(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ジョイント部材用のブーツアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20220722BHJP
F16D 3/84 20060101ALI20220722BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
F16J3/04 C
F16D3/84 W
F16D3/84 V
F16D3/84 R
F16J15/52 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019065791
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393002852
【氏名又は名称】ジーケーエヌ・ドライブライン・ノースアメリカ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エル・カッセル
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0208279(US,A1)
【文献】特開2009-228727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/00-3/06
F16J 15/46-15/53
F16D 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料から作製されたブーツと、ブーツ被覆管とを備えるジョイント用のブーツアセンブリであって、
前記ブーツ被覆管は、前記ブーツ及び前記ブーツ被覆管が一緒に結合する接続部分を含むボディと、
回転中心
となる軸線、及び前記軸線に面し前記軸線に対して円周方向かつ
前記軸線
の方向に延びる内側表面、を有するフランジを含む取付部分と、第1の位置で前記フランジに接続し、前記第1の位置から間隔を置いた第2の位置で前記フランジから分離したリテーナであって、それにより前記リテーナの少なくとも一部が前記フランジに対して移動可能である、リテーナと、を有し、
前記リテーナは前記第1の位置と前記第2の位置との間に長さを有し、前記リテーナは前記軸線に面した内側表面を有し、前記リテーナは前記第1の位置から間隔を置いた内向き部分を含み、前記内向き部分は、前記第1の位置と、前記第1の位置と前記第2の位置との間の長さの中点との間の、前記リテーナの前記内側表面よりも前記軸線に接近して配置されており、前記リテーナの前記内側表面は、前記リテーナの長さに沿った前記軸線に対して一定の角度にはなく、前記取付部分は、前記リテーナの前記第2の位置を画定する窪みを含む、ジョイント用のブーツアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の位置と、前記第1の位置と前記第2の位置との間の中点との間の、前記リテーナの前記内側表面は、前記リテーナから分離した前記フランジの前記内側表面の半径方向に最も内側の部分よりも1mmを超えて前記軸線に接近することはない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の位置と、前記第1の位置と前記第2の位置との間の中点との間の、前記リテーナの前記内側表面の前記軸線に対する角度は、10度を超えて変動することはない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記リテーナの前記内側表面で、前記中点から前記第1の位置までは前記軸線に平行であるか、又は前記軸線に平行である状態から5度以内にある、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記内向き部分は前記軸線に対して少なくとも20度の角度で配置されている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記内向き部分は、前記フランジに接続しておらず、かつ前記フランジに対して移動可能な前記リテーナの自由端を含み、前記自由端は前記リテーナの残部に対して少なくとも20度の角度で屈曲している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記リテーナはベースで前記フランジに結合し、かつ自由端を有し、前記自由端は前記フランジに接続しておらず、前記フランジに対して移動可能であり、前記ベースから間隔を置いており、前記自由端は前記リテーナの他のいかなる部分よりも前記軸線に接近している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
ジョイント用のアセンブリであって、
回転中心
となる軸線を有するボディ、及び前記ボディの半径方向外側表面の一部によって画定され、前記外側表面に開放され半径方向内向きに延びる窪みを含む環状の取付表面を有するジョイント部材と、
