(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】熱剥離型接着部材及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20220722BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220722BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220722BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220722BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220722BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220722BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220722BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220722BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20220722BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/08
C09J11/06
G09F9/00 342
G02F1/1333
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
C09J7/30
B32B7/12
(21)【出願番号】P 2018112142
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0074333
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】514293592
【氏名又は名称】明知大学校 産学協力団
【氏名又は名称原語表記】MYONGJI UNIVERSITY INDUSTRY AND ACADEMIA COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安 炳 旭
(72)【発明者】
【氏名】朴 鍾 徳
(72)【発明者】
【氏名】黄 ジョン 護
(72)【発明者】
【氏名】李 俊 協
(72)【発明者】
【氏名】孫 寅 太
(72)【発明者】
【氏名】李 丙 善
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-029607(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122942(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/142192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B01J 13/02- 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース樹脂及び前記ベース樹脂に分散されて配置された微細カプセルを含み、
前記微細カプセルは、
疎水性高分子物質を含む外皮部と、
前記外皮部によって定義され、有機溶媒が収容されている中空部と、を含
み、
前記微細カプセルの粒子のサイズは、50nm以上500nm以下である、ことを特徴とする熱剥離型接着部材。
【請求項2】
前記疎水性高分子物質は、ポリアクリロニトリルとポリメチルメタクリレートの共重合体を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項3】
前記有機溶媒の気化温度は、50℃以上150℃以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項4】
前記微細カプセルは常温で第1体積を有し、
前記気化温度以上で前記第1体積より大きい第2体積を有する、ことを特徴とする請求項
3に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項5】
前記熱剥離型接着部材は、400nm以上800nm以下の波長領域における透過度が90%以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項6】
前記熱剥離型接着部材は、ヘイズ値が0.1%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項7】
前記熱剥離型接着部材は、互いに向かい合う一面と他面を含む両面接着シートであり、
前記一面から前記他面に行くほど前記微細カプセルの分散密度が減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項8】
前記熱剥離型接着部材は、
前記微細カプセルが第1密度に分散された第1接着部と、
前記微細カプセルが第2密度に分散された第2接着部と、
前記第1接着部及び前記第2接着部の間に配置され、前記微細カプセルが第3密度に分散された第3接着部と、を含み、
前記第3密度は前記第1密度及び前記第2密度以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型接着部材。
【請求項9】
表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置されたウィンドウ部材と、
前記表示パネルと前記ウィンドウ部材の間に配置された請求項1乃至請求項
8のうち何れか一つの熱剥離型接着部材と、を含む、ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱剥離型接着部材及びそれを含む表示装置に関し、より詳しくは、高温で接着力が低下する熱剥離型接着部材及びそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン、携帯電話、タブレットコンピュータ、ナビゲーション、ゲーム機などのマルチメディア装置に使用される多様な表示装置が開発されている。表示装置は、複数個の部材を互いに結合して製造される。例えば、複数個の部材を互いに結合させる方法として接着部材を使用する方法が広く使用されている。特に、表示装置では視認性を上げるために、光学的透明接着剤(Optically Clear Adhesive、OCA)を利用して表示パネルと他の部材を結合する方法が使用されている。
【0003】
但し、表示装置の製造工程の途中で再作業が必要な場合、部材を互いに結合させるために使用された接着部材を脱着させなければならないという問題があり、この際、接着部材は表示装置の部材から容易に脱着されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印加された熱によって接着力が低下する熱剥離型接着部材と、このような接着部材を利用して再作業性を改善した表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、高い透過度と低いヘイズ(haze、もや・霞)値の優秀な光学特性を有する熱剥離型接着部材と、それを含んで良好な表示品質を有すると共に再作業性を改善した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例は、ベース樹脂及び前記ベース樹脂に分散されて配置された微細カプセルを含み、前記微細カプセルは疎水性高分子物質を含む外皮部と、前記外皮部によって定義され、有機溶媒が収容されている中空部と、を含む熱剥離型接着部材を提供する。
【0007】
前記微細カプセルの粒子のサイズは、50nm以上500nm以下である。
【0008】
前記疎水性高分子物質は、常温における水に対する溶解度が1.0以下である。
