(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】スクイズボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/32 20060101AFI20220722BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B65D1/32
B65D1/02 111
B65D1/02 221
(21)【出願番号】P 2018163317
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】木虎 修一
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095129(JP,A)
【文献】特開2018-058595(JP,A)
【文献】特開2011-121604(JP,A)
【文献】特開2017-214090(JP,A)
【文献】実開平03-097010(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/32
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設され、
前記外容器のうちの少なくとも前記胴部が、弾性変形可能に形成されたスクイズボトルであって、
少なくとも前記胴部は、ボトル軸上で互いに交差する長軸および短軸を有し、かつボトル軸方向から見た平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされ、
前記胴部における一対の前記短辺部分それぞれの少なくとも一部は、前記長軸が延びる長軸方向の外側に向けて尖る角部を備え
、
前記外容器の前記口部に、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する吸気孔が形成され、
前記吸気孔は、前記外容器の前記口部における、前記短軸が延びる短軸方向の両端部に形成されている、スクイズボトル。
【請求項2】
ボトル軸方向から見て、前記短辺部分は、円弧および直線のうちの少なくとも一方が連ねられて構成されている、請求項1に記載のスクイズボトル。
【請求項3】
前記短辺部分は、前記角部と、前記角部における
前記短軸方向の両端から前記長辺部分側に向けて各別に延びる一対の接続部と、を備え、
ボトル軸方向から見た平面視で、前記角部と一対の前記接続部との各接続部分における接線同士がなす角度が90°以上140°以下となっている、請求項1または2に記載のスクイズボトル。
【請求項4】
前記短辺部分は、ボトル軸方向から見た平面視で、前記長軸に対して対称形状を呈する、請求項1から3のいずれか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項5】
前記外容器の前記口部に、
前
記吸気孔と、
径方向の外側に向けて膨出し、全周にわたって連続して延び、キャップの周壁部が外嵌される被シール突部と、
径方向の内側に向けて窪み、全周にわたって連続して延びる環状溝と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のスクイズボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装されるとともに、弾性変形可能に形成された胴部を有する外容器を備え、外容器の胴部を押込むことで、内容器内の内容物が口部を通して吐出されるスクイズボトルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のスクイズボトルでは、内容器内の内容物を容易に吐出させることについて改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容器内の内容物を容易に吐出させることができるスクイズボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のスクイズボトルは、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設され、前記外容器のうちの少なくとも前記胴部が、弾性変形可能に形成されたスクイズボトルであって、少なくとも前記胴部は、ボトル軸上で互いに交差する長軸および短軸を有し、かつボトル軸方向から見た平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされ、前記胴部における一対の前記短辺部分それぞれの少なくとも一部は、前記長軸が延びる長軸方向の外側に向けて尖る角部を備え、前記外容器の前記口部に、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する吸気孔が形成され、前記吸気孔は、前記外容器の前記口部における、前記短軸が延びる短軸方向の両端部に形成されている。
【0007】
