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特許7109379フレクシャ製造に使用するプロセスクーポン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】フレクシャ製造に使用するプロセスクーポン
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20220722BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20220722BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/60 P
H05K3/00 X
H05K3/00 V
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018560567
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017033410
(87)【国際公開番号】W WO2017201339
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】62/338,118
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/598,909
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,カート シー.
(72)【発明者】
【氏名】ボードロー,ブライアン ディー.
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018984(JP,A)
【文献】特開2007-317873(JP,A)
【文献】特表2015-518229(JP,A)
【文献】特開2007-234826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/21
G11B 5/60
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレクシャを製造する方法であって、
フレクシャの製造に使用する組立シートに含まれるクーポンの少なくとも1つの形体にテストを実施し、前記少なくとも1つの形体はフレクシャの部分の作製に使用する製造プロセスステップによって作製されるものであり、前記形体の物理的特徴には前記部分の物理的特徴とは異なる少なくとも1つの物理的特徴を含む、ステップと、
テストが実施された前記クーポンの前記少なくとも1つの形体に基づいて、前記製造プロセスステップがフレクシャの異常な部分を作製するかを判定するステップと、
前記製造プロセスステップを調整するステップと、
調整した前記製造プロセスステップを用いてフレクシャの部分を製造するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記物理的特徴は、サイズ、高さ、厚さ、幅、直径、導電性、抵抗、反射性、接着性、側部スロープ、及び色の少なくとも1つに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テストは、前記少なくとも1つの形体のサイズ、高さ、厚さ、幅、直径、導電性、抵抗、反射性、接着性、側部スロープ、及び色の少なくとも1つを測定するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記テストは、ビジョンテスト、電気テスト、分光法テスト、及び白色干渉計テストの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの形体は、種々のサイズの、複数の円形ドット、複数の円形孔、複数の水平矩形部、複数の水平矩形溝部、複数の鉛直矩形部、複数の鉛直矩形溝部、位置合わせ層、星パターン、複数のグランド形体、及びらせん状導体の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの形体は、一連の種々の寸法を有する同様の一式の形体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記同様の一式の形体は、一式の孔、一連の種々の直径を有する一式のドット、一連の種々の幅を有する一式の水平矩形部、一連の種々の幅を有する一式の水平矩形溝部、一連の種々の幅を有する一式の鉛直矩形部、及び一連の種々の幅を有する一式の鉛直矩形溝部の少なくとも1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記製造プロセスステップは、誘電層を塗布すること、導電層を塗布すること、バッキング層を塗布すること、ベース層をエッチングすること、誘電層をエッチングすること、導電層をエッチングすること、及びバッキング層をエッチングすることの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記テストは、誘電層を塗布すること、導電層を塗布すること、バッキング層を塗布すること、ベース層をエッチングすること、誘電層をエッチングすること、導電層をエッチングすること、及びバッキング層をエッチングすることである製造ステップの少なくとも1つの前又は後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記製造プロセスステップを調整することは、コンベア速度の調整、マニフォルド圧力の調整、化学濃度の調整、化学温度の調整、焼成温度の調整、及び硬化温度の調整の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記クーポンは、前記組立シートの境界部、フレクシャの列の間、フレクシャのカラムの間、及び前記組立シートのキャリアストリップの少なくとも1つの近位に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
フレクシャを含む少なくとも1つの第1区域およびクーポンを含む少なくとも1つの第2区域を含む組立シートに位置するクーポンであって
前記組立シートの前記少なくとも1つの第2区域に形成された少なくとも1つの第1形体と、前記組立シートに形成された少なくとも1つの第2形体とを含み、
