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特許7109272半導体集積回路、ブリッジチップ、ディスプレイシステム、自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】半導体集積回路、ブリッジチップ、ディスプレイシステム、自動車
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20220722BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220722BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L27/04 T
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018115465
(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2019219221
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 恭一
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337161(JP,A)
【文献】特開平09-261692(JP,A)
【文献】特開2017-053816(JP,A)
【文献】特開平10-082839(JP,A)
【文献】特開2002-109899(JP,A)
【文献】特開2011-244218(JP,A)
【文献】特開2015-226206(JP,A)
【文献】特開2007-036054(JP,A)
【文献】米国特許第10097341(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0101376(US,A1)
【文献】米国特許第06816987(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0102950(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0332276(US,A1)
【文献】米国特許第06628324(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
H01L 27/04、
27/822、
H04B 1/60、
3/46-3/493、
17/00-17/40、
H04N 13/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、
レーン数が異なる入力バスと出力バスの間に設けられ、前記ライトクロックと同期して前記入力バスのデータが書き込まれ、前記リードクロックと同期して、書き込まれたデータが前記出力バスに読み出される非同期FIFO(First In First Out)と、
前記出力バスを介して前記非同期FIFOの出力データを受け、所定の処理を実行する回路ブロックと、
前記入力バスおよび前記出力バスと接続されており、テストモードにおいて、テストパターンを前記入力バスに割り込ませ、前記テストパターンにもとづく期待値と前記出力バスに読み出されるデータとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、
を備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記テストパターンはPRBS(Pseudo Random Binary Sequence)であり、前記テスト回路は、前記出力データとその期待値とのパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記テストパターンはカウンタにより生成され、前記テスト回路は、前記出力データの累積値をその期待値と比較することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記テスト回路は、巡回冗長検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記回路ブロックは、前記出力データを外部に送信するトランスミッタを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項6】
起動ごとに、前記テストモードにセットされることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項7】
外部プロセッサから画像データを受信するレシーバと、
前記レシーバが受信した画像データを処理する処理部と、
ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、
前記ライトクロックにもとづいて前記処理部による処理後の前記画像データが書き込まれ、前記リードクロックにもとづいて前記画像データが読み出し可能な非同期FIFO(First In First Out)と、
前記非同期FIFOの出力データを、外部に送信するトランスミッタと、
テストモードにおいて、テストパターンを前記非同期FIFOのデータ入力端子に割り込ませ、前記テストパターンにもとづく期待値と前記非同期FIFOのデータ出力端子から読み出される出力データとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、