前記ジョイント部材に結合され、可撓性材料から作製されたブーツ、及びボディを有するブーツ被覆管を有するブーツアセンブリであって、前記ボディは、前記ブーツと前記ブーツ被覆管が一緒に結合される接続部分と、前記取付表面上に収容されて前記ブーツアセンブリを前記ジョイント部材に結合させる取付部分とを含む、ブーツアセンブリと、を備え、
前記取付部分はリテーナを含み、前記リテーナは第1の位置で前記ブーツ被覆管に接続し、前記第1の位置から間隔を置いた第2の位置で前記ブーツ被覆管から分離しており、前記取付部分は前記リテーナの前記第2の位置を画定する窪みを含み、前記リテーナは可撓性及び弾性を有し、それにより前記リテーナの少なくとも一部は、非湾曲状態と湾曲状態との間で、前記ブーツ被覆管の残部に対して移動可能であり、前記リテーナは、前記第1の位置から間隔を置き前記リテーナの内向き部分を画定する屈曲部を有し、前記リテーナの前記非湾曲状態では、前記屈曲部は前記リテーナの残部よりも前記軸線に半径方向に接近して配置され、前記取付表面の少なくとも一部よりも前記軸線に接近して配置されており、前記取付部分が前記取付表面上に収容された場合、前記内向き部分は前記ジョイント部材と係合しており、前記リテーナは外向きに湾曲した前記湾曲状態にあり、前記内向き部分は前記取付表面に係合しており、前記内向き部分が前記窪みと整列した場合に、前記内向き部分は非湾曲位置に向かって弾性的に戻ることができ、それにより、前記内向き部分の一部が前記窪みの外側の前記取付表面よりも前記軸線に接近した状態で、前記内向き部分が前記窪み内に収容され、前記リテーナが前記ジョイント部材の前記ボディに係合することにより、前記ブーツアセンブリが前記ジョイント
部材から外れることが阻止される、ジョイント用のアセンブリ。
【請求項9】
前記第2の位置は前記リテーナの自由端を含み、前記内向き部分は、前記第1の位置よりも前記自由端に接近している、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記取付表面の前記窪みは円周方向に延びる溝であり、前記ブーツ被覆管は円周方向に間隔を置いた複数のリテーナを含み、前記溝の各々は前記リテーナの各々の内向き部分を前記溝内に収容するように構成された、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記取付表面は、2つ以上の内向きに延びる窪みを含み、前記窪みは互いに連続的ではなく、前記外側表面の周りに円周方向に間隔を置いており、前記リテーナの内向き部分を収容するように配置された、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の位置と、前記第1の位置と前記第2の位置との間の中点との間の、前記リテーナの内側表面は、フランジの前記内側表面の半径方向に最も内側の部分よりも1mmを超えて前記軸線に接近することはない、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記内向き部分は、フランジに対して移動可能な、前記リテーナの自由端に画定され、前記自由端は前記リテーナの残部に対して少なくとも20度の角度で屈曲している、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記リテーナの内側表面は、前記リテーナの長さに沿った前記軸線に対して一定の角度にはない、請求項8に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、等速ジョイント用などのブーツアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
等速ジョイント(CVジョイント)は多くの場合、等速回転運動のトランスミッションが望まれるか又は必要な箇所で用いられる。CVジョイントは典型的には、部品の寿命のためにグリースを差すか又は別の方法で潤滑化している。ジョイントは好ましくは、潤滑剤をジョイント内部に保持するために封止され、一方で汚染物質及び異物、例えば水及び汚れがジョイントに侵入しないようにしている。ゴム、熱可塑性プラスチック、シリコーン材料などから作製することができるブーツが通常、CVジョイントの一部を取り囲んでいる。ブーツは、グリースをジョイント内に保持し、ジョイントの寿命を延ばすための可撓性のバリアを提供する。
【発明の概要】
【0003】
少なくともいくつかの実現形態では、ジョイント用のブーツアセンブリは、可撓性材料から作製されたブーツと、ブーツ被覆管とを含む。ブーツ被覆管は、ブーツ及びブーツ被覆管が一緒に結合する接続部分と、中心軸線、及び軸線に面し軸線に対して円周方向かつ軸線方向に延びる内側表面を有するフランジを含む取付部分と、リテーナとを含んでもよい。リテーナは第1の位置でフランジに接続し、第1の位置から間隔を置いた第2の位置でフランジから分離しており、それによりリテーナの少なくとも一部がフランジに対して移動可能である。リテーナは、第1の位置と第2の位置との間に長さを有し、リテーナは軸線に面した内側表面を有し、リテーナは第1の位置から間隔を置いた内向き部分を更に含む。内向き部分は、第1の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中点との間の、リテーナの内側表面よりも、軸線に接近して配置されており、リテーナの内側表面は、リテーナの長さに沿った軸線に対して一定の角度にはない。