前記少なくとも1つの第1形体は、前記フレクシャの形成された部分と共有された物理的特徴含み、前記フレクシャの形成された前記部分が異常であるか否かを示すようテストされるよう構成され、
前記少なくとも1つの第2形体は、前記フレクシャの前記部分の物理的特徴とは異なる物理的特徴を含む、クーポン。
【請求項13】
前記共有された物理的特徴は、サイズ、高さ、厚さ、幅、直径、導電性、抵抗、反射性、接着性、側部スロープ、及び色の少なくとも1つに関連する、請求項12に記載のクーポン。
【請求項14】
前記フレクシャの前記部分の物理的特徴とは異なる物理的特徴は、前記少なくとも1つの形体のサイズ、高さ、厚さ、幅、直径、導電性、抵抗、反射性、接着性、側部スロープ、及び色の少なくとも1つを含む、請求項12に記載のクーポン。
【請求項15】
前記共有された物理的特徴は、ビジョンテスト、電気テスト、分光法テスト、及び白色干渉計テストの少なくとも1つを用いてテストされるよう構成される、請求項12に記載のクーポン。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2形体は、種々のサイズの、複数の円形ドット、複数の円形孔、複数の水平矩形部、複数の水平矩形溝部、複数の鉛直矩形部、複数の鉛直矩形溝部、位置合わせ層、星パターン、複数のグランド形体、及びらせん状導体の少なくとも1つを含む、請求項12に記載のクーポン。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第2形体は、一連の種々の寸法を有する同様の一式の形体を含む、請求項12に記載のクーポン。
【請求項18】
前記同様の一式の形体は、一式の孔、一連の種々の直径を有する一式のドット、一連の種々の幅を有する一式の水平矩形部、一連の種々の幅を有する一式の水平矩形溝部、一連の種々の幅を有する一式の鉛直矩形部、及び一連の種々の幅を有する一式の鉛直矩形溝部の少なくとも1つである、請求項17に記載のクーポン。
【請求項19】
前記組立シートに形成された前記少なくとも1つの第1形体は、誘電層を塗布すること、導電層を塗布すること、バッキング層を塗布すること、ベース層をエッチングすること、誘電層をエッチングすること、導電層をエッチングすること、及びバッキング層をエッチングすることの少なくとも1つを用いる、請求項12に記載のクーポン。
【請求項20】
前記クーポンが位置する前記少なくとも1つの第2区域は、前記組立シートの境界部、フレクシャの列の間、フレクシャのカラムの間、及び前記組立シートのキャリアストリップの少なくとも1つの近位である、請求項12に記載のクーポン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年5月18日に出願の米国特許出願第15/598,909号の優先権を主張し、さらに2016年5月18日に出願の米国仮特許出願第62/338,118号の優先権を主張し、そのそれぞれの全体が言及によって本明細書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明の実施形態は一般に製造技術に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、フレクシャの製造におけるクーポンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、フレクシャは、ばね金属ベース層(例えばステンレス鋼(「SST」))、該ベース層とは絶縁層(例えば誘電体)によって分離されているベース層の一方側の導電トレース層(例えば銅(Cu))からなる。導電層のすべて又は部分に絶縁カバーコートを塗布することができる。金(Au)及び/又はニッケル(Ni)などの耐食性金属をトレース層の部分にめっきするか、又は塗布して耐食性を与えることができる。フォトリソグラフィ(例えばパターン状及び/又は非パターン状フォトレジストマスクの使用)に関するウェットエッチング(例えば化学的)及びドライエッチング(例えばプラズマ)、電解めっき及び無電解めっき、並びにスパッタリング処理などの従来のアディティブ堆積法及び/又はサブトラクティブ法が本開示の実施形態におけるフレクシャの製造に使用可能である。「形成する」という用語は、1つ以上のこれらの処理を記載するために本願において使用され得る。さらに、機械的方法(例えばパンチや曲げを用いる)も本開示の実施形態におけるフレクシャの製造に使用可能である。
【0004】
これらのタイプのアディティブ法及びサブトラクティブ法は、例えば、ディスクドライブへッドサスペンションの製造に関して既知であって使用されるものであるとともに、以下の米国特許文献において概ね公開されており、これらのすべてが言及によってあらゆる目的のために本明細書に援用される。該米国特許文献とは、Bennin等による、「デュアルステージアクチュエーションディスクドライブサスペンション用低抵抗グランドジョイント(Low Resistance Ground Joints for Dual Stage Actuation Disk DriveSuspensions)」という名称の特許文献1、Rice等による、「複数トレース構造を備えた一体型リードサスペンション(Integrated Lead Suspension with Multiple Trace Configurations)」という名称の特許文献2、Hentges等による、「一体型リードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-Layer Ground Plane Structures for Integrated Lead Suspensions)」という名称の特許文献3、Hentges等による、「一体型リードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-Layer Ground Plane Structures for Integrated Lead Suspensions))という名称の特許文献4、Swanson等による、「サスペンション組立体用貴金属導電リード製造方法(Method for Making Noble Metal Conductive Leads for SuspensionAssemblies)」という名称の特許文献5、Peltoma等による、「一体型リードサスペンションのめっきグランド形体(Plated Ground Features for Integrated Lead Suspensions)」という名称の特許文献6である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,885,299号明細書