を備えることを特徴とするブリッジチップ。
【請求項8】
前記テストパターンはPRBS(Pseudo Random Binary Sequence)であり、前記テスト回路は、前記出力データとその期待値とのパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項7に記載のブリッジチップ。
【請求項9】
前記テストパターンはカウンタにより生成され、前記テスト回路は、前記出力データの累積値をその期待値と比較することを特徴とする請求項7に記載のブリッジチップ。
【請求項10】
前記テスト回路は、巡回冗長検査を行うことを特徴とする請求項7に記載のブリッジチップ。
【請求項11】
前記ブリッジチップの起動ごとに、前記テストモードにセットされることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のブリッジチップ。
【請求項12】
前記画像データのブランク期間において、前記テストモードにセットされることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載のブリッジチップ。
【請求項13】
前記処理部は、OSD(On-Screen Display)機能を提供することを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載のブリッジチップ。
【請求項14】
画像プロセッサと、
前記画像プロセッサからの画像データを受ける請求項7から13のいずれかに記載のブリッジチップと、
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルを駆動するドライバ群と、
前記ブリッジチップと前記ドライバ群とを仲介するタイミングコントローラと、
を備えることを特徴とするディスプレイシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のディスプレイシステムを備えることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の異常検出に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の半導体集積回路のブロック図である。半導体集積回路200Rは、半導体集積回路300Rとともに処理システム100Rを構成する。半導体集積回路200Rは、信号処理により得られたデータを、半導体集積回路300Rにシリアル伝送する。半導体集積回路200Rは、主として、回路ブロック210、FIFO(First In First Out)220、PLL回路230、トランスミッタ240を備える。回路ブロック210はデータD1を生成する。データD1は、ライトクロックCLK1とともに、バスB1を介してFIFO220のデータ入力に供給される。
【0003】
PLL回路230は、ライトクロックCLK1を周波数逓倍し、リードクロックCLK2を生成する。FIFO220からは、リードクロックCLK2と同期してデータD2が読み出され、バスB2を介してトランスミッタ240に供給される。トランスミッタ240は、データD2を半導体集積回路300Rに送信する。
【0004】
半導体集積回路300Rは主として、レシーバ310および回路ブロック320を備える。レシーバ310は、トランスミッタ240からシリアルデータD3を受信する。回路ブロック320は、トランスミッタ240が受信したシリアルデータD4を処理する。
【0005】
このような処理システム100Rにおいて、半導体集積回路200Rや半導体集積回路300Rには、信頼性の改善のための異常検出機能が実装される。
【0006】
たとえば、半導体集積回路200Rには、PLL回路230の出力であるクロックCLK2を監視する周波数検出器250が設けられる。周波数検出器250は、クロックCLK2の周波数異常を検出すると、フェイル信号をアサートする。
【0007】
また半導体集積回路300Rには、レシーバ310が受信したデータD4を監視する判定部330が設けられる。判定部330は、データD4をその期待値と比較したり、あるいはデータD4に埋め込まれたエラーチェック用の値を、その期待値と比較することにより、データD4の異常を検出できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、図1の処理システム100Rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0009】
判定部330によって異常が検出されたとき、トランスミッタ240からレシーバ310への伝送エラーと、半導体集積回路200Rの内部で生ずるエラーを区別することができない。また、トランスミッタ240において、エラーチェック用の値を埋め込む場合、FIFO220において生ずるエラーの検出は不可能である。