【0004】
少なくともいくつかの実現形態では、第1の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中点との間の、リテーナの内側表面は、リテーナから分離したフランジの内側表面の半径方向に最も内側の部分よりも1mmを超えて軸線に接近することはない。第1の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中点との間の、リテーナの内側表面は、軸線に対して10度を超えて変動することはない角度を有してもよい。少なくともいくつかの実現形態では、中点から第1の位置までにおけるリテーナの内側表面は、軸線に平行であるか、又は軸線に平行である状態から5度以内にある。内向き部分は軸線に対して少なくとも20度の角度で配置されてもよい。
【0005】
少なくともいくつかの実現形態では、内向き部分はリテーナの自由端を含み、自由端はフランジに接続しておらずフランジに対して移動可能であり、自由端はリテーナの残部に対して少なくとも20度の角度で屈曲していてもよい。リテーナはベースでフランジに結合し、かつ自由端を有してもよく、自由端はフランジに接続しておらずフランジに対して移動可能であり、かつベースから間隔を置いており、自由端はリテーナの他のいかなる部分よりも、軸線に接近していてもよい。
【0006】
少なくともいくつかの実現形態では、ジョイント用のアセンブリは、中心軸線を有するボディ、及びボディの半径方向外側表面の一部によって画定され、外側表面に開放され半径方向内向きに延びる窪みを含む環状の取付表面を有するジョイント部材と、ジョイント部材に結合したブーツアセンブリと、を含む。ブーツアセンブリは、可撓性材料から作製されたブーツと、ボディを有するブーツ被覆管とを有し、ボディは、ブーツとブーツ被覆管が一緒に結合される接続部分と、取付表面上に収容されてブーツアセンブリをジョイント部材に結合させる取付部分とを含む。取付部分はリテーナを含み、リテーナは第1の位置でブーツ被覆管の残部に接続し、第1の位置から間隔を置いた第2の位置でブーツ被覆管の残部から分離しており、リテーナは可撓性及び弾性を有し、それによりリテーナの少なくとも一部は、非湾曲状態と湾曲状態との間で、ブーツ被覆管の残部に対して移動可能である。リテーナは、第1の位置から間隔を置きリテーナの内向き部分を画定する屈曲部を有し、リテーナの非湾曲状態では、屈曲部はリテーナの残部よりも半径方向に軸線に接近して配置され、取付表面の少なくとも一部よりも軸線に接近して配置されている。取付部分が取付表面上に収容された場合、内向き部分はジョイント部材と係合し、リテーナは外向きに湾曲した湾曲状態にあり、内向き部分は取付表面に係合しており、内向き部分が窪みと整列した時に、内向き部分はその非湾曲位置に弾性的に戻ってもよく、それにより、内向き部分の一部が窪みの外側の取付表面よりも軸線に接近した状態で、内向き部分が窪み内に収容される。その時、リテーナがジョイント部材のボディに係合することにより、ブーツアセンブリがジョイントから外れることが阻止される。
【0007】
少なくともいくつかの実現形態では、第2の位置はリテーナの自由端を含み、内向き部分は、第1の位置よりも自由端に接近している。窪みは円周方向に延びる溝であってもよく、ブーツは円周方向に間隔を置いた複数のリテーナを含んでもよく、溝の各々は各リテーナの内向き部分を溝内に収容するように配置されていてもよい。少なくともいくつかの実現形態では、複数のリテーナがフランジの周りに間隔を置いて設けられ、取付表面は2つ以上の内向きに延びる窪みを含み、内向きに延びる窪みは互いに連続的ではなく、外側表面の周りに円周方向に間隔を置いており、リテーナのうちの少なくとも1つの内向き部分を収容するように配置されている。
【0008】
少なくともいくつかの実現形態では、第1の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中点との間の、リテーナの内側表面は、フランジの内側表面の半径方向に最も内側の部分よりも1mmを超えて軸線に接近することはない。第1の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中点との間の、リテーナの内側表面は、軸線に対して10度を超えて変動することはない角度を有してもよい。中点から第1の位置までにおけるリテーナの内側表面は、軸線に平行であるか、又は軸線に平行である状態から5度以内にあってもよい。
【0009】
少なくともいくつかの実現形態では、内向き部分は、フランジに対して移動可能な、リテーナの自由端に画定され、自由端はリテーナの残部に対して少なくとも20度の角度で屈曲している。リテーナの内側表面は、リテーナの長さに沿った軸線に対して一定の角度にはない。
【0010】