本発明によれば、ボトル軸方向から見た胴部の平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされているので、胴部における一対の長辺部分を、互いが対向する短軸方向に押し込んだときに、一対の長辺部分を広範囲にわたって大きく変形させやすくなり、この際の押し込み力を、内容器内に効果的に伝達することができる。
また、一対の短辺部分それぞれの少なくとも一部が、長軸方向の外側に向けて尖る角部を備えるので、胴部における一対の長辺部分を、前述のように押し込んだときに、角部を屈曲させることで、一対の長辺部分が互いに近付くように胴部を変形させやすくなる。したがって、内容器内の内容物を容易に吐出させることができるとともに、例えば、内容器内の内容物の残量が少なくなったとき、あるいは内容器内に高粘度の内容物が収容された場合などであっても、小さい押圧力で内容器内の内容物を吐出させることができる。
【0008】
ここで、ボトル軸方向から見て、前記短辺部分は、円弧および直線のうちの少なくとも一方が連ねられて構成されてもよい。
【0009】
この場合、ボトル軸方向から見て、短辺部分が、円弧および直線のうちの少なくとも一方が連ねられて構成されているので、角部を備える短辺部分を容易に設計することができる。
【0010】
また、前記短辺部分は、前記角部と、前記角部における前記短軸方向の両端から前記長辺部分側に向けて各別に延びる一対の接続部と、を備え、ボトル軸方向から見た平面視で、前記角部と一対の前記接続部との各接続部分における接線同士がなす角度が90°以上140°以下となってもよい。
【0011】
この場合、ボトル軸方向から見た平面視で、角部と一対の接続部との各接続部分における接線同士がなす角度が90°以上140°以下となっているので、胴部における一対の長辺部分の前述の押し込みを解除したときの外容器の復元性を確保しつつ、胴部における一対の長辺部分を、前述のように押し込んだときに、角部を容易に屈曲させることができる。
すなわち、前記角度が90°より小さいと、前述した外容器の復元性を確保することが困難になり、また、前記角度が140°より大きいと、胴部における一対の長辺部分を、前述のように押し込んだときに、角部が屈曲しにくくなる。
【0012】
また、前記短辺部分は、ボトル軸方向から見た平面視で、前記長軸に対して対称形状を呈してもよい。
【0013】
この場合、短辺部分が、ボトル軸方向から見た平面視で、長軸に対して対称形状を呈するので、胴部における一対の長辺部分を、前述のように押し込んだときに、角部をより一層確実に屈曲させることができる。
【0014】
また、前記外容器の前記口部に、前記吸気孔と、径方向の外側に向けて膨出し、全周にわたって連続して延び、キャップの周壁部が外嵌される被シール突部と、径方向の内側に向けて窪み、全周にわたって連続して延びる環状溝と、が上方から下方に向けてこの順に形成されてもよい。
【0015】
この場合、口部に、吸気孔、被シール突部、および環状溝が上方から下方に向けてこの順に形成されているので、外容器の胴部を押し込んだときの変形が、環状溝にせき止められ、被シール突部に伝播するのを規制することができる。これにより、例えば、内容器内の内容物の残量が少なくなったときに、胴部の上部を強く押し込むなどしても、被シール突部とキャップの周壁部との間のシールを維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、内容器内の内容物を容易に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示したスクイズボトルに吐出キャップが装着された状態の、長軸方向から見た一部断面を含む側面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態として示したスクイズボトルに吐出キャップが装着された状態の、短軸方向から見た一部断面を含む側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
スクイズボトル1は、
図1および
図2に示されるように、外容器11の内面に内容器12が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。スクイズボトル1は、例えば、押出成形などによって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで有底筒状に形成されている(押出ブロー成形)。
【0019】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、内容器12が外容器11に対して独立して減容可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)などが挙げられる。これらの合成樹脂材料の中から、互いが剥離可能となる組み合わせになるように選択された材質によって、内容器12および外容器11が形成される。
【0020】
