(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】浴室暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20220722BHJP
F24D 5/02 20060101ALI20220722BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24D5/02 A
F24F7/06 B
(21)【出願番号】P 2018143219
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 耕朋
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-22994(JP,A)
【文献】特開2006-336954(JP,A)
【文献】特開2004-333071(JP,A)
【文献】特開2005-121303(JP,A)
【文献】特開平9-250790(JP,A)
【文献】特開平11-90093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00
F24D 5/02
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の暖房を行う機能を有する浴室暖房ユニットと、浴室の換気を行う機能を有する換気ユニットとを備え、該換気ユニットに、他室の換気を行う機能と他室の暖房を行う機能とを付加した浴室暖房装置において、
前記浴室暖房ユニットは、浴室の空気を循環させる浴室循環路を備え、
前記換気ユニットは、
前記浴室循環路に形成された連通口に上流端が接続され、下流端が屋外へ連通する換気路と、
前記換気路内に設けられた換気ファンと、
上流端が他室に開口し、下流端が前記換気ファンの上流側の前記換気路に接続された他室吸込路と、
前記換気路における前記他室吸込路の接続位置と前記換気ファンとの間に設けられて前記他室吸込路からの空気を加熱する加熱部と、
前記換気路における前記他室吸込路の接続位置と前記換気ファンとの間に設けられて前記加熱部をバイパスするバイパス路と、
前記換気ファンの下流側の前記換気路に上流端が接続され、下流端が他室に開口する他室吹出路と、
前記連通口を開閉する連通口開閉ダンパと、
前記バイパス路を開閉するバイパス路開閉ダンパと、
前記換気路を開放しているとき前記他室吹出路を閉塞する換気路開閉ダンパと、
前記連通口開閉ダンパが開放状態のとき、前記浴室循環路から前記換気路への空気の流入量より前記他室吸込路から前記換気路への空気の流入量を小とすべく前記他室吸込路の一部を塞いで前記他室吸込路の空気流量を制限する他室流量制限ダンパとを備えることを特徴とする浴室暖房装置。
【請求項2】
前記バイパス路開閉ダンパは、前記バイパス路を開放しているときに前記換気路における前記他室吸込路の接続部と前記加熱部との間を閉塞することを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項3】
前記バイパス路開閉ダンパは、前記他室流量制限ダンパを一部に備え、
前記バイパス路開閉ダンパにおける前記他室流量制限ダンパ部分は、前記バイパス路開閉ダンパが前記バイパス路を開放しているときに前記他室吸込路の一部を塞いで前記他室吸込路の空気流量を制限することを特徴とする請求項1又は2記載の浴室暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室及び他室の暖房運転と換気運転を行う浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の天井裏に設置される浴室暖房装置においては、浴室だけでなく他室である脱衣室との2室の暖房を行うために、脱衣室用の暖房ユニットを備えるものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、浴室の天井裏に設置した浴室暖房装置が備える脱衣室用の暖房ユニットから温風ダクトを延ばし、この温風ダクトから脱衣室へ温風を供給することにより脱衣室の暖房が行われる。更に、浴室や脱衣室を換気するために共通の換気路と換気ファンとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では、浴室暖房装置として1台であっても、他室である脱衣室用の暖房ユニットを備えるために実質的には2台の暖房装置と同様であり、換気路と換気ファンとを2室共通で用いても、換気ファン以外にも更に浴室暖房用の循環ファンと脱衣室暖房用の循環ファンとの2つのファンが必要となる。このため、装置構成が複雑となって大型化するだけでなく、2台の暖房装置を浴室と他室とに設置するものに比べてコストの低減が望めない不都合があった。
【0006】