少なくともいくつかの実現形態では、等速ジョイントは、アウターレースと、インナーレースと、インナーレースとアウターレースとの間に配置されてインナーレースとアウターレースとの間にトルクを伝達する複数のボールと、ブーツと、ブーツ被覆管とを含む。アウターレースは、中心軸線と、軸線方向端部と、半径方向内向きに延びる窪みを含む外側表面とを有し、窪みは外側表面に開放され軸線方向端部から間隔を置いている。ブーツ被覆管はブーツ及びアウターレースに結合し、アウターレースの軸線方向端部上に収容される取付部分を有する。取付部分は内側表面を含み、内側表面は軸線に面し、かつ前記ブーツ被覆管の軸線方向端部から軸線に対して軸線方向に延び、取付部分はリテーナを含む。リテーナは、取付部分内でブーツ被覆管に接続されたベースを有し、リテーナは、ベースから間隔を置いてブーツ被覆管に接続していない可動端部を有する。リテーナはフランジに対してベースの周りに可撓性を有し、それにより、リテーナは非湾曲状態と湾曲状態との間で湾曲できる。リテーナは、ベースから間隔を置きリテーナの内向き部分を画定する屈曲部を有し、リテーナの非湾曲状態では、屈曲部はリテーナの残部よりも半径方向に軸線に接近して配置され、アウターレースの外側表面の一部よりも軸線に接近して配置されている。内向き部分が、アウターレースの外側表面の少なくとも一部よりも軸線に接近して、リテーナの少なくとも一部が窪みの内部に収容され、リテーナがアウターレースに係合することにより、ブーツアセンブリがジョイントから外れることが阻止される。
【0011】
少なくともいくつかの実現形態では、リテーナの内側表面は、リテーナの長さに沿った軸線に対して一定の角度にはない。内向き部分は、ベースよりも可動端部に接近して配置されてもよい。リテーナが窪みの内部にいったん収容されると、リテーナの少なくとも一部はアウターレースと半径方向に重なる。
【0012】
様々な特徴及び構成要素を、それらが相互排他的である場合を除き、以下の説明に従って一緒に組み合わせてもよい。以下の説明は本明細書で説明する本発明を制限するよりもむしろ、様々な特徴を示すことを意図している。
【0013】
好ましい実現形態及び最良の態様についての以下の詳細な説明は、添付図面を参照して述べられるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ブーツアセンブリのブーツを取り除いたCVジョイントの斜視図である。
【
図2】ブーツアセンブリを含むCVジョイントの断面図である。
【
図4】ブーツ被覆管、及びブーツ被覆管が結合することができるCVジョイントのアウターレースの部分断面図である。
【
図5】アウターレースの窪み内のブーツ被覆管のリテーナを示す拡大した部分断面図である。
【
図6】アウターレース上へ組み立てる前のブーツ被覆管を示す、
図5に類似した断面図である。
【
図7】リテーナを示すブーツ被覆管の拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面をより詳細に参照して、
図1から
図3は、自動車の日常の運転で典型的に遭遇する角度において等速の伝達を可能にする等速(CV)ジョイント10を示す。CVジョイント10は、例えば、これら車両のハーフシャフト、相互連結シャフト及びプロペラシャフトと共に、又は要望に応じて別の方法で使用することができる。CVジョイント10は、互いに旋回可能に結合され、ローラ又はボール16のような複数のトルク伝達部材を保持するための複数のボールトラックを画定するように配置された、アウターレース12及びインナーレース14を有してもよく、それによりインナーレース及びアウターレースは同時回転する。CVジョイント10は、トリポード型、ダブルオフセット型、クロスグルーブ型、ルゼッパ型などの任意のタイプの等速ジョイントであってもよい。本明細書で以下に記述するように、ブーツアセンブリ18をCVジョイントに結合させてもよい。
【0016】
アウターレース12は、アウターレースがその周りを回転する中心軸線20、及びその内部に複数の外側ボールトラックが画定されている内側表面22を有する。ブーツアセンブリ18をアウターレース12に容易に結合させるために、アウターレースは外側表面24上に、外側表面に開放され、アウターレース12の第1の軸線方向端部28から軸線方向に間隔を置いた、半径方向内向きに延びる窪み26を含んでもよい。
図3に示すように、アウターレース12は、第1の軸線方向端部28に開放され中心軸線20から半径方向に間隔を置いて軸線方向内向きに延びるグランド又は溝29を含んでもよく、溝29の中にガスケット又はシール31、例えばOリングが収容されてもよい。ブーツアセンブリ18が取り付けられる取付表面30が、軸線方向端部28と少なくとも窪み26との間に画定されている。取付表面30は環状であってもよく、アウターレース12の周りに円周方向に延びていてもよい。一実施形態では、この窪み26はアウターレース12の円周の周りに延びる連続した溝又はチャネルであってもよいが、所望であれば、窪み26は、アウターレース12の外側表面24の周りに円周方向に間隔を置いた複数の離散的な窪みを含んでもよい。窪み26はアウターレース12の外側表面24よりも、軸線20に接近した(例えば、小さい直径を有する)半径方向内側表面27を含む。アウターレース12は一般に鋼鉄などの金属で作製されるが、少なくともいくつかの実現形態ではアウターレース用に、任意の他のタイプの金属材料、プラスチック、又は複合材料などを使用することもできる。