内容器12は、内部に内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する。内容器12は、外容器11に内装される。内容物としては、例えばマヨネーズ、ケチャップ、中濃ソース、味噌、およびドレッシングなどが挙げられ、23℃での粘度が1000mPa・s~100000mPa・s程度の比較的粘度の高いものが挙げられる。粘度は、B型粘度計(回転粘度計)を用い、JIS K7117-1に準拠する方法で求めることができる。
なお、内容器12の内部に収容される内容物は、低粘度のものであってもよい。
【0021】
スクイズボトル1は、口部13、肩部15、胴部16、および底部14を備える。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、共通軸と同軸にこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿うスクイズボトル1の口部13側を上側、スクイズボトル1の底部14側を下側という。また、ボトル軸O方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
スクイズボトル1の口部13は、内容器12の口部12aと外容器11の口部11aとが積層されることで構成され、スクイズボトル1の肩部15は、内容器12の肩部12bと外容器11の肩部11bとが積層されることで構成され、スクイズボトル1の胴部16は、内容器12の胴部12cと外容器11の胴部11cとが積層されることで構成される。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0023】
スクイズボトル1の口部13は、肩部15の上端部から上方に向けて延びる円筒状に形成されている。
内容器12の口部12aの上端部は、全周にわたって、径方向の外側に向けて折り返され、この折り返し部分が外容器11の口部11aの上端開口縁に配置されている。
【0024】
外容器11の口部11aの外面に、後述するキャップ50が螺着される雄ねじ部が形成されている。外容器11の口部11aに、外容器11と内容器12との間に外気を導入する吸気孔17と、径方向の外側に向けて膨出し、全周にわたって連続して延び、後述するキャップ50の周壁部52cが外嵌される被シール突部18と、径方向の内側に向けて窪み、全周にわたって連続して延びる環状溝19と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。環状溝19の下端部は、肩部15の上端部に接続されている。
なお、吸気孔17の形成位置は、外容器11の口部11aに限定されるものではなく、例えば外容器11のうち、口部11a以外の胴部11c若しくは底部11dなどであってもよい。
【0025】
胴部16は、下端部を除く全域にわたって、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。外容器11のうちの少なくとも胴部11cが、スクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12がしぼみ変形する。図示の例では、外容器11の肩部11bもスクイズ変形可能となっている。
底部14に、外周縁部に位置する環状の接地部31と、接地部31の内周縁部に連設され、上方に向けて窪んだ底上げ部32と、底上げ部32の内面に形成され、外容器11の一部が、内容器12の一部を挟み込んで保持した保持リブ33と、が形成されている。
胴部16と、肩部15および底部14と、がボトル軸O方向に段差なく連なっている。
【0026】
肩部15、胴部16、および底部14それぞれのボトル軸O方向から見た平面視形状は、
図3および
図4に示されるように、一対の短辺部分21および一対の長辺部分22を有する扁平形状を呈する。すなわち、肩部15、胴部16、および底部14は、ボトル軸O上で互いに交差する短軸O1および長軸O2を有する横断面扁平形状を呈する。
以下、ボトル軸O方向から見て、一対の長辺部分22が互いに対向する方向を短軸O1方向といい、一対の短辺部分21が互いに対向する方向を長軸O2方向という。
【0027】
図2に示されるように、肩部15の長軸O2方向の大きさは、上側から下側に向かうに従い漸次、大きくなっている。
図1に示されるように、肩部15の短軸O1方向の大きさは、ボトル軸O方向の全長にわたって同等になっている。
胴部16の長軸O2方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの1.2倍以上2.3倍以下、好ましくは1.4倍以上2.0倍以下となっている。図示の例では、胴部16の長軸O2方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの約1.8倍となっている。
【0028】
そして、本実施形態では、
図3および
図4に示されるように、胴部16における一対の短辺部分21それぞれの少なくとも一部が、長軸O2方向の外側に向けて尖る角部23を備える。
【0029】
