(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/70 20060101AFI20220722BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01H13/70
G09F9/00 366A
G09F9/00 350Z
(21)【出願番号】P 2018179688
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-170941(JP,A)
【文献】特開2011-175981(JP,A)
【文献】特開2008-130531(JP,A)
【文献】特開2001-006484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/70
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボタンと、前記複数のボタンのうち押圧操作された動作ボタンに応動して電気信号を送信する受動素子と、前記受動素子と前記ボタンとの間に介在し前記ボタンを定位置へ付勢させる板バネ体と、LCD表示画面に透明保護プレートが配置されたLCD表示器と、前記複数のボタン、前記受動素子、前記板バネ体及び前記LCD表示器が配備されたケースと、を備え、
前記板バネ体は、前記透明保護プレートを形成する構造に固定されている、又は、前記透明保護プレートを形成する構造と一体化されている操作装置。
【請求項2】
前記透明保護プレートは、透明領域が前記LCD表示画面に積層され、前記透明領域よりも光透過性の低い非透明領域が前記透明領域の他領域に設けられている請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記非透明領域は、前記透明領域と同等の構造体にシルク印刷が施されている請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記LCD表示器を搭載させた回路基板と、前記透明保護プレート及び前記回路基板の間に設けられ前記LCD表示器を前記基板方向へ押圧するフレーム体と、を更に備え、
前記透明保護プレートは、前記非透明領域に前記板バネ体との固定部位が設けられている請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記板バネ体は、前記LCD表示器の周囲を取り囲む環状板バネ体とされている請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記環状板バネ体は、
固定端と自由端とを有し、片持ち支持されており、
前記固定端は、前記透明保護プレートに結合する部分であり、
前記自由端は、前記固定端から外側へ臨む外周縁である、請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記環状板バネ体は、その径方向に
沿った第1スリットを有する請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記環状板バネ体は、前記第1スリットに交差する折曲容易線を有する請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記折曲容易線は、前記第1スリットに対して略垂直に設けられている請求項8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記板バネ体は、前記第1スリットによって区画される領域の数が、前記ボタンの数に対応するように構成されている請求項7、請求項8又は請求項9に記載の操作装置。
【請求項11】
前記折曲容易線は、断続的に設けられた第2スリットである請求項8、請求項9又は請
求項10に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民生電化機器の操作に用いられる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、民生電化機器等を操作するために操作装置が使用されることがある。代表例としては、エアコン若しくは給湯器等のリモコン装置が、この操作装置に相当する。近時の操作装置は、操作面にLCDパネル及び操作釦が配備され、この操作釦に与えられた操作アクションに応じて、操作対象であるエアコン装置等へ操作指令信号を送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作装置に関し、LCD表示器の占有領域が大きい場合には、操作釦の配置面積が大きくなるにつれ、これを筐体に配備させることが設計上困難となる。即ち、このような特殊な構造の場合、筐体なるものに作動片を設けることが合理的な解決手段になり得ず、操作釦の周辺構造に関する抜本的な改良が必要とされる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、操作釦の周辺構造を簡素化させ得る操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る操作装置は、複数のボタンと、前記複数のボタンのうち押圧操作された動作ボタンに応動して電気信号を送信する受動素子と、前記受動素子と前記ボタンとの間に介在し前記ボタンを定位置へ付勢させる板バネ体と、LCD表示画面に透明保護プレートが配置されたLCD表示器と、前記複数のボタン、前記受動素子、前記板バネ体及び前記LCD表示器が配備されたケースと、を備え、前記板バネ体は、前記透明保護プレートを形成する構造に固定されている、又は、前記透明保護プレートを形成する構造と一体化されていることとする。
【0007】
好ましくは、前記透明保護プレートは、透明領域が前記LCD表示画面に積層され、前記透明領域よりも光透過性の低い非透明領域が前記透明領域の他領域に設けられている。
【0008】
好ましくは、前記非透明領域は、前記透明領域と同等の構造体にシルク印刷が施されている。
【0009】