【0017】
インナーレース14は、少なくとも部分的にアウターレース12の内部に(例えば、軸線方向に重なって)収容されてもよく、複数の内側ボールトラックが画定された外側表面32を有してもよい。インナーレース14内の内側ボールトラックは、アウターレース12内の外側ボールトラックと整列しており、ボール16はインナーレースとアウターレースとの間に配置され、各ボールは外側ボールトラック及び内側ボールトラックの対応する1つの内部に収容されている。インナーレース14は鋼鉄で作製することができるが、任意の他の金属複合材料、硬質プラスチックなどを使用することもできる。
【0018】
ボール16をアウターレース12とインナーレース14との間に保持することを手助けするために、開口部を有するケージ34がアウターレースとインナーレースとの間に収容され、開口部内にボールが配置される。ケージ34は、少なくとも部分的に軸線方向にアウターレース12及びインナーレース14と重なった(すなわち、レース間で半径方向に)環状であってもよく、鋼鉄材料で作製されていてもよいが、他の金属材料、プラスチック、複合材料などを使用することもできる。
【0019】
少なくともいくつかの実現形態では、第1のシャフト又は回転構成要素36(
図1~
図3)がインナーレース14に結合しており、第2のシャフト又は回転構成要素38(
図2)がアウターレースに結合している。ボール16はアウターレースに対するインナーレースの旋回を、従って、第2の回転構成要素38に対する第1の回転構成要素36の旋回を可能にし、同時に回転構成要素は同じ回転速度で一緒に回転する。
【0020】
CVジョイント10の第2の軸線方向端部42の上で、又は第2の軸線方向端部42で、グリースキャップ40をアウターレース12に固定して、グリース又は他の適切な潤滑剤をCVジョイント10の内部に保持し、ジョイントに汚染物質が侵入することを阻止することができる。グリースキャップ40はまた、ジョイントの動作中に高圧ガスの排出を可能にする、
図2及び
図3でベント弁として示すベント機構41を含んでもよい。グリースキャップ40に対向して、ブーツアセンブリ18はCVジョイント10の少なくとも一部を取り囲んで、グリースをジョイント内部に保持し、汚染物質がジョイントの中に侵入することを阻止することができる。
【0021】
少なくともいくつかの実現形態では、ブーツアセンブリ18はブーツ被覆管44及び可撓性ブーツ46を含む。ブーツ被覆管44は環状であってもよく、(アウターレースと同軸であってもよい)中心軸線、並びに軸線方向に間隔を置いた第1の端部48及び第2の端部50を有してもよい。ブーツ被覆管44は、実質的に硬質な材料、例えば、アルミニウム、鋼鉄、炭素繊維、及び複合材料で形成してもよいが、これらに限定されない。可撓性ブーツ46は、可撓性材料、例えば、ゴムベース製品、プラスチック、ウレタン、シリコーン類、エラストマー、シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び任意の他の可撓性複合材料で構成されてもよい。しかし、ブーツ46は、CVジョイント10が広範囲の角度にわたって動作することを可能にする十分な可撓性を有する、任意の他の適切な材料を含んでもよいと理解される。
【0022】
可撓性ブーツ46及びブーツ被覆管44は、ブーツ被覆管44の接続部分52において一緒に結合しており、接続部分52はブーツ被覆管の第1の軸線方向端部48を含んでもよく、第1の回転構成要素36から半径方向外向きに間隔を置いて配置されて、回転構成要素と、ブーツ被覆管と、ブーツの少なくとも一部との間に間隙を提供してもよい。CVジョイント10のアセンブリにおいて、ブーツ46は、接続部分52から間隔を置いた位置で第1の回転構成要素36に結合してもよく(例えば、クランプ又はバンドのようなコネクタによって)、第1の回転構成要素に結合したブーツの部分と、接続部分でブーツ被覆管44に結合したブーツの部分との間に、ひだ又はベローズ54を含んでもよい。このようにして、ブーツ46は、第1の回転構成要素36がブーツ被覆管44に対して旋回することに対応することができる。
【0023】
ブーツ被覆管44は、グリースキャップ40に対向してアウターレース12に結合してもよい。この関連で、ブーツ被覆管44は取付部分56を有するボディを有してもよく、取付部分56はブーツ被覆管の第2の軸線方向端部50に延びるフランジ58を含んでもよい。フランジ58は円周方向に連続であってもよく、軸線20に面し軸線に対して円周方向かつ軸線方向に延びる内側表面60を有してもよい。フランジ58の内側表面60は、アウターレース12の外側表面24の一部上に収容されるように寸法決めされ配置されてもよい。接続部分52と取付部分56との間に、ブーツ被覆管44は軸線20に対してゼロではない角度で延び得る中間部分61を含んでもよく(
図2及び
図3)、中間部分61は軸線20に垂直で、アウターレース12の第1の軸線方向端部28の少なくとも一部と重なるように示されている。中間部分61は、軸線方向端部28及び/又は軸線方向端部のシール31に対して係合し封止してもよい。アウターレースがシールを保持する代わりに、中間部分61のブーツ被覆管が(例えば、その上に成形されて、又はそれに結合されて)シールを保持することができる。
