(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】自動ドア、自動ドアセンサおよび自動ドアの開閉方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20220722BHJP
E05F 15/632 20150101ALI20220722BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20220722BHJP
G01V 8/20 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/632
E05F15/40
G01V8/20 N
(21)【出願番号】P 2018537311
(86)(22)【出願日】2017-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2017031024
(87)【国際公開番号】W WO2018043511
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2016167076
(32)【優先日】2016-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017119923
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】清政 良有
(72)【発明者】
【氏名】林 孝次郎
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-041802(JP,A)
【文献】特開2012-127152(JP,A)
【文献】特開平10-008825(JP,A)
【文献】米国特許第05581944(US,A)
【文献】特開平09-209652(JP,A)
【文献】特開平09-242421(JP,A)
【文献】特開2002-168047(JP,A)
【文献】特開2004-116032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/73-15/74,15/40-15/49,15/632-15/652
G01V 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの戸尻側に人および物を検知するための検知領域が設定されている第1センサと、
前記ドアの通行者を検知するための第2センサと、
前記第2センサが検知状態となったときに前記ドアを開駆動する駆動制御部と、
前記開駆動によって前記ドアが戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で
、前記第1センサが人または物の検知状態となったときに
前記駆動制御部に所定の動作を
行わせる安全制御部と、を備え、
前記安全制御部は、
前記開駆動による前記戸尻の変位に追従して前記戸尻側近傍のみに
前記検知領域を設定
し、
前記所定の動作は、前記第1センサが人または物の検知状態となっていないときの通常速度より低速での開方向へのドアの駆動、又はドアの停止である、自動ドア。
【請求項2】
ドアの戸尻側に人および物を検知するための検知領域が設定されている第1センサと、
前記ドアの通行者を検知するための第2センサと、
前記第2センサが検知状態となったときに前記ドアを開駆動する駆動制御部と、
前記開駆動によって前記ドアが戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で、前記第1センサが人または物の検知状態となったときに前記駆動制御部に所定の動作を行わせる安全制御部と、を備え、
前記安全制御部は、前記開駆動による前記戸尻の変位に追従して前記戸尻側近傍のみに前記検知領域を設定し、
前記所定の動作は、前記ドアの開口部を通行する人の通行状況に応じて、前記ドアの停止、低速での前記戸尻と反対側に向かって閉じる前記ドアの閉方向への前記ドアの駆動、及び通常速度での前記閉方向への前記ドアの駆動のいずれかを行うことである、自動ドア。
【請求項3】
ドアの戸尻側に人および物を検知するための検知領域が設定されている第1センサと、
前記ドアの通行者を検知するための第2センサと、
前記第2センサが検知状態となったときに前記ドアを開駆動する駆動制御部と、
前記開駆動によって前記ドアが戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で、前記第1センサが人または物の検知状態となったときに前記駆動制御部に所定の動作を行わせる安全制御部と、を備え、
前記安全制御部は、前記開駆動による前記戸尻の変位に追従して前記戸尻側近傍のみに前記検知領域を設定し、
前記所定の動作は、前記第1センサ、又は前記第2センサ、若しくはこれらの両方の検知状況に応じて、前記ドアの停止、前記低速での閉方向へのドアの駆動、及び前記通常速度での閉方向へのドアの駆動のいずれかを行うことである、自動ドア。
【請求項4】
前記検知領域は可変である、請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記検知領域は、ドアの速度、加速度、又は重量、若しくはこれらの2つ以上の組み合わせに応じて可変である、請求項
4に記載の自動ドア。
【請求項6】
前記検知領域は、ドアの設置環境に応じて可変である、請求項
4又は
5に記載の自動ドア。
【請求項7】
前記検知領域は、前記戸尻の衝撃吸収度に応じて可変である、請求項
4乃至
6のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項8】
前記検知領域は、前記戸尻側に向かって開く前記ドアの開方向における進行方向前方、又は前記ドア面に垂直な正面方向、若しくはこれらの両方に可変である、請求項
4乃至
7のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項9】
前記検知領域は、前記戸尻側に進行する人の速度、又は大きさ、若しくはこれらの両方に応じて、前記ドアの進行方向前方、又は正面方向、若しくはこれらの両方に可変である、請求項
8に記載の自動ドア。
【請求項10】
前記検知領域は、高さ方向に可変である、請求項
4乃至
9のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項11】
前記ドア開行程の所定の範囲は、前記ドア開行程の全行程である、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項12】
前記ドア開行程の所定の範囲は、前記ドア開行程のうち壁から所定範囲内である、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の自動ドア。
【請求項13】
ドアの戸尻側に検知領域が設定される
第1センサと、
自動ドア装置の駆動制御部が前記ドアの通行者を検知するための第2センサの検知状態に応じて前記ドアを開駆動した後、前記開駆動によって前記ドアが戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で、前記第1センサが人または物の検知状態となったときに、前記駆動制御部に所定の動作を行わせる安全制御部と、を備え、
前記安全制御部は、
前記開駆動による前記戸尻の変位に追従して前記戸尻側近傍のみに
前記検知領域を設定
し、
前記所定の動作は、
(1)前記第1センサが人または物の検知状態となっていないときの通常速度より低速での開方向へのドアの駆動、又はドアの停止、
(2)前記ドアの開口部を通行する人の通行状況に応じて、前記ドアの停止、低速での前記戸尻と反対側に向かって閉じる前記ドアの閉方向への前記ドアの駆動、及び通常速度での前記閉方向への前記ドアの駆動のいずれかを行うこと、
