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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】顕微鏡及び顕微鏡検査法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20220722BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G02B21/06
G01N21/64 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018563455
(86)(22)【出願日】2017-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2017063456
(87)【国際公開番号】W WO2017211714
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】102016110433.7
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513072123
【氏名又は名称】カール・ツァイス・マイクロスコピー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Microscopy GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl-Zeiss-Promenade 10, 07745 Jena, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】クレッペ、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】カルクブレンナー、トーマス
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-532732(JP,A)
【文献】特表2015-532449(JP,A)
【文献】特開平08-211296(JP,A)
【文献】特表2016-509692(JP,A)
【文献】特開平06-160728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/62 - 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(12)を配置するための対象面と、
撮像ビーム経路(16)であって、前記対象面における最小直径を画定する分解能で前記対象面から画像面に前記対象(12)を撮像する撮像ビーム経路(16)と、
照射装置(18)から前記対象面に照射放射を投影する照射ビーム経路(14)であって、前記照射装置(18)が、多数の光源(24)を含み、前記光源(24)が、前記対象面への投影において、2Dアレイの形を有し、前記アレイにおける隣接する光源(24)が、前記最小直径より小さい互いからの距離で配置される照射ビーム経路(14)と、
多数の検出画素(40)を含む検出装置(20)であって、前記検出画素(40)が、前記対象面への投影において、2Dアレイの形式を有し、前記アレイにおける隣接する検出画素(40)が、エアリー直径より小さい互いからの距離で配置され、前記アレイにおける各検出画素(40)が、正確に1つの光源(24)に割り当てられる検出装置(20)と、
前記検出装置(20)及び前記照射装置(18)を制御する制御装置(22)と、
を含む、対象(12)を撮像するための顕微鏡であって、
前記制御装置が、前記アレイにおける前記光源(24)を少なくとも1つの第1のグループ(54a)及び少なくとも1つの第2のグループ(54b)に分割し、前記第1のグループ(54a)及び前記第2のグループ(54b)が、前記アレイにおける相互に隣接する光源(24)から構成され、且つ前記アレイの一部をカバーし、
前記制御装置(22)が、一度に前記第1のグループの1つの光源(24)だけをオンにし、且つクロック毎に順次前記第1のグループ(54a)の前記光源(24)を切り替え、前記第2のグループ(54b)の前記光源(24)が、前記第1のグループ(54a)の前記光源(24)と同じクロック毎に切り替えられ、
前記制御装置(22)が、前記光源(24)の前記切り替えの前記クロックと同一のクロック毎に前記検出装置(20)を読み出し、
さらに、前記制御装置(22)が、前記第1のグループ(54a)及び前記第2のグループ(54b)用に、前記光源の前記切り替えの前記順序に対して異なる順序で、前記アレイの対応部分における前記検出画素(40)を評価することを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記制御装置(22)が、前記撮像ビーム経路(16)によって案内された入射によって信号が生成される前記検出画素(40)の信号を読み出し、前記検出画素(40)が、全ての光源が(24)が切り替えられてしまうまで光に露光されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記検出装置(20)が、CCDアレイセンサを含み、前記信号が電荷であり、前記検出画素(40)の電荷が、再分配用にシフトされることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記検出装置(20)を読み出すために、前記制御装置(22)が、前記アレイの前記対応部分における前記実際にオンにされた光源(24)に割り当てられる前記検出画素(40)だけを各クロックサイクルにおいて読み出し、前記制御装置(22)が、前記オンにされた光源(24)に基づいて、前記個別検出画素(40)の情報から前記対象(12)の回折画像を計算することを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記照射装置(18)が、前記対象面への投影において、少なくとも2つの相異なる波長範囲を有する照射放射を生成するように適合され、前記制御装置(22)が、相異なる波長範囲の放射を放出する光源(24)が前記対象面への投影において、前記最小直径より大きい距離を有するように、前記波長範囲に対して前記光源(24)を制御することを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項6】
