(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】包装スリーブ、包装体、および包装体の製作方法
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20220722BHJP
B65D 5/06 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/06 200
(21)【出願番号】P 2018551914
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2017055982
(87)【国際公開番号】W WO2017174304
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】102016003829.2
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー テクノロジー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SIG Technology AG
【住所又は居所原語表記】Laufengasse 18,CH-8212 Neuhausen am Rheinfall,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ダンマース
(72)【発明者】
【氏名】ビルギット ビルニンガー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ メーラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フェッテン
【審査官】永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05738272(US,A)
【文献】特開2012-051626(JP,A)
【文献】国際公開第2009/101029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体(15’)を製作するための複合材料製の包装スリーブ(10’)であって、
- 前面側部分面域(17A)と裏面側部分面域(17B)とから形成されたスリーブ面(17)と、
- 前記裏面側部分面域(17B)に配置された、全周の包装スリーブ(10’)を形成するために前記複合材料の2つの端部をつなぐ長手方向シーム(11)と、
- 前記スリーブ面(17)を通る2本の疑似折り目線(18)と、
を備え、
- 前記包装スリーブ(10’)は前記2本の疑似折り目線(18)に沿って折り畳まれ、
- 底面(8)およびゲーブル面(9)が前記包装スリーブ(10’)の両側に配置され、前記底面(8)および前記ゲーブル面(9)は何れの場合も2つの矩形面(8、12B)とゲーブル面(9、12G)と6つの三角形面(13)とを備える、
包装スリーブ(10’)において、
前記包装スリーブ(10’)は、前記前面側部分面域(17A)の領域に更なる折り目線を前記2本の疑似折り目線(18)の間に有さず、
湿気が前記複合材料に浸透することを防ぐため、前記長手方向シーム(11)の開放端の領域の前記複合材料が折り返されて剥がされることにより前記開放端は閉鎖されることを特徴とする、包装スリーブ(10’)。
【請求項2】
包装体(15”)を製作するための複合材料製の包装スリーブ(10”)であって、
- 前面側部分面域(17A’)と裏面側部分面域(17B’)とから形成されたスリーブ面(17’)と、
- 前記裏面側部分面域(17B’)に配置された、全周の包装スリーブ(10”)を形成するために前記複合材料の2つの端部をつなぐ長手方向シーム(11)と、
- 前記スリーブ面(17’)を通る2本の疑似折り目線(18)と、
を備え、
- 前記包装スリーブ(10”)は前記2本の疑似折り目線(18)に沿って折り畳まれ、
- 底面(8)およびゲーブル面(9)が前記包装スリーブ(10”)の両側に配置され、前記底面(8)および前記ゲーブル面(9)は何れの場合も2つの矩形面(8、12B)とゲーブル面(9,12G)と6つの三角形面(13)とを備える、
包装スリーブ(10”)において、
前記包装スリーブ(10”)は、前記前面側部分面域(17A’)の領域に連続する折り目線を前記2本の疑似折り目線(18)の間に有さず、
前記包装スリーブ(10”)の裏面側の前記ゲーブル面(9)は、前記包装スリーブ(10”)の前面側の前記ゲーブル面(12G)の長さ(L9max)より短い長さ(L9min)を有し、
湿気が前記複合材料に浸透することを防ぐため、前記長手方向シーム(11)の開放端の領域の前記複合材料が折り返されて剥がされることにより前記開放端は閉鎖されることを特徴とする、包装スリーブ(10”)。
【請求項3】
少なくとも一部の区間において中断および/または細分割された折り目線(2”、20、20’)が前記裏面側部分面域(17B’)に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の包装スリーブ(10”)。
【請求項4】
前記裏面側部分面域(17B’)に配置される前記
中断された折り目線
(2”)は折り目線断
端として形成され、前記折り目線断
端は前記包装スリーブ(10”)の底領域に、および/またはゲーブル領域に、配置可能であることを特徴とする、請求項3に記載の包装スリーブ(10”)。
【請求項5】
前記裏面側部分面域(17B’)に配置される前記
細分割された折り目線
(20、20’)は、互いにほぼ平行に延びる、細分割された折り目
線として形成されることを特徴とする、請求項
3または4に記載の包装スリーブ(10”)。
【請求項6】
前記包装スリーブ(10’、10”)は前記2本の疑似折り目線(18)に沿って何れの場合も約180°の角度で扁平に折り畳まれることを特徴とする、請求項1または請求項2~
5の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項7】
前記疑似折り目線(18)は前記底面(8)の3つの隣接する三角形面(13)の接点(SB)と前記ゲーブル面(9)の3つの隣接する三角形面(13)の接点(SG)とを通ることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項8】
前記包装スリーブ(10’)の裏面側の前記ゲーブル面(9)は、前記包装スリーブ(10’)の前面側の前記ゲーブル面(12G)の長さ(L9max)より短い長さ(L9min)を有することを特徴とする、請求項1に記載の包装スリーブ(10’)。
【請求項9】
前記包装スリーブ(10’、10”)の前面側は、少なくともいくつかの区間にわたって凸状に湾曲した前縁(19)によって前記スリーブ面(17A)に界接する前面側ゲーブル面(12G)を有することを特徴とする、請求項1~