(3)前記第1センサ、又は前記第2センサ、若しくはこれらの両方の検知状況に応じて、前記ドアの停止、前記低速での閉方向へのドアの駆動、及び前記通常速度での閉方向へのドアの駆動のいずれかを行うこと、
のいずれかである、自動ドアセンサ。
【請求項14】
駆動制御部は、ドアの通行者を検知するための第2センサが検知状態となったときに前記ドアを開駆動し、
安全制御部は、前記開駆動による前記ドアの戸尻の変位に追従して前記戸尻側の人および物を検知するための第1センサの検知領域を、戸尻側近傍のみに設定し、
前記安全制御部は、ドア位置を取得し、
前記安全制御部は、前記取得されたドア位置が、
前記開駆動によって前記ドアが前記戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内にある場合に、前記第1センサの検知状況に応じて
前記駆動制御部に所定の動作を行
わせ、
前記所定の動作は、
(1)前記第1センサが人または物の検知状態となっていないときの通常速度より低速での開方向へのドアの駆動、又はドアの停止、
(2)前記ドアの開口部を通行する人の通行状況に応じて、前記ドアの停止、低速での前記戸尻と反対側に向かって閉じる前記ドアの閉方向への前記ドアの駆動、及び通常速度での前記閉方向への前記ドアの駆動のいずれかを行うこと、
(3)前記第1センサ、又は前記第2センサ、若しくはこれらの両方の検知状況に応じて、前記ドアの停止、前記低速での閉方向へのドアの駆動、及び前記通常速度での閉方向へのドアの駆動のいずれかを行うこと、
のいずれかである、自動ドアの開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア、自動ドアセンサおよび自動ドアの開閉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動ドアの安全基準が強化されつつあり、ドアの閉動作時の安全性だけでなく開動作時の安全性についても一定の基準が定められようとしている。開動作時の安全性に関する技術として、例えば、JP2003-193745Aには、引戸の固定側全体を検知エリアとするセンサを配置し、センサが物体を検知した際にドアを低速度で開動作させる自動ドアが開示されている。
【0003】
しかしながら、JP2003-193745Aの自動ドアは、引戸の固定側の広い範囲が検知エリアとなっているため、実際には衝突の危険の無い場合にまでドアが低速度で開動作することになり、通行性を悪化させるといった問題があった。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、開動作時の安全性と通行性とを両立させることができる自動ドア、自動ドアセンサおよび自動ドアの開閉方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、ドアが戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で、前記戸尻側に人および物を検知するための検知領域が設定されている第1センサが人または物の検知状態となったときに所定の動作を行う自動ドアであって、前記検知領域は、前記戸尻側近傍のみに設定されている、自動ドアである。
【0006】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は可変であってもよい。
【0007】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、ドアの速度、加速度、又は重量、若しくはこれらの2つ以上の組み合わせに応じて可変であってもよい。
【0008】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、ドアの設置環境に応じて可変であってもよい。
【0009】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、前記戸尻の位置に応じて可変であってもよい。
【0010】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、前記戸尻の衝撃吸収度に応じて可変であってもよい。
【0011】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、前記戸尻側に向かって開く前記ドアの開方向における進行方向前方、又は前記ドア面に垂直な正面方向、若しくはこれらの両方に可変であってもよい。
【0012】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、前記戸尻側に進行する人の速度、又は大きさ、若しくはこれらの両方に応じて、前記ドアの進行方向前方、又は正面方向、若しくはこれらの両方に可変であってもよい。
【0013】
本発明による自動ドアにおいて、前記検知領域は、高さ方向に可変であってもよい。
【0014】
本発明による自動ドアにおいて、前記所定の動作は、前記第1センサが人または物の検知状態となっていないときの通常速度より低速での開方向へのドアの駆動、又はドアの停止であってもよい。
【0015】
本発明による自動ドアにおいて、前記所定の動作は、前記ドアの開口部を通行する人の通行状況に応じて、前記ドアの停止、低速での前記戸尻と反対側に向かって閉じる前記ドアの閉方向への前記ドアの駆動、及び通常速度での前記閉方向への前記ドアの駆動のいずれかを行うことであってもよい。
【0016】
本発明による自動ドアにおいて、前記所定の動作は、前記第1センサ、又はドアの通行者を検知するための第2センサ、若しくはこれらの両方の検知状況に応じて、前記ドアの停止、前記低速での閉方向へのドアの駆動、及び前記通常速度での閉方向へのドアの駆動のいずれかを行うことであってもよい。
【0017】
本発明による自動ドアにおいて、前記ドア開行程の所定の範囲は、前記ドア開行程の全行程であってもよい。
【0018】
本発明による自動ドアにおいて、前記ドア開行程の所定の範囲は、前記ドア開行程のうち壁から所定範囲内であってもよい。
【0019】
本発明は、戸尻側に検知領域が設定される自動ドアセンサであって、前記検知領域は、前記戸尻側近傍のみに設定される、自動ドアセンサである。
【0020】
本発明は、第1センサの検知領域を、戸尻側近傍のみに設定し、ドア位置を取得し、前記取得されたドア位置が、前記ドアが前記戸尻側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内にある場合に、前記第1センサの検知状況に応じて所定の動作を行う、自動ドアの開閉方法である。
【0021】
本発明によれば、開動作時の安全性と通行性とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態による自動ドアを示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による自動ドアを示す斜視図である。
【