各検出画素(40)が、少なくとも2つのカラー画素(58)を含み、個別カラーフィルタ(60)が、各カラー画素(58)の上流に配置され、前記制御装置(22)が、全てのカラー画素(58)を同時に読み出すことを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記制御装置(22)が、少なくとも2度、前記個別光源(24)を切り替え、且つ前記順序で前記検出装置(20)を読み出すことを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項8】
対象(12)を撮像するための顕微鏡検査法であって、
対象面(12)に前記対象を配置するステップと、
前記対象面における最小直径を画定する分解能で、撮像ビーム経路(16)を通して前記対象面から画像面に前記対象(12)を撮像するステップと、
照射ビーム経路(14)を用い、照射装置(18)から前記対象面に照射放射を投影するステップであって、前記照射装置(18)が、多数の光源(24)を含み、前記光源(24)が、前記対象面への投影において、2Dアレイの形を有し、前記アレイにおける隣接する光源(24)が、前記最小直径より小さい互いからの距離に配置されるステップと、
検出装置(20)を用いて、前記撮像ビーム経路(16)によって案内される放射を検出するステップであって、前記検出装置(20)が、多数の検出画素(40)を含み、前記検出画素(40)が、前記対象面への投影において、前記2Dアレイの形を有し、前記アレイにおける隣接する検出画素(40)が、エアリー直径より小さい互いからの距離に配置され、前記アレイにおける各検出画素(40)が、正確に1つの光源(24)に割り当てられるステップと、
前記アレイにおける前記光源(24)を少なくとも1つの第1のグループ(54a)及び少なくとも1つの第2のグループ(54b)に分割するステップであって、前記第1のグループ(54a)及び前記第2のグループ(54b)が、前記アレイにおいて相互に隣接する光源(24)で構成され、且つ前記アレイの一部をカバーするステップと、
一度に前記第1のグループ(54a)のただ1つの光源(24)をオンにするステップ、クロック毎に順次前記第1のグループ(54a)の前記光源(24)を切り替えるステップ、及び前記第1のグループ(54a)の前記光源と同じクロック毎に前記第2のグループ(54b)の前記光源(24)を切り替えるステップと、
前記光源の(24)前記切り替えの前記クロックと同一のクロック毎に前記検出装置(20)を読み出すステップと、
を含み
前記第1のグループ(54a)及び前記第2のグループ(54b)用に、前記アレイの前記対応部分における前記検出画素(40)が、前記光源の前記切り替えの前記順序に対して異なる順序で評価されることを特徴とする顕微鏡検査法。
【請求項9】
前記検出画素(40)の信号が、前記撮像ビーム経路(16)によって案内された入射によって生成され、前記検出画素(40)が、全ての光源が(24)がくまなく切り替えられてしまうまで光に露光されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【請求項10】
前記検出装置(20)が、CCDアレイセンサを含み、前記信号が電荷であり、前記検出画素(40)の電荷が、再分配用にシフトされることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【請求項11】
前記検出装置(20)を読み出すために、前記アレイの前記対応部分における前記実際にオンにされた光源(24)に割り当てられる前記検出画素(40)だけが、各クロックサイクルにおいて読み出され、前記対象(12)の前記回折画像が、前記オンにされた光源(24)に基づいて、前記個別検出画素(40)の情報から計算されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【請求項12】
前記照射装置(18)が、前記対象面への投影において、少なくとも2つの相異なる波長範囲を有する照射放射を生成するように適合され、相異なる波長範囲の放射を放出する光源(24)が、前記対象面への投影において、前記最小直径より大きい距離を有するように、前記光源(24)が、前記波長範囲に対して制御されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【請求項13】
各検出画素(40)が、少なくとも2つのカラー画素(58)を含み、個別カラーフィルタ(60)が、各カラー画素(58)の上流に配置され、全てのカラー画素(58)が、同時に読み出されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【請求項14】
前記個別光源(24)が、くまなく切り替えられ、前記検出装置が、前記順序で少なくとも2度読み出されることを特徴とする、請求項に記載の顕微鏡検査法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を撮像するための顕微鏡であって、対象を配置するための対象面、撮像ビーム経路、照射ビーム経路、検出装置、及び制御装置を含む顕微鏡に関する。本発明は、更に、対象を撮像するための顕微鏡検査法であって、次のステップ、即ち、対象を対象面に配置するステップと、撮像ビーム経路を用いて、対象面における最小直径を決定する分解能で対象を対象面から画像面へと撮像するステップと、を含む顕微鏡検査法に関する。
【背景技術】
【0002】
共焦点顕微鏡において、対象が回折限界より小さいステップ幅で走査される場合に、顕微鏡によって決定される回折限界より優れた分解能を達成することが可能である。この文脈において、例として、独国特許出願公開第102010049627号明細書が参照される。独国特許出願公開第102012217967号明細書又はG. Zheng et al., Microscopy refocusing and dark-field imaging by using a simple LED array, October 15, 2011, Vol. 36, No. 20, Optics Lettersの記事に説明されているように、機械部品を用いず、光源アレイ(array)を用いて対象を照射するための走査移動を実現することが更に知られている。A. G. York et al., Resolution doubling in live, multicellular organisms via multifocal structured illumination microscopy, May 13, 2012, Nature Methodsは、信号対雑音比が、複数の共焦点撮像の信号を追加することによって、どのように改善され得るかを説明する。A. G. York et al., Instant super-resolution imaging in live cells and embryos via analog image processing, October 6, 2013, Nature Methodsは、検出器の読み出しが、どのように加速され得るかを説明する。