8の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項10】
前記前面側ゲーブル面(12G)は凸状に湾曲したエンボス線(19’)を上縁領域に有することを特徴とする、請求項
9に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項11】
前記前面側ゲーブル面(12G)は脆弱ゾーン(S)を有することを特徴とする、請求項
9または10に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項12】
前記脆弱ゾーン(S)は、中心に配置されることを特徴とする、請求項
11に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項13】
前記疑似折り目線(18)は前記包装スリーブ(10’、10”)の外面に筋付けされることを特徴とする、請求項1~
12の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項14】
前記
中断された折り目線(2”)および/または細分割された折り目線
(20、20’)は前記包装スリーブ(10’、10”)の内面に筋付けされることを特徴とする、請求項
3~
5の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)。
【請求項15】
複合材料製の包装体(15’、15”)であって、
- 前記包装体(15’、15”)は、請求項1~
14の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)から製作され、
- 前記包装体(15’、15”)は、底面(8)の領域およびゲーブル面(9)の領域において閉鎖される、
包装体(15’、15”)において、
前記包装体(15’、15”)はスリーブ面(17)の領域に端縁を有さない、または連続した端縁を有さない、ことを特徴とする包装体(15’、15”)。
【請求項16】
複合材料製の包装体(15’、15”)であって、
- 前記包装体(15’、15”)は、請求項1~
14の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)から製作され、
- 前記包装体(15’、15”)は、底面(8)の領域およびゲーブル面(9)の領域において閉鎖される、
包装体(15’、15”)において、
前記包装体(15’、15”)は前面側スリーブ面(17A)の領域に端縁を有さない、または連続した端縁を有さない、ことを特徴とする包装体(15’、15”)。
【請求項17】
少なくともいくつかの区間にわたって中断および/または細分割された折り目線(2”、20、20’)が裏面側部分面域(17B’)に設けられることを特徴とする、請求項
15または
16に記載の包装体(15’、15”)。
【請求項18】
前記スリーブ面(17)の部分領域(17A、17B)は、前記疑似折り目線(18)に隣接し、且つ、互いに対して何れの場合も160°と200°の間の角度範囲内に配置されることを特徴とする、請求項
15~
17の何れか一項に記載の包装体(15’、15”)。
【請求項19】
前記スリーブ面(17)の前記部分領域(17A、17B)は、互いに対して何れの場合も170°と190°の間の角度範囲内に配置されることを特徴とする、請求項
18に記載の包装体(15’、15”)。
【請求項20】
前記包装体(15’、15”)の下方領域において前記底面(8)に付着される耳(14)によって特徴付けられる、請求項
15~
19の何れか一項に記載の包装体(15’、15”)。
【請求項21】
前記包装体(15’、15”)の上方領域において前記スリーブ面(17)に付着される耳(14)によって特徴付けられる、請求項
15~
20の何れか一項に記載の包装体(15’、15”)。
【請求項22】
複合材料製の包装スリーブ(10’、10”)から包装体(15’、15”)を製作する方法であって、
(a)請求項1~
14の何れか一項に記載の包装スリーブ(10’、10”)を供給するステップと、
(b)前記包装スリーブ(10’、10”)のスリーブ面(17)を両疑似折り目線(18)に沿って折り返すステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記スリーブ面(17)の部分領域(17A、17B)は、前記疑似折り目線(18)に隣接し、且つ、再び折り返された後、何れの場合も互いに対して160°と200°の間の角度範囲内にあることを特徴とする、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記スリーブ面(17)の前記部分領域(17A、17B)は、再び折り返された後、何れの場合も互いに対して170°と190°の間の角度範囲内にあることを特徴とする、請求項
23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体を製作するための複合材料製の包装スリーブであって、スリーブ面と、全周の包装スリーブを形成するために複合材料の2つの端縁をつなぐ長手方向シームと、スリーブ表面を通る2本の疑似折り目線とを備え、両疑似折り目線に沿って折り畳まれる包装スリーブに関する。
【0002】
本発明は、上記包装スリーブから製作された、底面の領域およびゲーブル面の領域で閉鎖される複合材料製の包装体にも関する。
【0003】
本発明は、最後に、複合材料製の包装スリーブから包装体を製作する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
包装体は、種々の方法で広範囲の材料から製作され得る。包装体製作のために広く採用される可能性がある一方法は、包装材からブランクを製作し、このブランクから折り畳みおよび更なる工程によって最初に包装スリーブが得られ、最後に包装体が得られ、この包装体が充填および閉鎖されると、包装体が形成されるという方法である。この種の製作は、とりわけ、ブランクおよび包装スリーブが極めて扁平であり、したがって積み重ねおよび輸送を省スペースで行えるという利点がある。これにより、ブランクおよび包装スリーブの製作を1つの場所で行い、包装スリーブの折り曲げおよび充填を別の場所で行える。材料としては、多くの場合、複合材料、例えば紙、厚紙、プラスチック、または金属、特にアルミニウム、のいくつかの薄層から成る複合材料が使用される。このような包装体は古くから公知であり、特に食品業界において広く使用されている。
【0005】