図3】本実施形態による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定工程を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図6】本実施形態の第1の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図7】本実施形態の第2の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図8】本実施形態の第3の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図9】本実施形態の第4の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図10】本実施形態の第5の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図11】本実施形態の第6の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図12】本実施形態の第7の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図13】本実施形態の第8の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図14】本実施形態の第9の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図15】
図14に続く本実施形態の第9の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図16】本実施形態の第10の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【
図17】本実施形態の第11の変形例による自動ドアを示すブロック図である。
【
図18】本実施形態の第12の変形例による自動ドアを示すブロック図である。
【
図19】本実施形態の第12の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリアの設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る自動ドアについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0024】
図1は、本実施形態による自動ドア1を示すブロック図である。
図2は、本実施形態による自動ドア1を示す斜視図である。
図1に示すように、自動ドア1は、自動ドア装置2と、第2センサの一例である起動センサ部3と、第1センサの一例である補助センサ部4とを備える。自動ドア装置2は、モータ21と、駆動制御部22と、安全制御部23とを備える。
【0025】
自動ドア1は、
図2に示すドア5の開口部を通行しようとする通行者を起動センサ部3で検知し、起動センサ部3の検知に応じて、通行者を通行させるためにドア5を開動作させる。以下、ドア5の開口部の通行者のことを、ドア5の通行者と呼ぶこともある。また、自動ドア1は、ドア5の開動作時における戸尻5a側の安全性を確保するため、ドア5の戸尻5a側に存在する人を補助センサ部4で検知する。そして、自動ドア1は、補助センサ部4の検知に応じて、戸尻5a側の安全性を確保するためのドア安全動作すなわち所定の動作を実行する。以下、このような自動ドア1の構成を更に詳述する。
【0026】
(自動ドア装置2)
自動ドア装置2のモータ21は、図示しない電源の電力を供給されることで、ドア5を自動で開閉するための回転力を発生させる。モータ21の回転力は、図示しないプーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材を介して
図2に示す開閉方向d1への並進力としてドア5に伝達される。
図2の例において、2つのドア5は、固定部8側に向かってスライドすることで開動作を行い、固定部8から離反する側に向かってスライドすることで閉動作を行う引き分けタイプの引戸である。ドア5の態様は
図2の例に限定されず、例えば、片引きタイプ、開き戸タイプ、折り戸タイプ、グライドドアなどの様々な態様のドアを採用してもよい。
【0027】
駆動制御部22は、モータ21、起動センサ部3および安全制御部23に接続されている。駆動制御部22は、起動センサ部3、安全制御部23およびモータ21から取得された情報または信号に基づいて、電力供給の制御によるモータ21の駆動制御を行う。モータ21の駆動制御は、モータ21の駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
【0028】
具体的には、駆動制御部22は、起動センサ部3から、後述する起動センサ部3の有効検知エリア(以下、起動側有効検知エリアともいう)内の通行者の検知状況を取得する。検知状況とは、通行者(すなわち、人)の検知の有無を示す状況である。後述するように、検知状況は、例えば、小検知エリア31、41による受光量に応じた検出信号として取得される。検知状況は、例えば、検出信号が後述する人の検知の閾値に達しているか否かに応じて、有効検知エリア内に通行者が検知された検知状態と判断される場合もあり、または、検知状態でないと判断される場合もある。検知状況は、人に限らず、人以外の物(例えば、荷物や動物等)の検知の有無を示す状況であってもよい。駆動制御部22は、取得された検知状況に基づいて起動側有効検知エリア内の通行者を検知した場合、ドア5を開方向に通常速度で駆動(以下、通常開駆動ともいう)する駆動制御を行う。通常速度は、補助センサ部4が人または物の検知状態となっていないときのドア5の速度ということもできる。
【0029】
また、駆動制御部22は、モータ21からドア5の位置を示す位置信号を取得し、取得された位置信号に基づいてモータ21を駆動制御する。位置信号は、ドア5の位置を検知できるのであれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、位置信号は、モータ21のホール素子の位相をもとに生成される。なお、位置信号は、モータ21の回転を検知する回転エンコーダ、またはドア5の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダに基づく信号であってもよい。
【0030】
また、駆動制御部22は、安全制御部23から、既述したドア安全動作の指令を取得する。駆動制御部22は、ドア安全動作の指令に応じたモータ21の駆動制御を行うことで、ドア安全動作を実行する。ドア安全動作は、例えば、通常速度より低速度での開方向へのドア5の駆動(以下、低速開駆動ともいう)である。特に低速度はドア5の重量とドア5の実速度に基づき算出される運動エネルギが所定以下になるように、予め駆動制御部22の制御パラメータとして設定されるものである。ドア安全動作は、ドア5の停止、又は通常速度での戸尻5aと反対側に向かって閉じるドア5の閉方向へのドア5の駆動(以下、通常閉駆動ともいう)であってもよい。なお、ドア5の停止の場合は、戸尻側の安全を優先して即座に停止しても良いし、通路側を通行している人が急に止まったドア5にぶつからないように予め設定された減速度で減速して停止してもよい。
【0031】
安全制御部23は、駆動制御部22以外にも、補助センサ部4、モータ21および起動センサ部3に接続されている。安全制御部23は、補助センサ部4、モータ21および起動センサ部3から取得された情報または信号に基づいて、安全制御部23にドア安全動作を指令する。
【0032】
具体的には、安全制御部23は、モータ21から位置信号を取得する。安全制御部23は、取得された位置信号に基づいて、検知領域の一例である後述する補助センサ部4の有効検知エリア(以下、補助側有効検知エリアともいう)を設定する。
【0033】
なお、補助側有効検知エリアの設定は、位置信号以外の情報にも基づいてよい。また、補助側有効検知エリアの設定は、補助側有効検知エリアの情報を記憶部に記録することで行ってもよい。
【0034】
