能な落下口46が4つ設けられており、転動面43を転動する遊技球が何れかの落下口46に向かうように緩やかな傾斜が設けられている。また、中ユニットクルーン42は、
図10に示すように、上面視において中ユニットベース34の裏面側に突出し、遊技盤100より後方に位置するように設けられている。このような配置とすることで、遊技球が遊技盤面上のみを平面的に移動するのみならず前後方向にも移動させることができ、遊技球の動きを多様にすることができる。なお、この場合、中ユニットクルーン流入通路や中ユニットクルーン42も含め、遊技球が移動可能な領域も遊技領域120の一部となることは言うまでもない
【0041】
中ユニットクルーン42へと案内された遊技球は、その転動面43をしばらく転動した後にいずれかの落下口46から落下し、中ユニットクルーン排出通路47を経て中ユニット出口48から下ユニット3へ案内される。
【0042】
第3経路37に案内された遊技球はワープ通路(図示せず)を経て、遊技盤100の裏面側に突出したセンターステージ5に案内される。センターステージ5に案内された遊技球はセンターステージ5上を転動した後、ステージ排出経路50を経て始動入賞口7上方に向けて排出される(
図2参照)。そのため、センターステージ5を経た遊技球は始動入賞口7に入球する可能性が相対的に高くなる。
【0043】
中ユニットベース34には複数の挿入孔Hが設けられており(
図9参照)、中ユニット2を遊技盤100に取り付ける際には、この挿入孔Hからネジ等が挿入され、中ユニット2が遊技盤100に固定されることとなる。
【0044】
中ユニットベース34には、
図11に示すように、上ユニット1と隣接する上縁部に亘って上部リブ250が設けられ、下ユニット3と隣接する下縁部に亘って下部リブ26が設けられている。
【0045】
上部リブ250及び下部リブ260は、遊技盤100後方側に向かってオフセットされた断面視略クランク形状の突出片であり、正面視において、それぞれ上方(上ユニット1側)及び下方(下ユニット3側)に向けて突出するように形成されている。なお、これらの突出量(突出長さ)は上ユニット1又は下ユニット3との間隙のおおむね2倍から3倍程度の長さ(2~6mm程度)で形成されている。これよりも短くすると製造誤差による遊びを吸収することができなくなり、あまりに長くするとその他の部材との干渉等により設計段階での自由度の低下や、組付けの難易度が上がることになるためである。
【0046】
中ユニット2の前面側には、中ユニットカバー51が設けられる(
図7参照)。中ユニットカバー51は、中ユニットベース34と正面視において略同一形状の板状のカバーであり中ユニット2の略全体を覆うように設けられている。ただし、中ユニットカバー51の挿入孔Hに対応する部分には切り欠きがそれぞれ設けられており、中ユニットカバー51を取り付けたままでもドライバー等の工具が中ユニットベース34を固定するネジ等にアクセス可能に構成されている。
【0047】
また、中ユニットカバー51は遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で形成され、中ユニット2内を転動する遊技球が視認可能に構成されている。なお、中ユニットカバー51は不正防止の観点から、中ユニット2が遊技盤100に取り付けられている状態では取り外しができないよう中ユニットベース34の背面側からネジ等で固定されている。
【0048】
また、
図17に示すように、中ユニットカバー51における中ユニット上転動部31、中ユニット下転動部41に対応する部分には、中ユニットカバー51の背面側から中ユニット下転動部41に向かって突出する第3凸条部52、第4凸条部53が設けられている。第3凸条部52、第4凸条部53は各転動部に向かって先窄まりとなるように下傾したテーパー形状となっており、中ユニット上転動部31、中ユニット下転動部41を転動する遊技球の前後方向の動き(いわゆる暴れ)を抑え遊技球の転動をスムーズにしている。また、下傾したテーパー形状としている為、各転動部に直接遊技球が流下した場合においても衝撃を緩和させることができる。このような構成は、本形態のように釘を用いないパチンコ機においては特に有効となる。
【0049】
下ユニット3は、遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で構成され、
図2に示すように、遊技盤100の左側領域の下方部分に中ユニット2の下部と1~2mm程度の所定の間隙を経て隣接して設けられている。また、
図12に示すように、中ユニット出口48を通過した遊技球を下ユニット3内に受け入れ可能に上方に向けて開放された下ユニット開口部54を備える。
【0050】
下ユニット開口部54から受け入れられた遊技球は下ユニット転動部55を転動した後、下ユニットベース56に設けられた下ユニット振分部57によって、下ユニット第1経路62(
図14における矢印62が付された箇所)又は下ユニット第2経路59(
図14における矢印63が付された箇所)のいずれかに振り分けられる。
【0051】
下ユニット振分部57は、