第1の製作工程は、多くの場合、折り畳みおよびシームの封着または接合、によってブランクから全周の包装スリーブを形成することにある。ブランクの折り畳みは、通常、エンボス加工された折り目線に沿って行われる。折り目線の位置は、この場合、包装スリーブから製作される包装体の端縁の位置に相当する。これは、完成した包装体が何れの場合も折り曲げられる箇所でのみ、ブランクおよび包装スリーブが折り曲げられるという利点を有する。包装スリーブから包装体を製作する方法は、例えば特許文献1(特に
図1A~
図1E)から公知である。この特許文献に記載の包装体は、断面積が矩形であり、形状が全体として直平行六面体である。
【0006】
矩形の断面積を有する包装体に加え、断面積の角の数が4つを超える包装体も公知である。特許文献2または特許文献3からは、例えば断面積が八角形の包装体が公知である。これら包装体の形状は、ブランクに設けられた追加の折り目線によって実現される。
【0007】
ただし、その後の包装体の端縁に沿って包装スリーブを折り曲げることによる一欠点は、角張った断面積を有する包装体しか製作できないという事実である。加えて、その断面積が包装体の鉛直方向に変化しない包装体しか製作できない。端縁の代わりの代替形状構成、例えば湾曲またはフリーフォーム形状など、は不可能である。
【0008】
包装スリーブ(「スリーブ」)およびこれから製作される包装体(「容器」)が特許文献4から公知である。そこに記載されている包装スリーブからは、その断面積が鉛直方向に変化する(ゲーブルおよび底の断面積が矩形で、その間の断面積に8つの角がある)包装体の製作が可能である。ただし、この包装体も角張った断面積のみを有する。端縁の代わりの代替形状構成、例えば湾曲またはフリーフォーム形状など、は特許文献4にも記載されていない。加えて、そこに記載されている包装スリーブは、複合材料製ではなく、厚紙または段ボールで構成されている。液体の充填のために、プラスチック材料製の内袋が提案されている。
【0009】
包装スリーブとこれから製作される包装体とが特許文献5にも記載されている。この特許文献では、板紙製の長い材料ストリップに最初に折り目線が設けられ、次にプラスチック層で被覆される(
図6)。長手方向シームの形成(
図7)後、矩形断面を有する管体を形成するために、材料ストリップは折り曲げられる(
図8)。次に、この管体の2つの側面が内側に折り畳まれ、これにより管体は扁平形状になる(
図9)。横方向に延びるシームが指定された間隔で形成され、これらに沿って管体を折り畳むことができ、ひいてはスタックが形成される(
図10)。横方向に延びる複数のシームの領域において管体を分離することによって、横方向に延びるシームによって片側で既に閉じられている個々の包装スリーブが得られる。この手順の一欠点は、包装スリーブは、管体からのその分離時に、6本の折り目線に沿って既に折り曲げられており、そのうちの4本の折り目線がその後の包装体の端縁を形成するという事実である。したがって、これら包装スリーブも矩形の断面積を有する包装体の製作にのみ適している。
【0010】
別の包装スリーブとこれから製作される包装体とが特許文献6に記載されている。ただし、この包装スリーブの場合も、多数の折り目線がスリーブ面の領域に設けられており、その一部がそれから製作される包装体のその後の端縁を形成する。したがって、これら包装スリーブも鉛直方向に不変の角張った断面積を有する包装体の製作にしか適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2015/003852(A9)号
【文献】欧州特許第0 936 150(B1)号
【文献】米国特許第6,042,527(A)号
【文献】欧州特許出願公開第0 027 350(A1)号
【文献】英国特許出願公開第808,223(A)号
【文献】国際公開第97/32787(A2)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この背景に対して、本発明の目的は、より複雑な形状の包装体の製作を可能にする、冒頭に記載し、上でより詳細に説明した包装スリーブを設計することである。
【0013】
この目的は、先ず第一に、包装スリーブはスリーブ面の領域に更なる折り目線を2本の疑似折り目線の間に有さないことで、請求項1の前提部分に記載の包装スリーブによって達成される。
【0014】
「スリーブ面」とは、包装スリーブのゲーブル領域のゲーブル面と底領域の底面との間に位置する面を意味する。したがって、スリーブ面は、従来の包装体における包装体の前面および裏面ならびに2つの側面を足した総体に相当する。
【0015】
この目的の一代替解決策は、包装スリーブがスリーブ面の領域に連続的な折り目線を2本の疑似折り目線の間に有さず、包装スリーブのもう一方の側には少なくとも1本の折り目線が少なくとも部分的に複数区間で中断されて、または分割されて、湾曲して、および/または不均一に、延在する、請求項2の前提部分に記載の包装スリーブによって達成される。これに関連して、「連続した」折り目線とは、スリーブ面を完全に、例えば底面からゲーブル面まで、縦断する折り目線を意味すると理解されたい。
【0016】
本発明の別の教示によると、第2の代替案により、裏面側部分面域に配置される折り目線は、折り目線断端として形成される。「折り目線断端」とは、底面および/またはゲーブル面のすぐ隣に配置された短い折り目線区間を意味すると理解されたい。これが有利であるのは、例えばマンドレル上での底領域の製作における、折り畳み、閉鎖、および封着時である。その理由は、ポケットまたはこれに類するものに起因する漏れが角部で発生し得ないからである。
【0017】
本発明の別の実施形態において、裏面側部分面域に配置される折り目線は、好ましくは互いにほぼ平行に延びる、分割された複数の折り目線として形成される。これにより、ほぼ矩形の横断面を有する従来の端縁領域を「解消」し、多角形の横断面に置き換えることができる。これは、特に、その中身が即時消費用に意図されている飲料用包装体の裏面側の場合、「角が取れた」または「面取りされた」包装体の裏面は、包装体を把持している指に極めて良好に適合するので、人間工学的な取り扱いを可能にする。
【0018】
本発明による包装スリーブは、両代替案において、複合材料で構成され、例えば飲料または他の液体食品のために適した、包装体の製作のために役立つ。特に、この包装スリーブは、紙、厚紙、プラスチック、および/または酸素障壁としての金属、特にアルミニウム、のいくつかの薄層から成る複合材料で構成可能である。包装スリーブは一体構成で形成されることが好ましい。包装スリーブは、連続した前面側スリーブ面を含む。この包装スリーブから製作される包装体の場合、このスリーブ面は、前方に向かってアーチ状に湾曲し、前面および2つの側面の部分の代わりとなる。
【0019】