開動作時における戸尻5a側の安全性と通行性とを両立するため、安全制御部23は、戸尻5a側近傍のみに人を検知するための補助側有効検知エリアを設定する。補助側有効検知エリアは、人に限らず、人以外の物を検知するために設定されてもよい。近傍とは、ドア5が戸尻5a側に向かって開くドア5の開方向およびドア面に垂直な正面方向の少なくとも一方において戸尻5aに隣接する所定範囲の領域である。所定範囲は、例えば、後述する1個分または2個分の補助側小検知エリア41の大きさ(例えば、直径)に相当する範囲であってもよい。近傍のみとは、基本的に近傍以外に補助側有効検知エリアを設定することを除外する意義であるが、ドア構造や衝撃吸収度等の特定の条件に応じて例外的に補助側有効検知エリアを拡大することを除外する意義ではない。補助側有効検知エリアの設定の詳細については、後述する自動ドア1の開閉方法の実施形態で述べる。
【0035】
補助側有効検知エリアを設定した後、安全制御部23は、補助センサ部4から補助側有効検知エリア内に存在する人の検知状況を取得する。そして、安全制御部23は、位置信号および補助センサ部4の検知状況に基づいて、ドア5が戸尻5a側に向かって開くドア開行程の所定の範囲内で補助センサ部4が人を検知した状態となったとき、駆動制御部22にドア安全動作を指令する。ドア開行程の所定の範囲は、例えば、ドア開行程における全行程である。ドア開行程の所定の範囲は、ドア開行程における一部の行程であってもよい。
【0036】
安全制御部23は、起動センサ部3の検知状況すなわちドア5の開口部を通行する人(すなわち、通行者)の通行状況、又は補助センサ部4の検知状況、若しくはこれらの両方に応じて、ドア安全動作の種類を選択してもよい。例えば、安全制御部23は、低速開駆動、停止、及び通常閉駆動のいずれかを選択してもよい。この場合に、安全制御部23は、ドア5の通行者が検知されていないときは、通常閉駆動を選択してもよい。
【0037】
(起動センサ部3)
図2に示すように、起動センサ部3は、自動ドア1の無目部6の中央、より具体的には、全閉状態の2枚のドア5の境界部の上方に設けられている。起動センサ部3は、天井などの無目部6以外の場所に設けられていてもよい。
【0038】
起動センサ部3は、起動側有効検知エリアが設定されている。
【0039】
ここで、起動側有効検知エリアとは、起動センサ部3を用いて検知可能な床面7上の領域(以下、起動側検知エリア30ともいう)のうち、ドア5の通行者の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。起動側有効検知エリアは、駆動制御部22が設定してもよい。
【0040】
図2の例において、起動側検知エリア30は、2枚のドア5の正面においてドア5の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア(以下、起動側小検知エリアともいう)31で構成されている。個々の起動側小検知エリア31は、例えば、起動センサ部3に設けられた複数の投光素子のそれぞれから投光され、複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。
【0041】
図2の例における起動側有効検知エリアは、複数の起動側小検知エリア31のうち少なくとも1つの起動側小検知エリア31で構成される。なお、
図2の例において、各起動側小検知エリア31は、円形状を有する。起動側小検知エリア31は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0042】
このような起動側有効検知エリアが予め設定された状態で、起動センサ部3は、例えば、全ての投光素子に、それぞれに対応する起動側小検知エリア31に向けて近赤外光を投光させる。そして、起動センサ部3は、各投光素子のそれぞれに対応して設けられている全ての受光素子で、各起動側小検知エリア31からの近赤外光の反射光を受光する。そして、起動センサ部3は、起動側小検知エリア31毎に、受光量に応じた検出信号を、起動側小検知エリア31毎の検知状況(
図1参照)として駆動制御部22および安全制御部23に出力する。
【0043】
駆動制御部22は、起動センサ部3から入力された起動側小検知エリア31毎の検知状況のうち、予め設定された起動側有効検知エリア内の検知状況を取得すなわち抽出する。言い換えれば、駆動制御部22は、起動側小検知エリア31毎の検知状況のうち、起動側有効検知エリアに該当する起動側小検知エリア31の検知状況を取得する。
【0044】
そして、駆動制御部22は、取得された起動側有効検知エリア内の検知状況に基づいて、通行者を検知する。例えば、駆動制御部22は、検知状況を示す検出信号の信号値が人の検知の閾値に達しているか否かに基づいて通行者を検知する。起動側有効検知エリア内の通行者が検知された場合、すなわち、起動センサ部3が検知状態となった場合、既述したように、駆動制御部22はドア5を開動作させる。
【0045】
駆動制御部22と同様に、安全制御部23は、起動センサ部3から入力された起動側小検知エリア31毎の検知状況のうち、予め設定された起動側有効検知エリア内の検知状況を取得する。そして、安全制御部23は、取得された起動側有効検知エリア内の検知状況に基づいて、起動センサ部3の検知状態の有無を判断する。安全制御部23は、起動センサ部3の検知状態を確認したうえで、補助側有効検知エリアの設定に移行する。
【0046】
なお、起動センサ部3は、全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、起動側有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された起動側小検知エリア31の全てが起動側有効検知エリアに該当する。起動側有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
【0047】
また、起動センサ部3は、起動側小検知エリア31への近赤外光の投光以外にも、起動側小検知エリア31への電波の発信や撮像などの方法によって起動側有効検知エリアの検知状況を取得してもよい。
【0048】
(補助センサ部4)
図2に示すように、補助センサ部4は、起動センサ部3を挟んで無目部6に2つ設けられている。各補助センサ部4は、左右の固定部8のそれぞれの上方に位置している。
【0049】
補助センサ部4は、補助側有効検知エリアが設定されている。
【0050】
ここで、補助側有効検知エリアとは、補助センサ部4を用いて検知可能な床面7上の領域(以下、補助側検知エリア40ともいう)のうち、戸尻5a側の人を検知するために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。既述したように、補助側有効検知エリアは、安全制御部23が設定する。
【0051】
戸尻5a側の安全性を確保するため、補助側有効検知エリアは、ドア5の戸尻5a側に設定されている。
【0052】
より具体的には、補助側有効検知エリアは、ドア5の戸尻5a側近傍のみに設定されている。戸尻5a側近傍のみに補助側有効検知エリアが設定されていることで、戸尻5a側の安全性と通行性とを両立させることができる。
【0053】
また、補助側有効検知エリアは、可変である。補助側有効検知エリアを可変とする具体例については、後述する自動ドア1の開閉方法の実施形態において述べる。
【0054】
図2の例において、補助側検知エリア40は、2つの固定部8のそれぞれの正面において開閉方向d1および前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア(以下、補助側小検知エリアともいう)41で構成されている。個々の補助側小検知エリア41は、例えば、補助センサ部4に設けられた複数の投光素子から投光される近赤外光の照射スポットに対応している。
【0055】
図2の例における補助側有効検知エリアは、複数の補助側小検知エリア41のうち、開方向において左右のドア5のそれぞれの戸尻5aに最も近い左右1つずつのエリア41Aである。補助側有効検知エリア41Aの態様は
図2の例に限定されない。また、