【0003】
米国特許出願公開第2009/0218527号明細書は、2D LEDアレイで構成された光源を含む共焦点顕微鏡を提案する。
【0004】
更に、独国特許出願公開第102013001238号明細書は、高分解能顕微鏡における検出装置からの信号を評価するための計算の複雑さを低減する方法を開示する。かかる方法は、図1に関連して説明される。前記図は、x軸に沿ってサンプルを通るセクションを概略的に示す。サンプルは、蛍光サンプル点110を含む。また照射スポット112が示されている。その強度Iは、縦座標で表されている。照射スポット112の寸法は、回折限界とすることができ、且つx方向においてサンプル点110よりも大きい。照射スポット112が、サンプル点110に当たった場合に、サンプル点110は、励起されて蛍光発光し、サンプル光を放出し、サンプル光は、検出装置によって検出することができる。図1において、検出装置114の、ここでは無限に鮮明な投影は、更にサンプル面にプロットされる。検出装置114は、複数の検出素子116、118を含む。検出素子116、118は、サンプルの単一点から来るサンプル光だけを受信するのではない。もっと正確に言えば、各検出素子116、118上に撮像されるのは、撮像のPSF(point spread function:点広がり関数)によって決定される拡張受信領域である。検出素子118用のPSFは、破線曲線120の形で示されている。照射スポット112の寸法は、点光源のPSFによって同様に決定することができる。次に、特定の検出素子118によって測定される光の強度は、合計PSFによって決定され、合計PSFは、照射スポット112用のPSF及び検出素子118用のPSF120の積である。合計PSFの最大値は、照射スポット112とそれぞれの検出素子118のPSF120との間のほぼ中心に位置している。従って、図示の例において、検出素子118は、主としてサイト122Aから光を受信し、サイト122Aは、照射スポット112とPSF120との間の中心に位置している。対照的に、たとえ関連するPSF120が、位置122Dでその最大値を有しても、検出素子118は、位置122Dでほとんど光を測定しない。サンプルを走査するために、照射スポットは、このときは例えば位置124Dから124Bにシフトされる(shifted)。これは、ここでは照射走査移動(illumination scanning movement)と呼ばれる。その結果、検出素子118の合計PSFはシフトする。検出素子118は、その後はもはや、主として位置122Aからの光を測定せず、122Bからの光を測定する。この状況は、分解能を向上させるために用いることができる。この目的のために、検出素子は、照射スポット112の各位置用に読み出される。プロセスにおいて測定されたサンプル光信号は、照射スポット112の位置に依存して相異なるサンプル領域に割り当てられる。それは、全く同一の検出素子によって測定されたサンプル光信号が、照射スポット112の位置に依存して再配置されることを意味する。
【0005】
再配置は、横軸の下の曲線状の実線矢印によって示されている。従って、検出素子118の信号は、照射スポットが位置124Dに位置している場合に、対象110のサイト122Aに割り当てられる。同様に、サイト122Cにおける検出素子の信号は、位置124Cにおける照射スポットの場合における対象110のサイトに割り当てられる。検出素子122Bの信号もまた、位置124Bにおける照射スポットの場合における対象110のサイトに割り当てられる。このように、分解能の向上を得ることが可能である。しかしながら、この再配置を達成するための機器に関する費用は大きい。加えて、再配置を計算するために必要とされる時間は、比較的長い。
【0006】
分解能の向上はまた、単一スポットシステムの光伝達スペクトルにおけるより高い空間周波数のより大きな重み付けとして説明することができる。画像生成用に、1エアリー(Airy)のピンホール直径内の光分布が用いられるので、より多くの光子が、検出され得る。従って、信号対雑音比は改善される。特定の検出素子が、最も大きな光量を受信するサンプル領域は、図1に関連して説明されているように、照射パターンの位置又はサンプル上の照射スポットに依存する。照射走査移動の故に、照射パターンは、サンプルにわたってシフトされる。その結果、合計PSF及び従って特定の検出素子が最大の光量を受信するサンプル領域もまたシフトする。
【0007】
利点として、特定の検出素子が、同じサンプル領域からほぼ常に光を受信することが、検出走査移動によって可能になる。従って、合計PSAの最大値のサイトは、可能なら、照射及び検出走査移動によってほとんど変更されない。この目的で、検出走査移動は、照射走査移動と反対であり、同時に行われなければならない。検出走査移動と照射走査移動との間の反対の移動の効果は、同様に図1に関連して説明される。図示の状況において、検出素子118は、領域122Aから主として光を受信する。合計PSFは、ここでその最大値を有する。次に、照射走査移動において、照射スポット112は、例えばその最大値が位置124Cにあるまで、矢印方向126において移動される。同時に、検出走査移動において、検出素子118の受信領域は、反対方向に、即ち矢印方向128において移動される。検出素子118の受信領域は、PSF120の第1の最小値への検出素子118のPSF120の拡張であると考えることができる。検出素子118が、その最大値が位置122Cにあるまで矢印方向82において移動される場合に、検出素子118の合計PSFの最大値は、引き続き位置122Aにある。有利なことに、これによって、先行技術に関連して説明される再配置を回避することが可能であり、先行技術では、特定の検出素子の受信信号は、照射スポットの位置に依存する相異なるサンプル位置に割り当てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、対象の撮像が簡略化され得る顕微鏡及び顕微鏡検査法を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、請求項1に記載の顕微鏡、及び請求項10に記載の顕微鏡検査法によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい例示的な実施形態を説明する。