この包装スリーブは、全周の包装スリーブを形成するために、複合材料の両側の2つの端部をつなぐ長手方向シームを更に含む。この長手方向シームによって、周方向に閉じられた管体状の包装スリーブが扁平な略矩形のブランクから製作され得る。長手方向シームの領域の複合材料は、ブランクの内端で折り返され、それ自体は公知の方法で「剥がされる」ことが好ましい。これにより、この領域の層の数が残りの領域より少なくなる。これにより、製品に露出される包装体の内縁も確実に閉鎖されるので、湿気が複合材料に浸透し得ない。
【0020】
包装スリーブは2つの開口部を有する。一方は底面の領域にあり、もう一方はゲーブル面の領域にある。長手方向シームは、例えば接着および/または溶着によって、形成可能である。長手方向シームにより、このような包装スリーブは、長手方向シームが封着された包装スリーブとも呼ばれる。
【0021】
本発明による包装スリーブは、スリーブ面を通る2本の「疑似折り目線」を更に有する。これら疑似折り目線は、従来の折り目線とも同様に、包装スリーブの折り畳みを容易にする。これら折り目線が「疑似折り目線」と呼ばれるのは、これら折り目線は、包装スリーブを扁平に折り畳むときにのみ使用され、充填される包装体を形成するための展開時に平らに折り戻されるからである。これら折り目線は、材料脆弱部によって形成され得る。この材料脆弱部は、複合材料の液密状態を維持するために、ミシン目ではなく、代わりに所謂「クリース」が使用される。クリースは、型押しまたは圧力工具によって複合材料にエンボス加工された、または筋付けされた、直線状の材料変位である。2本の疑似折り目線は直線状であり、互いに平行に延びる。包装スリーブは、両疑似折り目線に沿って折り畳まれる。
【0022】
したがって、本発明は、包装スリーブの折り畳みをこの包装スリーブから製作される包装体の端縁を形成する折り目線に沿って行わないという着想に基づく。したがって、包装スリーブは、包装体の前面、裏面、および2つの側面を互いから区切る折り目線で折り畳まれない。代わりに、実際の折り目線はスリーブ面の領域から完全に、または部分的に、省かれ、包装スリーブはこれら疑似折り目線に沿ってのみ折り畳まれる。ただし、これら疑似折り目線は、その後に包装体の端縁を形成しない。これにより、包装体形状の自由な構成が可能になり、特に実質的にあらゆる任意の横断面を有する包装体の製作が可能になる。特に、折り目線がなくアーチ状の表面を有する包装体の製作が可能である。
【0023】
包装スリーブの別の実施形態において、包装スリーブは両疑似折り目線に沿って何れの場合も約180°の角度で折り畳まれることによって、ブランクから形成されることが想定される。ほぼ180°の角度での折り畳みにより、特に扁平な包装スリーブが得られる。これにより、包装スリーブが互いに密に当接されるので、包装スリーブの積み重ねを省スペースで行え、容積の最適利用が可能になり、ひいては充填ユニットまでの輸送が可能になる。これにより、包装スリーブの製作は、完成した包装体の充填および製作とは別の場所で行える。包装スリーブは、両疑似折り目線に沿って外側に折り畳まれることが好ましい。
【0024】
包装スリーブの別の構成は、スリーブ面の両側に配置された底面およびゲーブル面によって特徴付けられる。包装体を直立させた場合、ゲーブル面はスリーブ面の上方に配置され、底面はスリーブ面の下に配置されることが好ましい。
【0025】
包装スリーブのこの形状構成に関して、底面およびゲーブル面は、何れの場合も、2つの矩形面またはゲーブル面と6つの三角形面とを含むことが更に提案される。矩形面およびゲーブル面ならびに三角形面は、折り目線によって取り囲まれ、これら折り目線に界接することが好ましい。矩形面は、包装体の底およびゲーブルを折り畳むために役立つ。三角形面は、過剰な複合材料を折り畳んで突出する「耳」を形成するために役立つ。耳は、その後、包装体の側面に付着される。
【0026】
この目的のために、疑似折り目線は、底面の3つの隣接する三角形面の接点とゲーブル面の3つの隣接する三角形面の接点とを通ることが更に提案される。疑似折り目線のこの配置は、疑似折り目線は、例えば「耳」を形成するために、何れの場合も折り畳まれる必要がある底面およびゲーブル面を1点において通るという利点がある。したがって、疑似折り目線に沿った包装スリーブの折り畳みは、「耳」の中心を通る折り目線の「折り癖付け」を予めもたらす。疑似折り目線のこの中心配置の更なる利点は、これら疑似折り目線が包装体の端縁領域の配置のためのスペースをできる限り小さく画定することである。底面および/またはゲーブル面の三角形面のうちの2つがほぼ同じサイズであることが想定され得る。あるいは、底面の、および/またはゲーブル面の、3つ全ての三角形面がそれぞれ異なるサイズを有することが想定され得る。
【0027】
本発明の別の教示によると、包装スリーブの裏面側のゲーブル面が包装スリーブの前面側のゲーブル面の長さより短い長さを有することが想定される。この配置は、包装体の前面の高さが包装体の裏面より低いことを意味する。したがって、包装体は、前方に傾いた傾斜上面を有する(「ゲーブルが傾いた包装体」)。
【0028】
本発明の別の実施形態において、包装スリーブの前面側は、前面側ゲーブル面を有する。前面側ゲーブル面は、少なくともいくつかの区間にわたって凸状に湾曲した前縁によってスリーブ面から区切られる。これにより、ブリッジシームによって裏面側に界接するゲーブル面は前方に向かって拡大され、ひいては相対的に大きな直径を有する注ぎ口要素の取り付けを可能にする。加えて、前面側ゲーブル面は、凸状に湾曲したエンボス線を上側コーナー領域に有することもできる。これにより、ゲーブル面は楕円に似た一様な形状を呈するので、その真ん中に注ぎ口要素を配置できる。この目的のために、脆弱ゾーン、例えば所謂「事前に薄片化された穴(独:ueberbeschichtetes Loch,英:prelaminated hole)」、が前面側ゲーブル面の中心に都合よく設けられる。
【0029】
包装スリーブの別の実施形態は、疑似折り目線が包装スリーブの外面に筋付けされ、包装スリーブの裏面側の折り目線が包装スリーブの内面に筋付けされることを想定している。これにより、個々のブランクに切断される前の複合材料製ストリップの筋付けまたはエンボス加工処理における製作がより簡素化される。また、筋付け方向とエンボス加工方向との組み合わせがもたらされ得る。
【0030】
上記の目的は、請求項1~14の何れか一項に記載の包装スリーブから製作された、底面の領域およびゲーブル面の領域において閉鎖される複合材料製の包装体によっても達成される。この包装体は、スリーブ面の領域に連続した直線状の折り目線がないことを特徴とする。
【0031】