図2の例において、各補助側小検知エリア41は、円形状を有する。この場合の照射スポットの床面における直径は、例えば10センチメートルから30センチメートルの間の任意の値にすることができる。また、補助側小検知エリア41は、楕円形状、矩形状、多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0056】
補助センサ部4は、例えば、全ての投光素子に、それぞれに対応する補助側小検知エリア41に向けて近赤外光を投光させる。そして、補助センサ部4は、各投光素子のそれぞれに対応して設けられている全ての受光素子で、各補助側小検知エリア41からの近赤外光の反射光を受光する。そして、補助センサ部4は、補助側小検知エリア41毎に、受光量に応じた検出信号を、補助側小検知エリア41毎の検知状況(
図1参照)として安全制御部23に出力する。
【0057】
安全制御部23は、補助センサ部4から入力された補助側小検知エリア41毎の検知状況のうち、戸尻5a側近傍のみに設定した補助側有効検知エリア41A内の検知状況を取得すなわち抽出する。なお、安全制御部23は、補助側小検知エリア41毎の検知状況に基づいて補助側有効検知エリア41Aを設定してもよい。
【0058】
そして、安全制御部23は、取得された補助側有効検知エリア41A内の検知状況に基づいて、人を検知する。例えば、安全制御部23は、検知状況を示す検出信号の信号値が人の検知の閾値に達しているか否かに基づいて人を検知する。補助側有効検知エリア41A内の人が検知された場合、すなわち、補助センサ部4が人の検知状態となった場合、既述したように、安全制御部23は駆動制御部22にドア安全動作を指令する。補助センサ部4が人以外の物の検知状態となった場合にも、安全制御部23は、駆動制御部22にドア安全動作を指令してもよい。
【0059】
なお、補助センサ部4は、全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、補助側有効検知エリア41Aに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された補助側小検知エリア41の全てが補助側有効検知エリア41Aに該当する。補助側有効検知エリア41Aに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。
【0060】
また、補助センサ部4は、補助側小検知エリア41への近赤外光の投光以外にも、補助側小検知エリア41への電波の発信や撮像などの方法によって補助側有効検知エリア41Aの検知状況を取得してもよい。
【0061】
(自動ドアの開閉方法)
次に、自動ドア1の開閉方法について説明する。
図3は、本実施形態による自動ドアの動作例を示すフローチャートである。
【0062】
(S1~S2:通行者検知)
先ず、
図3に示すように、安全制御部23は、起動センサ部3から入力された起動側小検知エリア31毎の検知状況を確認する(ステップS1)。そして、安全制御部23は、起動側小検知エリア31毎の検知状況のうち、予め設定された起動側有効検知エリアの検知状況を取得する。そして、安全制御部23は、取得された起動側有効検知エリアの検知状況に基づいて、起動センサ部3が通行者の検知状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0063】
(S3~S4:戸尻側近傍のみへの補助側有効検知エリアの設定)
通行者が検知された場合(ステップS2:Y)、安全制御部23は、補助センサ部4から入力された補助側小検知エリア41毎の検知状態を確認する(ステップS3)。一方、通行者が検知されなかった場合(ステップS2:N)、安全制御部23は、起動側小検知エリア31毎の検知状況の確認を繰り返す(ステップS1)。
【0064】
補助側小検知エリア41毎の検知状態を確認した後、安全制御部23は、戸尻5a側近傍のみに補助側有効検知エリア41Aを設定する(ステップS4)。
図4は、本実施形態による自動ドアの動作例において、戸尻5a側近傍のみへの補助側有効検知エリア41Aの設定工程を示すフローチャートである。
【0065】
図4に示すように、戸尻5a側近傍のみへの補助側有効検知エリア41Aの設定において、先ず、安全制御部23は、モータ21の位置信号に基づいて、ドア5の位置、速度および加速度などのドア駆動状態を取得する(ステップS41)。
【0066】
ドア駆動状態が取得された後、安全制御部23は、ドア5の重量および戸尻5aの衝撃吸収度などのドア構造情報を取得する(ステップS42)。衝撃吸収度の情報は、例えば、戸尻5aにゴムやバンパー構造が設けられている場合やドア5自体が弾性体である場合には高い値を示す情報であってもよい。安全制御部23は、内部メモリ、外部記憶装置またはサーバとの通信などによってドア構造情報を取得してもよい。
【0067】
ドア構造情報が取得された後、安全制御部23は、モータ21の磁石の温度や、高齢者や子供の多い場所、時間帯、曜日、又は天候であるか否かを示す情報などの自動ドア1の設置環境情報を取得する(ステップS43)。安全制御部23は、内部メモリ、外部記憶装置、温度計またはサーバとの通信などによって設置環境情報を取得してもよい。
【0068】
設置環境情報が取得された後、安全制御部23は、
図3のステップS3で確認された補助側小検知エリア41毎の検知状況に基づいて、戸尻5aに接近する人の速度、及び大きさを取得する(ステップS44)。
【0069】
戸尻5aに接近する人の速度、及び大きさが取得された後、安全制御部23は、取得された各情報(S41~S44)に基づいて、戸尻5a側近傍のみに補助側有効検知エリア41Aを設定する(ステップS45)。安全制御部23は、各情報(S41~S44)に応じて可変に補助側有効検知エリア41Aを設定する。
【0070】
図5は、本実施形態による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図5の例において、安全制御部23は、ドア5の開閉方向d1に沿ってドア走行位置上に配置された左右1列ずつの補助側小検知エリア41のうち、左右のドア5の戸尻5aのそれぞれに最も近い1つずつのエリア41のみを、補助側有効検知エリア41Aに設定している。
【0071】
図5の例において、左右の各列の補助側小検知エリア41の数は5つずつであるが、4つ以下ずつ、または6つ以上ずつであってもよい。また、
図5の例において、各補助側小検知エリア41は円形であるが、円形以外の形状であってもよい。
【0072】
図5のステップS401~ステップS404に示されるドア5の開動作の進行にともなって、モータ21から出力される位置信号に示されるドア5の位置は変化する。安全制御部23は、位置信号に基づいて開方向において戸尻5aの位置に最も近い左右1つずつの補助側小検知エリア41を判定し、判定された補助側小検知エリア41を補助側有効検知エリア41Aに設定する。このようにして、戸尻5aの位置に応じて補助側有効検知エリア41Aをドア5の開方向における進行方向前方に変位させることができる。
【0073】
なお、
図5の例では、
図4で説明した各種の情報(S41~S44)のうちドア5の位置すなわちドア駆動状態(S41)のみが変化し、その他の情報は一定もしくは補助側有効検知エリア41Aの変更に影響するような変化を示していないとみなしている。ドア5の位置以外の情報(S42~S44)が変化した場合、
図5と異なる補助側有効検知エリア41Aの設定が行われてよい。
【0074】
図5の例によれば、ドア5の変位にともなう戸尻5aの変位に追従して戸尻5aの近傍のみに補助側有効検知エリア41Aを設定できる。これにより、衝突の危険性がある戸尻5a近傍の検知状況に応じたドア安全動作を確保できるとともに、衝突の危険性が殆ど無い戸尻5a近傍以外の検知状況に応じたドア安全動作を回避できる。これにより、安全性と通行性とを両立させることができる。