【0009】
前記疎水性高分子物質は、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルベンゾエート、ポリアクリロニトリル、及びポリメタクリロニトリルのうちから選択される何れか1種、又はこれらの組み合わせからなる共重合体を含むものである。
【0010】
前記疎水性高分子物質は、ポリアクリロニトリルとポリメチルメタクリレートの共重合体を含む。
【0011】
前記有機溶媒の気化温度は、50℃以上150℃以下である。
【0012】
前記有機溶媒は、常温における水に対する溶解度が1.0以下である。
【0013】
前記有機溶媒は、メチルシクロへキサン(methylcyclohexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロベンタン(cyclopentane)、イソオクタン(isooctane)、tert-ブチルアセテート(tert-butylacetate)、ヘプテン(heptene)、及びヘプタン(heptane)のうちから選択される少なくとも何れか1種を含む。
【0014】
前記微細カプセルは常温で第1体積を有し、前記気化温度以上で前記第1体積より大きい第2体積を有する。
【0015】
前記熱剥離型接着部材は常温で第1接着力を有し、前記気化温度で第2接着力を有し、前記第2接着力≦0.9X(Xは前記第1接着力)である。
【0016】
一実施例の熱剥離型接着部材は、400nm以上800nm以下の波長領域における透過度が90%以上である。
【0017】
一実施例の熱剥離型接着部材は、ヘイズ値が0.1%以下である。
【0018】
前記微細カプセルは、前記ベース樹脂及び前記微細カプセルの全体重量を基準に0.05wt%以上40wt%以下の重量比率で含まれる。
【0019】
前記熱剥離型接着部材は、互いに向かい合う一面と他面を含む両面接着シートであり、前記一面から前記他面に行くほど前記微細カプセルの分散密度が減少する。
【0020】
前記熱剥離型接着部材は、前記微細カプセルが第1密度に分散された第1接着部と、前記微細カプセルが第2密度に分散された第2接着部と、前記第1接着部及び前記第2接着部の間に配置され、前記微細カプセルが第3密度に分散された第3接着部と、を含み、前記第3密度は前記第1密度及び前記第2密度以下である。
【0021】
前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち少なくとも何れか1種を含む。
【0022】
他の実施例は、光学的透明ベース樹脂と、疎水性外皮部、前記疎水性外皮部によって定義された中空部、及び前記中空部の内に配置された有機溶媒を含む微細カプセルと、を含む熱剥離型接着部材を提供する。
【0023】
前記光学的透明ベース樹脂はアクリレート系粘着性樹脂を含み、前記疎水性外皮部はアクリレート系高分子を含む物質からなる。
【0024】
他の実施例は、表示パネルと、前記表示パネルの上に配置されたウィンドウ部材と、前記表示パネルと前記ウィンドウ部材の間に配置された熱剥離型接着部材と、を含み、前記熱剥離型接着部材はベース樹脂及び前記ベース樹脂に分散されて配置された微細カプセルを含み、前記微細カプセルは、疎水性高分子物質を含む外皮部と、前記外皮部によって定義され、有機溶媒が収容されている中空部と、を含む表示装置を提供する。
【0025】
前記ベース樹脂を含み、前記微細カプセルを含まない光学的透明接着部材を更に含み、前記光学的透明接着部材は、前記表示パネルと前記熱剥離型接着部材の間、又は前記ウィンドウ部材と前記熱剥離型接着部材の間に配置される。
【発明の効果】
【0026】
一実施例の熱剥離型接着部材は、有機溶媒を含む微細カプセルを含んで高温で接着力が低下する接着部材を具現するので、これを表示装置に利用して、表示装置の再作業性を改善できる。
【0027】
一実施例の熱剥離型接着部材は、ナノスケールの粒子サイズを有し、疎水性高分子からなる外皮部を有する微細カプセルを含むので、改善された熱剥離特性と同時に、高い透過度と低いヘイズ値という優秀な光学的特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施例の熱剥離型接着部材の断面図である。
【
図2】一実施例の熱剥離型接着部材に含まれた微細カプセルを概略的に示す図である。
【
図3】一実施例の熱剥離型接着部材の光学特性を示す図である。
【
図4】一実施例の熱剥離型接着部材の断面図である。
【
図5】一実施例の熱剥離型接着部材の断面図である。
【
図6】一実施例の熱剥離型接着部材の断面図である。
【
図13】一実施例の熱剥離型接着部材の光透過度を示す図である。
【
図14】一実施例の熱剥離型接着部材の光透過度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定な開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解すべきである。
【0030】
各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用している。添付した図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示している。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限られない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と称され、同様に第2構成要素は第2構成要素と称される。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0031】
本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないと理解されるべきである。
【0032】
本出願において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」又は「上部に」あるとする場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」又は「下部に」にあるとする場合、これは他の部分の「直下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。また、本出願において、「上に」配置されるとは、上部だけでなく下部に配置される場合も含む。
【0033】
本出願において、第1乃至第3方向DR1、DR2、DR3が指示する方向は相対的な概念であり、他の概念に変換されてもよい。
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例による熱剥離型接着部材及びそれを含む表示装置について説明する。
【0035】
図1は、一実施例の熱剥離型接着部材APの断面を示す図である。
図2は、一実施例の熱剥離型接着部材に含まれた微細カプセルMCの一実施例を示す図である。
【0036】
図1を参照すると、一実施例の熱剥離形接着部材APは、ベース樹脂BR、及びベース樹脂BRに分散されて配置された微細カプセルMCを含むものである。微細カプセルMCは、外皮部OS、及び外皮部OSによって定義された中空部IHを含むものである。中空部IHの内には有機溶媒が収容されている。
【0037】
ベース樹脂BRは、アクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、又はポリエステル系樹脂のうち少なくとも1種を含む。例えば、ベース樹脂BRは、アクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、又はポリエステル系樹脂のうち1種又は2種以上を含む粘着性樹脂である。
【0038】