【0010】
本発明は、対象を撮像するための顕微鏡であって、対象を配置するための対象面と、撮像ビーム経路と、照射ビーム経路と、検出装置と、制御装置と、を含む顕微鏡を提供する。撮像ビーム経路は、対象面における最小直径を画定する分解能で対象面から画像面に対象を撮像する。照射ビーム経路は、照射装置から対象面に照射放射を投影し、照射装置は、多数の光源を含み、光源は、対象面に投影されるが、2Dアレイの形式を有し、アレイにおける隣接する光源は、最小直径より小さい互いからの距離で配置される。検出装置は、多数の検出画素を含み、検出画素は、対象面に投影されるが、2Dアレイの形式を有する。従って、アレイにおける隣接する検出画素は、最小直径より小さい互いからの距離で配置される。制御装置は、検出装置及び照射装置を制御し、制御装置は、アレイにおける光源を少なくとも1つの第1及び1つの第2のグループに分割し、各グループは、アレイにおける相互に隣接する光源から構成され、且つアレイの一部をカバーする。制御装置は、一度に第1のグループの1つの光源だけをオンにし、クロック順序(clocking sequence)で第1のグループの光源を切り替え、第2のグループの光源は、第1のグループの光源と同じクロッキング(clocking)で切り替えられる。顕微鏡は、アレイにおける各検出画素が、正確に1つの光源に割り当てられるという事実によって特徴付けられ、制御装置は、それが光源を切り替えるのと同じクロッキングで検出装置を読み出す。
【0011】
特に、読み出しは、各グループ用の制御装置が、検出画素の信号を合計するように行われ、検出画素の信号は、光源を切り替える順序に対して逆の順序で、クロッキングに対応する期間において撮像ビーム経路の入射放射によって生成される。顕微鏡において、各検出画素は、正確に1つの光源に割り当てられる。従って、対象によって放出又は反射される光は、光源の1つで対象を照射する間に、主として対応する検出画素によって検出される。1つ又は複数の光源がオンにされた後で毎回検出装置を読み出すことによって、顕微鏡の一部を機械的に移動させる必要なしに、対象の共焦点撮像を生成することが可能である。その結果、顕微鏡の記録速度は、増加させることができる。何故なら、顕微鏡の記録速度を低下させることが知られている顕微鏡の要素の機械的移動が、もはや必要ではないからである。
【0012】
好ましくは、顕微鏡は、対象の共焦点撮像に役立ち、特にピンホールアレイの形をしている複数のピンホールが、共焦点撮像用に設けられ得る。代替として、検出画素は、ピンホールストップが、撮像ビーム経路に設けられる必要がないように、仮想ピンホールを提供することができる。顕微鏡の構成は、このように更に簡略化することができる。
【0013】
対象は、蛍光構造、例えば蛍光染料を特に含む。特に、照射ビーム経路の放射は、対象において蛍光光の放出が励起されるようにされる。顕微鏡は、好ましくは、ビームスプリッタ装置を含み、ビームスプリッタ装置によって、撮像ビーム経路の放射は、照射ビーム経路の放射から分離することができる。検出装置は、対象の蛍光光の放出スペクトルの波長範囲における放射を検出するように特に具体化される。
【0014】
撮像ビーム経路は、その光学素子及び/又は他の素子に基づいて、対象面における最小解像可能直径を画定する。最小直径は、好ましくは、エアリー直径(Airy diameter)に対応し、エアリー直径に対して、点エミッタが、対象面から画像面に撮像される。検出装置の検出画素は、対象面に投影されるが、2Dアレイに配置され、検出画素の撮像ビーム経路は、対象面における検出画素が、最小直径より小さい、特にエアリー直径より小さい距離を有するように、対象面に投影する。かかる検出画素は、先行技術から周知のように、対象の高分解能画像を生成することができる。検出画素は、複数の画素又は要素を含むことができ、複数の画素又は要素は、各場合に、入射放射を電気信号に変換するように具体化される。
【0015】
照射装置は、ディスプレイ又はモニタの形で具体化することができ、モニタ又はディスプレイの個別画素は、光源を形成する。照射装置が、発光ダイオード(LED)のアレイを含むことが更に可能であり、個別LEDは、光源に対応する。照射ビーム経路は、光学素子及び他の素子を含み、光学素子及び他の素子は、2つの光源間の距離が、最小直径より小さい、特にエアリー直径より小さいように、光源を対象面に撮像する。照射装置における光源の配置は、再び光源が対象面において2Dアレイを形成するようにされる。顕微鏡において、各検出画素が正確に1つの光源に割り当てられる準備が行われる。特に光源と同数の検出画素が提供される。対象面に投影される検出画素のアレイは、対象面に投影される光源のアレイと同一であるのが好ましい。
【0016】
制御装置は、例えば、マイクロプロセッサ、対応して構成されたコンピュータプログラムを有するコンピュータ、又は別の電気回路とすることができる。制御装置は、検出装置にデータ技術的に接続され、且つ検出画素の電気信号から対象の画像を生成する。
【0017】