好ましくは、前記LCD表示器を搭載させた回路基板と、前記透明保護プレート及び前記回路基板の間に設けられ前記LCD表示器を前記基板方向へ押圧するフレーム体と、を更に備え、前記透明保護プレートは、前記非透明領域に前記板バネ体との固定部位が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記板バネ体は、前記LCD表示器の周囲を取り囲む環状板バネ体とされている。
【0011】
好ましくは、前記環状板バネ体は、その径方向端部が連続的な自由端とされている。
【0012】
好ましくは、前記環状板バネ体は、その径方向に第1スリットを有する。
【0013】
好ましくは、前記環状板バネ体は、前記第1スリットに交差する折曲容易線を有する。
【0014】
好ましくは、前記折曲容易線は、前記第1スリットに対して略垂直に設けられている。
【0015】
好ましくは、前記板バネ体は、前記第1スリットによって区画される領域の数が、前記ボタンの数に対応するように構成されている。
【0016】
好ましくは、前記折曲容易線は、断続的に設けられた第2スリットである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の一態様に係る操作装置によれば、操作釦の周辺構造を簡素化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る操作装置の概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施形態に係る板バネ体の概略平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第二実施形態に係る板バネ体の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」を含む用語)を用いるが、その用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲は限定されない。
【0020】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る操作装置の概略斜視図であり、
図2は、板バネ体の概略平面図である。
図1に示すように、第一実施形態に係る操作装置1は、複数のボタン2と、複数のボタン2のうち押圧操作されたボタン2に応動して電気信号を送信する受動素子30と、受動素子30とボタン2との間に介在しボタン2を定位置へ付勢させる板バネ体4と、LCD表示画面に透明保護プレート40が配置されたLCD表示器20と、複数のボタン2、受動素子30、板バネ体4及びLCD表示器20が配備されたケース23と、を備える。複数のボタン2のうち少なくとも1つは、複数のボタン2が配列される領域のうち角部に相当する領域へ配置されている。複数のボタン2が配列される領域のうち角部に相当する領域が複数個所に与えられ、当該角部に相当する領域の各々には、これに対応させてボタン2が配置されていてもよい。
【0021】
本実施の形態に係る操作装置1は、その特徴として、操作装置1の中心に配置されるLCD表示器20と、これの表示画面に配置された透明保護プレート40とを備えている。本実施の形態では、比較的大きなLCD表示器20を採用することで、其処に様々な情報を表示することができる。即ち、近時のLCD表示器20は、その表示情報が豊富であるため、表示デバイスが大型化し、操作装置1の正面から観察した投影面積に対して占有率が非常に高くなる。この場合、意匠的なトレンドでは、LCD表示器20の画面周囲を囲うよう、複数のボタン2を石畳状に隙間を詰めた状態で配置すると、デザイン性が優れたものとなる。
【0022】
しかし、かかる構造の場合には、正面筐体を設けずにボタンの摺動機構を設ける要請がある。そこで、本実施の形態では、正面筐体なる構造を排除し、正面に配列されるボタン群の連続表面によって、正面筐体に於ける表面と同等の表面構造を別コンセプトにて実現させている。
【0023】
上述したボタン群は、その各々が板バネ体4に固定される。この固定方法は、接着剤を用いても良く、クリップ構造を設けて着脱自在としても良い。このボタン群は、互いの隙間を極力なくすよう可能な限り隣接して配置させ、上述の如く、あたかも石畳のようにボタン表面が連続的に配列される様を呈す。
【0024】
本実施の形態に係る板バネ体4は、表示画面に対面して配置される透明保護プレート40と一体化された構造によって成る。即ち、双方は、同一樹脂材によって成り、射出成型工程で製造されるのが好ましい。かかる構造とされた板バネ体4は、透明保護プレート40の中心構造に結合する部位が固定端とされ、その中心構造から外側へ臨む外周縁が自由端とされる。即ち、この板バネ体4は、ボタン群の配置に対応し、適宜の環状状態にて設えられる。
【0025】
尚、本実施の形態では、板バネ体4と透明保護プレート40とが一体構造とされているが、これに限らず、双方が別体構造とされても良い。この場合には、双方を固定させる適宜の構造を必要とする。但し、該ボタンの付勢動作を実現させるものであれば如何なるものでも良く、嵌合構造、接着剤による接合構造、螺着構造、等々、適宜の構造が適用され得る。
【0026】
この場合、板バネ体4を構成する材料としては、弾性を有するものであれば如何なるものでもよく、PBT、PPS等の熱可塑性樹脂材料であるのが良い。また、板バネ体4は、透明保護プレートの中心構造とは別体とされるならば、鉄、銅、アルミニウム、SUS等の金属材料であっても良い。特に、SUSは、適切な弾性を有するとともに、耐食性を有するため好ましい。
【0027】
LCD表示器20は、回路基板3の中央部に実装され、その表面にはLCD画面(液晶画面)が設けられる。このデバイスは、入力された電気信号に応動して、LCD画面に適宜の情報を表示させる。また、本LCD表示器20は、画面領域にタッチセンサが設けられるところ、その表面に保護層を別途設けることが好ましい。従って、本実施の形態にあっては、後述する透明保護プレート40が採用されている。
【0028】
透明保護プレート40は、
図2に示す如く、中心部に透明領域4a、その周囲に非透明領域4b、そして、その外周に板バネ体4が設けられ、本実施の形態に関してはこれらが一体物とされている。即ち、これに係る各々の構成は、その構成が一体構造とされる。このうち、非透明領域4bは、シルク印刷、その他、適宜の塗装技術が適用されている。非透明領域4bとは、何らかの被膜が形成され、透明領域4aの透光性よりも幾分低下していれば、これに属することとなる。