【0010】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、非同期FIFOにおける異常を検出可能な半導体集積回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は、の半導体集積回路に関する。半導体集積回路は、ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、レーン数が異なる入力バスと出力バスの間に設けられ、ライトクロック、リードクロックが供給される非同期FIFO(First In First Out)と、出力バスを介して非同期FIFOの出力データを受け、所定の処理を実行する回路ブロックと、テストモードにおいて、テストパターンを入力バスに割り込ませ、テストパターンにもとづく期待値と出力データとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、を備える。
【0012】
本発明の別の態様は、ブリッジチップである。このブリッジチップは、外部プロセッサから画像データを受信するレシーバと、レシーバが受信した画像データを処理する処理部と、ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、ライトクロックにもとづいて処理部による処理後の画像データが書き込まれ、リードクロックにもとづいて画像データが読み出し可能な非同期FIFO(First In First Out)と、非同期FIFOの出力データを、外部に送信するトランスミッタと、テストモードにおいて、テストパターンを非同期FIFOのデータ入力端子に割り込ませ、テストパターンにもとづく期待値と出力データとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、を備える。
【0013】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0014】
さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明のある態様によれば、非同期FIFOにおける異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の半導体集積回路のブロック図である。
図2】実施の形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
図3】テスト回路の一例のブロック図である。
図4】テスト回路の別の一例のブロック図である。
図5】テスト回路の別の一例のブロック図である。
図6】半導体集積回路を備える処理システムのブロック図である。
図7】実施の形態に係るディスプレイシステムのブロック図である。
図8】ブリッジチップの構成例を示すブロック図である。
図9】ディスプレイシステムを備える自動車のコクピットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態の概要)
本明細書に開示される一実施の形態は、半導体集積回路に関する。半導体集積回路は、ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、レーン数が異なる入力バスと出力バスの間に設けられ、ライトクロック、リードクロックが供給される非同期FIFO(First In First Out)と、出力バスを介して非同期FIFOの出力データを受け、所定の処理を実行する回路ブロックと、テストモードにおいて、テストパターンを入力バスに割り込ませ、テストパターンにもとづく期待値と出力データとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、を備える。
【0018】
非同期FIFOの入力にテストパターンを与え、その出力を監視することにより、非同期FIFOにおいて生ずる異常と、PLL回路における周波数異常を検出できる。
【0019】
テストパターンはPRBS(Pseudo Random Binary Sequence)であり、テスト回路は、出力データとその期待値とのパターンマッチングを行ってもよい。
【0020】
テストパターンはカウンタにより生成され、テスト回路は、出力データの累積値をその期待値と比較してもよい。
【0021】
テスト回路は、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を行ってもよい。
【0022】
回路ブロックは、出力データを外部に送信するトランスミッタを含んでもよい。
【0023】
半導体集積回路は、起動ごとにテストモードにセットされてもよい。あるいは外部のマイコンからの指示に応答して、テストモードにセットされてもよい。
【0024】
本明細書に開示される一実施の形態は、ブリッジチップに関する。このブリッジチップは、外部プロセッサから画像データを受信するレシーバと、レシーバが受信した画像データを処理する処理部と、ライトクロックを逓倍し、リードクロックを生成するPLL回路と、ライトクロックにもとづいて処理部による処理後の画像データが書き込まれ、リードクロックにもとづいて画像データが読み出し可能な非同期FIFO(First In First Out)と、非同期FIFOの出力データを、外部に送信するトランスミッタと、テストモードにおいて、テストパターンを非同期FIFOのデータ入力端子に割り込ませ、テストパターンにもとづく期待値と出力データとの関係にもとづいて、異常を検出するテスト回路と、を備える。
【0025】