図13~14に示すように、軸部60から先端に向かって先窄まり形状となるよう構成され、軸部60を中心に回動自在に軸支された第2羽根部材61と、この第2羽根部材61の先端を鉛直下方側に向け下ユニット第1経路62上に進出しない第1位置と、第2羽根部材61の先端部を下ユニット第2経路63側に向け下ユニット第1経路62上に進出させた第2位置との間で回動させる第2羽根部材駆動制御部64とから構成される。第2羽根部材61は予め定められた一定のパターンによって周期的に第1位置と第2位置との間を回動するように制御されている。
【0052】
第2羽根部材61が第1位置にある場合には、下ユニット転動部55を転動してくる遊技球は、そのまま下方に流下し、下ユニット第1経路62を流下してアウト口11に向かって案内される。また、第2羽根部材61が第2位置にある場合には、下ユニット転動部55を転動してくる遊技球は、第2羽根部材61と接触し下ユニット第2経路63に向けて案内され、下ユニット第2経路63の下流に設けられた下ユニット出口65から振分けユニット4へ流下される。
【0053】
下ユニットベース56は、中ユニット2と隣接する上縁部に第2係止部160を備える(
図17参照)。第2係止部160は、中ユニット2及び下ユニット3を遊技盤100に取り付けた状態で中ユニット2に設けられた下部リブ260よりも前方側に位置するとともに、正面視において下部リブ260を覆うように構成されている。また、下ユニットベース56には複数の挿入孔Hが設けられており(
図14参照)、下ユニット3を遊技盤100に取り付ける際には、この挿入孔Hからネジ等が挿入され、下ユニット3が遊技盤100に固定されることとなる。
【0054】
下ユニット3の前面側には、下ユニットカバー66が設けられる。下ユニットカバー66は、下ユニットベース56と正面視において略同一形状の板状のカバーであり下ユニット3の略全体を覆うように設けられている(
図12参照)。ただし、下ユニットカバー66の挿入孔Hに対応する部分には切り欠きがそれぞれ設けられており、下ユニットカバー66を取り付けたままでもドライバー等の工具が下ユニットベース56を固定するネジ等にアクセス可能に構成されている。
【0055】
また、下ユニットカバー66は遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で形成され、下ユニット3内を転動する遊技球が視認可能に構成されている。なお、下ユニットカバー66においても不正防止の観点から、下ユニット3が遊技盤100に取り付けられている状態では取り外しができないよう下ユニットベース56の背面側からネジ等で固定されている。
【0056】
振分けユニット4は、遊技球の視認性を阻害しない程度の透過性を有する合成樹脂で構成され、
図2に示すように、遊技盤100の下方部分に下ユニット3と隣接して設けられている。また、
図15に示すように、下ユニット出口65を通過した遊技球を振分けユニット4内に受け入れ可能に上方に向けて開放された振分けユニット開口部67を備える。
【0057】
振分けユニット開口部67から受け入れられた遊技球は第1振分体68によって一般入賞口ルート69(
図15における矢印69が付された箇所)又は第2振分体ルート70(
図15における矢印70が付された箇所)に一球ずつ交互に振り分けられる。一般入賞口ルート69に振り分けられた遊技球は一般入賞口6に向かうように構成される。第2振分体ルート70に振り分けられた遊技球は、更に第2振分体71によって、一般入賞口10又は一般入賞口8のいずれかに一球ずつ交互に振り分けられるように構成される。
【0058】
本形態において、上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3を遊技盤100に取り付ける手順を
図16、
図17を参照しつつ説明する。
まず、中ユニット2を遊技盤100の左側領域の中間部分に配置し、中ユニットベース34に設けられた挿入孔Hからネジを挿入して遊技盤100に固定する。次に、上ユニット1を遊技盤100の左側領域の上方側であって、先に取り付けてある中ユニット2の上部リブ250に第1係止部150が重なるよう配置し、上ユニットベース17に設けられた挿入孔Hからネジを挿入して遊技盤100に固定する。そして、最後に、下ユニット3を遊技盤100の左側領域の下方側であって、先に取り付けてある中ユニット2の下部リブ260に第2係止部160が重なるように配置し、下ユニットベース56に設けられた挿入孔Hからネジを挿入して遊技盤100に固定する。
上ユニット1と下ユニット3の取り付け順序は入れ替わっても問題ないが中ユニット2は必ず最初に取り付ける必要がある。
【0059】
なお、本形態においては、中ユニット2を遊技盤100に取り付けた後でなければ、上ユニット1及び下ユニット3が遊技盤100に取り付けられない構造となっている。つまり、上ユニット1又は下ユニット3を先に遊技盤100に取り付けた状態で中ユニット2を取り付けようとすると上部リブ250又は下部リブ260が上ユニットベース17又は下ユニットベース56と干渉して正常に取付けることができないようになっている。
【0060】