【0075】
(S5:検知判定)
以上のようにして戸尻5a側近傍のみへの補助側有効検知エリア41Aの設定を行った後、
図3に示すように、安全制御部23は、設定された補助側有効検知エリア41Aの検知状況に基づいて、補助センサ部4が人の検知状態になったか否かを判定する(ステップS5)。なお、
図5の例において、
図3のステップS3~ステップS5の工程は、ドア5の開行程における全行程において行われる。
【0076】
(S6:ドア安全動作)
補助センサ部4が検知状態となった場合(ステップS5:Y)、安全制御部23は、駆動制御部22にドア安全動作の指令を出力することで、停止または低速開駆動等のドア安全動作を実行する(ステップS6)。低速開駆動を行う場合、安全制御部23は、設置環境情報に応じて駆動速度を異ならせてもよい。例えば、設置環境情報が高齢者や子供の多い場所や時間帯を示す場合、安全制御部23は、ドア5を停止させる。ドア安全動作の後、安全制御部23は、検知判定(S5)以降の処理を繰り返す。
【0077】
一方、補助センサ部4が検知状態でない場合(ステップS5:N)、安全制御部23は、ドア安全動作を行わない。この場合、駆動制御部22は、ドア5を通常開駆動する(ステップS7)。次いで、駆動制御部22は、位置信号に基づいてドア5が全開位置に到達したか否かを判定する(ステップS8)。ドア5が全開位置に到達した場合(ステップS8:Y)、駆動制御部22は、ドア5を所定時間開放状態に維持した後、ドア5を通常閉駆動する(ステップS9)。一方、ドア5が全開位置に到達していない場合(ステップS8:No)、安全制御部23は、補助側小検知エリア41毎の検知状況の確認(ステップS3)以降の処理を繰り返す。
【0078】
通常閉駆動を行った後、駆動制御部22は、起動センサ部3から入力された起動側小検知エリア31毎の検知状況を確認し(ステップS10)、起動側有効検知エリアの検知状況を取得する。そして、駆動制御部22は、取得された起動側有効検知エリアの検知状況に基づいて、起動センサ部3が通行者の検知状態であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0079】
通行者が検知されなかった場合(ステップS11:N)、駆動制御部22は、位置信号に基づいてドア5が全閉位置に到達したか否かを判定する(ステップS12)。一方、通行者が検知された場合(ステップS11:Y)、駆動制御部22は、ドア5を停止する(ステップS13)。ドア5を停止した後、ステップS3の処理に移行する。
【0080】
ドア5が全閉位置に到達した場合(ステップS12:Y)、自動ドア装置2は、起動側小検知エリア31毎の検知状況の確認(ステップS1)以降の処理を繰り返す。一方、ドア5が全閉位置に到達していない場合(ステップS12:N)、駆動制御部22は、通常閉駆動を継続する(ステップS9)。
【0081】
以上述べたように、本実施形態によれば、補助側有効検知エリア41Aをドア5の戸尻5a側近傍のみに設定することで、安全性と通行性とを両立させることができる。
【0082】
(第1の変形例)
図6は、本実施形態の第1の変形例による自動ドアの動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図6に示すように、第1の変形例の安全制御部23は、ドア走行位置上の左右1列ずつの補助側小検知エリア41のうち、左右の戸尻5aのそれぞれに最も近いエリアと、その次に戸尻5aに近いエリアとの左右2つずつのエリア41を補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0083】
すなわち、第1の変形例は、
図5の例に対して、戸尻5a側に向かって開くドア5の開方向における進行方向前方に補助側有効検知エリア41Aを拡大すなわち変化させる。また、第1の変形例では、
図5の例と同様に、ドア5の位置の変化に応じて補助側有効検知エリア41Aを開方向における進行方向前方に変位させる。
【0084】
例えば、
図5の例の場合よりもドア構造情報(
図4のS42)に示されるドア5の重量が重い場合または衝撃吸収度が小さい場合、第1の変形例を採用してもよい。これにより、戸尻5aとの衝突による衝撃が大きい場合ほど戸尻5aとの衝突のリスクを効果的に抑制できる。
【0085】
なお、ドア5の衝撃吸収度が大きい場合には、補助側有効検知エリア41Aを縮小させてもよい。補助側有効検知エリア41Aを縮小させることで、通行性を向上させることができる。
【0086】
(第2の変形例)
図7は、本実施形態の第2の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図7に示すように、第2の変形例の安全制御部23は、
図5と同様に、開閉方向d1に沿って配置された左右1列ずつの補助側小検知エリア41のうち、左右の戸尻5aのそれぞれに最も近い1つずつのエリアのみを補助側有効検知エリア41Aに設定する。ただし、第2の変形例において、各列の補助側小検知エリア41は、第5の例とは異なり、ドア5の走行位置から前方に離れた位置に配置されている。
【0087】
第2の変形例によれば、ドア5の走行位置から離れた位置に補助側有効検知エリア41Aを設定することで、ドア5と人との混同を回避して人を高精度に検知できる。
【0088】
(第3の変形例)
図8は、本実施形態の第3の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図8に示すように、第3の変形例の安全制御部23は、開閉方向d1に沿ってドア走行位置上およびその前方に配置された左右2列ずつの補助側小検知エリア41のうち、戸尻5aに最も近い各列1つずつのエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0089】
すなわち、第3の変形例は、
図5の例に対して、ドア面に垂直なドア5の正面方向(法線方向前方)に補助側有効検知エリア41Aを拡大する。
【0090】
第3の変形例によれば、
図5の例よりもドア5の正面方向から戸尻5aに接近する人をいちはやく検知できるので、通行性を確保しつつ安全性を更に高めることができる。
【0091】
(第4の変形例)
図9は、本実施形態の第4の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図9に示すように、第4の変形例の安全制御部23は、第3の変形例で説明した左右2列ずつの補助側小検知エリア41のうち、ドア5側に位置する1列目の補助側小検知エリア41の戸尻5a側から数えて2つ分のエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。また、
図9に示すように、第4の変形例の安全制御部23は、2列目の補助側小検知エリア41の戸尻5aに最も近いエリアも補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0092】
第4の変形例によれば、戸尻5aからの距離がほぼ等しい扇状の領域を補助側有効検知エリア41Aに設定できるので、戸尻5aに対して様々な方向から接近する人を迅速に検知できる。これにより、通行性を確保しつつ、
図5の例よりも更に安全性を高めることができる。なお、補助側有効検知エリア41Aは戸尻5aからの距離がほぼ等しい扇状の領域のほか、補助側有効検知エリア41Aの戸尻5a側の大きさのほうがドア5の法線方向側の大きさよりも大きい扇状の領域であっても良い。戸尻5a側を拡大しながら、ドア5の法線方向は拡大しないので、通行性を維持しつつ、安全性を更に高めることができる。
【0093】
(第5の変形例)
図10は、本実施形態の第5の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