制御装置は、アレイにおける(即ち対象面への投影において見た場合に)光源を少なくとも2つのグループへと分割する。しかしながら、3つ以上のグループもまた提供され得る。複数の第1及び/又は複数の第2のグループが提供されるのが好ましく、各第1及び/又は第2のグループは、記録スポットを形成し、その結果、対象のマルチスポット照射が実現され得る。第1及び/又は第2のグループの数は、マルチスポット照射のスポットを決定する。光源グループは、このグループの相異なる光源のスイッチオンを介した対象の照射の変位が、最小直径未満、特にエアリー直径未満であるような手法で、サンプル上に特定の点を照射するために用いられるように意図されている。例えば、光源は、対象面に投影されるが、互いに隣接するように位置し、特に2つの相異なるグループの光源は、対象面に投影されるが、少なくとも最小直径だけ、特にエアリー直径を超えて互いに離間される。このようにして、個別照射スポット間のクロストーク(crosstalk)は、低減するか又は完全に回避することができる。グループの個別光源は、順番に切り替えられる。即ち、例えば、それぞれのグループの1つの光源だけが、一度にオンにされる。グループがオンにされる順序は、例えば、次々にオンにされた光源が、対象面において互いに離間されるようにされる。2つのグループの対応する光源は、同時にオンにされるのが好ましい。即ち例えば第1のグループの光源がオンにされる場合に、それぞれの順序の全ての光源が、同時に光を放出する。光源は、アレイにおいて次々とオンにされた2つの光源が、互いに隣接するように切り替えられるのが好ましい。
【0018】
制御装置は、個別光源の切り替えと同じクロッキングで検出装置を読み出す。特に、検出装置の検出画素は、読み出しサイクルにおいて或る期間にわたって光に露光され、読み出しサイクルは、クロックサイクルに対応する。検出画素は、それぞれの検出画素に入射する放射の強度に、且つ入射放射の期間に対応する信号を生成する。個別検出画素の信号は、特に、信号が、光源のスイッチオンの順序に対して逆の順序で評価されるように、制御装置によって評価される。このように、独国特許出願公開第102013001238号明細書に説明されている方法は、機械部品を移動させる必要なしにシミュレートすることができる。これによって、更に撮像速度を向上させることが可能である。
【0019】
検出装置の読み出しは、相異なる手法で行うことができる。第1の変形例において、制御装置が、全ての検出画素を同時に読み出すことが好ましい。例えば、電荷結合素子(CCDセンサ)が、そのために使用され得る。この実施形態において、全ての検出画素は、相異なるグループの光源がオン及びオフにされた後で、クロックサイクルごとに同時に読み出される。読み出し後に、順序において次に来る個別グループの光源が、オンにされる。対象の画像を生成するために、好ましくは、制御装置は、検出画素によって生成された信号を評価し、信号は、光源の切り替える順序に対して逆の順序で制御装置によって再分配される。従って、オンにされた光源から放射を受信する検出画素の信号だけが、読み出しサイクルごとに評価される。従って、制御装置は、(先行技術から周知の)光源のスイッチオン及びオフの順序に従って、信号の再分配及び合計を実行する。この実施形態の利点は、検出装置を読み出すための周知の方法が利用され得るということである。
【0020】
この実施形態において、検出画素の信号の再分配及び合計は、制御装置によって実行される。別の変形例において、信号の評価は、順序に対して逆の順序でアレイの対応部分における検出画素を読み出す各グループ用に制御装置によって達成することができる。特に、各グループの制御装置は、それぞれのクロックサイクルにおける関連光源に対応する検出画素だけを読み出す。それは、オンにされた光源に関連する検出画素だけが、クロックサイクルごとに読み出されるように、検出画素の読み出しが実行されることを意味する。このように、評価は、個別のオンにされた光源に関連する信号を選択することによっては実行されないが、しかし割り当ては、対応する検出画素だけが読み出されることによって達成される。このようにして、計算の複雑さは、著しく低減される。
【0021】
この実施形態の副変形例において、制御装置が、撮像ビーム経路の入射放射によって生成される検出画素の信号を読み出すことが好ましく、検出画素は、全ての光源が、くまなく切り替えられるまで、或る期間において光に露光されるままである。この実施形態の検出画素は、例えばアクティブ画素センサを含むことができ、アクティブ画素センサは、CMOS技術において作製される。制御装置は、今や、対応する順序で、個別検出画素の信号を評価さえすればよい。サブエアリー分解能を決定するための従来の変形例と比較すると、今や制御装置は、読み出しサイクルごとに検出画素の信号を再分配することがもはや必要ではない。何故なら、この再分配が、相異なる読み出しサイクルにわたる、光への検出画素の露光によって、検出画素において直接実行されるからである。制御装置は、光源の切り替えのクロックサイクルを考慮し、複数のクロックサイクルにわたって光に露光された検出画素を読み出しさえすればよい。このようにして、計算の複雑さは低減される。
【0022】
更なる副変形例において、検出装置は、CCDアレイセンサを含み、信号は、電荷であり、電荷は、再分配用に検出画素においてシフトされる。この変形例において、信号は、撮像ビーム経路から来る放射によって、CCDセンサにおいて生成される電荷である。ここで、独国特許出願公開第102013001238号明細書に説明されている再分配用の機械的運動は、個別検出画素の電荷がシフトされることによって実現される。従来のCCDセンサにおいて、各読み出しサイクルは、各検出器画素に蓄積された、且つ読み出し行に対して前記検出器画素上に入射した光量に特に比例する電荷をシフトし、読み出しレジスタが、電流-電圧コンバータによって電荷を信号に変換する。これらのセンサは、インターライン転送CCDセンサ(IT CCD)と呼ばれる。同様に利用可能なのは、フレーム転送CCD(FT CCD)センサであり、そこでは全ての電荷は、読み出し用に、読み出しフレームにシフトされる。従来のCCDセンサにおける読み出し行又は読み出しフレームは、それらが、読み出し中に光に露光されないように、配置される。顕微鏡のこの実施形態に関連して用いられるCCDセンサにおいて、個別検出画素の電荷は、非露光領域ではなく、光源を切り替える順序に対して逆の順序に位置する隣接する検出画素へとシフトされる。このシフティング(shifting)故に、電荷が、再分配される。何故なら、検出画素が、常に光に露光されるからである。シフティングの順序が終了した場合に、好ましくは、検出画素の全ての電荷は、読み出しフレームに移動される。電荷のシフティングは、既に言及したように、光源のスイッチオンのクロッキングに従って実行される。
【0023】