【文献】米国特許第8,169,746号明細書
【文献】米国特許第8,144,430号明細書
【文献】米国特許第7,929,252号明細書
【文献】米国特許第7,388,733号明細書
【文献】米国特許第7,384,531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、必要とされる寸法要件及び性能要件を有する部品へとフレクシャの層を形成するために、多くの製造ステップが行われている。フレクシャの層を形成するために様々な製造プロセスステップが行われるので、ばらつきが発生して、フレクシャが要件を満たすように機能できなくなり得る。このように、フレクシャの改良された製造プロセスが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
プロセスクーポンを使用してフレクシャなどのデバイスを製造するシステム及び方法が記載される。該方法は、クーポンの少なくとも1つの形体にテストを実施することを含み、クーポンはフレクシャの製造に使用される組立シートに含まれる。少なくとも1つの形体は、フレクシャの部分を作製するために使用される製造プロセスステップによって作製される。また、形体の物理的特徴には、該部分の物理的特徴とは異なる少なくとも1つの物理的特徴を含む。また、方法には、実施されたテストに基づいて、製造プロセスステップがフレクシャの異常な部分を作製することを判定することを含む。さらに、方法には、製造プロセスステップを調整することと、調整した製造プロセスステップを用いてフレクシャの部分を製造することとを含む。
【0008】
本発明の実施形態の他の特性及び有利性は、添付の図面及び以下の詳細な説明によって明らかになる。
【0009】
本発明の実施形態は一例として示され、同様の参照符号が類似する構成要素を表す添付の図面の図において限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態においてフレクシャを製造するためのプロセスクーポンを使用するシステムのブロック図を示す。
図2図2は、実施形態における例の組立シートを示す。
図3図3は、実施形態におけるクーポンを含む組立シートの一部の俯瞰図を示す。
図4図4は、実施形態におけるクーポンを示す。
図5図5は、実施形態におけるクーポンを示す。
図6図6は、実施形態におけるクーポンを示す。
図7図7は、実施形態におけるクーポンを示す。
図8図8は、実施形態における複数のクーポンを示す。
図9図9は、実施形態におけるデータ管理プロセスフローの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「ブロック」という用語は、本明細書において例示的に使用される種々の構成要素を意味するように用いられ得るが、個々のステップの順序を明示的に示す場合を除いて、本明細書に開示する様々なステップの任意の要件、又はそれらの特定の順序を意味すると解釈されるべきではない。さらに、一「式(セット)」又は「グループ」のアイテム(例えば、入力、アルゴリズム、データ値等)は1つ以上のアイテムを含むことができ、同様にアイテムの部分又はサブグループも1つ以上のアイテムを含むことができる。
【0012】
図1は、様々な実施形態において非限定的にフレクシャを含むデバイスを製造するためのプロセスクーポンを使用する例示のシステム100のブロック図である。システム100は、複数のフレクシャを作製するために使用されるロールツーロール製造システム100の簡略図を示す。上述のように、フレクシャはディスクドライブヘッドサスペンションに使用することができる。さらに、本明細書に記載の技術及び方法は、オートフォーカスや光学画像安定化組立体に使用される形状記憶合金アクチュエータのような、アクチュエータ組立体のフレクシャなどの、デバイスを製造するために使用可能である。
【0013】
システム100は基板102を含む。実施形態において、基板102は、複数の組立シート104A~104Iに分割されることのできるベース層(例えばSST)である。各組立シート104A~104Iにおいて、1つ以上のフレクシャ106A~106L及びクーポン108A~108Hが形成されることができる。図示されるフレクシャ106A~106L及びクーポン108A~108Hは例示目的であり、正確な縮尺で描かれていない。クーポン108A~108Hの各クーポンは、種々の形体を有する複数の種々のクーポンを含むことができる。例えば、クーポン108A~108Hの各クーポンは、図3に示すクーポン302A~302Eの1つ以上を含むことができ、及び/又は以下において図4図8に示すクーポンの1つ以上を含むことができる。フレクシャ106A~106Lを形成するために、基板102は第1ロール110Aから第2ロール110Bへと通過することができ、その逆もまた同様である。基板102は、第1ロール110Aと第2ロール110Bとの間を通過するとき、製造装置112を通過する。
【0014】
製造装置112は、例えば、フォトリソグラフィに関するウェットエッチング(例えば化学的)及びドライエッチング(例えばプラズマ)、電解めっき及び無電解めっき、並びにスパッタリング処理などのアディティブ堆積法及び/又はサブトラクティブ法を使用して、フレクシャ106A~106Lを形成することができる。また、フレクシャ106A~106Lの形成に使用するプロセスにより、クーポン108A~108Hに含まれる1つ以上の形体が形成される。すなわち、製造装置112は、基板102に1つ以上の材料層を堆積、エッチング、暴露及び/又は現像して、フレクシャ106A~106L及びクーポン108A~108Hを形成することができる。例えば、製造装置112は、基板102に1つ以上の誘電層(例えばポリイミド)、及び/若しくは1つ以上の導電層(例えば銅、クロム、ニッケル、金、及び/若しくは同様のもの)を堆積させることができる。これらの層のそれぞれに、エッチング、光への暴露(例えば、材料の一部を硬化するため)、及び/又は1つ以上の化学物質への暴露(例えば、材料の未暴露部分を現像する、及び/又は基板102に材料層を堆積する)、並びにこの分野では既知のものを含む他のプロセス技術、を非限定的に含む1つ以上のプロセスを施すことができる。