詳しくは、ベース樹脂BRは、アクリレート系樹脂の場合、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexylacrylate)、ブチルアクリレート(butylacrylate)、ビニルアセテート(vinylacetate)、メチルメタクリレート(methylmethacrylate)、エチルアクリレート(ethylacrylate)、メチルアクリレート(methylacrylate)、ベンジルアクリレート(benzylacrylate)、フェノキシエチルアクリレート(phenoxyethylacrylate)、アクリル酸(acrylic_acid)、ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethylmethacrylate)、グリシジルメタクリレート(glycidylmethacrylate)、及びアセトアセトキシエチルメタクリレート(acetoacetoxyethylmethacrylate)のうちから選択された何れか1種又はこれらの組み合わせを含む。また、一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、ベース樹脂BRに含まれる材料は提示された化合物に限らず、公知の粘着性樹脂を更に含むものであってもよい。
【0039】
一方、ベース樹脂BRは上述したアクリレート系樹脂が重合された形態であってもよい。例えば、ベース樹脂BRは、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、及びアセトアセトキシエチルメタクリレートのうちから選択される少なくとも何れか1種が重合された形態の粘着性部材である。
【0040】
ベース樹脂BRは、光学的に透明なものである。ベース樹脂BRは、可視光線波長領域における透過度が90%以上である。例えば、ベース樹脂BRは、400nm以上800nm以下の波長領域における透過度が90%以上である。より好ましくは、ベース樹脂BRは、400nm以上800nm以下の波長領域における透過度が95%以上である。
【0041】
ベース樹脂BRは、アクリレート系樹脂単量体を含む液状形態、又はアクリレート系樹脂単量体が重合又は硬化された固相状形態にあってもよい。
【0042】
一実施例の熱剥離型接着部材APは、微細カプセルMCを含む。微細カプセルMCは、ベース樹脂BRに分散されて配置されるものである。微細カプセルMCは、ベース樹脂BR内にランダムに分散されていてもよい。
【0043】
図2は、一実施例の熱剥離型接着部材に含まれた微細カプセルMCの形状を概略的に示す図である。
図2を参照すると、一実施例の熱剥離型接着部材APに含まれた微細カプセルMCは、外皮部OS、及び外皮部OSによって定義される中空部IHを含む球状である。つまり、一実施例において、微細カプセルMCは中空部IHを有する中空球(hollow sphere)状である。中空部IHは、有機溶媒SBを含む。つまり、有機溶媒SBは中空部IH内に収容されている。例えば、一実施例において、微細カプセルMCの中空部IHは有機溶媒SBにより満たされ、外皮部OSは有機溶媒SBを包容するように形成されたものであってもよい。
【0044】
一方、
図2では微細カプセルMCが球状である場合を図示しているが、これとは異なって微細カプセルMCは楕円球状であってもよい。例えば、微細カプセルMCは縦断面、横断面の形状が各々、円及び楕円状を有するものであってもよい。また、実施例はこれに限らず、一実施例において微細カプセルMCは有機溶媒SBを包む外皮部OSを有するものでありながら、無定形の形状を有するものであってもよい。
【0045】
微細カプセルMCにおいて、外皮部OSは疎水性外皮部である。つまり、外皮部OSは疎水性高分子物質を含んで形成されたものである。例えば、外皮部OSは、疎水性アクリレート系高分子物質を含んで形成されたものである。
【0046】
外皮部OSは、1種のアクリレート系高分子物質からなるものであるか、2種以上の重合単位が結合して形成されたアクリレート形共重合体物質からなるものであってもよい。
【0047】
外皮部OSは、ポリメチルメタクリレート(poly(methyl methacrylate))、ポリメチルアクリレート(poly(methyl acrylate))、ポリスチレン(polystyrene)、ポリビニルアセテート(poly(vinyl acetate))、ポリビニルベンゾエート(poly(vinyl benzoate))、ポリアクリロニトリル(poly(acrylonitrile))、及びポリメタクリロニトリル(poly(methacrylonitrile))のうちから選択される少なくとも何れか1種の高分子物質からなるものであってもよい。また、外皮部OSは、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルベンゾエート、ポリアクリロニトリル、及びポリメタクリロニトリルのうちから選択される2つ以上の高分子物質を含む共重合体からなるものであってもよい。
【0048】
例えば、外皮部OSはポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるものである。また、外皮部OSはポリアクリロニトリル(PAN)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の共重合体からなるものであってもよい。例えば、PANとPMMAの共重合体はグラフト共重合体(graft copolymer)である。
【0049】
疎水性共重合体高分子物質は、ガスバリア(gas barrier)特性を有する重合単位を含むものである。好ましくは、外皮部OSは、ガスバリア特性を有するPANを重合単位として含む共重合体からなる。例えば、疎水性共重合体高分子物質は、ガスバリア特性を有するポリベンズイミダゾール(polybenzimidazole)、又はポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)などを重合単位として含む。
【0050】
一実施例において、微細カプセルMCの外皮部OSは架橋剤を更に含んで形成されたものである。架橋剤は、エチレングリコールジメチルアクリレート(ethyleneglycoldimethylacrylate)、ジビニルベンゼン(divinylbenzen)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)、又はペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)である。
【0051】
つまり、外皮部OSはアクリレート系重合体又はアクリレート系共重合体以外に、少なくとも1種の架橋剤を更に含んで形成されたものであってもよい。
【0052】
一実施例において、外皮部OSがPANなどのガスバリア特性を有する重合体単位を含んで形成される場合、有機溶媒SBの気化温度以上で微細カプセルMCの体積が十分に膨張するまで、有機溶媒SBの流出を防ぐ効果を有する。つまり、高温条件下では微細カプセルMCの体積を大きくすることで、熱剥離型接着部材APの接着力を低下する効果を増加できる。
【0053】
一方、一実施例の熱剥離型接着部材APに含まれた微細カプセルMCの外皮部OSは、疎水性物質からなるものであってもよい。外皮部OSは疎水性高分子物質を含んで形成されたものであってもよく、疎水性高分子は常温(room temperature)での水に対する溶解度が1.0以下であるものであってもよい。この際、水に対する疎水性高分子の溶解度は、水100gに溶解された疎水性高分子の重量(g)の割合を示すものである。溶解度を測定した常温は、例えば25℃である。
【0054】
一実施例において、疎水性高分子物質を含む外皮部OSを有する微細カプセルMCは、ベース樹脂BRに対する相溶性(compatibility)が高いものである。つまり、ベース樹脂BRと微細カプセルMCの外皮部OSが類似したレベルの極性(polarity)を有するようにすることで、熱剥離型接着樹脂における微細カプセルMCの含量比を上げ、ベース樹脂BRに対する微細カプセルMCの相溶性を増加できる。