CCDセンサにおける電荷のシフティングは、非常に迅速に達成することができる。例えば、マルチスポット照射のフィールド全体は、11MHz(電子倍増CCD(EMCCD)用の代表値)のクロックにおいて36.4μs内にシフトすることができる。フレーム転送及び読み出しプロセスは、典型的には約30ms掛かるが、そのことは、それが、制限的な電荷のシフティング又は光源のスイッチオンではなく、読み出しプロセスであることを意味する。読み出しは、検出装置の特定の部分が読み出し用に使用される場合、即ち幾つかの検出画素が、読み出し用に使用されない(それは、検出装置のクロッピングと等価である)場合に加速することができる。このように、読み出しは、加速することができ、30~100フレーム/秒でなされることができ、それは、従来の顕微鏡における読み出しよりも速く、部分が、機械的に移動されることになる。
【0024】
代替実施形態において、検出装置を読み出すために、制御装置が、アレイの対応部分におけるそれぞれのオンにされた光源に割り当てられる検出画素だけをクロックサイクルごとに読み出すことが好ましく、制御装置は、オンにされた光源に依存して、個別検出画素の情報から対象の回折画像を計算する。これは、実施形態の簡易化された変形例を表現し、その実施形態において、クロックサイクルごとの全ての検出画素が読み出される。この場合に、制御装置は、後続の評価用に実際に必要とされる画素だけを読み出し、その結果、読み出しの複雑さは、著しく低減することができ、従って、読み出し速度及び回折画像を計算するための時間は、低減することができる。この実施形態の検出画素は、例えばアクティブ画素センサを含むことができ、アクティブ画素センサは、CMOS技術において作製される。
【0025】
相異なるカラー(color)の対象を照射するために、対象面に投影される照射装置が、少なくとも2つの相異なる波長範囲を有する照射放射を生成できることが好ましく、制御装置は、好ましくは、相異なる波長範囲の放射を放出する光源が、対象面に投影されるが、最小直径より大きい、特にエアリー直径より大きい距離を有するように、波長範囲に対して光源を制御する。対象の照射用に相異なる波長範囲を生成するために、各検出画素は、相異なる波長範囲の光を生成するように具体化することができる。代替として、例えばLEDなどの複数の照射点が、光源を形成することが可能であり、照射点によって生成される放射は、対象面に投影されるが、同一の強度分布で同一の領域を照射する。この目的で、例えば、個別照射点の放射は、ビームスプリッタ装置を介して組み合わせることができる。各波長範囲の個別光源のスイッチオンは、上記のように達成される。撮像ビーム経路の放射のクロストークを回避するために、光源用に準備がなされ、光源は、タイミングサイクルごとに同時にオンにされ、且つ少なくとも最小直径、特にエアリー直径だけ対象面において離間されるように、相異なる波長範囲の放射を放出する。例えば、タイミングサイクルごとにオンにされる、且つ同じ波長範囲の光を放出する光源は、対象面において、2つの最小直径、特に2つのエアリー直径だけ互いに離間することができ、好ましくは対象面において、1つの波長範囲のこれらの2つのオンにされた光源の間で、異なる波長範囲の放射を放出する光源がオンにされる。
【0026】
対象面における1つの最小直径の最小距離は、特にアレイの両方向に当てはまる。この実施形態において、相異なるカラーで対象のマルチスポット照射を提供することが可能であり、カラー間のクロストークは、回避することができる。
【0027】
相異なるカラーを検出するために、撮像ビーム経路の放射は、例えば、ビームスプリッタを用いて波長範囲に依存して分割し、且つ検出画素の相異なるアレイ上に撮像することができ、検出画素は、各場合に、対応する波長範囲を検出するように具体化される。別の実施形態において、各検出画素が、少なくとも2つのカラー画素を含むことが好ましく、各カラー画素の上流に配置されるのは、相異なるカラーフィルタであり、制御装置は、好ましくは、検出画素の全てのカラー画素を同時に読み出す。この変形例において、ベイヤーマトリックスの原理が用いられる。従って、各検出画素は、複数のサブ画素又はカラー画素を含み、それらは、相異なる波長範囲の放射を検出するように具体化される。クロストークを回避するために、撮像ビーム経路における各カラー画素の上流に配置されるのは、それぞれのカラー画素を用いて検出されることになる波長範囲の放射だけを通過させるカラーフィルタである。カラー画素は、同一にすることができ、且つ大きい波長範囲にわたる放射を検出することができ、カラーフィルタは、放出スペクトル分割の相異なる波長範囲への分割を実行するために用いられる。代替として、カラー画素は、大きい感度でそれぞれの波長範囲を検出するように具体化することができ、それぞれの波長範囲の放射は、カラーフィルタによって透過される。
【0028】
蛍光染料が、長い期間にわたって照射される場合に、それらが、三重項状態(triplet state)になり、そこから光退色する可能性が増加する。これを防ぐために、制御装置が、少なくとも2度、順番で個別光源を切り替え、各場合に検出装置を読み出すことが好ましい。このようにして、信号対雑音比を増加させる対象の長引く照射は、それぞれの光源が、より長く照射されることによってではなく、より短い露光時間でより頻繁に切り替えられることによって達成される。例えば、照射の周波数は、メガヘルツ範囲内とすることができる。移動機械部品が顕微鏡に設けられないので、これは、より単純な手法で実現性が高く、その結果、顕微鏡において光退色する危険は、有利に回避することができる。制御装置は、特に個別読み出しサイクルの信号を平均化する。
【0029】
本発明は、対象を撮像するための顕微鏡検査法であって、以下のステップ、即ち、対象面に対象を配置するステップと、対象面における最小直径、特にエアリー直径を画定する分解能で撮像ビーム経路を用いて、対象面から画像面に対象を撮像するステップと、照射ビーム経路を用い、照射装置から対象面に照射放射を投影するステップであって、照射装置が、多数の光源を含み、光源が、対象面に投影されるが、2Dアレイの形を有し、アレイにおける隣接する光源が、最小直径より小さい互いからの距離に配置されるステップと、多数の検出画素を含む検出装置を用いて、撮像ビーム経路からの放射を検出するステップであって、検出画素が、対象面に投影されるが、2Dアレイの形を有し、アレイにおける隣接する検出画素が、最小直径より小さい互いからの距離に配置され、アレイにおける各検出画素が、正確に1つの光源に割り当てられるステップと、アレイにおける光源を少なくとも1つの第1及び1つの第2のグループに分割するステップであって、各グループが、アレイにおいて相互に隣接する光源から構成され、且つアレイの一部をカバーするステップと、一度に第1のグループのただ1つの光源だけをオンにするステップ、タイミングサイクルで第1のグループの光源を切り替えるステップ、及び第1のグループの光源と同じタイミングで第2のグループの光源を切り替えるステップと、光源の切り替えと同一のタイミングで検出装置を読み出すステップと、を含む顕微鏡検査法を更に提供する。