【0024】
ブーツ被覆管44のアウターレース12への結合を促進するために、フランジ58又はブーツ被覆管44の他の部分は少なくとも1つのリテーナ62を含んでもよい。フランジ58を必要としないか、又はリテーナ62がフランジ上にある、代替の実施形態が可能である。少なくともいくつかの実現形態では、リテーナ62は少なくとも1つの第1の位置63でフランジ58に接続し、第1の位置から間隔を置いた少なくとも1つの第2の位置65でフランジ58から分離しており、それによりリテーナ62の一部がフランジ58に対して移動可能か又は屈曲可能である。少なくともいくつかの実現形態では、このことは、
図3に示すように、リテーナ62がブーツ被覆管44に片持ちされ、窪み64がリテーナの一部を取り囲み、フランジ58及びフランジに固定されたベース(例えば、第1の位置63)に対して移動し得る自由端66を画定し、リテーナがフランジに対して屈曲するか又は湾曲することができる一体ヒンジを画定することにより実現できる。しかし、他の変形形態が可能である。例えば、非制限的な一例として、リテーナ62の側部又は他の部分を、ブーツ被覆管44自体の一部、又は別の材料若しくは構成要素を含み得る結合器によって、フランジ58に部分的に接続させることが可能である。少なくともいくつかの実現形態では、複数のリテーナ62はフランジ58によって保持され(例えば結合され)、フランジの周りに円周方向に間隔を置いている。少なくともいくつかの実現形態では、第1の位置63は第2の位置65よりも、ブーツ被覆管44の第2の軸線方向端部50に接近しており、それゆえ自由端66はリテーナ62のベース63よりも、軸線方向端部50から離れている。フランジ58及びリテーナ62は互いに連続していても、していなくてもよく、同じ材料から作製されていても、されていなくてもよい。フランジ58は被覆管44の残部と同じ材料から作製されてもよく、又は別の適切な材料から作製されてもよい。リテーナ62は、少なくともある程度の可撓性及び弾性を有する材料から作製され、よってブーツ被覆管44の取り付け中にリテーナは湾曲し、かつ組み立てた状態において非湾曲位置又は状態に戻るか、又は非湾曲位置又は状態に向かって戻ることを可能にしてもよく、詳細を以下に述べる。
【0025】
図4~
図7に示すように、リテーナ62は軸線20に面する内側表面68を有する。リテーナ62のこの内側表面68は、リテーナ62の軸線方向長さに沿って軸線20に対して一定の角度にはない。すなわち、内側表面68はリテーナ62の軸線方向長さに沿って直線状ではない。少なくともいくつかの実現形態では、リテーナ62は内向き部分70を含み、内向き部分70は半径方向内向きに軸線20に向かって、内向き部分70と、第1の位置又はベース63との間のリテーナ62の部分とは異なる角度で延びている。内向き部分70は、軸線20に対するリテーナ62の角度が変化する遷移部又は屈曲部72によって画定されてもよく、又はこれらを含んでもよい。内向き部分70の少なくとも一部は、リテーナ62の半径方向に最も内側の部分を画定する。すなわち、内向き部分70の一部はリテーナの残部及び/又はフランジ58の内側表面60よりも、軸線20に接近している。複数のリテーナ62を含む実現形態では、複数のリテーナの内向き部分70は一括して、フランジ58の最小の内径又は寸法を画定し得る。リテーナ62の内向き部分70によって画定される内径又は寸法は、アウターレース12の軸線方向端部とアウターレース内の窪み26との間の、アウターレース12の少なくとも一部の外径より小さくてもよい。
【0026】
内向き部分70又は屈曲部72は、第1の位置63と第2の位置65との間のリテーナ62の長さに沿って、様々な地点に配置され得る。少なくともいくつかの実現形態では、屈曲部72はリテーナのベース63から間隔を置いており、ベース63と自由端66との間のリテーナ62の一部内にある。所望であれば、屈曲部72及び/又は内向き部分70は、ベース63よりも自由端66に接近していてもよい。換言すれば、内向き部分70は、リテーナ62の軸線方向長さの中点(例えば、図示した例ではベース63と自由端66との間の中点)と、リテーナ62の第2の端部又は自由端66との間で開始してもよく、自由端66まで延び、かつ自由端66を含んでもよい。複数のリテーナ62は、同様に構築され配置されてもよく、軸線方向に整列されてもよく(すなわち、ブーツ被覆管44の軸線方向端部50から同じ軸線方向距離で)、内向き部分70は通常の部品公差を有して軸線20から同じ距離で延びてもよい。いくつかの実現形態では、屈曲部72は第1の位置63に対して2.75対1以上の比率で配置される。すなわち、第1の位置63又はベースと屈曲部72との間の、リテーナ62の直線部分は、屈曲部と第2の位置65又は自由端66との間の、リテーナ62の非直線部分の長さの少なくとも2.75倍である。すなわち、リテーナ62の屈曲した部分はリテーナ62の直線部分よりも短く、少なくともいくつかの実現形態では、リテーナの直線部分の長さは屈曲した部分よりも少なくとも2.75倍長い。
【0027】