テストパターンはPRBS(Pseudo Random Binary Sequence)であり、テスト回路は、出力データとその期待値とのパターンマッチングを行ってもよい。テストパターンはカウンタにより生成され、テスト回路は、出力データの累積値をその期待値と比較してもよい。テスト回路は、巡回冗長検査を行ってもよい。
【0026】
ブリッジチップは、その起動ごとに、テストモードにセットされてもよい。画像データのブランク期間において、テストモードにセットされてもよい。あるいはブリッジチップは、マイコンからの指令にもとづいてテストモードにセットされてもよい。処理部は、OSD(On-Screen Display)機能を提供してもよい。
【0027】
(実施の形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0028】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
図2は、実施の形態に係る半導体集積回路200のブロック図である。半導体集積回路200は、回路ブロック210、FIFO220、PLL回路230、回路ブロック260、テスト回路270を備える。
【0030】
回路ブロック210は、データD1を生成して入力バスB1に出力する。回路ブロック260は、出力バスB2に生ずるデータD2を受け、信号処理を行う。データD1,D2の内容や信号処理は特に限定されない。PLL回路230は、ライトクロックCLK1を周波数逓倍し、リードクロックCLK2を生成する。入力バスB1と出力バスB2はレーン数が異なっており、たとえば出力バスB2のレーン数の方が入力バスB1のそれよりも少ない。
【0031】
非同期FIFO(First In First Out)220は、入力バスB1と出力バスB2の間に設けられ、ライトクロックCLK1、リードクロックCLK2が供給される。FIFO220にはライトクロックCLK1と同期して、入力バスB1のデータD1が書き込まれ、書き込まれたデータが、リードクロックCLK2と同期したデータD2として出力バスB2に読み出される。
【0032】
半導体集積回路200は通常モードと、テストモードが切り替え可能となっている。テスト回路270はテストモードにおいてアクティブとなり、データD1に代えてテストパターンPATを入力バスB1に割り込ませる。たとえば非同期FIFO220の入力側にはマルチプレクサ271が設けられ、マルチプレクサ271は、通常モードにおいて回路ブロック210からデータD1を選択し、テストモードにおいてテストパターンPATを選択する。テスト回路270は、テストモードにおいてFIFO220の出力データD2を監視し、テストパターンPATにもとづく期待値と出力データD2との関係にもとづいて、異常の有無を判定する。テスト回路270は、異常を検出するとフェイル信号FAILをアサート(たとえばハイ)する。
【0033】
以上が半導体集積回路200の構成である。続いてその動作を説明する。テストモードにおいて、非同期FIFO220の入力にテストパターンPATを与え、その出力D2を監視する。非同期FIFO220およびPLL回路230の両方が正常であれば、その出力D2(またはそれから得られる値)は期待値と一致し、反対に非同期FIFO220とPLL回路230のいずれか(あるいは両方)が故障していれば、出力D2と期待値は不一致となる。したがって半導体集積回路200によれば、非同期FIFO220およびPLL回路230の異常を検出できる。
【0034】
図3は、テスト回路270の一例のブロック図である。図3のテスト回路270は、パターン発生器272と、期待値比較器274を備える。パターン発生器272は、ライトクロックCLK1と同期して、PRBS(Pseudo Random Binary Sequence)を発生し、テストパターンPATとして出力する。この場合、FIFO220の出力データD2も、PRBSとなる。パターン発生器272は、出力データD2と同期して、テストパターンPATと同じPRBSである期待値パターンEXPを生成する。期待値比較器274は、出力データD2と期待値パターンEXPを比較し、異常の有無を判定する(パターンマッチング)。期待値比較器274における判定処理は、出力バスB2のレーン毎に行われる。
【0035】
図4は、テスト回路270の別の一例のブロック図である。図4のテスト回路270は、カウンタ276、積算器278、期待値比較器280を備える。カウンタ276は、ライトクロックCLK1と同期してカウントアップ(あるいはカウントダウン)するテストパターンPATを生成する。積算器278は、非同期FIFO220の出力データD2を累積加算する。期待値比較器280は、最終的に得られた積算値を、その期待値EXPと比較し、比較結果を示すフェイル信号FAILを生成する。
【0036】
図5は、テスト回路270の別の一例のブロック図である。図5のテスト回路270は、巡回冗長検査を行う。具体的にはテスト回路270は、パターン発生器272、CRCエンコーダ282、CRCデコーダ284を備える。パターン発生器272は、たとえばランダムなビットストリームBSを生成する。CRCエンコーダ282は、ビットストリームBSを受け、所定の演算(生成多項式による除算)を行い、得られる商に対応する検査データを生成し、ビットストリームBSに付加する。CRCデコーダ284は、出力データD2を所定の演算(生成多項式による除算)を行い、得られた商と、受信した検査データとの一致・不一致を判定する。