【0015】
1つ以上のアディティブ堆積法及び/又はサブトラクティブ法(例えばポリイミド現像、レジスト現像、ステンレス鋼エッチング、及び/又は同様のもの)の前及び/又は後に、クーポン108A~108Hを1つ以上のセンサ114A~114Dによって分析することができる。センサ114A~114Dは、サイズ、高さ、厚さ、幅、直径、導電性、抵抗、反射性、接着性、側部スロープ、色、及びプロセスの評価に使用可能な他の特徴を非限定的に含む、クーポン108A~108Hの1つ以上の物理的特徴を測定するために使用することができる。例のセンサ114A~114Dは、クーポン108A~108Hのサイズを測定するカメラ、クーポン108A~108Hの導電性・抵抗を測定する電気プローブ、クーポン108A~108Hの厚さ、反射性、及び/若しくは色を測定する分光器、並びに/又はクーポン108A~108Hの表面プロファイル(例えば厚さ及び/若しくは幅)を測定する干渉計(例えば走査型白色干渉計などの白色干渉計)を非限定的に含むことができる。例えば、レジスト層を現像した後に、システム100は一時停止し、センサ114A~114D(例えばカメラ)がプロセスを使用して作製されたクーポン108A~108Hの画像を撮像して、クーポン108A~108Hが適切に製造されたかどうかを撮像した画像から判定することができる。他の実施形態では、1つ以上のセンサがクーポン108A~108Hの画像を撮像するのに、システムは一時停止する必要がない。
【0016】
一部の実施形態において、1つ以上のクーポン108A~108Hをテストすることは、クーポン108A~108Hに物理的接触、又は破壊的テストさえも行うことを必要とする。したがって、クーポン108A~108Hのテストは、組立シート104A~104Iの適合性のテスト時にフレクシャ106A~106Lを破損する可能性を低くするか、又は排除することができる。
【0017】
様々な実施形態において、クーポン108A~108Hの物理的特徴は、フレクシャ106A~106Lの部分(例えば誘電層、導電層、及び/若しくは同様のもの)が適切に製造されたか、フレクシャ106A~106Lの部分が異常を含むか、並びに/又は異常なフレクシャ106A~106Lが作製される前に製造プロセスのパラメータ、特徴、及び/若しくは他の要素を変更する必要があり得るかを示すように設計されている。すなわち、製造プロセスは、1つ以上の要因(例えば、化学的制御、温度、プロセス流量、露出エネルギー、及び/又は同様のもの)によってフレクシャ106A~106Lの製造時にドリフトし得る。実施形態において、1つ以上のクーポン108A~108Hは、フレクシャ106A~106Lの所定の設計仕様を満たせない不良若しくは欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製される前にプロセスを訂正するため、及び/又は任意の不良若しくは欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製されたかどうかを判定するために、いつ製造プロセスがドリフトし始めたかを判定するように使用することができる。
【0018】
例えば、クーポン108A~108Hは、フレクシャ106A~106Lの作製に使用される製造プロセスステップを使用して製造プロセス時に作製される複数の形体を含むことができる。様々な実施形態において、1つ以上のクーポン108A~108Hに含まれる形体は、フレクシャ106A~106Lなどの1つ以上のプロセスを使用して製造された1つ以上のデバイスよりも、製造プロセスの変化により感応するように構成される。例として、クーポン108A~108Hの形体は、例えばフレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によってポリイミド、Cu、Ni、Au、及び/又は同様のものから形成される、複数のラインであってもよい。ラインは、約80ミクロンから5ミクロンまで異なる一連の種々の幅を有してもよい。類似するが同一でないライン(例えば10ミクロンのライン)が同じ製造プロセスステップ時にフレクシャ106A~106Lを製造する際に作製されることができる(例えば、同じアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法を使用してクーポン108A~108Hと同じ材料から形成される)。このように、テストによって、クーポン108A~108Hの1つ以上のラインが異常を含むことが明らかになると、フレクシャ106A~106Lのラインも異常を含むか、又はプロセスがその運用公差から逸脱していることが予期される。したがって、フレクシャ106A~106Lの完全性に影響する前に、クーポン108A~108Hをテストすると製造プロセスが1つ以上の運用公差からドリフトし始めていることが検出可能になる。したがって、クーポン108A~108Hの異常が検出されると製造プロセスを変更することができるので、フレクシャ106A~106Lの性能に影響を及ぼし得る許容できない異常がフレクシャ106A~106Lに存在しなくなる。製造プロセスに行うことのできる変更の例は、製造装置112を通って基板102を移動させるコンベア速度の調整、製造装置112のマニフォルド圧力の調整、及びこの分野で既知のもの含むプロセスの変更に使用される1つ以上の可変又は変化要素の他の変更を非限定的に含む。
【0019】