この様に上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3が取り付けられた状態においては、中ユニット2に設けられた上部リブ250及び下部リブ260が上ユニットベース17の第1係止部150及び下ユニットベース56の第2係止部160にそれぞれ係止されることとなり、中ユニット2のみを単独で取り外すことが不可能となる。つまり、中ユニット2を交換するためには、上ユニット1及び下ユニット3も外さなければならない構造となるため、交換にかかる手間が増えることになり、不正行為の実行を躊躇させることができ、もって不正行為を防止することができる。
【0061】
また、上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3は所定の間隙を経て取り付けられており、上部リブ250及び下部リブ260の上下方向への突出量はこの間隙よりも長くなるように構成されている。そして、その長さは各ユニット間の所定の間隙をn(nは正数)とした場合に、上部リブ250及び下部リブ260の上下方向への突出量が2n以上となるような関係性としている。このような構成とすることで、遊技盤面の設計の自由度を下げずに不正行為を防止することが可能となっている。また、所定の間隙から上部リブ250及び下部リブ260の一部が視認可能に構成されている為、不正行為についての対策が施されていることが把握可能となり、不正行為への抑止力をより一層高めることが可能となる。
【0062】
また、釘を用いない構成であるため、不正な釘調整がなされることがなく遊技の公正が保ち易いパチンコ機を提供することができる。また、同様に、パチンコ機製作の際に釘打ちの工程を経ることがなくなり、部材の組付けだけに単純化することができ製作コストを下げたパチンコ機を提供することができる。
【0063】
なお、上述の実施の形態では不正な交換の対象となりやすい中ユニット2(始動口7への入賞率が相対的に高くなる第3経路37(高確率で始動入賞可能なセンターステージ5へと続くワープ通路へと繋がっている)を有するため)に上部リブ250、及び、下部リブ260を設けたが、その他のユニット又は全てのユニットに設けてもよい。また、上部リブ250、下部リブ260の一方のみを設ける構造としてもよい。
【0064】
また、上述の実施の形態では、上ユニットクルーン20、中ユニットクルーン42を設けた構成としているため、これらの下流に位置する第1羽根部材39、第2羽根部材61に遊技球が到達する時間をランダムにすることができ、狙い打ちをすることが困難となっている。
【0065】
また、上述の実施の形態では、第1羽根部材39および第2羽根部材61の向きは、遊技球の流下方向に沿った態様で配置されているため、流下してきた遊技球を受け流すように案内することができ、破損等の可能性が低くなっている。
【0066】
また、上述の実施の形態では、遊技盤100の左側領域を複数の取り外し可能な遊技盤構成部品(上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3、振分けユニット4等)により構成し、それぞれを個別の部材としているため、メンテナンス性をより向上させることが可能となる。また、これらの各構成部品を、遊技釘を含まない樹脂製の部材で構成しているためリサイクル性を高めることができる。また、一体的な遊技盤構成部品として成型するよりヒケや割れ等の不良品が発生する確率を抑えることが可能となる。
【0067】
また、上述の実施の形態では、電気的に駆動する可動体を有さない上ユニット1と、電気に駆動する第1羽根部材39、または、第2羽根部材61を有する中ユニット2、下ユニット3を別の構成部品として構成したため、不具合の生じる可能性が高い構成部品(中ユニット2、下ユニット3)のみを交換することが可能となっている。
【0068】
また、上述の実施の形態では、一般入賞口はいずれも、振分けユニット4に設けられていたが、設置箇所は振分ユニット4に限らず、その他のユニットに設けてもよいし、遊技盤100自体に設けてもよい。また、設置個数も特に限定されるものではなく1個のみ設置してもよい。
始動入賞口は、遊技領域120の中央下部に1個設けられていたが、複数個設置してもよい。また、複数個設けた場合には、それぞれ共通の特別図柄に係る始動入賞口としてもよいし、それぞれ異なる種類の特別図柄に係る始動入賞口としてもよい。
【0069】
また、上述の実施の形態では、風車や遊技釘を用いることなく、上ユニット1、中ユニット2、下ユニット3、振分けユニット4、センターステージ5等の構造体によって遊技球の流下方向に変化をもたらすように構成されていたが、これに限ることはない。例えば、構造体に代えて風車や遊技釘等によって遊技球の流下方向に変化をもたらすようにしても良いし、構造体と併用してもよい。
【0070】
また、上述の実施の形態では各ユニットカバーは、それぞれのユニットベースの背面側からネジ等で固定されていたが、これに限らず接着や圧着等によって固定するものでもよい。
【0071】
また、上述の実施の形態は、パチンコ機P以外の遊技機、たとえば、パチンコ機内で遊技球が循環する循環式のパチンコ機等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
P パチンコ機 D 前扉
1 上ユニット 2 中ユニット
3 下ユニット 17 上ユニットベース
34 中ユニットベース 56 下ユニットベース
150 第1係止部 160 第2係止部
250 上部リブ 260 下部リブ