【0055】
一実施例において、微細カプセルMCの粒子のサイズは50nm以上500nm以下である。好ましくは、微細カプセルMCの粒子のサイズは50nm以上200nm以下である。例えば、
図2に示したように、微細カプセルMCが球状を有する場合、粒子のサイズは微細カプセルの直径(d)を示すものであってもよい。微細カプセルMCの直径(d)は、50nm以上500nm以下である。また、微細カプセルMCが楕円状であれば、粒子のサイズは断面上での楕円の長軸の直径を示すものであってもよく、微細カプセルMCが無定形であれば、粒子のサイズは微細カプセルMCの最大幅を示すものであってもよい。
【0056】
なお、有機溶媒SBの気化温度以上の高温条件において、一実施例の熱剥離型接着部材APに含まれた微細カプセルMCの体積は、熱印加前より増加する。つまり、常温における微細カプセルMCの第1体積に比べ、有機溶媒SBの気化温度における微細カプセルMCの第2体積は増加される。
【0057】
一実施例において、微細カプセルMCの中空部IH内に含まれた有機溶媒SBは、高温条件下で気化して微細カプセルMCの体積を増加させて、また微細カプセルMCの外部に流出する。このような微細カプセルMCの体積増加及び有機溶媒SBの流出によって、有機溶媒SBの気化温度以上の条件では一般に、熱剥離型接着部材APの接着力が減少される。
【0058】
一方、一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、ベース樹脂BRに分散された微細カプセルMCは複数個であり、複数個の微細カプセルMCの粒子のサイズは、互いに同じであるか又は異なっている。
【0059】
微細カプセルMCの粒子のサイズが500nmより大きくなれば、熱剥離型接着部材APの光学特性が低下する恐れがある。即ち、粒子のサイズが500nmより大きい微細カプセルMCを含む熱剥離型接着部材APは、光透過度が減少し、ヘイズ(haze、「かすみ」)値が増加する恐れがある。つまり、粒子のサイズが500nmより大きい微細カプセルMCを含む熱剥離型接着部材APは、光透過度が低くなりヘイズ値が増加されて、表示装置の接着部材として使用するにはふさわしくない恐れがある。
【0060】
微細カプセルMCの粒子のサイズが小さいほど、熱剥離型接着部材APの光学特性が改善される。つまり、微細カプセルMCの粒子のサイズが小さいほど、熱剥離型接着部材APの透過度が増加し、ヘイズ値が減少される。しかし、微細カプセルMCの粒子のサイズが50nmより小さくなれば、微細カプセルMCの内部に収容される有機溶媒SBの量が著しく減り、熱剥離型接着部材APの熱剥離特性が低下する恐れがある。
【0061】
微細カプセルMCの内部には、有機溶媒SBが収容されている。つまり、微細カプセルMCは、外皮部OSによって包まれた有機溶媒SBを含むものであってもよい。
【0062】
微細カプセルMCに含まれた有機溶媒SBは、光学的等方性を有する液状物質である。有機溶媒SBは、気化温度が50℃以上150℃以下のものである。つまり、一実施例による熱剥離型接着部材APに含まれた有機溶媒SBは常温では液状であり、50℃以上150℃以下の温度で気化する。ここで、有機溶媒SBの気化温度は、液状の有機溶媒の沸点(boiling point)を示すものである。一方、好ましくは、有機溶媒SBは、気化温度が90℃以上110℃以下である。
【0063】
一方、一実施例の熱剥離型接着部材APに含まれた有機溶媒SBは疎水性溶媒である。好ましくは、一実施例に使用された有機溶媒SBは、常温で水に対する溶解度が1.0以下の溶媒である。この際、水に対する有機溶媒の溶解度は、水100gに溶解された有機溶媒の重量(g)の割合を示す。疎水性を有する有機溶媒SBは、微細カプセルMCにおいて中空部IH内に配置される。有機溶媒の溶解度を測定した常温は、例えば25℃である。
【0064】
例えば、一実施例において、微細カプセルMCの中空部IH内に含まれる有機溶媒SBは、メチルシクロへキサン(methylcyclohexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロベンタン(cyclopentane)、イソオクタン(isooctane)、tert-ブチルアセテート(tert-butylacetate)、ヘプテン(heptene)、及びヘプタン(heptane)のうち少なくとも何れか1種を含む。
【0065】
微細カプセルMCに含まれた有機溶媒SBの温度を気化温度以上にする熱が一実施例による熱剥離型接着部材APに加えられる場合、微細カプセルMCの中空部IHに収容されている有機溶媒SBが外皮部OSの外に流出して、熱剥離型接着部材APの接着力を低下させる。特に、気化されて微細カプセルMCの外部に流出された有機溶媒SBは、熱剥離型接着部材APの表面に移動して、被着剤と接する面における熱剥離型接着部材APの接着力を低下させる。
【0066】
また、微細カプセルMCに含まれた有機溶媒SBの温度を気化温度以上にする熱が一実施例による熱剥離型接着部材APに加えられる場合、気化した有機溶媒SBによって微細カプセルMCの体積が増加する。微細カプセルMCの体積増加によって熱剥離型接着部材APの全体の体積が増加し、それによって熱剥離型接着部材APの被着剤に対する接着力が低下する。
【0067】
常温における熱剥離型接着部材APの接着力を初期接着力とすると、初期接着力を基準にする有機溶媒の気化温度における熱剥離型接着部材APの接着力の割合は90%以下である。つまり、一実施例の熱剥離型接着部材APの常温における接着力を第1接着力とし、有機溶媒の気化温度における接着力を第2接着力とすると、第2接着力≦0.9X(Xは第1接着力)の関係を示す。例えば、微細カプセルMCに含まれた有機溶媒SBの気化温度における熱剥離型接着部材APの接着力は、常温における熱剥離型接着部材APの接着力を基準に10%乃至15%レベルまで減少する
【0068】
一実施例の熱剥離型接着部材APは、可視光線領域における透過度が90%以上である。つまり、一実施例の熱剥離型接着部材APは、400nm以上800nm以下の波長領域における透過度が90%以上である。
図3は、一実施例の熱剥離型接着部材の光学特性を示すグラフである。
図3において、比較例は、微細カプセルを含まないベース樹脂のみで構成された接着部材の光透過特性を示す。一実施例は、ベース樹脂及びベース樹脂に分散された微細カプセルを含む一実施例の熱剥離型接着部材の光透過特性を示す。一実施例は、ベース樹脂と微細カプセルの全体重量を基準として、微細カプセルが1wt%(1重量%)だけ含まれた場合を示す。
【0069】
図3を参照すると、一実施例の熱剥離型接着部材APは可視光線の波長領域である400nm以上800nm以下の波長領域において95%以上の高い透過度を有することが分かる。
また、一実施例の熱剥離型接着部材APのヘイズ値は0.1%以下である。この際、ヘイズ値は、ヘイズメータ(haze meter)を利用して測定されたものである。一実施例の熱剥離型接着部材APは、ナノスケールの粒子のサイズを有する微細カプセルMCを含んで90%以上の高い透過度と0.1%以下の低いヘイズ値を有するので、光学的透明性が要求される接着部材として十分使用可能である。
【0070】
一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、ベース樹脂BRと微細カプセルMCの屈折率の差の絶対値は0.1以下である。つまり、一実施例において、ベース樹脂BRと微細カプセルMCの屈折率の差を0.1以下に調整することで、熱剥離型接着部材APの光学特性を改善できる。
【0071】