そこで、浴室から延びる換気路の一部に他室暖房用の加熱部を備える循環路を接続し、換気ファンによって他室に温風を送ることが考えられる。これによれば、浴室暖房用の循環ファンを設けることなく他室の暖房を行うことができるので、装置構成の大型化を防止してコストの低減も可能となる。
【0007】
ところで、浴室は他室(脱衣室)に比べて湿気が多い。このため、浴室の換気の際は、浴室から排出させる空気の流量を比較的多くして、高い換気効率を確保する必要がある。そして、浴室と他室との換気が同時に行われる場合には、他室から排出する空気の流量を浴室より小として(具体的には、他室から空気を吸入する流路を小さくして)、浴室から排出される空気の流量を低下させないようにする必要がある。
【0008】
しかし、浴室より他室の空気の排出流量が小さい状態のまま、他室のみの暖房を行うと、他室の空気の循環流量が十分に確保できないために、他室の暖房効率が低下するおそれがある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、小型軽量として低コストであるだけでなく、浴室における高い換気効率と他室における高い暖房効率とを両立させることができる浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、浴室の暖房を行う機能を有する浴室暖房ユニットと、浴室の換気を行う機能を有する換気ユニットとを備え、該換気ユニットに、他室の換気を行う機能と他室の暖房を行う機能とを付加した浴室暖房装置において、前記浴室暖房ユニットは、浴室の空気を循環させる浴室循環路を備え、前記換気ユニットは、前記浴室循環路に形成された連通口に上流端が接続され、下流端が屋外へ連通する換気路と、前記換気路内に設けられた換気ファンと、上流端が他室に開口し、下流端が前記換気ファンの上流側の前記換気路に接続された他室吸込路と、前記換気路における前記他室吸込路の接続位置と前記換気ファンとの間に設けられて前記他室吸込路からの空気を加熱する加熱部と、前記換気路における前記他室吸込路の接続位置と前記換気ファンとの間に設けられて前記加熱部をバイパスするバイパス路と、前記換気ファンの下流側の前記換気路に上流端が接続され、下流端が他室に開口する他室吹出路と、前記連通口を開閉する連通口開閉ダンパと、前記バイパス路を開閉するバイパス路開閉ダンパと、前記換気路を開放しているとき前記他室吹出路を閉塞する換気路開閉ダンパと、前記連通口開閉ダンパが開放状態のとき、前記浴室循環路から前記換気路への空気の流入量より前記他室吸込路から前記換気路への空気の流入量を小とすべく前記他室吸込路の一部を塞いで前記他室吸込路の空気流量を制限する他室流量制限ダンパとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、換気路に設けた換気ファンを換気運転時と他室の暖房運転時との両方で作動させる。これにより、他室の暖房だけのためのファンが不要となり、装置を小型軽量とし、低コストとすることができる。
【0012】
更に、上記構成によれば、各ダンパによる各部の開閉により、浴室における高い換気効率と他室における高い暖房効率とを両立させることができる。
【0013】
即ち、浴室と他室との換気運転を行うとき、連通口開閉ダンパにより連通口を開放させ、バイパス路開閉ダンパによりバイパス路を開放し、換気路開閉ダンパにより換気路を開放し、他室流量制限ダンパにより他室吸込路の空気流量を制限する。他室流量制限ダンパにより制限される他室吸込路の空気流量は、浴室循環路から前記換気路への空気の流入量より少ない。これによって、他室から排出される空気の流量が抑えられるので、浴室から排出される空気の流量が十分に確保でき、浴室の換気効率を高い状態に維持することができる。
【0014】
他室の暖房運転を行うとき、連通口開閉ダンパにより連通口を閉塞させ、バイパス路開閉ダンパによりバイパス路を閉塞させ、換気路開閉ダンパにより換気路を閉塞して他室吹出路を開放し、他室流量制限ダンパによりる他室吸込路の空気流量の制限を解除する。これによって、他室吸込路から加熱部へ向かい、換気ファンを経て他室吹出路へ向かう他室の循環空気量を十分に確保することができるので、高効率で他室を暖房することができる。
【0015】
ところで、換気運転を行うとき、バイパス路開閉ダンパによってバイパス路を開放すると、バイパス路を通ることで加熱部に接触しない空気(加熱部側の換気路を通過しない空気)が換気ファンへ向かう。このとき、換気路の空気はバイパス路側と加熱部側との両方を流れたとしても、換気効率には影響しない。
【0016】
しかし、例えば、24時間換気動作を行っている最中の凍結防止運転では、換気の際の(冷えた)気流の一部が加熱部に接触することにより、加熱部が冷却され、凍結防止運転の効率が悪化するおそれがある。また、24時間換気動作によって常に換気の際の気流の一部が加熱部に接触すると、空気中に含まれる塵埃が加熱部に付着し堆積するおそれがある。