角部23は、胴部16の短辺部分21におけるボトル軸O方向の全長にわたって配設されている。角部23は、短辺部分21における短軸O1方向の中央部に配置されている。外容器11の内面と内容器12の外面とは、角部23が位置する周方向に沿う各部分におけるボトル軸O方向の全長にわたって接着されている。ここで、吸気孔17は、外容器11の口部11aにおける短軸O1方向の両端部に形成されている。これにより、吸気孔17からの外気は、外容器11の内面と内容器12の外面との間のうち、一対の長辺部分22が位置する各部分に導入される。
胴部16の短辺部分21は、角部23と、角部23における短軸O1方向の両端から長辺部分22側に向けて各別に延びる一対の第1接続部24と、により構成されている。
【0030】
ここで、胴部16の短辺部分21は、ボトル軸O方向から見て、円弧および直線のうちの少なくとも一方が連ねられて構成されている。図示の例では、胴部16の短辺部分21は、ボトル軸O方向から見て、2つの円弧が連ねられて構成されている。すなわち、角部23、および一対の第1接続部24は、ボトル軸O方向から見て、径方向の外側に向けて突の円弧状を呈する。ボトル軸O方向から見て、角部23の曲率半径(例えば約6mm)は、第1接続部24の曲率半径(例えば約25mm)より小さくなっている。例えば、第1接続部24の曲率半径は、角部23の曲率半径の2倍以上となっている。
なお、胴部16の短辺部分21は、ボトル軸O方向から見て、3つ以上の円弧が連ねられて構成されてもよいし、複数の直線が連ねられて構成されてもよいし、円弧および直線が連ねられて構成されてもよい。
【0031】
ボトル軸O方向から見た平面視で、角部23と一対の第1接続部24との各接続部分における接線L1同士がなす角度θ1が90°以上140°以下となっている。図示の例では、前記角度θ1は約130°となっている。
胴部16の短辺部分21は、ボトル軸O方向から見た平面視で、長軸O2に対して対称形状を呈する。
【0032】
胴部16における一対の長辺部分22は、長軸O2方向およびボトル軸O方向の双方向に沿って延びる平面部25と、平面部25における長軸O2方向の両端から短辺部分21側に向けて各別に延びる一対の第2接続部26と、を備える。
【0033】
平面部25の長軸O2方向の中央部は、長辺部分22における長軸O2方向の中央部に位置している。平面部25の長軸O2方向の長さは、第2接続部26の長軸O2方向の長さより長い。
第2接続部26は、ボトル軸O方向から見て、径方向の外側に向けて突の円弧状を呈する。ボトル軸O方向から見て、第2接続部26の曲率半径(例えば約15mm)は、角部23の曲率半径より大きく、かつ第1接続部24の曲率半径より小さくなっている。例えば、ボトル軸O方向から見て、第2接続部26の曲率半径は、角部23の曲率半径の1.5倍以上3.0倍以下となっている。
胴部16の長辺部分22は、ボトル軸O方向から見た平面視で、短軸O1に対して対称形状を呈する。
なお、胴部16の長辺部分22は、ボトル軸O方向から見て、複数の円弧が連ねられて構成されてもよいし、複数の直線が連ねられて構成されてもよいし、円弧および直線が連ねられて構成されてもよい。
【0034】
そして本実施形態では、底部14の底上げ部32が、陥没凹部34および導入凹部35を備える。
図1および
図4に示されるように、陥没凹部34は、底部14における短軸O1方向の中央部に配設されている。導入凹部35は、陥没凹部34の開口周縁部と接地部31の内周縁部とを短軸O1方向に接続している。
【0035】
陥没凹部34は、底部14における長軸O2方向の全長にわたって形成されている。
図4に示されるように、陥没凹部34は、接地部31を長軸O2方向に貫いている。陥没凹部34の幅は、長軸O2方向の両端部34aを除く全長にわたって、長軸O2方向の中央部から外側に向かうに従い漸次、狭くなっている。
陥没凹部34は、
図1に示されるように、長軸O2方向から見て、下方に向けて開口する円弧状を呈する。陥没凹部34は、
図2に示されるように、短軸O1方向から見て、長軸O2方向の両端部34aを除く全域にわたって上方に向けて突の曲線状を呈する。すなわち、陥没凹部34の底上げ量が、長軸O2方向の中央部から外側に向かうに従い漸次、小さくなっている。陥没凹部34における長軸O2方向の両端部34aの底上げ量は、長軸O2方向の全長にわたって同等になっている。
図4に示されるように、陥没凹部34は、ボトル軸O方向から見て、短軸O1および長軸O2それぞれに対して線対称形状を呈する。
【0036】
図1に示されるように、短軸O1方向、およびボトル軸O方向の双方向に沿う断面視において、陥没凹部34の拡開角度θ2は、100°より大きく140°以下となっている。図示の例では、前記断面視において、陥没凹部34の長軸O2方向の中央部における拡開角度θ2が、例えば約130°となっている。
前記断面視において、底部14における陥没凹部34の開口幅Xが、12mm以上18mm以下となっている。この開口幅Xは、胴部16の短軸O1方向の大きさの0.35倍以上0.54倍以下となっている。図示の例では、前記断面視において、底部14における陥没凹部34の長軸O2方向の中央部の開口幅Xが、例えば約15mmとなっている。
【0037】
導入凹部35は、