ベース樹脂BRと微細カプセルMCの屈折率の差の絶対値を0.1以下にして、熱剥離型接着部材APの光学特性を向上し、ヘイズ値を減少できる。また、一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、微細カプセルMCと微細カプセルの外皮部OS内に配置された有機溶媒SBとの屈折率の差の絶対値も0.1以下であってもよい。つまり、ベース樹脂BRと微細カプセルMCの屈折率の差が0.1以下に小さく維持されるようにして、熱剥離型接着部材APにおける微細カプセルMCによる光歪曲現象を減少できる。
【0072】
一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、微細カプセルMCは0.05wt%以上40wt%以下の比率で含まれる。つまり、ベース樹脂BRと微細カプセルMCの全体重量を基準として、微細カプセルは0.05wt%以上40wt%以下の比率で含まれる。微細カプセルが0.05wt%より少なく含まれれば、一実施例の熱剥離型接着部材APは高温における接着力の減少幅が小さく、熱剥離型接着部材としての機能ができない。
【0073】
また、微細カプセルが40wt%より多く含まれれば、常温における熱剥離型接着部材APの初期接着力が低下し、ヘイズ値が増加されて、熱剥離型接着部材APの光学特性が低下する恐れがある。また、微細カプセルの含量を過度に増加することで、ベース樹脂BRにおいて微細カプセルMCが均一に分散されずに相分離される問題が発生する恐れがある。
【0074】
より好ましくは、一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、微細カプセルMCは0.1wt%以上10wt%以下の重量比率で含まれる。
【0075】
一方、一実施例の熱剥離型接着部材APは、上述したベース樹脂BRと微細カプセルMC以外に粘着性付与樹脂、光開始剤、又は架橋剤などを更に含む。
【0076】
図4乃至
図6は、一実施例の熱剥離型接着部材の断面を拡大して示す図である。
図4乃至
図6において、一実施例の熱剥離型接着部材AP-a、AP-b、AP-cは一面と他面を含む両面接着シートである。
【0077】
図4乃至
図5に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-a、AP-bは、互いに向い合う一面と他面を含み、一面から他面に行くほど微細カプセルMCの分布密度が減少するものである。
【0078】
図4及び
図5において、一面は熱剥離型接着部材AP-aの上部面である第1面AP-S1であり、他面は熱剥離型接着部材AP-aの下部面である第2面AP-S2である。
図4を参照すると、第1面AP-S1に隣接した第1領域AAに分布した単位面積当たりの微細カプセルMCの分布密度は、第2面AP-S2に隣接した第2領域BBに分布した単位面積当たりの微細カプセルMCの分布密度より大きい。つまり、
図4に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-aにおいて、厚さ方向である第3方向DR3に行くほどベース樹脂BRに分散された微細カプセルMCの分布密度が増加される。
【0079】
また、これとは異なって、
図5に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-bでは、厚さ方向である第3方向DR3に行くほど単位面積当たりの微細カプセルの分布密度が減少する。つまり、
図5を参照すると、第1面AP-S1に隣接した第1領域AAに分布した単位面積当たりの微細カプセルMCの分布密度は、第2面AP-S2に隣接した第2領域BBに分布した単位面積当たりの微細カプセルMCの分布密度より小さい。
【0080】
図4及び
図5に例示的に示したように、一実施例の熱剥離型接着部材の断面において、単位面積当たりの微細カプセルの分布密度は均一ではなく、上部面又は下部面に行くほど微細カプセルの分布密度が増加するか、又は減少する。
【0081】
図6に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-cは、微細カプセルMCが第1密度で分散された第1接着部AP-c1、微細カプセルMCが第2密度で分散された第2接着部AP-c2、及び第1接着部AP-c1と第2接着部AP-c2の間に配置され、微細カプセルMCが第3密度で分散された第3接着部APc-3を含む。この際、第3密度は第1密度及び第2密度未満である。つまり、一実施例の熱剥離型接着部材AP-cにおいて、中心部分の微細カプセルMCの分散密度は、中心部分を間に挟んで互いに向い合う両面における微細カプセルMCの分散密度より小さい。例えば、第1密度と第2密度は同じであり、第3密度は第1密度及び第2密度より小さい。また、これとは異なって、第1密度と第2密度は互いに異なってもよい。一方、
図6に示した一実施例とは異なって、第3接着部AP-c3には微細カプセルMCが含まれなくてもよい。
【0082】
図6を参照すると、一実施例において、微細カプセルMCは主に、熱剥離型接着部材AP-cの表面に隣接して配置される。好ましくは、一実施例の熱剥離型接着部材AP-cでは、中心領域から上部面又は下部面に行くほど微細カプセルMCの分散密度が大きくなる。つまり、一実施例の熱剥離型接着部材AP-cでは、被着剤に隣接して配置される上部面又は下部面に行くほど微細カプセルMCの分布密度が大きくなり、高温加熱条件で熱剥離型接着部材AP-cの脱着がより容易になる。
【0083】
一方、
図4乃至
図6に示していないが、一実施例の熱剥離型接着部材APにおいて、ベース樹脂BRに分散された微細カプセルMCの密度は、熱剥離型接着部材APが使用される位置及び用途に応じて多様に調節され得る。
【0084】
前記
図1乃至
図6で説明した一実施例の熱剥離型接着部材AP-a、AP-b、AP-cは、両面接着シート又は接着レジンの形態で提供される。例えば、一実施例の熱剥離型接着部材AP-a、AP-b、AP-cは、露出された一面及び他面で各々、被着剤と結合する両面テープ状に提供される。両面テープ状に提供される熱剥離型接着部材は、一部未硬化の粘着性樹脂を含み、未硬化の粘着性樹脂は紫外線硬化工程を介して硬化される。
【0085】
また、一実施例の熱剥離型接着部材は、液状の接着レジン状で提供される。液状で提供される熱剥離型接着部材は、紫外線硬化工程又は熱硬化工程を介して固定された接着部材の形態に変形される。例えば、液状の接着レジンとして提供される熱剥離型接着部材は被着面に直接提供され、その後、紫外線硬化工程を経て固体化されて接着層を形成する。
【0086】
一実施例の熱剥離型接着部材は、光透過度が90%以上、且つ0.1%以下のヘイズ値を有するものであって、表示装置においてOCA(optically clear adhesive)又はOCR(optically clear resin)として使用される。
【0087】
図7乃至
図12は、上述した一実施例の熱剥離型接着部材を含む表示装置の一実施例を示す図である。以下では
図7乃至
図12を参照して一実施例の表示装置について説明するが、一実施例の表示装置に関する説明のうち熱剥離型接着部材について、上述した一実施例の熱剥離型接着部材に関する内容と重複する内容は説明を省略する。
【0088】
図7に示した一実施例の表示装置DDは、表示パネルDP、表示パネルDPの上に配置されたウィンドウ部材WP、及び表示パネルDPとウィンドウ部材WPの間に配置された熱剥離型接着部材APを含む。熱剥離形接着部材APは、ベース樹脂BR、及びベース樹脂BRに分散された微細カプセルMCを含む。微細カプセルMCは、
図2に例示的に示したように、外皮部OS、及び外皮部OSによって定義される中空部IHを含む。中空部IHの内には有機溶媒SBが収容される。微細カプセルMCは、粒子サイズが50nm以上500nm以下である。
【0089】
一実施例の表示装置DDにおいて、熱剥離型接着部材APに関する説明は、上述した一実施例の熱剥離型接着部材APに関する内容が同じく適用される。
【0090】