包装体は上記の包装スリーブのうちの1つから製作されるので、この包装スリーブの多くの特性および利点がこの包装体にも存在する。特定の一利点は、この包装体は、2箇所で折り曲げられた包装スリーブから製作されているにも拘らず、そのスリーブ面の領域に角張った端縁がないという事実である。これは、包装体製作時に包装スリーブが2本の疑似折り目線に沿って「折り返される」ので、何れの場合も疑似折り目線に隣接するスリーブ面の部分領域は、再び変形されて互いにある程度一続きになることで実現される。したがって、疑似折り目線は包装体の端縁を形成せず、そのスリーブ面にその存在が僅かに見えるだけである。したがって、直線状の角張った端縁の代わりに、個々に形作られた、例えば湾曲した、スリーブ面を有する包装体が得られることになる。特に、包装体のスリーブ面の領域に折り目線が何もないことが想定される。包装体は、一体に形成されることが好ましい。特に、複合材料から製作された包装体の部分は、何れも場合も一体に形成されることが好ましい。包装体のこの部分は、更なる要素によって、例えば開口部、注ぎ口要素、および閉口要素(例えばヒンジ式フラップクロージャまたはネジ式キャップ)または飲用補助具(例えば飲用ストロー)によって、補完され得る。
【0032】
包装体の1つの実施形態において、疑似折り目線に隣接するスリーブ面の部分領域は、互いに対して何れの場合も160°と200°の間、特に170°と190°の間、の角度範囲内に配置されることが想定される。この形状構成の特定の一利点は、包装体に折り目線を有さず、したがって、その側面に角張った端縁を有さないという事実である。これは、包装体製作時に包装スリーブが2本の疑似折り目線に沿って「折り返される」ので、疑似折り目線に隣接するスリーブ面の部分領域がほぼ同じ平面に配置されるという事実によって実現される。
【0033】
包装体の別の実施形態は、包装体の下方領域において底面に付着される耳によって特徴付けられる。代わりに、または加えて、包装体は、包装体の上方領域においてスリーブの側面に付着される耳によって特徴付けられる。包装体の下方領域において、耳は底面に異なる方法で付着され得る。底の1つの変形例は、耳が、底に対してドームのように僅かにアーチ状に形成された、底の矩形面の下に折り畳まれて、そこに固着されることを想定している。ただし、底の別の変形例は、内向きの耳を想定している。これらの耳は、その後に折り畳まれた底の矩形面の上方に配置される。第1の変形例は、充填された包装体の固有重量によって耳が包装体に確実に押し付けられるという利点があり、第2の変形例は特に滑らかな直立用の面を底にもたらす。スリーブ側面への上側の耳の配置は、注ぎ口要素を包装体の上面に配置できるという利点がある。
【0034】
冒頭に記載の目的は、複合材料製の包装スリーブから包装体を製作する方法によっても達成される。これに関連して、本方法は、
- 請求項1~14の何れか一項に記載の包装スリーブを供給するステップと、
- 包装スリーブのスリーブ面を両疑似折り目線に沿って折り返すステップと、
を少なくとも含む。
【0035】
本方法は、加えて、
- 包装スリーブを底面の領域において封着するステップと、
- 注ぎ口要素を必要に応じて取り付けるステップと、
- 包装体に充填するステップと、
- 包装スリーブをゲーブル面の領域において封着するステップと、
を更に含み得る。
【0036】
上記のように、本方法は、包装スリーブから製作される包装体の端縁がこの包装スリーブの疑似折り目線によって形成されない包装体を製作するという着想に基づく。これを可能にするのは、疑似折り目線に沿って折り畳まれた包装スリーブが「折り返され」、それによって疑似折り目線に沿った折り曲げが取り消されるという事実である。したがって、包装スリーブに設けられた疑似折り目線は包装体の端縁を形成しない。これにより、より複雑な形状の包装体の製作が可能になる。
【0037】
本方法の別の実施形態によると、疑似折り目線に隣接するスリーブ面の両部分領域は、折り返し後、何れの場合も160°と200°の間、特に170°と190°の間、の角度範囲内に再びあることが最終的に提案される。したがって、スリーブ面の部分領域は、スリーブ面がスリーブ面の部分領域間にほぼ一続きの移行部を有するまで、疑似折り目線に沿って折り返される必要がある。
【0038】
以下においては、単に好適な一例示的実施形態の助けを借りて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】包装スリーブを折り畳むための従来技術から公知のブランクである。
【
図1B】
図1Aに示されているブランクから形成された従来技術から公知の包装スリーブの扁平に折り畳まれた状態である。
【
図1D】底面およびゲーブル面に折り癖が付けられた
図1Cの包装スリーブである。
【
図1E】
図1Aに示されているブランクから形成された、溶着後の、従来技術から公知の包装体である。
【
図2A】本発明による包装スリーブの第1の実施形態を製作するためのブランクである。
【
図2B】
図2Aに示されているブランクから形成された包装スリーブの正面図である。
【
図2E】底面およびゲーブル面に外向きの折り癖が付けられた
図2Dの包装スリーブの背面斜視図である。
【
図2F】
図2Eに示されている包装スリーブから形成されて開口、注出、および閉口要素が取り付けられた本発明による包装体の第1の実施形態の閉鎖後の正面斜視図である。
【
図2G】上側の耳が付着され、下側の耳が折り込まれた
図2Fの包装体である。
【
図2Ea】底面に内向きの折り癖が付けられ、ゲーブル面に外向きの折り癖が付けられた、
図2の包装スリーブの背面斜視図である。
【
図2Fa】
図2Eaに示されている包装スリーブから形成されて開口、注出、および閉口要素が取り付けられた本発明による包装体の別の実施形態の閉鎖後の正面斜視図である。
【
図2Ga】上側の耳が付着され、下側のフィンシームが付着された
図2Faの包装体である。
【
図3A】本発明による包装スリーブの第2の実施形態を製作するためのブランクである。
【
図3B】
図3Aに示されているブランクから形成された包装スリーブの正面図である。
【
図3E】底面およびゲーブル面に外向きの折り癖が付けられた
図3Dの包装スリーブの背面斜視図である。
【
図3F】
図3Eに示されている包装スリーブから形成されて開口、注出、および閉口要素が取り付けられた本発明による包装体の第1の実施形態の閉鎖後の正面斜視図である。
【
図3G】上側の耳が付着され、下側の耳が折り込まれた
図3Fの包装体である。
【
図3Ea】底面に内向きの折り癖が付けられ、ゲーブル面に外向きの折り癖が付けられた、
図3Dの包装スリーブの背面斜視図である。
【
図3Fa】
図3Eaに示されている包装スリーブから形成されて開口、注出、および閉口要素が取り付けられた本発明による包装体の別の実施形態の閉鎖後の正面斜視図である。
【
図3Ga】上側の耳が付着され、下側のフィンシームが付着された