【0037】
図6は、半導体集積回路200を備える処理システム100のブロック図である。処理システム100は、半導体集積回路200に加えて、第1集積回路102、第2集積回路104、マイコン106を備える。マイコン106は、処理システム100を統合的に処理する。半導体集積回路200は、第1集積回路102からのデータDRXを受信し、所定の信号処理を施して、第2集積回路104に送信する。
【0038】
半導体集積回路200は、回路ブロック210、非同期FIFO220、PLL回路230、回路ブロック260を備える。回路ブロック210は、第1集積回路102からのデータDRXを受信するレシーバ212と、受信したデータを処理する信号処理部214と、を備える。
【0039】
回路ブロック260はトランスミッタであり、回路ブロック210が生成したデータD1を、非同期FIFO220を介して受信し、第2集積回路104に送信する。
【0040】
コントローラ201は、半導体集積回路200を制御する。たとえばコントローラ201は、半導体集積回路200の起動ごとに、テスト回路270をテストモードにセットし、テストモードの完了後に、通常モードに遷移させる。
【0041】
オシレータ202は、ライトクロックCLK1を生成する。ライトクロックCLK1は、回路ブロック210に供給されるシステムクロックCLKSYSを兼ねている。一例として、第1バスB1のレーン数は35であり、第2バスB2のレーン数は5であり、PLL回路230の逓倍数は、7またはそれより大きい。
【0042】
半導体集積回路200は、FAILピンを備える。FAILピンは、オープンドレイン(あるいはオープンコレクタ)形式のインタフェースであり、FAILピンは、ロー/ハイインピーダンスの2状態で遷移する。出力段204には、テスト回路270を含む複数の回路ブロックから、複数のフェイル信号FAILが入力され、少なくともひとつのフェイル信号がアサートされると、FAILピンをローに固定する。FAILピンはマイコン106の割り込み用のピンに接続される。
【0043】
半導体集積回路200は、IC(Inter IC)インタフェースやSPI(Serial Peripheral Interface)などを介してマイコン106と通信可能であり、レジスタ206、インタフェース回路208を備える。レジスタ206は、複数の異常検出用アドレスを含む。テスト回路270は、異常を検出すると、FAIL信号をアサートするとともに、複数の異常検出用アドレスのうち対応するひとつにフラグを立てる(値1を書き込む)。マイコン106はFAILピンがローに落ちると、インタフェース回路208を介してレジスタ206にアクセスする。そして、複数の異常検出用アドレスのうち、いずれのフラグが立っているかをチェックすることにより、異常の原因を知ることができる。
【0044】
図6の処理システム100のアーキテクチャは、ディスプレイシステム400に用いることができる。図7は、実施の形態に係るディスプレイシステム400のブロック図である。ディスプレイシステム400は、GPU(Graphics Processing Unit)402、ブリッジチップ(リピータICともいう)500、マイコン401、タイミングコントローラ406、ディスプレイパネル408、ゲートドライバ410、ソースドライバ412を備える。
【0045】
マイコン401、GPU402、ブリッジチップ500、タイミングコントローラ406はそれぞれ、図6のマイコン106、第1集積回路102、半導体集積回路200、第2集積回路104に対応する。
【0046】
ディスプレイパネル408の走査線にはゲートドライバ410が接続され、データ線にはソースドライバ412が接続される。ゲートドライバ410やソースドライバ412の個数は、ディスプレイパネル408の解像度に応じて設計される。
【0047】
GPU402が生成する画像データは、ブリッジチップ500を介してタイミングコントローラ406に供給される。タイミングコントローラ406は、画像データを処理し、各種タイミング信号や、輝度信号を生成し、ゲートドライバ410およびソースドライバ412に供給する。
【0048】
ブリッジチップ500は、従来のディスプレイシステムに付加的な機能を提供する。ブリッジチップ500は付加機能として、以下の少なくともひとつを提供する。
・OSD(On Screen Display)機能
・画像のチェック機能
・データ欠損の補完機能
【0049】
従来のディスプレイシステムは、図7のディスプレイシステム400からブリッジチップ500を省略した構成を有しており、GPU402が生成する画像データは、タイミングコントローラ406に直接供給される。
【0050】
図8は、ブリッジチップ500の構成例を示すブロック図である。レシーバ502~出力マッピング部522は、図2の回路ブロック210に相当し、非同期FIFO524は、図2の非同期FIFO220に相当し、テスト回路526は図2のテスト回路270に対応し、トランスミッタ528は図2の回路ブロック260に対応し、PLL回路530は図2のPLL回路230に対応する。
【0051】