表示パネルDPはイメージを生成し、ウィンドウ部材WPが配置される前面に生成されたイメージを提供する。表示パネルDPは、生成されたイメージを第3方向DP3の方に提供する。例えば、表示パネルDPは、液晶表示パネル(liquid crystal display)、有機発光表示パネル(organic light emitting display panel)、プラズマ表示パネル(plasma display panel)、電気泳動表示パネル(electrophoretic display panel)、MEMS表示パネル(microelectromechanical system display panel)、又は電気湿潤表示パネル(electrowetting display panel)である。
【0091】
ウィンドウ部材WPは、表示パネルDPの上に配置される。ウィンドウ部材WPは、表示パネルDPの前面をカバーして配置され、表示パネルDPを保護する。例えば、前面に露出されるウィンドウ部材WPの面積は、ウィンドウ部材WPと向い合う表示パネルDPの上部面の面積より大きい。
【0092】
ウィンドウ部材WPは、ガラス材質である。例えば、ウィンドウ部材WPとして強化ガラス基板が使用される。又は、ウィンドウ部材WPは可撓性のあるプラスチック材質で構成される。例えば、プラスチック材質のウィンドウ部材WPは、ポリイミド(polyimide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、polymethylmethacrylate)、ポリカーボネート(PC、polycarbonate)、ポリエチレンナフタレート(PEN、polyethylenenaphthalate)、ポリ塩化ビニリデン(polyvinylidenechloride)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、polyvinylidenedifluoride)、ポリスチレン(polystyrene)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(ethylene vinylalcohol copolymer)、又はこれらの組み合わせからなる。しかし、実施例はこれに限られず、該当技術分野でウィンドウ部材WP用材質として知られている一般的な材質であれば制限なく使用できる。
【0093】
一方、ウィンドウ部材WPは機能性層(図示せず)を更に含む。例えば、機能性層(図示せず)は、ハードコーティング層、指紋防止コーティング層であるが、実施例はこれに限られない。
【0094】
熱剥離型接着部材APは、表示パネルDPとウィンドウ部材WPの間に配置される。熱剥離型接着部材APの第1面AP-S1はウィンドウ部材WPと接し、第1面AP-S1と向い合う第2面AP-S2は表示パネルDPと接する。熱剥離型接着部材APは、表示パネルDPとウィンドウ部材WPとを結合する。熱剥離型接着部材APは90%以上の光透過度と0.1%以下のヘイズ値を有し、表示装置DDにおいて光学的透明接着層として機能する。
【0095】
一実施例の表示装置DDにおいて、熱剥離型接着部材APの微細カプセルMCの内には気化温度が50℃以上150℃以下の有機溶媒が収容される。有機溶媒SBは、光学的等方性を有する液状物質である。より好ましくは、微細カプセルMCには気化温度が90℃以上110℃以下の有機溶媒が収容される。
【0096】
有機溶媒は、表示装置DDの一般的な使用条件である常温で液状で微細カプセルMCの中空部内に捕獲(収容)された状態で存在し、有機溶媒の気化温度以上の熱が表示装置DDに印加されれば、微細カプセルMCは膨張するか、又は微細カプセルMCの内部の有機溶媒は気化して微細カプセルMCの外部に流出する。
【0097】
一実施例において、有機溶媒の気化温度が50℃より低ければ、表示装置DDの一般的な使用条件で有機溶媒が気化し微細カプセルの外部に流出するので、熱剥離型接着部材の接着力が低下する恐れがある。また、一実施例において、有機溶媒の気化温度が150℃より高ければ、熱剥離型接着部材を脱着させるために150℃より高温を具現する熱が印加されるべきであり、それによって表示パネルDP又はウィンドウ部材WPの構成部品が高温に露出されて、表示装置の信頼性が低下する問題が生じる恐れがある。
【0098】
図8及び
図9は、一実施例の表示装置DDに有機溶媒の気化温度以上の熱が印加された場合を例示的に示す図である。
図8を参照すると、ウィンドウ部材WPと隣接した第1面AP-S1の熱剥離型接着部材AP’の上部面で脱着が起こる。また、
図8に示したものとは異なって、表示パネルDPと隣接した第2面AP-S2である熱剥離型接着部材AP’の下部面で脱着が起こってもよい。
【0099】
一方、
図9を参照すると、ウィンドウ部材WPと隣接した第1面AP-S1である熱剥離型接着部材AP’の上部面と、表示パネルDPと隣接した熱剥離型接着部材AP’の下部面である第2面AP-S2との双方が、各々、被着面であるウィンドウ部材WPと表示パネルDPから脱着される。つまり、一実施例において、熱剥離型接着部材AP’は、接触する被着剤の種類に応じて少なくとも一つの面で脱着が起こるよう、接着物性が調節される。
【0100】
図8及び
図9に示した場合において、有機溶媒が気化されて微細カプセルMC’の体積が増加するにつれ、熱剥離型接着部材AP’の被着面に対する接着力が低下する。例えば、熱が印加された後の微細カプセルMC’の体積が、熱が印加される前の微細カプセルMC(
図7)の体積より大きくなる。
【0101】
また、
図8及び
図9に示した場合において、有機溶媒が微細カプセルMC’の外部に流出して、熱剥離型接着部材AP’において互いに向い合う第1面AP-S1及び第2面AP-S2のうち何れか一面又は両面に移動する。例えば、熱が印加された後を示す
図8及び
図9の場合、微細カプセルMC’の内部は
図7に示した熱剥離型接着部材APの微細カプセルMCに比べ中空部内に有機溶媒を収容していないか、又は少量の有機溶媒のみを収容している。
【0102】
一方、
図4に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-aが一実施例の表示装置DDに含まれる場合、熱剥離型接着部材AP-aは微細カプセルMCの分布密度が大きい第1面AP-S1でのみ被着剤から脱着される。また、これとは異なって、
図5に示した一実施例の熱剥離型接着部材AP-bが一実施例の表示装置DDに含まれる場合、熱剥離型接着部材AP-bは微細カプセルMCの分布密度が大きい第2面AP-S2でのみ被着剤から脱着される。
【0103】
図7乃至
図9を参照すると、一実施例の表示装置DDに含まれた熱剥離型接着部材APは、ウィンドウ部材WPと隣接した第1面AP-S1と、第1面AP-S1と向い合って表示パネルDPと隣接した第2面AP-S2を含むものである。
【0104】
微細カプセルMCに含まれた有機溶媒の気化温度以上で第1面AP-S1及び第2面AP-S2のうち少なくとも一つの面における熱剥離型接着部材APの接着力は、常温での第1面AP-S1及び第2面AP-S2のうち少なくとも一つの面における熱剥離型接着部材APの接着力の90%以下である。つまり、常温で熱剥離型接着部材が第1面AP-S1及び第2面AP-S2のうち少なくとも一つの面において第1接着力を有し、気化温度で第1面AP-S1及び第2面AP-S2のうち少なくとも一つの面において第2接着力を有する場合、第2接着力≦0.9X(第1接着力)の関係を有する。
【0105】
例えば、微細カプセルMC内に含まれた有機溶媒の気化温度以上の高温になると、熱剥離型接着部材APの接着力は常温での接着力より減少し、常温での接着力に比べ70%以下に減少する。また、有機溶媒の気化温度以上の熱が印加された後の熱剥離型接着部材APの接着力は、常温での接着力の10%乃至15%まで減少する。
【0106】
一実施例の表示装置DDは高温で接着力が減少する熱剥離型接着部材APを含み、有機溶媒の気化温度前後の熱を印加することにより、表示装置DDの製造工程で結合された部材を容易に分離できる。よって、表示装置DDの再組み立てが必要な場合であっても、他の部材を損傷せずに熱剥離型接着部材APを脱着して表示装置DDの再作業性及び生産性を改善できる。