図3Faの包装体である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1Aには、包装スリーブを形成可能な従来技術から公知のブランク1が示されている。ブランク1は、異種材料、例えば紙、厚紙、プラスチック、または金属、特にアルミニウム、の層をいくつか含み得る。ブランク1は、いくつかの折り目線2を有する。これら折り目線2は、ブランク1の折り曲げを容易にするためであり、ブランク1をいくつかの面に細分割する。ブランク1は、第1側面3、第2側面4、前面5、裏面6、封着面7、底面8、およびゲーブル面9に細分割され得る。ブランク1から包装スリーブが形成され得る。このとき、封着面7が前面5に接合、特に溶着、され得るように、ブランク1は折り畳まれる。
【0041】
図1Bは、従来技術から公知の包装スリーブ10の扁平に折り畳まれた状態を示す。
図1Bでは、
図1Aに関して既に説明した包装スリーブの領域には、対応する参照符号が付けられている。包装スリーブ10は、
図1Aに示されているブランク1から形成される。この目的のために、ブランク1は、封着面7と前面5とが重なり合って配置されるように折り畳まれるので、この2つの面を互いに扁平に溶着できる。その結果、長手方向シーム11が形成される。
図1Bには、扁平に折り合わされた状態の包装スリーブ10が示されている。この状態において、一方の側面4(
図1Bでは隠れている)は前面5の下に位置し、もう一方の側面3は裏面6(
図1Bでは隠れている)の上に位置している。扁平に折り合わされた状態では、複数の包装スリーブ10の積み重ねおよび輸送を特に省スペースで行える。したがって、包装スリーブ10は、多くの場合、製作現場で積み重ねられ、積み重ねられた状態で充填現場に輸送される。これら包装スリーブ10は、製品、例えば飲料、を充填できるように、充填現場において初めて個々に分離されて展開される。
【0042】
図1Cには、
図1Bの包装スリーブ10が展開された状態で示されている。ここでも、
図1Aまたは
図1Bに関して既に説明した包装スリーブ10の領域に、対応する参照符号が付けられている。展開された状態とは、それぞれ隣接する2つの面3、4、5、6の間に約90°の角度が形成され、これら面の形状に応じて、包装スリーブ10が正方形または矩形の断面を有する構成を意味すると理解されたい。これに対応して、対向する側面3、4は互いに平行に配置される。同じことは、前面5および裏面6にも当てはまる。
【0043】
図1Dは、折り癖が付けられた状態の、すなわち底面8の領域において、更にはゲーブル面9の領域において、折り目線2に折り癖が付けられた状態の、
図1Cの包装スリーブ10を示す。前面5および裏面6に隣接する底面8およびゲーブル面9の領域は、矩形面12とも呼ばれる。矩形面12は折り癖が付けられるときに内向きに折り曲げられ、その後に包装体の底およびゲーブルを形成する。他方、側面3、4に隣接する底面8およびゲーブル面9の領域は、三角形面13と呼ばれる。三角形面13は、折り癖が付けられるときに外向きに折り曲げられ、余剰材料の突出領域を形成する。この突出領域は、「耳」14とも呼ばれ、以降の製作工程で、例えば接合処理によって、包装体側面に付着され得る。
【0044】
図1Eは、
図1Aに示されているブランクから形成された、従来技術から公知の包装体15を示す。封着後の、すなわち充填および閉鎖後の状態の、包装体15が示されている。底面8の領域およびゲーブル面9の領域には、閉鎖後にフィンシーム16が形成される。
図1Eには、突出する耳14およびフィンシーム16が示されている。耳14ならびにフィンシーム16は以降の製作工程において、例えば接合手法によって、付着される。これに関連して、耳14のみが封着可能であり、これにより、フィンシーム16は必然的に側面側に変位される。
【0045】
図1Fは、耳14が付着された
図1Eの包装体15を示す。加えて、フィンシーム16も包装体15に付着されている。ゲーブル面9の領域に配置されている上側の耳14は下方に折り曲げられ、2つの側面3、4に扁平に付着されている。上側の耳14は、2つの側面3、4に接合または溶着されることが好ましい。底面の領域に配置されている下側の耳14も折り込まれている。ただし、下側の耳14は、底面8の2つの矩形面12によって形成された、包装体15のドーム形の湾曲した下面に扁平に付着されている。下側の耳14も、包装体15に、特に矩形面12に、接合または封着されることが好ましい。
【0046】
図2Aは、本発明による包装スリーブの好適な一例示的実施形態の第1の構成を製作するためのブランク1’を示す。
図2Aでは、
図1A~
図1Fに関して既に説明したブランクの領域に、対応する参照符号が付けられている。ブランク1’の底面8およびゲーブル面9は、
図1Aのブランク1から変更されていない。
【0047】
ただし、第1の違いは、単一のスリーブ面17を形成するために、2つの側面3、4、前面5、および裏面6が組み合わされているという事実である。スリーブ面17は、封着面7を除いて、ブランク1’の全幅にわたって延在する。
【0048】
第2の違いは、ブランク1’は2本の疑似折り目線18をスリーブ面17の領域に有するという事実である。2本の疑似折り目線18は互いに平行に延び、底面8の3つの隣接する三角形面13の接点SBとゲーブル面9の3つの隣接する三角形面13の接点SGとを通る。スリーブ面17は、疑似折り目線18によって、1つの内側部分面域17Aと2つの外側部分面域17Bとに細分割されている。内側部分面域17Aは両疑似折り目線18の間に位置し、外側部分面域17Bは2本の疑似折り目線18の外側に位置する。
【0049】
更なる違いは、ゲーブル面9の形状である。底面8の長さL8はブランク1’の全幅にわたって一定であるが、ゲーブル面9の長さは複数の異なる値を取る。スリーブ面17の外側部分領域17Bに隣接するゲーブル面9は、縮小された長さL9minを有する。他方、スリーブ面17の内側部分領域17Aに隣接するゲーブル面9は、増大された長さL9maxを有する。この形状構成は、内側部分領域17Aの高さが外側部分領域17Bより低いことを意味する。製作される包装体のために、前方に傾いた傾斜面が形成される。
【0050】
好適な図示の例示的実施形態における前面側ゲーブル面は、
図1Dによる公知の包装スリーブのゲーブル領域における矩形面12の代わりに、少なくともいくつかの区間にわたって凸状に湾曲した前縁19を有するゲーブル面12Gから形成される。ゲーブル面12Gの上側コーナー領域に、2つの湾曲したエンボス線19’を認識できる。これらエンボス線19’は、楕円に似た優美な形状をゲーブル面12Gにもたらす。円形の脆弱線Sがこのゲーブル面12G内の中心に示されている。これに関連して、脆弱線Sは、所謂「事前に薄片化された穴」を形成するために、支持材に設けられた円形凹部であり、複合材料の残りのプラスチック層、場合によっては更にアルミニウム層、が張られていることが好ましい。その直径は、脆弱線の周囲に貼り付けられる注ぎ口要素の切断要素のサイズに合わせることも、または飲用ストローの挿入を可能にするために相対的に小さく形成することも可能である。
【0051】