図7に示すように、ブーツ被覆管44をアウターレース12に組み立てる前は、リテーナ62は非湾曲位置又は非湾曲状態にある。ブーツ被覆管44をアウターレース12に組み立てるためには、ブーツ被覆管44の第2の軸線方向端部50をアウターレース12の第1の軸線方向端部28の上で第1の方向にスライドさせる。ブーツ被覆管44をアウターレース12と整列させ、初期的にブーツ被覆管をアウターレース上にスライドさせることを容易にするために、ブーツ被覆管44の第2の軸線方向端部50はリテーナ62の内側表面68よりも、軸線20から半径方向に離れた内側表面を有する、半径方向外向きに広がったリップ74を含んでもよい。更に又はその代わりに、アウターレース12の軸線方向端部28は半径方向にテーパ状であってもよく(例えば、
図5~
図7に示すように)、それにより軸線方向端部28は軸線方向端部から間隔を置いた部分76(
図5及び
図6)よりも小さい外径を有する。
【0028】
図6に示すように、ブーツ被覆管44をアウターレース12上にスライドさせる場合、リテーナ62のベース63は、内向き部分70の前に、アウターレース12の第1の軸線方向端部28の上を通過する。少なくともいくつかの実現形態では、内向き部分70がアウターレース12上を通過するまでは、リテーナ62は最小限に湾曲するか、又はアウターレースとのいかなる係合によっても全く湾曲しない。ブーツ被覆管44がアウターレース12上を十分奥までスライドした場合、内向き部分70は(例えば、部分76において)アウターレースと係合し、リテーナ62は初期的に外向きに湾曲する(リテーナの湾曲状態を画定する)。ブーツ被覆管44がアウターレース12上を、内向き部分70が窪み26と整列するように十分奥までスライドするまで、リテーナ62は湾曲状態を維持する。次に、弾力的なリテーナ62は非湾曲状態に戻るか、又は非湾曲状態に向かって戻り、
図2、
図4及び
図5に示すように、内向き部分70は窪み26の内部に収容され、窪み26の内側表面27と係合するか、又は内側表面27に隣接してもよい。離散的な間隔を置いた窪み26を有する実現形態では、リテーナ62はそれぞれ、対応するリテーナの各々と整列した窪み内に収容されてもよい。この位置では、リテーナ62の内向き部分70は、窪み26の外側のアウターレース12によって半径方向に重なっており、ブーツ被覆管44がアウターレースから、第1の方向とは反対の第2の方向に意図せずに外れることを阻止又は防止している。すなわち、ブーツ被覆管44を第2の方向に移動させようとする力は、リテーナ62のアウターレース12との係合によって、窪み26の内部から抵抗を受ける。
【0029】
非直線状のリテーナ62により、ブーツ被覆管44をアウターレースに組み立てる間に、リテーナとアウターレース12との間の係合点を、より良好に制御することが可能になる。少なくともいくつかの実現形態では、アウターレース12がリテーナ62に係合する点はリテーナのベース63から軸線方向に離れており、それにより係合の力又は応力、及びリテーナの湾曲は、リテーナが、リテーナのベースに、より接近してアウターレースに係合する場合よりも、リテーナの、より長い軸線方向長さにわたって分散される。
【0030】
リテーナ62のより広範囲の長さに沿って応力を分散させることにより、リテーナ内で生じる最大応力が低減され、リテーナの塑性変形を制限又は防止することができ、よってブーツ被覆管44を組み立てた位置において窪み26と整列した場合に、リテーナが非湾曲状態に戻るか、又は非湾曲状態に向かって戻ることが確保される。ブーツ被覆管44及びアウターレース12の製造公差ゆえに、リテーナ62をアウターレースと係合させ、窪み26内に収容させて、ブーツ被覆管をアウターレース上に確実に保持させ得るために、少なくともいくつかの実現形態では、リテーナの一部はアウターレース12の外側表面24よりも、最大で1.5mmだけ半径方向に軸線20に接近している。リテーナ62が、その軸線方向長さに沿った軸線20に対して一定の角度で配置され、かつこれら構成要素の生産ランにおけるブーツ被覆管44及びアウターレース12のサイズが変動するために、リテーナのいくつかは、リテーナのベースに望ましくないほど接近してアウターレースに係合する場合があり、よってリテーナの塑性変形を生じさせる場合がある。
【0031】
本明細書に記載されたリテーナ62の内向き部分70を軸線20に対して大きな角度で配置することで、係合位置をベース63の近くではなく、内向き部分70に、又は内向き部分70の近くに位置するように制御して、屈曲/湾曲応力をリテーナのより広範囲の長さに沿って、より良好に分散させることができる。すなわち、ベース63と、リテーナ62の中点との間のリテーナ62の部分は、アウターレース12の外側表面24に係合しないように、又はブーツ被覆管44及びアウターレース12に対する許容公差の範囲を有して外側表面24と最小限に係合するように、配置することができる。内向き部分70を軸線20から適切な距離に設けて、内向き部分をアウターレースに確実に係合させることにより、リテーナ62をアウターレース12に確実に係合させることが依然としてできる。また更に、少なくともいくつかの実現形態では、内向き部分70を形成するリテーナ62の内向きの屈曲部72ゆえに、内向き部分は凸状の外側表面部分を含む。