【0107】
図10及び
図11は、一実施例の表示装置DDの断面を示す図である。
図10及び
図11を参照すると、一実施例の表示装置DDは、表示パネルDP、表示パネルDPの上に配置されたウィンドウ部材WP、及び表示パネルDPとウィンドウ部材WPの間に配置された熱剥離型接着部材APを含む。また、一実施例の表示装置DDは、熱剥離型接着部材APの上に配置された光学的透明接着部材AAPを更に含む。光学的透明接着部材AAPは、表示パネルDPと熱剥離型接着部材APの間、又はウィンドウ部材WPと熱剥離型接着部材APの間に配置される。
【0108】
図10は、光学的透明接着部材AAPが表示パネルDPと熱剥離型接着部材APの間に配置される場合を示す図である。つまり、光学的透明接着部材AAPが表示パネルDPと隣接して配置され、光学的透明接着部材AAPの上に配置された熱剥離型接着部材APがウィンドウ部材WPと隣接して配置される。
図10の一実施例において、熱剥離型接着部材APに含まれた微細カプセルMCの内部には気化温度が50℃以上150℃以下の有機溶媒が収容されている。有機溶媒の気化温度以上の熱が表示装置DDに印加される場合、
図10の一実施例では、ウィンドウ部材WPと熱剥離型接着部材APの間の界面で分離が起こる。
【0109】
図11は、光学的透明接着部材AAPがウィンドウ部材WPと熱剥離型接着部材APの間に配置される場合を示す図である。つまり、熱剥離型接着部材APが表示パネルDPと隣接して配置され、熱剥離型接着部材APの上に配置された光学的透明接着部材AAPがウィンドウ部材WPと隣接して配置される。
図11の一実施例において、熱剥離型接着部材APに含まれた微細カプセルの内部には気化温度が50℃以上150℃以下の有機溶媒が収容されている。有機溶媒の気化温度以上の熱が表示装置DDに印加される場合、
図11の一実施例では、表示パネルDPと熱剥離型接着部材APの間の界面で分離が起こる。
【0110】
光学的透明接着部材AAPは、熱剥離型接着部材APに比べ、ベース樹脂は含み微細カプセルは含まない。
【0111】
光学的透明接着部材AAPは、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、及びアセトアセトキシエチルメタクリレートのうちから選択される何れか1種又はこれらの組み合わせを含むベース樹脂を含む。一方、一実施例の光学的透明接着部材AAPにおいて、ベース樹脂に含まれる材料は提示された化合物に限らず、公知の粘着性樹脂を更に含むものであってもよい。
【0112】
一方、光学的透明接着部材AAPに使用されたベース樹脂と熱剥離型接着部材APに使用されたベース樹脂は、互いに同じであるか、又は互いに異なる。
【0113】
光学的透明接着部材AAPと熱剥離型接着部材APは、一体に提供される。例えば、光学的透明接着部材AAPと熱剥離型接着部材APは、互いに結合された状態で一つの接着層として提供される。
【0114】
また、これとは異なって、光学的透明接着部材AAPと熱剥離型接着部材APは、別途の工程から各々、提供される。例えば、光学的透明接着部材AAPを先に被着面に提供し、後に光学的透明接着部材AAPの上に熱剥離型接着部材APを提供する。又は、熱剥離型接着部材APを先に被着面に提供し、その後に、熱剥離型接着部材APの上に光学的透明接着部材AAPを提供してもよい。また、光学的透明接着部材AAP及び熱剥離型接着部材APを各々、互いに向い合う被着面に提供し、後に光学的透明接着部材AAPと熱剥離型接着部材APを互いに結合させてもよい。
【0115】
図10及び
図11に示した一実施例の表示装置DDにおいて、熱剥離型接着部材APと光学的透明接着部材AAPの厚さは互いに同じであるか又は異なる。例えば、熱剥離型接着部材APの厚さは光学的透明接着部材AAPの厚さ以下ある。
【0116】
一方、
図10及び
図11に示した一実施例の表示装置DDにおいて、一つの熱剥離型接着部材AP層と一つの光学的透明接着部材AAP層が積層されている場合を示したが、実施例はこれに限られない。例えば、一実施例の表示装置において、光学的透明接着部材AAPを間に挟んで両面に全て剥離型接着部材APが配置される場合がある。
【0117】
図12は、一実施例の表示装置の断面図である。一実施例の表示装置DD-1は、表示パネルDPとウィンドウ部材WPの間に入力感知ユニットTSUを更に含む。
図12を参照すると、入力感知ユニットTSUは表示パネルDPの上に配置される。一実施例の表示装置DD-1は、入力感知ユニットTSUとウィンドウ部材WPの間に配置された剥離型接着部材APと、表示パネルDPと入力感知ユニットTSUの間に配置された剥離型接着部材AP-1を含む。一実施例において、熱剥離形接着部材AP、AP-1は、ベース樹脂BRと、ベース樹脂BRに分散された微細カプセルMCを含む。微細カプセルMCは、
図2に示したように外皮部OS及び中空部IHを含み、中空部IHの内に気化温度が50℃以上150℃以下の有機溶媒SBを収容する。
【0118】
有機溶媒の気化温度以上の高温を具現する熱が表示装置DD-1に印加されれば、剥離型接着部材AP、AP-1の接着力が低下し、剥離型接着部材AP、AP-1の脱着が容易に行われる。一方、入力感知ユニットTSUとウィンドウ部材WPの間に配置された剥離型接着部材APと、表示パネルDPと入力感知ユニットTSUの間に配置された剥離型接着部材AP-1は、互いに同じであるか、又は互いに異なる接着性質を有する接着部材である。
【0119】
一方、
図12では入力感知ユニットTSUと表示パネルDPの間に剥離型接着部材AP-1が配置された場合を示したが、一実施例において、入力感知ユニットTSUは表示パネルDPの上に直接配置される。つまり、入力感知ユニットTSUと表示パネルDPの間に別途の接着部材が配置されずに、表示パネルの上部に入力感知ユニットTSUが直接形成されたものであってもよい。つまり、
図12に示した一実施例において、入力感知ユニットTSU表示パネルDPの間に配置された剥離型接着部材AP-1が省略される。
【0120】
また、一実施例において、入力感知ユニットTSUとウィンドウ部材WPの間に配置された剥離型接着部材AP、及び表示パネルDPと入力感知ユニットTSUの間に配置された剥離型接着部材AP-1のうち何れか一つは、光学的透明接着部材である。
【0121】
一実施例の剥離型接着部材は、ナノスケールの粒子サイズを有する微細カプセルを含んで良好な光学特性を有すると共に、高温条件で微細カプセル内部の有機溶媒が流出されて接着力を低下させるので、接着部の脱着に係る再作業性を向上する。
【0122】
また、一実施例の表示装置は、剥離型接着部材を含めて熱を印加することにより接着部材を容易に脱着できるので、表示装置を製造する際の再作業性及び生産性を改善できる。
【0123】
以下では、実施例及び比較例を参照して、本発明の一実施形態による剥離型接着部材の製造方法及びそれに係る特性の評価を具体的に説明する。また、以下に示す実施例は、本発明の理解を助けるための一例示であり、本発明の範囲はこれに限られない。
[実施例]
【0124】
1.微細カプセルの製造方法
本発明の一実施例の熱剥離型接着部材に含まれた微細カプセルの製造方法について例示し、具体的に説明する。また、以下で説明する微細カプセルの製造法は一実施例であって、本発明の実施形態による微細カプセルの製造法は下記実施例に限られない。例えば、一実施例の微細カプセルの製造過程は以下に提示された反応条件に限定されずに、該当技術分野で知られている反応条件であれば如何なる条件が適用されても構わない。
【0125】
(1)単一重合体からなる外皮部を含む微細カプセルの製造方法