底面8は2つのコーナー点E8を有し、ゲーブル面9は2つのコーナー点E9を有する。コーナー点E8、E9は、ブランク1’から製作される包装体のコーナー点を形成する。底面8の各コーナー点E8に、ゲーブル面9の対応するコーナー点E9が対応付けられる。包装体の直立時、このコーナー点E8の上方にコーナー点E9がそれぞれ配置される。折り目線2’が何れの場合も2つの対応するコーナー点E8、E9を通る。前記折り目線は、製作される包装体の裏面側の(鉛直に延びる)端縁の形成に役立つ。ただし、
図2Aに示されているブランク1’には、ならびにこれから製作される包装スリーブには、およびこれから製作される包装体には、連続する折り目線2’が2本のみ存在する。本発明の第1の教示によると、底面8のその他のコーナー点とゲーブル面9の対応するコーナー点との間には、すなわち前面側のスリーブ面17Aには、折り目線が設けられない。
【0052】
図2Bは、
図2Aに示されているブランク1’から形成された、本発明による包装スリーブ10’の第1の構成を正面図で示す。
図2Bでは、
図1A~
図2Aに関して既に説明した包装スリーブ10の領域に、対応する参照符号が付けられている。包装スリーブ10’は、ブランク1’から2工程で形成される。最初にブランク1’は2本の疑似折り目線18に沿って折り畳まれる。次に、スリーブ面17の2つの部分領域17A、17Bが封着面7の領域において互いに接合、特に溶着、される。これにより、長手方向シーム11(
図2Bでは隠れている)が形成される。したがって、包装スリーブ1’は、底面8の領域の開口部とゲーブル面9の領域の開口部とを有する、周方向に閉じられた周囲構造を有する。この正面図には、両疑似折り目線18に両側で界接するスリーブ面17の内側部分領域17Aが見える。スリーブ表面17の残りの部分領域17Bは、包装スリーブ10’の裏面に隠れており、したがって
図2Bでは隠れている。
【0053】
図2Cには、
図2Bの包装スリーブ1’が背面図で示されている。
図2Cでは、
図1A~
図2Bに関して既に説明した包装スリーブの領域に、対応する参照符号が付けられている。この背面図には、長手方向シーム11によって互いに接合され、両疑似折り目線18に両側で界接するスリーブ面17の2つの外側部分領域17Bが見える。スリーブ面17の前面側部分領域17Aは、包装スリーブ10’の前面側に隠れており、したがって
図2Cでは隠れている。
【0054】
図2Dは、
図2Bおよび
図2Cの包装スリーブ1’の展開された状態を示す。
図2Dでは、
図1A~
図2Cに関して既に説明した包装スリーブの領域に、対応する参照符号が付けられている。展開された状態は、スリーブ面17を通る疑似折り目線18に沿って包装スリーブ1’を折り返すことによって実現される。この折り返しは、約180°の角度で行われる。疑似折り目線18に沿ったこの折り返しは、疑似折り目線18に隣接するスリーブ面17の2つの部分領域17A、17Bがもはや互いに扁平に接しておらず、同じ平面に配置されるという結果をもたらす。したがって、包装スリーブ10’はその扁平状態においてのみ疑似折り目線18に沿って折り畳まれている(
図2B、
図2C)。他方、展開された状態(
図2D)では、包装スリーブ10’は(それから製作される包装体と同様に)疑似折り目線18に沿ってもはや折り曲げられていない。したがって、「疑似」折り目線18と表現される。
【0055】
図2Eには、底面およびゲーブル面に折り癖が付けられた
図2Dの包装スリーブ10’が示されている。
図2Eでは、
図1A~
図2Dに関して既に説明した包装スリーブの領域に、対応する参照符号が付けられている。折り癖が付けられた状態とは、(
図1Dのように)底面8の領域およびゲーブル面9の領域の折り目線2に折り癖が付けられた状態を意味する。折り癖が付けられるときに矩形面12は内向きに折り曲げられ、その後に包装体の底およびゲーブルを形成する。折り癖が付けられるときに三角形面13は外向きに折り曲げられて余剰材料の突出領域を形成する。突出領域は「耳」14と呼ばれ、以降の製作工程において包装体の側面に、例えば接合手法によって、付着される。
【0056】
図2Fは、
図2Bに示されている包装スリーブ10’から形成された、溶着後の、本発明による包装体15’の第1の構成を示す。
図2Eでは、
図1A~
図2Eに関して既に説明した包装体の領域に、対応する参照符号が付けられている。溶着後の、すなわち充填および閉鎖後の状態の、包装体15’が示されている。スリーブ面17の内側部分領域17Aに隣接するゲーブル面9の面の増大された長さL9max、ならびにスリーブ面17の外側部分領域17Bに隣接するゲーブル面9の領域の縮小された長さL9minのため、拡大されたゲーブル面が形成される。このゲーブル面において、包装体15’に注ぎ口要素AEが設けられる。注ぎ口要素AEは、前方に向かってアーチ状に湾曲した前縁19にほぼ達するまで延在する。閉鎖後、底面8の領域およびゲーブル面9の領域に、フィンシーム16が形成される。
図2Fには、突出する耳14およびフィンシーム16が示されている。耳14およびフィンシーム16はどちらも、以降の製作工程において、例えば接合手法によって、貼り付けられる。
【0057】
図2Gには、耳14が付着された
図2Fの包装体15’が示されている。
図2Gでは、
図1A~
図2Fに関して既に説明した包装体の領域に、対応する参照符号が付けられている。耳14に加え、フィンシーム16も包装体15’に付着されている。ゲーブル面9の領域に配置された上側の耳14は、下方に折り曲げられてスリーブ面17に扁平に押し付けられる。上側の耳14は、スリーブ面17に接合または溶着されることが好ましい。底面8の領域に配置された下側の耳14も同様に下方に折り曲げられる。ただし、下側の耳14は、底面8の2つの矩形面12によって形成された包装体15’の下面に扁平に付着される。下側の耳14も包装体15’に、特に矩形面12に、接合または溶着されることが好ましい。ただし、
図2Gに示されている包装体15’には、前面側スリーブ面17Aの領域に端縁が何もない。本発明による前方に向かってアーチ状に湾曲した包装体の前面は、包装体の平面Xによって示されている右側の水平断面においてはっきりと認識可能である。包装体の裏面側端縁における直線状の包装体端縁2’は、下側コーナー点E8から上側コーナー点E9まで延在する。
【0058】
図2Eaも、底面およびゲーブル面に折り癖が付けられた
図2Dの包装スリーブ10’を示す。したがって、ここでも対応する参照符号が使用されている。
図2Eとの違いは、下側の三角形面13が外向きに折り曲げられず、代わりに内側に折り曲げられていることである。
【0059】
図2Faも、
図2Bに示されている包装スリーブ10’から形成された、封着後の、および充填および閉鎖後の状態の、本発明による包装体15’の第1の構成を示す。したがって、ここでも対応する参照符号が使用されている。