レシーバ502は、たとえばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)インタフェースに準拠し、GPU(図7の402)から画像データを受信する。入力マッピング部504は、受信した画像データを、VESAフォーマットやJIEDAフォーマットにもとづいてマッピングする。入力データ監視部506は、入力マッピング部504の出力に含まれるクロックや、水平アクティブ画素数、垂直アクティブ画素数、水平トータル画素数、垂直トータル画素数などにもとづいて、異常を検出する。
【0052】
パターン発生器508は、黒画面表示のためのパターンや、BIST(Built In Self Test)用のデータを発生する。マルチプレクサ510は、入力データ監視部506が異常を検出すると、黒画面表示用のパターンを選択する。
【0053】
奇数・偶数補正部512は、奇数番目のピクセルと、偶数番目のピクセルを監視し、一方が欠損している場合に、他方を用いて補正あるいは補間する。
【0054】
ブリッジチップ500には、複数のOSD用キャラクタが保持される。OSD回路514は、外部のマイコンから指定されたOSDキャラクタを、画像データにオーバーラップする。
【0055】
GPU402から送信される画像データには、所定のキャラクタ画像、パターン画像がフレーム内の所定の位置に含まれる場合がある。画像チェック回路516は、これらの既知の画像が、正常であるかをチェックする。また画像チェック回路518は、GPU402から受信した画像に対してCRC演算を行い、映像フリーズや画像乱れ等の異常を検出する。マルチプレクサ520は、ディスプレイオン信号DISP_ONに応じて、黒データと、OSD回路514を経た画像データの一方を選択する。出力マッピング部522は、画像データを再マッピングする。
【0056】
出力マッピング部522は、PRBSの生成機能を有しており、図3のパターン発生器272の機能を兼ねている。図3のマルチプレクサ271は省略される。
【0057】
テスト回路526は、テストモードにおいてアクティブとなり、非同期FIFO524の出力データにもとづいて異常の有無を判定する。
【0058】
たとえばブリッジチップ500は、その起動時にテストモードに設定される。ブリッジチップ500の起動時に、ブリッジチップ500に外付けされるフラッシュなどの不揮発メモリから、各種設定データやOSD用キャラクタデータがロードされる。このロードの間、テスト回路526は検査を繰り返し実行してもよい。
【0059】
加えてブリッジチップ500は、画像データの出力中、各フレームに含まれる垂直ブランク期間の間、テストモードとなり、非同期FIFO524およびPLL回路530の異常を検出することができる。
【0060】
ブリッジチップ500は、テスト回路526によって異常を検出すると、上述のようにFAILピンを利用して、マイコンに通知する。またブリッジチップ500は、異常を検出すると、トランスミッタ528を停止し、画像データの出力を停止してもよい。
【0061】
<用途>
自動車には高い信頼性が要求されるところ、それに使用されるディスプレイシステムにも高い信頼性が要求される。したがって、実施の形態に係るディスプレイシステム400は、車載用途に有用である。図9は、ディスプレイシステム400を備える自動車600のコクピットを示す図である。たとえばディスプレイシステム400は、カーナビゲーションシステムの表示部602に好適に利用できる。あるいはディスプレイシステム400は、クラスターパネルの表示部604に好適に利用できる。あるいはディスプレイシステム400は、電子ドラミラーの表示部606に好適に利用できる。
【0062】
ディスプレイシステム400の用途は車載には限定されず、産業機械などの高い信頼性が要求されるアプリケーションにも適用可能である。あるいはラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、デジタルカメラなどの電子機器(民生機器)にも適用可能である。
【0063】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0064】
100 処理システム
102 第1集積回路
104 第2集積回路
106 マイコン
200 半導体集積回路
202 オシレータ
204 出力段
206 レジスタ
208 インタフェース回路
210 回路ブロック
212 レシーバ
214 信号処理部
220 非同期FIFO
230 PLL回路
240 トランスミッタ
250 周波数検出器
260 回路ブロック
270 テスト回路
271 マルチプレクサ
272 パターン発生器
274 期待値比較器
276 カウンタ
278 積算器
280 期待値比較器
282 CRCエンコーダ
284 CRCデコーダ
300 半導体集積回路
310 レシーバ
320 回路ブロック
330 判定部
B1 入力バス
B2 出力バス
400 ディスプレイシステム
402 GPU
404 ブリッジチップ
406 タイミングコントローラ
410 ゲートドライバ
412 ソースドライバ
408 ディスプレイパネル
504 入力マッピング部
506 入力データ監視部
512 奇数・偶数補正部
514 OSD回路
500 ブリッジチップ
516 画像チェック回路
502 レシーバ
522 出力マッピング部
524 非同期FIFO
526 テスト回路
528 トランスミッタ
530 PLL回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9