図10に示すように、第5の変形例のドア5は、停止状態からの開動作の進行にともなって順に、加速状態(ステップS401)、高速状態(ステップS402)、減速状態(ステップS403)および低速状態(ステップS404)となる。このようなドア5の速度変化は、駆動制御部22の駆動制御によって行われる。
【0094】
第5の変形例の安全制御部23は、停止~加速状態(ステップS401)のとき、
図5の例で説明した左右1列ずつの補助側小検知エリア41のうち、左右の戸尻5aのそれぞれに最も近い1つずつのエリアのみを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0095】
また、第5の変形例の安全制御部23は、高速状態(ステップS402)のとき、戸尻5aに対して開方向前方に存在する全ての補助側小検知エリア41を補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0096】
また、第5の変形例の安全制御部23は、減速状態(ステップS403)のときにも、戸尻5aに対して開方向前方に存在する全ての補助側小検知エリア41を補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0097】
また、第5の変形例の安全制御部23は、低速状態のとき、補助側有効検知エリア41Aを設定しない。
【0098】
すなわち、第5の変形例の安全制御部23は、ドア5の速度に応じて開方向前方に補助側有効検知エリア41Aを変化させる。
【0099】
第5の変形例によれば、ドア5との衝突による衝撃力が大きい速度期間(ステップS402、S403)に補助側有効検知エリア41Aを拡大し、衝撃力が小さい速度期間(ステップS401、S404)に補助側有効検知エリア41Aを縮小できる。これにより、
図5の例よりも更に効果的に安全性と通行性とを両立させることができる。
【0100】
(第6の変形例)
図11は、本実施形態の第6の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0101】
図11に示すように、第6の変形例の安全制御部23は、停止~加速状態(ステップS401)のとき、左右2列ずつの補助側小検知エリア41のうち、1列目の戸尻5aに最も近い1つずつのエリアのみを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0102】
また、第6の変形例の安全制御部23は、高速状態(ステップS402)のとき、各列の補助側小検知エリア41のうち、戸尻5aに対して開方向前方に存在する全ての補助側小検知エリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0103】
また、第6の変形例の安全制御部23は、減速状態(ステップS403)のときに、1列目の補助側小検知エリア41のうち、戸尻5aに対して開方向前方に存在する全ての補助側小検知エリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。このとき、2列目の補助側小検知エリア41は補助側有効検知エリア41Aに設定しない。
【0104】
また、第6の変形例の安全制御部23は、低速状態(ステップS404)のとき、補助側有効検知エリア41Aを設定しない。
【0105】
すなわち、第6の変形例では、ドア5の速度に応じて開方向前方およびドア5の正面方向に補助側有効検知エリア41Aを変化させる。
【0106】
第6の変形例によれば、ドア5との衝突による衝撃力が最も大きい速度期間(ステップS402)に補助側有効検知エリア41Aを最も拡大することで、通行性を確保しつつ、
図5の例よりも更に安全性を向上できる。
【0107】
(第7の変形例)
図12は、本実施形態の第7の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0108】
図12に示すように、第7の変形例の安全制御部23は、停止~加速状態(ステップS401)のとき、左右3列ずつの補助側小検知エリア41のうち、1列目の戸尻5aに最も近い1つずつのエリアのみを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0109】
また、第7の変形例の安全制御部23は、高速状態(ステップS402)のとき、ドア走行位置上の1列目の補助側小検知エリア41のうち、開方向前方において戸尻5aに近い3つずつのエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。このとき、安全制御部23は、1列目の補助側小検知エリア41の前方の2列目の補助側小検知エリア41のうち、開方向前方において戸尻5aに近い2つずつのエリアも補助側有効検知エリア41Aに設定する。また、このとき、安全制御部23は、2列目の補助側小検知エリア41の前方の3列目の補助側小検知エリア41のうち、開方向前方において戸尻5aに最も近い1つずつのエリアも補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0110】
また、第7の変形例の安全制御部23は、減速状態(ステップS403)のとき、1列目の補助側小検知エリア41のうち、開方向前方において戸尻5aに近い2つずつのエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。このとき、安全制御部23は、2列目の補助側小検知エリア41のうち、開方向前方において戸尻5aに最も近い1つずつのエリアも補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0111】
また、第7の変形例の安全制御部23は、低速状態(ステップS404)のとき、補助側有効検知エリア41Aを設定しない。
【0112】
すなわち、第7の変形例では、ドア5の速度に応じて開方向前方およびドア5の正面方向に扇状の補助側有効検知エリア41Aを変化させる。
【0113】
第7の変形例によれば、通行性と、ドア5との衝突による衝撃力と、戸尻5aに人が接近する方向とを考慮して、戸尻5aの近傍に好適な大きさおよび形状の補助側有効検知エリア41Aを設定できるので、通行性を確保しつつ、
図5の例よりも更に安全性を向上できる。
【0114】
(第8の変形例)
図13は、本実施形態の第8の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0115】
図13に示すように、第8の変形例において、左右1列ずつの補助側小検知エリア41は、ドア走行位置上に配置された2区分毎の補助側小検知エリア41で構成されている。第8の変形例の安全制御部23は、2区分毎の補助側小検知エリア41のうち、開方向において戸尻5aに近い1区分ずつのエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0116】
図13の例によれば、補助側検知エリア40全体の大きさを確保したまま独立して補助側有効検知エリア41Aに設定する補助側小検知エリア41の単位を削減できるので、戸尻5a側の安全性を確保しつつ、補助側有効検知エリア41Aの設定を簡便化することができる。
【0117】
(第9の変形例)
図14は、本実施形態の第9の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0118】
図14に示すように、第9の変形例において、左右1列ずつの補助側小検知エリア41は、ドア走行位置の前方に配置された2区分毎の補助側小検知エリア41で構成されている。第9の変形例の安全制御部23は、2区分ずつの補助側小検知エリア41のうち、開方向において戸尻5aに近い1区分ずつのエリアを補助側有効検知エリア41Aに設定する。