図1に示されるように、短軸O1方向の外側から内側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。導入凹部35は、陥没凹部34に、下方に向けて突の曲面部を介して接続されている。
前述の保持リブ33は、陥没凹部34の内面から下方に向けて突出し、長軸O2方向に延びている。保持リブ33は、長軸O2上に配置されている。保持リブ33における長軸O2方向の両端部は、陥没凹部34における長軸O2方向の両端部34aに各別に位置している。
ここで、胴部16の下端部に、下方に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて延びる傾斜部16a、16bが、全周にわたって形成されている。傾斜部16a、16bのうち、短辺部分21に位置する部分16aは、長辺部分22に位置する部分16bと比べて、ボトル軸O方向の長さが長く、かつ接地部31に連なる下端と上端との径方向の距離が長くなっている。
【0038】
図示の例では、胴部16のうち、下端部より上方に位置する部分の外面における長軸O2方向の大きさは約60mmとされ、短軸O1方向の大きさは約34mmとなっている。胴部16および肩部15全体のボトル軸O方向の大きさは、約118mmとなっている。スクイズボトル1の重量は約12gとなっている。
【0039】
次に、スクイズボトル1の口部13に装着されるキャップ50について説明する。
キャップ50は、
図2に示されるように、中栓部51、キャップ本体52、蓋部53、吐出弁54、および空気弁55を備える。
【0040】
中栓部51は、スクイズボトル1の口部13の上端開口縁に配置され、内容器12内に連通する連通孔51aを有する。
キャップ本体52は、有頂筒状に形成され、スクイズボトル1の口部13に螺着されて中栓部51を覆っている。キャップ本体52の周壁部52cの下端部が、外容器11の被シール突部18に外嵌されており、これらの間のシール性を確保している。キャップ本体52の天壁部に、外部とスクイズボトル1の吸気孔17とを連通する外気導入孔52aと、連通孔51aに連通可能な吐出孔52bと、が形成されている。外気導入孔52aは、キャップ本体52の天壁部の外周縁部において、長軸O2を短軸O1方向に挟む両側に位置する各部分に形成されている。
蓋部53は、外気導入孔52aおよび吐出孔52bを開閉し、キャップ本体52にヒンジ部56を介して連結されている。ヒンジ部56は、キャップ本体52および蓋部53それぞれの、長軸O2方向の端部同士を連結している。吐出孔52bは、キャップ本体52の天壁部において、長軸O2方向に沿って中央部よりヒンジ部56側と反対側にずれた位置に配置されている。
吐出弁54は、いわゆる一点弁とされ、キャップ本体52の天壁部と中栓部51との間に配設されている。吐出弁54は、内容器12の内圧変動に応じて連通孔51aを開閉し、連通孔51aと吐出孔52bとの連通、遮断を切替える。
空気弁55は、キャップ本体52の天壁部と中栓部51との間に配設され、外容器11と内容器12との間の内圧変動に応じて、外気導入孔52aと吸気孔17との連通、遮断を切り替える。
【0041】
以上のように構成されたキャップ50付きスクイズボトル1の使用方法について説明する。
【0042】
内容物を吐出する場合には、まずキャップ50の蓋部53をヒンジ部56回りに上方に回動させて、外気導入孔52aおよび吐出孔52bを開放させた後、例えばスクイズボトル1を傾倒または上下反転させながらスクイズボトル1の外容器11をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器12が外容器11とともに変形して減容するので、内容器12の内圧が上昇する。
すると、吐出弁54が開いて、吐出孔52bと内容器12の内部とが連通孔51aを通じて連通する。これにより、吐出孔52bを通じて、内容器12の内部に収容された内容物を外部に吐出することができる。
ここで、スクイズボトル1をスクイズ変形させると、外容器11と内容器12との間の内圧が上昇し、この内圧が、吸気孔17を通じて空気弁55に作用するので、空気弁55が、キャップ本体52の天壁部の下面に当接し、外気導入孔52aを閉塞する。
【0043】
その後、スクイズボトル1のスクイズ変形を停止または解除することで、内容器12の内圧の上昇が停止または低下すると、吐出弁54が連通孔51aを閉じ、吐出孔52bと内容器12の内部との連通が遮断され、内容物の吐出が停止される。
また、スクイズボトル1のスクイズ変形を解除することで、外容器11が復元変形し始めるので、外容器11と内容器12との間に負圧が生じる。すると、この負圧が吸気孔17を通じて空気弁55に作用するので、空気弁55が、キャップ本体52の天壁部の下面から下方に離間し、外気導入孔52aを開放する。これにより、外気導入孔52aを通じて外部から外気が流入し、この外気が吸気孔17を通じて内容器12と外容器11との間に流入する。