超純水(D.I water)30gにドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate:SDS)0.3gを添加した後、十分に撹拌して混合する。有機溶媒であるメチルシクロヘキサン(methylcyclohexane)2gにメチルメタクリレート(methylmethacrylate)0.5g、AIBN(azobisisobutyronitrile)0.0025gを添加した有機混合物を十分に撹拌する。次に、撹拌した有機混合物をドデシル硫酸ナトリウムが混合された超純水(D.I water)に入れ、40℃の温度で、且つ600rpmの回転速度で、30分間撹拌する。次に、超音波振動器(Sonifier)を利用して、氷水バス(icewater bath)で、70%振幅(amplitude)で3分間超音波処理を行う。次に、窒素パージング下で、コンデンサを取り付けたまま70℃の温度で、且つ600rpmの回転速度で、8時間反応させ、ナノカプセルを製造する。最後に、ジアリシスチューブ(dialysis tube)を利用して、合成されたナノカプセルを7日間精製する。製造されたナノカプセルは、50nm以上500nm以下の粒子サイズを有する。製造された微細カプセルは、PMMA(polymethylmethacrylate)からなる外皮部、及び外皮部に包まれた中空部内にメチルシクロヘキサンを含む。
【0126】
(2)共重合体からなる外皮部を含む微細カプセルの製造方法
超純水(D.I water)45gにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.45gを添加した後、十分に撹拌して混合する。有機溶媒であるメチルシクロヘキサン3gにメチルメタクリレート0.75g、アクリロニトリル(acrylonitrile)0.675g、及びAIBN0.0038gを添加した有機混合物を十分に撹拌する。次に、撹拌した有機混合物をドデシル硫酸ナトリウムが混合された超純水(D.I water)に入れ、40℃の温度で、且つ600rpmの回転速度で、30分間撹拌する。次に、超音波振動器を利用して、氷水バスで、70%振幅で3分間超音波処理を行う。次に、窒素パージング下で、コンデンサを取り付けたまま70℃の温度で、且つ600rpmの回転速度で、8時間反応させ、ナノカプセルを製造する。最後に、ジアリシスチューブを利用して、合成されたナノカプセルを7日間精製する。製造されたナノカプセルは、50nm以上500nm以下の粒子サイズを有する。製造された微細カプセルは、PAN(polyacrylonitrile)とPMMAの共重合体からなる外皮部、及び外皮部に包まれた中空部内にメチルシクロヘキサンを含む。
【0127】
2.熱剥離型接着部材の製造方法
ベース樹脂であるPMMA樹脂に製造された微細カプセルを追加し、30分間混合撹拌して、熱剥離型接着部材用接着レジンを製造した。この際、微細カプセルは、ベース樹脂と微細カプセルの全体重量を基準に各々、1.0wt%、又は5.0wt%が含まれるサンプルを製造した。
下記表1は、各実施例の外皮部と有機溶媒の構成及びベース樹脂に対する微細カプセルの含量を示す。表1において、微細カプセルの含量は、ベース樹脂と微細カプセルの全体含量を基準とした重量比率を示す。
【0128】
【0129】
3.熱剥離型接着部材の評価
【0130】
(1)光透過度の評価
実施例及び比較例に対し、紫外-可視光スペクトロメータ(UV-vis spectrometer)を利用して光透過度を測定した。表2は、比較例と実施例に対する600nmにおける光透過度の相対値を示すものである。また、
図13及び
図14は、比較例と実施例における光透過度評価の結果を示す図である。表2に開示した光透過度値は、600nmの波長における比較例の光透過度を100%にする際の相対的な光透過度を示すものである。
【0131】
比較例を実施例の評価試料は、カバーグラス(cover glass)と偏光子の間に未硬化状態の接着部材を提供し、紫外線を照射して、100μm厚さの接着層を形成し評価した。比較例は微細カプセルを含まないOCA接着層であり、実施例は前記表1の構成を有するものである。
【0132】
下記表2は、600nmの波長における光透過度を示すものであり、
図13及び
図14は、400nm乃至800nmの波長領域における、比較例と実施例(
図13は実施例1-1,1-2、
図14は実施例2-1,2-2)との光透過度評価の対比結果を示す図である。
【0133】
【0134】
表2と、
図13及び
図14を参照すると、微細カプセルを含む実施例の熱剥離型接着部材の場合、微細カプセルを含まない比較例に比べ光透過度が一部減少する傾向を示した。しかし、600nmの波長を基準にすると、実施例は90%以上の高い光透過度を示すことが分かる。特に、微細カプセルの含量が1.0wt%である実施例1-1及び実施例2-1の場合、600nmの波長において95%以上の高い光透過度を示すことが分かる。
【0135】
つまり、ナノスケールの粒子サイズを有する微細カプセルを含む実施例の熱剥離型接着部材の場合、高い光透過度を維持できるので、光学的透明接着部材として実用上、十分使用可能である。
【0136】
(2)熱剥離型接着部材の接着力の評価
比較例と実施例に対する初期接着強度及び熱処理後の接着強度を評価した。比較例は微細カプセルを含まないOCA接着層であり、実施例は前記表1の構成を有するものである。
表3は、比較例と実施例に対する初期接着強度と熱処理以降の接着強度の相対的な値を示すものである。
【0137】
【0138】
表3において、初期接着強度(adhesion strength)は、熱が印加される前において、比較例の接着強度を100とする際の、実施例の相対的な接着力を示す。また、表3において、熱処理後の接着強度は、100℃における熱処理後において、比較例の接着強度を100とする際の、実施例の相対的な接着力を示す。
【0139】
表3を参照すると、初期接着強度においては、比較例に比べ実施例1-1、実施例1-2で接着強度が多少減少しているのに対して、実施例2-1及び実施例2-2は、比較例と類似した水準又は比較例より高い接着強度を示した。
【0140】
但し、熱処理の後、実施例の接着強度は何れも、比較例を基準として15%以下に減少していることが分かる。
【0141】
つまり、一実施例の熱剥離型接着部材は、微細カプセルが含まれていない比較例のOCA接着層に比べ常温で良好な接着力を示し、脱着が必要であれば、熱処理をして接着力を下げることにより容易に脱着できることが分かる。
【0142】
一実施例の熱剥離型接着部材は、ナノスケールの粒子サイズを有する微細カプセルを含み、微細カプセルの内に有機溶媒を収容することで、高い光透過度と低いヘイズ値を有しながらも、高温印加により容易に脱着できる。また、良好な光学特性を有すると共に熱を印加するだけで接着力を低下できるので、一実施例の熱剥離型接着部材は、光学的透明性が要求され、且つ再作業が必要な用途に多様に使用できる。
【0143】
また、一実施例の表示装置は、一実施例の熱剥離型接着部材を含むことで製造工程中の再作業性が改善される。特に、一実施例の熱剥離型接着部材は、微細カプセルの内部の有機溶媒が気化されて微細カプセルの体積を増加させるか、又は微細カプセル内部の有機溶媒が溶出されるようにして接着力を低下させることで、隣接する表示装置の他の部材を損傷せずに熱剥離型接着部材を容易に除去して、表示装置の生産性を改善することができる。
【0144】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者又は該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0145】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0146】
AAP 光学的透明接着部材
AP、AP-a、AP-b、AP-c、AP-1 熱剥離型接着部材
BR ベースレジン、ベース樹脂
DD、DD-1 表示装置
DP 表示パネル
IH 中空部
MC 微細カプセル
OS 外皮部
SB 有機溶媒
TSU 入力感知ユニット
WP ウィンドウ部材