図2Fとの違いは、三角形面13が溶着前に外向きに折り曲げられておらず、代わりに内向きに折り曲げられている点である。したがって、下側の「耳」14は外方に突出せず、内側に延在する。これにより、より短いフィンシーム16がもたらされる。
【0060】
図2Gaには、上側の耳14が付着され、上側のフィンシーム16も付着された、
図2Faの包装体15’が示されている。したがって、ここでも対応する参照符号が使用されている。下側のフィンシーム16は折り込まれ、底面8の2つの矩形面12Bによって形成された包装体15’の下面に付着されている。フィンシーム16は、包装体15’に、特に矩形面12Bに、接合または溶着されることが好ましい。
図2Gとの違いは、包装体15’の底の構造にある。
図2Gでは、耳14が矩形面12Bの下に配置されているので、下側から見える。他方、
図2Gaでは、矩形面12が耳14の下に配置されているので、下側から見える。
【0061】
図3Aは、本発明による包装スリーブの第2の構成を製作するためのブランク1”を示す。
図3Aのブランク1”は、前面側領域が
図2Aのブランク1’に相当する。したがって、ここでも対応する参照符号が使用されている。ブランク1”も、2本の疑似折り目線18をスリーブ面17の領域に有する。加えて、疑似折り目線18は、底面8の3つの隣接する三角形面13の接点SBとゲーブル面9の3つの隣接する三角形面13の接点SGとを通る。スリーブ面17’は、疑似折り目線18によって、1つの内側部分領域17A’と2つの外側部分領域17B’とに細分割されている。内側部分領域17A’は、両疑似折り目線18の間に位置し、外側部分領域17B’は、2本の疑似折り目線18の外側に位置する。
【0062】
ここでは、第1の例示的実施形態の連続する裏面側折り目線の代わりに、連続する折り目線がスリーブ面17B’に存在せず、相対的に短い折り目線断端2”がコーナー点E9の下およびコーナー点E8の上に互いに隣接して存在し、これら断端2”の間に、(小さな中断の後に)何れの場合も2本に細分割された折り目線20および折り目線20’が互いに平行に延びる。これらは、折り目線断端2”の直前の短い湾曲部の上および下で互いに接近する。
【0063】
また、スリーブ面17’の内側部分領域17A’の下方には、相対的に短い折り目線断端2”がコーナー点E8の上に存在する。これら断端2”は、包装体がマンドレル上で製作される場合に、包装体の全体的な印象を著しく変えずに、底部の特に良好な封着を保証する。
【0064】
図3Bには、
図3Aに示されているブランク1”から形成された本発明による包装スリーブ10”の第2の構成が正面図で示されている。
図3Bの包装スリーブ10”は
図2Bの包装スリーブ10’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。違いは、スリーブ面17’の前面側部分領域17A’の下方に設けられた、コーナー点E8の上にある上記の折り目線断端2”にある。
【0065】
図3Cは、
図3Bの包装スリーブ10”を背面図で示す。
図3Cの包装スリーブ10”は
図2Cの包装スリーブ10’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。ここでも、スリーブ面17’の外側部分領域17B’に設けられた、コーナー点E9の下およびコーナー点E8の上の互いに隣接する折り目線断端2”ならびにこれらの間に延在する細分割された折り目線20および折り目線20’が著しい違いを形成している。
【0066】
図3Dには、
図3Bおよび
図3Cの包装スリーブ10”が展開された状態で示されている。
図3Dの包装スリーブ10”は
図2Dの包装スリーブ10’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。ただし、細分割された折り目線20および折り目線20’の故に包装スリーブの裏面側の完全に異なる形状構成のための違いもはっきりと認識可能である。
【0067】
図3Eは、底面およびゲーブル面に折り癖が付けられた
図3Dの包装スリーブ10”を示す。
図3Eの包装スリーブ10”は
図2Eの包装スリーブ10’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。ただし、包装体の裏面側端縁の「解消」は、特に背後からの図にはっきりと見える。
【0068】
図3Fには、
図3Bに示されている包装スリーブ10”から形成された、溶着後の、しかし下側および上側の耳14が依然として側方に突出している、本発明による包装体15”の第2の構成が示されている。
図3Fの包装体15”は
図2Fの包装体15’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。ここでも、包装体のゲーブル面に注ぎ口要素AEが設けられている。注ぎ口要素AEは、前方に向かってアーチ状に湾曲した前縁19までほぼ延在する。ただし、裏面側包装体領域の異なる形状構成は、前方からの図では殆ど認識できない。
【0069】
最後に、
図3Gは、耳14が付着された
図3Fの包装体15”を示す。
図3Gの包装体15”は
図2Gの包装体15’にほぼ相当するので、ここでも対応する参照符号が使用されている。この場合も、細分割された折り目線20および折り目線20’による裏面側の「包装体端縁」における「くびれ」は、前からの図では殆ど認識できない。
【0070】
図3Ea、
図3Faおよび
図3Gaならびに断面Xも、底面およびゲーブル面に折り癖が付けられた
図3Dの包装スリーブ10”を示す。下側の三角形面13によって形成された耳14は外向きではなく、内向きに折り畳まれている。したがって、この場合も、対応する参照符号が使用されている。断面Xでも、包装体の前方に向かってアーチ状に湾曲した前壁がはっきりと認識可能である。断面Xでは、裏面側の「包装体端縁」において約45°に曲げられた面にわたる折り目線20および折り目線20’に加え、包装体の内側に内向きに折り畳まれた耳もはっきりと認識可能である。
【符号の説明】
【0071】
1、1’、1” ブランク
2、2’ 折り目線
2” 折り目線断端
3、4 側面
5 前面
6 裏面
7 封着面
8 底面
9 ゲーブル面
10、10’、10” 包装スリーブ
11 長手方向シーム
12B 矩形面
12G ゲーブル面
13 三角形面
14 耳
15、15’、15” 包装体
16 フィンシーム
17、17’ スリーブ面
17A、17A’、17B、17B’ (スリーブ面17の)部分領域
18 疑似折り目線
19、19’ (前面側ゲーブル面12の)前縁、エンボス線
20、20’ 折り目線
AE 注ぎ口要素
E8 (底面8の)コーナー点
E9 (ゲーブル面9の)コーナー点
S 脆弱線
SB (底面8の三角形面13の)接点
SG (ゲーブル面9の三角形面13の)接点