【0017】
そこで、本発明において、前記バイパス路開閉ダンパは、前記バイパス路を開放しているときに前記換気路における前記他室吸込路の接続位置と前記加熱部との間を閉塞することが好ましい。
【0018】
これによれば、加熱部に気流が接触することなくバイパス路により加熱部を迂回させて換気を行うことができ、加熱部が冷却されることによる凍結防止運転の際の効率悪化や、加熱部への塵埃の付着を防止することができる。
【0019】
また、本発明において、前記バイパス路開閉ダンパは、前記他室流量制限ダンパを一部に備え、前記バイパス路開閉ダンパにおける前記他室流量制限ダンパ部分は、前記バイパス路開閉ダンパが前記バイパス路を開放しているときに前記他室吸込路の一部を塞いで前記他室吸込路の空気流量を制限することを特徴とする。
【0020】
バイパス路開閉ダンパの一部が他室流量制限ダンパであることにより、バイパス路開閉ダンパによってバイパス路を開放して換気運転を行うときには、バイパス路開閉ダンパと一体に他室流量制限ダンパが動作して、他室吸込路の一部が塞がれる。バイパス路開閉ダンパによってバイパス路を閉塞して加熱部による他室の暖房運転を行うときには、、バイパス路開閉ダンパと一体に他室流量制限ダンパが動作して、他室吸込路が開放される。このように、開閉動作を行う構成を有するバイパス路開閉ダンパの一部に他室流量制限ダンパを設けることで、他室流量制限ダンパを設けたことによる部品点数の増加がなく、コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の浴室暖房装置を模式的に示す説明図。
【
図2】本実施形態の換気ユニットの概略構成とその作動を示す説明図であり、
図2Aは換気運転時の状態を示し、
図2Bは他室の暖房運転時の状態を示す。
【
図3】本実施形態の換気ユニットの変形例を示す説明図であり、
図3Aは換気運転時の状態を示し、
図3Bは他室の暖房運転時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の浴室暖房装置1は、
図1に模式的に示すように、家屋内で互いに隣接する浴室BRと脱衣室DRとの天井裏に設置されている。脱衣室DRは、本発明における他室に相当する。浴室暖房装置1は、浴室暖房ユニット2と換気ユニット3とを備えている。
【0023】
浴室暖房ユニット2は、浴室循環ファン4と、浴室暖房用放熱器5とを備えている。
【0024】
換気ユニット3は、脱衣室暖房用放熱器6(加熱部)と、換気ファン7とを備えている。
【0025】
浴室循環ファン4は、強制的に空気流を生成する。浴室循環ファン4の上流側には、浴室BR内に向かって開口する浴室吸込口8と、浴室吸込口8から浴室循環ファン2にかけての空気流を案内する浴室吸込路9とが設けられている。
【0026】
浴室暖房用放熱器5は、浴室循環ファン4の上流側に設けられている。なお、浴室暖房用放熱器5及び脱衣室暖房用放熱器6には、図外の熱源機が弁装置等を介して接続されており、熱源機と浴室暖房用放熱器5及び脱衣室暖房用放熱器6との間で熱媒(水、不凍液等)が循環される。
【0027】
浴室循環ファン4の下流には、浴室吹出路10が設けられている。浴室吹出路10の下流端には、浴室BRに向かって開口する浴室吹出口11が設けられている。そして、浴室吸込路9及び浴室吹出路10により浴室循環路12が形成されている。浴室暖房ユニット2の浴室循環路12には、換気ユニット3の換気路13の上流端が接続されている。浴室循環路12と換気路13は連通口14を介して連通する。換気路13の下流端は排気口15に接続されている。排気口15は、家屋の外壁Wを貫通して屋外へ向かって開口している。
【0028】
連通口14には連通口開閉ダンパ16が設けられている。連通口開閉ダンパ16は、連通口14の開放と閉塞とを行う。
【0029】
換気路13には、脱衣室吸込路17(他室吸込路)と脱衣室吹出路18(他室吹出路)とが接続されている。脱衣室吸込路17は、上流端が脱衣室DR内に向かって開口する脱衣室吸込口19に接続され、下流端が換気路13に接続されている。脱衣室吹出路18は、上流端が換気路13に接続され、下流端が脱衣室DR内に向かって開口する脱衣室吹出口20に接続されている。
【0030】
ここで、本発明の要旨となる換気ユニット3について、
図2A及び
図2Bを参照して詳しく説明する。
図2A及び
図2Bに示すように、換気ユニット3の換気路13には、脱衣室暖房用放熱器6と換気ファン7とが設けられている。脱衣室暖房用放熱器6は、換気ファン7の上流側に位置している。
【0031】
換気路13と脱衣室吸込路17(他室吸込路)とを接続する第1接続部21(接続部)は、脱衣室暖房用放熱器6の上流側に位置している。換気路13と脱衣室吹出路18(他室吹出路)とを接続する第2接続部22は、換気ファン7の下流側に位置している。