様々な実施形態において、クーポン108A~108Hの他の形体は、例えばフレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によってポリイミド、フォトレジスト層、Cu、SST層、Ni、Au、及び/又は同様のものに形成される複数の孔であってもよい。孔は、例えば約80ミクロンから5ミクロンまで直径が異なる一連の種々の幅を有してもよい。類似するが同一でない孔(例えば10ミクロンの孔)が同じ製造ステップ時にフレクシャ106A~106Lを製造する際に作製されることができる(例えば、同じアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法を使用してクーポン108A~108Hと同じ材料に形成される)。センサ114A~114Dによって測定されるとき、クーポン108A~108Hの5ミクロンの孔が完全に開通していないと測定される、及び/又は異常を含むと、フレクシャ106A~106Lの1つ以上の部分もまた1つ以上の異常を含み得る、又はプロセスが1つ以上の運用公差を超えてドリフトしていると判定することができる。したがって、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製される前に製造プロセスのドリフトし始めを判定することに加えて、システム100はまた、いつ不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製されたかを判定するために使用することもできる。様々な実施形態において、フレクシャ106A~106Lが1つ以上の異常を含み得ることを判定した後、製造プロセスを調整して、システム100はいずれの異常も含まないフレクシャ106A~106Lを再び作製する、又は1つ以上の製造プロセスが所望の公差内で運用される。例えば、フレクシャ106A~106L及びクーポン108A~108Hの製造に使用される、製造装置112を通って基板102を移動させるコンベア速度、フォトリソグラフィの化学温度、フォトリソグラフィに使用する化学濃度、フォトリソグラフィに使用する焼成及び/若しくは硬化温度、並びに/又は製造装置112のマニフォルド圧力、又はこの分野で既知のもの含む他のプロセスの1つ以上が調整されることができる。さらに、任意の不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lがプロセスから取り除かれて、適切なものとする又は処分されることができるので、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lがフレクシャ106A~106Lのユーザに送られることはない。
【0020】
実施形態において、不良若しくは欠陥のフレクシャ106A~106Lが形成されているか、及び/又はフレクシャ106A~106Lを製造するプロセスを調整するかを判定するために、しきい値を使用することができる。例えば、クーポン108A~108Hの形体が、形体の意図した設計からの逸脱(ずれ)を含むと仮定する。さらに、形体の逸脱が、意図した設計と+/-5%変化するのみであると仮定する。この大きさ(すなわち+/-5%)の逸脱では、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lは作製されていないと判定することができる。さらに、実施形態において、この大きさの逸脱では、クーポン108A~108Hの形体に逸脱が存在するが、フレクシャ106A~106Lを製造するプロセスはまだ調整する必要はないことを示すことができる。しかしながら、逸脱の大きさが+/-10%である場合、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製されていないが、フレクシャ106A~106Lを製造するプロセスは調整する必要があり得ると判定することができる。あるいは、逸脱の大きさが+/-15%である場合、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製されており、フレクシャ106A~106Lを製造するプロセスは調整する必要があり得ると判定することができる。これらの各判定を行うためのしきい値は、プロセスステップ、及び/又はテストされるクーポン108A~108Hの形体のタイプに基づいて構成することができ得る。しかしながら、これらは単に例であり、限定することを意図しない。
【0021】
図2は、実施形態における例の組立シート200の俯瞰図である。一部の実施形態において、組立シート200は約250×300mmであってもよい。しかしながら、これらは単に例であり、限定することを意図しない。図1示すフレクシャ106A~106Lなどの複数のフレクシャは、組立シート200のカラム202に形成されている。各組立シート200は1つ以上の境界部204を含む。境界部204は、プロセスにおける組立シート200の移動を補助するためであるとともに、複数のフレクシャ106A~106Lの周りに補剛構造を追加してフレクシャ106A~106Lの過剰な湾曲又は移動を制限し、フレクシャ106A~106Lの損傷を最小限にすることでフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャを保護するために製造プロセスに使用される。図1に示すクーポン108A~108Hなどのクーポンを形成可能な部分は、1つ以上の境界部204の近位にあるか、及び/又は1つ以上の境界部204内に含まれる。上述のように、クーポン108A~108Hをセンサ(例えば図1に示すセンサ114A~114D)によってテストして、フレクシャ106A~106Lに異常を含むかを判定することができる。
【0022】
さらに又はあるいは、クーポン108A~108Hは組立シート200の境界部204以外の位置にも形成可能である。例えば、クーポン108A~108Hをフレクシャ106A~106Lの1つ以上のカラム202同士の間に形成することができる。他の例として、クーポン108A~108Hは、フレクシャ106A~106Lの列同士の間に形成されることができ、フレクシャ106A~106Lが接続されるキャリアストリップ(strip)206に形成されることを非限定的に含む。
【0023】
図3は、図2に示す境界部204などの境界部の部分300の俯瞰図である。部分300には複数の種々のタイプのクーポン302A~302Eが含まれる。種々のタイプのクーポン302A~302Eのそれぞれには、図1に示すセンサ114A~114Dなどのセンサによってテストされる1つ以上の特定の形体が含まれる。クーポン302A~302Eの様々な実施形態は、以下に図4図8に関してより詳細に記載される。図3に示す種々のタイプのクーポン302A~302Eの群は、図1に示す組立シート104A~104Iなどの組立シートの境界部近傍に形成される図1に示すクーポン108A~108Hの1つなどの単一のクーポンであってもよい。