【0119】
第9の変形例によれば、第2の変形例に対して、補助側検知エリア40全体の大きさを確保したまま独立して補助側有効検知エリア41Aに設定する補助側小検知エリア41の単位を削減できるので、戸尻5a側の安全性を確保しつつ、補助側有効検知エリア41Aの設定を簡便化することができる。
【0120】
図15は、
図14に続く本実施形態の第9の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0121】
図14では、ドア5の開き始めにおいて、開方向の内側および外側の左右2区分ずつの補助側小検知エリア41のうち、開方向において戸尻5aに近い内側の1区分ずつのエリアのみを補助側有効検知エリア41Aに設定する例について説明した。
図14の状態から、ドア5が開動作を進行して戸尻5aが左右2区分ずつの補助側小検知エリア41のうち開方向の外側の1区分ずつのエリア41に達した場合、安全制御部23は、開方向において戸尻5aに近い外側の1区分ずつのエリア41のみを補助側有効検知エリア41Aに設定してもよい。
【0122】
一方、
図15に示すように、安全制御部23は、戸尻5aが開方向の外側の1区分ずつの補助側小検知エリア41bに達した場合、これら外側の1区分ずつの補助側小検知エリア41bを補助側有効検知エリア41Aに設定するとともに、開方向の内側の1区分ずつの補助側小検知エリア41aを補助側有効検知エリア41Aに維持してもよい。
【0123】
図15の例によれば、開方向の内側の1区分ずつの補助側小検知エリア41aを補助側有効検知エリア41Aに維持することで、ドア5が全開位置付近に達した場合でも、ドア5の側面(すなわち、前面)に当たろうとする人を検知することができる。
【0124】
(第10の変形例)
図16は、本実施形態の第10の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0125】
図16に示すように、第10の変形例の安全制御部23は、補助側有効検知エリア41Aを高さ方向d3において可変である。例えば、設置環境情報(
図4のステップS43)が、高齢者や子供の多い場所または時間帯を示す場合、安全制御部23は、床面7から上方の所定距離(例えば、100cm)までの領域を補助側有効検知エリア41A_1に設定する。
【0126】
このような補助側有効検知エリア41A_1が設定される場合、戸尻5aとの衝突の回避能力が比較的劣る高齢者や子供を早期に検知できるとともに、それ以外の人の検知を回避できる。
【0127】
一方、設置環境情報が、高齢者や子供の多い場所または時間帯を示さない場合、安全制御部23は、補助センサ部4で検知可能な高さ方向の全領域を補助側有効検知エリア41A_2に設定してもよい。
【0128】
第10の変形例によれば、高さ方向d3で人の存在する範囲に補助側有効検知エリアを設定できるので、
図5の例よりも更に効果的に安全性と通行性とを両立させることができる。
【0129】
(第11の変形例)
次に、自動ドアセンサで補助側有効検知エリアの設定および補助センサ部の検知状況に応じたドア安全動作を行う第11の変形例について説明する。
図17は、第11の変形例による自動ドア1を示すブロック図である。
【0130】
図1の自動ドア1は、安全制御部23が自動ドア装置2内に備えられ、自動ドア装置2において、補助側有効検知エリア41Aの設定および補助センサ部4の検知状況に応じたドア安全動作を実行する。
【0131】
これに対して、第11の変形例の自動ドア1では、
図17に示すように、安全制御部23および補助センサ部4が自動ドアセンサ10内に備えられている。そして、自動ドアセンサ10に備えられた安全制御部23が、補助センサ部4の検知状況に応じたドア安全動作を実行する。
【0132】
第11の変形例においても、
図1の自動ドア1と同様に、補助側有効検知エリア41Aをドア5の戸尻5a側近傍のみに設定することで、安全性と通行性とを両立させることができる。
【0133】
(第12の変形例)
次に、戸尻と壁との間への人の挟み込みを防止する第12の変形例について説明する。
図18は、第12の変形例による自動ドア1を示すブロック図である。
図19は、第12の変形例による自動ドア1の動作例において、補助側有効検知エリア41Aの設定例を示す図である。
【0134】
これまでは、ドア5の開行程の所定の範囲として、開行程の全行程で補助センサ部4が検知状態となった場合にドア安全動作を実行する例について説明した。これに対して、第12の変形例の自動ドア1は、ドア5の開行程の所定の範囲として、壁12から所定範囲内で補助センサ部4が検知状態となった場合にドア安全動作を実行する。所定範囲は、例えば、安全距離である壁12から200mmの範囲である。以下、具体的に説明する。
【0135】
図18に示すように、第12の変形例の自動ドア1は、第11の変形例で説明した自動ドアセンサ10内に、リミットスイッチ11を備えている。
【0136】
リミットスイッチ11は、開動作時において、戸尻5aがドア5の側方に設けられている建物の壁12(
図2、
図19参照)から所定の距離Dよりも離間しているときは、オフしている(
図19のステップS401、S402)。
【0137】
一方、リミットスイッチ11は、開動作時において、戸尻5aが壁12から所定の距離Dの位置に到達したときに、例えば、ドア5の所定の箇所で押圧されることでオンする(
図19のステップS403)。なお、
図19には、戸尻5aの位置とリミットスイッチ11のオンオフとの関係が分かりやすいように、リミットスイッチ11を模式的に表現しているが、実際のリミットスイッチ11の構造や大きさや位置は、
図19とは異なってよい。
【0138】
図18に示すように、オン状態において、リミットスイッチ11は、補助センサ部4に位置信号を出力する。補助センサ部4は、リミットスイッチ11から位置信号が入力されると、補助側小検知エリア41毎の検知状況を安全制御部23に出力する。安全制御部23は、補助センサ部4から補助側小検知エリア41毎の検知状況が入力されると、上述した設定例に示される各種の手法で戸尻5a側近傍のみに補助側有効検知エリア41Aを設定する。安全制御部23は、設定された補助側有効検知エリア41Aが検知状態となった場合に、ドア安全動作を駆動制御部22に指令する。
【0139】
第12の変形例によれば、戸尻5aと壁12との間の挟み込みを防止して安全性を確保できる。また、戸尻5aが壁12から所定距離Dに近付くまでは検知動作を行わないことで、通行性を確保できるとともに、検知動作(例えば、近赤外光の投光および受光など)に要する電力を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
【0140】
なお、リミットスイッチ11は、戸尻5aと壁12との間の挟み込み防止以外の用途のために用いられてもよい。
【0141】
上述した実施形態および各変形例は、これらを適宜組み合わせてもよい。また、上述した構成以外にも種々の変形例を適用できる。例えば、設置環境情報(
図4のS43)が、モータ磁石の閾値以上の温度上昇や検知の死角がある旨を示す場合、補助側有効検知エリア41Aを開方向前方またはドア正面方向もしくはこれらの双方に拡大してもよい。また、設置環境情報が、海浜地帯、粉塵の多い場所などの制動力(例えば、ベルト式の場合のモータやベルトのテンション、自走式の場合のモータおよび戸車とレールとの間の摩擦力)が低下する環境を示す場合、補助側有効検知エリア41Aを拡大してもよい。また、戸尻5a側に進行する人の速度や大きさ(
図4のステップS44)に応じて、補助側有効検知エリア41Aを開方向前方またはドア正面方向もしくはこれらの双方に変化させてもよい。
【0142】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。