【0032】
換気路13における第2接続部22の下流側には、換気路開閉ダンパ23が設けられている。換気路開閉ダンパ23は、換気路13を開放しているとき、脱衣室吹出路18を閉塞し、換気路13を閉塞しているとき、脱衣室吹出路18を開放する。
【0033】
また、換気路13には、第1接続部21と脱衣室暖房用放熱器6の間の換気路13から分岐して、脱衣室暖房用放熱器6と換気ファン7との間の換気路13に合流するバイパス路24が設けられている。即ち、バイパス路24は、換気路13の一部を構成している脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aと並列に設けられている。
【0034】
換気路13の脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aとバイパス路24との境界位置25には、バイパス路開閉ダンパ26が設けられている。バイパス路開閉ダンパ26は、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aとバイパス路24との境界位置25に設けられていることにより、換気路13とバイパス路24とで空気流の流動先を切り換える。即ち、バイパス路開閉ダンパ26は、バイパス路24を閉塞しているとき、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを開放し、バイパス路24を開放しているとき、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを閉塞する。
【0035】
なお、これに替えて、図示しないが、バイパス路開閉ダンパは、バイパス路24の中途位置に設けてもよい。この場合には、バイパス路24を開放しても、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aが閉塞されることはない。この構成であっても、換気運転には支障はない。即ち、換気ファン7の作動により空気流が生成されているとき、バイパス路24の中途位置に設けたバイパス路開閉ダンパがバイパス路24を開放すると、空気流は、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを通過するよりも抵抗の低いバイパス路24に流入する。
【0036】
しかし、換気運転中には気流の通過により脱衣室暖房用放熱器6が冷却されるので、例えば、24時間換気運転を行っているときに凍結防止運転が行われると、その効率を低下させるおそれがあり、また、気流に運ばれた塵埃が脱衣室暖房用放熱器6に付着するおそれがある。従って、本実施形態のように、バイパス路開閉ダンパ26は、脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aとバイパス路24との境界位置25に設ける方が好ましい。
【0037】
また、
図2A及び
図2Bに示すように、換気路13と脱衣室吸込路17(他室吸込路)との第1接続部21(接続部)には、脱衣室流量制限ダンパ27(他室流量制限ダンパ)が設けられている。脱衣室流量制限ダンパ27は、第1接続部21(接続部)における脱衣室吸込路17側の開口の一部を閉じて脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量を制限する。脱衣室流量制限ダンパ27が脱衣室吸込路17側の開口の一部を塞ぐと、脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量を浴室循環路12から換気路13に入る空気の流量よりも少なくすることが可能となる。
【0038】
次に、換気ユニット3における換気運転時の各ダンパの状態及び脱衣室暖房運転時の各ダンパの状態について説明する。なお、図示しないが、各ダンパ16,23,26,27は、開閉駆動するためのアクチュエータを備え、コントローラの制御によって運転状態に応じた位置に移動される。
【0039】
浴室BR及び脱衣室DRの換気運転(24時間換気運転含む)を行うとき、
図2Aに示すように、連通口開閉ダンパ16が連通口14を開放し、脱衣室流量制限ダンパ27が脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量を制限する。その下流では、バイパス路開閉ダンパ26がバイパス路24を開放すると同時に脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを閉塞する。更に、換気ファン7の下流では、換気路開閉ダンパが換気路13を開放すると同時に脱衣室吹出路18を閉塞する。この状態で換気ファン7が回転し、換気運転が行われる。
【0040】