図5に示すように、凸状の外側表面部分は、アウターレース12を窪み26の内部に係合させる(すなわち、窪みの側壁78に係合させる)ように配置されてもよく、そのような係合は、リテーナを軸線20に向かって内向きに屈曲させようとする場合がある。これにより、リテーナの内向き部分70を窪み26から脱離させようとし得る、リテーナ62の意図しない外向きの湾曲が阻止される。このようにして、ブーツ被覆管44を第2の方向に移動させようとする力が、内向き部分70を更に内向きに湾曲させようとし、それによりブーツ被覆管のアウターレース12に対する保持を増加させることができる。
【0032】
少なくともいくつかの実現形態では、ベース63と、ベースと自由端66との間のリテーナの中点との間で、リテーナがアウターレース12の外側表面24に強力に係合しないように、リテーナ62をフランジ58及びアウターレース12に対して配置してもよい。この例では、強力な係合とは、ブーツ被覆管44の軸線20に対して10度以上で、リテーナ62の湾曲又は屈曲を生じさせ得る係合である。より低い応力での係合、すなわちベース63とリテーナの中点との間での、アウターレース12に対する係合によって生じるリテーナ62の湾曲が最小限となるような係合が許容され得る。少なくともいくつかの実現形態では、第1の位置又はベース63と(
図7でライン80で示す)中点との間のリテーナ62の内側表面68は、軸線20に対して10度を超えて変動することはない角度を有し、リテーナ62のこの部分は、軸線20からの距離が、アウターレースの軸線方向端部28と窪み26との間の、アウターレース12の外側表面24の半径方向距離の最大値以上である内側表面を有してもよい。少なくともいくつかの実現形態では、中点から第1の位置63までにおけるリテーナ62の内側表面68は、軸線20に平行であるか、又は軸線に平行である状態から5度以内にある。別の実施形態では、第1の位置63と、第1の位置63と第2の位置65との間の中点(例えばベース63と自由端66との間)との間のリテーナ62の内側表面68は、リテーナ62の外側のフランジ58の内側表面60の半径方向に最も内側の部分よりも1mmを超えて軸線20に接近することはない。別の実施形態では、リテーナ62の内向き部分70は、リテーナ62の自由端66内に画定されてもよく、又はそうでない場合は自由端66を含んでもよい。更に別の実施形態では、
図7に示すように、リテーナ62の屈曲部72から自由端66まで(リテーナの半径方向の厚さの中点を通るライン82で示す)は、軸線20に対して少なくとも20度の角度で配置されている。
【0033】
いくつかの実現形態では、リテーナ62はまた、ブーツ被覆管44とアウターレース12との間のシール31上に圧縮力を良好に維持しており、ブーツ被覆管44と、アウターレース12の第1の軸線方向端部28との間に直接接触を維持していてもよい。少なくともいくつかの実現形態では、ブーツ被覆管44の中間部分61の内側表面とリテーナ62の自由端66との間の軸線方向距離は、1)アウターレース12の第1の軸線方向端部28から突出するシール31の軸線方向外向きに面する部分と、2)アセンブリにおいてリテーナ62の自由端66に隣接する窪み又は溝26の側壁78、との間の軸線方向距離よりも小さい。従って、シール31上に、いくらかの圧縮力が維持され得る。
【0034】
本明細書で開示した本発明の形態は、現在好ましい実施形態を構成するが、他の多くの形態が可能である。本明細書では、本発明の全ての可能な等価形態又は派生を述べることを意図していない。本明細書で使用される用語は、制限的というよりも、単に記述的であり、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、様々な変更を行ってもよいと理解される。
【0035】
請求項で使用される全ての用語は、本明細書でそうではないと明示的に示さない限り、その最も幅広い正当な解釈、及び当業者によって理解されるような通常の意味が与えられることを意図している。特に、「a」、「the」、「said」などの単数の冠詞の使用は、請求項がそうではないと明示的に限定しない限り、示された要素の1つ又は複数を引用すると読み取るべきである。
【符号の説明】
【0036】
10 ジョイント
12 アウターレース
14 インナーレース
16 ボール
18 ブーツアセンブリ
20 軸線
22 内側表面
24 外側表面
26 窪み
27 内側表面
28 軸線方向端部
29 溝
30 取付表面
31 シール
32 外側表面
34 ケージ
36 第1の回転構成要素
38 第2の回転構成要素
40 グリースキャップ
41 ベント機構
42 第2の軸線方向端部
44 被覆管
44 ブーツ被覆管
46 可撓性ブーツ
46 ブーツ
48 第1の軸線方向端部
50 第2の軸線方向端部
52 接続部分
54 ベローズ
56 取付部分
58 フランジ
60 内側表面
61 中間部分
62 リテーナ
63 ベース、第1の位置
64 窪み
65 第2の位置
66 自由端
68 内側表面
70 内向き部分
72 屈曲部
74 リップ
76 部分
78 側壁
80 ライン
82 ライン