【0030】
前述の特徴及び以下で説明される特徴が、本発明の範囲から逸脱せずに、指定された組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせ又はそれらだけで用いられ得ることは言うまでもない。
【0031】
本発明は、例えば、添付の図面に基づいて以下でより詳細に説明され、添付の図面はまた、本発明にとって不可欠な特徴を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】互いに対する距離が最小直径より小さい検出素子における信号発生の、先行技術から周知の原理である。
図2】顕微鏡の設定の概略図を表示する。
図3図2に示されている顕微鏡の実施形態を表示する。
図4】光源をオンにするための、且つ図2及び3に示されている顕微鏡の検出画素を読み出すための制御用の実例を表示する。
図5】相異なる波長範囲を備えた光源のスイッチオンを表す実例を表示する。
図6図2及び3から顕微鏡の検出装置の実例を表示する。
図7】検出装置の検出画素の概略図を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
顕微鏡10は、対象12の撮像の回折限界未満である分解能で対象12の共焦点撮像用に特に適する。この目的で、顕微鏡10は、照射ビーム経路14、撮像ビーム経路16、照射装置18、検出装置20、及び制御装置22を含む。
【0034】
照射装置18は、多数の光源24及び照射光学ユニット26を含む。光源24は、2Dアレイに配置され、且つ各場合に、電線路を介して制御装置22にデータ技術的(deta-technologically)に接続され、その結果、制御装置22は、各場合に、個別光源24をオン及びオフに切り替えることができる。光源24は、それぞれ、相異なる波長範囲を有する放射を生成するように構成される。照射光学ユニット26は、多数の光源24と照射光学ユニット26との間の距離に対応する焦点距離を有し、その結果、光源24によって放出された放射は、照射光学ユニット26を通過した後で平行にされる。光源24は、照射ビーム経路14を介して、対象12が位置する顕微鏡の対象面へと撮像される。
【0035】
照射ビーム経路14は、ズーム光学ユニット28及び対物レンズ30を含む。ズーム光学ユニット28は、対象12の対象面への光源24の撮像の倍率目盛りを変更する。対物レンズ30は、照射ビーム経路14の放射を対象12の対象面に合焦させる。光源24は、それらが、対象面に投影されるときに、2Dアレイに配置されるように配置され、対象面に投影される光源24間の距離は、最小直径、特にエアリー直径より小さく、エアリー直径は、撮像ビーム経路16によって画定される。
【0036】
対象12は、光源24によって生成される放射によって励起される蛍光染料を含む。対象12における蛍光染料は、撮像ビーム経路16を介して検出装置20上に撮像される蛍光光を放出する。撮像ビーム経路16は、対物レンズ30、ズーム光学ユニット28、ビームスプリッタ32、及び放出フィルタ34を含む。対物レンズ30は、対象12によって放出された、且つズーム光学ユニット28を通ってビームスプリッタ32に入射する蛍光放射を集光する。ビームスプリッタ32は、ダイクロイックミラーの形で具体化され、ビームスプリッタ32は、照射ビーム経路14の放射が通過できるようにし、且つ撮像ビーム経路16の放射を反射する。撮像ビーム経路16の放射は、放出フィルタ34上に案内され、放出フィルタ34は、光源24によって放出された放射の波長範囲における放射を遮断するように、且つ対象12に提供される蛍光染料の放出スペクトルのスペクトル範囲における放射を透過させるように具体化される。撮像ビーム経路16の放射は、放出フィルタ34から検出装置20へと通過する。
【0037】
検出装置20は、撮像光学ユニット36及びカメラ38を含み、カメラ38は、多数の検出画素40(図4及び6を参照)を含む。撮像光学ユニット36は、撮像ビーム経路の平行放射をカメラ38上に合焦させる。理論上、検出画素40が、撮像ビーム経路16を介して、対象12の対象面に投影されることになる場合には、個別検出画素40は、2Dアレイで対象面に配置されることになろう。対象面に同様に実際に投影される検出画素40のアレイは、対象面に投影される光源24のアレイと同じように重なり合う。検出画素40は、各場合に、データリンクによって制御装置22と接続され、その結果、制御装置22は、検出画素40を個別に駆動し読み出すことができる。制御装置22は、例えばマイクロプロセッサの形で具体化される。検出画素40は、対象12の共焦点撮像用の仮想ピンホールとして働く。
【0038】
顕微鏡10の更なる実施形態が、図3(a)及び図3(b)に関連して説明される。図3(a)及び図3(b)による顕微鏡の実施形態は、次の差異を除いて図2による顕微鏡と一致する。即ち、図3(a)による顕微鏡は、ピンホール装置42を追加的に含み、ピンホール装置42は、第1のピンホールレンズ素子44、ピンホールアレイ46、及び第2のピンホールレンズ素子48を含む。第1のピンホールレンズ素子44は、照射ビーム経路14の放射をピンホールアレイ46上に合焦させ、一方で第2のピンホールレンズ素子48は、続いて、ピンホールアレイ46を出る放射を平行にする。従って、第1のピンホールレンズ素子44及び第2のピンホールレンズ素子48の焦点距離は、各場合に、ピンホールアレイ46と、第1のピンホールレンズ素子44及び第2のピンホールレンズ素子48との間の距離に対応する。ピンホールアレイ46は、多数のピンホールを含み、多数のピンホールは、それらが、光源24のアレイ及び検出画素40のアレイと一致するように配置される。このようにして、対象12の対象面への光源24の投影が、対象面における検出画素40の投影と一致することが保証される。
【0039】