【0029】
透明領域4aは、LCD画面に対面するように、その領域を覆うように配置される。特に有利には、透明領域4aとLCD画面とが積層されるよう配置され、屈折によって生じる視認性の改善を図ると良い。一方、非透明領域4bは、乱反射の原因となる入射光が印刷層によって吸収され、液晶画面の反射を制限させている。
【0030】
上述の如く、本実施の形態では、LCD表示器20の機能を確保する上で、透明保護プレート40が必須の構成とされている。そして、本実施の形態では、この必須構成に板バネ体4を一体形成させることで、操作釦の周辺構造が簡素化され、併せて、装置の小型化が実現される。
【0031】
フレーム体21は、回路基板との間にLCD表示器20を挟持押圧し、更に、透明保護プレート40とも固定される。本実施の形態では、フレーム体21とLCD表示器20との間に緩衝材22が設けられ、LCD表示器20の保護が図られている。このフレーム体21は、LCD画面に対応する部位に、これと同等の窓部が形成され、LCD画面の表示が透明領域4aを介して視認できる構成とされる。
【0032】
フレーム体21を構成する材料としては、板バネ体4を構成する材料として例示したものを使用することができる。フレーム体21を構成する材料と板バネ体4を構成する材料とは同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであるとよい。これらの材料を同じとすることで、製造容易性を向上させることができる。
【0033】
上述した透明保護プレート40は、板バネ体4との結合箇所が非透明領域4bに位置している。従って、LCD画面は、かかる結合箇所なる複雑な構造が視線の進路を遮ることなく、利用者にとって非常に見やすい状態とされる。
【0034】
尚、本操作装置1は、板バネ体4が環状に形成され、これの径方向に沿った第1スリット10が適宜に形成されている。これにより、板バネ体4は、適宜に区画され、区画された各々の板バネ片が独立して挙動できるようになる。また、当該板バネ片は、操作装置1の角部に配置されるので、操作装置1の角部にもボタン2を配置することができる。そのため、当該操作装置1によれば、ボタン2の配置の自由度を向上させることができる。
【0035】
また、板バネ体4を構成する板バネ片は、
図2に示すように、固定端と自由端とを有し、片持ち支持されている。自由端は、縁部に沿って連続的に与えられる構造とされ、特に、角部領域に達するように設けるとよい。特に、板バネ体4は、第1スリット10によって区画される板バネ片の数が、ボタン2の数に対応するように構成されているとよい。このように板バネ体を第1スリット10によって区画される板バネ片の数がボタン2の数に対応するよう構成することで、角部の更なる有効利用が実現される。
【0036】
また、板バネ体4の固定端に相当する構造部は、折曲容易線11を第1スリット10に交差するように設けることで、ボタン2の動作を容易にすることができる。折曲容易線11は、第1スリット10に対して略垂直に設けられているとよい。このように、変形が積極的に要求される構造部では、折曲容易線11を第1スリット10に対して略垂直に設けることで、ボタン2の動作をより容易にすることができるとともに、板バネ体4の製造容易性を向上させることができる。
【0037】
折曲容易線11は、第1スリット10により区画された個々の板バネ片の折り曲げを容易にするものであれば、如何なる形態のものであってもよく、例えば、板バネ片の厚さをより薄くすることにより形成された溝としても良い。また、折曲容易線11は、各板バネ片の中において、その径方向について内側寄りに設けられているとよい。
【0038】
折曲容易線11は、LCD表示器20の外縁に沿うように設けられているとよい。このように折曲容易線11をLCD表示器20の外縁に沿うように設けることで、板バネ体4は、変形しにくいLCD近傍構造の末端にて良好に折り曲げられ、ボタン2の動作性をさらに向上させることができる。
【0039】
操作装置1は、LCD表示器20とフレーム体21との間に緩衝材22をさらに備えていてもよい。このように操作装置1が緩衝材22を備えることで、LCD表示器20の破損の可能性を低減することができる。LCD表示器20としては、情報を表示することができるものであれば如何なるものであってもよく、例えば公知の液晶パネル(LCD)等を用いることができる。受動素子30、LCD表示器20、フレーム体21、ボタン2、ケース23は、従来公知のものを使用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
<第二実施形態>
図3は、第二実施形態に係る板バネ体の概略平面図である。第一実施形態では、折曲容易線を用いていたのに対して、第二実施形態では、断続的に設けられた第2スリットを用いている点で第二実施形態に係る板バネ体は第一実施形態のものと異なる。その他の構成については、第一実施形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0041】
第2スリット12は、これを構成する各孔の端部に丸みが設けられているとよい。このように各孔の端部に丸みを設けることで、板バネ体4の折り曲げ動作による孔間連結部分の断絶を抑制することができる。
【0042】
第2スリット12のスリット幅は、第1スリット10のスリット幅よりも狭くなるように設定するとよい。このように第2スリット12のスリット幅を第1スリット10のスリット幅よりも狭く設定することで、板バネ体4の強度を確保しつつ、板バネ体4を構成する板バネ片同士の接触の可能性を低減することができる。
【0043】
本実施の形態に係る操作装置1は、折曲容易線11として断続的な第2スリット12が用いられるため、外部からの押圧動作に対する感度を好適に調整することが容易となる。
【符号の説明】
【0044】
1 操作装置, 2 ボタン, 3 回路基板, 4 板バネ体, 10 第1スリット, 11 折曲容易線, 12 第2スリット, 20 LCD表示器, 21 フレーム体, 22 緩衝材, 23 ケース, 30 受動素子。