換気運転時に、脱衣室流量制限ダンパ27が脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量を制限することにより、浴室BRの高い換気効率を維持しつつ、脱衣室DRの換気を行うことができる。
【0041】
また、換気運転時には、バイパス路開閉ダンパ26が脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを閉塞することにより、換気の際の空気流の圧力損失を低減することができる。よって、換気ファン7の回転数を下げることが可能となり、換気ファン7の回転数を下げることにより騒音の発生や電力の消費を抑えることができる。更に、換気運転の際に空気が搬送してくる塵埃等の異物が脱衣室暖房用放熱器6に付着することもない。
【0042】
また、換気ユニット3においては、脱衣室暖房用放熱器6や熱媒、熱媒の循環路の凍結を防止するために脱衣室暖房用放熱器6に高温の熱媒を循環させる凍結防止運転が行われる。この凍結防止運転が24時間換気運転中に行われても、バイパス路開閉ダンパ26が脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを閉塞することにより、換気の際の気流によって脱衣室暖房用放熱器6が冷却されてしまうことが防止でき、経済的である。
【0043】
脱衣室DRの暖房運転を行うとき、
図2Bに示すように、連通口開閉ダンパ16が連通口14を閉塞し、脱衣室流量制限ダンパ27が脱衣室吸込路17を開放して換気路13へ入る空気の流量制限を解除する。そして、バイパス路開閉ダンパ26がバイパス路24を閉塞すると同時に脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを開放する。更に、換気路開閉ダンパが換気路13を閉塞すると同時に脱衣室吹出路18を開放する。この状態で換気ファン7が回転し、脱衣室DRの暖房運転が行われる。
【0044】
換気運転時には、脱衣室流量制限ダンパ27が脱衣室吸込路17を開放することにより、脱衣室DRから吸い込む空気の量を十分に確保できる。これにより、脱衣室吸込路17を流れる空気流の圧力損失を低減することができる。よって、高い暖房効率が得られるだけでなく、換気ファン7が不用意に高回転になることがなく、暖房時の騒音及び電力消費を低減することができる。
【0045】
なお、第1の実施形態においては、
図2A及び
図2Bに示すように、脱衣室流量制限ダンパ27を、第1接続部21に設けた例を示したが、これに限らない。例えば、
図3A及び
図3Bに変形例を示すように、脱衣室流量制限ダンパ28(他室流量制限ダンパ)をバイパス路開閉ダンパ29の一部に設けることもできる。即ち、バイパス路開閉ダンパ29の先端部にバイパス路開閉ダンパ29に対して直角となる方向に脱衣室流量制限ダンパ28を連設する。
【0046】
この構成によると、
図3Aに換気運転時の状態を示すように、バイパス路開閉ダンパ29の部分が脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを閉塞すると、バイパス路開閉ダンパ29の部分に対して起立姿勢となった脱衣室流量制限ダンパ28の部分が第1接続部21の一部を閉じて脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量を制限する。
【0047】
図3Bに脱衣室DBの暖房運転時の状態を示すように、バイパス路開閉ダンパ29の部分が脱衣室暖房用放熱器6側の流路13aを開放すると、バイパス路開閉ダンパ29に対して水平姿勢となった脱衣室流量制限ダンパ28の部分が第1接続部21を全開放させ、脱衣室吸込路17から換気路13へ入る空気の流量制限を解除する。
【0048】
このように、バイパス路開閉ダンパ29の一部に脱衣室流量制限ダンパ28を一体に設けておくことで、脱衣室流量制限ダンパ28を設けることによるダンパ数の増加が防止でき、バイパス路開閉ダンパ29と脱衣室流量制限ダンパ28とを同時に機能させるために、1つの駆動手段を用いればよいので、脱衣室流量制限ダンパ28を設けることによるコスト増加を抑えることができる。
【0049】
また、上記の実施形態においては、他室として脱衣室DRを挙げて説明したが、脱衣室DR以外の他室であっても本発明を採用して上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
BR…浴室、DR…脱衣室(他室)、1…浴室暖房装置、2…浴室暖房ユニット、3…換気ユニット、6…脱衣室暖房用放熱器(加熱部)、7…換気ファン、12…浴室循環路、13…換気路、14…連通口、16…連通口開閉ダンパ、17…脱衣室吸込路(他室吸込路)、18…脱衣室吹出路(他室吹出路)、21…第1接続部(接続部)、23…換気路開閉ダンパ、24…バイパス路、26,29…バイパス路開閉ダンパ、27,28…脱衣室流量制限ダンパ(他室流量制限ダンパ)。