照射装置18の更なる実施形態が、図3(b)に表されている。照射装置18は、多数の光源24、マイクロレンズアレイ50、照射ピンホールアレイ52、及び照射光学ユニット26を含む。マイクロレンズアレイ50は、多数のマイクロレンズ素子を含み、そのうちの1つが、各場合に、光源24の1つに割り当てられる。マイクロレンズアレイ50のマイクロレンズ素子は、光源24から来る放射を照射ピンホールアレイ52のピンホールに合焦させる。照射ピンホールアレイ52は、点状照射源を提供する。その結果、光源24が、点状照射源がもはや仮定され得ない範囲を有してさえ、照射ピンホールアレイ52を用いて、多数の点状照射源を生成することが可能である。照射光学ユニット26は、照射ピンホールアレイ52と照射光学ユニット26との間の距離に対応する焦点距離を有し、その結果、照射ビーム経路14の放射は、照射光学ユニット26を通過した後で平行にされる。
【0040】
顕微鏡10で実行される顕微鏡検査法は、図4及び5に基づいてより詳細に説明される。制御装置22は、多数の光源24をグループ54a及び54bに分割する。図4の左上に示されている照射装置18のセクションは、個別光源24が目に見える倍率を表示する。100個の光源24が、セクション内に設けられ、そこにおいて番号で指定された光源24は、2つの第1のグループ54aに割り当てられ、番号のない光源は、2つの第2のグループ54bに割り当てられる。複数の第1及び第2グループ54a、54bの光源24は、それらが、番号1~25によって表されているように、示された順序で連続的にオン及びオフにされる。この場合に、複数の第1及び第2グループの対応する光源24は、同時にオンにされる。図4に示されている例において、「1」で指定された光源24が、今、オンにされる。ひとたびそれらがオフにされると、「2」で指定された全ての光源24が、オンにされる。同時にオンにされる各光源24は、マルチスポット照射用の照射ビームを形成する。図4に表示されている例において、18個の光源24が、同時にオンにされる。光源24は、1~25の順序で切り替えられ、その場合にスイッチオン及びスイッチオフは、タイミングを指定する。ひとたび光源1~25が切り替えられると、第2のグループ54bの光源24は、各場合に、同じ手法で切り替えられる。グループ54a、54bの光源24は、前に説明したように、連続的にオンにされる光源が、エアリー直径より小さい、特にエアリー直径より小さい距離を有するような手法で、対象12の対象面に撮像される。最小直径は、円によって図4に示されている。
【0041】
独国特許出願公開第102013001238号明細書に説明されている方法で回折画像を生成するために、検出画素40の信号は、それらの強度及び期間に関しては撮像ビーム経路16の放射に対応するが、光源24の切り替えの順序に対して逆の順序に従って再分配される。図4の右上に示されているように、検出画素40もまた、光源24に従って、グループ55a、55bに分割され、光源24の順序と異なる画素使用の順序が決定される。「1」で指定された光源24がオンにされると、「1」で指定された検出画素40から来る信号が、評価用に使用される。従って、再分配は、「1」~「25」の番号で規定された、且つマルチスポット照射の各スポット用に別個である順序で達成される。
【0042】
検出器画素40の信号の再分配は、相異なる手法で達成することができる。1つの変形例において、検出装置20の全ての検出画素40は、光源24の各スイッチオン及びスイッチオフの後に完全に読み出される。制御装置22は、光源24が切り替えられる順序と逆の順序に従って、検出画素40の信号を合計する。この実施形態において、カメラ38は、CCDアレイセンサを含むことができる。代替の変形例において、制御装置22は、各場合に、相応してオンにされた光源24に対応する検出画素40だけを読み出す。この場合に、検出画素40は、連続的に照射され、その結果、その合計は、光への検出画素40の連続的な露光によって、光源24の切り替えの順序に対して逆の連続で達成される。
【0043】
更なる実施形態において、図6に表示されているように、CCDアレイセンサが、カメラ38に使用される。ここで、信号は、CCDセンサの個別検出画素40における、撮像ビーム経路16を通して案内される放射によって生成されるような電荷に対応する。ここで検出画素40はまた、グループ54a、54bの光源24が、すっかり切り替えられるまで、連続的に照射される。信号を再分配するために、電荷は、逆の順序でシフトされる。検出画素40が、撮像ビーム経路16の放射に連続的に露光されるという事実故に、信号の再分配は、従って、特に検出画素40が撮像ビーム経路16の放射に連続的に露光されることを介して、検出画素レベルに対して直接行われる。独国特許出願公開第102013001238号明細書に説明されている撮像の機械的移動は、ここでは電荷のシフティングによって置き替えられる。電荷が、(光源24の切り替えに対して)逆の順序に従ってシフトされた場合に、検出画素40の電荷は、読み出しフレーム56に伝達され、制御装置22は、電荷を読み出す。
【0044】
光源24は、相異なる波長範囲のビームを生成するように任意選択的に構成される。そのとき相異なる波長範囲の放射で同時に対象12を照射することが可能である。光源24用の1つの例示的な切り替えパターンが、図5に示されている。ここで、対応する番号によって図5に示されている、同時にオンにされる光源24は、最小直径だけ離間されて対象面に投影される。それぞれ同時にオンにされる、且つ別のオンにされた光源24に最も近い光源24は、放出された放射の波長範囲の点で異なる。従って、それぞれ同時にオンにされる光源24の波長範囲は、交互になる。それは、同じ波長範囲の放射を放出する、且つ同時にオンにされる光源24が、異なる波長範囲の放射を放出する光源24によって互いに分離されることを意味する。その結果、対応する検出画素40が相応して読み出されるので、クロストークは、最小化することができる。
【0045】
広い波長範囲における放射を検出するために、検出画素40は、複数のカラー画素58を含み、複数のカラー画素58は、この場合に、検出画素40によって検出可能な波長範囲の部分領域用に具体化される。撮像ビーム経路16における各カラー画素58の上流に配置されるのは、それぞれのカラー画素58によって検出されることになる波長範囲における放射だけを透過するカラーフィルタ60である。検出画素40のカラー画素58は、常に同時に読み出される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7