【0024】
図4は、一部の実施形態における例のクーポン402、404の図である。クーポン402、404のそれぞれは、図1に示すクーポン108A~108Hなどのクーポンのうちの単一のクーポンに組み込むことができる。クーポン402は1つ以上の長い導体406を含む。クーポン402をテストするために、電気プローブにより1つ以上の長い導体406の各端部をプローブして、クーポン402の抵抗を測定することができる。導体の幅の変化はクーポン402の抵抗の大きな変化をもたらし得る。すなわち、測定された抵抗は、1つ以上の長い導体406の高さ及び幅の均一性を判定するために使用可能である。様々な実施形態において、導体の高さ及び幅はビジョンテストを使用して(例えばカメラであるセンサを使用して)判定することもできる。これらのテストの結果により、(図1の)フレクシャ106A~106Lの導電部分が良好に形成されているかを判定することができる。クーポン402の逸脱が判定されると、不良若しくは欠陥のフレクシャ106A~106Lの形成を防ぐために、及び/又は不良若しくは欠陥のフレクシャ106A~106Lが製造されたかを判定するために、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャを製造するプロセスを調整することができる。
【0025】
クーポン404は共に結合された複数のグランド形体を含む。図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャを製造するとき、各フレクシャ106A~106Lはいずれかに多数のグランド形体408(例えば2~10個のグランド形体)を有することができる。フレクシャ106A~106Lにおける1つ以上のグランド形体408は、非常に低い抵抗を有するように設計されている。様々な実施形態において、グランド形体408は、フレクシャの第1層(例えばトレース層)からフレクシャの第2層(例えば誘電層)の孔を介して、フレクシャの第3層(例えばSST層)に接触するようにめっきすることができる。さらに又はあるいは、グランド形体408はまた、導電接着孔であってもよい。グランド形体は、「ディスクドライブヘッドサスペンションフレクシャのためのグランド形体」という発明の名称の米国特許第9093117号明細書により詳細に記載されており、その全体が言及によってあらゆる目的で本明細書に援用される。
【0026】
フレクシャのグランド形体は非常に低い抵抗を有するように設計されるが、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャの製造時、グランド形体の抵抗は次第に増大するかもしれない。クーポン404において複数のグランド形体(例えば10~30個のグランド形体)を共に結合することで、図1に示すセンサ114A~114Dなどのセンサを使用して(例えば電気プローブ)、グランド形体の抵抗が、不適切なめっきによって増大し始めているか、不良起こっているか、及び/又は高抵抗が起こっているかを判定可能である。グランド形体のいずれか1つに不良があると、フレクシャ106A~106Lにおける1つ以上のグランド形体も不良を含む可能性がある。
【0027】
図5は、様々な実施形態におけるクーポン502、504を示す。クーポン502は分光器ストリップである。実施形態において、分光器ストリップは、ウェットコーティングプロセスを使用して、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャを製造するために使用することができる。ウェットコーティングプロセス時に、図1に示す基板102などの基板は、図1に示す製造装置112などの製造装置を通って所与の移動速度で移動している。分光器を使用して、クーポン502の厚さ及びクーポン502上の任意の残余物を測定することができる。クーポン502の厚さを測定することで、基板102の移動速度で製造装置112によって1つ以上の層(例えば分光器ストリップ及び/又は誘電層)が適切な厚さに塗布されているかを判定可能である。クーポン502が適切な厚さでない場合、基板102の移動速度を低下させることができる。さらに、製造プロセスステップはフレクシャの1つ以上の表面をクリーニングすることを含み得る。したがって、任意の残余物がクーポン502上にあるかを判定することで、フレクシャ106A~106Lの1つ以上の表面が適切にクリーニングされているかを判定可能である。
【0028】
また、図5は複数のクーポン504を含み、該複数のクーポン504は、図7及び図8に関してさらに詳細に記載される様々な実施形態などの他のクーポンに対して種々のクーポンが種々のスケールを有することができることを示す。
【0029】
図6は、実施形態におけるクーポン602を示す。クーポン602は複数の形体604A~604Eを含むことができ、複数の形体604A~604Eの表面プロファイル(例えば厚さ及び/又は幅)は干渉法(例えば白色干渉法)を使用して測定する。クーポン602は、フレクシャ106A~106Lの作製に使用される層に形成される複数のコーティング溶液を含むことができる。例えば、コーティング溶液(coating liquid、CL)は、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャの導電層及び/又は誘電層に塗布することができる。様々な実施形態において、CLがコーティングされるフレクシャ106A~106Lの層からCLを流出させることができる。流出するCLの量は、例えば、コーティングされる層のサイズ、コーティングされる層のタイプ、CLとして使用される溶液、CLの温度、層及びCLの周囲温度、並びに/又は同様のもののうちの1つ以上に応じたものであり得る。一部の実施形態において種々のタイプの材料から作製される様々な幅の形体604A~604EにCLを塗布して、CLの表面プロファイル(すなわち形体604A~604E)を測定することで、適切な幅、高さ又は奥行きを有する形体を得るためにフレクシャ106A~106Lの1つ以上のCL層を塗布又は除去するかを判定可能である。
【0030】