その結果、外容器11が復元変形したとしても、内容器12を外容器11の内面から離間させて減容変形させたままの状態に保つことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によるスクイズボトル1によれば、ボトル軸O方向から見た胴部16の平面視形状が、一対の短辺部分21および一対の長辺部分22を有する扁平形状とされているので、胴部16における一対の長辺部分22を、互いが対向する短軸O1方向に押し込んだときに、一対の長辺部分22を広範囲にわたって大きく変形させやすくなり、この際の押し込み力を、内容器12内に効果的に伝達することができる。
【0045】
また、一対の短辺部分21が、長軸O2方向の外側に向けて尖る角部23を備えるので、胴部16における一対の長辺部分22を、前述のように押し込んだときに、角部23を屈曲させることで、一対の長辺部分22が互いに近付くように胴部16を変形させやすくなる。したがって、内容器12内の内容物を容易に吐出させることができるとともに、例えば、内容器12内の内容物の残量が少なくなったとき、あるいは内容器12の内に高粘度の内容物が収容された場合などであっても、小さい押圧力で内容器12内の内容物を吐出させることができる。
【0046】
また、ボトル軸O方向から見て、短辺部分21が、円弧および直線のうちの少なくとも一方が連ねられて構成されているので、角部23を備える短辺部分21を容易に設計することができる。
【0047】
また、ボトル軸O方向から見た平面視で、角部23と一対の第1接続部24との各接続部分における接線L1同士がなす角度θ1が90°以上140°以下となっているので、胴部16における一対の長辺部分22の前述の押し込みを解除したときの外容器11の復元性を確保しつつ、胴部16における一対の長辺部分22を、前述のように押し込んだときに、角部23を容易に屈曲させることができる。
すなわち、前記角度が90°より小さいと、前述した外容器11の復元性を確保することが困難になり、また、前記角度が140°より大きいと、胴部16における一対の長辺部分22を、前述のように押し込んだときに、角部が屈曲しにくくなる。
【0048】
また、短辺部分21が、ボトル軸O方向から見た平面視で、長軸O2に対して対称形状を呈するので、胴部16における一対の長辺部分22を、前述のように押し込んだときに、角部23をより一層確実に屈曲させることができる。
【0049】
また、口部13に、吸気孔17、被シール突部18、および環状溝19が上方から下方に向けてこの順に形成されているので、外容器11の胴部11cを押し込んだときの変形が、環状溝19にせき止められ、被シール突部18に伝播するのを規制することができる。これにより、例えば、内容器12内の内容物の残量が少なくなったときに、胴部16の上部および肩部15を強く押し込むなどしても、被シール突部18とキャップ50の周壁部52cとの間のシールを維持することができる。
【0050】
以上のように構成されたスクイズボトル1では、前述した内容物のなかでも比較的粘度の高い、23℃での粘度が20000mPa・s~50000mPa・sの、例えばマヨネーズなどが内容器12の内部に収容された場合、内容物を吐出する際に要する押し込み力、および前述した外容器11の復元性を、特に適切なものにすることができる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば前記実施形態では、陥没凹部34が、底部14における長軸O2方向の全長にわたって形成された構成を示したが、陥没凹部34は、底部14のうち、接地部31より径方向の内側に位置する部分に形成してもよい。
また、陥没凹部34は、短軸O1方向から見て、長軸O2方向の両端部34aを含む全域にわたって上方に向けて突の曲線状を呈してもよい。
また、底部14の底上げ部32として、導入凹部35を有しない構成を採用してもよい。
【0053】
また、胴部16の長辺部分22は、ボトル軸O方向から見て、1つの円弧または1つの直線により構成されてもよい。
また、胴部16の短辺部分21は、ボトル軸O方向から見た平面視で、長軸O2に対して非対称形状を呈してもよく、また、胴部16の長辺部分22は、ボトル軸O方向から見た平面視で、短軸O1に対して非対称形状を呈してもよい。
また、胴部16の下端部に傾斜部16a、16bを形成せず、胴部16を、下端部を含む全域にわたって、ボトル軸O方向に真直ぐ延ばしてもよい。
また、前記実施形態では、角部23が、胴部16の短辺部分21におけるボトル軸O方向の全長にわたって配設された構成を示したが、角部23を配設するボトル軸O方向の位置を選択して限定することで、内容物を吐出する際に要する押し込み力、および前述した外容器11の復元性などを調整してもよい。
【0054】
スクイズボトル1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 スクイズボトル
11 外容器
12 内容器
13 口部
14 底部
16 胴部
17 吸気孔
18 被シール突部
19 環状溝
21 短辺部分
22 長辺部分
23 角部
24 接続部(第1接続部)
50 キャップ
52c 周壁部
L1 接線
O ボトル軸
O1 短軸
O2 長軸
θ1 角度