図7は、様々な実施形態におけるクーポン702を示す。クーポン702は複数の形体704~718を含む。1つ以上の形体704~718が、図1に示すセンサ114A~114Dなどのセンサによって感知されるような逸脱を含む場合、製造プロセスが調整される、及び/又は、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャの1つ以上が不良若しくは欠陥であると判定されることができる。
【0031】
形体704は、一連の種々の直径を有するとともに、フレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によって例えばポリイミド、フォトレジスト層、Cu、SST層、Ni、Au、及び/又は同様のものに形成されることができる一式の孔を含む。様々な実施形態において、形体704はプロセスの最小接着レジスト又は最小除去めっきを示すように構成される。様々な実施形態において、センサ114A~114Dは、確実に開いている最小孔を感知することができ、これが、フレクシャ106A~106Lの作製に使用される製造プロセスが良好に運用されているかの指標となる。上述のように、フレクシャ106A~106Lが10ミクロンの孔を含む場合、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製される前に製造プロセスがドリフトしているかを判定するために、形体704の孔は10ミクロンよりも小さい。
【0032】
形体706は、クーポン702において、フレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によって例えばポリイミド、Cu、Ni、Au、及び/又は同様のものから形成される、一式のドットを含む。様々な実施形態において、形体706はプロセスの最小レジスト除去又は最小接着めっきを示すように構成される。センサ114A~114Dは、クーポン702の表面上の最小ドットの存在によって判定されるように、本明細書に記載のものを含む技術を用いてクーポン702の表面に接着する最小ドットがどれかを感知することができる。
【0033】
形体708、712はそれぞれ、フレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によって例えばポリイミド、フォトレジスト層、Cu、SST層、Ni、Au、及び/又は同様のものに形成される、一連の種々の幅及び間隔を有する鉛直及び水平の溝部を含む。様々な実施形態において、形体708、712はそれぞれプロセスの鉛直及び水平の最小レジスト除去又は最小接着めっきを示すように構成される。センサ114A~114Dは、本明細書に記載のものを含む技術を使用して、確実に開いている最小溝部708、712を感知することができ、これが、フレクシャ106A~106Lの作製に使用される製造プロセスが良好に運用されているかの指標となる。
【0034】
形体710、714はそれぞれ、クーポン702において、フレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によって例えばポリイミド、Cu、Ni、Au、及び/又は同様のものから形成される、一連の種々の幅及び間隔を有する鉛直及び水平のラインを含む。様々な実施形態において、形体710、714はそれぞれプロセスの最小レジストライン又は最小めっき除去を示すように構成される。センサ114A~114Dは、本明細書に記載のものを含む技術を使用して、クーポン702に確実に塗布されている最小ラインを感知することができ、これは、フレクシャ106A~106Lの作製に使用される製造プロセスが良好に運用されているかの指標となる。様々な実施形態において、例えば、形体704~718の幅の範囲は5ミクロン~80ミクロンであってもよい。
【0035】
図1に示す基板102などの基板は、図1に示す製造装置112などの製造装置を通って一方向に移動するので、化学物質は、基板102の移動の方向と同じ方向又は垂直に基板102に塗布されることができる。したがって、除去及び/又は塗布される鉛直形体708、710と水平形体712、714との変化は異なり得、これは一部の実施形態において鉛直溝部及びライン708、710と水平溝部及びライン712、714とがテストされる理由となる。形体704と同様に、フレクシャ106A~106Lが10ミクロン幅の溝部又は孔を含む場合、不良又は欠陥のフレクシャ106A~106Lが作製される前に製造プロセスがドリフトしているかを判定するために、形体708~714の溝部又は孔は10ミクロンよりも小さくてもよい。
【0036】
形体716は前の層に対する位置合わせ形体である。形体716は、1つの層からの外側縁部722と、他の層からの内側円724とを含む。形体716は、センサ114A~114Dを使用して測定されて、2つの層が互いに良好に位置合わせされているかを判定する。1つの層が他の層に良好に位置合わせされているかは、形体716の内側円724が位置合わせ形体の外側縁部722における所望の中央位置からオフセットされている程度である。
【0037】
形体718は、フレクシャ106A~106Lの形体の側部スロープを誇張した星形状パターンである。形体の側部スロープとは、形体の側部の角度である。すなわち、フレクシャ106A~106Lの作製に使用されるアディティブ法及び/又はサブトラクティブ法によってエッチングしたフレクシャ106A~106Lの形体(例えばポリイミド層)は、基板の表面に垂直である側部を有しないことがある。形体の垂直面に対する角度を側部スロープとする。したがって、フレクシャ106A~106Lの側部スロープを誇張した形体718の側部スロープをテストすることで、フレクシャ106A~106Lの形体の側部スロープが均質であることが判定できる。側部スロープを感知するためにビジョンシステムを使用することができ、これは、図1に示すセンサ114A~114Dなどのセンサの一種である。
【0038】
形体720は、センサ114A~114Dに含まれるものなどのセンサの一種であるビジョンシステムを較正するのに使用可能なキャリブレーションパッドである。形体720(すなわちキャリブレーションパッド)は、キャリブレーションパッドの反射性に基づいてビジョンシステムの焦点高さと光強度とを決定するために使用することができる。形体720は、図1に示す基板102などの基板に形成される層と同じ材料から作製されることができる。例えば、形体720は、誘電層、導電層、又は本明細書に記載のものを含むこの分野で既知の他の材料から作製されてもよい。このため、形体720が、基板102に形成される層と同じ反射キャリブレーション(これはトポグラフィーの変化、表面酸化物条件等により変化し得る)を有する可能性が増大する。実施形態において、ビジョンシステムはグレースケールビジョンシステムであってもよい。
【0039】
図8は、様々な実施形態における複数のクーポン800を示す。一部の実施形態では、複数のクーポン800は、図7に示すものに関して記載されるものと同様の形体を含む。上述のように、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャを製造する際、図1に示す基板102などの基板に複数の層が塗布され得る。フレクシャ106A~106Lの各層の後に、複数のクーポン800のクーポン802A~802Oを層に付加することができる。形成される各クーポン802A~802Oは、フレクシャ106A~106Lのある層の特定の製造プロセスに対応し得る。例えば、フレクシャ106A~106Lの第1層がポリイミド層である場合、第1クーポン(例えばクーポン802A)は、フレクシャ106A~106Lのポリイミド層を作製するのと同じ製造プロセスステップを使用して、(図2の)組立シート200の(図2の)境界部204に形成することができる。すなわち、クーポン802Aは、フレクシャ106A~106Lのポリイミド層と同様であるが異なる寸法のポリイミド形体(例えば、種々の直径の一連の孔、種々の直径の一連のドット、種々の幅の一連の溝部、種々の幅の一連のライン、及び/又は同様のもの)を含むことができる。したがって、各層に対する各クーポン802A~802Oを使用して、各層の分離度・接着性を判定することができる。各クーポン802A~802Oの符号804A~804Oは、クーポン802A~802Oが関連する層を示し得る。例えば、クーポン802Aは第1層に含まれるクーポンであり得、クーポン802Bは第2層に含まれるクーポンであり得るなどである。
【0040】
さらに、図1に示すフレクシャ106A~106Lなどのフレクシャの製造時に作製される各層に対する各クーポン802A~802Oを含むことにより、フレクシャ106A~106Lの製造時に作製される他の層と組み合わせたときにクーポン802A~802Oの分離度・接着性が影響を受けるかどうかも判定できる。例えば、ポリイミド層の上部に形成した導電層に作製したクーポン802A~802Oは、ポリイミド層の上部に形成したものではない導電層の上部にクーポンが形成されたときには検知されない欠陥を有し得る。したがって、フレクシャ106A~106Lは互いに積層する複数の層を含むので、複数の層に積層するクーポン802A~802Oは、フレクシャ106A~106Lの製造時に作製されるフレクシャ106A~106Lの特性のより良い指標となり得る。
【0041】
さらに又はあるいは、各層の後に、フレクシャ106A~106Lの作製に使用するすべての製造プロセスステップがクーポン802A~802Oを形成するために使用することができる。例えば、ポリイミド層が層に形成されるとしても、クーポン802A~802Oは導電トレース層に対応する形体を含み得る。
【0042】
図9は、実施形態におけるデータ管理プロセスフロー900の模式図である。様々な実施形態において、プロセスフロー900は、成形クーポンを含む組立シートを特定する信号を受信することを含むことができる(902)。各組立シートは、本明細書に記載されるものを含むセンサを使用してスキャンされる、それ自体のバーコードを有することができる。各製造プロセスステップの後、各組立シートのバーコードをバーコードスキャナで読み取ることができる(904)。様々な実施形態において、1つ以上のセンサ114A~114Dは、バーコードスキャナであってもよい。
【0043】
組立シートのバーコードをスキャンするたびに、センサがクーポンに行う任意のスキャン・テストの結果も受信することができる(906)。1つ以上のクーポンが逸脱を含むどうか、それによってフレクシャが不良又は欠陥のフレクシャを含む可能性があるかどうかを受信した結果が示すかどうかも、テストのそれぞれから判定することができる。このすべての情報をフレクシャの作製時にトラッキングすることができる。組立シートが不良又は欠陥フレクシャを含み得ると判定された場合、組立シートのさらなる検査を行うか、及び/又は、組立シートを排除することができる。したがって、各組立シートを全プロセスにわたってトラッキングすることができる。
【0044】
本発明の範囲から逸脱することなく記載の例示の実施形態に種々の変形及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態も含む。したがって、実施形態の範囲は、それらのすべての同等形とともに、特許請求の範囲内に含まれるようなすべてのそのような代替形、変形、及び変化形を包含するように意図されている。開示された事項は様々な変形形態及び代替形態に適しているが、特定の実施形態が一例として図面に示され、本明細書に記載されている。しかしながら、その意図は、本開示を記載した特定の実施形態に限定することではない。そうではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の範囲内に含まれるすべての変形、同等形、及び代替形を網羅することを意図している。
【0045】
用語が測定値の範囲(直前に開示されたものなど)に関して本明細書で使用されるとき、「約」及び「およそ」は、記載した測定値を含み、また記載した測定値に十分に近似する任意の測定値も含むが、他の部品に関連した測定の差異、特定の実装シナリオ、人若しくは機械による物品の不正確な調整及び/若しくは操作、及び/又は同様のものに基づいて、測定誤差、測定及び/若しくは製造機器較正の差異、読み取り及び/若しくは測定設定における人的ミス、性能及び/若しくは構造パラメータ最適化のための調整、に起因すると当業者によって理解され、容易に確認されるような十分に小さい量だけ異なり得る測定値を指すように互換的に使用され得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9